JPH1151668A - 角速度検出装置 - Google Patents

角速度検出装置

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JPH1151668A
JPH1151668A JP9213695A JP21369597A JPH1151668A JP H1151668 A JPH1151668 A JP H1151668A JP 9213695 A JP9213695 A JP 9213695A JP 21369597 A JP21369597 A JP 21369597A JP H1151668 A JPH1151668 A JP H1151668A
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JP
Japan
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yaw rate
vehicle
estimated
rate sensor
zero point
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JP9213695A
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Takeshi Sugitani
猛 杉谷
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Toyota Motor Corp
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 路面の状態などに依らずに、ヨーレートセン
サの正確な零点補正を行う角速度検出装置を提供する。 【解決手段】 車両のヨーレートを検出するヨーレート
センサと、車両モデルに基づいて第1の車両推定ヨーレ
ートを算出する第1のヨーレート推定手段と、左右の車
輪速度に基づいて第2の車両推定ヨーレートを算出する
第2のヨーレート推定手段と、該ヨーレートセンサで検
出されたヨーレートセンサ値と、該第1及び第2の車両
推定ヨーレートとに基づいて、該ヨーレートセンサの零
点を補正する手段とを備えている。該第1及び第2の車
両推定ヨーレートの差の絶対値が所定値より大きい場合
に、該ヨーレートセンサの零点補正を禁止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、角速度検出装置に
関し、特に、ヨーレートセンサの零点補正を行う角速度
検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、車両の運動制御装置においては、
車両の運動状態、より詳しくは車両の旋回に伴う水平面
内の運動状態を制御するため、各種の運動状態量が検出
されている。このような車両の旋回に伴う水平面内の運
動状態量として、例えば、ヨーレート(ヨー角速度φの
微分値:γ)及び車体スリップ角(車体横滑り角:β)
が検出される。
【0003】運動状態量の検出装置の補正を行う従来の
装置として、例えば、特開平7−246948号公報に
車両運動状態量補正装置が記載されている。この運動状
態量補正装置においては、特に、車両運動モデルに基づ
く車両の推定ヨーレート(γ)を用いて、ヨーレートセ
ンサからのヨーレートセンサ値(γ*)の零点を補正
(オフセット修正)している。ヨーレートセンサの零点
は、温度変化によりドリフトする特性を有するので、正
確な車両運動制御を行うためには、このドリフトを補正
する必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、車両の
推定ヨーレートの算出に用いられる車両運動モデルの諸
定数は、実際には固定値ではなく、路面状況などにより
変化する。例えば、前後輪のコーナリングパワーは、摩
擦係数μの低い道路(低μ路)や坂道の場合ではかなり
変化する。従って、車両の推定ヨーレートには必ず誤差
が生じ、ヨーレートの零点補正を正確に行うことができ
なくなる。
【0005】また、上述の従来の車両運動状態量補正装
置では、コーナリングフォースと横滑り角との線形性が
成り立つと推測される領域においてヨーレート零点補正
が可能であるとして、このような領域内でヨーレートを
推定する方法を取っている。しかし、車両運動方程式に
用いられるパラメータ(車両重量、タイヤのコーナリン
グパワー、路面の摩擦係数等)が変われば、線形性が成
り立つと推測される領域であっても推定誤差が生じる。
従って、正確な推定ヨーレートが求められなくなり、そ
れに基づくヨーレートセンサ値の補正も不正確となる。
【0006】更に、上記の車両運動状態量補正装置にお
いては、コーナリングフォースと横滑り角との線形性が
成り立つ領域は、単に、横加速度0.2G以下の領域と
しており、実際に線形性が成り立っているかどうか、即
ちヨーレートの推定が正確かどうかを確認する具体的な
手段は有していない。
【0007】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、(1)路面の状態な
どに依らずヨーレートセンサの正確な零点補正を行うこ
とができ、更に(2)車両の推定ヨーレートの推定誤差
を排除して零点ドリフトを検出することにより、ヨーレ
ートセンサの零点補正を確実に行うことのできる角速度
検出装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明による角速度検出
装置は、車両のヨーレートを検出するヨーレートセンサ
と、車両モデルに基づいて第1の車両推定ヨーレートを
算出する第1のヨーレート推定手段と、左右の車輪速度
に基づいて第2の車両推定ヨーレートを算出する第2の
ヨーレート推定手段と、該ヨーレートセンサで検出され
たヨーレートセンサ値と、該第1及び第2の車両推定ヨ
ーレートとに基づいて、該ヨーレートセンサの零点を補
正する手段とを備えており、該第1及び第2の車両推定
ヨーレートの差の絶対値が所定値より大きい場合に、該
ヨーレートセンサの零点補正を禁止し、そのことにより
上記目的が達成される。
【0009】本発明による角速度検出装置は、車両のヨ
ーレートを検出するヨーレートセンサと、車両モデルに
基づいて車両の推定ヨーレートを算出するヨーレート推
定手段と、該ヨーレートセンサで検出されたヨーレート
センサ値と該車両の推定ヨーレートとに基づいて、該ヨ
ーレートセンサの零点を補正する手段とを備えており、
該車両の推定ヨーレートが零である場合の該ヨーレート
センサ値を、該ヨーレートセンサの零点とし、そのこと
により上記目的が達成される。
【0010】本発明による角速度検出装置は、車両のヨ
ーレートを検出するヨーレートセンサと、車両モデルに
基づいて車両の推定ヨーレートを算出するヨーレート推
定手段と、該ヨーレートセンサで検出されたヨーレート
センサ値と、該車両の推定ヨーレートとに基づいて、該
ヨーレートセンサの零点を補正する手段とを備えてお
り、該車両の推定ヨーレートの変化方向が正の時点で取
得された第1の零点と、該車両の推定ヨーレートの変化
方向が負の時点で取得された第2の零点との差の絶対値
が所定値より大きい場合に、該ヨーレートセンサの零点
補正を禁止し、そのことにより上記目的が達成される。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の実施の形態を説明する。
【0012】(実施の形態1)図1は、本発明の実施の
形態1による角速度検出装置100の構成を模式的に示
している。図1に示すように、角速度検出装置100
は、車両のヨーレートを検出するヨーレートセンサ11
0と、車両モデルに基づいて第1の車両推定ヨーレート
γ1を算出する第1のヨーレート推定手段120と、左
右の車輪速度Vwに基づいて第2の車両推定ヨーレート
γ2を算出する第2のヨーレート推定手段130と、ヨ
ーレートセンサ110で検出されたヨーレートセンサ値
γ*と、第1及び第2の車両推定ヨーレートγ1及びγ2
とに基づいて、ヨーレートセンサ110の零点を補正す
る手段160とを備えている。
【0013】図1に示すように、角速度検出装置100
において、第1のヨーレート推定手段120には、車輪
速度センサ140から与えられる車輪速度Vw及び舵角
センサ150から与えられる前輪舵角δf及び後輪舵角
δrが入力される。また、第2のヨーレート推定手段1
30には、車輪速度センサ140から与えられる車輪速
度Vwが入力される。ここで、車輪速度Vwは、少なくと
も左右前輪の車輪速度Vwfl及びVwfrを含んでおり、更
に左右後輪の車輪速度Vwrl及びVwrrを含んでいてもよ
い。
【0014】第1のヨーレート推定手段120は、車両
運動理論の2輪モデルを用いてヨーレートγを推定する
ことにより、第1の車両推定ヨーレートγ1を算出す
る。第2のヨーレート推定手段130は、前輪の車輪速
度差からヨーレートγを推定し、第2の車両推定ヨーレ
ートγ2を算出する。
【0015】図2は、本実施の形態の角速度検出装置に
おけるヨーレート補正ルーチンのフローチャートであ
る。以下、図2を参照しながら、第1及び第2のヨーレ
ート推定手段120及び130の動作及びヨーレート補
正手段における零点ドリフトの推定を詳しく説明する。
図2に示されるように、イグニションスイッチ(IG)
がオンされた後、所定の周期でヨーレート補正ルーチン
が実行される。ステップS201において、第1及び第
2のヨーレート推定手段120及び130によって、各
々、以下のようにして、第1及び第2の車両推定ヨーレ
ートγ1及びγ2が算出される。
【0016】第1のヨーレート推定手段120において
は、上述のように、車両の旋回に伴う水平面内の運動状
態量として、ヨーレートγ及び車体スリップ角βを採用
し、車両の運動状態モデルとして2輪モデル(2自由度
モデル)を採用する。車体スリップ角β、ヨーレート
γ、車速V、前輪舵角δf及び後輪舵角δrは、下記の式
(1)で表される車両の運動方程式を満たすことが知ら
れている。
【0017】
【数1】
【0018】ただし、変数x及び変数uは、各々、下記
の式(2)及び(3)に示すように、車体スリップ角β
とヨーレートγ、及び前輪舵角δfと後輪舵角δrを表し
ている。
【0019】
【数2】
【0020】
【数3】
【0021】また、係数行列A及びBは、各々下記の式
(4)及び(5)で表される。
【0022】
【数4】
【0023】
【数5】
【0024】ここで、Mは車両重量、Iは車両ヨーイン
グ慣性モーメント、af及びarは車両重心から前輪車軸
及び後輪車軸までの各水平距離、Cf及びCrは前輪及び
後輪の各コーナリングパワーである。これらの車両パラ
メータは各車両に固有の値であり、以下では固定値とし
て扱われる。また、車両速度Vは、車輪速度センサ14
0から与えられる各車輪速度Vwに基づいて求められ
る。
【0025】式(2)〜(5)を代入することにより、
上記の式(1)は、下記の式(6)となる。
【0026】
【数6】
【0027】式(6)をCf及びCrについてまとめるこ
とにより、下記の式(7)が得られる。
【0028】
【数7】
【0029】以下は、通常の手法を用い、離散系の演算
式に変換して第1の車両推定ヨーレートγ1を算出す
る。
【0030】一方、第2のヨーレート推定手段130
は、下記の式(8)に従って、第2の車両推定ヨーレー
トγ2を算出する。
【0031】
【数8】
【0032】ここで、Vwflは左前輪の車輪速度、Vwfr
は右前輪の車輪速度、Tはトレッドである。
【0033】ここで、第1及び第2のヨーレート推定手
段における各推定方法の特徴を説明する。
【0034】まず、第1のヨーレート推定手段による推
定方法は、推定に用いるセンサ値として車輪速度Vwで
はなく、車両速度Vを用いている。車両速度Vは、例え
ば駆動輪でない車輪の最大速を取るなど、車輪速度Vw
に比べて一般に安定した値を得ることができる。従っ
て、車輪速度Vwにノイズが乗るような悪路(砂利道な
ど)でも比較的正確なセンサ値を得ることができ、正確
にヨーレート推定ができる。
【0035】一方、上述のように、車両の運動モデルで
は、前後輪のコーナリングパワーCf及びCrを固定値と
して推定を行っているため、実際のコーナリングパワー
f及びCrが変動した場合にヨーレート推定が不正確と
なる。例えば、路面状態(高μ路あるいは低μ路である
か)の変動、使用しているタイヤの特性及びその経時変
化などにより、コーナリングパワーはその設定値からず
れることになる。また、坂道では、坂の下側に位置する
車輪に重量がかかるため、コーナリングパワーが設定値
からずれる。
【0036】次に、第2のヨーレート推定手段による推
定方法は、推定に用いるセンサ値として車輪速度Vw
(左前輪の車輪速度Vwfl及び右前輪の車輪速度Vwfr
すなわち非駆動輪の左右輪)を用いている。また、トレ
ッドTは実質的に変化しない。従って、上記の第1のヨ
ーレート推定手段による推定方法とは逆に、コーナリン
グパワーCf及びCrの変動、即ち、路面状態やタイヤ
の状態の変化による影響を受けることなく正確なヨーレ
ート推定を行うことができる。しかし、上述のように、
車輪速度Vwに基づくヨーレート推定は、砂利道などの
走行によるノイズの影響を受けやすい。また、角速度を
検出する車輪速度センサ140の性質上、車輪の径が異
なる場合(例えば、パンクして予備タイヤを使用してい
る場合など)、ヨーレートが誤検出される。
【0037】このようにしてステップ201において算
出された第1及び第2の車両推定ヨーレートγ1及びγ2
は、ヨーレート補正手段160において比較される(ス
テップS202)。第1及び第2の車両推定ヨーレート
γ1及びγ2が実質的に一致した場合は、その時の推定ヨ
ーレートは正確な値であると考えられる。一致した推定
ヨーレートγとセンサ値γ*との差分からヨーレートセ
ンサ110の零点ドリフトを求める。また、上述のよう
に、第1及び第2のヨーレート推定手段120及び13
0による推定方法は、互いに相補的であるため、路面状
態や車両状態によって一方の推定が誤った場合でも、も
う一方の推定は正確であると考えられる。従って、第1
及び第2の車両推定ヨーレートγ1及びγ2を比較するこ
とにより、いずれかの推定が誤っていることを検出でき
る。
【0038】具体的な比較方法としては、例えば、以下
のように、第1及び第2の車両推定ヨーレートγ1及び
γ2の差の絶対値が所定値dthより大きいかどうかを判
定する。
【0039】ステップS202の判定において絶対値が
所定値dth以下である場合には、第1及び第2の車両推
定ヨーレートが実質的に一致したと判断し、その時の推
定ヨーレートγ=γ1≒γ2とする。そして、ステップS
203において、推定ヨーレートγ及びヨーレートセン
サのセンサ値γ*から、ヨーレートセンサ100の零点
ドリフトδγを、δγ=γ*−γとして求める。そし
て、ヨーレート補正手段160は、零点ドリフトδγに
よってヨーレートセンサ100の零点を補正する。
【0040】また、ステップS202の判定において、
第1及び第2の車両推定ヨーレートγ1及びγ2の差の絶
対値が所定値dthより大きい場合には、いずれかの推定
ヨーレートが誤っていると判断して、ヨーレートセンサ
110の零点補正の実行を禁止する。即ち、ステップS
203を実行せずに、そのルーチンを終了する。
【0041】上述のように、本実施の形態によれば、第
1及び第2のヨーレート推定手段120及び130によ
り、相補的な2つのヨーレート推定方法を用いることに
より、路面の状態などに依らずヨーレートセンサの零点
補正を正確に行うことができる。
【0042】(実施の形態2)図3は、本発明の実施の
形態2による角速度検出装置300の構成を模式的に示
している。図3に示すように、角速度検出装置300
は、車両のヨーレートを検出するヨーレートセンサ31
0と、車両モデルに基づいて車両の推定ヨーレートγを
算出するヨーレート推定手段320と、車両の推定ヨー
レートの位相ずれを監視する位相ずれ監視手段360
と、入力されるヨーレートセンサ値γ*に基づいてヨー
レートセンサ310の零点を補正する手段370とを備
えている。ヨーレートセンサ310から出力されるヨー
レートセンサ値γ*は、第1及び第2のスイッチSW1
及びSW2を介してヨーレート補正手段370に入力さ
れる。第1のスイッチSW1はヨーレート推定値γによ
って制御され、第2のスイッチSW2は位相ずれ監視手
段360の出力によって制御される。
【0043】図3に示すように、角速度検出装置300
において、ヨーレート推定手段320には、車輪速度セ
ンサ340から与えられる車輪速度Vw及び舵角センサ
350から与えられる前輪舵角δf及び後輪舵角δrが入
力される。ここで、車輪速度Vwは、少なくとも左右前
輪の車輪速度Vwfl及びVwfrを含んでおり、更に左右後
輪の車輪速度Vwrl及びVwrrを含んでいてもよい。ヨー
レート推定手段320は、車両運動理論の2輪モデルを
用いてヨーレートγを推定する。
【0044】ヨーレート推定手段320は、実施の形態
1において説明した第1のヨーレート推定手段120と
同様、車両の旋回に伴う水平面内の運動状態量として、
ヨーレートγ及び車体スリップ角βを採用し、車両の運
動状態モデルとして2輪モデル(2自由度モデル)を採
用する。即ち、車体スリップ角β、ヨーレートγ、車速
V、前輪舵角δf、後輪舵角δr、車両重量M、車両ヨー
イング慣性モーメントI、車両重心から前輪車軸及び後
輪車軸までの各水平距離af及びar、前輪及び後輪の各
コーナリングパワーCf及びCrとして、下記の式(9)
に基づいて車両の推定ヨーレートγが算出される。
【0045】
【数9】
【0046】尚、上記の式(9)は実施の形態1におけ
る式(7)と同じであり、車両速度Vは、車輪速度セン
サ340から与えられる各車輪速度Vwに基づき、車両
運動制御によって求めた値を用いる。このとき、車両の
推定ヨーレートγの零点は、舵角の零点を基準とした零
点となる。
【0047】図4は、本実施の形態の角速度検出装置3
00におけるヨーレート補正ルーチンのフローチャート
である。以下、図3及び4を参照しながら、本実施の形
態におけるヨーレートセンサの零点ドリフトの推定を詳
しく説明する。図4に示されるように、イグニションス
イッチ(IG)がオンされた後、所定の周期でヨーレー
ト補正ルーチンが実行される。
【0048】ステップS401においては、上述のよう
にして、ヨーレート推定手段320によって車両の推定
ヨーレートγが算出され、ステップS402において
は、車両の推定ヨーレートγが零であるかどうかが判定
される。
【0049】ここで、本実施の形態における零点ドリフ
トの推定について説明する。ヨーレート推定手段320
によって求められた車両の推定ヨーレートγが正しい値
であれば、車両の推定ヨーレートγが零である時にヨー
レートセンサ310から出力されるヨーレートセンサ値
γ* (γ=0)自体が零点ドリフト成分δγとなる。
【0050】実際の車両においては、車両の推定ヨーレ
ートγに、用いる車両モデルのモデル化による誤差が必
ず存在する(誤差が生じる理由は、既に実施の形態1で
述べた通りである)。このような車両の推定ヨーレート
γの誤差は、ゲインのずれ及び位相のずれとして表れ
る。このうち、ゲインのずれによる誤差の影響は、以下
に示すように、車両の推定ヨーレートγが零の時に零点
ドリフトを検出することによって除去できる。尚、車両
の推定ヨーレートγの位相のずれについては後述する。
【0051】ここで、零点ドリフト成分δγを除いたヨ
ーレートセンサ値を実際のヨーレートγtrue(γtrue
γ*−δγ)とする。図5(a)に示すように、実際の
ヨーレートγtrueに対し、推定ヨーレートγがゲイン誤
差αを含む場合(例えば、γ=αγtrueとする)を考え
る。このとき、零点ドリフト成分δγは、下記の式(1
0)で表される。
【0052】
【数10】
【0053】従って、図5(a)からも分かるように、
車両の推定ヨーレートγが零(γ=0)のときにはゲイ
ン誤差αの影響が無く、車両の推定ヨーレートγが正し
い値である時と同様に、ヨーレートセンサ値γ*の零点
ドリフトδγ(δγ=γ* (γ=0))を正しく検出するこ
とができる。
【0054】図4に戻って説明すると、ステップS40
2における判定により、車両の推定ヨーレートγが零で
なければそのルーチン終了する。ステップS402の判
定において車両の推定ヨーレートγが零の場合、このと
き検出された推定ドリフトδγを仮の零点ドリフトとす
る。これは、例えば、図3に示されるように、車両の推
定ヨーレートγが零のときにのみ第1のスイッチSW1
を閉じて、ヨーレートセンサ310からのヨーレートセ
ンサ値γ*を連結することによって実現できる。
【0055】上述のように、車両の推定ヨーレートγの
ゲイン誤差は、零点における零点ドリフトの推定には影
響がない。しかし、車両の推定ヨーレートγに位相誤差
がある場合には、零点自体の推定もずれる。従って、ス
テップS104の推定結果から、車両の推定ヨーレート
の位相誤差による影響を除外する処置が必要である。以
下、車両の推定ヨーレートγの位相誤差について説明す
る。
【0056】図5(b)は、推定ヨーレートγの位相が
実際のヨーレートγtrueに対して遅れ始めた場合、ま
た、図5(c)は、推定ヨーレートγの位相が実際のヨ
ーレートγtrueに対して定常的に遅れている場合を示し
ている。いずれの場合も、実際のヨーレートγtrueの零
点において、推定ヨーレートγは零ではなく、正確な零
点を求めることができない。従って、正しい零点ドリフ
ト成分を検出するためには、推定ヨーレートγと実際の
ヨーレートγtrueとの位相があった状態で検出を行う必
要がある。
【0057】図3に示す位相ずれ監視手段360は、推
定ヨーレートγと実際のヨーレートγtrueとの位相が一
致しているかどうかを検出する。以下、両者の位相の一
致の検出及びその時の零点ドリフト成分δγの検出を説
明する。
【0058】図6に、推定ヨーレートγとヨーレートセ
ンサ値γ*との位相が一致している場合を示す。まず、
推定ヨーレートγの零点において、推定ヨーレートγの
変化方向(Δγ:γの1次微分係数の正負)を調べる
(図4のステップS403)。例えば、Δγが正(Δγ
>0)であれば車両が左旋回であり、Δγが負(Δγ<
0)であれば右旋回である。そして、推定ヨーレートγ
の変化方向が逆、即ち、右旋回及び左旋回の2つの場合
(例えば、図6のt1及びt2)に、仮の零点ドリフトγ
left及びγrightを求める(図4のステップS404及
びS405)。即ち、仮の零点ドリフトγleft及びγ
rightは、下記の式(11)で表される。
【0059】
【数11】
【0060】図6に示すように、推定ヨーレートγとヨ
ーレートセンサ値γ*との位相が一致している場合に
は、2つの仮の零点ドリフトγleft及びγrightの値が
一致する。推定ヨーレートγとヨーレートセンサ値γ*
との位相が一致していない場合は、図5(b)及び
(c)に示すように、2つの仮の零点ドリフトγleft
びγrightの値は一致しない。このことを図5(c)を
用いて説明する。図5(c)には、推定ヨーレートγ及
び実際のヨーレートγtrueが示されている。ヨーレート
センサ値γ*は、γ*=γtrue+δγとしているので、左
旋回時の推定ヨーレートγが零の時点(例えば、図5
(c)のt1)におけるヨーレートセンサ値γ*、即ち仮
の零点ドリフトγleftは、γleft=δγ+δ1となる。
一方、右旋回時の推定ヨーレートγが零の時点(例え
ば、図5(c)のt2)におけるヨーレートセンサ値
γ*、即ち仮の零点ドリフトγright は、γright=δγ
−δ2となる。このように、位相誤差が生じている場合
には、左旋回と右旋回とにおいて、必ず逆方向に誤差成
分が生じる。ただし、δ1及びδ2は共に正であるとして
いる。従って、推定ヨーレートγとヨーレートセンサ値
γ*との位相が一致していない場合には、2つの仮の零
点ドリフトγleft及びγrightの値が一致しない。
【0061】このように、2つの仮の零点ドリフトγ
left及びγrightの値が一致するかどうかを判定するこ
とにより(図4のステップS406)、推定ヨーレート
γとヨーレートセンサ値γ*との位相が一致しているか
どうかを判定することができる。具体的な判断方法とし
ては、例えば、以下のように、2つの仮の零点ドリフト
γleft及びγrightの差の絶対値が所定値Dthより大き
いかどうかを判定する。
【0062】ステップS406の判定において差の絶対
値が所定値Dthより大きい場合には、2つの仮の零点ド
リフトγleft及びγrightの値が一致していないと判断
し、このルーチンを終了する。また、ステップS406
の判定において差の絶対値が所定値Dth以下である場合
には、2つの仮の零点ドリフトγleft及びγrightの値
が実質的に一致したと判断し、その値(例えば仮の零点
ドリフトγleft)を零点ドリフトδγとする(図4のス
テップS407)。そして、この零点ドリフトδγを用
いてヨーレートセンサ310の零点を補正する。
【0063】これは、例えば、図3に示されるように、
2つの仮の零点ドリフトγleft及びγrightの値が一致
したときにのみ第2のスイッチSW1を閉じて、そのと
きのヨーレートセンサ値γ*をヨーレート補正手段37
0に連結することによって実現できる。
【0064】このように、本実施の形態においては、推
定ヨーレートγが零のときに限定してヨーレートセンサ
310の零点ドリフトδγを検出する。これにより、推
定ヨーレートγがゲイン誤差を含んでいても、その影響
を排除することができる。
【0065】更に、推定ヨーレートγの変化方向が正及
び負の2つの仮の零点ドリフトγleft及びγrightが実
質的に等しい場合に限定してヨーレートセンサ310の
零点ドリフトδγを検出する。これにより、推定ヨーレ
ートγが位相誤差を含んでいても、その影響を排除する
ことができる。
【0066】従って、本実施の形態によれば、推定ヨー
レートγにゲイン誤差及び位相誤差のいずれも無い状態
において、正確な零点ドリフトδγを検出し、ヨーレー
トセンサの正確な零点補正を実現することができる。
【0067】
【発明の効果】上述のように、本発明によれば、車両モ
デルに基づいて第1の車両推定ヨーレートを算出する第
1のヨーレート推定手段と、左右の車輪速度に基づいて
第2の車両推定ヨーレートを算出する第2のヨーレート
推定手段とを設け、ヨーレートセンサで検出されたヨー
レートセンサ値と、第1及び第2の車両推定ヨーレート
とに基づいてヨーレートセンサの零点を補正する。第1
及び第2の車両推定ヨーレートの差の絶対値が所定値よ
り大きい場合に、ヨーレートセンサの零点補正を禁止す
ることにより、路面の状態などに依らずヨーレートセン
サの正確な零点補正を行うことができる。
【0068】また、車両モデルに基づいて算出された車
両の推定ヨーレートが零である場合のヨーレートセンサ
値を、ヨーレートセンサの零点として零点を補正するこ
とにより、車両の推定ヨーレートのゲイン誤差を排除し
て正確な零点ドリフトを検出することにより、より確実
なヨーレートセンサの零点補正を行うことができる。
【0069】更に、車両の推定ヨーレートの変化方向が
正の時点で取得された第1の零点と、車両の推定ヨーレ
ートの変化方向が負の時点で取得された第2の零点との
差の絶対値が所定値より大きい場合に、ヨーレートセン
サの零点補正を禁止することにより、車両の推定ヨーレ
ートの位相誤差を排除して正確な零点ドリフトを検出す
ることにより、より確実なヨーレートセンサの零点補正
を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1つの実施の形態1による角速度検出
装置の構成を模式的に示す図である。
【図2】本発明の1つの実施の形態による角速度検出装
置のヨーレート補正ルーチンのフローチャートである。
【図3】本発明のもう1つの実施の形態による角速度検
出装置の構成を模式的に示す図である。
【図4】本発明のもう1つの実施の形態による角速度検
出装置のヨーレート補正ルーチンのフローチャートであ
る。
【図5】(a)は、推定ヨーレートγが実際のヨーレー
トγtrueに対してゲイン誤差を含む場合を示し、(b)
及び(c)は、推定ヨーレートγが実際のヨーレートγ
trueに対して位相誤差を含む場合を示す図である。
【図6】推定ヨーレートγとヨーレートセンサ値γ*
の位相が一致している場合を示す図である。
【符号の説明】
100 角速度検出装置 110 ヨーレートセンサ 120 第1のヨーレート推定手段 130 第2のヨーレート推定手段 140 車輪速度センサ 150 舵角センサ 160 ヨーレート補正手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B62D 137:00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両のヨーレートを検出するヨーレート
    センサと、 車両モデルに基づいて第1の車両推定ヨーレートを算出
    する第1のヨーレート推定手段と、 左右の車輪速度に基づいて第2の車両推定ヨーレートを
    算出する第2のヨーレート推定手段と、 該ヨーレートセンサで検出されたヨーレートセンサ値
    と、該第1及び第2の車両推定ヨーレートとに基づい
    て、該ヨーレートセンサの零点を補正する手段と、 を備えており、 該第1及び第2の車両推定ヨーレートの差の絶対値が所
    定値より大きい場合に、該ヨーレートセンサの零点補正
    を禁止する、角速度検出装置。
  2. 【請求項2】 車両のヨーレートを検出するヨーレート
    センサと、 車両モデルに基づいて車両の推定ヨーレートを算出する
    ヨーレート推定手段と、 該ヨーレートセンサで検出されたヨーレートセンサ値と
    該車両の推定ヨーレートとに基づいて、該ヨーレートセ
    ンサの零点を補正する手段とを備えており、 該車両の推定ヨーレートが零である場合の該ヨーレート
    センサ値を、該ヨーレートセンサの零点とする、角速度
    検出装置。
  3. 【請求項3】 車両のヨーレートを検出するヨーレート
    センサと、 車両モデルに基づいて車両の推定ヨーレートを算出する
    ヨーレート推定手段と、 該ヨーレートセンサで検出されたヨーレートセンサ値
    と、該車両の推定ヨーレートとに基づいて、該ヨーレー
    トセンサの零点を補正する手段と、 を備えており、 該車両の推定ヨーレートの変化方向が正の時点で取得さ
    れた第1の零点と、該車両の推定ヨーレートの変化方向
    が負の時点で取得された第2の零点との差の絶対値が所
    定値より大きい場合に、該ヨーレートセンサの零点補正
    を禁止する、角速度検出装置。
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