JPH10130660A - 砒素および鉛の除去方法 - Google Patents

砒素および鉛の除去方法

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JPH10130660A
JPH10130660A JP30363496A JP30363496A JPH10130660A JP H10130660 A JPH10130660 A JP H10130660A JP 30363496 A JP30363496 A JP 30363496A JP 30363496 A JP30363496 A JP 30363496A JP H10130660 A JPH10130660 A JP H10130660A
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JP
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adsorption treatment
arsenic
activated carbon
lead
adsorption
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JP30363496A
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Inventor
Kenji Ikushima
賢治 幾島
Akihisa Nagai
明久 長井
Kazuyuki Fukuda
一之 福田
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TAIYO ENG KK
Original Assignee
TAIYO ENG KK
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  • Treatment Of Liquids With Adsorbents In General (AREA)
  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 アスファルテン等重質成分を多量含有す
る液体炭化水素、例えば天然ガスコンデンセート中の砒
素および鉛を長期間にわたり連続的に除去する方法を提
供すること。 【解決手段】 砒素および/または鉛およびアスファル
テン等重質成分を含有する液体炭化水素を、(a)第一
吸着処理帯域において、活性炭、アルミナ、シリカゲ
ル、シリカアルミナ、ゼオライトおよび活性白土からな
る群より選択される少なくとも一種を含有する多孔性無
機吸着剤と接触させ、(b)第二吸着処理帯域で比表面
積200m2 /g〜2500m2 /g、平均細孔直径5
Å〜100Åであり、細孔直径20Å〜50Åの細孔の
容積が全細孔容積の30%以上である活性炭と接触させ
ることにより長期連続運転可能な液体炭化水素中の砒素
および鉛の除去方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液体炭化水素、例
えば、天然ガスから回収される天然ガスコンデンセー
ト、特に、重質コンデンセートの如きアスファルテンお
よび硫黄化合物等を多量含有する液体炭化水素中の砒素
その他の重金属の除去方法に関するものである。さらに
詳しくは、天然ガスコンデンセート中のアスファルテン
等と共存する砒素その他の重金属を長期間にわたり連続
的に吸着除去する方法に関するものである。なお、本明
細書において、砒素その他の重金属とは、砒素その他の
重金属元素を一つの構成元素とする化合物の総称とす
る。
【0002】
【従来の技術】天然ガスコンデンセートには、その産地
により含有量は異なるが、多いもので数100ppbの
砒素が含まれている。砒素を含む天然ガスコンデンセー
トまたはこれを蒸留処理して得られたナフサを石油化学
用オレフィンガス、例えば、エチレン、プロピレンの原
料として用い、また、石油精製工程において接触改質等
の原料として使用すると、装置材料として用いられるア
ルミニウム材質がアマルガム腐蝕を惹起したり、白金、
パラジウム等の接触改質用貴金属触媒の被毒が激しく、
触媒活性の低下により、生産活動に重大な支障をきたす
という問題が包蔵されている。また、鉛も上記の液体炭
化水素中に存在すると砒素と同様に触媒毒となる。
【0003】従って、従来、液体炭化水素に含まれる砒
素および鉛の除去方法が種々検討され、各種の砒素およ
び鉛吸着剤およびこれらを用いる除去方法が提案されて
いる。例えば液体炭化水素中に含まれている砒素を、シ
リカ、炭化ケイ素、シリカゲル、活性炭等の担体に銅お
よび硫黄をその一部硫化物形態で担持させた固体物質と
接触させて除去する方法(特開平4−281841号公
報参照。)が提案されているが、固体吸着剤の製造が煩
雑であり、また、砒素の除去率がなお十分でないという
問題が指摘されている。また、水銀および砒素含有炭化
水素を175℃以下において硫黄、亜鉛、パラジウム等
を担持した水銀補集物質と接触させ、水銀を除去した
後、水素の存在下においてより高い温度でかつ130℃
以上の温度でアルミナ担体上のニッケル酸化物等と接触
させ砒素を除去する方法(特開平6−33074号公報
参照。)も開示されている。しかし、この方法は高価な
吸着剤を使用し、水素も必要とする等コスト面での問題
が残されている。さらに、活性炭に銅化合物とクロム族
化合物を担持させた砒素化合物除去剤が提案されている
(特開昭60−238144号公報参照。)。しかし、
この砒素化合物除去剤の製造法が煩雑であり、砒素除去
率もなお十分でなかった。その他、有機過酸化物等の酸
化剤を用いて液体炭化水素中に含まれている砒素を直接
酸化した後、生成物を分離する方法等も開示されてい
る。
【0004】また、液体炭化水素中の鉛を除去する方法
としては、鉛を含有する液状炭化水素をモリブデン硫化
物を含有する吸着剤を用いる方法(特公平6−9969
5号公報参照)、塩化第二銅または含水塩化第二鉄を活
性炭に含浸させた吸着剤を用いる方法(特開昭50−6
4228号)が提案されている。しかし吸着剤の製造に
多数の工程を要するという問題がある。
【0005】さらに、天然ガスコンデンセートにはアス
ファルテン、カーベン、硫黄化合物等が含有され、これ
らが吸着剤の表面を覆い細孔を閉塞し、その寿命を急速
に低下させるためアスファルテン等と共存する砒素およ
び鉛を同時に長期間にわたり連続的に除去することは困
難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、ア
スファルテン、樹脂質等の重質成分を含有する液体炭化
水素中に存在する砒素その他の重金属をアスファルテン
等の影響を受けることなく、長期間にわたって連続的に
効率よく除去する方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
前記の如き天然ガスコンデンセート液体炭化水素中のア
スファルテン等と共存する砒素等の除去方法の開発状況
に鑑み、本発明の課題を解決すべく、鋭意検討を加えた
結果、砒素および/または鉛およびアスファルテンを含
有する液体炭化水素を多孔性無機吸着剤と接触させ、接
触処理後の液体炭化水素を特定の性状を有する活性炭吸
着剤または当該活性炭にアルカリ金属硫化物および/ま
たはアルカリ土類金属硫化物を担持した吸着剤と接触さ
せることにより、砒素および鉛の連続的な吸着除去を効
率的に、しかも長期間安定的に実施できることを見出し
た。本発明はこれらの知見に基いて完成したものであ
る。すなわち、本発明は、砒素および/または鉛および
アスファルテンを含有する液体炭化水素を、第一吸着処
理帯域において活性炭、活性白土、アルミナ、シリカゲ
ル、シリカアルミナおよびゼオライトからなる群より選
択される少なくとも一種である多孔性無機吸着剤と接触
させ、該吸着処理帯域からの吸着処理後の液体炭化水素
を第二吸着処理帯域において、比表面積200m2 /g
〜2500m2 /gおよび平均細孔直径5Å〜100Å
であり、細孔直径20Å〜50Åの細孔の容積が全細孔
容積の30%以上である活性炭を含有する吸着剤と接触
させることを特徴とする液体炭化水素中の砒素および鉛
の除去方法に関するものである。
【0008】さらに、本発明の好ましい実施の態様とし
て、 砒素および/または鉛およびアスファルテンを含有す
る液体炭化水素を a)第一吸着処理帯域において、比表面積200m2
g以上および平均細孔直径100Å以上の活性炭と接触
させ、該吸着処理帯域からの吸着処理後の液体炭化水素
を b)第二吸着処理帯域において、比表面積500m2
g〜1500m2 /gおよび平均細孔直径10Å〜70
Åであり、細孔直径20Å〜50Åの細孔の容積が全細
孔容積の50%以上である活性炭と接触させることから
なる液体炭化水素中の砒素および鉛の除去方法、 砒素および/または鉛およびアルファルテンを含有す
る液体炭化水素を a)第一吸着処理帯域において、比表面積200m2
g以上、細孔直径5Å〜500Åのアルミナ、シリカア
ルミナ、ゼオライトおよび活性白土からなる群より選択
される少なくとも一種と接触させ、該吸着処理帯域から
の吸着処理後の液体炭化水素を b)第二吸着処理帯域において、比表面積500m2
g〜1500m2 /g、および平均細孔直径10Å〜7
0Åであり、細孔直径20Å〜50Åの細孔の容積が全
細孔容積の50%以上である活性炭と接触させることか
らなる液体炭化水素中の砒素および/または鉛の除去方
法を提供することができる。
【0009】以下、本発明について詳細に説明する。
【0010】本発明の液体炭化水素中の砒素および鉛の
除去方法に供される液体炭化水素としては、特に限定さ
れるものではないが、天然ガスから回収される天然ガス
コンデンセートを挙げることができる。例えば、東南ア
ジア産天然ガスコンデンセートには、通常、アスファル
テンを1重量%以上、3重量%程度含有するものがあ
る。アスファルテンは、ベンゼンに可溶でペンタン、ヘ
プタンに不溶のアスファルト系炭素質成分であり、多数
の比較的高分子の縮合環芳香族化合物を主体とし、硫
黄、酸素、窒素分を多量含有するものである。また、天
然ガスコンデンセート中にはアスファルテンの類似物質
として、カーベン等、また、アスファルテンの前駆物質
として樹脂質等も含有する。本発明者らは、これらのア
スファルテンをはじめ、カーベン、樹脂質等が固体吸着
剤の表面に優先的に付着し、砒素等の吸着に有効な細孔
を塞ぐことを観察し、多数の実験によりアスファルテン
含有量が増加するに従って、砒素等に対する吸着性能が
低下することを把握した。この結果、第一吸着処理帯域
においてアスファルテン含有量を約14ppm以下に制
御することができれば第二吸着処理帯域における活性炭
の砒素および鉛吸着率を高水準に維持できることが判明
した。従って、後述のような本発明の構成をとることに
より、アスファルテン等の含有量の多少に拘らず、天然
ガスコンデンセートを処理対象とすることができる。
【0011】本発明の液体炭化水素中の砒素等の除去方
法は、前記のような組成の天然ガスコンデンセート中の
砒素等の除去に極めて効果的に適用することができる
が、天然ガスまたは石油随伴ガスから得られる液体炭化
水素、ナフサ、灯油、軽油、減圧留出油、熱分解ガソリ
ン、接触分解ナフサ等いずれに対しても同様に用いるこ
とができる。
【0012】前記液体炭化水素中の砒素の化学的成分
は、通常、Rn AsH3-n (式中、Rはアルキル基、ア
リール基等であり、nは0または1〜3の整数であ
る。)で表されるような水素化物またはその水素を炭素
数1〜6の低級アルキル基またはフェニル基で置換した
有機化合物の形態で存在している。このような砒素化合
物として、具体的には、アルシン、モノメチルアルシ
ン、ジメチルアルシン、トリメチルアルシン、モノエチ
ルアルシン、ジエチルアルシン、トリエチルアルシン、
モノプロピルアルシン、ジプロピルアルシン、トリプロ
ピルアルシン、モノブチルアルシン、ジブチルアルシ
ン、トリブチルアルシン、モノフェニルジメチルアルシ
ン、ジフェニルモノメチルアルシン、トリフェニルアル
シン、等が挙げられる。また、ハロゲン化された砒素化
合物、例えば、ジメチルクロルアルシンまたは酸化され
た砒素化合物、例えば、トリメチルアルシンオキシド等
の形態で砒素が液体炭化水素、例えば、上記のような石
油留分中に存在することもあり得る。
【0013】このような砒素は、液体炭化水素の種類に
よって異なるが、通常液体炭化水素中に数ppbから数
100ppbまで含有している。本発明の液体炭化水素
中の砒素および鉛の除去方法に適用可能な液体炭化水素
中の砒素濃度には特に制限がなく、広範囲の濃度にわた
っても処理することができ、多量に含まれる砒素もほぼ
完全に除去することができる。
【0014】液体炭化水素中の鉛の化学的成分として
は、有機鉛化合物、例えば、4−シクロヘキシル酪酸
鉛、四エチル鉛等を挙げることができ、原油中に鉛化合
物が混入されてきた場合は、本発明の砒素および鉛の化
合物の除去方法により、容易に吸着除去することができ
る。
【0015】本発明の液体炭化水素中の砒素および鉛の
除去方法において、第一吸着処理帯域で用いられる多孔
性無機吸着剤は、活性炭、活性白土、アルミナ、シリカ
ゲル、シリカアルミナおよびゼオライトからなる群より
選択されるものである。これらの多孔性無機吸着剤とし
ては、細孔構造を特定したものが好ましく、比表面積2
00m2 /g以上および細孔直径2Å〜1000Åの特
性値を有するものを挙げることができる。これらの吸着
剤の細孔がアスファルテン等重質成分により閉塞状態に
ならないように比較的大きい細孔直径を設定したもので
あり、また、好ましい平均細孔直径は100Åである。
このような多孔性無機吸着剤の細孔特性により、アスフ
ァルテン等を選択的に吸着除去することができる。
【0016】本発明の第一吸着処理帯域において用いら
れる活性炭としては、比表面積が200m2 /g以上、
特に、500m2 /g〜2500m2 /gを有するもの
がより好ましい。また、細孔直径としては、2Å〜10
00Å、特に、5Å〜500Å、さらに10Å〜300
Åの範囲が好ましい。平均細孔直径は、100Å以上で
あり、比較的大きい150Å〜200Åの範囲が好まし
い。活性炭の原料としては、特に限定されないが、石
炭、コークス、木炭またはヤシ殻、木材、樹脂、骨炭等
を用いることができる。活性炭の製造過程において賦活
条件として水蒸気含有量15容量%以上の特定の割合と
した賦活ガスを用いることにより前記の細孔構造を有す
る活性炭を調製することができる。これらの細孔構造を
有する活性炭を用いることによりアルファルテン等の吸
着分離と砒素等の除去効率を一層高めることができる。
【0017】活性炭の形状は、特に限定されるものでは
なく、粉末状、円柱状、球状、繊維状およびハニカム状
のいずれの形状でも用いることができる。造粒炭または
成形炭は、常法に従って炭素材料100部に30部〜6
0部の石油ピッチまたはコールタール等をバインダーと
して加え混和成形後賦活して調製することができる。活
性白土は、粘土の一種である酸性白土を硫酸等で処理し
てさらに活性を向上させたものであり、その化学的組成
はSiO2 、Al23 、Fe23 、CaO、Mg
O、K2 Oからなり、細孔構造を有し、比表面積500
2 /g〜2500m2 /g、細孔直径5Å〜500
Å、平均細孔直径50Å〜150Åを有するものを、本
発明の第一吸着処理帯域における多孔性無機吸着剤とし
て使用することができる。
【0018】本発明の第一吸着処理帯域において使用さ
れるシリカゲルは、ケイ酸コロイド溶液を凝固させて製
造されたものである。主成分は二酸化ケイ素であり、細
孔構造を有し、550m2 /g〜700m2 /gの比表
面積を有するものであり、通常0.3ml/g以上の細
孔容積をもち高い吸着性を有する。その形状は特に限定
されるものではなく、活性炭と同様に粉末状、円柱状等
いずれのものも用いることができる。
【0019】本発明の第一吸着処理帯域において使用さ
れるゼオライトはアルミノ珪酸塩であり、三次元骨格と
その間隙に形成された細孔構造を有する物質である。5
00m2 /g以上に達する大きな比表面積とそれに基づ
く高い吸着性を有する。その組成、構造は特に限定を要
することなく、天然品、合成品の何れも使用することが
できる。また細孔容積、粒度、形状は特に限定せず使用
可能であるが、細孔容積が0.3ml/g以上で粒度は
50メッシュ以下(粒子径約0.3mm以上)が好まし
い。ゼオライトは前述のように主としてアルカリ金属ま
たはアルカリ土類金属のアルミノ珪酸塩からなり、メタ
ン型構造のSiO2 四面体とAlO4 四面体が互いに1
個づつの炭素原子を共有したかたちの、規則性を有する
大きな空洞をもった三次元の骨格構造を形成している。
ゼオライトは、化学組成とX線回析図形とにより特定さ
れ、ゼオライトの骨格を形成している酸素の環状構造に
より、ゼオライトは3Å〜10Åの範囲の一定した細孔
直径をもち、この細孔構造に基づく吸着性および分子篩
性をもっている。
【0020】本発明の第一吸着処理帯域において使用さ
れるアルミナは、酸化アルミナを主成分としたもので、
細孔構造を有し、通常、細孔容積が0.3ml/g以上
で高い吸着性を示す。比表面積200m2 /g以上、細
孔直径2Å〜1000Å、平均細孔直径40Å〜120
Åのものが用いられる。このような細孔構造を有するア
ルミナはアルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム等
のアルミン酸アルカリ塩、硫酸アルミニウム、硝酸アル
ミニウム等のアルミニウム無機酸塩等からのアルミニウ
ム水和物の調製条件および熟成条件を任意に制御するこ
とにより製造することができる。
【0021】また、本発明の第一吸着処理帯域において
用いられるシリカ−アルミナの化学的組成はSiO2
よびAl23 からなり、シリカゲルとアルミナゲルを
複合した多孔性構造を有し高い吸着性を示す。シリカア
ルミナ中のシリカの含有量は、5重量%〜50重量%、
好ましくは、10重量%〜40重量%の範囲で選択され
酸点が調整される。本発明において特に25重量%〜3
0重量%の範囲が好ましい。比表面積200m2 /g以
上、細孔直径2Å以上および平均細孔直径100Å以上
が挙げられる。これらの特性値を有するシリカアルミナ
は、シリカアルミナ水和物の調製条件および熟成条件を
任意に特定することにより製造することができる。
【0022】前記のように多孔性無機吸着剤はいずれも
多孔性構造と大きい比表面積を有し高い吸着性を示す。
特に、比表面積が100m2 /g以上、より好ましくは
200m2 /g〜1,500m2 /gである多孔性物質
を用いることがアスファルテン等の吸着除去と共に砒素
等の除去率を高めることができるので好ましい。
【0023】本発明の第一吸着処理帯域において、天然
ガスコンデンセート液体炭化水素と多孔性無機吸着剤と
の接触は、固定床、移動床、流動床および沸騰床のいず
れの方式によることができる。固定床方式によれば多孔
性無機吸着剤粒子を吸着処理帯域に充填固定することに
より構成される充填層に対し液体炭化水素を上昇流また
は下降流として連続的に供給し吸着処理を行なうことが
でき、一方、移動床方式によれば吸着処理帯域一端にお
いて吸着剤粒子を断続的または実質的に連続的に添加
し、そして、他端において断続的または実質的に連続的
に取り出す際に上方から装入される多孔性無機吸着剤粒
子群が重力によって順次落下する間に液体炭化水素と連
続的に接触させることができる。また、流動床および沸
騰床方式は、多孔性無機吸着剤粒子を液体炭化水素の流
れによって浮遊させることにより両者の接触を行なうも
のである。本発明によれば、各種接触方式のうち吸着処
理帯域の構造が簡単であり、操作も容易なことから固定
床方式が好適である。
【0024】多孔性無機吸着剤固定床は、粉末状、破砕
状、円柱状、球状、繊維状またはハニカム状の吸着剤を
吸着処理帯域に充填し、常法に従って固定することによ
り設置することができる。具体的には吸着処理帯域底部
にグラスウールを敷き、シリカボールを設置し、吸着剤
の吸着処理帯域外への流出を防ぐ。前記天然ガスコンデ
ンセートは、上部から下向流として流されるが、下部か
らの上昇流のいずれかにより固定床内の多孔性無機吸着
剤と接触させることができるが、吸着剤を吸着塔内に安
定させる等の点から下向流として流すことが好ましい。
【0025】さらに、活性炭、活性白土、シリカゲル、
ゼオライト、アルミナ、およびシリカアルミナ等の多孔
性無機吸着剤は一種類のみを使用することもできるが、
二種類またはそれ以上を混合して使用することも可能で
ある。
【0026】第一吸着処理帯域における吸着処理条件
は、任意に選択することができ、加温してもよいが、常
温で十分であり、かつ、常圧で前記吸着処理の目的を十
分達成することができる。また、吸着剤の固定床を用い
る場合、LV値は、100cm/分以下、好ましくは、
50cm/分以下に設定することができる。ここでLV
値とは、液体炭化水素の処理量を吸着剤層の断面積で除
した値である。
【0027】第一吸着処理帯域から流出する吸着処理後
の液体炭化水素中の砒素等の含有量は、用いられる吸着
剤の種類により相違するが4ppb〜20ppbに減少
させることができる。また、アスファルテン等は前記多
孔性無機吸着剤上に吸着され、吸着処理後の液体炭化水
素中にはほとんど存在しない状態となる。
【0028】次に、第二吸着処理帯域において用いられ
る活性炭は、比表面積200m2 /g〜2500m2
gおよび平均細孔直径5Å〜100Åの細孔特性を有す
るものである。さらに、このような細孔特性を有する活
性炭のうち、比表面積500m2 /g〜1500m2
g、平均細孔直径10Å〜50Å、特に20Å〜40Å
を有するものが砒素等の選択的な吸着にとって特に好ま
しい。また、全細孔容積は0.4ml/g〜1.5ml
/g、好ましくは、0.5ml/g以上の範囲である。
本発明において、全細孔容積のうち、細孔直径20Å〜
50Åの細孔の容積が30%以上占める活性炭が極めて
有用である。
【0029】特に好ましい活性炭は、平均細孔直径が1
5Å〜70Åであり、細孔直径20Å〜50Åの細孔の
容積が全細孔容積の50%以上であり、この活性炭を吸
着剤として用いることにより後記の実施例において示す
ように液体炭化水素中の砒素をほぼ完全に除去すること
ができ、鉛が存在する場合も砒素と同時に除去すること
ができる。鉛化合物のみが存在する液体炭化水素につい
ても鉛をほぼ完全に除去することができる。
【0030】本発明において、細孔径分布、すなわち、
細孔直径20Å〜50Åの細孔の容積が全細孔容積に占
める比率が30%以上、好ましくは50%以上、さらに
好ましくは70%以上に設定することにより、砒素およ
び鉛の吸着を容易にしたものであり、比表面積および平
均細孔直径を特定することにより、上記吸着を一層効率
よく行なうことができる。
【0031】前記のように、本発明において用いられる
活性炭は、全細孔容積が大きく、かつ、特定の細孔直
径、すなわち、20Å〜50Åの特定範囲の細孔が集中
的に形成され、その細孔容積の比率が高いことに特徴が
あり、液体炭化水素中の砒素および鉛の吸着除去に著し
い効果を発揮するものであり、従来、公知の活性炭とし
ては存在しなかったものである。従って、このような活
性炭を調製するには平均細孔直径が極度に増大すること
を抑制し、かつ、特定の細孔分布が得られるように賦活
条件を選択することが要求される。
【0032】通常、活性炭賦活用ガスは水蒸気および二
酸化炭素ガスを含有するが、本発明において使用する活
性炭は、二酸化炭素ガスの含有量を特に限定されるもの
ではないが、水蒸気含有量が15容量%以上、好ましく
は、20容量%〜60容量%の賦活ガスで活性化処理を
行なう必要がある。
【0033】従って、本発明の賦活処理は、従来の常法
に比較して賦活速度を適度に制御した条件を採用したも
のである。賦活速度を常法に比し遅くしたことによっ
て、実施例および比較例で示すように、細孔直径20Å
〜50Åの領域の細孔容積が増加し、砒素および鉛の吸
着性能が向上していることを観察することができる。
【0034】本発明の活性炭の活性化処理においては、
上記の賦活ガス中での加熱後も活性炭の温度が300℃
以下になるまで、賦活ガスと同様な組成のガス中で冷却
し、その後系外に取り出すことが好ましい。ここで、冷
却時に必要とされる賦活ガスと同様なガスとは、賦活時
に用いられる窒素ガス、炭酸ガスまたはこれらの混合ガ
ス、例えば、酸素ガス、水素ガスの含有量1%〜2%以
下のガスであればよく、賦活に用いられるガスと冷却に
用いられるガスとは、必ずしも同一組成のものでなくて
もよい。
【0035】前記炭素質原料の活性化処理によれば、炭
素質原料を窒素ガス25容量%〜80容量%、水蒸気1
5容量%〜60容量%、二酸化炭素ガス3容量%〜30
容量%、酸素ガス0容量%〜2容量%および水素ガス0
容量%〜2容量%からなる賦活ガスと700℃〜120
0℃の温度で接触させた後、加熱された活性炭を冷却
し、後述の特性値を有する活性炭を調製する。すなわ
ち、上記活性化処理は比表面積200m2 /g〜250
0m2 /gおよび平均細孔直径10Å〜100Åであ
り、細孔直径20Å〜50Åの細孔の容積が全細孔容積
の30%以上の細孔構造を有する活性炭が得られるよう
に上記賦活条件を適宜調整して行なわれる。
【0036】水蒸気含有量が比較的低い賦活ガスを用い
て活性化処理をして得られた活性炭が砒素吸着性能を向
上させる理由は明らかではないが、このような賦活条件
下で得られた活性炭は、細孔径分布に示すように砒素お
よび鉛の吸着に適したミクロポアが高度に発達した構造
を有し、この細孔構造により、液体炭化水素中の砒素お
よび鉛に対する吸着性能が向上しているものと推定する
ことができる。
【0037】本発明の砒素および鉛の除去方法に用いら
れる吸着剤の比表面積は窒素吸着BET法により、ま
た、細孔容積、細孔径分布は、窒素ガス吸着等温線を利
用して算出することができる。
【0038】前記細孔特性を有する活性炭を製造する際
の原料は、特に限定されないが、石炭、コークス、木
炭、骨炭またはヤシ殻、木材、樹脂等の炭化物を使用す
ることができる。前記の活性炭は、炭化物を水蒸気含有
量15容量%以上の賦活ガスを用いて賦活する水蒸気工
程を経て製造することができる。
【0039】活性炭賦活用ガスには水蒸気および二酸化
炭素ガスが含まれているが、本発明の第二吸着処理帯域
で使用する活性炭にとっては二酸化炭素ガスの含有率を
特に限定しないが、水蒸気含有量15%以上のガスで賦
活する必要がある。賦活ガス中の水蒸気含有量を15%
以上、好ましくは、20%〜60%に設定することによ
り、細孔直径20Å〜50Åの細孔の容積が全細孔容積
に占める比率が30%以上の活性炭を得ることができ
る。従って、本発明の活性炭の賦活条件は常法に較べて
特定範囲に制御したものである。
【0040】特定量の水蒸気含有量による賦活条件が活
性炭の砒素等の吸着性能を向上させる機構の詳細は明ら
かでないが、このような賦活条件下で得られた活性炭は
前記の細孔特性を有するものであり、上記のように砒素
等の吸着に適した細孔が、高度に発達した細孔構造を有
し、この細孔構造により液体炭化水素中の砒素等の除去
性能が高くなっていると推定される。賦活処理において
は、賦活後も活性炭の温度が300℃以下になるまで活
性炭を賦活ガスと同様な組成のガス中でゆるやかに冷却
し、その後系外に取り出すことが好ましい。この場合、
冷却時に必要とされる雰囲気である賦活ガスと同様なガ
スとは、賦活時に用いられる窒素ガス、炭酸ガスまたは
これらの混合ガス(酸素、水素の含有量は1〜2%以
下)の雰囲気であればよく、賦活に用いるガスと冷却に
用いるガスとは必ずしも同一組成のものでなくてもよ
い。
【0041】本発明の第二吸着処理帯域においては前記
の活性炭は単体で使用してもよいが、前記のように賦活
処理をした活性炭にアルカリ金属硫化物および/または
アルカリ土類金属硫化物を担持させた吸着剤として用い
ることもできる。このような硫化物は活性炭の吸着性能
を向上させる効果を有する。活性炭に担持するアルカリ
金属硫化物またはアルカリ土類金属硫化物としては特に
限定されないが、アルカリ金属硫化物としては、例え
ば、Li2 S、Na2 SおよびK2 Sが挙げられ、アル
カリ土類金属硫化物としては、例えば、MgSおよびC
aSを挙げることができる。これらのアルカリ金属硫化
物およびアルカリ土類金属硫化物は、一種類または二種
類以上を混合して使用することができるが、これらの化
合物のなかではNa2 Sが最も好ましい。
【0042】アルカリ金属硫化物およびアルカリ土類金
属硫化物の担持量は、特に限定されないが、活性炭に対
して0.1重量%〜30重量%が好ましい。担持量が
0.1重量%以下になると吸着性能が低下する傾向にあ
り、また担持量が30重量%以上になると吸着性能が低
下するという問題が生ずる、また担持量が30重量%以
上になると活性炭の吸着性能がこれらの金属硫化物によ
り阻害され、吸着性能の向上が鈍化するという傾向が現
れる。
【0043】本発明において、第二吸着処理帯域におけ
る液体炭化水素と砒素等吸着剤との接触は、前記の第一
吸着処理帯域と同様に固定床、移動床、流動床および沸
騰床のいずれの方式によることもできるが、吸着処理帯
域の構造が簡単であり、操作も容易なこと等から固定床
方式が好適である。固定床は前記の第一吸着処理帯域に
おける固定床と同様にして構成設置することができる。
吸着剤の形状は特に限定されるものではないが、0.1
5mm〜4.75mm、好ましくは、0.5mm〜1.
7mmの粒径のものを使用することができる。
【0044】本発明の第二吸着処理帯域の吸着剤充填層
は、前記の活性炭からなる吸着剤を充填固定することに
より構成される。充填層としては、前記活性炭吸着剤
に、二種以上の吸着剤を用いることもできる。本発明に
おいては、特に、活性炭にアルカリ金属硫化物および/
またはアルカリ土類金属硫化物を担持させた活性炭吸着
剤を吸着処理帯域入口側に充填固定し、活性炭のみから
なる吸着剤を吸着処理帯域出口側に充填固定することに
より構成した吸着処理帯域を用いることが好ましい。こ
のような充填層構成をとることにより、硫化物担持活性
炭上で金属硫化物と反応した砒素が再溶解した場合にも
後段の吸着帯域で捕獲することが可能であり、また、硫
黄の液体炭化水素中への溶出も抑制することができる。
【0045】前記の活性炭充填層とアルカリ金属等硫化
物担持活性炭充填層の容量比率は前者1重量部に対して
後者1〜2重量部の割合が好ましい。
【0046】第二吸着処理帯域における吸着処理条件
は、前記第一吸着処理帯域と同様に任意に選択すること
ができるが、常温および常圧で十分吸着処理の効果を得
ることができる。また、固定床の場合、LV値を100
cm/分以下、特に50cm/分以下に設定することが
好ましい。
【0047】
【発明の実施の形態】本発明の具体的な実施は、一例と
して次のような形態で行なうことができる。すなわち、
砒素および鉛の有機化合物を金属量として、各々、10
ppbおよび5ppb、アスファルテンを1重量%含有
する天然ガスコンデンセートを第一吸着処理帯域に導入
し粒状活性白土を充填した固定床と接触させ、アスファ
ルテンと砒素等の一部が除去された処理油を第一吸着処
理帯域からとり出し、第二吸着処理帯域に導入し、 ・平均細孔直径; 10Å〜50Å ・細孔直径20Å〜50Åの細孔の容積 が全細孔容積中に占める割合; 70%〜80% ・粒径; 0.4mm〜1.7mm の粒状活性炭を充填した固定床と ・LV値 20cm/分〜30cm/分 ・温度 常温〜50℃ の条件で接触させることからなり、第二吸着処理帯域出
口の処理油中砒素および鉛を各々10ppb以下および
5ppb以下の濃度水準に維持し長期連続処理を行な
う。
【0048】
【実施例】以下、実施例および比較例に基いて本発明を
詳細に説明する。
【0049】実施例等において用いた天然ガスコンデン
セート中のアスファルテンは、試料をトルエンおよびヘ
プタンの有機溶媒に溶解させ、得られた溶液について分
光光度計により波長 750mm、セル 50mmで対
照液トルエンおよびヘプタンで吸光度を測定し、Lamber
t-Beerの式K=log T/0.4343を用いて定量した。
【0050】また、吸着剤の比表面積は、窒素ガスによ
るBET法により測定し、細孔容積および細孔径分布は
日本ベル(株)社製、ベルソーブ28SA製測定器で窒
素ガスの吸着等温線を測定し、これに基いて算出した。
液体炭化水素中の砒素および鉛の含有量は、湿式灰化、
原子吸光光度法(JPI法)により測定した。
【0051】実施例1 砒素含有量が20ppbになるようにトリフェニルアル
シン(As(C65)3 )を添加したオーストラリア産
天然ガスコンデンセート(密度 0.742g/cm3
@15℃、アスファルテン含有量 1重量%)を第一吸
着処理塔(内径10mmのガラス製吸着管に活性白土
(粒径2mm、比表面積1400m2 /g、平均細孔直
径95Å(東洋白土株式会社製ニッカナイト))を24
ml充填)に常温で10ml/分の流速で通過させた。
【0052】第一吸着処理塔から得られた吸着処理後の
コンデンセート中の砒素含有量は、15ppbであった
が、これを第二吸着処理塔(内径10mmのガラス製吸
着管に表4に示す活性炭Xを24ml充填)に常温で1
0ml/分(LV値:1.2cm/分)の流速で通過さ
せ、第二吸着処理塔出口で砒素含有量10ppb以下の
コンデンセートを得た。前記の吸着処理を連続して行な
ったところ、表1に示すように10日間は処理油中の砒
素含有量を10ppb以下に維持することができた。
【0053】実施例2 オーストラリア産天然ガスコンデンセート(密度 0.
742g/cm3 @15℃、砒素含有量20ppb
アスファルテン含有量 1重量%)を第一吸着処理塔
(内径10mmのガラス製吸着管に表4に示す活性炭H
(粒径2mm、比表面積1400m2 /g、平均細孔直
径100Å)を24ml充填)に常温で10ml/分の
流速で通過させた。
【0054】第一吸着処理塔出口から得られた吸着処理
後のコンデンセート中の砒素含有量は、12ppbであ
り10ppb以下には減少しなかった。これを第二吸着
処理塔(活性炭Xを内径10mmのガラス製吸着管に4
00mmの高さまで充填)に常温で10ml/分の流速
で通過させ、第二吸着処理塔出口で砒素含有量10pp
b以下のコンデンセートを得た。前記の吸着処理を連続
して行なったところ、表1に示すように10日間は処理
油中の砒素含有量を10ppb以下に維持することがで
きた。
【0055】* 実施例1と同様にトリフェニルアルシ
ン(As(C653 )を添加して砒素含有量20p
pbとした。以下の実施例等でも同じ。
【0056】実施例3 オーストラリア産天然ガスコンデンセート(密度 0.
742g/cm3 @15℃、砒素含有量20ppb、ア
スファルテン含有量 1重量%)を第一吸着処理塔(内
径10mmのガラス製吸着管にアルミナ(粒径2mm、
比表面積1400m2 /g、平均細孔直径90Å(住友
化学工業株式会社製アルミナ))を24ml充填)に常
温で10ml/分の流速で通過させた。
【0057】第一吸着処理塔から得られた吸着処理後の
コンデンセート中の砒素含有量は、13ppbであった
が、これを第二吸着処理塔(内径10mmのガラス製吸
着管に表4に示す活性炭Aを400mmの高さまで充
填)に常温で10ml/分の流速で通過させ、第二吸着
処理塔出口で砒素含有量10ppb以下のコンデンセー
トを得た。前記の吸着処理を連続して行なったところ、
表1に示すように10日間は処理油中の砒素含有量を1
0ppb以下に維持することができた。
【0058】実施例4 オーストラリア産天然ガスコンデンセート(密度 0.
742g/cm3 @15℃、砒素含有量20ppb、ア
スファルテン含有量 1重量%)を第一吸着処理塔(内
径10mmのガラス製吸着管にシリカアルミナ(粒径2
mm、比表面積310m2 /g、平均細孔直径100
Å)を24ml充填)に常温で10ml/分の流速で通
過させた。
【0059】第一吸着処理塔から得られた吸着処理後の
コンデンセート中の砒素含有量は、13ppbであった
が、これを第二吸着処理塔(内径10mmのガラス製吸
着管に活性炭Xを400mmの高さまで充填)に常温で
10ml/分の流速で通過させ、第二吸着処理塔出口で
砒素含有量10ppb以下のコンデンセートを得た。前
記の吸着処理を連続して行なったところ、表1に示すよ
うに10日間は処理油中の砒素含有量を10ppb以下
に維持することができた。
【0060】実施例5 オーストラリア産天然ガスコンデンセート(密度 0.
742g/cm3 @15℃、砒素含有量20ppb、ア
スファルテン含有量 1重量%)を第一吸着処理塔(内
径10mmのガラス製吸着管にシリカゲル(粒径2m
m、比表面積1400m2 /g、平均細孔直径85Å)
を24ml充填)に常温で10ml/分の流速で通過さ
せた。
【0061】第一吸着処理塔から得られた吸着処理後の
コンデンセート中の砒素含有量は、13ppbであった
が、これを第二吸着処理塔(内径10mmのガラス製吸
着管に活性炭Xを400mmの高さまで充填)に常温で
10ml/分の流速で通過させ、第二吸着処理塔出口で
砒素含有量10ppb以下のコンデンセートを得た。前
記の吸着処理を連続して行なったところ、表1に示すよ
うに10日間は処理油中の砒素含有量を10ppb以下
に維持することができた。
【0062】実施例6 オーストラリア産天然ガスコンデンセート(密度 0.
742g/cm3 @15℃、砒素含有量 20ppb、
アスファルテン含有量 1重量%)を第一吸着処理塔
(内径10mmのガラス製吸着管にゼオライト(粒径2
mm、比表面積1400m2 /g、平均細孔直径10Å
ユニオン昭和(株)製)を24ml充填)に常温で1
0ml/分の流速で通過させた。
【0063】第一吸着処理塔から得られた吸着処理後の
コンデンセート中の砒素含有量は、11ppbであった
が、これを第二吸着処理塔(内径10mmのガラス製吸
着管に活性炭Xを400mmの高さまで充填)に常温で
10ml/分の流速で通過させ、第二吸着処理塔出口で
砒素含有量10ppb以下のコンデンセートを得た。前
記の吸着処理を連続して行なったところ、表1に示すよ
うに10日間は処理油中の砒素含有量を10ppb以下
に維持することができた。
【0064】実施例7 第一吸着処理塔の活性白土の代わりに表4に示す活性炭
I(粒径2mm、比表面積1400m2 /g、平均細孔
直径100Å)を用いたこと以外、すべて実施例1と同
様に処理したところ、第二吸着処理塔出口から砒素含有
量10ppb以下の処理油を得た。結果を表1に示す。
【0065】実施例8 第二吸着処理塔の活性炭Xの代わりに表4に示す活性炭
Cを用いたこと以外すべて実施例1と同様に処理したと
ころ表1に示す結果を得た。
【0066】実施例9 実施例1で用いた天然ガスコンデンセートに4−シクロ
ヘキシル酪酸鉛を添加し、鉛量を25ppbとし、第一
吸着処理塔(内径10mmのガラス管に活性炭H(粒径
2mm、比表面積1400m2 /g、平均細孔直径10
0Å)を24ml充填)に常温で10ml/分の流速で
通過させた。
【0067】第一吸着処理塔出口から得られた吸着処理
後のコンデンセート中の砒素含有量15ppb、鉛含有
量は8ppbであった。これを活性炭Xを充填した第二
吸着処理塔に常温で10ml/分(LV値;1.2cm
/分)で通過させたところ、出口で砒素含有量10pp
b以下、鉛含有量5ppb以下となり、10日間は処理
油中の砒素含有量を10ppb以下、鉛含有量を5pp
b以下に維持することができた。吸着処理の結果を表2
に示す。
【0068】実施例10 第一吸着処理塔において実施例3と同一のアルミナを用
いたこと以外、すべて実施例9と同様に処理したとこ
ろ、第一吸着処理塔から得られた吸着処理油中の砒素含
有量13ppb、鉛含有量10ppbとなったが、第二
吸着処理塔出口から砒素含有量10ppb以下および鉛
含有量5ppb以下の処理油を得、10日間は砒素含有
量および鉛含有量を継続して各々10ppb以下および
5ppb以下に維持することができた。結果を表2に示
す。
【0069】実施例11 活性炭Hの代わりに実施例1で用いた活性白土と同一の
活性白土を用いたこと以外すべて実施例9と同一の条件
で吸着処理を行なったところ、第一吸着処理塔出口で砒
素含有量15ppb、鉛含有量14ppb、第二吸着処
理塔出口で砒素含有量10ppb以下、鉛含有量5pp
b以下であった。
【0070】実施例12 表4に示す活性炭Hの代わりに実施例5で用いたシリカ
ゲルと同一のシリカゲルを用いたこと以外すべて実施例
9と同一の条件、操作により吸着処理を行なったとこ
ろ、第一吸着処理塔出口で砒素含有量13ppb、鉛含
有量10ppb、第二吸着処理塔出口で砒素含有量10
ppb以下、鉛含有量5ppb以下となり、10日間は
砒素含有量10ppb以下、鉛含有量5ppb以下に維
持することができた。
【0071】実施例13 活性炭Hの代わりに実施例6で用いたゼオライトと同一
のゼオライトを用いたこと以外すべて実施例9と同一の
条件、操作により吸着処理を行なったところ、第一吸着
処理塔出口で砒素含有量11ppb、鉛含有量9pp
b、第二吸着処理塔出口で砒素含有量10ppb以下、
鉛含有量5ppb以下となった。
【0072】実施例14 活性炭Hの代わりに表4に示す活性炭Fを用いたこと以
外すべて実施例9と同様に処理したところ、第一吸着処
理塔出口で砒素含有量15ppb、鉛含有量8ppb、
第二吸着処理塔出口で、砒素含有量10ppb以下、鉛
含有量5ppb以下となった。
【0073】実施例15 オーストラリア産天然ガスコンデンセートに4−シクロ
ヘキシル酪酸鉛のみを添加し鉛含有量を25ppbとし
たこと以外すべて実施例9と同様に処理したところ、第
一吸着処理塔出口で、鉛含有量8ppbとなり、第二吸
着処理塔出口で5ppb以下となった。結果を表2に示
す。
【0074】比較例1 第一吸着処理塔を使用せず、活性炭Xを充填した第二吸
着処理塔(内径10mmのガラス製吸着管に表1に示す
活性炭Xを400mmの高さまで充填)のみを使用した
こと以外すべて実施例1と同様にして、天然ガスコンデ
ンセートの吸着処理を行なった。吸着処理の結果を表3
に示す。
【0075】表3に示すように、第二吸着処理塔の活性
炭による処理のみでは、処理油中の残存砒素含有量が高
く、長期間の処理は不可能である。
【0076】比較例2 実施例1において用いたオーストラリア産天然ガスコン
デンセートと同一のものを第一吸着処理塔(内径10m
mのガラス製吸着管に表1に示す活性炭Xを24ml充
填)に常温10ml/分の流速で通過させた。第一吸着
処理塔から得られた処理後のコンデンセート中の砒素含
有量は15ppbであった。これを第二吸着処理塔(内
径10mmのガラス製吸着管に活性炭Hを400mmの
高さまで充填)に常温で10ml/分の流速で通過させ
たところ砒素含有量は11ppbであり、10ppb以
下の処理油を得ることができなかった。
【0077】比較例3 第二吸着処理塔で活性炭Hの代わりにゼオライトを用い
たこと以外すべて比較例2と同様に処理した。結果を表
3に示す。
【0078】比較例4 第二吸着処理塔で活性炭Hの代わりにアルミナを用いた
こと以外すべて比較例2と同様に処理した。吸着処理の
結果を表3に示す。
【0079】比較例5 第二吸着処理塔で活性炭Hの代わりに表4に示す活性炭
I(比表面積1400m2 /g、平均細孔直径120Å
を用いたこと以外すべて比較例2と同一の条件、操作で
砒素の吸着処理を行なった。吸着処理の結果を表3に示
す。
【0080】比較例6 第二吸着処理塔において活性炭Hの代わりに活性白土を
用いたこと以外すべて比較例2と同様に砒素の吸着処理
に供したところ、表3に示す結果を得た。
【0081】比較例7〜10 表3に示す各種吸着剤を用い、比較例2と同一の条件、
操作で砒素および鉛の吸着除去を行なったところ、表3
に示す結果を得た。いずれも処理油中の鉛含有量を5p
pb以下に低下させることはできないか、または、5p
pb以下にできても3日〜5日間維持できたにすぎなか
った。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】
【0084】
【表3】
【0085】
【表4】 以上の実施例および比較例からアスファルテンを含有す
る液状炭化水素中の砒素および鉛を長期間にわたり連続
的に除去するには、第一吸着処理塔で多孔性無機吸着剤
によりあらかじめアスファルテンおよび砒素等の一部を
吸着除去した後、第二吸着処理塔で特定の細孔構造の活
性炭を用いることが必要であり、活性炭の平均細孔直径
および細孔径分布が臨界的要因であることが明らかにな
った。
【0086】
【発明の効果】本発明は、砒素および/または鉛を含有
する液体炭化水素、例えば、天然ガスコンデンセートを
第一吸着処理塔において、活性白土、アルミナ、シリカ
アルミナ、シリカゲル、ゼオライトおよび活性炭からな
る群より選択される少なくとも一種と接触させた後、そ
の処理油を第二吸着処理塔において比表面積500m2
/g以上、平均細孔直径10Å〜100Å、細孔直径2
0Å〜50Åの細孔の容積が全細孔容積の30%以上の
活性炭と接触させることにより、天然ガスコンデンセー
トの如きアスファルテンの共存下においても長期間にわ
たり連続して砒素および鉛を効率よく除去することがで
きる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 砒素および/または鉛およびアスファル
    テンを含有する液体炭化水素を a)第一吸着処理帯域において、活性炭、活性白土、ア
    ルミナ、シリカゲル、シリカアルミナおよびゼオライト
    からなる群より選択される少なくとも一種を含有する多
    孔性無機吸着剤と接触させ、該吸着処理帯域からの吸着
    処理後の液体炭化水素を b)第二吸着処理帯域において、比表面積200m2
    g〜2500m2 /gおよび平均細孔直径5Å〜100
    Åであり、細孔直径が20Å〜50Åの細孔の容積が全
    細孔容積の30%以上である活性炭を含有する吸着剤と
    接触させることを特徴とする液体炭化水素中の砒素およ
    び鉛の除去方法。
  2. 【請求項2】 前記液体炭化水素が天然ガスコンデンセ
    ートである請求項1記載の液体炭化水素中の砒素および
    鉛の除去方法。
  3. 【請求項3】 前記第一吸着処理帯域の活性炭が平均細
    孔直径100Å以上を有するものである請求項1記載の
    液体炭化水素中の砒素および鉛の除去方法。
  4. 【請求項4】 前記第二吸着処理帯域の活性炭が炭素質
    原料を水蒸気含有量15容量%以上の賦活ガス中で活性
    化処理をすることにより得られたものである請求項第1
    項記載の液体炭化水素中の砒素および鉛の除去方法。
  5. 【請求項5】 前記第一吸着処理帯域および第二吸着処
    理帯域が各々粒径0.15mm〜4.75mmの多孔性
    無機吸着剤および活性炭を充填した固定床からなる請求
    項1記載の液体炭化水素中の砒素および鉛の除去方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2788452A1 (fr) * 1999-01-18 2000-07-21 Inst Francais Du Petrole Masse de captation pour l'elimination d'arsenic dans les hydrocarbures

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2788452A1 (fr) * 1999-01-18 2000-07-21 Inst Francais Du Petrole Masse de captation pour l'elimination d'arsenic dans les hydrocarbures

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