JPH10130529A - カーボンブラック加圧成型体及びその製造方法 - Google Patents

カーボンブラック加圧成型体及びその製造方法

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JPH10130529A
JPH10130529A JP8290147A JP29014796A JPH10130529A JP H10130529 A JPH10130529 A JP H10130529A JP 8290147 A JP8290147 A JP 8290147A JP 29014796 A JP29014796 A JP 29014796A JP H10130529 A JPH10130529 A JP H10130529A
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JP
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carbon black
pressure
molded body
press
molded
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JP8290147A
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English (en)
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Michihiro Ikeda
道弘 池田
Tadashi Hashiguchi
正 橋口
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】カーボンブラックの基本特性を損なうことな
く、コンパクト性に優れ、取り扱いに適したカーボンブ
ラック加圧成型体を得る。 【解決手段】 成膜可能な高分子化合物で被覆されたカ
ーボンブラック加圧成型体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規且つ有用な形
態であり各種の用途に汎用的に使用することができるカ
ーボンブラックに関する。
【0002】
【従来技術】カーボンブラックは黒色顔料として代表的
なものであり、その他にもゴム組成物における補強材料
等、様々な用途に使用されている。ところで現在、ファ
ーネス法により製造されたカーボンブラック(以下、
「ファーネスブラック」という。)が、カーボンブラッ
ク市場における主流として流通している。
【0003】カーボンブラックは歴史的にはランプブラ
ック、サーマルブラックが存在したが、現在では市場の
製品のほぼ大部分が、1942年にフィリップスが開発
したファーネス法、すなわち1300℃以上に加熱した
炉内に、原料油を噴霧してカーボンブラックを得る方法
によるものとなっている。これは、その収率の高さ等の
生産性に優れると同時に、ファーネスブラックの特性、
特にその粒子径及びストラクチャーの小さいものを得る
ことができ、インク、塗料の黒色度を高め優れた性能を
発揮することができることに起因していると考えられ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一方、上述のファーネ
スブラックは、その小粒子径、小ストラクチャー及び表
面吸着物質が少ないことに起因し、ビヒクルへの分散が
困難となる傾向にある。更に小粒子径であり嵩密度が低
いために、発塵性、汚染性等の問題があり、使用・輸送
に際して環境上の問題も大きい。すなわち、ファーネス
法で製造されたカーボンブラックは、通常、製造直後の
嵩密度が0.1g/cc前後という極めて低い値を示
す。この低い嵩密度の値が起因して、包装袋のコスト、
倉庫での保管費用、トラック・貨車、船舶での輸送コス
トが高く、流通・使用時の発塵も多く、環境を汚染しや
すい。
【0005】かかる問題を解決するために、通常、ビー
ズ品と呼ばれる乾式造粒品や湿式造粒品が用いられてい
る。ビーズ品は嵩密度が0.3〜0.5g/ccと未処
理のカーボンブラックに比較してかなり嵩密度が高い。
しかし、計量時における粉塵発生の抑制や輸送時の造粒
物の粉化の抑制は充分とは言えない。また、造粒によっ
て塗料やインクの原料であるワニスや樹脂といったビヒ
クルへの分散性が悪くなり、ビーズ品は使用できない場
合がある。これに関して本発明者らの知見によれば、ビ
ース品はその造粒過程において、長いストラクチャー構
造を有するカーボンブラック粒子が相互に絡まりながら
造粒されるため、分散性が劣るものとなることも考えら
れる。このように、カーボンブラック、特に小粒径とす
ることができるファーネスブラックのハンドリング性す
なわち取り扱い時の容易さと、ビヒクルへの分散性は、
二律背反関係にあり、ハンドリング性と分散性とを同時
に解決することは、極めて困難であると考えられてき
た。例えば、カーボンブラック協会編「カーボンブラッ
ク便覧<第三版>」(P.563)には、『汚染が少な
くハンドリング性の優れるカーボンブラック、インキの
生産や品質を更に向上させる為の易分散性カーボンブラ
ックの開発が大きなニーズとなって来るものと考えられ
る。カーボンブラックのハンドリング性と分散性は二率
背反関係にあり、界面化学やレオロジー、カーボンブラ
ック形態や包装、出荷形態等の垣根を越えた改善が必要
である。』と記載されていることからも判るように、カ
ーボンブラック業界において、ハンドリング性と分散性
を同時に解決することは極めて困難であると広く認識さ
れており、従来から様々な提案がなされているが、この
2つの問題を同時に解決した例は無い。
【0006】一方、一般的に嵩高い粉体を、嵩密度を向
上させて粉塵飛散、輸送・貯蔵コストの低減を図るため
に粉体を包袋に充填して脱気、加圧を行うことが従来よ
り試みられている(特公昭55−44784号公報、特
公昭55−41269号公報、特開昭54−44995
号公報、特開昭54−146198号公報、特開平3−
199272号公報)。しかしながら、この場合、使用
時に包袋を開ければ、粉体の状態でむき出しになるた
め、粉塵発生を防ぐことはできない。特にファーネス法
で得られるファーネスブラックを始めとするカーボンブ
ラックのように嵩高く飛散しやすい粉体では、粉塵発生
による汚染が大きいことは上述のとおりでありこれらの
従来技術では解決策とはならない。また、上述したよう
にカーボンブラックでは分散性とハンドリング性とを同
時に解決することは極めて困難であると考えられてきた
ため、上記技術においてカーボンブラックが固化するま
で加圧することはむしろ望まれてはいなかったと考えら
れる。
【0007】ファーネスブラック登場以前に存在したラ
ンプブラック等のカーボンブラックについては、例えば
イギリス特許551,862号(1941年出願)では
ランプブラック等をプレス脱気して嵩密度を向上し、ハ
ンドリング性を向上することが試みられており、イギリ
ス特許618,955号(1946年出願)では、イギ
リス特許551,862号におけるプレス脱気を行うた
めの装置が提案されている。
【0008】また、ドイツ特許1302382号(19
66年出願)では、プレスにより密度を高くする装置に
より0.160〜0.480g/ccのランプブラック
成形体を得たと記載されている。また、ファーネスブラ
ックについても、例えば特開平3−259962号公報
ではカーボンブラックの水スラリーを吸引濾過後ブロッ
クのまま乾燥して、ブロックの表面にカゼイン・デンプ
ン・ポリビニルアルコール水溶液と、スチレン・ブタジ
エンラテックスまたはアクリル系ラテックスを塗布する
ことによりハンドリング性を向上することを試みてい
る。しかし、この方法では超微粉であるカーボンブラッ
クのスラリーを作製し、更にこのスラリーを濾過、乾燥
する必要があり、多大な労力及びコストを要する。しか
も得られるブロックは、分散性が大きく低下することが
考えられる。
【0009】また、特開平6−122111号公報では
カーボンブラック粉体を密閉型成形容器に仕込み、減圧
処理した後、該容器内の圧力を常圧に復元することによ
り成形体を得ている。しかし、減圧により加えられる成
形圧力は大気圧(約1.03kg/cm2)以下であ
り、輸送コストや倉庫費用を小さくするほど嵩密度を大
きくすることはできない。
【0010】また、得られる成形体表面には大きな凹凸
が発生することが判った。これは、嵩高い粉であるカー
ボンブラックを気圧差により圧密するため、仕込んだカ
ーボンブラックの一部が吹き飛んだりするためではない
かと考えられる。このため、輸送中の粉化や破損が発生
し、ハンドリング性(コンパクト性)と分散性を同時に
解決してはいない。このように、ファーネスブラックに
ついては、従来一般的に認識されていたハンドリング性
と分散性の二律背反関係を解決し、これらを同時に満足
する技術は未だ見出されず、依然として粉末状、又は粒
状の製品が流通し、粉塵等上述の問題を解決することは
できなかった。すなわち、貯蔵・輸送コスト、ハンドリ
ング・環境の向上を図ることによってカーボンブラック
を塗料、インキ、樹脂着色やゴム補強用等各用途に使用
した際の基本特性を損なったのでは、製品として満足さ
れるべきものとは認められず、市場に受け入れられるこ
とはできない。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく、鋭意検討を重ねた。その結果、カーボンブ
ラックを加圧成型して成型体とし、これに特定物質によ
る被膜を形成することによって、上述したように従来二
律背反と認識されてきたハンドリング性及びビヒクルへ
の分散性を同時に解決する、すなわちハンドリング性を
大きく向上するとともに分散性も十分なものとすること
ができることを見出した。すなわち、本発明は、成膜可
能な高分子化合物からなる被膜を有するカーボンブラッ
ク加圧成型体に存する。
【0012】本発明は又、輸送・貯蔵コストを大幅に低
減すると同時に輸送時・使用時の環境汚染問題を解決す
る画期的なものである。更に、本発明によりカーボンブ
ラックを顔料として用いた際の黒色度が向上するという
効果も発揮される。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明で使用するカーボンブラックは、ファーネ
ス法で製造したカーボンブラック、アセチレンブラック
等各種のカーボンブラックが挙げられる。これらのうち
特に、ファーネス法で製造したファーネスブラックを用
いた場合、その分散性の保持に極めて顕著な効果を発揮
する。更に、漆黒度向上の効果も大きなものとなる。
【0014】また、これらのカーボンブラックを各種の
酸化剤等で後処理したものを使用することもできる。カ
ーボンブラックの粒子径は、特に制限されないが、特に
1〜60nm、更に1〜50nmの小粒子径の範囲で分
散性、ハンドリング性向上の効果が高く、また漆黒度の
向上にも高い効果を発揮する。
【0015】かかる範囲の微細な粒子径を有するカーボ
ンブラックは、カーボンブラック同士の凝集性が強く、
インク、塗料、着色樹脂、ゴム等を製造する際に分散が
特に困難であった。これらの分散が困難なカーボンブラ
ック程、本技術の利点が大いに発揮できるという利点も
挙げられる。本発明においては、これらカーボンブラッ
クを加圧して成型した加圧成型体とする。この際使用す
る型としては、成型時の印加圧力に耐えうる強度を有し
ていれば如何なる材質の型を用いてもよい。例えば金属
製の型としてはSUS304、SUS316等のステン
レス製金型、炭素鋼製金型、タングステンカーバイド等
の超鋼等が使用できる。又、樹脂製型としては、ポリ四
フッ化エチレン(PTFE)(商標:「テフロン」)、
ポリ三フッ化塩化エチレン(PCTFE)、ポリ四フッ
化エチレン・六フッ化プロピレン(FEP)等のフッ素
系樹脂製型、ナイロン、ポリエチレン、ポリカーボネイ
ト、フェノール樹脂等のプラスチック類、更に複合材料
としてCFRP、GFRP等のFRP、セラミックス製
型としては、アルミナ、ジルコニア、ムライト等が使用
挙げられる。
【0016】型の大きさは制限されないが、実用的には
1cc以上、好ましくは100cc以上のものが挙げら
れる。1cc未満では輸送が煩雑となるためである。ま
た、必要に応じて、大型の成型体を作製し、これを適当
な大きさに切断し、その集合体として輸送・使用しても
よい。得られる成型体が1cc以上となるべく成型する
のが好ましい。なお、目的、使用状況に応じた成型体の
形状とするべく、各種形状の型を用いることができる。
例えば、大量を積載するのに適した角柱状の他、転がり
性、使用時の釜への投入の容易さを考慮した円柱状、ビ
ヒクルへの分散性を考慮して孔、切れ目等を入れてあっ
てもよい。
【0017】カーボンブラック成型体の形状を多角形の
断面を有する柱状体、特に直方体或いは立方体とすれ
ば、カーボンブラックを輸送するトラックや貨車或いは
倉庫が一般的に直方体であることから、これらの空間を
隙間無くカーボンブラック成型体で充填できるため、輸
送コストや倉庫保管費用の削減には特に好ましい。加圧
に使用するプレス機としては、油圧機械式プレス機、油
圧ハンドプレス機、機械式プレス機、エアーシリンダー
式プレス機等、加圧成型できるものであれば如何なるプ
レス成型機でもよい。
【0018】カーボンブラックを上述の型に入れ、加圧
することにより成型する。この際、得られる成型体の密
度を以下の範囲とするのが望ましい。すなわち、密度ρ
(g/cc)を、 ρ=8.190×10ー3Dー3.824×10ー3L+
0.516 以上、 ρ=3.265×10-3D−3.334×10-3L+
1.173 以下、とする。より好ましくは、 ρ=8.686×10-3D−4.031×10-3L+
0.543 以上、 ρ=3.123×10-3D−3.189×10-3L+
1.072 以下、がよい。なお、成型体の密度とは、成型体の質量
を体積で割って得た値である。
【0019】上記の各式において、D(nm)はカーボ
ンブラックの電子顕微鏡による算術平均粒子径、L(m
l/100g)とする)はDBP吸油量である。ここ
で、DBP吸油量は、JIS K6221−1982に
準拠した方法で測定した値である。また、カーボンブラ
ックの粒子径は、以下に示す方法による測定値である。
カーボンブラックをクロロホルムに投入し200KHz
の超音波を20分間照射し分散させた後、分散試料を支
持膜に固定する。これを透過型電子顕微鏡で写真撮影
し、写真上の直径と写真の拡大倍率により粒子径を計算
する。この操作を約1500回にわたって実施し、それ
らの値の算術平均により求める。
【0020】密度を上記の範囲とすることにより、ビヒ
クルへの分散性等カーボンブラックの基本特性を損なう
ことなく、取り扱い性の特に優れたものとすることがで
きる。更に、インキ、塗料等に用いた際の漆黒度が原料
粉末に比べ、向上させることができるという、意外な効
果をも発揮する。これらの効果は、上記のより好ましい
範囲として記載した範囲において、特に顕著に発現され
る。
【0021】なお、本発明のカーボンブラック成型体
は、粉化率が40%以下、より好ましくは20%以下と
したものが特に好ましい。粉化率としては、カーボンブ
ラック加圧成型体を25±1g(W)迄精秤し、JIS
K−6221に準拠した直径200mm、目開き1m
mの篩に入れる。この篩に受け皿と蓋を取り付け、JI
S K−6221に準拠した振とう機で20秒間打撃を
与えながら振とうする。振とう機から受け皿を取り外
し、受け皿中のカーボンブラックの重量を0.01g迄
精秤し、これを振とう後の重量(WR)とし、次式によっ
て求めた値である。 粉化率(%) = (WR/W)×100 粉化率を40%以下とすることにより、輸送中に成型体
に加わる振動や摩擦等の外力による粉化を防止でき、ハ
ンドリング性が特に優れたものとなる。
【0022】また、原料である粉状カーボンブラツクの
嵩密度とカーボンブラツク成型体の密度との比(以下、
「嵩密度比」ともいう。)が2.5〜8倍、より好まし
くは3〜7倍とするのが良い。この嵩密度比が2.5よ
りも低い場合、成型体のコンパクト性が低下する傾向に
ある。一方、嵩密度比が8を超えると、分散性が低下す
る傾向にある。嵩密度比が2.5〜8とすれば、コンパ
クト性と分散性とが同時に極めて好ましい範囲で満足さ
れる。
【0023】加圧成型時の圧力(成型圧力)は、2〜5
00Kgf/cm2 以下、より好ましくは5〜400Kgf/cm2
以下とするのがよい。成型圧力が2Kgf/cm2を下回る
と、コンパクト性が低下、粉化率が増加する傾向にあ
る。一方、成型圧力が500Kgf/cm2 よりも高い場合、
通常のインクや塗料等の製造時に使用される分散機で
は、分散性が十分でないことがある。一方、これ以上圧
力を高くしてもコンパクト性向上の効果は殆ど得ること
ができない。このため、インク、塗料、着色樹脂、ゴム
等を工業的に製造する際に使用するカーボンブラック成
型体としては、2〜500Kgf/cm2 以下で加圧成型する
のが適当である。
【0024】なお、加圧成型に際しては、予めカーボン
ブラック粒子間の気体を減圧チャンバーを用いて脱気し
た後、加圧成型する態様を採ることもできる。例えば図
1に示す装置を用いて説明すると、以下の如き方法を採
ることができる。まず、図1に本発明に用いることので
きる成型機及び一連の成型操作(充填・真空脱気・加圧
・終了)を示す。ここで図1中、1は油圧シリンダ
(上)、2はシリンダー、3は真空チャンバー、4は上
パンチ、5は下パンチ、6はダイ、7は油圧シリンダ
(下)である。図1に示すように、摺動可能なシリンダ
ーとピストンとを有する型に、成型しようとする原料で
あるカーボンブラック粉末を充填する。シリンダー上部
にセットした真空チャンバー内及びシリンダー内はガス
ケット材によりその外部と実質的に遮断される。次に、
真空チャンバーに接続した真空ポンプを機動させて真空
状態を保持したまま、ピストンを下降させシリンダー内
のカーボンブラックを加圧成型する。その後、真空ポン
プの運転を停止し、チャンバー及びシリンダー内の雰囲
気圧力を大気圧に戻す。その後、真空チャンバーとピス
トンを上昇させてカーボンブラック成型体を取り出すこ
とにより、減圧チャンバーによるカーボンブラック粒子
間の気体の脱気及びこれに引き続くカーボンブラックの
加圧成型を行うことができる。
【0025】この際、減圧時の圧力は、0.01〜50
0Torrで行うのが好ましい。500Torr以下に
おいて、粒子間の脱気が非常に容易であり、一方0.0
1Torr以下としても格別の優位性を示すことなく、
高真空にする煩雑性が増すのみであるためである。本発
明においては、こうして得られたカーボンブラック成型
体を成膜可能な高分子化合物で被覆する。
【0026】ここで成膜可能な高分子化合物とは、カー
ボンブラック成型体の表面に被膜を形成しうる材質であ
ればよく、例えば、ABS樹脂、ポリアクリルアミド、
ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリ
ロニトリリル、ポリアクリロニトリルエステル、スチレ
ン、ポリメタクリルアミド、ポリメタクリル酸、ポリメ
タクリル酸エステル、ポリメタクリリロニトリル等のア
クリル樹脂、アイオノマー、塩素化ポリエーテル、クマ
ロンーインデン樹脂、再生セルロース、石油樹脂、、ア
ルカリセルロース、セルロースエステル、アエルロース
アセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロ
ースザンテート、セルロースニトレート、セルロースエ
ーテル、カルボキシメチルセルロール、セルロースエー
テルエステル、メチルセルロース、エチルセルロース、
エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシポロピ
ルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロイ
ド等のセルロース誘導体、FEP、ポリクロロトリフル
オロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ
化ビニリデン、ポリフッ化ビニル等のフッ素樹脂、ナイ
ロン11、ナイロン12、ナイロン6、ナイロン61
0、ナイロン612、ナイロン66等の脂肪族ポリアミ
ドやポリフェニレンテレフタルアミド、ポリフェニレン
テレフタルアミド等、ポリアミドイミド、ポリアミド酸
等のポリアミド、ポリアリレート、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、塩素
化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、更に
高分子量ポリエチレン、低分子量ポリエチレン、高密度
ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレ
ン、LLDPE等のポリエチレン、ポリイソブチレン等
のポリブテン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポ
リカーボネート、ポリスチレン、更にポリエーテルスル
ホン、ポリスルホンアミド等のポリスルホン、ポリビニ
ルアルコール、ポリケイ皮酸ビニル、ポリ酢酸ビニル、
プロピオン酸ビニル、ポリビニルステアレート、ポリビ
ニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルピ
ロリドン等のポリビニルエステル、ポリイソブチルビニ
ルエーテル、ポリメチルビニルエーテル等のポリビニル
エーテル、ポリフェニレンオキサイド、ポリブチレンテ
レフタレート、ポリプロピレン、ポリメチルスチレン、
ポリメチレンが使用できる。ポリエチレンオキサイド、
ポリビニルステアレート、塩酸ゴム、環化ゴム、アラビ
アガム、コパールガム、ポリウレタン樹脂、ジアリルフ
タレート樹脂、ユリア樹脂、メラニン樹脂、ウレタン樹
脂、ブタジエン樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ロ
ジン樹脂、石油樹脂、ギルソナイト、アルキド樹脂、変
性アルキド樹脂、セラック、ダンマル、ロジン変性マレ
イン酸樹脂、スチレン変性マレイン酸樹脂、硝化綿、カ
ゼイン、でんぷん、糖類、ABS樹脂、液晶ポリマー等
が挙げられる。
【0027】また、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エ
チレン/エチルアクリレート共重合体、エチレン/メタ
クリル酸ランダム重合体、エチレン/アクリル酸共重合
体、エチレン/エチレンアクリレート共重合体、エチレ
ン/塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/塩化
ビニルグラフト樹脂、エチレン/ビニルアルコール共重
合体、カルボキシビニルコポリマー、ポリアセター
ル、、N−ビニルピロリドン/ビニルアセテート共重合
体、メチルビニルエーテル/ビニルアセテート共重合体
等の共重合体も使用できる。
【0028】更にアニリン樹脂、尿素樹脂、ポリスルホ
ンアミド、メラニン樹脂等のアミノ樹脂、CRー39、
フタル酸ジアリル樹脂等のアリル樹脂、アルキド樹脂、
エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ビニルエステル樹脂等
が使用できる。ノボラック樹脂、レソルシノール樹脂等
のフェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フラン樹
脂等の熱硬化性樹脂も使用できる。
【0029】本発明における被覆は成型体の表面で高分
子が成膜化する様な付着被膜、いわゆるコーティング被
覆によって達成され、具体的な被覆方法としては、特に
限定されず、例えば、これらの高分子化合物を溶媒に溶
解するか或いは熱可塑性樹脂であれば加熱溶融した液状
樹脂組成物を、エアドクタコータ、ブレードコータ、ロ
ッドコータ、ナイフコータ、スクイズコータ、含浸コー
タ、リバースロールコータ、トランスファーロールコー
タ、グラビアコータ、キースコータ、キャストコータ、
スプレイコータ、スロットオリフィスコータ等を用いて
被覆する方法が挙げられる。
【0030】カーボンブラックを被覆するための方法と
して、例えばカーボンブラック粉体を袋に入れて真空脱
気することも考えられるが、この方法ではカーボンブラ
ックが微小な粉末状であるため、減圧時に粉体を減圧系
が吸い込み充分に空気を抜く事ができない。また、この
方法では加圧が大気程度であり充分な体積減少が出来ず
依然として嵩高い状態の解消には不十分である。本発明
によりカーボンブラック加圧成型体を成膜可能な高分子
化合物で被覆することにより、第一にカーボンブラック
が既に加圧成型体として充分に体積減少を達成している
点、第二にこの表面を製膜可能な高分子が被覆する為に
表面の硬度が高く搬送時における成型体の破損が防止で
きる点、第三に包装材料として、フィルムを使用する必
要が無い為に、分子量が割合低くフィルムとして加工し
にくい材料も被覆材料として使用できる点といった利点
を得ることができる。
【0031】以上説明したようにカーボンブラツクを特
定物質により被覆することにより汚染性やハンドリンク
性が向上するのであり、かかる目的の為には被覆層の厚
さは薄いほど好適であるとも考えられるが、被覆層の厚
さが10μm未満の場合、カーボンブラックの汚染が充
分に防止できないことがあるので、被覆層の厚さは10
μm以上とするのが望ましい。
【0032】こうして得られる本発明の被覆されたカー
ボンブラック加圧成型体は、ハンドリング性、環境汚染
防止効果が特に優れている。例えば、そのままビヒクル
に投入すれば、使用時の粉塵発生をほぼゼロにすること
ができる。また、カーボンブラックの部分の密度が十分
に大きく、輸送・貯蔵コスト削減の効果が著しいと同時
に、粒子間の脱気が十分に行われているので、ビヒクル
への分散性が特に優れている。また、表面がコートされ
ているので、汚染防止効果が特に優れている。
【0033】以下、本発明を実施例により更に詳細に説
明する。 (実施例1) (1)成型体の作製 油研株式会社製炭素鋼金型(内法150mm×150mm、
高さ360mm)に三菱化学社製カーボンブラック#45
(粒子径24nm、DBP吸油量53cc/100gカーボン
ブラック、嵩密度0.218g/cc)を1Kg入れ、油
研株式会社製20ton油圧プレスにセットした。成型
圧力40kgf/cm2で加圧成型し、成型密度を測定
した所0.761g/ccであった。 (2)塗布 容量500mlのステンレス製ビーカーにハリマ化成株
式会社製ロジン樹脂(商品名;ハートール R−X 軟
化点;79℃)を200g入れた。このビーカーを16
0度に設定したBUCHI社製オイルバス(型式;47
1)に漬けてトールロジンを溶解した。刷毛を用いて上
記カーボンブラック成型体に溶解したトールロジンを塗
った。ロシン樹脂で被覆したカーボンブラック成型体表
面を触れても汚染される事無くまた、表面が樹脂で硬化
している為に搬送時の粉化を防止することができた。 (実施例2) (1)成型体の作製 油研株式会社製炭素鋼金型(内法150mm×150mm、
高さ360mm)に三菱化学社製カーボンブラック#45
(粒子径24nm、DBP吸油量53cc/100gカーボン
ブラック、嵩密度0.218g/cc)を1Kg入れ、油
研株式会社製20ton油圧プレスにセットした。成型
圧力40kgf/cm2で加圧成型し、成型密度を測定
した所0.761g/ccであった。 (2)塗布 容量500mlのステンレス製ビーカーにハリマ化成株
式会社製ハードロジン(商品名;ネオトール 85 軟
化点;87℃)を200g入れた。このビーカーを16
0度に設定したオイルバスに漬けてトールロジンを溶解
した。刷毛を用いて上記カーボンブラック成型体に溶解
したトールロジンを塗った。ハードロジンで被覆したカ
ーボンブラック成型体表面を触れても汚染される事無く
また、表面が樹脂で硬化している為に搬送時の粉化を防
止することができた。 (実施例3) (1)成型体の作製 油研株式会社製炭素鋼金型(内法150mm×150mm、
高さ360mm)に三菱化学社製カーボンブラック#45
(粒子径24nm、DBP吸油量53cc/100gカーボン
ブラック、嵩密度0.218g/cc)を1Kg入れ、油
研株式会社製20ton油圧プレスにセットした。成型
圧力40kgf/cm2で加圧成型し、成型密度を測定
した所0.761g/ccであった。 (2)塗布 容量500mlのステンレス製ビーカーにハリマ化成株
式会社製マレイン酸樹脂(商品名;ネオトール F 軟
化点;98℃)を200g入れた。このビーカーを16
0度に設定したオイルバスに漬けてトールロジンを溶解
した。刷毛を用いて上記カーボンブラック成型体に溶解
したトールロジンを塗った。トールロシンで被覆したカ
ーボンブラック成型体表面を触れても汚染される事無く
また、表面が樹脂で硬化している為に搬送時の粉化を防
止することができた。 (実施例4) (1)成型体の作製 油研株式会社製炭素鋼金型(内法150mm×150mm、
高さ360mm)に三菱化学社製カーボンブラック#45
(粒子径24nm、DBP吸油量53cc/100gカーボン
ブラック、嵩密度0.218g/cc)を1Kg入れ、油
研株式会社製20ton油圧プレスにセットした。成型
圧力40kgf/cm2で加圧成型し、成型密度を測定
した所0.761g/ccであった。 (2)塗布 容量500mlのガラス製ビーカーに五共産業製ポリビ
ニルピロリドン(商品名;ルビスコールK−30)10
0gとイソプロピルアルコール100gを入れてポリビ
ニルピロリドン50%溶液を調整した。この50%液を
井内盛栄堂製ハンドスプレーヤー(IK−1.5)に入
れた。ポリビニルピロリドン溶液を噴霧してカーボンブ
ラック表面をコーティングした。コーティングした成型
体を室温で1時間放置乾燥した後、再度同様の操作でス
プレーコーティングした。ポリビニルピロリドン50%
液をスプレーコーティングしたカーボンブラック成型体
は表面を触れても汚染される事無くまた、表面が樹脂で
硬化している為に搬送時の粉化を防止することができ
た。 (実施例5) (1)成型体の作製 油研株式会社製炭素鋼金型(内法150mm×150mm、
高さ360mm)に三菱化学社製カーボンブラック#45
(粒子径24nm、DBP吸油量53cc/100gカーボン
ブラック、嵩密度0.218g/cc)を1Kg入れ、油
研株式会社製20ton油圧プレスにセットした。成型
圧力40kgf/cm2で加圧成型し、成型密度を測定
した所0.761g/ccであった。 (2)塗布 三菱化学エンジニヤリング社製ジャケット付き溶融釜
(容量60リットル、直径40cm)にハリマ化成株式
会社製ロジン樹脂(商品名;ハートール R−X軟化
点;79℃)を20kg入れた。この釜に160度の熱
媒体オイルを循環させてロジン樹脂を溶解した。釜の中
の溶解したロジン樹脂にカーボンブラック成型体を静か
入れ約5秒浸漬して引き上げた。ロシン樹脂で被覆した
カーボンブラック成型体表面を触れても汚染される事無
くまた、表面が樹脂で硬化している為に搬送時の粉化を
防止することができた。
【0034】
【発明の効果】本発明により、カーボンブラックの基本
特性を損なうことなく、汚染やと粉化の防止に優れ、取
り扱いに適したカーボンブラック加圧成型体を得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いることのできる成型機及び一連の
成型操作を示す図
【符号の説明】
1 油圧シリンダ(上) 2 シリンダー 3 真空チャンバー 4 上パンチ

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】成膜可能な高分子化合物で被覆されたカー
    ボンブラック加圧成型体。
  2. 【請求項2】熱溶融した樹脂で被覆することにより被覆
    を形成することを特徴とする請求項1記載のカーボンブ
    ラック加圧成型体。
  3. 【請求項3】溶媒で溶解した樹脂で被覆することにより
    被覆を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載
    のカーボンブラック加圧成型体。
  4. 【請求項4】カーボンブラック加圧成型体が、カーボン
    ブラックを型に入れて2〜500kgf/cm2で加圧
    成型してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか
    に記載のカーボンブラック加圧成型体。
  5. 【請求項5】カーボンブラック加圧成型体が、ファーネ
    ス法で得られたファーネスブラックを加圧成型してなる
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のカー
    ボンブラック加圧成型体。
  6. 【請求項6】カーボンブラック加圧成型体の密度ρ(g
    /cc)が、 ρ=8.190×10ー3D−3.824×10ー3L+
    0.516 以上、 ρ=3.265×10ー3D−3.334×10ー3L+
    1.173 である請求項1〜5のいずれかに記載のカーボンブラッ
    ク成型体。
  7. 【請求項7】被覆層の厚さが10μm以上である請求項
    1〜6のいずれかに記載のカーボンブラック成型体。
  8. 【請求項8】カーボンブラックを加圧成型し、得られた
    カーボンブラック加圧成型体を液体状態の成膜可能な高
    分子化合物で被覆し、該高分子化合物を硬化して被覆層
    を形成することを特徴とする被覆されたカーボンブラッ
    ク加圧成型体の製造方法。
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