JPH10132197A - 地中に埋設される筒状体のための継手および筒組立体 - Google Patents

地中に埋設される筒状体のための継手および筒組立体

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JPH10132197A
JPH10132197A JP8305482A JP30548296A JPH10132197A JP H10132197 A JPH10132197 A JP H10132197A JP 8305482 A JP8305482 A JP 8305482A JP 30548296 A JP30548296 A JP 30548296A JP H10132197 A JPH10132197 A JP H10132197A
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Katsuhisa Shibuya
勝久 渋谷
Takayoshi Suzuki
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Abstract

(57)【要約】 【課題】地震による管路の破損を防止する、筒状体相互
の継手および筒組立体を提供すること。 【解決手段】継手(18)および筒組立体(20)は、両筒状体
(16)間に配置され互いに相対する複数の環状部材(22)
と、筒状を呈し複数の環状部材(22)を取り巻く変形可能
のシール部材(24)とを含む。シール部材(24)はその両端
部において両筒状体(16)に液密に固定される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、上下水道、ケーブ
ル、鉄道の軌道、道路のような設備を地下に設けるため
に設置される管路を形成する筒状体のための継手および
該管路の一部をなす筒組立体に関する。
【0002】
【従来の技術】管路は直列に連なる複数の筒状体、例え
ば、地中に推進された複数の管、トンネル覆工用の複数
のセグメントリング等により形成され、集排水升、マン
ホール、駅舎、換気塔のような構築物に接続される。
【0003】ところで、前記管路と前記構築物とは構造
および重量を異にすることから、地震の際、前記管路と
前記構築物とが地中において互いに異なる振幅または異
なる周期の上下運動をする。このため、前記構築物に接
続された筒状体と、他の筒状体との間に大きい相対変位
が生じ、これらの筒状体相互の接続箇所が破損し、管路
としての機能が損なわれることがある。また、このよう
な現象は、岩盤部分を伸びる筒状体と、これに接続され
軟弱地盤の部分を伸びる筒状体との間についても生じ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、管路
を構成する筒状体が地震の際に破損することを防止す
る、前記筒状体のための継手を提供することにある。ま
た、本発明の他の目的は、管路の一部として用いられ地
震の際に管路の破損を防止する筒組立体を提供すること
にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】地中に設けられる管路を
構成する筒状体のための本発明に係る継手および本発明
の筒組立体は、両筒状体間に配置され互いに相対する複
数の環状部材と、前記複数の環状部材を取り巻く変形可
能な筒状のシール部材とを含み、前記シール部材はその
両端部において両筒状体に液密に固定される。
【0006】前記継手および前記筒組立体のそれぞれ
は、好ましくは、前記複数の環状部材のそれぞれに周方
向へ互いに間隔をおいて設けられた孔を貫通する複数の
棒状部材を有する。各棒状部材はその両端部で両筒状体
に固定され、各棒状部材は両筒状体の相対変位が予め定
められた大きさに達したときに破断しまたは折れ曲がる
強度を有する。
【0007】前記継手および前記筒組立体は、さらに、
前記複数の環状部材のそれぞれに周方向へ互いに間隔を
おいて設けられた複数の孔に通された複数のロッドと、
各ロッドの両端部にそれぞれ取り付けられたユニバーサ
ルジョイントとを備え得る。各孔は前記ロッドの直径よ
り大きい直径を有し、また、各ユニバーサルジョイント
は各筒状体にその軸線方向へ相対変位可能に取り付けら
れる。
【0008】前記環状部材相互間と、各筒状体および前
記複数の環状部材の間とに、それぞれ、複数のスペーサ
を取り外し可能に配置することができる。さらに、前記
環状部材相互間に、前記ロッドが貫通する弾性体からな
る複数のスペーサを配置することができる。
【0009】あるいは、また、前記環状部相互材間に配
置された弾性を有する環状のスペーサと、前記環状部材
および前記スペーサのそれぞれに周方向へ互いに間隔を
おいて設けられた複数の孔に通され両端部が両筒状部材
に固定される複数の棒状部材であってその両端部が両筒
状部材に、該両筒状部材の互いに他の一方に向けての相
対移動を許すように固定される複数の棒状部材とを含む
ものとすることができる。
【0010】前記複数の環状部材を互いに接しかつ両筒
状体に接した状態で配置することができる。また、各筒
状体は管またはセグメントリングからなる。前記セグメ
ントリングからなる筒状体にあっては、各環状部材を複
数の分割片からなるものとする。
【0011】
【発明の作用および効果】本発明によれば、前記複数の
環状部材を取り巻き、両端部がそれぞれ両筒状体に液密
に固定された両端部を有する前記シール部材は、両筒状
体が規定する内部空間と連通する密閉空間を規定する。
両筒状体間に配置され互いに相対する前記複数の環状部
材は、それぞれ、周囲地盤の土圧および水圧に抗し得る
筒状の空間を規定する。このことから、本発明の継手ま
たは筒組立体は管路の一部として用いることができる。
【0012】両筒状体と、これらの間に互いに相対して
配置された前記複数の環状部材とは、それぞれ、上下方
向に関して相対移動可能である。また、前記シール部材
は変形可能であることから、両筒状体と複数の環状部材
との相対変位に伴って両筒状体相互間の長さ寸法に変化
が生じるとき、前記シール部材はこれに追随してその長
さ寸法を変化させ、両筒状体に連通する密閉空間を維持
する。これにより、管路の機能は維持される。
【0013】したがって、地中において、地震のために
両筒状体がこれらの間に高低差が生じるような外力を受
けるとき、両筒状体間の前記継手の複数の環状部材は互
いに相対移動し、これらの配列が一方の筒状体から他方
の筒状体に向けて階段状に変化し、両筒状体は高さの異
なる位置に移動する。この間、前記シール部材はその長
さ寸法を増大させる。配列の態様が変化した前記複数の
環状部材は、なお、前記土水圧に対抗し得る空間を規定
し、変形した前記シール部材は、なお、両筒状体に連通
する密閉空間または液密空間を維持する。こうして、前
記筒状体および前記管路の地震による破損が回避され
る。
【0014】したがって、地震の際に互いに異なる上下
方向移動をする筒状体相互間、例えば、集排水升、マン
ホール、駅舎、換気塔のような構築物に連なる筒状体
と、他の筒状体との間に前記継手を配置し、あるいは、
これらの筒状体の間に前記筒組立体を配置することによ
り、前記構築物に連なる管路の破損を防止することがで
きる。
【0015】前記複数の環状部材にそれぞれ設けられた
複数の孔を貫通する前記複数の棒状部材を配置すれば、
前記棒状部材の剛性により、微弱な地震の発生に伴う両
筒状体のわずかな量の相対変位およびこれに伴う前記複
数の環状部材の配列の変化を生じさせず、予め設定され
た大きさ以上の地震があったとき、地盤の変動により両
筒状体および前記複数の環状部材が及ぼす外力によって
前記棒状部材が破断または折れ曲がり、これにより両筒
状体および前記複数の環状部材の相対変位を許すように
することができる。これによれば、前記微弱な地震があ
っても管路をその設置当初の状態、例えば真直ぐな配列
状態に維持することができる。
【0016】また、前記複数の環状部材を貫通する前記
ロッドを配置し、該ロッドを前記ユニバーサルジョイン
トをもって両筒状体に接続し、かつ、前記ユニバーサル
ジョイントを各筒状体に対してその軸線方向へ相対移動
可能に取り付けることにより、両筒状体と前記複数の環
状部材とに前記相対変位が生じるとき、前記ロッドは前
記複数の環状部材とともにその伸長方向を変化させるこ
とができる。前記ロッドの貫通孔が該ロッドの直径より
大きいため、前記ロッドは各環状部材に対して相対変位
をすることができる。前記複数の環状部材は、前記ロッ
ドにより、それぞれの勝手な相対移動が制限され、前記
ロッドに沿っての整然とした配列状態を維持される。
【0017】前記複数の環状部材を互いに接しかつ両筒
状体に接した状態で配置し、あるいは、前記複数の環状
部材を互いに間隔をおいて配置しかつ前記環状部材相互
間および各筒状体と前記複数の環状部材との間に、それ
ぞれ、複数のスペーサを配置することにより、両筒状体
の一方に及ぼされた軸線方向力を他方の筒状体に伝達す
ることができる。したがって、管路を形成するために複
数の筒状体を地中に推進する場合の筒状体から筒状体へ
の推力の伝達を可能とし、また、管路を形成するために
シールド掘進機を地中に推進する場合の前記シールド掘
進機の推進反力の筒状体から筒状体への伝達を可能とす
る。前記スペーサは、管路の完成後に取り外すことがで
きる。
【0018】また、前記環状部材相互間に前記ロッドが
貫通する弾性体からなる複数のスペーサ(ピースまたは
ブロック状)を配置することにより、前記管路の完成後
においても、また、地震により前記複数の環状部材の配
列方向に変更があった後においても、前記複数の環状部
材の相互間隔を維持することができる。前記複数の環状
部材の配列方向が変化するとき、前記弾性体は弾性変形
をする。前記環状部材の相互間隔を維持することによ
り、前記環状部材相互間における前記シール部材の対土
水圧の大きさをほぼ一定に維持することができる。
【0019】前記ピース状のスペーサを用いる場合に
は、周囲の土水圧のためにスペーサ相互間に前記シール
部材の一部が入り込み、円筒状体が維持されない場合が
ある。前記弾性体からなるスペーサを環状のものとすれ
ば、周方向に関して、前記シール部材の一部の入り込む
隙間をなくすことができることから、地中で前記シール
部材を円筒状体に確実に維持することができる。また、
前記環状部材および環状のスペーサを貫通する棒状部材
が両筒状体に対して、該両筒状体の互いに他の一方に向
けての移動を許すように固定されていることから、地震
により、管路がその軸線方向へ移動するとき、すなわち
一方の筒状体に対して他方の筒状体が軸線方向へ相対的
に変位してこれらの間の間隔が減少するとき、前記環状
のスペーサが圧縮され、これにより前記筒状体の相対変
位を吸収する。その結果、前記立坑または前記構築物内
への前記管路の突入およびこれに伴う前記立坑、前記構
築物または前記管路の破壊が防止される。
【0020】環状のスペーサを配置することに加えて、
さらに、前記ロッドおよびその両端のユニバーサルジョ
イントと、前記破断または折れ曲がり可能の棒状部材と
に代わる、前記環状のスペーサを貫通する折れ曲がり可
能の例えばステンレス鋼棒のような棒状部材を用いるこ
とができる。これによれば、前記棒状部材の折れ曲がり
により、前記スペーサおよび環状部材の前記階段状配列
への変化と前記管組立体の軸線方向に関する前記環状部
材および環状のスペーサの相互間隔が維持される。これ
は、前記棒状部材がさらに反対方向へ折れ曲がるときに
も同様である。
【0021】本発明が適用される前記筒状体は管および
セグメントリングのいずれでもよい。但し、前記筒状体
が前記セグメントリングからなる場合、各環状部材はそ
の設置場所への搬入および配置を容易にすべく複数の分
割片からなるものとすることが望ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】図1を参照すると、本発明に係る
継手および筒組立体を含む管路10と、管路10を形成
するために構築された立坑12とが示されている。
【0023】管路10は、地中に、上下水道を設置し、
ケーブルや鉄道の軌道を敷設し、道路を建設する等を目
的として設けられ、その敷設目的に応じて種々の口径を
有する。立坑12は、後に、前記上下水道のための集排
水升やマンホール、地下鉄道のための駅舎、地下道路の
ための換気塔等を構築するために利用される。
【0024】管路10は直列に連なる複数の筒状体1
4,16と、これらの筒状体のうち一対の筒状体16間
に配置された本発明に係る継手18とからなる。また、
両筒状体16とこれらの間に配置された継手18とは本
発明に係る筒組立体20をなす。
【0025】図2および図3を参照すると、各筒状体1
4,16はコンクリート管からなり、筒状体16は筒状
体14より小さい長さ寸法を有する。両筒状体16とこ
れらを相互に接続する継手18とからなる筒組立体20
は、筒状体14の長さ寸法とほぼ等しい長さ寸法を有す
る。筒組立体20の長さ寸法はこの例に限らず任意の大
きさに設定することができる。筒状体14,16とし
て、前記コンクリート管のほか、例えば鋼管を用いるこ
とができる。
【0026】各筒状体14,16は同じ内径および同じ
外径を有する。また、各筒状体14の両端部が、それぞ
れ、一方(図上左方)の筒状体16の端部および他方の
筒状体16の端部(図上右方)と同じ形状を有する。
【0027】一方の筒状体16は、他の部分より外径の
小さい減径端部16aと、該減径端部の周面を周方向に
伸びる一対のシールリング16bとを有し、他方の筒状
体16は減径端部16cと、該減径端部に嵌合され該減
径端部から突出するカラー16dとを有する。一方の筒
状体の減径端部16aは、他の筒状体の減径端部16c
のカラー16dに嵌合可能である。この嵌合により両筒
状体16,14が互いに接続されるとき、減径端部16
aのシールリング16bがカラー16dの内面と液密に
接する。
【0028】筒状体14が前記コンクリート管や鋼管か
らなる場合、管路10は、複数の筒状体14および筒組
立体20を他の立坑(図示せず)から地盤21(図1)
中に推進し、その先頭の筒状体14を立坑12に到達さ
せることにより敷設することができる。筒状体14,1
6および筒組立体20の推進は、前記他の立坑内に配置
されたジャッキのような推進装置(図示せず)を作動さ
せて行なわれる。
【0029】前記筒状体は、図2〜図5に示す管のほ
か、図6〜図11に示すトンネル覆工用のセグメントリ
ングからなるものがある。これについては、後に詳述す
る。
【0030】両筒状体16相互間に配置された継手18
は、複数(図示の例では5つ)の環状部材(円環状部
材)22と、これらの環状部材22の周囲をその周面に
沿って取り巻く全体に筒状(円筒状)のシール部材24
とを含む。
【0031】前記環状部材は、図示の例のような円形状
を呈するもののほか、例えば矩形状を呈するものであっ
てもよい。この場合、前記シール部材は矩形の横断面形
状を有する角筒状のものを用いることができる。
【0032】各環状部材22は各筒状体16と同じ口径
すなわち同じ内径を有する。また、各環状部材22は、
その周囲にシール部材24を受け入れるための空間を得
るため、各筒状体16よりわずかに小さい外径を有す
る。各環状部材22は好ましくは筒状体16と同じ材
料、図示の例ではコンクリート材料で形成され、筒状体
16とほぼ同じ機械的強度(断面係数)を有する。
【0033】複数の環状部材22と両筒状体16とは1
つの線をこれらの共通の軸線として配列され、複数の環
状部材22は互いに接し、また、後記リング部材28を
介して両筒状体16に接している。したがって、管路1
0の敷設のために前記筒状体を地中に推進するとき、推
力は一方の筒状体16から他方の筒状体16へ複数の環
状部材22を介して伝達される。また、複数の環状部材
22はそれぞれこれらの軸線方向に関する端面に沿っ
て、また、環状部材22と各筒状体16とはこれらの端
面に沿って、相対変位または相対移動が可能である。
【0034】各環状部材22は、筒状体14,16と同
様、地盤21中でその土圧および水圧(以下「土水圧」
という。)に対抗し、筒状の空間を規定しまた該筒状空
間を維持する。互いに接する複数の環状部材22は地盤
21の土水圧を受けるシール部材24をそのほぼ全周面
に亙って支持する。
【0035】シール部材24は、その折り曲げられた各
端部26(図3)において、適当な固定手段、例えば鋼
製の扁平なリング部材28を用いて、各筒状体16の端
面に液密に固定されている。すなわち、各端部26は各
筒状体16の端面と扁平なリング部材28との間に挾持
されている。各リング部材28は各筒状部材16および
各環状部材22と同じ内径を有し、これらと同軸に配置
されている。各リング部材28は複数のボルト30,3
2により各筒状体16に固定することができる。一方の
ボルト30は一方のリング部材28を貫通し、前記一方
の筒状体16に螺合している。また、他方のボルト32
は、他方の筒状体16の開放端から該筒状体を経て伸
び、他方のリング部材28に螺合している。シール部材
24は、図示の固定手段に代えて、例えばその各端部2
6をこれが各筒状体16の一部の周面を取り巻くように
配置しかつ各端部26をその周りから針金や環状の板材
で締め付けることによっても、各筒状体16に液密に固
定することができる。
【0036】シール部材24として、例えば合成繊維製
の織物にゴムまたは合成樹脂材料を圧着してなるシート
(例えば、東洋ゴム工業(株)製の「産業用コーテッド
ファブリック」)を円筒状に巻き、その周方向端部同士
を熱溶融により互いに接着した後、この円筒状シートの
長手方向におけるほぼ中央部を該円筒状シートの一方の
端部へ向けて折り込み、さらに反対側の端部へ向けて折
り返してなるもの(図3参照)を用いることができる。
【0037】この円筒状のシール部材24は可撓性を有
しまた非透水性を有する。シール部材24の折り込み部
分24aおよび折り返し部分24bは互いに重なり合っ
ている。この重合部分は、その軸線方向における長さ寸
法に関して、シール部材24の両端部に引張力及ぼすと
きに減少し、また、圧縮力を及ぼすときに増大する。こ
のとき、シール部材24の軸線方向に関する長さ寸法が
変化する。前記重合部分は比較的薄く、このため、環状
部材22の外径を筒状体16のものよりわずかに小さい
ものに設定することができる。
【0038】シール部材24として、前記折り込み部分
および折り返し部分を有する前記シートのほか、これら
の折り込みおよび折り返し部分を有しない前記シートや
ゴム材料からなる筒体を使用することができる。前記シ
ートおよび前記ゴム材料からなる筒体は弾性変形可能で
あり、これによりその軸線方向に関する長さ寸法が可変
である。
【0039】シール部材24を保護するため、可撓性を
有する保護部材34を配置することが望ましい。保護部
材34は、アルミニウム板のような薄い金属板や柔軟性
または可撓性を有する合成樹脂製シートで形成された筒
体からなる。この筒体34は、一方の筒状体16の一部
から他方の筒状体16の一部まで伸び、その一端部が一
方の筒状体16の前記一部の周面に接着され、その他方
の端部が他方の筒状体16の前記一部の周面を取り巻く
シールリング36に接している。
【0040】ところで、管路10と、立坑12を利用し
て構築される前記構築物とでは、地震の際、これらの揺
れ、特に上下方向変位の振幅または周期が異なる。この
振幅または周期の相違に基づく管路10の破断は、継手
18または筒組立体20を立坑12の近傍に配置するこ
とにより防止することができる。
【0041】図1を参照すると、立坑12に一の筒状体
14が接続されかつ固定され、該筒状体14に一方の筒
状体16が液密に接続されている。したがって、立坑1
2とこれに連なる筒状体14および一方の筒状体16と
は、地震の際、立坑12と共にこれとほぼ同じ振幅また
は周期で揺れる。これに対し、他方の筒状体16および
これに液密に接続された筒状体14は、立坑12に連な
る前記一方の筒状体16より大きい変位をもって揺れ
る。その結果、一方の筒状体16と他方の筒状体16と
の間にレベル差(高低差)を生じる。
【0042】継手18および筒組立体20を構成する複
数の環状部材22は、相互にまた各筒状体16に対して
(より詳細には各リング部材28に対して)相対移動可
能であることから、両筒状体16に前記レベル差が生じ
るとき、複数の環状部材22は互いに相対移動する。そ
の結果、初めに水平軸線に沿って配列されていた複数の
環状部材22は、低位置の前記一方の筒状体16から高
位置の前記他方の筒状体16に向けて伸びる傾斜軸線に
沿って階段状に配列される(図4参照)。
【0043】複数の環状部材22のこの配列の変更によ
り、両筒状体16の前記相対移動に伴う複数の環状部材
22の破壊が免れ、管路10の破断が回避される。
【0044】複数の環状部材22が前記傾斜軸線に沿っ
て階段状に配列されると、これらの環状部材22の軸線
方向距離が増大する。このとき、長さ寸法が可変であり
また可撓性を有するシール部材24はその長さ寸法を増
大させ、また、段々に連なる複数の環状部材22の周面
に沿って変形する。シール部材24の長さ寸法の増大に
より、該シール部材の前記重合部分24a,24bの一
部が引き出され、該重合部分の軸線方向長さが減少す
る。前記重合部分を有しないシール部材の場合は、該シ
ール部材が弾性変形し、その軸線方向へ伸長する。
【0045】このことから、複数の環状部材22はその
配列変更後においてもそれぞれが環状空間を維持しまた
シール部材24よる被覆を維持され、さらに、シール部
材24は両筒状体16相互間にこれらに連なる空間を維
持する。したがって、継手18および筒組立体20は地
震後においても通路を確保し、管路10を維持する。
【0046】また、シール部材24のための保護部材3
4は、複数の環状部材22の配列が階段状に変化すると
き、複数の環状部材22の周面に沿ってシール部材24
と共に変形し、保護部材34の自由端であるその他端部
は他方の筒状体16のシールリング36の表面を一方の
筒状体16に向けて滑り、これによりシールリング36
は露出する。この間、保護部材34は複数の環状部材2
2の相対移動に伴って生じるシール部材24の周囲地盤
21との摩擦による裂傷の発生を防止する(図4参
照)。
【0047】図5に示すように、環状部材22相互間の
軸線方向に関する変位を制限するため、互いに隣接する
環状部材22をこれらに所定の変位を許す複数のストリ
ップ38で連結することができる。複数のストリップ3
8は、それぞれ、例えば合成繊維製の織物からなり、各
環状部材22の外周面に沿ってこれを横断する方向に伸
びる。複数の複数のストリップ38は、各環状部材22
の外周面にその周方向に互いに間隔をおいて配置されか
つ複数のビス40で固定されている。各ストリップ38
は、地震が生じたとき、前記ビス40相互間の部分が環
状部材22の外周面からはなれ、環状部材22相互の相
対変位を許す。好ましくは、各環状部材22に各ストリ
ップ38が配置される空間を規定する溝39を設ける。
【0048】再び図3を参照すると、各環状部材22に
その内周面に連なる面取り部42を設け、互いに隣接す
る環状部材22の面取り部42が互いに共同して規定す
る溝44と、各リング部材28の端面とこれに隣接する
環状部材22の面取り部42とが規定する溝46とに、
それぞれ、モルタル(図示せず)を充填することができ
る。これにより、環状部材22相互を接着し、また、各
リング部材28と環状部材22とを互いに接着すること
ができる。この接着により、複数の環状部材22を両リ
ング部材28(したがって両筒状体16)に固定しかつ
一軸線上に整列させることができる。
【0049】前記モルタルの接着強度は各環状部材22
の一部と各リング部材28との接触面積の大きさに依存
することから、前記モルタルの接触面積を適宜に設定す
ることにより、両筒状体16の相対変位が予め定められ
た大きさに達するほどの地震が発生したしたときに環状
部材22相互間の接着と、環状部材22およびリング部
材28相互間の接着が解消されるようにすることができ
る。これによれば、微弱な地震のときには複数の環状部
材22の前記配列変更が発生せず、大きい地震時に生じ
るようにすることができる。
【0050】次に、図6〜図11を参照すると、この実
施形態の継手18および筒組立体20にあっては、両筒
状体16がトンネル覆工用のセグメントリングからな
り、複数の環状部材22が互いに間隔をおいて配置さ
れ、また、複数の環状部材22と各筒状体16とが互い
に間隔をおいて配置されている。継手18および筒組立
体22は、前記シールド掘進機のシールド本体の内部で
組み立てられる。
【0051】各筒状体16を構成する前記セグメントリ
ングは、図7に示すように、トンネルの覆工に用いられ
る大小複数のセグメント46からなり、これらのセグメ
ントは例えばボルト・ナット組立体(図示せず)を用い
て環状に組み立てられる。図示のセグメント46は鋼製
のものからなる。前記セグメントには、前記鋼製のもの
のほか、コンクリート製のもの、セグメントの内周面以
外を規定する鋼製の箱体である鋼殻と該鋼殻内に充填さ
れた、前記内周面を規定するコンクリートとからなるも
の等を用いることができる。
【0052】前記セグメントリング(以下、説明の便宜
のために符号16を付すことがある。)は、シールド掘
進機(図示せず)に引き続いて該シールド掘進機により
掘削されたトンネルの壁面に沿って配置され、複数のセ
グメントリング同士が例えばボルト・ナット組立体(図
示せず)により接続される。図示の例では、複数のセグ
メントリング(図示せず)に連なる右側のセグメントリ
ング16が先に組み立てられ、その後、継手18が組み
立てられ、左側のセグメントリング16が組み立てられ
る。
【0053】各環状部材22は、図8に示すように、複
数の分割片48からなる。分割数および各分割片48の
長さ寸法は任意に設定することができる。複数の分割片
48とすることにより、先に組み立てられたセグメント
リング16内に環状部材22を搬送し、さらに、該セグ
メントリングの前方域すなわち環状部材22の設置場所
に容易に搬入することができる。複数の分割片48は前
記設置箇所においてボルト・ナット組立体(図示せず)
を用いて環状に組み立てられる。
【0054】図示の環状部材22は鋼製のものからな
る。鋼製のもののほか、コンクリート製のものを用いる
ことができる。
【0055】各環状部材22には、小径の複数(図示の
例では4つ)の孔50と、大径の複数(図示の例では4
つ)の孔52とがそれぞれ周方向に互いに間隔をおいて
設けられている。各小径孔50を棒状部材54が貫通
し、また、各大径孔52をロッド56が貫通している。
大径孔52はロッド56の直径より大きい直径を有す
る。
【0056】棒状部材54はその各端部58が、シール
部材24の各端部を各筒状体16に固定するためのリン
グ部材28と、筒状体16を規定するセグメント46の
主桁46aとを貫通している。棒状部材54の各端部5
8には主桁46aおよびリング部材28にそれぞれ当接
する一対のナット60(図10)が螺合され、これによ
り、棒状部材54とリング部材28とが両筒状体16に
固定されている。図6に示す各リング部材28は、シー
ル部材24の各端部26(図9および図10参照)を受
け入れるための切り欠きを有する点において、図2に示
すものと異なる。また、シール部材の各端部26は丸め
られかつその先端が他の部分に融着されている。リング
部材28の前記切り欠きはシール部材24の前記丸めら
れた端部26を受け入れかつ該端部26を各筒状体16
との間に挾持する。
【0057】棒状部材54はアルミニウム材料、プラス
チック材料等で形成されており、地震時における両筒状
体16の相対変位が予め定められた大きさに達したとき
に破断しまたは折れ曲がる強度を有する。両筒状体16
の相対変位は上下、左右およびこれ以外のいずれの方向
に関するものでもよい。これによれば、前記モルタルを
用いた例と同様、比較的微弱な地震のときには棒状部材
54は切断しまたは折れ曲がることはなく、したがって
このときは複数の環状部材22は相対移動をしない。ま
た、大きい地震が発生したとき、棒状部材54が切断し
または折れ曲がり、複数の環状部材22の相対移動を許
す。
【0058】他方、大径の孔52に通されたロッド56
の各端部にはユニバーサルジョイント62が取り付けら
れ、ロッド56はユニバーサルジョイント62を介して
両筒状体16に固定されている。このため、ロッド56
は垂直面上および水平面上のいずれにおいても、図示の
軸線方向に伸びる状態から該軸線と交差する状態へ傾斜
可能である。
【0059】孔52はロッド56の直径より大きい直径
を有し、孔52の軸線と交差する方向へのロッド56の
変位を許す。孔52の直径は、ロッド56の前記変位の
所望量を考慮して定められる。
【0060】各ユニバーサルジョイント62は、各筒状
体16にその軸線方向へ移動可能に取り付けられてい
る。より詳細には、各ユニバーサルジョイント62は、
該ジョイントの一部を受け入れ可能である受入部材64
に取り付けられている。各受入部材64は各リング部材
28に固定されている。
【0061】受入部材64は、ユニバーサルジョイント
62の先端部に固定された円板65を各筒状体16の軸
線方向に摺動可能に受け入れる円筒状の空間66と、空
間66に連なり該空間より小径の開口67であってユニ
バーサルジョイント62が前記軸線方向に摺動可能であ
る開口67とを有する。円板65は、継手18の設置
時、円筒空間66の長さの半分の位置にあることが望ま
しい。これにより、円板65は円筒空間66のいずれの
方向にも移動することができる。
【0062】図11に示すように、地震のために両筒状
体16相互に前記レベル差が生じ、複数の環状部材22
が互いに相対移動するとき、両筒状体16は斜め方向に
関して互いに相対し、両筒状体16の前記斜め方向に関
する相互間隔は水平方向におけるそれより増大している
ため、円板65が円筒空間66を移動する。また、ロッ
ド56はユニバーサルジョイント62を介して円板65
に対して揺動運動し、各孔52をその軸線と交差する傾
斜方向に伸びる。その結果、複数の環状部材22の相対
移動はロッド56の拘束下で生じ、複数の環状部材22
はロッド56に沿って階段状に整列する。
【0063】図示の例では、さらに、環状部材22相互
間に各ロッド56に沿ってゴムやプラスチックのような
弾性材料からなる複数のスペーサ68が配置されてい
る。環状部材22の相互間隔を維持する各スペーサ68
はブロックからなり、各スペーサ68をロッド56が貫
通している。また、図示の例では、各スペーサ68の一
部が各環状部材22の孔52に嵌合されている。これら
のスペーサ68は、地震の際の複数の環状部材22の前
記相対移動およびロッド56の傾斜に伴って弾性変形
し、前記環状部材の相対移動および前記ロッドの傾斜運
動後、変形された状態で環状部材22の相互間隔を維持
する。
【0064】スペーサ68は、複数の環状部材22の前
記相対移動の前後にわたって環状部材22を一定の相互
間隔に維持することから、シール部材24に対する環状
部材22による支持間隔が一定に維持される。このた
め、前記支持間隔におけるシール部材24の耐久力すな
わち耐土水圧を一定に維持することができる。
【0065】また、ロッド56と両筒状体16とはこれ
らの軸線方向に関する相対移動が可能であることから、
地震により両筒状体16の相互間隔が減少しまたは増大
する場合にあっても、継手18は破壊されることなく、
管路10の一部として維持される。
【0066】また、各棒状部材54に沿って、環状部材
22相互間と、環状部材22および各リング部材28の
間とに、それぞれ、鋼製ブロックのような剛性のブロッ
クからなるスペーサ70,72が配置されている(図9
参照)。
【0067】これらのブロック70,72はそれぞれ各
棒状部材54に跨がって載置されており、取り外すこと
ができる。これらのブロック70,72を配置すること
により、各ブロック、各環状部材22および各リング部
材28を介して、一方(図上左方)のセグメントリング
16から他方のセグメントリング16へ軸線方向力を伝
達することができる。したがって、一方のセグメント1
6に反力を担わせて前記シールド掘進機を推進すること
ができる。
【0068】前記シールド掘進機が推進されるとき、そ
のテールシールが継手18の周面に接する。シール部材
24を覆う保護部材34は、前記シールド掘進機のテー
ルシールによってシール部材24が傷付けられることを
防止する。但し、この実施形態における保護部材34
は、環状部材22またはセグメントリング16と同様に
複数の分割片からなりかつ筒状を呈するが、しかし、各
分割片相互は単に互いに突き合わされているだけで接続
されてはいない。
【0069】保護部材34の各分割片は接着等により一
方の筒状体16にそれぞれ固定された端部を有する。よ
り詳細には、保護部材34の各分割片の両端部は、それ
ぞれ、両筒状体すなわち両セグメントリング16に設け
られたつば74の外周面に固定されおよび単に接してい
る。
【0070】スペーサ70,72は、管路10の敷設
後、より詳細には前記シールド掘進機の推進終了後また
は最後のセグメントリングの組立終了後、取り外され
る。
【0071】複数の環状部材22は、図2〜図5に示す
例におけるように、相互に接するものとすることができ
る。また、ユニバーサルジョイント62は、図示の機械
的構造のものに代えて、弾性変形可能の例えばゴム製の
ブロックとすることができる。
【0072】また、図1〜図5に示す複数の環状部材2
2に、図6〜図11に示す棒状部材54を適用すること
ができる。さらに、図1〜図5に示す複数の環状部材2
2は互いに間隔をおいて配置してもよい。
【0073】ところで、図6〜図11に示す実施の形態
の継手18または筒組立体20にあっては、シール部材
24の材質、シール部材24の厚さ寸法、前記土水圧の
大きさ等により、周方向に関するスペーサ68相互間の
空間部分にシール部材24の一部が入り込み、このため
に円筒形の空間が確保されなかったり、あるいは、前記
相対移動をした環状部材22間に挟み込まれたり、ま
た、前記相対移動した後の複数の環状部材24が両筒状
体16の一方の側に斜めに寄り掛かった状態となり、こ
れらの環状部材24と他方の側の筒状体16との間に入
り込むことがある。
【0074】シール部材24のこのような「入り込み」
を防止するため、図12に示す継手18および筒組立体
20にあっては、環状部材22相互間に該環状部材に接
する環状のスペーサ76が配置されている。
【0075】スペーサ76は、ゴムやプラスチック製の
弾性材料からなる。周方向へ連続して伸びるスペーサ7
6は、環状部材22相互間への前記シール部材の一部の
「入り込み」を阻止する。図示の例では、筒部材16が
コンクリート管からなり、その端面が環状の鋼板77か
らなる。シール部材24の両端部はリング部材28によ
り各筒部材16の鋼板77に液密に固定されている。ま
た、シール部材24を取り巻く保護部材34は、その両
端部が、各筒部材16の端部を取り巻きかつ該端部から
突出するカラー16dとシール部材24との間にそれぞ
れ接着および挾持されている。
【0076】図示の例では、環状部材22の内周面の近
傍にその両端面または片面から軸線方向に張り出すフラ
ンジ78が設けられている。スペーサ76は、その内周
面が互いに相対する両環状部材22の両フランジ78に
接している。これによれば、シール部材24を介してス
ペーサ76に作用する土水圧による該スペーサの径方向
内方への変形が阻止される。環状部材22にフランジ7
8を設けることに代えて、例えば、各スペーサ76の外
周面の側に、各環状部材22の外周面に接するフランジ
(図示せず)を設けることができる。
【0077】各環状部材22および各スペーサ76に
は、それぞれ、複数の孔80,82が設けられている。
各孔80,82は周方向に互いに間隔をおいて設けら
れ、軸線方向へ伸び、これらの孔80,82をステンレ
ス鋼のような材料からなる折れ曲がり可能の棒状部材8
4が貫通している。
【0078】棒状部材84の各端部は、リング部材28
とこれに接する環状鋼板77とを貫通している。リング
部材28と環状鋼板77とは一体のものであってもよ
い。棒状部材84の両端部にはそれぞれ一対のナット8
6が螺合され、複数の環状部材22、複数のスペーサ7
6および両リング部材28がこれらの軸線方向に関して
両筒状体16により締め付けられている。
【0079】ところで、地震の際、管路10の軸線に対
して斜めに入射する地震波のために前記管路がその軸線
方向へ移動し、このために一方の筒状体16が他方の筒
状体16に対してその軸線方向へ相対的に変位すること
がある。このとき、環状部材22相互間に配置された環
状の各スペーサ76は軸線方向に圧縮され、前記筒状体
16の相対変位を吸収する。その結果、管路10の前記
軸線方向移動に伴う立坑12内または前記構築物内への
筒状体14の浸入または突入と、これに伴う立坑12ま
たは前記構築物および管路10の破損、破壊等が防止さ
れる。なお、管組立体20を地中に推進するときの推進
力の伝達のため、軸線方向に伸びる複数の鋼製のスペー
サ(図示せず)を両リング部材28間に配置しかつこれ
に係止させることができる。これらの鋼製のスペーサは
スペーサ70,70と同様、推進後に取り外される。
【0080】また、この例では、シール部材24が前記
重合部を有しない筒状のものからなり、その各端部26
に、円形の横断面形状を有するリング状の弾性体88が
固定されている。弾性体88は、半円形の横断面形状を
有する弾性部材からなり、両弾性部材はシール部材24
の端部26の両面に接着されている。弾性体88は、リ
ング部材28に設けられた前記切り欠き内にあって、前
記締め付けにより、リング部材28と環状鋼板77との
間で扁平状態に押しつぶされている。これにより、シー
ル部材24と環状鋼板77との間の液密性が確保されて
いる。
【0081】図12に示す継手18は、両環状鋼板77
の間に両リング部材28、複数の環状部材22および複
数のスペーサ76を配置し、これらに棒状体84を通
し、シール部材24を配置し、さらに、両環状鋼板77
をナット86で締め付けることにより形成される。ま
た、筒組立体20は、このようにして組み立てられた継
手18の両側に筒部材16を成形するための型枠を配置
し、該型枠にコンクリートを打設することにより形成す
ることができる。その結果、各環状鋼板77から突出す
る棒状部材84の端部およびこれに螺合されたナット8
6が前記コンクリート中に埋設される。
【0082】筒部材16は、図示のコンクリート管のほ
か、前記したように、鋼管やセグメントリングであって
もよい。
【0083】図13に示すように、地震の発生の際に
は、両筒状体16のレベル差の発生に伴い、複数の環状
部材22が前記したように上下方向に相対移動し、これ
により棒状部材84は各スペーサ76内において塑性変
形し、環状部材22は階段状に整列する。このとき、棒
状部材84の拘束を受ける各スペーサ76は弾性変形す
る。
【0084】特にステンレス孔からなる棒状部材84は
伸展性に富みまた反対側へのおよび多数回の塑性変形に
耐え、また、環状のスペーサ76は弾性変形によりその
厚さ方向へ収縮可能であるため、図12および図13に
示す継手または筒組立体にあっては、図6〜図11に示
すようなロッド56、ユニバーサルジョイント62等か
らなる揺動・伸縮手段、さらには、棒状部材54は不要
である。
【0085】図2〜図5、図6〜図11および図12〜
13に示す実施形態のいずれについても、地盤中の岩盤
部分および軟弱部分を経て伸びる管路に適用することが
できる。前記岩盤部分を伸びる筒状体と、前記軟弱部分
を伸びる筒状体とは、地震の際、異なる振幅または周期
で揺れることとなるため、前記岩盤部分を通る筒状体
と、前記軟弱部分を伸びる筒状体との間に本発明の継手
を適用しまたは筒組立体を配置することができ、これに
より、岩盤部分および軟弱部分を経て伸びる管路の地震
による破壊を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の継手および筒組立体を用いて形成され
た管路の概略的な設置状態を示す断面図である。
【図2】本発明の継手および筒組立体の縦断面図であ
る。
【図3】図2の部分拡大図である。
【図4】地震の発生により変形した状態を示す、図2と
同様の継手および筒組立体の縦断面図である。
【図5】ストリップにより互いに連結された複数の環状
部材の斜視図である。
【図6】本発明の他の継手および筒組立体の縦断面図で
ある。
【図7】セグメントリングの分解斜視図である。
【図8】環状部材の分解斜視図である。
【図9】図6に示す継手および筒組立体の部分拡大図で
ある。
【図10】図6に示す継手および筒組立体の他の部分の
拡大図である。
【図11】地震の発生により変形した状態における、図
6に示す継手および筒組立体の部分縦断面図である。
【図12】本発明の他の継手および筒組立体の縦断面図
である。
【図13】地震の発生により変形した状態を示す図12
の継手および筒組立体の縦断面図である。
【符号の説明】
10 管路 14,16 筒状体 18 継手 20 筒組立体 22 環状部材 24 シール部材
【手続補正書】
【提出日】平成9年10月20日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、上下水道、ケーブ
ル、鉄道の軌道、道路のような設備を地下に設けるため
に設置される管路を形成する筒状体のための継手および
該管路の一部をなす筒組立体に関する。
【0002】
【従来の技術】管路は直列に連なる複数の筒状体、例え
ば、地中に推進された複数の管、トンネル覆工用の複数
のセグメントリング等により形成され、集排水升、マン
ホール、駅舎、換気塔のような構築物に接続される。
【0003】ところで、前記管路と前記構築物とは構造
および重量を異にすることから、地震の際、前記管路と
前記構築物とが地中において互いに異なる振幅または異
なる周期の上下運動をする。このため、前記構築物に接
続された筒状体と、他の筒状体との間に大きい相対変位
が生じ、これらの筒状体相互の接続箇所が破損し、管路
としての機能が損なわれることがある。また、このよう
な現象は、岩盤部分を伸びる筒状体と、これに接続され
軟弱地盤の部分を伸びる筒状体との間についても生じ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、管路
を構成する筒状体が地震の際に破損することを防止す
る、前記筒状体のための継手を提供することにある。ま
た、本発明の他の目的は、管路の一部として用いられ地
震の際に管路の破損を防止する筒組立体を提供すること
にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】地中に設けられる管路を
構成する筒状体のための本発明に係る継手および本発明
の筒組立体は、両筒状体間に配置され互いに相対する複
数の環状部材と、前記複数の環状部材を取り巻く変形可
能な筒状のシール部材とを含み、前記シール部材はその
両端部において両筒状体に液密に固定される。
【0006】前記継手および前記筒組立体のそれぞれ
は、好ましくは、前記複数の環状部材のそれぞれに周方
向へ互いに間隔をおいて設けられた孔を貫通する複数の
棒状部材を有する。各棒状部材はその両端部で両筒状体
に固定され、各棒状部材は両筒状体の相対変位が予め定
められた大きさに達したときに破断しまたは折れ曲がる
強度を有する。
【0007】前記継手および前記筒組立体は、さらに、
前記複数の環状部材のそれぞれに周方向へ互いに間隔を
おいて設けられた複数の孔に通された複数のロッドと、
各ロッドの両端部にそれぞれ取り付けられたユニバーサ
ルジョイントとを備え得る。各孔は前記ロッドの直径よ
り大きい直径を有し、また、各ユニバーサルジョイント
は各筒状体にその軸線方向へ相対変位可能に取り付けら
れる。
【0008】前記環状部材相互間と、各筒状体および前
記複数の環状部材の間とに、それぞれ、複数のスペーサ
を取り外し可能に配置することができる。さらに、前記
環状部材相互間に、前記ロッドが貫通する弾性体からな
る複数のスペーサを配置することができる。
【0009】あるいは、また、前記環状部相互材間に配
置された弾性を有する環状のスペーサと、前記環状部材
および前記スペーサのそれぞれに周方向へ互いに間隔を
おいて設けられた複数の孔に通され両端部が両筒状体に
固定される複数の棒状部材であってその両端部が両筒状
体に、該両筒状体の互いに他の一方に向けての相対移動
を許すように固定される複数の棒状部材とを含むものと
することができる。
【0010】前記複数の環状部材を互いに接しかつ両筒
状体に接した状態で配置することができる。また、各筒
状体は管またはセグメントリングからなる。前記セグメ
ントリングからなる筒状体にあっては、各環状部材を複
数の分割片からなるものとする。
【0011】
【発明の作用および効果】本発明によれば、前記複数の
環状部材を取り巻き、両端部がそれぞれ両筒状体に液密
に固定された両端部を有する前記シール部材は、両筒状
体が規定する内部空間と連通する密閉空間を規定する。
両筒状体間に配置され互いに相対する前記複数の環状部
材は、それぞれ、周囲地盤の土圧および水圧に抗し得る
筒状の空間を規定する。このことから、本発明の継手ま
たは筒組立体は管路の一部として用いることができる。
【0012】両筒状体と、これらの間に互いに相対して
配置された前記複数の環状部材とは、それぞれ、上下方
向に関して相対移動可能である。また、前記シール部材
は変形可能であることから、両筒状体と複数の環状部材
との相対変位に伴って両筒状体相互間の長さ寸法に変化
が生じるとき、前記シール部材はこれに追随してその長
さ寸法を変化させ、両筒状体に連通する密閉空間を維持
する。これにより、管路の機能は維持される。
【0013】したがって、地中において、地震のために
両筒状体がこれらの間に高低差が生じるような外力を受
けるとき、両筒状体間の前記継手の複数の環状部材は互
いに相対移動し、これらの配列が一方の筒状体から他方
の筒状体に向けて階段状に変化し、両筒状体は高さの異
なる位置に移動する。この間、前記シール部材はその長
さ寸法を増大させる。配列の態様が変化した前記複数の
環状部材は、なお、前記土水圧に対抗し得る空間を規定
し、変形した前記シール部材は、なお、両筒状体に連通
する密閉空間または液密空間を維持する。こうして、前
記筒状体および前記管路の地震による破損が回避され
る。
【0014】したがって、地震の際に互いに異なる上下
方向移動をする筒状体相互間、例えば、集排水升、マン
ホール、駅舎、換気塔のような構築物に連なる筒状体
と、他の筒状体との間に前記継手を配置し、あるいは、
これらの筒状体の間に前記筒組立体を配置することによ
り、前記構築物に連なる管路の破損を防止することがで
きる。
【0015】前記複数の環状部材にそれぞれ設けられた
複数の孔を貫通する前記複数の棒状部材を配置すれば、
前記棒状部材の剛性により、微弱な地震の発生に伴う両
筒状体のわずかな量の相対変位およびこれに伴う前記複
数の環状部材の配列の変化を生じさせず、予め設定され
た大きさ以上の地震があったとき、地盤の変動により両
筒状体および前記複数の環状部材が及ぼす外力によって
前記棒状部材が破断または折れ曲がり、これにより両筒
状体および前記複数の環状部材の相対変位を許すように
することができる。これによれば、前記微弱な地震があ
っても管路をその設置当初の状態、例えば真直ぐな配列
状態に維持することができる。
【0016】また、前記複数の環状部材を貫通する前記
ロッドを配置し、該ロッドを前記ユニバーサルジョイン
トをもって両筒状体に接続し、かつ、前記ユニバーサル
ジョイントを各筒状体に対してその軸線方向へ相対移動
可能に取り付けることにより、両筒状体と前記複数の環
状部材とに前記相対変位が生じるとき、前記ロッドは前
記複数の環状部材とともにその伸長方向を変化させるこ
とができる。前記ロッドの貫通孔が該ロッドの直径より
大きいため、前記ロッドは各環状部材に対して相対変位
をすることができる。前記複数の環状部材は、前記ロッ
ドにより、それぞれの勝手な相対移動が制限され、前記
ロッドに沿っての整然とした配列状態を維持される。
【0017】前記複数の環状部材を互いに接しかつ両筒
状体に接した状態で配置し、あるいは、前記複数の環状
部材を互いに間隔をおいて配置しかつ前記環状部材相互
間および各筒状体と前記複数の環状部材との間に、それ
ぞれ、複数のスペーサを配置することにより、両筒状体
の一方に及ぼされた軸線方向力を他方の筒状体に伝達す
ることができる。したがって、管路を形成するために複
数の筒状体を地中に推進する場合の筒状体から筒状体へ
の推力の伝達を可能とし、また、管路を形成するために
シールド掘進機を地中に推進する場合の前記シールド掘
進機の推進反力の筒状体から筒状体への伝達を可能とす
る。前記スペーサは、管路の完成後に取り外すことがで
きる。
【0018】また、前記環状部材相互間に前記ロッドが
貫通する弾性体からなる複数のスペーサ(ピースまたは
ブロック状)を配置することにより、前記管路の完成後
においても、また、地震により前記複数の環状部材の配
列方向に変更があった後においても、前記複数の環状部
材の相互間隔を維持することができる。前記複数の環状
部材の配列方向が変化するとき、前記弾性体は弾性変形
をする。前記環状部材の相互間隔を維持することによ
り、前記環状部材相互間における前記シール部材の対土
水圧の大きさをほぼ一定に維持することができる。
【0019】前記ピース状のスペーサを用いる場合に
は、周囲の土水圧のためにスペーサ相互間に前記シール
部材の一部が入り込み、円筒状体が維持されない場合が
ある。前記弾性体からなるスペーサを環状のものとすれ
ば、周方向に関して、前記シール部材の一部の入り込む
隙間をなくすことができることから、地中で前記シール
部材を円筒状体に確実に維持することができる。また、
前記環状部材および環状のスペーサを貫通する棒状部材
が両筒状体に対して、該両筒状体の互いに他の一方に向
けての移動を許すように固定されていることから、地震
により、管路がその軸線方向へ移動するとき、すなわち
一方の筒状体に対して他方の筒状体が軸線方向へ相対的
に変位してこれらの間の間隔が減少するとき、前記環状
のスペーサが圧縮され、これにより前記筒状体の相対変
位を吸収する。その結果、前記立坑または前記構築物内
への前記管路の突入およびこれに伴う前記立坑、前記構
築物または前記管路の破壊が防止される。
【0020】環状のスペーサを配置することに加えて、
さらに、前記ロッドおよびその両端のユニバーサルジョ
イントと、前記破断または折れ曲がり可能の棒状部材と
に代わる、前記環状のスペーサを貫通する折れ曲がり可
能の例えばステンレス鋼棒のような棒状部材を用いるこ
とができる。これによれば、前記棒状部材の折れ曲がり
により、前記スペーサおよび環状部材の前記階段状配列
への変化と前記管組立体の軸線方向に関する前記環状部
材および環状のスペーサの相互間隔が維持される。これ
は、前記棒状部材がさらに反対方向へ折れ曲がるときに
も同様である。
【0021】本発明が適用される前記筒状体は管および
セグメントリングのいずれでもよい。但し、前記筒状体
が前記セグメントリングからなる場合、各環状部材はそ
の設置場所への搬入および配置を容易にすべく複数の分
割片からなるものとすることが望ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】図1を参照すると、本発明に係る
継手および筒組立体を含む管路10と、管路10を形成
するために構築された立坑12とが示されている。
【0023】管路10は、地中に、上下水道を設置し、
ケーブルや鉄道の軌道を敷設し、道路を建設する等を目
的として設けられ、その敷設目的に応じて種々の口径を
有する。立坑12は、後に、前記上下水道のための集排
水升やマンホール、地下鉄道のための駅舎、地下道路の
ための換気塔等を構築するために利用される。
【0024】管路10は直列に連なる複数の筒状体1
4,16と、これらの筒状体のうち一対の筒状体16間
に配置された本発明に係る継手18とからなる。また、
両筒状体16とこれらの間に配置された継手18とは本
発明に係る筒組立体20をなす。
【0025】図2および図3を参照すると、各筒状体1
4,16はコンクリート管からなり、筒状体16は筒状
体14より小さい長さ寸法を有する。両筒状体16とこ
れらを相互に接続する継手18とからなる筒組立体20
は、筒状体14の長さ寸法とほぼ等しい長さ寸法を有す
る。筒組立体20の長さ寸法はこの例に限らず任意の大
きさに設定することができる。筒状体14,16とし
て、前記コンクリート管のほか、例えば鋼管を用いるこ
とができる。
【0026】各筒状体14,16は同じ内径および同じ
外径を有する。また、各筒状体14の両端部が、それぞ
れ、一方(図上左方)の筒状体16の端部および他方の
筒状体16の端部(図上右方)と同じ形状を有する。
【0027】一方の筒状体16は、他の部分より外径の
小さい減径端部16aと、該減径端部の周面を周方向に
伸びる一対のシールリング16bとを有し、他方の筒状
体16は減径端部16cと、該減径端部に嵌合され該減
径端部から突出するカラー16dとを有する。一方の筒
状体の減径端部16aは、他の筒状体の減径端部16c
のカラー16dに嵌合可能である。この嵌合により両筒
状体16,14が互いに接続されるとき、減径端部16
aのシールリング16bがカラー16dの内面と液密に
接する。
【0028】筒状体14が前記コンクリート管や鋼管か
らなる場合、管路10は、複数の筒状体14および筒組
立体20を他の立坑(図示せず)から地盤21(図1)
中に推進し、その先頭の筒状体14を立坑12に到達さ
せることにより敷設することができる。筒状体14,1
6および筒組立体20の推進は、前記他の立坑内に配置
されたジャッキのような推進装置(図示せず)を作動さ
せて行なわれる。
【0029】前記筒状体は、図2〜図5に示す管のほ
か、図6〜図11に示すトンネル覆工用のセグメントリ
ングからなるものがある。これについては、後に詳述す
る。
【0030】両筒状体16相互間に配置された継手18
は、複数(図示の例では5つ)の環状部材(円環状部
材)22と、これらの環状部材22の周囲をその周面に
沿って取り巻く全体に筒状(円筒状)のシール部材24
とを含む。
【0031】前記環状部材は、図示の例のような円形状
を呈するもののほか、例えば矩形状を呈するものであっ
てもよい。この場合、前記シール部材は矩形の横断面形
状を有する角筒状のものを用いることができる。
【0032】各環状部材22は各筒状体16と同じ口径
すなわち同じ内径を有する。また、各環状部材22は、
その周囲にシール部材24を受け入れるための空間を得
るため、各筒状体16よりわずかに小さい外径を有す
る。各環状部材22は好ましくは筒状体16と同じ材
料、図示の例ではコンクリート材料で形成され、筒状体
16とほぼ同じ機械的強度(断面係数)を有する。
【0033】複数の環状部材22と両筒状体16とは1
つの線をこれらの共通の軸線として配列され、複数の環
状部材22は互いに接し、また、後記リング部材28を
介して両筒状体16に接している。したがって、管路1
0の敷設のために前記筒状体を地中に推進するとき、推
力は一方の筒状体16から他方の筒状体16へ複数の環
状部材22を介して伝達される。また、複数の環状部材
22はそれぞれこれらの軸線方向に関する端面に沿っ
て、また、環状部材22と各筒状体16とはこれらの端
面に沿って、相対変位または相対移動が可能である。
【0034】各環状部材22は、筒状体14,16と同
様、地盤21中でその土圧および水圧(以下「土水圧」
という。)に対抗し、筒状の空間を規定しまた該筒状空
間を維持する。互いに接する複数の環状部材22は地盤
21の土水圧を受けるシール部材24をそのほぼ全周面
に亙って支持する。
【0035】シール部材24は、その折り曲げられた各
端部26(図3)において、適当な固定手段、例えば鋼
製の扁平なリング部材28を用いて、各筒状体16の端
面に液密に固定されている。すなわち、各端部26は各
筒状体16の端面と扁平なリング部材28との間に挾持
されている。各リング部材28は各筒状部材16および
各環状部材22と同じ内径を有し、これらと同軸に配置
されている。各リング部材28は複数のボルト30,3
2により各筒状体16に固定することができる。一方の
ボルト30は一方のリング部材28を貫通し、前記一方
の筒状体16に螺合している。また、他方のボルト32
は、他方の筒状体16の開放端から該筒状体を経て伸
び、他方のリング部材28に螺合している。シール部材
24は、図示の固定手段に代えて、例えばその各端部2
6をこれが各筒状体16の一部の周面を取り巻くように
配置しかつ各端部26をその周りから針金や環状の板材
で締め付けることによっても、各筒状体16に液密に固
定することができる。
【0036】シール部材24として、例えば合成繊維製
の織物にゴムまたは合成樹脂材料を圧着してなるシート
(例えば、東洋ゴム工業(株)製の「産業用コーテッド
ファブリック」)を円筒状に巻き、その周方向端部同士
を熱溶融により互いに接着した後、この円筒状シートの
長手方向におけるほぼ中央部を該円筒状シートの一方の
端部へ向けて折り込み、さらに反対側の端部へ向けて折
り返してなるもの(図3参照)を用いることができる。
【0037】この円筒状のシール部材24は可撓性を有
しまた非透水性を有する。シール部材24の折り込み部
分24aおよび折り返し部分24bは互いに重なり合っ
ている。この重合部分は、その軸線方向における長さ寸
法に関して、シール部材24の両端部に引張力及ぼすと
きに減少し、また、圧縮力を及ぼすときに増大する。こ
のとき、シール部材24の軸線方向に関する長さ寸法が
変化する。前記重合部分は比較的薄く、このため、環状
部材22の外径を筒状体16のものよりわずかに小さい
ものに設定することができる。
【0038】シール部材24として、前記折り込み部分
および折り返し部分を有する前記シートのほか、これら
の折り込みおよび折り返し部分を有しない前記シートや
ゴム材料からなる筒体を使用することができる。前記シ
ートおよび前記ゴム材料からなる筒体は弾性変形可能で
あり、これによりその軸線方向に関する長さ寸法が可変
である。
【0039】シール部材24を保護するため、可撓性を
有する保護部材34を配置することが望ましい。保護部
材34は、アルミニウム板のような薄い金属板や柔軟性
または可撓性を有する合成樹脂製シートで形成された筒
体からなる。この筒体34は、一方の筒状体16の一部
から他方の筒状体16の一部まで伸び、その一端部が一
方の筒状体16の前記一部の周面に接着され、その他方
の端部が他方の筒状体16の前記一部の周面を取り巻く
シールリング36に接している。
【0040】ところで、管路10と、立坑12を利用し
て構築される前記構築物とでは、地震の際、これらの揺
れ、特に上下方向変位の振幅または周期が異なる。この
振幅または周期の相違に基づく管路10の破断は、継手
18または筒組立体20を立坑12の近傍に配置するこ
とにより防止することができる。
【0041】図1を参照すると、立坑12に一の筒状体
14が接続されかつ固定され、該筒状体14に一方の筒
状体16が液密に接続されている。したがって、立坑1
2とこれに連なる筒状体14および一方の筒状体16と
は、地震の際、立坑12と共にこれとほぼ同じ振幅また
は周期で揺れる。これに対し、他方の筒状体16および
これに液密に接続された筒状体14は、立坑12に連な
る前記一方の筒状体16より大きい変位をもって揺れ
る。その結果、一方の筒状体16と他方の筒状体16と
の間にレベル差(高低差)を生じる。
【0042】継手18および筒組立体20を構成する複
数の環状部材22は、相互にまた各筒状体16に対して
(より詳細には各リング部材28に対して)相対移動可
能であることから、両筒状体16に前記レベル差が生じ
るとき、複数の環状部材22は互いに相対移動する。そ
の結果、初めに水平軸線に沿って配列されていた複数の
環状部材22は、低位置の前記一方の筒状体16から高
位置の前記他方の筒状体16に向けて伸びる傾斜軸線に
沿って階段状に配列される(図4参照)。
【0043】複数の環状部材22のこの配列の変更によ
り、両筒状体16の前記相対移動に伴う複数の環状部材
22の破壊が免れ、管路10の破断が回避される。
【0044】複数の環状部材22が前記傾斜軸線に沿っ
て階段状に配列されると、これらの環状部材22の軸線
方向距離が増大する。このとき、長さ寸法が可変であり
また可撓性を有するシール部材24はその長さ寸法を増
大させ、また、段々に連なる複数の環状部材22の周面
に沿って変形する。シール部材24の長さ寸法の増大に
より、該シール部材の前記重合部分24a,24bの一
部が引き出され、該重合部分の軸線方向長さが減少す
る。前記重合部分を有しないシール部材の場合は、該シ
ール部材が弾性変形し、その軸線方向へ伸長する。
【0045】このことから、複数の環状部材22はその
配列変更後においてもそれぞれが環状空間を維持しまた
シール部材24よる被覆を維持され、さらに、シール部
材24は両筒状体16相互間にこれらに連なる空間を維
持する。したがって、継手18および筒組立体20は地
震後においても通路を確保し、管路10を維持する。
【0046】また、シール部材24のための保護部材3
4は、複数の環状部材22の配列が階段状に変化すると
き、複数の環状部材22の周面に沿ってシール部材24
と共に変形し、保護部材34の自由端であるその他端部
は他方の筒状体16のシールリング36の表面を一方の
筒状体16に向けて滑り、これによりシールリング36
は露出する。この間、保護部材34は複数の環状部材2
2の相対移動に伴って生じるシール部材24の周囲地盤
21との摩擦による裂傷の発生を防止する(図4参
照)。
【0047】図5に示すように、環状部材22相互間の
軸線方向に関する変位を制限するため、互いに隣接する
環状部材22をこれらに所定の変位を許す複数のストリ
ップ38で連結することができる。複数のストリップ3
8は、それぞれ、例えば合成繊維製の織物からなり、各
環状部材22の外周面に沿ってこれを横断する方向に伸
びる。複数の複数のストリップ38は、各環状部材22
の外周面にその周方向に互いに間隔をおいて配置されか
つ複数のビス40で固定されている。各ストリップ38
は、地震が生じたとき、前記ビス40相互間の部分が環
状部材22の外周面からはなれ、環状部材22相互の相
対変位を許す。好ましくは、各環状部材22に各ストリ
ップ38が配置される空間を規定する溝39を設ける。
【0048】再び図3を参照すると、各環状部材22に
その内周面に連なる面取り部42を設け、互いに隣接す
る環状部材22の面取り部42が互いに共同して規定す
る溝44と、各リング部材28の端面とこれに隣接する
環状部材22の面取り部42とが規定する溝46とに、
それぞれ、モルタル(図示せず)を充填することができ
る。これにより、環状部材22相互を接着し、また、各
リング部材28と環状部材22とを互いに接着すること
ができる。この接着により、複数の環状部材22を両リ
ング部材28(したがって両筒状体16)に固定しかつ
一軸線上に整列させることができる。
【0049】前記モルタルの接着強度は各環状部材22
の一部と各リング部材28との接触面積の大きさに依存
することから、前記モルタルの接触面積を適宜に設定す
ることにより、両筒状体16の相対変位が予め定められ
た大きさに達するほどの地震が発生したしたときに環状
部材22相互間の接着と、環状部材22およびリング部
材28相互間の接着が解消されるようにすることができ
る。これによれば、微弱な地震のときには複数の環状部
材22の前記配列変更が発生せず、大きい地震時に生じ
るようにすることができる。
【0050】次に、図6〜図11を参照すると、この実
施形態の継手18および筒組立体20にあっては、両筒
状体16がトンネル覆工用のセグメントリングからな
り、複数の環状部材22が互いに間隔をおいて配置さ
れ、また、複数の環状部材22と各筒状体16とが互い
に間隔をおいて配置されている。継手18および筒組立
体22は、前記シールド掘進機のシールド本体の内部で
組み立てられる。
【0051】各筒状体16を構成する前記セグメントリ
ングは、図7に示すように、トンネルの覆工に用いられ
る大小複数のセグメント46からなり、これらのセグメ
ントは例えばボルト・ナット組立体(図示せず)を用い
て環状に組み立てられる。図示のセグメント46は鋼製
のものからなる。前記セグメントには、前記鋼製のもの
のほか、コンクリート製のもの、セグメントの内周面以
外を規定する鋼製の箱体である鋼殻と該鋼殻内に充填さ
れた、前記内周面を規定するコンクリートとからなるも
の等を用いることができる。
【0052】前記セグメントリング(以下、説明の便宜
のために符号16を付すことがある。)は、シールド掘
進機(図示せず)に引き続いて該シールド掘進機により
掘削されたトンネルの壁面に沿って配置され、複数のセ
グメントリング同士が例えばボルト・ナット組立体(図
示せず)により接続される。図示の例では、複数のセグ
メントリング(図示せず)に連なる右側のセグメントリ
ング16が先に組み立てられ、その後、継手18が組み
立てられ、左側のセグメントリング16が組み立てられ
る。
【0053】各環状部材22は、図8に示すように、複
数の分割片48からなる。分割数および各分割片48の
長さ寸法は任意に設定することができる。複数の分割片
48とすることにより、先に組み立てられたセグメント
リング16内に環状部材22を搬送し、さらに、該セグ
メントリングの前方域すなわち環状部材22の設置場所
に容易に搬入することができる。複数の分割片48は前
記設置箇所においてボルト・ナット組立体(図示せず)
を用いて環状に組み立てられる。
【0054】図示の環状部材22は鋼製のものからな
る。鋼製のもののほか、コンクリート製のものを用いる
ことができる。
【0055】各環状部材22には、小径の複数(図示の
例では4つ)の孔50と、大径の複数(図示の例では4
つ)の孔52とがそれぞれ周方向に互いに間隔をおいて
設けられている。各小径孔50を棒状部材54が貫通
し、また、各大径孔52をロッド56が貫通している。
大径孔52はロッド56の直径より大きい直径を有す
る。
【0056】棒状部材54はその各端部58が、シール
部材24の各端部を各筒状体16に固定するためのリン
グ部材28と、筒状体16を規定するセグメント46の
主桁46aとを貫通している。棒状部材54の各端部5
8には主桁46aおよびリング部材28にそれぞれ当接
する一対のナット60(図10)が螺合され、これによ
り、棒状部材54とリング部材28とが両筒状体16に
固定されている。図6に示す各リング部材28は、シー
ル部材24の各端部26(図9および図10参照)を受
け入れるための切り欠きを有する点において、図2に示
すものと異なる。また、シール部材の各端部26は丸め
られかつその先端が他の部分に融着されている。リング
部材28の前記切り欠きはシール部材24の前記丸めら
れた端部26を受け入れかつ該端部26を各筒状体16
との間に挾持する。
【0057】棒状部材54はアルミニウム材料、プラス
チック材料等で形成されており、地震時における両筒状
体16の相対変位が予め定められた大きさに達したとき
に破断しまたは折れ曲がる強度を有する。両筒状体16
の相対変位は上下、左右およびこれ以外のいずれの方向
に関するものでもよい。これによれば、前記モルタルを
用いた例と同様、比較的微弱な地震のときには棒状部材
54は切断しまたは折れ曲がることはなく、したがって
このときは複数の環状部材22は相対移動をしない。ま
た、大きい地震が発生したとき、棒状部材54が切断し
または折れ曲がり、複数の環状部材22の相対移動を許
す。
【0058】他方、大径の孔52に通されたロッド56
の各端部にはユニバーサルジョイント62が取り付けら
れ、ロッド56はユニバーサルジョイント62を介して
両筒状体16に固定されている。このため、ロッド56
は垂直面上および水平面上のいずれにおいても、図示の
軸線方向に伸びる状態から該軸線と交差する状態へ傾斜
可能である。
【0059】孔52はロッド56の直径より大きい直径
を有し、孔52の軸線と交差する方向へのロッド56の
変位を許す。孔52の直径は、ロッド56の前記変位の
所望量を考慮して定められる。
【0060】各ユニバーサルジョイント62は、各筒状
体16にその軸線方向へ移動可能に取り付けられてい
る。より詳細には、各ユニバーサルジョイント62は、
該ジョイントの一部を受け入れ可能である受入部材64
に取り付けられている。各受入部材64は各リング部材
28に固定されている。
【0061】受入部材64は、ユニバーサルジョイント
62の先端部に固定された円板65を各筒状体16の軸
線方向に摺動可能に受け入れる円筒状の空間66と、空
間66に連なり該空間より小径の開口67であってユニ
バーサルジョイント62が前記軸線方向に摺動可能であ
る開口67とを有する。円板65は、継手18の設置
時、円筒空間66の長さの半分の位置にあることが望ま
しい。これにより、円板65は円筒空間66のいずれの
方向にも移動することができる。
【0062】図11に示すように、地震のために両筒状
体16相互に前記レベル差が生じ、複数の環状部材22
が互いに相対移動するとき、両筒状体16は斜め方向に
関して互いに相対し、両筒状体16の前記斜め方向に関
する相互間隔は水平方向におけるそれより増大している
ため、円板65が円筒空間66を移動する。また、ロッ
ド56はユニバーサルジョイント62を介して円板65
に対して揺動運動し、各孔52をその軸線と交差する傾
斜方向に伸びる。その結果、複数の環状部材22の相対
移動はロッド56の拘束下で生じ、複数の環状部材22
はロッド56に沿って階段状に整列する。
【0063】図示の例では、さらに、環状部材22相互
間に各ロッド56に沿ってゴムやプラスチックのような
弾性材料からなる複数のスペーサ68が配置されてい
る。環状部材22の相互間隔を維持する各スペーサ68
はブロックからなり、各スペーサ68をロッド56が貫
通している。また、図示の例では、各スペーサ68の一
部が各環状部材22の孔52に嵌合されている。これら
のスペーサ68は、地震の際の複数の環状部材22の前
記相対移動およびロッド56の傾斜に伴って弾性変形
し、前記環状部材の相対移動および前記ロッドの傾斜運
動後、変形された状態で環状部材22の相互間隔を維持
する。
【0064】スペーサ68は、複数の環状部材22の前
記相対移動の前後にわたって環状部材22を一定の相互
間隔に維持することから、シール部材24に対する環状
部材22による支持間隔が一定に維持される。このた
め、前記支持間隔におけるシール部材24の耐久力すな
わち耐土水圧を一定に維持することができる。
【0065】また、ロッド56と両筒状体16とはこれ
らの軸線方向に関する相対移動が可能であることから、
地震により両筒状体16の相互間隔が減少しまたは増大
する場合にあっても、継手18は破壊されることなく、
管路10の一部として維持される。
【0066】また、各棒状部材54に沿って、環状部材
22相互間と、環状部材22および各リング部材28の
間とに、それぞれ、鋼製ブロックのような剛性のブロッ
クからなるスペーサ70,72が配置されている(図9
参照)。
【0067】これらのブロック70,72はそれぞれ各
棒状部材54に跨がって載置されており、取り外すこと
ができる。これらのブロック70,72を配置すること
により、各ブロック、各環状部材22および各リング部
材28を介して、一方(図上左方)のセグメントリング
16から他方のセグメントリング16へ軸線方向力を伝
達することができる。したがって、一方のセグメント1
6に反力を担わせて前記シールド掘進機を推進すること
ができる。
【0068】前記シールド掘進機が推進されるとき、そ
のテールシールが継手18の周面に接する。シール部材
24を覆う保護部材34は、前記シールド掘進機のテー
ルシールによってシール部材24が傷付けられることを
防止する。但し、この実施形態における保護部材34
は、環状部材22またはセグメントリング16と同様に
複数の分割片からなりかつ筒状を呈するが、しかし、各
分割片相互は単に互いに突き合わされているだけで接続
されてはいない。
【0069】保護部材34の各分割片は接着等により一
方の筒状体16にそれぞれ固定された端部を有する。よ
り詳細には、保護部材34の各分割片の両端部は、それ
ぞれ、両筒状体すなわち両セグメントリング16に設け
られたつば74の外周面に固定されおよび単に接してい
る。
【0070】スペーサ70,72は、管路10の敷設
後、より詳細には前記シールド掘進機の推進終了後また
は最後のセグメントリングの組立終了後、取り外され
る。
【0071】複数の環状部材22は、図2〜図5に示す
例におけるように、相互に接するものとすることができ
る。また、ユニバーサルジョイント62は、図示の機械
的構造のものに代えて、弾性変形可能の例えばゴム製の
ブロックとすることができる。
【0072】また、図1〜図5に示す複数の環状部材2
2に、図6〜図11に示す棒状部材54を適用すること
ができる。さらに、図1〜図5に示す複数の環状部材2
2は互いに間隔をおいて配置してもよい。
【0073】ところで、図6〜図11に示す実施の形態
の継手18または筒組立体20にあっては、シール部材
24の材質、シール部材24の厚さ寸法、前記土水圧の
大きさ等により、周方向に関するスペーサ68相互間の
空間部分にシール部材24の一部が入り込み、このため
に円筒形の空間が確保されなかったり、あるいは、前記
相対移動をした環状部材22間に挟み込まれたり、ま
た、前記相対移動した後の複数の環状部材24が両筒状
体16の一方の側に斜めに寄り掛かった状態となり、こ
れらの環状部材24と他方の側の筒状体16との間に入
り込むことがある。
【0074】シール部材24のこのような「入り込み」
を防止するため、図12に示す継手18および筒組立体
20にあっては、環状部材22相互間に該環状部材に接
する環状のスペーサ76が配置されている。
【0075】スペーサ76は、ゴムやプラスチック製の
弾性材料からなる。周方向へ連続して伸びるスペーサ7
6は、環状部材22相互間への前記シール部材の一部の
「入り込み」を阻止する。図示の例では、筒状体16が
コンクリート管からなり、その端面が環状の鋼板77か
らなる。シール部材24の両端部はリング部材28によ
り各筒状体16の鋼板77に液密に固定されている。ま
た、シール部材24を取り巻く保護部材34は、その両
端部が、各筒状体16の端部を取り巻きかつ該端部から
突出するカラー16dとシール部材24との間にそれぞ
れ接着および挾持されている。
【0076】図示の例では、環状部材22の内周面の近
傍にその両面または片面から軸線方向に張り出すフラン
ジ78が設けられている。スペーサ76は、その内周面
が互いに相対する両環状部材22の両フランジ78に接
している。これによれば、シール部材24を介してスペ
ーサ76に作用する土水圧による該スペーサの径方向内
方への変形が阻止される。環状部材22にフランジ78
を設けることに代えて、例えば、各スペーサ76の外周
面の側に、各環状部材22の外周面に接するフランジ
(図示せず)を設けることができる。
【0077】各環状部材22および各スペーサ76に
は、それぞれ、複数の孔80,82が設けられている。
各孔80,82は周方向に互いに間隔をおいて設けら
れ、軸線方向へ伸び、これらの孔80,82をステンレ
ス鋼のような材料からなる折れ曲がり可能の棒状部材8
4が貫通している。
【0078】棒状部材84の各端部は、リング部材28
とこれに接する環状鋼板77とを貫通している。リング
部材28と環状鋼板77とは一体のものであってもよ
い。棒状部材84の両端部にはそれぞれ一対のナット8
6が螺合され、複数の環状部材22、複数のスペーサ7
6および両リング部材28がこれらの軸線方向に関して
両筒状体16により締め付けられている。
【0079】ところで、地震の際、管路10の軸線に対
して斜めに入射する地震波のために前記管路がその軸線
方向へ移動し、このために一方の筒状体16が他方の筒
状体16に対してその軸線方向へ相対的に変位すること
がある。このとき、環状部材22相互間に配置された環
状の各スペーサ76は軸線方向に圧縮され、前記筒状体
16の相対変位を吸収する。その結果、管路10の前記
軸線方向移動に伴う立坑12内または前記構築物内への
筒状体14の浸入または突入と、これに伴う立坑12ま
たは前記構築物および管路10の破損、破壊等が防止さ
れる。なお、管組立体20を地中に推進するときの推進
力の伝達のため、軸線方向に伸びる複数の鋼製のスペー
サ(図示せず)を両リング部材28間に配置しかつこれ
に係止させることができる。これらの鋼製のスペーサは
スペーサ70,70と同様、推進後に取り外される。
【0080】また、この例では、シール部材24が前記
重合部を有しない筒状のものからなり、その各端部26
に、円形の横断面形状を有するリング状の弾性体88が
固定されている。弾性体88は、半円形の横断面形状を
有する弾性部材からなり、両弾性部材はシール部材24
の端部26の両面に接着されている。弾性体88は、リ
ング部材28に設けられた前記切り欠き内にあって、前
記締め付けにより、リング部材28と環状鋼板77との
間で扁平状態に押しつぶされている。これにより、シー
ル部材24と環状鋼板77との間の液密性が確保されて
いる。
【0081】図12に示す継手18は、両環状鋼板77
の間に両リング部材28、複数の環状部材22および複
数のスペーサ76を配置し、これらに棒状部材84を通
し、シール部材24を配置し、さらに、両環状鋼板77
をナット86で締め付けることにより形成される。ま
た、筒組立体20は、このようにして組み立てられた継
手18の両側に筒状体16を成形するための型枠を配置
し、該型枠にコンクリートを打設することにより形成す
ることができる。その結果、各環状鋼板77から突出す
る棒状部材84の端部およびこれに螺合されたナット8
6が前記コンクリート中に埋設される。
【0082】筒部材16は、図示のコンクリート管のほ
か、前記したように、鋼管やセグメントリングであって
もよい。
【0083】図13に示すように、地震の発生の際に
は、両筒状体16のレベル差の発生に伴い、複数の環状
部材22が前記したように上下方向に相対移動し、これ
により棒状部材84は各スペーサ76内において塑性変
形し、環状部材22は階段状に整列する。このとき、棒
状部材84の拘束を受ける各スペーサ76は弾性変形す
る。
【0084】特にステンレス鋼からなる棒状部材84は
伸展性に富みまた反対側へのおよび多数回の塑性変形に
耐え、また、環状のスペーサ76は弾性変形によりその
厚さ方向へ収縮可能であるため、図12および図13に
示す継手または筒組立体にあっては、図6〜図11に示
すようなロッド56、ユニバーサルジョイント62等か
らなる揺動・伸縮手段、さらには、棒状部材54は不要
である。
【0085】図2〜図5、図6〜図11および図12〜
13に示す実施形態のいずれについても、地盤中の岩盤
部分および軟弱部分を経て伸びる管路に適用することが
できる。前記岩盤部分を伸びる筒状体と、前記軟弱部分
を伸びる筒状体とは、地震の際、異なる振幅または周期
で揺れることとなるため、前記岩盤部分を通る筒状体
と、前記軟弱部分を伸びる筒状体との間に本発明の継手
を適用しまたは筒組立体を配置することができ、これに
より、岩盤部分および軟弱部分を経て伸びる管路の地震
による破壊を防止することができる。

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 地中に設けられる管路を規定する筒状体
    のための継手であって、両筒状体間に配置される互いに
    相対する複数の環状部材と、前記複数の環状部材を取り
    巻く変形可能な筒状のシール部材であってその両端部が
    それぞれ両筒状体に液密に固定されるシール部材とを含
    む、継手。
  2. 【請求項2】 さらに、前記複数の環状部材のそれぞれ
    に周方向へ互いに間隔をおいて設けられた複数の孔を貫
    通する複数の棒状部材であって両筒状体の相対変位が予
    め定められた大きさに達したときに破断しまたは折れ曲
    がる複数の棒状部材を含み、各棒状部材の両端部が両筒
    状体に固定される、請求項1に記載の継手。
  3. 【請求項3】 さらに、前記複数の環状部材のそれぞれ
    に周方向へ互いに間隔をおいて設けられた複数の孔に通
    された複数のロッドであって各孔の直径が前記ロッドの
    直径より大きい複数のロッドと、各ロッドの両端部にそ
    れぞれ取り付けられたユニバーサルジョイントとを含
    み、各ユニバーサルジョイントが各筒状体にその軸線方
    向へ相対変位可能に取り付けられる、請求項2に記載の
    継手。
  4. 【請求項4】 さらに、前記環状部材相互間に配置され
    前記ロッドが貫通する弾性体からなる複数のスペーサを
    含む、請求項3に記載の継手。
  5. 【請求項5】 前記環状部材相互間と、各筒状体および
    前記環状部材の間とにそれぞれ取り外し可能に配置され
    た複数のスペーサを含む、請求項2に記載の継手。
  6. 【請求項6】 前記複数の環状部材が互いに接しており
    また両筒状体に当接される、請求項1に記載の継手。
  7. 【請求項7】 さらに、前記環状部材相互間に配置され
    た弾性を有する環状のスペーサと、前記環状部材および
    前記スペーサのそれぞれに周方向へ互いに間隔をおいて
    設けられた複数の孔に通された折れ曲がり可能の複数の
    棒状部材であってその両端部が両筒状部材に、該両筒状
    部材の互いに他の一方に向けての相対移動を許すように
    固定される、請求項1に記載の継手。
  8. 【請求項8】 各筒状体が管からなる、請求項1に記載
    の継手。
  9. 【請求項9】 各筒状体がセグメントリングからなり、
    また、各環状部材が複数の分割片からなる、請求項1に
    記載の継手。
  10. 【請求項10】 地中に設けられる管路の一部として用
    いられる筒組立体であって、相対する一対の筒状体と、
    両筒状体の間に互いに相対して配置された複数の環状部
    材と、前記複数の環状部材を取り巻く変形可能な筒状の
    シール部材であってその両端部が両筒状体に液密に接続
    されたシール部材とを含む、筒組立体。
  11. 【請求項11】 さらに、前記複数の環状部材のそれぞ
    れに周方向へ互いに間隔をおいて設けられた複数の孔を
    貫通しかつ両筒状体に固定された両端部を有する複数の
    棒状部材であって両筒状体の相対変位が予め定められた
    大きさに達したときに破断しまたは折れ曲がる複数の棒
    状部材を含む、請求項10に記載の筒組立体。
  12. 【請求項12】 さらに、前記複数の環状部材にそれぞ
    れ設けられ周方向へたがに間隔をおいて複数の孔に通さ
    れた複数のロッドであって各孔の直径が前記ロッドの直
    径より大きい複数のロッドと、各ロッドの両端部にそれ
    ぞれ取り付けられたユニバーサルジョイントであって各
    ユニバーサルジョイントが各筒状体にその軸線方向へ相
    対変位可能に取り付けられたユニバーサルジョイントと
    を含む、請求項11に記載の筒組立体。
  13. 【請求項13】 さらに、前記環状部材相互間に配置さ
    れ前記ロッドが貫通する弾性体からなる複数のスペーサ
    を含む、請求項12に記載の筒組立体。
  14. 【請求項14】 前記環状部材相互間と、各筒状体およ
    び前記複数の環状部材の間とにそれぞれ取り外し可能に
    配置された複数のスペーサを含む、請求項10に記載の
    筒組立体。
  15. 【請求項15】 前記複数の環状部材が互いに接してお
    りまた両筒状体に接している、請求項10に記載の筒組
    立体。
  16. 【請求項16】 さらに、前記環状部材相互間に配置さ
    れた弾性を有する環状のスペーサと、前記環状部材およ
    び前記スペーサのそれぞれに周方向へ互いに間隔をおい
    て設けられた複数の孔に通された折れ曲がり可能の複数
    の棒状部材であってその両端部が両筒状部材に、該両筒
    状部材の互いに他の一方に向けての相対移動を許すよう
    に固定された、請求項10に記載の筒組立体。
  17. 【請求項17】 各筒状体が管からなる、請求項10に
    記載の筒組立体。
  18. 【請求項18】 各筒状体がセグメントリングからな
    り、また、各環状部材が複数の分割片からなる、請求項
    10に記載の筒組立体。
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JP2013100669A (ja) * 2011-11-08 2013-05-23 Fujimura Fume Kan Kk 管状埋設物及びその製造方法

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