JPH10138905A - 推定車体速度演算方法 - Google Patents

推定車体速度演算方法

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JPH10138905A
JPH10138905A JP29517996A JP29517996A JPH10138905A JP H10138905 A JPH10138905 A JP H10138905A JP 29517996 A JP29517996 A JP 29517996A JP 29517996 A JP29517996 A JP 29517996A JP H10138905 A JPH10138905 A JP H10138905A
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JP
Japan
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value
acceleration
speed
vehicle
offset
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JP29517996A
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English (en)
Inventor
Yasuhiro Inaba
康宏 稲葉
Motoaki Kataoka
資章 片岡
Hideaki Suzuki
秀昭 鈴木
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Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
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Publication date
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Publication of JPH10138905A publication Critical patent/JPH10138905A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 より実際の車体速度に近い推定車体速度を求
めることができる推定車体速度演算方法を提供するこ
と。 【解決手段】 ステップ300にて、加減速度オフセッ
ト補正演算を行って、車体加減速度演算値GXを算出す
る。そして、加速時又は減速時に応じて、ステップ32
0,330にて、各々勾配制限係数αup、αdownを決定
する。ステップ350では、車輪速度Vwに対して勾配
制限を行って、その中間値を今回の勾配制限車輪速度値
Vgdとする。そして、加速時には、ステップ370に
て、4輪の中間値のうちの最小値を選択車輪速度VwSe
lとして決定する。一方、減速時には、ステップ380
にて、4輪の中間値のうちの最大値を選択車輪速度Vw
Selとして決定する。ステップ390では、選択車輪速
度VwSelに対して勾配制限を行って、今回の推定車体
速度VTOを求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば加速スリッ
プ時等における車体速度を推定する推定車体速度演算方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば加速スリップ発生時に
駆動力を調節して加速スリップを抑える加速スリップ制
御を行う場合には、一般的に基準速度より所定値だけ高
い車速内に車輪速度が収まるように、エンジン出力など
を調節して車輪速度を制御している。
【0003】そのため、制御の基準となる基準速度は重
要である。例えば基準速度が実際の車体速度より高すぎ
ると、駆動力を充分低減できずにエンジンは吹き上がる
し、逆に低いと加速性が犠牲になる。前記基準速度とし
ては、通常、車輪速度センサ等の出力を用いて算出され
る推定車体速度が使用されるが、実際の車体速度に近い
推定車体速度を得るために、例えば下記式(1)から求
めた車体速度を採用する方法が提案されている(特開平
1−178067号公報参照)。
【0004】 VB(n)=Medium[VB(n-1)-αdown・t、Vw、VB(n-1)-αup・t]…(1) 但し VB :車体速度αdown:減少勾配t :単
位時間Vw :所定の車輪速度αup :増加勾配
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そして、前記式(1)
において、車体速度の勾配制限を行う値である前記αdo
wn,αupを設定する方法として、車両の考えられる最
大の加減速度を設定する方法と、加速度センサにより
検出した値に基づいて設定する方法とがあるが、いずれ
の方法も必ずしも十分ではない。
【0006】つまり、最大加減速度を設定する方法の
場合は、加速スリップが長く続くと、算出される車体速
度が実際の車体速度から大きく外れるという問題があ
り、また、加速度センサの値を用いる方法の場合は、
加速度センサにオフセットが生じていると、オフセット
が前記αdown,αupに重畳して正確な車体速度が得られ
ないという問題があった。
【0007】このオフセットとは、加速度センサの組み
付け誤差や道路勾配やセンサ自体の温度特性などによっ
て発生するものであるが、オフセットが発生すると、正
確な車体速度が得られず、よって、車体速度に基づいて
行われる加速スリップ制御等を好適に行うことができな
いという問題があった。
【0008】特に、駆動力制御でエンジン出力を制御す
る際には、その時の環境温度やエンジンの機械的特性変
化によって制御結果である出力トルクが変動する割合が
高いので、基準速度にオフセットが付き、更にそのオフ
セットが状況によって変化するということは、制御結果
の変動要因を増すことになり、好ましくない。
【0009】本発明は、前記課題に鑑みてなされたもの
であり、より実際の車体速度に近い推定車体速度を求め
ることができる推定車体速度演算方法を提供することを
目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、請求項1の発明では、オフセット推定手段によっ
て、車体加速度演算手段により算出された車体加速度の
実車体加速度に対するオフセット値を推定し、決定手段
によって、車体加速度演算手段による車体加速度とオフ
セット推定手段によるオフセット値に基づいた制限値と
を用いて、車体速度の変化割合を決定し、車体速度推定
手段によって、この変化割合に基づいて推定車体速度を
推定する。
【0011】つまり、本発明では、従来の様に、単に加
速度センサの出力に基づいて車体速度の変化割合を決め
るのではなく、オフセット値を加味してその変化割合を
決定している。そのため、加速度センサのオフセットの
影響を低減できるので、従来より正確な推定車体速度を
求めることができる。よって、この推定車体速度を用い
ることによって、例えばトラクション制御等の各種の制
御を精密に行うことができる。
【0012】請求項2の発明では、車体加速度演算手段
は、加速度センサによる検出値に基づくとともに車両の
走行状態に応じてオフセット演算値を算出した後に、そ
のオフセット演算値を加速度センサの検出値に加味して
車体加速度を算出する。つまり、本発明では、例えば後
述する図1に示す様に、演算により求めたオフセット演
算値GxOffsetを用いて、実際に加速度センサによって
得られた検出値Gxを補正するので、正確な車体加速度
(車体加速度演算値GX)を求めることができる。
【0013】よって、この正確な車体加速度演算値GX
を用いて、推定車体速度演算を行う場合には、より正確
な推定車体速度VTOを求めることができる。請求項3
の発明では、オフセット演算値は、車両の停止時におけ
る加速度センサの検出値に基づいて算出する。
【0014】つまり、車両の停止時には、走行によって
生じるオフセットへの影響を考慮する必要がないので、
例えば図1に示す様に、加速度センサの検出値Gxに所
定の(LPF3の)フィルタ処理を施してオフセット演
算値GxOffsetを求める。よって、加速度センサの検出
値Gxとこのオフセット演算値GxOffsetとの差分とか
ら、車体加速度演算値GXを求めることができる。
【0015】請求項4の発明では、オフセット演算値
は、車体速度が所定値未満の低速の場合における加速度
センサの検出値に基づいて算出する。つまり、車両が検
出可能な最低速度より低い速度で走行している場合に
は、その様な走行状態を考慮して(即ち走行による加速
度成分をオフセットに含ませない様に)、例えば図1に
示す様に、加速度センサの検出値Gxに所定の(LPF
4の)フィルタ処理を施してオフセット演算値GxOffs
etを求める。よって、加速度センサの検出値Gxとこの
オフセット演算値GxOffsetとの差分とから、車体加速
度演算値GXを求めることができる。
【0016】請求項5の発明では、オフセット演算値
は、加速度センサによる検出値と選択された車輪加速度
との差分に基づいて算出する。つまり、車両が検出可能
な最低速度以上の場合は、走行によるオフセットへに影
響を考慮する必要があるので、例えば図1に示す様に、
加速度センサの検出値Gxと選択車輪加速度dVwSel
との差分に所定の(LPF5の)フィルタ処理を施して
オフセット演算値GxOffsetを求める。よって、加速度
センサの検出値Gxとこのオフセット演算値GxOffset
との差分とから、車体加速度演算値GXを求めることが
できる。
【0017】請求項6の発明では、オフセット演算値
は、車体速度が所定値以上の場合で且つ少なくとも1輪
以上がスリップ状態ではないときに算出される。尚、全
車輪のいずれもスリップ状態ではないときとは、全ての
車輪がグリップ状態であることを意味している。
【0018】つまり、車体速度が所定値(例えば検出可
能な最低速度)より低い場合や、どれかの車輪がスリッ
プ状態にある場合には、図3(e)に示す様に、車輪加
速度が極端に変化する値となるので、この様な値を用い
た(オフセット演算値による)補正を防止するために、
この様な値となる状態におけるオフセット演算を行わな
いものである。
【0019】請求項7の発明では、決定手段によって、
車体加速度演算手段による車体加速度と、オフセット推
定手段によるオフセット値に基づいた制限値との和に基
づいて、車体速度の変化割合を決定する。この様に変化
割合を決定することにより、加速時は、常に実際の車体
速度よりやや上に推定車体速度を演算することができる
ので、例えばこれを基準に加速スリップ制御をした場
合、車両は必ず加速するという利点がある。また、減速
時は、常に実際の車体速度よりやや下に推定車体速度を
演算することができるので、例えばこれを基準に減速ス
リップ制御をした場合、車両は必ず減速するという利点
がある。
【0020】請求項8の発明では、オフセット値に基づ
いた制限値として、発生可能のある最大のオフセット値
を採用することができる。これによって、このオフセッ
ト値により、例えば図4に示す様に、推定車体速度の演
算の際に、過大な車輪速度が採用されることがないの
で、より正確な推定車体速度の算出に寄与することにな
る。
【0021】請求項9の発明では、加速時に、車体速度
の変化割合が車体速度の増加勾配である場合には、その
増加勾配の上限値として、オフセット演算値を加味した
車体加速度に、発生可能のある最大のオフセット値を加
算したものを用いる。これにより、加速時に、スリップ
した車輪の車輪速度が急上昇した場合でも、適正な制限
が加えられるので、結果として正確な推定車体速度の演
算に寄与することになる。
【0022】請求項10の発明では、加速時に、車体速
度の変化割合が車体速度の減少勾配である場合には、そ
の減少勾配の下限値として、オフセット演算値を加味し
た車体加速度に、車両の最大加減速度を減じたものを用
いる。これにより、加速時に、一旦スリップして上昇し
た車輪速度が急低下した場合でも、適正な制限が加えら
れるので、結果として正確な推定車体速度の演算に寄与
することになる。
【0023】請求項11の発明では、減速時に、車体速
度の変化割合が車体速度の増加勾配である場合には、そ
の増加勾配の上限値として、オフセット演算値を加味し
た車体加速度に、車両の最大加減速度を加算したものを
用いる。これにより、減速時に、一旦スリップして下降
した車輪速度が急上昇した場合でも、適正な制限が加え
られるので、結果として正確な推定車体速度の演算に寄
与することになる。
【0024】請求項12の発明では、減速時に、車体速
度の変化割合が車体速度の減少勾配である場合には、そ
の減少勾配の下限値として、オフセット演算値を加味し
た車体加速度に、発生可能のある最大のオフセット値を
加算したものを用いる。これにより、減速時に、スリッ
プした車輪の車輪速度が急低下した場合でも、適正な制
限が加えられるので、結果として正確な推定車体速度の
演算に寄与することになる。
【0025】請求項13の発明では、車体速度推定手段
によって、変化割合に基づいて推定車体速度を推定する
場合には、各車輪速度のうち最も車体速度に近い車輪速
度を選択し、更にその選択した車輪速度に勾配制限を設
けて推定車体速度を求める。前記最も車体速度に近い車
輪速度の選択方法としては、加速時(又は定速走行時)
には、各車輪速度のうちの最小速度を選択し、減速時に
は、各車輪速度のうちの最大速度を選択する方法を採用
できる。
【0026】そして、この様に選択した車輪に対して再
度勾配制限を行うことにより、図5に示す様に、選択に
よるデータの飛びをならして、滑めらかな推定車体速度
を求めることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の推定車体速度演算
方法の実施の形態の例(実施例)を、図面に基づいて説
明する。 (実施例1)本実施例の推定車体速度演算方法は、加速
度センサのオフセット演算値を求め、このオフセット演
算値を用いて加速度センサの出力を補正して車体加速度
演算値を求め、この車体加速度演算値に基づいて車輪速
度の勾配制限を行って勾配制限車輪速度値を算出し、更
にこの勾配制限車輪速度値に基づいて推定車体速度を求
めるものである。
【0028】a)本実施例は大きく分けて、加減速度
オフセット補正演算と、推定車体速度演算とに区分さ
れるので、まず両者の演算手順の概略を、図1,図2の
ブロック図を用いて説明する。 加減速度オフセット補正演算 図1に、加減速度オフセット補正演算の手順を示す様
に、加速度センサ1による車体加速度の検出値Gx(加
速度信号Gx)は、第1フィルタ部(LPF1)3にて
ノイズを除去される。尚、以下、LPFは、ローパスフ
ィルタを意味する。
【0029】一方、各車輪速度センサ5,6,7,8に
よって得られた車輪速度VwFL,VwFR,VwRL,Vw
RRは、それぞれ微分演算部11にて微分されて、車輪加
速度dVwFL,dVwFR,dVwRL,dVwRRが算出さ
れる。これらの車輪加速度dVwFL〜RRは、第1選択部
13にて使用される選択輪が決められるが、具体的に
は、後述する推定車体演算の際に選択される車輪の車輪
加速度(選択車輪加速度)dVwselが選ばれる。そし
て、選択車輪加速度dVwselは、第2フィルタ部(L
PF2)15にて、加速度センサ1の出力と車輪速度セ
ンサ5〜8の出力との位相を合わせが行われる。
【0030】前記第1フィルタ部3からの出力は、第1
演算部17、第2演算部19,第3フィルタ部(LPF
3)21,第4フィルタ部(LPF4)23に入力され
る。そのうち、第3,第4フィルタ部21,23でそれ
ぞれフィルタ処理がなされた信号は、第1判別部27に
入力される。この第1判定部27では、パーキング信号
Paによりパーキング時か否かの判定がなされ、ここ
で、パーキング時であれば、前記第3フィルタ部21の
出力が選択されて第2判定部29に出力され、一方パー
キング時でなければ、第4フィルタ部23の出力が選択
されて第2判定部29に出力される。
【0031】前記第2演算部19での演算結果、即ち加
速度信号Gxからノイズを除去した値GxFiltから、選
択車輪加速度dVwSelをフィルタ処理した値dVwSel
を減じた値は、第5フィルタ部(LPF5)25に出力
されて分解能補償及び応答性を考慮したフィルタ処理が
なされ、その出力は第2判定部29に入力される。
【0032】第2判定部29では、前回算出された推定
車体速度VTOに基づいて、推定車体速度VTOが所定
の判定速度Vst(例えば車輪速度の検出が可能な検出最
低速度)以上か否かを判定し、その判定結果に応じて、
第1〜3フィルタ部21,23,25の出力がオフセッ
ト演算値GxOffsetとして選択される。
【0033】例えば、推定車体速度VTOが検出最低速
度Vst以上の場合には、第5フィルタ部25の出力がオ
フセット演算値GxOffsetとして選択され、推定車体速
度VTOが検出最低速度Vst未満でパーキング時でない
場合は、第4フィルタ部23の出力がオフセット演算値
GxOffsetとして選択され、パーキング時(よって推定
車体速度VTOは検出最低速度Vst未満)の場合は、第
3フィルタ部21の出力がオフセット演算値GxOffset
として選択される。
【0034】尚、この選択されたオフセット演算値Gx
Offsetは、前記第3〜第5フィルタ部21,23,25
に入力されて使用される。これにより、オフセット演算
値GxOffsetを加味したより適正な出力が得られるとい
う利点がある。そして、上述した演算によって得られた
オフセット演算値GxOffsetは、前記第1演算部17に
入力され、ノイズを除去した加速度信号GxFiltとの差
分がとられて、即ちオフセット演算値GxOffsetによる
補正がなされて、車体加速度(車体加速度演算値)GX
が得られる。
【0035】推定車体速度演算 図2に、推定車体速度演算の手順を示す様に、前記図1
の加減速度オフセット補正演算によって得られた(即ち
オフセット演算値GxOffsetによる補正がなされた)車
体加速度演算値GXと、各車輪速度センサ5〜8によっ
て検出された各車輪速度VwFL〜RRとは、それぞれ各車
輪毎の第1勾配制限部31〜34に入力される。
【0036】この第1勾配制限部31〜34では、後に
詳述する様に、勾配制限係数αupとαdownを用いて車輪
速度VwFL〜RRの勾配制限を行なう。そして、勾配制限
された各車輪速度VwFL〜RRは、第2選択部36に入力
される。この第2選択部36では、加速時には最小速度
の車輪(Min輪)の車輪速度が選択され、減速時には
最大速度の車輪(Max輪)の車輪速度が選択される。
【0037】その選択された車輪速度(選択車輪速度)
Vwselは、第2勾配制限部37に入力される。この第
2勾配制限部37では、選択車輪速度Vwselの勾配制
限を行って推定車体速度VTOを決定する。尚、この第
2勾配制限部37での勾配制限は、推定車体速度VTO
の急な飛びを防止して滑らかな値にするためである。
【0038】b)次に、本実施例における演算方法を、
オフセットや各種の信号の状態を示す図3〜図5のグラ
フを例に挙げて、順次詳細に説明する。図3に、時刻t
pにてパーキングが解除されて発進したときの車輪速度
Vwほか演算過程の各種演算値を示す。具体的には、図
3(a)では、ある一輪の車輪速度Vw及び勾配制限に
よって得られた車輪速度(勾配制限車輪速度値)Vgd
を示す。図3(b)では、加速スリップフラグaccSlipF
lagの状態を示す。図3(c)では、オフセット演算値
GxOffsetによる補正許可の期間を示す。図3(d)で
は、ノイズを除去した加速度信号GxFiltを示す。図3
(e)では、選択車輪加速度dVwSelFiltを示す。図
3(f)では、オフセット演算値GxOffsetを示す。図
3(g)では、補正により得られた車体加速度演算値G
Xを示す。尚、図3において、点線で表すpは正のオフ
セットがある例を示し、実線で表すqはオフセットがな
い例を示し、一点鎖線で表すrは負のオフセットがある
例を示す。
【0039】また、図5(a)では、選択車輪速度dV
wselを示し、図5(b)では、推定車体速度VTOを
示している。 加減速度オフセット補正演算 i)まず、時刻tpまでに加速度センサ1の信号にオフセ
ットがついていると、図3(d)に示す様に、ノイズ除
去された加速度信号GxFiltは、同図のp,q,rに示
す様に、オフセット量により異なる値となる。
【0040】従って、パーキング時は、加速度センサ1
の検出値Gxをノイズ除去のため第1フィルタ部3(時
定数τ1)に通してフィルタ処理した加速度信号GxFil
tを、更に第3フィルタ部21(時定数τ3)に通してフ
ィルタ処理し、その値をオフセット演算値GxOffsetと
する。
【0041】具体的には、まず、第1フィルタ部3にて
下記式(2)に示すフィルタ演算を行って、加速度セン
サ1の検出値Gxからノイズを除去する。 GxFilt(i)=K1×Gxs(i)+(1−K1)×GxFilt(i-1) …(2) 但し、0<K1<1 この時の第1フィルタ部3のフイルタの遮断周波数は、
車両挙動の応答特性を考慮して、概ね3〜10Hz程度
に設定する。従って時定数τ1=53〜16msであ
る。
【0042】次に、第3フィルタ部21にて、下記式
(3)に示すフィルタ演算を行なう。 GxOffset(i)=K3×GxFilt(i)+(1−K3)×GxOffset(i-1)…(3) 但し、0<K3<1 ここで、K3と時定数τ3との間には、K3=1−exp
(−ts/τ3)の関係が成り立つ。尚、tsは演算周
期を表す。
【0043】この演算によって、オフセット演算値Gx
Offsetとして、図3(f)に示す様に、時刻tpまでの
期間(パーキング中)は、加速度センサ1の組み付け誤
差や道路勾配やセンサ自体の温度特性などから生じるト
ータルの検出誤差が算出される。このパーキングの期間
にて、充分に誤差相当分をオフセット演算値GxOffset
に反映させることができる。
【0044】尚、時定数τ3は、数百ms(例えば39
0ms)に設定することで、車両の振動や車室内の人間
の移動などで生じる加速度信号Gxに対する影響を防止
することができる。 ii)次に、パーキングが解除されて以後、前回の推定車
遠演算値VTO(i-1)が検出最低速度Vst(例えば3.
5km/h)以上になるまでの期間は、フィルタ処理の
時定数を前記時定数τ3より長い時定数τ4とする。即
ち、時定数τ4に対応する定数K4を用い、第4フィルタ
部23にて、下記式(4)に示すフィルタ演算を行う。
【0045】 Gxoffset(i)=K4×GxFilt(i)+(1−K4)×Gxoffset(i-1)…(4) 但し、0<K4<1、K4<K3 これは、検出最低速度Vstまでの期間での実際の加速に
よって出る加速度信号を、時定数τ3の第3フィルタ部
21に通してしまうと、検出誤差であるオフセット以外
の真の加速度成分まで、オフセット演算値Gxoffsetに
含めてしまうからである。
【0046】ここで、第4フィルタ部22の時定数τ4
は、例えば2secに設定するが、検出最低速度Vstが
高ければ時刻tpから時刻st(推定車体速度VTOが
検出最低速度Vstとなる時刻)までの時間が長くなり、
時定数τ4が2secではまだ短いこともあるため、時
定数τ4は検出最低速度Vstに応じて設定することが望
ましい。
【0047】iii)次に、車輪速度Vwが充分検出される
速度になると、即ち、推定車体速度VTOが検出最低速
度Vst以上となると、グリップした走行状態や定常速度
走行では車輪加速度dVwが実際の車体加速度をよく表
している。尚、車輪加速度dVwは、前回サンプリング
した車輪速度Vwと今回の車輪速度Vwとの差をとるな
どして求めることができる。
【0048】従って、4輪の各車輪において車輪加速度
dVwを求めた後、その中から、一演算周期前に選択し
た車輪の車輪加速度dVwを選択して、それを選択車輪
加速度dVwselとする。この選択車輪加速度dVwsel
に関しては、選択時の切換えによるデータの飛びがあ
り、また、物理的にはタイヤの速度が変化してタイヤが
たわみ、力を発生したものが車体加速度であるから、車
輪加速度dVwと加速度信号Gxの間には位相差があ
る。そのため、両値の位相合わせを行うため、選択車輪
加速度dVwselを、第2フィルタ部15に通して、下
記式(5)に示す様に、フィルタ演算を行う。
【0049】 dVwselFilt(i)=K2×dVwsel(i)+(1−K2)×dVwselFilt(i-1) …(5) 但し、0<K2<1 このフィルタ処理した選択車輪加速度dVwselFiltの
状態を、図3(e)に示すが、フィルタ処理した選択車
輪加速度dVwselFiltは、車輪速度Vwが0から検出
最低速度Vstに変化するときや、スリップの発生し始め
や、グリップ回復時には、その絶対値が高い値となり、
オフセットの補正に適しない値(車体加速度に対応した
値)となる。このような状況下では、オフセット演算を
禁止する。 そして、通常走行時(グリップ走行時)
は、ノイズ除去された加速度信号GxFiltと選択車輪加
速度dVwselFiltとの差分がオフセットに相当するの
で、その差分を、第5フィルタ部25にて、下記式
(6)を用いてフィルタ演算する。
【0050】 Gxoffset(i)=K5×(GxFilt(i)−dVwselFilt(i)) +(1−K5)×Gxoffset(i-1) …(6) 但し、0<K5<1 この第5フィルタ部25の時定数τ5は、制御等で車輪
速度Vwが変化する時の周期程度(例えば2sec)に
設定すると、数回の制御の期間内に正確なオフセットが
演算できるとともに、道路勾配が変化した場合にも即対
応した勾配分のオフセット演算ができる。
【0051】尚、前述の様に、車輪加速度dVwが車体
加速度に対応しない状況があるため、オフセット演算
は、例えば加速度信号Gxが±G1以内であり、且つ選
択車輪加速度dVwSelが±G2以内であり、且つ加減
速スリップが検出されていない場合には、その補正が許
可される。尚、G1は例えば0.5Gであり、G2は例
えば0.3Gである。この補正許可の状態を示す補正フ
ラグを、図3(c)に示す。
【0052】以上で述べたオフセット演算により、その
オフセット演算値GxOffsetは、図3(f)に示す様に
なる。そして、ノイズ除去された加速度信号GxFiltか
らオフセット演算値GxOffsetを引くことによって、車
体加速度演算値GXは、図3(g)に示す値となる。つ
まり、図3(g)に示す様に、オフセット演算値GxOf
fsetによって補正が行われた値である車体加速度演算値
GXとして、センサの誤差や道路勾配や組みつけ誤差等
の影響のない正確な値が得られる。
【0053】推定車体速度演算 i)車輪速度の勾配制限 車輪速度Vwが検出される検出最低速度Vstを越えた時
点から、上述の車体加速度演算値GXを用いて勾配を制
限する。
【0054】まず、制限する勾配を車体加速度演算値G
Xに応じて決定する。具体的には、車体加速度演算値G
Xが正または0であるときは、勾配上限制限係数αupを
GX+SG1、勾配下限制限係数αdownをGX−RG1
に設定する。一方、車体加速度演算値GXが負のとき
は、勾配上限制限係数αupをGX+RG1、勾配下限制
限係数αdownをGX−SG1に設定する。
【0055】前記SG1は、車体加速度演算値GXの誤
差を考慮して、加速時には真の車体加速度よりはαupが
大きくなるような値、減速時には真の車体加速度よりは
αdown小さくなるような値に設定する(例えば0.2
G)。前記RG1は、車輪速度Vwがスリップ状態から
回復するときにすばやく変化させるための値を設定する
(例えば−1.1G)。
【0056】そして、各車輪において、今回の車輪速度
Vwと、前回の勾配制限車輪速度値Vgd(i-1)を用い
て、車輪速度Vwと、勾配制限車輪速度値の上限値であ
る勾配上限値Vgd(i-1)+αup×tsと、勾配制限車
輪速度値の下限値である勾配下限値Vgd(i-1)+αdow
n×tsの3つの中で中間値を求める。これにより、車
輪速度Vwが勾配上限制限係数αup、勾配下限制限係数
αdownにより制限された値が得られる。尚、tsは演算
周期を表す。
【0057】この勾配制限の結果を図3(a)に示す
が、実際の車輪速度Vwが加速スリップによって一時的
に増加した場合でも、勾配制限によって、p,q,rの
車輪速度Vwは緩やかに増加するだけである。つまり、
図4に更に詳しく示す様に、実際の車輪速度Vwが制限
された勾配の中に入っている場合(時刻t1〜t2、t8
〜t10)は、実際の車輪速度Vwが中間値となるのでそ
れが選択車輪速度Vwselとなる。また、実際の車輪速
度Vwが例えば勾配上限値(Vgd(i-1)+αup×t
s)以上の場合(時刻t3〜t7)は、その勾配上限値が
中間値となるのでそれが選択車輪速度VwSelとなる。
尚、図4では、その様にして勾配制限された各演算毎の
選択車輪速度VwSelをSで示してある。
【0058】ii)車輪スリップ状態の検出 勾配制限車輪速度値Vgdが得られたなら、車輪速度V
wと比較することにより、その輪のスリップ状態を判定
することができる。例えば図3(a)に示す様に、車輪
速度Vwが検出最低速度Vstより大で、且つVgd+D
LTVより大であることが所定時間Ts継続したら、図
3(b)に示す様に、その車輪が加速スリップ状態であ
ると判定して、加速スリップフラグaccSlipFlagをオン
にする。そして、前記以外は加速スリップフラグaccSli
pFlagをオフにする。
【0059】また、図示しないが、車輪速度Vwが検出
最低速度Vstより大で、且つVgd−DLTVより小で
あることが所定時間Ts継続したら、その車輪が減速ス
リップ状態であると判定して、減速スリップフラグdecS
lipFlagをオンにする。前記以外は減速スリップフラグd
ecSlipFlagをオフにする。
【0060】ここで、前記DLTVは所定速度であり、
例えば1km/h相当程度に設定する。Tsは駆動が加
わったときの車輪速度Vwの振動や悪路での車輪速度V
wの変動を考慮して設定する。(例えばTs=100m
s〜200ms程度)従って、上述した演算により、例
えば加速スリップの時には、車輪速度Vwから加速スリ
ップ状態を検出することができる。
【0061】iii)選択輪における再度の勾配制限 各車輪の車輪速度Vwの勾配制限車輪速度値Vgdの中
から、GX≧0のときには最小値を選択し、GX<0の
ときには最大値を選択し、それを選択輪の車輪速度(選
択車輪速度)VwSelとする。尚、この選択情報、つま
りどの車輪を選択しているかは、前述したオフセット演
算において、車輪加速度dVwを選択する際に用いられ
る。
【0062】前記選択車輪速度VwSelの変化を、図5
に示すが、加速スリップが発生している場合に選択輪が
切り替えれるときに、段差が発生している。つまり、選
択車輪速度VwSelは、選択輪の切換えの都度、段差で
示される様にその値が飛ぶことになるので、車輪速度V
wが検出最低速度Vstを越えた時点から、車体加速度演
算値GXを用いてその勾配を制限する。即ち、上述した
車輪速度Vwの勾配制限と同様に、選択車輪速度VwSe
lに対して制限する勾配を車体加速度演算値GXに応じ
て決定する。
【0063】具体的には、車体加速度演算値GXが正ま
たは0であるときは、勾配上限制限係数αupをGX+S
G2、勾配下限制限係数αdownをGX−RG2に設定す
る。一方、車体加速度演算値GXが負のときは、勾配上
限制限係数αupをGX+RG2、勾配下限制限係数αdo
wnをGX−SG2に設定する。
【0064】前記SG2は、車体加速度演算値GXの誤
差を考慮して、加速時には真の車体加速度よりはαupが
大きくなるような値、減速時には真の車体加速度よりは
αdownが小さくなるような値に設定する。例えば車輪速
度Vwの勾配制限で用いた値SG1と同値の0.2G。
【0065】前記RG2は、車輪速度Vwがスリップ状
態から回復するときにすばやく変化させるための値を設
定する。例えば車輪速度Vwの勾配制限で用いた値RG
1と同値の−1.1G。そして今回の選択車輪速度Vw
Selと、前回の勾配制限車輪速度値つまりは推定車体速
度VTO(i-1)を用いて、選択車輪速度VwSelと、VT
O(i-1)+αup×tsと、VTO(i-1)+αdown×tsと
の中で、中間値を求める。これにより、選択車輪速度V
wSelは、勾配上限制限係数αup、勾配下限制限係数αd
ownに制限され、図5(b)に示す様に、データの飛び
を防止することができる。
【0066】この様にして、選択車輪速度VwSelを滑
らかに補正した値が、推定車体速度VTOとして採用さ
れるのである。 c)次に、上述した演算方法を実施する制御装置におい
て行われる主要な演算処理を、図6及び図7に示すフロ
ーチャートに基づいて説明する。
【0067】加減速度オフセット補正演算処理 図6に示す様に、ステップ100では、加速度センサ1
の検出値Gxからノイズを除去するために、第1フィル
タ部3におけるフィルタ処理を行う。続くステップ11
0では、単位時間ΔT当りの車輪速度Vwの差分を求め
て、車輪加速度dVwを算出する。
【0068】続くステップ120では、4つの車輪の車
輪加速度dVwから1つを選択して、選択車輪加速度d
VwSelを定める。この選択車輪加速度dVwSelに選択
される車輪は、推定車体速度VTOの演算に使用される
選択輪である。即ち、勾配制限によって得られた各勾配
制限車輪速度値Vgdのうち、加速時はその最小速度の
車輪(Min輪)、減速時はその最大速度の車輪(Ma
x輪)である。
【0069】続くステップ130では、加速度センサ1
の検出値Gxとの位相合わせのために、第2フィルタ部
15にて、選択車輪加速度dVwSelのフィルタ処理を
行う。 続くステップ140では、前回検出した推定車
輪速度VTOが、車輪速度検出最低値Vst未満であるか
否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ15
0に進み、一方否定判断されるとステップ190に進
む。
【0070】ステップ150では、車両が停止している
か否かを、パーキング信号Paが得られたか否かによっ
て判定する。ここで肯定判断されるとステップ160に
進み、一方否定判断されるとステップ170に進む。ス
テップ160では、車両の停止であるので、フィルタ処
理された加速度信号GxFiltを、第3フィルタ部21で
フィルタ処理してオフセット演算値GxOffsetを算出
し、ステップ180に進む。
【0071】一方、ステップ170では、車両の低速走
行時であるので、ノイズ除去された加速度信号GxFilt
を、第4フィルタ部24でフィルタ処理してオフセット
演算値GxOffsetを算出し、同様にステップ180に進
む。ステップ180では、ノイズ除去された加速度信号
GxFiltからオフセット演算値GxOffsetを引いて、車
体加速度演算値GXを算出し、一旦本処理を終了する。
【0072】また、前記ステップ140にて否定判断さ
れて進むステップ190では、フィルタ処理された選択
車輪加速度dVwSelFiltが、−0.3Gと0.3Gと
の範囲の小さな値であるか否かを判定する。尚、この判
定を行うのは、図3(e)に示す様に、車輪速度Vwの
検出直後(時刻st近傍)や加速スリップの発生してい
る場合には、選択車輪加速度dVwSelFiltが急変する
からである。
【0073】ここで肯定判断されると前記ステップ18
0に進み、ノイズ除去された加速度信号GxFiltから前
回算出されたオフセット演算値GxOffsetを引いて、車
体加速度演算値GXを算出し、一旦本処理を終了する。
一方否定判断されるとステップ200に進む。
【0074】ステップ200では、全ての車輪のうち1
輪でもスリップ状態ではないか(即ち全ての車輪がグリ
ップ状態か)否かを判定する。ここで肯定判断されると
ステップ210に進み、一方否定判断されると前記ステ
ップ180に進み、同様な処理を行って一旦本処理を終
了する。
【0075】ステップ210では、いずれの車輪もスリ
ップ状態ではないので、ノイズ除去された加速度信号G
xFiltと選択車輪加速度dVwSelFiltとの差分を、第
5フィルタ部25にてフィルタ処理し、オフセット演算
値GxOffsetを算出する。そして、続くステップ180
では、ノイズ除去された加速度信号GxFiltから今回算
出されたオフセット演算値GxOffsetを引いて、車体加
速度演算値GXを算出し、一旦本処理を終了する。
【0076】この様に、本実施例における加減速度オフ
セット補正演算では、車両の停止及び低速走行状態の場
合には、ノイズ除去された加速度信号GxFiltに対し
て、それぞれ状態に合わせたフィルタ処理を行ってオフ
セット演算値GxOffsetを求めているので、正確なオフ
セット演算値GxOffsetを求めることができる。
【0077】また、車両が検出最低速度Vst以上で走行
している場合には、所定の条件に応じて、ノイズ除去さ
れた加速度信号GxFiltと選択車輪加速度dVwSelFil
tとの差分に対して、所定のフィルタ処理を行ってオフ
セット演算値GxOffsetを求めているので、同様に、正
確なオフセット演算値GxOffsetを求めることができ
る。従って、この様にして求められた正確なオフセット
演算値GxOffsetを用いて、ノイズ除去された加速度信
号GxFiltの補正を行うので、オフセットにより適正に
補正された正確な車体加速度演算値GXを求めることが
できる。
【0078】そのため、この車体加速度演算値GXを用
いることによって、後述する推定車体速度演算により、
加速度センサ1のオフセットに影響されない正確な推定
車体速度VTOが得られる。 推定車体速度演算処理 図7に示す様に、まず、ステップ300にて、上述した
加減速度オフセット補正演算を行って、車体加減速度演
算値GXを算出する。
【0079】続くステップ310では、加速時(又は定
速走行時)か減速時かを、車体加減速度演算値GXが0
以上か負0かによって判定する。そして、車体加減速度
演算値GX≧0の場合は、ステップ320にて、加速時
(又は定速走行時)に応じた勾配制限係数αup、αdown
を決定し、ステップ340に進む。即ち、αup=GX+
0.2、αdown=GX−1.1の様に、勾配上限制限係
数αupの絶対値が小さくなる様に設定する。
【0080】一方、車体加減速度演算値GX<0の場合
は、ステップ330にて、減速時に応じた勾配制限係数
αup、αdownを決定し、ステップ340に進む。αup=
GX+1.1、αdown=GX−0.2の様に、勾配下限
制限係数αupの絶対値が小さくなる様に設定する。
【0081】ステップ340,350の処理は、各車輪
毎に実行するが、そのうち、ステップ340では、車輪
速度Vwが検出最低速度Vstを上回るか否かを判定す
る。ここで肯定判断されるとステップ350に進み、一
方否定判断されるとステップ360に進む。
【0082】ステップ350では、図3(a)及び図4
に示す様にして、車輪速度Vwに対して勾配制限を行
う。即ち、前回の勾配制限車輪速度値Vgd(i-1)に勾
配下限制限係数αdownを加味した値と、車輪速度Vw
と、前回の勾配制限車輪速度値Vgd(i-1)に勾配上限
制限係数αupを加味した値との中間値を、今回の勾配制
限車輪速度値Vgd(i)として設定する。
【0083】続くステップ360では、加速時(又は定
速走行時)か減速時かを、車体加減速度演算値GXが0
以上か負0かによって判定する。そして、車体加減速度
演算値GX≧0の場合は、ステップ370にて、加速時
(又は定速走行時)に応じて、4輪の4つの中間値のう
ちの最小値を選択車輪速度VwSelとして決定し、ステ
ップ390に進む。
【0084】一方、車体加減速度演算値GX<0の場合
は、ステップ380にて、減速時に応じて、4輪の4つ
の中間値のうちの最大値を選択車輪速度VwSelとして
決定し、ステップ390に進む。ステップ390では、
図5(a),(b)に示す様に、選択車輪速度VwSel
に対して勾配制限を行う。即ち、前回の推定車体速度V
TO(i-1)に勾配下限制限係数αdownを加味した値と、
選択車輪速度VwSelと、前回の推定車体速度VTO(i-
1)に勾配上限制限係数αupを加味した値との中間値を、
今回の推定車体速度VTO(i)として設定し、一旦本処
理を終了する。
【0085】この様に、本実施例の推定車体速度演算で
は、減速度オフセット補正演算によって得られた実際の
値に近い正確なオフセット演算値GXを用いて勾配制限
を行うので、従来の様に、オフセットを考慮しないもの
と比較して、より正確な推定車体速度VTOが得られる
という顕著な効果を奏する。
【0086】よって、この正確な推定車体速度VTOを
用いて、例えばトラクション制御等の各種の制御を精密
に行うことができる。 (実施例2)次に、実施例2について説明するが、前記
実施例1とはそのハード構成等が同一であるので、異な
る点のみを説明する。尚、同じ記号の場合は、前記実施
例1と同じ意味である。
【0087】駆動力を低減して車輪速度がグリップを回
復する方向に向かうとき、車輪速度速の勾配制限車輪速
度値が追いついて加速スリップフラグがオフとなった以
後も車輪加速度が負の値の場合があり、このような負の
車輪加速度が選択されて(該車輪加速度に基づいて)加
速度信号の補正が行われると、加速度センサのオフセッ
トを反映した適正な補正とはならないことがある。
【0088】この様な問題を解決する方法としては、下
記,の方法がある。 加速スリップフラグがオンのときだけでなく、オフに
なって所定時間は、オフセットの補正を禁止する方法。
この方法によれば、グリップを回復して負の車輪加速度
でなくなる期間は補正が禁止されるので、オフセット演
算値に誤った値が重畳することがなく、よって、正確な
車体加速度が演算できる。
【0089】加速スリップと判定する検出条件とし
て、車輪速度が検出最低速度Vst以上であり、且つ車輪
速度がその勾配制限車輪速度値+DLTVより大である
ことが所定時間Ts継続したときを採用し、この検出条
件が満たされた場合には、加速スリップと判定して加速
スリップフラグをオンにする。一方、加速スリップでは
ないと判定する解除条件として、車輪速度が検出最低速
度Vst以下、又は加速スリップフラグがオンであり且つ
車輪速度がその勾配制限車輪速度値以下であり、且つ車
輪加速度が正であるときを採用し、この条件が満たされ
た場合に、加速スリップフラグをオフにする。
【0090】逆に、減速スリップと判定する検出条件と
して、車輪速度が検出最低速度Vst以上であり、且つ車
輪速度がその勾配制限車輪速度値一DLTVより小であ
ることが所定時間Ts継続したときを採用し、この検出
条件が満たされた場合は、減速スリップと判定して減速
スリッブフラグをオンにする。
【0091】一方、減速スリップではないと判定する解
除条件として、車輪速度が検出最低速度Vst以下、又は
減速スリップフラグがオンであり且つ車輪速度がその勾
配制限車輪速度値以上であり且つ車輪加速度が負である
ときを採用し、その条件が満たされた場合に、減速スリ
ッブフラグをオフにする。
【0092】この方法によれば、例えば加速スリップに
おいて説明すると、グリップが回復に向かうときに出て
いる負の車輪加速度のときには、加速スリップフラグが
依然としてオンとなり、車輪加速度が正または0になっ
て初めて加速スリップフラグがオフとなり補正許可され
るため、負または0の車輪加速度による過剰に誤った補
正をする期間が少なくなり、正確な車体加速度が演算で
きる。
【0093】尚、本発明は前記実施例になんら限定され
るものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲におい
て種々の態様で実施しうることはいうまでもない。 (1)例えば、前記実施例では、加速度信号の補正で用
いたフイルタの時定数をパーキング信号で切り替えた
が、マニュアル変速車に対応するため、推定車体速度が
ゼロでサイドブレーキが引かれているときに切換えを行
ってもよい。
【0094】(2)また、前記実施例では、4輪の勾配
制限車輪速度値の中から選択して推定車体速を求める際
に、車体加速度演算値GXの正負で決定したが、加速ま
たは減速のスリップと判定されたものを除外した中から
車体加速度演算値GXの正負で最小値もしくは最大値を
選択することで、より実車体速度に近い推定車体速度を
得ることができる。尚、この場合、各種ブレーキ制御を
実行している車輪を除外することも効果的である。
【0095】但し、これらの除外処理によって選択する
候補が無くなった場合には、全ての車輪速度の勾配制限
車輪速度値を候補とする。 (3)更に、本実施例では、各車輪の車輪速度をもとに
勾配制限やスリップ判定を行ったが、旋回時には左右の
車輪速度差が付くため、選択輪が切り替わったときにデ
ータが飛ぶ量も数km/hに達することがある。よっ
て、これを防ぐために、例えば車両のヨーレートをステ
アリング角や横加速度から検出して、又はヨーレートを
直接検出して、旋回時につく車輪速度差をなくした速度
を車輪速度として用いれば、より精度が高く、又旋回中
の駆動力制御やブレーキ制御に有効な推定車体速度が得
られる。
【0096】また、前輪か後輪のいずれかで左右ともに
スリップが判定されておらず、左右の車輪速度の差が所
定速度以下であれば、その左右の車輪速度の差をとって
フィルタに通した値を推定ヨーレートestYとし、下記
式(7)よりdeltaVを演算し、 deltaV=estY×W×K/2 …(7) (W:車両のトレッド、K:単位変換定数) 下記式(8)〜(11)より、車輪速度を演算し、この
補正演算により得られた各車輪速度を用いてもよい。但
し、推定ヨーレートestYは左旋回時を正として表して
いる。
【0097】 前左輪の車輪速度=車輪速度+deltaV …(8) 前右輪の車輪速度=車輪速度−deltaV …(9) 後左輪の車輪速度=車輪速度+deltaV …(10) 後右輪の車輪速度=車輪速度−deltaV …(11) (4)また、本発明を後退時の制御に適用するには、シ
フトレバーをバックギヤに入れたことを検出したら、推
定車体速度が車輪速度が検出される検出最低速度Vst以
上でのオフセット演算式を、下記式(12)とし、 GxOffset(i)=K5×(GxxFilt(i)+dVwSelFilt(i)) +(1−K5)×GxOffset(i-1) …(12) オフセット演算値GxOffsetから加速度信号GxFiltを
引いて、車体加速度演算値GXとするとよい(つまり、
前進時と符号が逆)。
【0098】また、旋回時の左右の車輪速度の差を補正
するのであれば、同じステアリング角の向き、または横
加速度速度の向きであっても、前進時と後退時に現れる
ヨーレートが逆であるため、それを考慮して各車輪に加
減算する値(例えば前述のdeltaV)の符号を逆転させ
てやるとよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の加減速度オフセット演算の手順を示
すブロック図である。
【図2】 実施例の推定車体速度演算の手順を示すブロ
ック図である。
【図3】 車輪速度等の各種の信号などの状態を示す説
明図である。
【図4】 勾配制限係数による車輪速度の制限の方法を
示す説明図である。
【図5】 選択車輪速度及び推定車体速度の状態を示す
説明図である。
【図6】 加減速度オフセット演算処理を示すフローチ
ャートである。
【図7】 推定車体速度演算処理を示すフローチャート
である。
【符号の説明】
1…加速度センサ 3…第1フィルタ部 5,6,7,8…車輪速度センサ 15…第2フィルタ部 21…第3フィルタ部 23…第4フィルタ部 25…第5フィルタ部

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体加速度を算出する車体加速度演算手
    段と、 該車体加速度演算手段により算出された前記車体加速度
    の実車体加速度に対するオフセット値を推定するオフセ
    ット推定手段と、 前記車体加速度演算手段による前記車体加速度と前記オ
    フセット推定手段による前記オフセット値に基づいた制
    限値とを用いて、前記車体速度の変化割合を決定する決
    定手段と、 該決定手段による前記変化割合に基づいて、推定車体速
    度を推定する車体速度推定手段と、 を備えたことを特徴とする推定車体速度演算方法。
  2. 【請求項2】 前記車体加速度演算手段は、加速度セン
    サによる検出値に基づくとともに車両の走行状態に応じ
    てオフセット演算値を算出した後に、該オフセット演算
    値を前記加速度センサの検出値に加味して前記車体加速
    度を算出することを特徴とする前記請求項1に記載の推
    定車体速度演算方法。
  3. 【請求項3】 前記オフセット演算値は、車両の停止時
    における前記加速度センサの検出値に基づいて算出する
    ことを特徴とする前記請求項2に記載の推定車体速度演
    算方法。
  4. 【請求項4】 前記オフセット演算値は、車体速度が所
    定値未満の低速の場合における前記加速度センサの検出
    値に基づいて算出することを特徴とする前記請求項2に
    記載の推定車体速度演算方法。
  5. 【請求項5】 前記オフセット演算値は、加速度センサ
    による検出値と選択された車輪加速度との差分に基づい
    て算出することを特徴とする前記請求項2に記載の推定
    車体速度演算方法。
  6. 【請求項6】 前記オフセット演算値は、車体速度が所
    定値以上の場合で且つ少なくとも1輪以上がスリップ状
    態ではないときに算出されることを特徴とする前記請求
    項5に記載の推定車体速度演算方法。
  7. 【請求項7】 前記決定手段は、前記車体加速度演算手
    段による前記車体加速度と前記オフセット推定手段によ
    る前記オフセット値に基づいた制限値との和に基づい
    て、前記車体速度の変化割合を決定することを特徴とす
    る前記請求項1〜6のいずれかに記載の推定車体速度演
    算方法。
  8. 【請求項8】 前記オフセット値に基づいた制限値は、
    発生可能のある最大のオフセット値であることを特徴と
    する前記請求項7に記載の推定車体速度演算方法。
  9. 【請求項9】 加速時に、前記車体速度の変化割合が車
    体速度の増加勾配である場合には、該増加勾配の上限値
    として、前記オフセット演算値を加味した前記車体加速
    度に前記発生可能のある最大のオフセット値を加算した
    ものを用いることを特徴とする前記請求項8に記載の推
    定車体速度演算方法。
  10. 【請求項10】 加速時に、前記車体速度の変化割合が
    車体速度の減少勾配である場合には、該減少勾配の下限
    値として、前記オフセット演算値を加味した前記車体加
    速度に車両の最大加減速度を減じたものを用いることを
    特徴とする前記請求項8又は9に記載の推定車体速度演
    算方法。
  11. 【請求項11】 減速時に、前記車体速度の変化割合が
    車体速度の増加勾配である場合には、該増加勾配の上限
    値として、前記オフセット演算値を加味した前記車体加
    速度に車両の最大加減速度を加算したものを用いること
    を特徴とする前記請求項8に記載の推定車体速度演算方
    法。
  12. 【請求項12】 減速時に、前記車体速度の変化割合が
    車体速度の減少勾配である場合には、該減少勾配の下限
    値として、前記オフセット演算値を加味した前記車体加
    速度に前記発生可能のある最大のオフセット値を加算し
    たものを用いることを特徴とする前記請求項8又は9に
    記載の推定車体速度演算方法。
  13. 【請求項13】 前記車体速度推定手段によって、前記
    変化割合に基づいて前記推定車体速度を推定する場合に
    は、各車輪速度のうち最も車体速度に近い車輪速度を選
    択し、更にその選択した車輪速度に勾配制限を設けて推
    定車体速度を求めることを特徴とする前記請求項1〜1
    2のいずれかに記載の推定車体速度演算方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006231960A (ja) * 2005-02-22 2006-09-07 Nissan Motor Co Ltd 車両の制動制御方法および装置
JP2008006994A (ja) * 2006-06-29 2008-01-17 Toyota Motor Corp 車両用情報提供装置
JP2010117356A (ja) * 2008-11-14 2010-05-27 Robert Bosch Gmbh センサ信号を補償するためのシステム及び方法
KR101055970B1 (ko) 2005-12-12 2011-08-11 주식회사 만도 브레이크 제어 시스템의 차량 기준 속도 설정방법

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