JPH10122981A - 時間または温度−時間積算値の表示方法およびその材料 - Google Patents

時間または温度−時間積算値の表示方法およびその材料

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JPH10122981A
JPH10122981A JP27762596A JP27762596A JPH10122981A JP H10122981 A JPH10122981 A JP H10122981A JP 27762596 A JP27762596 A JP 27762596A JP 27762596 A JP27762596 A JP 27762596A JP H10122981 A JPH10122981 A JP H10122981A
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JP
Japan
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time
temperature
agent
polymerizable dye
dye precursor
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Pending
Application number
JP27762596A
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English (en)
Inventor
Tadashi Ogawa
但 小川
Masato Yanagi
正人 柳
Yasunori Kimura
康典 木村
Takahiko Uesugi
隆彦 上杉
Keiichi Sato
馨一 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyo Ink Mfg Co Ltd
Original Assignee
Toyo Ink Mfg Co Ltd
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  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】所定温度において所定時間が経過したことを明
示するための時間または温度−時間積算値の表示方法お
よび時間または温度−時間積算値の表示材料および表示
装置を提供する。 【解決手段】下記一般式で示される酸化重合性色素前駆
体と、該酸化重合性色素前駆体の保護基を脱離させる脱
保護剤とを反応させて酸化重合性色素とし、次いで酸化
剤と接触させて酸化重合性色素を重合することにより時
間または温度−時間積算値を色変化として表示する方
法。 【化1】 (但し、式中R1は保護基を表し、R2〜8は、それぞ
れ独立に、水素、ハロゲン、炭素原子が1個から8個の
アルキル、アルコキシ、フェノキシ、アリール、置換ア
リール、複素環アリール、ヒドロキシル、アミノ、シア
ノ、アルデヒド、カルボキシル、チオカルボキシル、ニ
トロ、ニトロソ、スルホニル、エチレニル、スルフィド
を表し、Xはイオウ、酸素、セレン、テルルを表す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸化重合性色素を重合
することにより時間または温度−時間積算値を色変化と
して表示する方法および材料に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、一定温度下で物品を一定期間保管
する場合に、その温度および時間を監視するための表示
材料に対する需要は年々高まってきている。すなわち、
冷凍食品・冷蔵食品・生鮮食品ならびに薬品・塗料・接
着剤などの化学品に至るまで、保存温度が明示されると
ともに、その有効期間をも限定されているのが通常であ
る。しかしながら、安価に温度ならびに時間を同時に測
定する方法および表示材料はこれまであまり市場におい
てみあたらない。
【0003】従来、色変化によって温度・時間履歴を表
示する材料としては、100℃前後の温度で数十時間の
範囲をピンクからメタリックグリーンへの変化等で表示
するジアセチレン系化合物を用いたパテルの米国特許第
4,189,399号(1980.2.19 発行)・米国特許第
4,208,186号(1980.6.17 発行)・米国特許第
4,276,190号(1980.6.30 発行)、室温程度で
数十日の範囲で無色から紫に発色する染料と酸あるいは
アルカリの拡散による反応を用いたキドニウス等の米国
特許第4,212,153号(1980.7.15発行)、レドッ
クス染料と酸素拡散性を用いたフー等の米国特許第3,
768,976号、緑が退色することで表示する遊離ラ
ジカル感受性染料と過酸化物の組成物を用いたカータッ
ブ等の米国特許第3,966,414号、還元剤で脱色
したトリアリールメタン染料が酸素の拡散によって着色
することを利用したブハッタチャージー等の特開昭62
−190447、酸を生成する微生物とpH指示薬を用
いた松田等の特開平5−61917がある。その他、融
点、拡散速度、酵素活性などを利用した特許が開示され
ている。
【0004】これまで、色々な表示材料が提案されてい
るものの実際に上市されていない理由としては、溶液状
態で取り扱いに不便であったり、時間を測定開始する方
法が煩雑であったり不明確であったり、価格が高い等の
要因が考えられる。例えば、遊離ラジカル感受性染料と
過酸化物の組成物を用いたカータッブ等(米国特許第
3,966,414号)の発明は、染料と過酸化物をガ
ラス繊維紙上に担持させ表示材料とするために、染料と
過酸化物を溶媒中に溶解して、その溶液をガラス繊維紙
上に展開している。ここで時間計測という観点からは、
染料と過酸化物を溶解した時点で反応が始まっており、
室温以下の温度下での時間測定には現実的に適さないと
いう欠点があった。また、今までの技術に見られる色変
化は透明からある色が発色してその色濃度が増していく
ものやその反対にある色相が退色して透明になるものが
ほとんどで、明確かつ大幅に色調が変化する材料は見あ
たらなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は所定温度にお
いて所定時間が経過したことを色相の明確な変化によっ
て手軽かつ安価に表示することを可能にする時間または
温度−時間積算値を表示する方法、ならびに時間表示材
料および時間表示装置を提供するものである。
【0006】一般に、冷凍食品・冷蔵食品・生鮮食品な
らびに塗料・接着剤などの化学品に至るまでの使用有効
期限を有する物品は、保存温度とともにその有効期間を
限定されているのが通常であり、温度が低い場合は保存
期間は長く温度が高くなると保存期間は極端に短くなる
場合が多い。しかしながら、一般的には保管場所に温度
計を設置して製造年月日と保証期限の表示によって管理
しているのが現状であり、管理するべき物品が実際に保
管温度下で何時間経過したかは不明である。このように
一つ一つの物品が所定の温度下でどの程度時間が経過し
たかあるいはどの程度の温度でどの程度時間が経過した
かという熱量の総計を明確にしかも安価に表示しうる材
料を提供できる方法が求められていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、酸化重合
性色素が重合度に応じた色の変化を起こすことを見出
し、さらに重合速度が通常の化学反応と同様にアレニウ
ス則によって温度と時間で規定されることから、所定温
度における時間変化および熱量の総計とも言うべき温度
−時間積算値を色の変化として表示しうることを見出し
た。本発明は、下記一般式で示される酸化重合性色素前
駆体と、該酸化重合性色素前駆体の保護基を脱離させる
脱保護剤とを反応させて酸化重合性色素とし、次いで酸
化剤と接触させて酸化重合性色素を重合することにより
時間または温度−時間積算値を色変化として表示する方
法に関する。
【0008】
【化2】
【0009】(但し、式中R1は保護基を表し、R2〜
8は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、炭素原子が1
個から8個のアルキル、アルコキシ、フェノキシ、アリ
ール、置換アリール、複素環アリール、ヒドロキシル、
アミノ、シアノ、アルデヒド、カルボキシル、チオカル
ボキシル、ニトロ、ニトロソ、スルホニル、エチレニ
ル、スルフィドを表し、Xはイオウ、酸素、セレン、テ
ルルを表す。)更に本発明は、酸化剤が金属塩類、酸素
酸塩、ハロゲン、ジメチルスルフォキシド、キノン類、
ナフトキノン類、カルボキニル化合物、酸化物、有機過
酸化物、有機過酸、ペルオキソ硫酸塩、ニトロ化合物か
ら選ばれる少なくとも一種である上記の方法である。
【0010】更に本発明は、担持体中に、請求項1記載
の酸化重合性色素前駆体と該酸化重合性色素前駆体の保
護基を脱離させる脱保護剤を含む層を形成してなる第1
の材料と、酸化剤を含む第2の材料とからなる時間また
は温度−時間積算値を色変化として表示する材料であ
る。
【0011】更に本発明は、担持体中に、請求項1記載
の酸化重合性色素前駆体と酸化剤を含む層を形成してな
る第1の材料と、脱保護剤を含む第2の材料とからなる
時間または温度−時間積算値を色変化として表示する材
料である。更に本発明は、担持体中に、請求項1記載の
酸化重合性色素前駆体と酸化剤と脱保護剤を含む層を形
成してなる時間または温度−時間積算値を色変化として
表示する材料である。更に本発明は、酸化剤が金属塩
類、酸素酸塩、ハロゲン、ジメチルスルフォキシド、キ
ノン類、ナフトキノン類、カルボキニル化合物、酸化
物、有機過酸化物、有機過酸、ペルオキソ硫酸塩、ニト
ロ化合物から選ばれる少なくとも一種である請求項3な
いし5いずれか1記載の材料である。
【0012】
【発明の実施の形態】
【0013】本発明において用いられる酸化重合性色素
前駆体は、保護基を脱離させる脱保護剤と反応して酸化
重合性色素となり、この酸化重合性色素が酸化剤と接触
することで反応して色素の重合反応が開始し重合して所
定重合度において所定の色相を発現させる化合物であ
り、重合する前は無色あるいは有色でもかまわない。こ
の重合反応は通常の化学反応と同様に、温度の違いによ
り反応速度が規定される。更に、本発明における酸化重
合性色素前駆体は、保護基を脱保護剤と反応させて酸化
重合性色素とし、この酸化重合性色素が重合度によって
色相が変化したり色濃度が変化する色素であり、温度な
らびに時間によって色相が規定される。すなわち、重合
速度はアレニウス則に従うため、絶対温度と時間を関数
として色素の重合度が規定され、この結果時間または温
度−時間積算値を色変化として表示することが可能にな
る。
【0014】一定温度あるいは変動する温度下において
得られる熱量は、各時点での温度とその時間の積によっ
て求められる積分値として表すことができ、この温度と
時間の積分値を温度−時間積算値と定義する。
【0015】例えば冷蔵食品である肉・魚等は30゜C
では12時間、20゜C では24時間、10゜C では7
2時間といった具合に保存温度によりその賞味期限ある
いは有効期限は変化する。また実際の製品の流通を考え
た場合、保存温度は程度の差はあるものの絶えず変動し
ていると考えて良い。ここで問題になるのが「何度の温
度で何時間放置あるいは保存されたか」ということで、
この尺度となるのが温度−時間積算値と言うことにな
る。但し、温度20゜C 1時間での劣化あるいは変化が
温度10゜C で何時間の変化に相当するという問題は、
アレニウス則における頻度因子および活性化エネルギー
によって規定されるので単純な絶対温度と時間の積によ
って表されるものではない。
【0016】本発明に用いられる酸化重合性色素前駆体
は、脱保護剤と反応し酸化重合性色素となり、この酸化
重合性色素は酸化重合して所定の重合度において所定の
色相を呈するものであるならば何ら制限を加えるもので
はない。具体的にここで言う酸化重合性色素前駆体と
は、脱保護剤と反応し酸化重合性色素となり、この酸化
重合性色素が、金属塩等に代表される酸化剤によって酸
化重合し、所定重合度において所定の色相を呈する色素
のことを指し、重合前に無色であっても酸化重合性色素
と定義するものである。
【0017】本発明の酸化重合性色素前駆体とは、より
具体的には上記一般式中の中R1が、ホルミル、アセチ
ル、モノクロロアセチル、ジクロロアセチル、トリクロ
オアセチル、トリフルオロアセチル、プロピオニル、ブ
チリル、バレリル、パルミトイル、ステアロイル、オレ
オイル、O−ニトロフェノキシアセチル、ベンゾイル、
p−アニソイル、トルオイル、シンナモイル、ナフトイ
ル、DL- α- クロロプロピオニル、β- フェニルプロピ
オニル、γ- ヒドロキシイソカプロイル、4,5−ジク
ロロピロール−2−カルボニル等のアシル型保護基、ホ
ルミルピペジン等の尿素型保護基、ベンジルオキシカル
ボニル、t−ブトキシカルボニル、2−(p−ビフェニ
ル)イソプロポキシカルボニル、ジイソピロピルメチル
オキシカルボニル、ピペリジノオキシカルボニル、β-
(p−トルエンスルホニル)エトキシカルボニル、β-
ヨードエトキシカルボニル、8−キノリニルオキシカル
ボニル、β,β,β−トリクロロエトキシカルボニル、
イソブチルオキシカルボニル、シクロペンチルオキシカ
ルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、L-メン
チルオキシカルボニル、1−アダマンタニルオキシカル
ボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、4−
デシルオキシベンジルオキシカルボニル、4−ニトロベ
ンジルオキシカルボニル、フルフリルオキシカルボニ
ル、ジフェニルメトキシカルボニル、9−フルオレニル
メトキシカルボニル等のウレタン型保護基、チオフェノ
キシカルボニル、チオベンジルオキシカルボニル等のチ
オウレタン型保護基、2−プロペニル等のアリル型保護
基、ベンジル等のベンジル型保護基、トリフェニルメチ
ル型保護基、2,4−ジニトロフェニル型保護基、テト
ラヒドロピラニル型保護基、メチル、エチル、t−ブチ
ル、アセトアミドメチル、N,N−ジメチルアミノエチ
ル、N,N−ジメチルイソプロピル、N,N−ジメチル
ブチル、N,N,−ジメチルペンチル等のアルキル型保
護基等のN−C結合形成による保護基、N−ニトロソ型
保護基、N−ニトロ型保護基等のN−N結合形成による
保護基、ジベンジルホスホリル等のホスホニル保護基等
によるN−P結合形成による保護基、スルフェニル型保
護基、メタンスルホニル、ベンジルスルホニル、フェナ
シルスルホニル等のアルキルスルホニル型保護基、p−
トルエンスルホニル、ナフタレンスルホニル等のアリー
ルスルホニル型保護基等のN−S結合形成による保護
基、t−ブチルジメチルシリル、トリメチルシリル、ト
リイソプロピルシリル、トリエチルシリル等のトリアル
キルシリル型保護基、t−ブチルジフェニルシリル等の
アルキルジフェニルシリル型保護基等のN−Si結合形
成による保護基から選ばれる原子および原子団からなる
化合物が挙げられる。
【0018】また、上記一般式においてR2〜8は、そ
れぞれ独立に、水素、ハロゲン、炭素原子が1個から8
個のアルキル、アルコキシ、フェノキシ、アリール、置
換アリール、複素環アリール、ヒドロキシル、アミノ、
シアノ、アルデヒド、カルボキシル、チオカルボキシ
ル、ニトロ、ニトロソ、スルホニル、エチレニル、スル
フィドを表す。結合部位はR2〜R5については式中の
1位、2位、3位及び4位からそれぞれ選ばれるが、一
つの位置に二つ以上のR2〜R5から選ばれる置換基が
結合することはなく、それぞれの位置に一つずつ結合す
る。同様にR6〜R8については式中の6位、7位、8
位及び9位から三つの位置がそれぞれ選ばれるが、一つ
の位置に二つ以上のR6〜R8から選ばれる置換基が結
合することはなく、それぞれの選ばれた三つ位置に一つ
ずつ結合する。以上の他にR2〜R8に関しては重合を
妨げない置換基であるならば任意の置換基が可能であ
る。
【0019】本発明の酸化重合性色素前駆体の具体例と
しては、N−アセチルフェノチアジン、N−ベンゾイル
フェノチアジン、N−モノクロロアセチルフェノチアジ
ン、N−γ- クロロブチリルフェノチアジン、N−ベン
ジルオキシカルボニルフェノチアジン、N−t−ブトキ
シカルボニルフェノチアジン、N−2−(p−ビフェニ
ル)イソプロポキシカルボニルフェノチアジン、N−ジ
イソプロピルメチルオキシカルボニルフェノチアジン、
N−ピリジノオキシカルボニルフェノチアジン、N−β
- (p−トルエンスルホニル)エトキシカルボニルフェ
ノチアジン、N−β- ヨードエトキシカルボニルフェノ
チアジン、N−8−キノリルオキシカルボニルフェノチ
アジン、N−イソブチルオキシカルボニルフェノチアジ
ン、N−シクロヘキシルオキシカルボニルフェノチアジ
ン、N−フルフリルオキシカルボニルフェノチアジン、
N−ジフェニルメトキシカルボニルフェノチアジン、N
−4−ニトロベンジルオキシカルボニルフェノチアジ
ン、N−アリルフェノチアジン、N−ベンジルフェノチ
アジン、N−p−メトキシベンジルフェノチアジン、N
−トリチルフェノチアジン、2,4−ジニトロフェニル
フェノチアジン、N−テトラヒドロピラニルフェノチア
ジン、N−ジベンジルホスホニルフェノチアジン、N−
スルフェニルフェノチアジン、N−フェニルスルフェニ
ルフェノチアジン、N−o−ニトロフェニルスルフェニ
ルフェノチアジン、N−メタンスルホニルフェノチアジ
ン、N−フェニルスルホニルフェノチアジン、N−p−
トルエンスルホニルフフェノチアジン、N−フェナシル
スルホニルフェノチアジン、N−t−ブチルジメチルシ
リルフェノチアジン、N−トリエチルシリルフェノチア
ジン、N−t−ブチルジフェニルシリルフェノチアジ
ン、N−(N’,N’−ジメチルアミノエチル)フェノ
チアジン、プロメタジン、N−(N’,N’−ジメチル
ブチル)フェノチアジン、N−ニトロソフェノチアジ
ン、N−アセチル−3,7−ジブロモフェノチアジン、
N−ベンゾイル−2−クロロフェノチアジン、N−モノ
クロロアセチレン−4−メチルフェノチアジン、N−ホ
ルミル−3,7−ジメチルフェノチアジン、N−γ−ク
ロロブチル−4,6−ジメチルフェノチアジン、N−ホ
ルミルピペリジン−2−アセチルフェノチアジン、N−
ベンジルオキシアルボニル−3−ビニルフェノチアジ
ン、N−t−ブトキシカルボニル−3,7−ジアミノ−
フェノチアジン、N−チオフェノキシカルボニル−3,
7−ビス−(ジメチルアミノ)−フェノチアジン、N−
イソブチルオキシカルボニル−3,7−ビス−(ジエチ
ルアミノ)−フェノチアジン、N−トリチル−2−メト
キシ−フェノチアジン、N−ジベンジルホスホリル−3
−ホルミル−フェノチアジン、N−ベンジルスルホニル
−3−カルボキシル−フェノチアジン、N−ニトロフェ
ニルスルフェニル−3,7−ジメトキシ−フェノチアジ
ン、N−t−ブチルジフェニルシリル−1−ニトロ−フ
ェノチアジン、N−メタンスルホニル−1,3−ジニト
ロ−フェノチアジン、N−t−ブチルジメチルシリル−
4−クロロ−1−ニトロ−フェノチアジン等が挙げられ
る他、特開平3−144650に開示されている様なR
2〜R5から選ばれる2つとが一緒に芳香族を形成する
モノベンゾ−フェノチアジン、同様にこれに加えR6〜
R8から選ばれる2つとが一緒に芳香族を形成するジベ
ンゾ−フェノチアジン等のベンゾフェノチアジン類が挙
げられる。
【0020】さらに、フェノチアジン誘導体と同様にN
−アセチル−3,7−ジブロモフェノキサジンをはじめ
とするN−置換フェノキサジン誘導体も酸化重合性色素
前駆体として挙げられる。本発明に用いられる酸化重合
性色素前駆体は、単独で使用しても良いが、二つを混合
して使用してもよい。この場合、混合比によって色相を
変化させることが可能となる。酸化重合性色素前駆体
は、担持体を形成する媒体に対して1.0から20重量
%、好ましくは2.0から15.0重量%添加して本発
明の時間表示材料を得る。このとき、酸化重合性色素前
駆体の配合量が1.0重量%以下だと発色が薄く視認性
が悪くなる。また配合量を20重量%以上としても発色
の度合はそれ程変わらない反面、表示材料の保管中に空
気酸化によって発色してしまい、使用に適さなくなって
しまう場合がある。
【0021】本発明に用いられる脱保護剤とは、酸化重
合性色素前駆体中の保護基を脱離させる試薬である。よ
り具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナ
トリウムメチラート、ナトリウムエチラート、t−ブト
キシカリウム、ピリジン、トリエチルアミン、4−ジメ
チルアミンピリジン、アンモニア、水素化ナトリウム、
2,6−ルチジン、4−N,N−ジメチルアミノピリジ
ン、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン誘導体、ヒドラジ
ンヒドラート、t−ブチルオキシカルボニルヒドラジ
ン、パラジウム錯体触媒、パラジウム−カーボン、ラネ
ーニッケル、オゾン、酸化クロム、水素化ほう素ナトリ
ウム、水素化ほう素カリウム、o−フェニレンジアミ
ン、チオ尿素、フェニルヒドラジン、ヒドロキシルアミ
ン、O−ニトロフェノキシアセチル、塩化アンモニウ
ム、塩酸、硫酸、シュウ酸、フッ化水素、ヨウ化水素、
ギ酸、フェノール、ベンゼンスルホン酸、p−トルエン
スルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、ジノニ
ルナフタレンモノスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホ
ン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、クロロ
酢酸、酢酸、トリフロロメタンスルホン酸トリメチルシ
リル、ヨウ化トリメチルシリル、三臭化ホウ素、四塩化
炭素、シリカゲル、ポリアクリル酸、イオン交換樹脂、
Et2O・BF3、エチルチオール、2,3−ジクロロ
−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン、t−ブチルア
ルコール、メタノール、エタノール、イソプロピルアル
コール、テトラブチルアンモニウムフルオリド、テトラ
ブチルアンモニウムクロリド、水酸化テトラエチルアン
モニウム、水酸化バリウム、ヨウ化ホスホニル、ヨウ化
水素、メチルエチルスルフィド、トリエチルシラン、ニ
トロメタン、ジオキサン、エーテル、酢酸エチル、ニト
ロメタン、チオール、シアン化水素、ヨウ化ナトリウ
ム、臭化水素酸、ヨウ化スルホニウム、1,2−ジメト
キシエタン、ナトリウムナフタレン、亜二チオン酸ナト
リウム、亜鉛、銅、ニッケル塩、アセトン、亜硝酸、塩
化銅(II)、塩化スズ(IV)、酵素、水、アセトニトリ
ル、含水アルコール、THF、ジクロロメタン等が挙げ
られるが本発明の脱保護剤として使用できる試薬であれ
ば限定するものではない。また、脱保護剤は単独で使用
しても良いが、二つ以上を混合して使用してもよい。
【0022】脱保護剤は、酸化重合性色素前駆体に対し
て0.1から100重量%添加して本発明の時間表示材
料を得る。
【0023】本発明において酸化重合性色素を重合させ
る酸化剤とは、金属塩類、酸素酸塩、ハロゲン、キノン
類、ナフトキノン類、カルボニル化合物、酸化物、有機
過酸化物、有機過酸、ペルオキソ硫酸塩、ニトロ化合物
等が挙げられる。更に具体的に金属塩としては塩化アル
ミニウム、塩化ニッケル、塩化コバルト、塩化銅、塩化
鉄、塩化バナジウム等が挙げられる。酸素酸塩として
は、硝酸、塩素酸塩、次亜塩素酸塩、ヨウ素酸塩、臭素
酸塩、クロム酸塩、過マンガン酸塩、バナジン酸塩、ビ
スマス酸塩等。ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭
素、ヨウ素等。キノン類としては、ベンゾキノン、テト
ラクロロ−1,4−ベンゾキノン(クロラニル)、テト
ラクロロ−1,2−ベンゾキノン(o−クロラニル)、
2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾ
キノン等。ナフトキノン類としては、1,2−ナフトキ
ノン、1,4−ナフトキノン、2,6−ナフトキノン、
1,2−ナフトキノン−4−スルホン酸等。カルボニル
化合物としては、アセトン、シクロヘキサノン等が挙げ
られ、アルミニウムブトキシド等のアルミニウムアルコ
キシドと併用して用いられる。酸化物としては、二酸化
マンガン、二酸化鉛、酸化銅、酸化銀等。有機過酸化物
としては、ジ−tert−ブチルパーオキサイド,te
rt−ブチルクミルパーオキサイド,ジクミルパーオキ
サイドなどのジアルキルパーオキサイド類,アセチルパ
ーオキサイド,ラウロイルパーオキサイド,ベンゾイル
パーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド類,メチ
ルエチルケトンパーオキサイド,シクロヘキサノンパー
オキサイド,3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン
パーオキサイド,メチルシクロヘキサノンパーオキサイ
ドなどのケトンパーオキサイド類,1,1−ビス(te
rt−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンなどパーオキ
シケタール類,tert−ブチルヒドロパーオキサイ
ド,クメンヒドロパーオキサイド,1,1,3,3−テ
トラメチルブチルヒドロパーオキサイド,p−メンタン
ヒドロパーオキサイド,ジイソプロピルベンゼンヒドロ
パーオキサイド,2,5−ジメチルヘキサン−2,5−
ジヒドロパーオキサイドなどのヒドロパーオキサイド
類,tert−ブチルパーオキシアセテート,tert
−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート,te
rt−ブチルパーオキシベンゾエートなどのパーオキシ
エステル類などがあるが,これらの中でもベンゾイルパ
ーオキサイドは酸化能力と保存安定性のバランスに優
れ,有機過酸化物系の酸化剤には好適である。有機過酸
としては、過安息香酸、メタクロロ過安息香酸、モノペ
ルオキシフタル酸、過蟻酸、過酢酸、トリフルオロ過酢
酸等が挙げられる。ペルオキソ硫酸塩としては、ペルオ
キソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸カリウム等が挙げられ
る。ニトロ化合物としては、ニトログリセリン、ニトロ
セルロース等が挙げられる。そのほか、酸素、オゾン、
塩素、臭素、ヨウ素、硫黄、王水、硝酸、濃硫酸、熱濃
過塩素酸、ジメチルスルフォキシド等が本発明における
酸化剤として挙げられる。この他、デヒドロゲナーゼ等
の脱水素酵素を用いた生化学的な酸化剤を本発明の酸化
剤として使用することは何ら制限を加えるものではな
い。
【0024】本発明における担持体としては、所定の温
度において酸化重合性色素前駆体と脱保護剤、酸化剤が
拡散できることが可能かつ形態を維持できるもので、な
おかつ色変化を認識しうる程度の透明性を有するものな
らば、いかなるものを用いても何ら制限するものではな
い。具体的には、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポ
リエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、エ
ポキシ樹脂、ビニル樹脂等、通常のインキ、塗料等のバ
インダーとして使用される樹脂および一般の粘着剤とし
て用いられる粘着性ゴム系樹脂等なら何でもよく、前記
の樹脂数種類の混合系でもよいし、ケトン系、エーテル
系、アルコール系、セロソルブ系、石油系、水系溶媒等
通常使用される溶媒で希釈されていてもいなくてもよ
い。
【0025】特に粘着性ゴム系樹脂は、担持体および透
明基材とを接触する際に、接着機能を発現する点で好都
合である。
【0026】具体的に粘着性ゴム系樹脂とは、Tgが室
温以下、好ましくは−10℃以下の樹脂であり、使用時
の温度範囲ではゴム状領域であることが望ましい。例と
して、粘着性アクリル樹脂、天然および合成のシス−
1、4−ポリイソプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化
ブチルゴム、部分加硫ブチルゴム、スチレン−ブタジエ
ン−スチレンブロックコポリマー(SBS)、スチレン
−イソプレン−スチレンブロックコポリマー(SI
S)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロッ
クコポリマー(SEBS)、シリコンゴム、クロロプレ
ンゴム、ニトリルゴム、ブタジエンゴムなどの、粘着剤
用樹脂として用いられているものが挙げられる。 とり
わけ粘着性アクリル樹脂は、組成および分子量を適切に
設定して、自在にTgを変化させることが可能で、酸化
重合性色素前駆体あるいは脱保護剤、酸化剤の拡散速度
を制御することができ、本発明の酸化重合性色素前駆体
および脱保護剤、酸化愛の媒体には好適である。粘着性
アクリル樹脂とは、水酸基、三級アミノ基、カルボキシ
ル基、アミド基、ニトリル基などの官能基を有するもの
であり、一般に粘着剤用アクリル樹脂として用いられて
いるものである。これらの官能基を有するアクリル樹脂
は、水酸基、三級アミノ基、カルボキシル基、アミド
基、ニトリル基などを有するモノマーのうちの一種また
は数種と、アルキル(メタ)アクリレート、酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル、ビニルエーテル、スチレンな
どのモノマーとの共重合体などである。
【0027】反応は通常のラジカル重合であり、反応方
法に何等制限はなく、溶液重合、塊状重合、乳化重合な
どの公知の重合法で行なうことができるが、反応のコン
トロールが容易であることや直接次の操作に移れること
から溶液重合が好ましい。溶媒としては、メチルエチル
ケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、セロソル
ブ、酢酸エチル、酢酸ブチルなど本発明の樹脂が溶解す
るものであれば何でもよく、単独でも、複数の溶媒を混
合してもよい。また、重合反応の際に使用される重合開
始剤もベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサ
イド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ラウロイル
パーオキサイドなどの有機過酸化物、アゾビスイソブチ
ロニトリルなどのアゾ系開始剤など公知のものであれば
何でもよく、とくに制限はない。
【0028】粘着性ゴム系樹脂をイソシアネートおよび
エポキシ化合物などの架橋剤を用いて部分的に架橋し
て、担持体の接触時における接着特性を改善し凝集力を
高める目的や酸化重合性色素前駆体あるいは脱保護剤あ
るいは酸化剤の拡散速度を調節することができる。ま
た、ポリウレタン樹脂は、グラビア印刷等の印刷適性が
良く、表示材料の生産性の面からは担持体として好まし
い材料の一つである。この様なポリウレタン樹脂として
は、東洋インキ製造(株)製のグラビアインキ用ウレタ
ン樹脂の商品名「ラミスターRメジウム」、「ニューL
Pスーパー」、「LPクィーン」等が挙げられる。
【0029】また、ガラスビン等の何らかの透明容器内
に酸化重合性色素および脱保護剤、酸化剤を入れ、場合
によってはケトン系、エーテル系、アルコール系、セロ
ソルブ系、石油系、水系溶媒等通常使用される溶媒で希
釈して色変化を表示することも可能で、このような方法
も本発明において何ら制限するものではない。
【0030】本発明における材料構成は、酸化重合性色
素前駆体、脱保護剤および酸化剤の組み合わせをA剤、
B剤、C剤とすると、担持体中にA剤、B剤、C剤のす
べてを混合してなる一体型タイプ。1つの担持体中にA
剤とB剤を混合し、別の担持体中にC剤と混合して使用
時に2つの担持体を接触あるいは貼り合わせて使用する
貼り合わせタイプ。また、1つの担持体中にA剤とB剤
を混合し、別の担持体中にC剤を混合して、さらに、こ
の2つの担持体中に隔膜層を設け、使用時に加熱あるい
は加圧等して隔膜層を介してA剤、B剤、C剤が拡散し
て反応する隔膜層タイプ。
【0031】さらに、担持体中にマイクロカプイセル化
したA剤およびB剤とC剤を混合し、使用時に加圧する
等してマイクロカプセルが破壊してB剤とC剤、A剤、
B剤、C剤が反応するマイクロカプセルタイプ等が挙げ
られる。この他、材料の使用環境が所定条件に適した時
点でA剤、B剤、C剤が反応して温度−時間積算値を色
変化として表示することが可能な材料構成であるならば
何ら制限するものではない。
【0032】発明における材料の作成方法は、グラビア
印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷等の一般的な印
刷方法を用いて透明基材上にベタあるいはパターンニン
グして作成できる。この他、粘着剤の製造方法で使用さ
れるコンマコーター、キスコーター、リップコーター等
の塗工機を用いて透明基材上に塗布して作成することが
できる。
【0033】本発明において、透明基材としてはポリエ
チレンやポリプロピレン等のオレフィン系フィルム、ポ
リエチレンテレフタレート等に代表されるポリエステル
フィルム、セロファン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化
ビニリデン共重合体、ポリフッ化ビリニデン、ポリ塩化
ビニル、ナイロン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸
等のプラスチックフィルム等が挙げられる。その他、色
相変化を確認できる程度の透明性を有する素材であれ
ば、いかなるものを用いても何ら制限するものではな
い。
【0034】本発明における発色は、酸化重合性色素前
駆体が脱保護剤と反応して酸化重合性色素となり、この
酸化重合性色素が重合して、得られる重合体の重合度に
よって色相が変化するもので、下記構造のN−アセチル
フェノチアジンを例とすると以下のような機構によるも
のと考えられる。
【0035】
【化3】
【0036】酸化重合性色素前駆体は、脱保護剤と反応
するとN位のアセチル基が脱離し10H−フェノチアジ
ンが生成される。この10H−フェノチアジンが、酸化
剤によって分子中の窒素原子に結合している水素原子が
引き抜かれて重合が開始され、更にフェノチアジン分子
内の1、2、3、4、6、7、8、9位のいずれかの水
素原子が引き抜かれる。この分子と隣接する同様な状態
の10H−フェノチアジン分子とが10位の窒素原子と
水素原子を引き抜かれた炭素原子を結合部位として重合
が進むものと類推される。実施例1の塩化銅(II)を酸
化剤として重合させたN−アセトフェノチアジンの重合
初期のマススペクトルが図1である。反応機構の詳細は
明らかではないが、この図1から酸化剤と10H−フェ
ノチアジンの反応により10H−フェノチアジンが重合
していることは明らかである。
【0037】色相については、10H−フェノチアジン
の重合が進行するとともにその共役系が変化するために
変わると考えられる。すなわち、重合度が上がるにつれ
て長波長化して緑から赤色へ変化していることが予想さ
れる。
【0038】この10H−フェノチアジンの色相と重合
度およびその分布の関係については、目視による色相と
質量分析計からの分子量から、重合度2が緑、重合度3
が青、重合度4から10で赤色となることが明らかとな
った。また、重合度の異なる重合物の比率によって紺色
や紫色に発色していることも類推される。その他のフェ
ノチアジン誘導体およびフェノキサジン誘導体について
は、フェノチアジン骨格に結合している置換基の種類に
より共役系の電子状態が大きく異なり、置換基別に異な
った色相変化が観察された。いずれにせよフェノチアジ
ン誘導体およびフェノキサジン誘導体の重合度とその分
子量分布によって、発現する色相は決定され、重合の進
行とともに色調が変化していく。
【0039】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明する。例
中、部とは重量部を、%とは重量%を、それぞれ表す。 樹脂1 ブチルアクリレート 94.1部 アクリル酸 5.9部 アゾビスイソブチロニトリル 0.2部 酢酸エチル 150.0部 フラスコを反応容器として窒素雰囲気中80℃に加熱し
た上記のそれぞれの組成の混合物125部に、上記の同
組成の混合物125部を滴下し、滴下終了後、12時間
加熱還流させ、冷却し、樹脂1の溶液(固形分40%)
を得た。
【0040】樹脂2 メチルアクリレート 100.0部 アゾビスイソブチロニトリル 0.2部 酢酸エチル 150.0部 フラスコを反応容器として窒素雰囲気中80℃に加熱し
た上記のそれぞれの組成の混合物125部に、上記の同
組成の混合物125部を滴下し、滴下終了後、12時間
加熱還流させ、冷却し、樹脂2の溶液(固形分40%)
を得た。
【0041】2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−
1,4−ベンゾキノンを内包するマイクロカプセル フラスコを反応容器としてポリビニルアルコール1部お
よび水100部を毎分225回転の速度で回転する攪拌
翼で攪拌しながら、これに2,3−ジクロロ−5,6−
ジシアノ−1,4−ベンゾキノン5部、キシレン10部
およびトリレンジイソシアネート5部を添加し分散さ
せ、分散させて5分後にテトラエチレンペンタミン1部
を添加し2時間攪拌を続け、トリレンジイソシアネート
とテトラエチレンペンタミン、ピリブニルアルコールお
よび水とが反応して生成したマイクロカプセル壁を有す
る2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベン
ゾキノンのマイクロカプセルの分散液を得た。得られた
分散液122部に、グルタルアルデヒド2部を添加して
2時間攪拌し、次にN−(2−アミノエチル)−γ−ア
ミノプロピルトリメトキシシラン2部を添加し、分散液
のpHが約11となるようにアンモニア水を加え攪拌を
6時間続けた後、濾別してエタノールで洗浄し、50℃
の温度で乾燥して2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ
−1,4−ベンゾキノンを内包するマイクロカプセルを
得た。得られたマイクロカプセル中には2,3−ジクロ
ロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノンが約10
%含まれ、マイクロカプセルの平均粒径は15μmであ
った。
【0042】実施例1 樹脂1の溶液を100部、N−アセチル−フェノチアジ
ンの10%酢酸エチル溶液を12部とt−ブチルカリウ
ム4部とを撹拌混合し、離型表面処理されたPETフィ
ルム上にドクターブレードにより塗布し、50℃で5分
間加熱乾燥させ膜厚を25ミクロンとして酸化重合性色
素前駆体および脱保護剤とを含む層(第1層)を得た。
次に樹脂1の溶液を100部、塩化銅(II)を2部とを
撹拌分散混合し、離型表面処理されたPETフィルム上
にドクターブレードにより塗布し、50℃で5分間加熱
乾燥させ膜厚を25ミクロンとして酸化剤を含む層(第
2層)を得た。上記第1層と上記第2層を含む層を接触
させ、時間表示材料1とした。また、接触させた瞬間を
時間測定の開始点とした。なお、色の経時変化は以下の
条件で観察した。結果は表1に示した。
【0043】(1)色の経時変化 第1を層と第2層を接触させた時を時間測定開始時点と
して、20℃および60℃の恒温漕に時間表示材料を保
管して、経時の色変化を観察した。
【0044】実施例2 樹脂2の溶液を100部、N−p-トルエンスホニルフェ
ノチアジンの10%酢酸エチル溶液を12部とナトリウ
ムエチラート3部とを攪拌混合し、離型表面処理された
PETフィルム上にドクターブレードにより塗布し、5
0℃で5分間加熱乾燥させ膜厚を25ミクロンとして酸
素重合性色素前駆体および脱保護剤とを含む層(第1
層)を得た。次に樹脂2の溶液を100部、t−ブチル
パーオキシベンゾエートを2部とを撹拌分散混合し、離
型表面処理されたPETフィルム上にドクターブレード
により塗布し、50℃で5分間加熱乾燥させ膜厚を25
ミクロンとして酸化剤を含む層(第2層)を得た。上記
第1層と第2層を接触させた後、塗布する際に使用した
PETフィルムを剥離し、時間表示材料2を得た。ま
た、接触させた瞬間を時間測定の開始点とした。なお、
色の経時変化は実施例1と同様なの条件で観察した。結
果は表1に示した。
【0045】実施例3 樹脂1の溶液を100部、N−アセチル−2−アセチル
フェノチアジンの10%酢酸エチル溶液を12部とナト
リウムエチラート3部とを攪拌混合し、離型表面処理さ
れたPETフィルム上にドクターブレードにより塗布
し、50℃で2分間加熱乾燥させ膜厚を25ミクロンと
して酸素重合性色素前駆体および脱保護剤(これからA
剤という)とを含む層を得た。次に樹脂1の溶液を10
0部、t−ブチルパーオキシベンゾエートを2部とを撹
拌分散混合し、離型表面処理されたPETフィルム上に
ドクターブレードにより塗布し、50℃で2分間加熱乾
燥させ膜厚を25ミクロンとして酸化剤を含む層(第1
層)を得た。第1層を塗布する際に使用したPETフィ
ルムに剥離した後、スペーサー材としてレーヨン50%
不織布(坪量10g/cm2 、大王製紙社製)を積層
し、更にスペーサ材の第1層を積層した面と反対側の面
に第2層を積層して、第1層/スペーサ材/第2層の順
に積層された時間表示材料3を得た。また、加圧ローラ
で加圧した瞬間を時間測定の開始点とした。なお、色の
経時変化は実施例1と同様なの条件で観察した。結果は
表1に示した。
【0046】実施例4 樹脂1の溶液を100部、N−アセチル−3,7−ジク
ロロ−ジブロモ−フェノチアジンの10%溶液を12部
とナトリウムメチラート3部、2,3−ジクロロ−5,
6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノンを内包するマイク
ロカプセルを20部とを攪拌混合し、離型表面処理され
たPETフィルム上に塗布し、50℃で2分間加熱乾燥
させ膜厚を25ミクロンとし、塗布する際に使用したP
ETフィルムを剥離し、時間表示材料4とした。また、
加圧ロールで加圧してマイクロカプセルを潰した瞬間を
時間測定の開始点とした。なお、色の経時変化は実施例
1と同様な条件で観察した。結果は表1に示した。
【0047】実施例5 樹脂2の溶液を100部、N−p-トルエンスホニルフェ
ノチアジンの10%酢酸エチル溶液を12部とt−ブチ
ルパーオキシベンゾエート2部とを攪拌混合し、離型表
面処理されたPETフィルム上にドクターブレードによ
り塗布し、50℃で5分間加熱乾燥させ膜厚を25ミク
ロンとして酸素重合性色素前駆体と酸化剤とを含む層
(第1層)を得た。次に樹脂2の溶液を100部、ナト
リウムエチラートを3部とを撹拌分散混合し、離型表面
処理されたPETフィルム上にドクターブレードにより
塗布し、50℃で5分間加熱乾燥させ膜厚を25ミクロ
ンとして脱保護剤を含む層(第2層)を得た。上記第1
層と第2層とを接触させた後、塗布する際に使用したP
ETフィルムを剥離し、時間表示材料5を得た。また、
接触させた瞬間を時間測定の開始点とした。なお、色の
経時変化は実施例1と同様なの条件で観察した。結果は
表1に示した。
【0048】実施例6 樹脂1の溶液を100部、N−ベンゾイルフェノチアジ
ンの10%溶液を12部とナトリウムメチラート3部、
t−ブチルパーオキシベンゾエート5部とを攪拌混合
し、離型表面処理されたPETフィルム上に塗布し、5
0℃で2分間加熱乾燥させ膜厚を25ミクロンとし、塗
布する際に使用したPETフィルムを剥離し、時間表示
材料6とした。また、加圧ロールで加圧してマイクロカ
プセルを潰した瞬間を時間測定の開始点とした。なお、
色の経時変化は実施例1と同様な条件で観察した。結果
は表1に示した。
【0049】 表1 ─────────────────────────────────── 実施例 測定前の色 20℃ 60℃ ─────────────────────────────────── 1 無色 40週間後も無色 2週間後に赤色 2 無色 70週間後も無色 20週間後に赤色 3 無色 24週間後に薄オレンシ゛色 1週間後に赤色 4 薄オレンシ゛色 40週間後も薄オレンシ゛色 1週間後に赤色 5 無色 45週間後も無色 2週間後に赤色 6 無色 40週間後も無色 1週間後に赤色 ───────────────────────────────────
【0050】
【発明の効果】本発明の時間表示方法および時間表示材
料により、所定温度において所定時間が経過したことを
二つの担持体を接触させる単純な操作により酸化重合性
色素前駆体の保護基を脱離する脱保護剤と反応させた後
酸化重合性色素の重合反応を開始させ、色相の明確な変
化によって手軽かつ安価に表示することが可能となっ
た。フェノチアジン誘導体をはじめとする酸化重合性色
素は、時間とともに発色することで時間の経過を表示す
ることができ、有効期限を表示する材料には非常に適し
ている。とりわけ、N−アセチルフェノチアジンは脱保
護剤および酸化剤と接触する前は無色であり、接触と同
時に即座に緑色に変化して以後時間の経過とともに青
色、紫、赤茶色と変化する材料であり感覚的に表示材料
として最適である。
【0051】また、測定したい温度ならびに時間につい
ては、担持体を構成する媒体である樹脂の選択、酸化剤
の種類とその配合量によって制御することが可能であっ
た。このことから、幅広い温度範囲での時間測定に対
し、本発明の時間表示方法ならびに材料が有効であるこ
とがわかった。
【0052】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の反応初期の質量分析スペクトル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09B 69/10 C09B 69/10 Z C09K 3/00 C09K 3/00 Y (72)発明者 上杉 隆彦 東京都中央区京橋二丁目3番13号 東洋イ ンキ製造株式会社内 (72)発明者 佐藤 馨一 東京都中央区京橋二丁目3番13号 東洋イ ンキ製造株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式で示される酸化重合性色素前
    駆体と、該酸化重合性色素前駆体の保護基を脱離させる
    脱保護剤とを反応させて酸化重合性色素とし、次いで酸
    化剤と接触させて酸化重合性色素を重合することにより
    時間または温度−時間積算値を色変化として表示する方
    法。 【化1】 (但し、式中R1は保護基を表し、R2〜8は、それぞ
    れ独立に、水素、ハロゲン、炭素原子が1個から8個の
    アルキル、アルコキシ、フェノキシ、アリール、置換ア
    リール、複素環アリール、ヒドロキシル、アミノ、シア
    ノ、アルデヒド、カルボキシル、チオカルボキシル、ニ
    トロ、ニトロソ、スルホニル、エチレニル、スルフィド
    を表し、Xはイオウ、酸素、セレン、テルルを表す。)
  2. 【請求項2】 酸化剤が金属塩類、酸素酸塩、ハロゲ
    ン、ジメチルスルフォキシド、キノン類、ナフトキノン
    類、カルボキニル化合物、酸化物、有機過酸化物、有機
    過酸、ペルオキソ硫酸塩、ニトロ化合物から選ばれる少
    なくとも一種である請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 担持体中に、請求項1記載の酸化重合性
    色素前駆体と該酸化重合性色素前駆体の保護基を脱離さ
    せる脱保護剤を含む層を形成してなる第1の材料と、酸
    化剤を含む第2の材料とからなる時間または温度−時間
    積算値を色変化として表示する材料。
  4. 【請求項4】 担持体中に、請求項1記載の酸化重合性
    色素前駆体と酸化剤を含む層を形成してなる第1の材料
    と、脱保護剤を含む第2の材料とからなる時間または温
    度−時間積算値を色変化として表示する材料。
  5. 【請求項5】 担持体中に、請求項1記載の酸化重合性
    色素前駆体と酸化剤と脱保護剤を含む層を形成してなる
    時間または温度−時間積算値を色変化として表示する材
    料。
  6. 【請求項6】 酸化剤が金属塩類、酸素酸塩、ハロゲ
    ン、ジメチルスルフォキシド、キノン類、ナフトキノン
    類、カルボキニル化合物、酸化物、有機過酸化物、有機
    過酸、ペルオキソ硫酸塩、ニトロ化合物から選ばれる少
    なくとも一種である請求項3ないし5いずれか記載の材
    料。
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