JPH11209860A - 熱延下地溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

熱延下地溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

Info

Publication number
JPH11209860A
JPH11209860A JP1293698A JP1293698A JPH11209860A JP H11209860 A JPH11209860 A JP H11209860A JP 1293698 A JP1293698 A JP 1293698A JP 1293698 A JP1293698 A JP 1293698A JP H11209860 A JPH11209860 A JP H11209860A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pickling
hot
steel sheet
plating
time
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP1293698A
Other languages
English (en)
Inventor
Shuji Nomura
修二 野村
Masayuki Yamato
正幸 大和
Michitaka Sakurai
理孝 櫻井
Masaru Sagiyama
勝 鷺山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NKK Corp, Nippon Kokan Ltd filed Critical NKK Corp
Priority to JP1293698A priority Critical patent/JPH11209860A/ja
Publication of JPH11209860A publication Critical patent/JPH11209860A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Coating With Molten Metal (AREA)
  • Cleaning And De-Greasing Of Metallic Materials By Chemical Methods (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱延鋼板の脱スケール酸洗工程を連続式溶融
めっきラインに組み込んで生産コストを低減すると共
に、酸洗速度を調整できる高速酸洗装置を用いて、酸洗
後のスマットの悪影響を解決し、さらに還元焼鈍時の加
熱温度の低減を可能とし、操業コスト・設備コストを低
減し、連続式溶融めっき設備において安価でめっき密着
性に優れた溶融めっき鋼板を製造する。 【解決手段】 熱延鋼板に亜鉛又は亜鉛系合金を溶融め
っきするに際して、スケール除去を促進し、かつ酸洗速
度を調整可能な装置を有した高速酸洗装置を用いて脱ス
ケール処理を行い、脱スケール終了後さらに適当な時間
過剰に酸洗処理を行った後に、引き続いて連続する連続
めっき工程に、前記処理を施した熱延鋼板を導入して溶
融めっきする。過剰に酸洗処理する時間は、(酸洗短縮
時間)=(通常の酸洗時間)−(高速酸洗時間)で表さ
れる酸洗短縮時間の5〜70%に相当する時間とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱延鋼板の上に亜
鉛又は亜鉛系合金を溶融めっきした鋼板の製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、熱延下地溶融亜鉛めっき鋼板
は、熱間圧延ラインにおいて圧延された熱延鋼板を、コ
イルに巻き取り常温まで冷却した後、酸洗ラインにおい
て80〜90℃程度の温度で酸洗することにより、熱延時に
鋼板表面に生成したスケールを除去し、連続式溶融亜鉛
めっきラインにおいて所定の還元性雰囲気を保った焼鈍
炉内で鋼板を700〜800℃程度の温度で還元焼鈍し、その
雰囲気を保ったまま連続的に溶融めっきを施して製造さ
れている。すなわち、従来の連続式溶融めっきライン
は、図3に示すように、焼鈍炉4と溶融めっき槽5とを
備えた連続溶融めっき装置3を有し、コイル1から繰り
出された熱延鋼板2は、先ず焼鈍炉4で還元焼鈍され、
その後、還元性雰囲気を保ったまま溶融めっき槽5で連
続的にめっきが施される。
【0003】これは、めっき浴浸漬時に鋼板の表面に酸
化膜が多量に存在すると、鋼板とめっき浴の反応が妨げ
られてめっきの密着性が劣化したり、亜鉛がはじかれて
不めっきを生じ、外観ならびに耐食性が低下するため、
それを防止する意図からなされるものである。
【0004】従って、熱延下地溶融亜鉛めっき鋼板の製
造に際しては、酸洗ラインを経ることによって熱延時に
鋼板表面に生成したスケールを完全に除去すること、連
続式溶融めっきラインにおいて、700〜800℃程度の高温
にまで加熱し、還元焼鈍することが不可欠であった。
【0005】しかしながら、酸洗ラインを経ることは、
その搬送費ならびに運転費の増大を招くことになる。そ
こで、特公昭51-40018号公報では、酸洗処理とめっき処
理を同一ラインで連続的に処理することに着目し、熱延
鋼板を硫酸と塩酸の混酸よりなる酸洗処理液中を通して
スケールを除去し、引き続いて連続するめっき工程に通
して亜鉛めっきする技術(以下、従来技術1)が開示さ
れている。さらに、特開平4-304357号公報では、酸洗後
にバフロールによるブラッシングを施した後、溶融めっ
きする技術(以下、従来技術2という)、特開平8-8174
8号公報では、酸洗後に電解清浄により脱スマットし、
次いで溶融亜鉛めっきする技術(以下、従来技術3とい
う)が開示されている。
【0006】また、酸洗工程を省略するという考えに基
いた溶融めっき鋼板の製造方法として、特開昭54-13343
8号公報では、熱延鋼板を圧下率40%以上の冷間圧延を
施した後に水素濃度4%以上の還元性雰囲気内で還元焼
鈍し溶融亜鉛めっきする技術(以下、従来技術4とい
う)や、特開平6-279967号公報では、熱延鋼板の表面酸
化皮膜厚に合わせて、還元処理条件を制御する技術(以
下、従来技術5という)が開示されている。
【0007】一方、めっき密着性に必要な表面清浄性を
確保するために、700〜800℃程度の高温に加熱すること
は、膨大なエネルギーと長大な加熱炉を必要とし、操業
コストの増加を招く。また、その後めっき浴の温度(50
0℃程度)近傍まで冷却することは熱エネルギーの多大
な損失となる。さらに、高温の水素雰囲気中では鋼板に
水素が吸蔵され、めっき後、この水素が鋼板とめっき皮
膜の界面に放出され、めっき皮膜に膨れ状欠陥を発生さ
せる問題もある。
【0008】これらの問題を解決する手段として、特開
平4-346645号公報では、熱延鋼板を酸洗後Niプレめっき
を行い、430〜500℃に加熱後、溶融亜鉛めっきを施す技
術(以下、従来技術6という)が開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来技術1〜6には個々に以下のような問題点があ
る。従来技術1においては、酸洗によって熱延鋼板を脱
スケールすると、セメンタイトを主体とするスマットが
鋼板表面に残存し、還元焼鈍時に分解除去されないスマ
ットに起因するめっきはじき(いわゆる、不めっき)が
発生する。
【0010】従来技術2においては、酸洗時に生成した
スマットはバフロールによる研削である程度除去される
ものの、鋼板が湾曲している場合や、鋼板表面にミクロ
凹凸が存在する場合には、均一にブラシが当たらないた
め、局部的にスマットが残存しやすい。また、研削の有
無によって焼鈍後の結晶組織が不均一なり、合金層が不
均一に成長しめっき密着性が劣化する。さらに、ブラシ
ロールの毛抜けが、欠陥を発生させたり、ブラシロール
の不均一による線状ムラやチャーターマークなどが発生
し外観を損なうなどの問題点もある。
【0011】従来技術3においては、上記従来技術2の
様な問題点は解決されるが、電解設備が必要となり、操
業コストの増大を招く。
【0012】ところで、酸洗処理とめっき処理を同一ラ
インで連続的に処理する場合、焼鈍工程やめっき工程な
ど酸洗処理以外の工程の制約からライン速度が制約され
るので、酸洗処理に利用できる時間を一定にできない。
また、既存の連続溶融めっき装置に酸洗処理装置を新設
する場合、設置スペースが限られるので必然的に酸洗処
理に利用できる時間が限られる。したがって、連続溶融
めっき装置に設置する酸洗処理装置は、焼鈍工程やめっ
き工程などの工程の制約を受けない高速の酸洗処理が可
能で、かつ酸洗速度を制御できることが望ましい。
【0013】従来技術4においては、冷間圧延してスケ
ールを薄くすることで還元焼鈍時のスケール還元を補助
するものであるが、冷間圧延のための莫大な設備が必要
であり、材質的に不安定になる問題がある。
【0014】従来技術5においては、通常のスケール厚
さでの利用も可能であるが、還元処理にかかる温度・時
間・H2濃度が増すために、操業コスト・設備コストを上
昇させる。さらに、鋼板に溶融めっき処理を施す前にス
ケール厚さを測定する必要があるが、これは連続処理を
妨げ、生産性に悪影響を与える。
【0015】従来技術6においては、前処理としてNiプ
レめっきを施すため、プレめっきのための設備コストが
増大する問題点がある。
【0016】本発明は、前記事情に鑑みて、通常行われ
る熱延鋼板の脱スケール酸洗工程を連続式溶融めっきラ
インに組み込んで生産コストを低減すると共に、酸洗速
度を調整できる高速酸洗装置を用いて、従来から問題と
なっていた酸洗後のスマットの悪影響を一挙に解決し、
さらに還元焼鈍時の加熱温度の低減を可能とし、操業コ
スト・設備コストを低減し、連続式溶融めっき設備にお
いて安価でめっき密着性に優れた溶融めっき鋼板を製造
する方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、種々の検
討を行った結果、前記課題を解決できることを見出し、
先に連続溶融めっき設備と溶融めっき鋼板の製造方法に
ついて特許出願した(特願平9-55427号)。
【0018】特願平9-55427号では、溶融めっき装置
と、その入側に鋼板を加熱する鋼板加熱部と、鋼板が浸
漬される酸洗槽部とを備え、前記酸洗槽部には浸漬され
た鋼板の少なくとも一方の面に酸液を噴射する装置を設
置した連続溶融めっき設備が提案され、また、溶融めっ
き鋼板の製造に際して、鋼板を加熱した後酸液に浸漬
し、さらに酸洗槽内部で酸液を噴射することにより、熱
衝撃によるスケールの破壊、沸騰および噴流によって酸
液の新陳代謝を促進し、酸洗時間、特に初期段階での酸
洗時間を短縮して高速酸洗を可能にし、またスマットを
原因とする不めっきの発生を解決している。加えて、連
続溶融めっき装置の入側に設置した場合に問題になる酸
洗速度の調整を、鋼板加熱温度、酸液噴流速度を調節す
ることによって可能としている。
【0019】前記発明によれば、通常行われる熱延鋼板
の脱スケール酸洗工程を連続式溶融めっきラインに組み
込んで生産コストを低減すると共に、従来から問題とな
っていた酸洗後のスマットの問題、還元焼鈍時の加熱温
度低減の問題を一挙に解決し、操業コスト・設備コスト
を低減し、連続式溶融めっき設備において安価でめっき
密着性に優れた溶融めっき鋼板を製造することができ
る。
【0020】また、高速の酸洗処理が可能で、かつ酸洗
速度を制御できるので、焼鈍工程やめっき工程などの工
程の制約を受けることがなく所要の脱スケールが可能で
あり、また既存の連続溶融めっき装置に高速酸洗装置を
追加して本発明の実施をすることも容易である。
【0021】しかしながら、前記提案の方法によって溶
融めっきを行うと、酸洗条件によって、実用上品質に問
題はないがめっき密着性や表面外観に差が生じることが
わかった。
【0022】本発明者らは、前記めっき密着性や表面外
観に差が生じる原因について検討したところ、これは高
速酸洗によって脱スケール処理された熱延鋼板の表面
は、熱衝撃によってスケールが破壊された部分と、酸に
よる溶解でスケ−ルが除去された部分に分けられること
に起因することを見出した。
【0023】このような鋼板をめっきすると亜鉛浴と鋼
板表面の反応性が不均一なので、合金層が成長した部分
は、めっき密着性に劣る。また、めっき皮膜表面のスパ
ングルに異常を生じたり、点状のめっきやけとなる。し
たがって、脱スケール後の鋼板表面の反応性を均一にす
ることによって前記めっき密着性や表面外観を向上でき
ることがわかった。
【0024】本発明は、前記知見に基くものであり、そ
の手段は以下の通りである。第一発明は、熱延鋼板に亜
鉛又は亜鉛系合金を溶融めっきするに際して、スケール
除去を促進し、かつ酸洗速度を調整可能な装置を有した
高速酸洗装置を用いて脱スケール処理を行い、脱スケー
ル終了後もさらに適当な時間過剰に酸洗処理を行った後
に、引き続いて連続する連続めっき工程に、前記処理を
施した熱延鋼板を導入して溶融めっきすることを特徴と
する熱延下地溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法である。
【0025】第二発明は、熱延鋼板に亜鉛又は亜鉛系合
金を溶融めっきするに際して、スケール除去を促進し、
かつ酸洗速度を調整可能な装置を有した高速酸洗装置を
用いて脱スケール処理を行い、脱スケール終了後、 (酸洗短縮時間)=(通常の酸洗時間)−(高速酸洗時
間) で表される酸洗短縮時間の5〜70%に相当する時間過剰に
酸洗処理を行った後に、引き続いて連続する連続めっき
工程に、前記処理を施した熱延鋼板を導入して溶融めっ
きすることを特徴とする熱延鋼板の溶融めっき方法であ
る。
【0026】以下、本発明について、さらに説明する。
一般に、熱延鋼板を脱スケール酸洗すると、部分的にス
ケールが残存したり、セメンタイトを主成分とするスマ
ットが付着していることがあり、この様な場合には、溶
融めっきの際に、ピンホール状の不めっきを生じやす
く、品質および歩留まりの低下を招いていた。スケール
は、熱間圧延時に鋼の酸化しやすい部分に優先的に成長
するため、鋼とスケールの界面は平坦な面ではない。
【0027】この様な状況で脱スケール酸洗が行われる
ため、酸洗後の鋼板表面には、大きな凹凸が存在してい
る。また、最近の脱スケール酸洗では、鋼の歩留まりを
考慮して、スケールは溶解するが、鋼は溶解させない、
インヒビターが添加されるようになり、前記傾向をさら
に助長している。従って、凹部の奥深い部分では、スケ
ールが取り残されたり、スマットが付着して脱落しにく
い傾向にある。
【0028】この様な、残存スケールやスマットを除去
するために、現状では電解清浄法やブラシ研削などの機
械的除去法が採用されている。電解清浄法は、設備が莫
大で製造コストが増大する点で問題があり、ブラシ研削
などの機械的除去法では、ブラシの毛抜けにより欠陥を
生じたり、鋼板の凹凸によってブラシがあたらない部分
が存在するなどにより、除去安定性に欠けていた。
【0029】本発明者らは、脱スケール酸洗処理におい
て、安定して残存スケールやスマットを除去する方法に
ついて検討し、前記特願平9-55427号で提案した発明に
至った。
【0030】しかしながら、この発明には、前述したよ
うに鋼板表面の反応性が不均一になることに起因して、
めっき密着性や表面外観が劣化する場合があるというこ
とがわかった。そこで、連続溶融めっき装置入側に設置
する高速酸洗装置において、酸洗後の鋼板表面の反応性
を均一にする方法について検討した。
【0031】その結果、高速酸洗を行った熱延鋼板表面
が、熱衝撃によってスケールが剥離した平滑な部分と、
酸による溶解によって脱スケ−ルがなされた微細な凹凸
がある部分に分けられること、即ち、部分的に脱スケー
ル機構が異なることが反応性の不均一さの原因であるを
知見した。平滑部は、スケールと熱延鋼板界面がそのま
ま露出しており鋼中添加元素の濃化がある。この濃化元
素はめっき時に溶融亜鉛と鋼板の反応を促進あるいは抑
制する。一方、凹凸がある部分は、熱延鋼板の表層が酸
によって除去されているので濃化した鋼中添加元素の影
響がない。
【0032】したがって、高速酸洗後の熱延鋼板表面の
反応性を均一にするには、平滑部の表層を除去してやれ
ばよく、その手段としてスケ−ルが完全に除去された後
も適当な時間過剰に酸洗を続け(以下、過酸洗処理と記
す)、鋼板表面全体を酸によって溶解することが効果的
であることを知見した。
【0033】すなわち、スケール除去を促進する装置を
有する高速酸洗処理装置によって脱スケール酸洗処理
し、脱スケール終了後もさらに過酸洗処理を行って脱ス
ケール後の鋼板表面の反応性を均一化した後、引き続い
て連続する連続めっき工程に、前記処理を施された熱延
鋼板を導入して、溶融めっきすることにより、安価で確
実に良好なめっき品質を得ることができる。
【0034】脱スケール終了後に行う過酸洗処理時間
は、(酸洗短縮時間)=(通常の酸洗時間)−(高速酸
洗時間)で定義される酸洗短縮時間の5〜70%でよい。5
%未満の短時間では過酸洗処理の効果が不十分であり、7
0%を越えると、高速酸洗装置による酸洗時間短縮効果が
減少するだけでなく、スマットの発生、および鉄溶解量
増加に伴う歩留まりの低下などの悪影響が発生しやすく
なるためである。
【0035】ここで、通常の酸洗時間とは、高速酸洗装
置を用いることなく、80〜90℃程度の温度の酸液に浸漬
することによって酸洗した場合の脱スケール終了までの
所要時間であり、高速酸洗時間とは、高速酸洗装置を用
いて、高速酸洗した場合における脱スケール終了までの
所要時間である。
【0036】加えて、これまでは十分なめっき密着性を
得るために、連続溶融めっき装置の中で700〜800℃の高
温に鋼板を加熱し還元焼鈍を行っていたが、本発明にお
いては、残存スケール、残存スマットが減少し、酸洗処
理後連続して溶融めっき装置に導入されるので、めっき
金属の浴温程度までの加熱で十分なめっき密着性と表面
外観が得られる。
【0037】なお、前記したような脱スケール後の鋼板
表面の反応性の不均一性という問題は他の高速酸洗方法
を用いた場合でも同様に生じる。例えば、酸洗と研削な
ど機械的な脱スケール方法を組み合わせた高速酸洗装置
においても、酸洗による脱スケールが行われた部分と、
機械的にスケールを除去した部分の表面の反応性は異な
る。
【0038】本発明に規定する過酸洗処理は、脱スケ−
ル後の熱延鋼板の表層を除去するので、特願平9-55427
号以外の高速酸洗方法、例えば上記のような高速酸洗方
法に適用した場合にも、同様に溶融めっきの際の反応性
を均一化する効果があり、めっき密着性や表面外観を改
善する効果がある。
【0039】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図1に示す溶融めっき設備を示す概略構成図を用い
て説明する。図1に示す設備では、連続溶融めっき装置
17と、その入側に配置された鋼板加熱部13と、鋼板
加熱部13及び連続溶融めっき装置17の間に鋼板が浸
漬される酸洗槽部14とを備え、酸洗槽部14には、酸
洗槽部14に浸漬された鋼板の少なくとも一方の面に酸
液を噴射する酸液噴射装置16が設けられている。ま
た、連続溶融めっき装置17は、焼鈍装置18と溶融め
っき槽19を備える。
【0040】この設備において、亜鉛又は亜鉛系合金を
溶融めっきする際には、コイル11から繰り出された熱
延鋼板12を鋼板加熱部13で所定温度に加熱し、加熱
直後に酸洗槽部14に貯留された酸液に熱延鋼板12を
浸漬し、この酸液に浸漬された熱延鋼板12の表面に酸
液噴射装置16から酸液を噴射する。これにより、前記
したような作用に基く脱スケール処理と、さらに適当な
時間の過酸洗処理を行う。引き続いて、連続する連続溶
融めっき装置17で亜鉛又は亜鉛系合金の溶融めっきを
行う。
【0041】鋼板加熱部13における鋼板の加熱と、酸
液噴射装置16からの酸液の噴射は、必用に応じていず
れか一方のみであってもよい。また、酸液の噴射は、熱
延鋼板の両面に噴射してもよいし、必要に応じて片面だ
けであってもよい。また、過酸洗処理時間は、(酸洗短
縮時間)=(通常の酸洗時間)−(高速酸洗時間)で表
される酸洗短縮時間の5〜70%に相当する時間とすること
がより望ましい。
【0042】酸洗速度や脱スケール後の過酸洗処理時間
の制御は、鋼板加熱部13における鋼板温度や酸液噴射
装置16における酸液噴射量などを制御することにより
可能である。
【0043】本発明の脱スケール後の過酸洗処理は、図
2に示すように、酸洗槽部14の後にさらに第二の酸洗
槽部15を設け、脱スケールが終了した熱延鋼板を第二
の酸洗槽部15で過酸洗処理してもよい。
【0044】
【実施例】(実施例1)本発明の効果を確認するため
に、図1に示す装置を備える連続式溶融めっきラインで
製造実験を行った。めっき母材には、板厚が3.0mmの通
常の低炭素Alキルド熱延鋼板を使用して、酸洗、焼鈍後
溶融亜鉛めっきを行った。
【0045】めっき浴組成はAlが0.16wt%で残部Zn、め
っき浴温465℃、侵入板温475℃、めっき付着量は両面で
150g/m2以上とした。
【0046】高速酸洗方法として、酸洗槽部の入側で鋼
板を加熱する方法、酸液を噴射する方法、両者を同時に
行う方法を用いた。加熱方法は、熱延コイルを常温まで
冷却したものを、インダクションヒーターで所定の温度
まで加熱して行った。
【0047】酸洗は、塩酸100g/L、塩化第1鉄250g/L、
塩化第2鉄5g/L、インヒビターとしてヒビロンA−5を
3g/Lを含む酸液を用い、液温85℃で行った。
【0048】実験材の製造にあたり、入側の鋼板加熱温
度ごとに酸洗時間を調節して、酸洗後スケールが残留し
たもの、脱スケールが完了したが過酸洗処理のないも
の、第二発明に規定する脱スケール後十分に過酸洗処理
したものを製造した。また、比較のために、高速酸洗を
しない通常酸洗のものも製造した。
【0049】製造した実験材について、めっき後に2t曲
げ、1t曲げを行い、曲げ部外側のテープ剥離を行ってめ
っき密着性を評価した。1t曲げ試験においても皮膜が剥
離しなかったものを◎、2t曲げ試験において、皮膜が剥
離しなかったものを○、わずかに剥離が見られるが実用
上問題がないものを△、実用上問題となる剥離が見られ
たものを×とした。
【0050】また、目視観察によって表面外観の程度を
評価した。スパングル異常やめっきやけなど表面外観の
異常がなかったものを◎、表面外観の異常部が有るが少
なくかつ微小であったものを○、表面外観の異常部が有
るが少なく実用上問題ないものを△、多かったものを×
とした。さらに別途目視観察により不めっきの程度を評
価した。不めっきがなかったものを○、不めっきが存在
し、少なかったものを△、多かったものを×とした。
【0051】製造条件と調査結果を表1〜5に示す。表
1〜3は、焼鈍温度が750℃で、表1は鋼板加熱により
高速酸洗を行った場合、表2は酸液噴射により高速酸洗
を行った場合、表3は鋼板加熱と酸液噴射を組み合わせ
て高速酸洗を行った場合である。
【0052】また、表4、5は、鋼板加熱と酸液噴射を
組み合わせて高速酸洗を行い、焼鈍温度を低下した場合
であり、表4は焼鈍温度を650℃に、表5は焼鈍温度を5
50℃に低下した場合である。
【0053】なお、表1〜5に記載されていない製造条
件は、連続式溶融めっきラインにて同等材を通板すると
きの標準的なものとした。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】
【表5】
【0059】表1〜3のいずれにおいても、酸洗時間が
短すぎ、スケールが残留したものは、めっき密着性、め
っき外観が劣り、不めっきが多数観察された。通常酸洗
によって脱スケールを行なった比較例は、スマットの影
響により不めっきが観察された。高速酸洗によって脱ス
ケールを行なったが過酸洗処理を行なっていない比較例
は、めっき密着性、表面外観が実用状問題のないレベル
であった。これに対して、鋼板加熱、酸液噴射、あるい
はこれらを組み合わせて高速酸洗を行うとともに過酸洗
処理を行った本発明例は、過酸洗処理の効果によって、
めっき密着性、表面外観がさらに向上した。
【0060】また、表4、表5に示したように焼鈍温度
を低下させた場合でも、鋼板加熱、酸液噴射、あるいは
これらを組み合わせて高速酸洗を行うとともに、第二発
明に規定する過酸洗処理を行った本発明例は、過酸洗処
理を行っていない比較例と比べ、過酸洗処理の効果によ
って、めっき密着性、表面外観がさらに向上した。
【0061】(実施例2)本発明の効果を確認するため
に、実施例1と同様の連続式溶融めっきラインで製造実
験を行った。めっき母材には、板厚が3.0mmの通常の低
炭素Alキルド熱延鋼板を使用して、酸洗、焼鈍後溶融亜
鉛めっきを行った。焼鈍温度は750℃、めっき浴組成はA
lが0.16wt%で残部Zn、めっき浴温465℃、侵入板温475
℃、めっき付着量は両面で150g/m2以上とした。
【0062】高速酸洗方法として鋼板を加熱した後酸洗
槽へ装入し、さらに酸洗槽内部で酸液を噴射する方法を
用いた。加熱方法は、熱延コイルを常温まで冷却したも
のを、インダクションヒーターにて所定の温度まで加熱
して行った。
【0063】酸洗は、塩酸100g/L、塩化第1鉄250g/L、
塩化第2鉄5g/L、インヒビターとしてヒビロンA−5を
3g/Lを含む酸液を用い、液温85℃で行った。
【0064】実験材の製造にあたり、入側の鋼板加熱温
度ごとに酸洗時間を調節して、酸洗後スケールが残留し
たもの、脱スケールが完了したが過酸洗処理のないも
の、脱スケール後の過酸洗処理が短すぎるもの、脱スケ
ール後第二発明に規定する十分な過酸洗処理しているも
の、脱スケール後の過酸洗処理が長すぎるものを製造し
た。また、比較のために、高速酸洗をしないで、通常酸
洗だけのものも製造した。
【0065】製造した実験材について、めっき後に2t曲
げ、1t曲げを行い、曲げ部外側のテープ剥離を行ってめ
っき密着性を評価した。1t曲げ試験においても皮膜が剥
離しなかったものを◎、2t曲げ試験において、皮膜が剥
離しなかったものを○、わずかに剥離が見られるが実用
上問題がないものを△、実用上問題となる剥離が見られ
たものを×とした。
【0066】また、目視観察によって表面外観の程度を
評価した。スパングル異常やめっきやけなど表面外観の
異常がなかったものを◎、表面外観の異常部が有るが少
なくかつ微小であったものを○、表面外観の異常部が有
るが少なく実用上問題ないものを△、多かったものを×
とした。さらに別途目視観察により不めっきの程度を評
価した。不めっきがなかったものを○、不めっきが存在
し、少なかったものを△、多かったものを×とした。
【0067】製造条件と調査結果を表6〜表8に示す。
なお、表6〜表8に記載されていない製造条件は、連続
式溶融めっきラインにて同等材を通板するときの標準的
なものとした。
【0068】
【表6】
【0069】
【表7】
【0070】
【表8】
【0071】比較例120は、通常の酸洗で脱スケール処
理を行ったので、脱スケールに時間がかかり、さらに、
スマットの影響により不めっきが観察された。
【0072】比較例121〜124は、酸洗時間が短すぎるた
めスケールが残留し、めっき密着性、めっき外観が劣
り、不めっきが多数観察された。
【0073】過酸洗処理を行っていない比較例125〜137
は、めっき密着性、表面外観が実用状問題のないレベル
に達しているが、本発明例138〜202と比べると劣ってい
る。
【0074】本発明例138〜202は、高速酸洗と過酸洗処
理の効果により、めっき密着性、表面外観が比較例に比
べて向上しており、また不めっきの発生もない。
【0075】第二発明に規定する過酸洗処理条件を満足
する本発明例151〜189は、高速酸洗と過酸洗処理の効果
がより優れ、めっき密着性、表面外観がさらに向上して
いる。
【0076】本発明例190〜202は、過酸洗処理が長すぎ
るため、高速酸洗の効果が低下しスマットの影響により
めっき密着性、表面外観が劣るようになるため、めっき
密着性、表面外観が、前記本発明例151〜189より劣って
いる。
【0077】
【発明の効果】本発明によれば、通常行われる熱延鋼板
の脱スケール酸洗工程を連続式溶融めっきラインに組み
込んで、生産コストを低減すると共に、従来から問題と
なっていた、酸洗後のスマット除去の問題、還元焼鈍時
の加熱温度低下の問題を一挙に解決し、操業コスト・設
備コストを低減し、連続式溶融めっき設備において安価
でめっき密着性に優れた溶融めっき鋼板を製造すること
が可能になる。
【0078】また、高速の酸洗処理が可能で、かつ酸洗
速度を制御できるので、焼鈍工程やめっき工程などの工
程の制約を受けることがなく所要の脱スケールと過酸洗
処理が可能であり、また既存の連続溶融めっき装置に高
速酸洗装置を追加して本発明を実施することも容易であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の説明に用いた溶融めっき
設備の概略構成を示す図。
【図2】本発明の実施の形態の説明に用いた別の溶融め
っき設備の概略構成を示す図。
【図3】従来技術の溶融めっき設備を示す図。
【符号の説明】
11 コイル 12 熱延鋼板 13 鋼板加熱部 14、15 酸洗槽部 16 酸液噴射装置 17 連続溶融めっき装置 18 焼鈍炉 19 溶融めっき槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鷺山 勝 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱延鋼板に亜鉛又は亜鉛系合金を溶融め
    っきするに際して、スケール除去を促進し、かつ酸洗速
    度を調整可能な装置を有した高速酸洗装置を用いて脱ス
    ケール処理を行い、脱スケール終了後さらに適当な時間
    過剰に酸洗処理を行った後に、引き続いて連続する連続
    めっき工程に、前記処理を施した熱延鋼板を導入して溶
    融めっきすることを特徴とする熱延下地溶融亜鉛めっき
    鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 熱延鋼板に亜鉛又は亜鉛系合金を溶融め
    っきするに際して、スケール除去を促進し、かつ酸洗速
    度を調整可能な装置を有した高速酸洗装置を用いて脱ス
    ケール処理を行い、脱スケール終了後、 (酸洗短縮時間)=(通常の酸洗時間)−(高速酸洗時
    間) で表される酸洗短縮時間の5〜70%に相当する時間過剰に
    酸洗処理を行った後に、引き続いて連続する連続めっき
    工程に、前記処理を施した熱延鋼板を導入して溶融めっ
    きすることを特徴とする熱延鋼板の溶融めっき方法。
JP1293698A 1998-01-26 1998-01-26 熱延下地溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 Pending JPH11209860A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1293698A JPH11209860A (ja) 1998-01-26 1998-01-26 熱延下地溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1293698A JPH11209860A (ja) 1998-01-26 1998-01-26 熱延下地溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11209860A true JPH11209860A (ja) 1999-08-03

Family

ID=11819179

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1293698A Pending JPH11209860A (ja) 1998-01-26 1998-01-26 熱延下地溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11209860A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1814678B2 (de) 2005-03-17 2014-08-27 SMS Siemag AG Verfahren und vorrichtung zum entzundern eines metallbandes

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1814678B2 (de) 2005-03-17 2014-08-27 SMS Siemag AG Verfahren und vorrichtung zum entzundern eines metallbandes

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH10330900A (ja) 熱延鋼板の溶融めっき方法
JP4619404B2 (ja) 溶融めっき熱延鋼板の製造方法
KR19990043945A (ko) 도금 강판의 제조방법
JP3514837B2 (ja) 熱延鋼板の溶融めっき方法
JPH02285057A (ja) 溶融亜鉛めっき用鋼板の連続焼鈍方法
JPS61147900A (ja) 鋼帯の連続めっき設備
JPH11209860A (ja) 熱延下地溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP3219010B2 (ja) 熱延鋼板の溶融めっき設備および溶融めっき鋼板の製造方法
JPH11200003A (ja) 熱延下地溶融亜鉛めっき鋼板および合金化溶融亜鉛めっ き鋼板の製造方法
JPH06116653A (ja) めっき表面性状およびめっき密着性に優れた低コスト型熱延溶融めっき鋼帯の製造方法および製造装置
JP2003064493A (ja) 外観の美麗な電気亜鉛めっき鋼板
JPH10140311A (ja) 熱延鋼板の溶融めっき方法および溶融めっき設備
JPH0688193A (ja) 合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JPH10330899A (ja) 熱延鋼板の溶融めっき方法および装置
JP3704893B2 (ja) 鋼板の酸洗装置および酸洗方法ならびに鋼板の溶融めっ き装置および溶融めっき方法
JPH10140312A (ja) 熱延鋼板の溶融めっき方法および溶融めっき設備
JP3248431B2 (ja) 溶融めっき鋼板の製造方法
JPH10226864A (ja) 溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP3277158B2 (ja) 外観に優れた溶融亜鉛めっき鋼板および合金化処理溶融亜鉛めっき鋼板
JPH09217160A (ja) 溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法
JP3248432B2 (ja) 溶融めっき鋼板の製造方法
JPH09143662A (ja) 溶融亜鉛系めっき鋼板
JP2023156878A (ja) 溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JPH1088307A (ja) めっき密着性に優れた溶融めっき鋼板の製造方法
JPH09324249A (ja) 溶融金属めっき装置および溶融金属めっき熱間圧延鋼帯の製造方法