JPH10122356A - 自動変速機のロックアップ制御装置 - Google Patents

自動変速機のロックアップ制御装置

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JPH10122356A
JPH10122356A JP8278134A JP27813496A JPH10122356A JP H10122356 A JPH10122356 A JP H10122356A JP 8278134 A JP8278134 A JP 8278134A JP 27813496 A JP27813496 A JP 27813496A JP H10122356 A JPH10122356 A JP H10122356A
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秀策 片倉
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哲 滝沢
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コーストL/Uも採用し、締結容量を任意に
設定可能なAT制御に適用して好適で、エンスト回避、
燃費効果の両立等も図りつつ一定の初期学習以後は容量
を減少させる方向の学習がほとんど発生しない適切な範
囲に収める。 【解決手段】 L/U制御指令値の初期値をスリップ回
転が発生しないことが明らかであるような制御指令値に
しておき、コントローラメモリの所定フラグがクリアさ
れている場合には、最初のコーストL/U状態となった
ときに可及的速やかに制御指令値を減少させ、スリップ
回転が発生するか、エンスト回避とスリップ回転発生防
止の両立が明らかな制御指令値になったところで、その
ときの値を個体バラツキを考慮した補正を行った上の、
基準として用いることとする。ほとんどの個体につい
て、以後学習を発生させないか、または実質上ほとんど
発生しない範囲に収めることを可能にし、整備での電源
取外し等にも対応し得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両における自動
変速機のロックアップ制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動変速機は、その伝動系に挿入したト
ルクコンバータを、これによるトルク増大機能やトルク
変動吸収機能が不要なロックアップ領域での車両運転状
態のもとでは、トルクコンバータ入出力要素間が直結さ
れたロックアップ状態にし得るようにしたロックアップ
式のものに切り換えられる傾向にある。また、車両の惰
性走行(コースト)中に、かかるロックアップ式のもの
では、そのトルクコンバータはこれをロックアップ(L
/U)状態にする制御の採用もなされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このようないわゆるコ
ーストL/Uを燃費向上効果を狙って低速化したとき、
他方では、低μ路での急制動時にエンジンストール(エ
ンスト)を起こしやすくなる問題が発生する。これを回
避するためのL/U解除応答性策として、コースト時の
L/U中間容量化が有効であるが、その容量の制御範囲
は、上限として耐エンスト性から求められる開放応答
性、下限としてL/Uスリップ防止から求められる必要
容量によって制限される。しかして、容量制御の精度か
らいって、この制御範囲内に収めることは、ハードウェ
ア技術の改良だけでは難しい。そこで、L/U容量のバ
ラツキを抑える制御が望まれる。
【0004】ここに、上記のコースト時L/U容量設定
値が固定では、個体バラツキによって、コースト時のL
/U容量がエンスト回避不能な領域に設定されてしまう
場合がある。さらには、その一方、容量を減少させる方
向の学習は、これがあまり頻度が多いと、スリップ回転
発生頻度が多くなり、燃費効果を損なうので、かかる点
からは、あまり頻度を増やすことは難しい。したがっ
て、この面からは、初期品質としてエンスト回避を確実
にするためには、初期値は確実にエンスト回避可能な領
域となるように設定することが考えられる。
【0005】しかし、他方、この場合には同様な個体バ
ラツキによって、多くの個体で学習制御が終了するまで
の間はコースト時には完全L/Uとするとができず、コ
ーストL/Uの燃費効果を発揮することができないこと
となってしまう。さらには、これらの問題が、整備等に
よって電源が取り外された場合など、コントローラメモ
リがクリアされる度に起こることとなり、不都合であ
る。
【0006】本発明は、以上のような考察に基づき、改
良を加え、コーストロックアップ(惰性走行時ロックア
ップ)をも採用し、ロックアップクラッチの締結容量を
任意に設定可能な自動変速機の制御に適用して好適で、
上述のような不利、不便を回避し得て適切なロックアッ
プ制御を行えるようにしようというものである。また、
エンスト回避、燃費効果の両立等も図りつつ一定の初期
学習以後は容量を減少させる方向の学習がほとんど発生
しない適切な範囲に収めることができる、コーストロッ
クアップ容量制御を実現する自動変速機のロックアップ
制御装置を提供しようというものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によって、下記の
自動変速機のロックアップ制御装置が提供される。すな
わち、第一は、ロックアップクラッチの締結容量を任意
に設定できる制御装置と、ロックアップの差動を検知す
る手段とを有する車両における自動変速機制御装置であ
って、ロックアップ制御指令値の初期値をスリップ回転
が発生しないことが明らかであるような制御指令値にし
ておいて、コントローラメモリの所定フラグがクリアさ
れている場合には、最初の惰性走行時ロックアップ状態
となったときに速やかに制御指令値を減少させ、スリッ
プ回転が発生するか、エンジンストール回避とスリップ
回転発生防止の両立が明らかな制御指令値になったとこ
ろで、そのときの値を個体バラツキを考慮した補正を行
った上の基準値として用いるよう構成してなる、ことを
特徴とする自動変速機のロックアップ制御装置である。
【0008】また、本発明は、ロックアップクラッチの
締結容量を任意に設定できる制御装置と、ロックアップ
の差動回転数を計測する手段と、電源接続とは無関係に
値を保持できる第1の記憶手段と、値の変更は可能であ
るが電源接続によって値を保持される第2の記憶手段
と、電源投入を検知できる手段と、前記第2の記憶手段
の内容がクリアされた後、最初に電源が接続されて、最
初に電源が投入された場合、前記第1の記憶手段に予め
設定しておいた、前記ロックアップクラッチの差動が起
こらないことが確実であるような惰性走行時のロックア
ップ制御指令値を、前記第2の記憶手段に読み込み、ロ
ックアップが締結され電源接続後最初に車両の惰性走行
時ロックアップ状態になったとき、前記の惰性走行時の
ロックアップ制御指令値を初期値として、ロックアップ
締結容量を低下させる制御を行い、かつ、斯くして行わ
れるロックアップ容量低下制御の結果として、前記ロッ
クアップクラッチの差動が確認された場合、そのときの
ロックアップ締結容量を記憶して、その値でもって、次
回からの惰性走行状態でのロックアップ容量設定値を補
正する制御を、電源接続後に1回だけ行うよう、制御す
る手段とを備えてなることを特徴とする自動変速機のロ
ックアップ制御装置である。
【0009】また、上記において、車両の運動状態と自
動変速機制御系の動作条件に応じて惰性走行状態でのロ
ックアップ容量設定値を設定し、かつ、それらに応じて
補正条件を設定し、それらに応じて補正を行う、ことを
特徴とするものである。
【0010】また、前記車両の運動状態を示すものとし
て、車速、エンジンスロットル開度、エンジン回転、エ
ンジン吸入空気量、エンジン吸入負圧、補機駆動状態、
制動装置作動状態もしくはそれらから求められる変化速
度、車両走行負荷、及びエンジントルクのいずれかを用
いる、ことを特徴とするものである。
【0011】また、前記自動変速機制御系の動作条件を
示すものとして、変速機作動油温、ライン圧、パイロッ
ト圧、コントロール電源電圧のいずれかを用いる、こと
を特徴とするものである。
【0012】また、ロックアップクラッチの滑りが検出
されて学習制御が開始されたとき、学習制御を継続して
いる間は、通常の惰性走行時ロックアップ制御を中断
し、現在の締結容量を維持する、ことを特徴とするもの
である。
【0013】また、ロックアップクラッチの差動が確認
されるまえに、ロックアップ制御指令値が制御指令値−
締結容量特性から定められる所定値より小さくなった場
合には、ロックアップ容量低下制御を終了して、その時
点でのロックアップ制御指令値によって、惰性走行時ロ
ックアップ制御の制御指令値を決定する、ことを特徴と
するものである。
【0014】
【発明の効果】本発明の自動変速機のロックアップ制御
装置においては、ロックアップ容量を減少させる方向の
ロックアップ容量低下制御での学習の実行はエンスト回
避の面では有利に作用するが、他方、ロックアップのス
リップ回転の発生頻度が多くなるほどそのだけ燃費向上
効果の面ではその効果は薄れることから、請求項1記載
のように、まず、初期値を例えば絶対にスリップ回転が
発生しないことが明らかであるような充分な必要容量を
確保し得る制御指令値にしておいて、例えばコントロー
ラメモリの特定のフラグがクリアされている場合におい
て最初のコーストロックアップ状態となったときに即座
に、かつ、極短時間の間に制御指令値を減少させるよう
になし、スリップ回転が発生するか、またはエンスト回
避とスリップ回転発生防止の両立が明らかな制御指令値
になったところで、そのときの値を個体バラツキを考慮
した補正を行った上、基準値として用いることとする
と、個体バラツキがあっても、基本的に、以後、ほとん
どの個体について、以後学習がほとんど発生しない範囲
に収めることを可能ならしめ、既述した不利、不便、不
都合等も解消し得る改良されたコーストロックアップ制
御を実現することができる。
【0015】また、請求項2記載のものでは、それら各
手段のそれぞれを有して、その値の変更は可能であるが
電源接続によって値を保持される第2の記憶手段の内容
がクリアされた後、最初に電源が接続されて、ついで最
初に電源が投入されたとき、電源接続とは無関係に値を
保持できるその第1の記憶手段に予め設定しておいたそ
のロックアップクラッチの差動が起こらないことが確実
であるようなコースト時のロックアップ制御指令値を、
その値の変更は可能であるが電源接続によって値を保持
される第2の記憶手段に読み込み、そして例えば、つい
でロックアップが締結され電源接続後最初にコーストロ
ックアップ状態になったとき、上記のコースト時のロッ
クアップ制御指令値を初期値として、ロックアップ締結
容量を低下させる制御を行い、かつまた、そのロックア
ップ容量低下制御の結果として、ロックアップクラッチ
の差動が確認されたならば、その時のロックアップ締結
容量を記憶して、その値でもって、次回からのコースト
状態でのロックアップ容量設定値を補正する制御を、電
源接続後に1回だけ行うよう構成することで、本発明は
好適に実施でき、同様に上記のことを実現することがで
きる。
【0016】したがって、この場合の本発明に従う自動
変速機のロックアップ制御装置も、同様にして、たとえ
燃費向上効果の拡大を狙ってコーストロックアップ制御
を低速化し、さらにまた、かかるコースト時ロックアッ
プ状態での、例えば低μ路での急制動によるエンストの
発生を回避するためのロックアップ解除応答性向上をも
狙ってロックアップクラッチの締結容量を中間容量に設
定するコースト時ロックアップ容量制御を行う場合で
も、多くの個体に広範囲に適用し得て、適用する個体に
よらず、そのロックアップ容量のバラツキを抑えなが
ら、それらエンスト回避と燃費向上との実効を図るべく
ロックアップ容量の制御範囲を最適化するように、しか
も、たとえ整備等での電源の取り外しなどによりそれま
で蓄積記憶してきたコントローラのメモリ内容がクリア
されても、そうした場合にもよらずに、その状況にも対
応しうるよう、コースト時ロックアップ制御指令値につ
いて最適な初期学習による処理を電源接続後一度実行
し、斯く初期学習で得られるものをその後の該当するコ
ースト時のロックアップ制御での基準とすることができ
る。よって、以後学習をほとんど発生させない範囲、し
たがって燃費効果を損なうこととなってしまうようなス
リップ回転発生頻度の多い容量制御範囲ではない適切な
制御範囲に収めることが可能で、コースト時ロックアッ
プ容量設定値が固定では個体バラツキによってコースト
時のロックアップ容量がエンスト回避不能な領域に設定
されてしまう場合があり、さらに容量を減少させる方向
の学習はあまり頻度が多ければスリップ回転発生頻度が
多くなって燃費効果を損なうがゆえにあまり頻度を増や
すことは難しく、他方、初期品質としてエンスト回避を
確実にするため初期値は確実にエンスト回避可能な領域
となるように設定する場合には同様な個体バラツキによ
って、多くの個体で学習制御が終了するまでの間はコー
スト時には完全ロックアップとするとができず、コース
トロックアップの燃費効果を発揮することができないこ
ととなってしまうが、このようなことも回避でき、さら
にこれらの問題が、整備等によって電源が取り外された
場合など、コントローラメモリがクリアされる度に起こ
る不都合もない。
【0017】好ましくは、上記ロックアップ制御装置に
おいて、請求項3記載の如く、車両の運動状態と自動変
速機制御系の動作条件に応じて惰性走行状態でのロック
アップ容量設定値を設定し、かつ、それらに応じて補正
条件を設定し、それらに応じて前記補正を行う構成とし
て、本発明は実施でき、同様にして上記のことを実現す
ることができる。この場合は、さらに、車両の運動状態
と自動変速機制御系の動作条件に応じた補正が行え、よ
りきめ細かな制御を行わせることもできる。
【0018】ここに、請求項4、請求項5記載のよう
に、車両の運動状態を示すものとして、車速、エンジン
スロットル開度、エンジン回転、エンジン吸入空気量、
エンジン吸入負圧、補機駆動状態、制動装置作動状態も
しくはそれらから求められる変化速度、車両走行負荷、
及びエンジントルクのいずれかを用いることができ、ま
た、自動変速機制御系の動作条件を示すものとして、変
速機作動油温、ライン圧、パイロット圧、コントロール
電源電圧のいずれかを用いることができる。
【0019】また、上記ロックアップ制御装置におい
て、請求項6記載のように、ロックアップクラッチの滑
りが検出されて学習制御が開始されたとき、学習制御を
継続している間は、通常のコーストロックアップ制御を
中断し、現在の締結容量を維持するよう構成して、本発
明は好適に実施でき、同様にして上記のことを実現する
ことができる。
【0020】また、請求項7記載の如くに、前記ロック
アップクラッチの差動が確認されるまえに、ロックアッ
プ制御指令値が制御指令値−締結容量特性から定められ
る所定値より小さくなった場合には、ロックアップ容量
低下制御を終了して、その時点でのロックアップ制御指
令値によって、コーストロックアップ時の制御指令値を
決定する構成として、本発明は好適に実施でき、同様に
して上記のことを実現することができる。この場合は、
さらに、こうすると、実際にスリップ回転の発生をみな
いでも、エンスト回避とスリップ回転発生防止の両立す
る適切な制御指令値の決定が可能である。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づき説明する。図1は、本発明の一実施例に係る自
動変速機のロックアップ制御装置を示す。図において、
1は原動機としてのエンジン、2は自動変速機(A/
T)をそれぞれ示す。自動変速機2は、トルクコンバー
タ(T/C)3を経てエンジン1の動力を入力され、選
択変速段に応じたギヤ比で入力回転を変速し、出力軸4
に伝達するものとする。
【0022】ここで、自動変速機2は、各種バルブ等を
備えて作動油圧となるライン圧を調圧し、あるいはその
ライン圧をもとに変速制御やロックアップ制御の用に供
する一定圧力(パイロット圧)を生成する等することの
できるコントロールバルブ5を有する。自動変速機2
は、コントロールバルブ5におけるシフトソレノイド
6,7のON,OFFの組み合わせにより選択変速段を
決定され、トルクコンバータ3は、同じくコントロール
バルブ5におけるロックアップソレノイド8のデューテ
ィ(Duty )制御により、入出力要素間をロックアップ
クラッチ(図3のモデル中の参照符号3a参照)により
直結したロックアップ(L/U)状態、または入出力要
素間を直結しないコンバータ状態(T/C状態)にされ
得るものとする。
【0023】なお、例えば、ロックアップソレノイド8
は、駆動デューティ(D)が0%の時、トルクコンバー
タ3をロックアップクラッチの開放によりコンバータ状
態にし、駆動デューティが100%の時、トルクコンバ
ータ3をロックアップクラッチの締結によりロックアッ
プ状態にするものとする。これの制御に用いられるコン
トロールバルブ5内のロックアップコントロールバルブ
は、駆動デューティ0%では開放側に、また駆動デュー
ティ100%では締結側に切り換わる油圧制御バルブ
(制御弁)で、その間の範囲のデューティ値による中間
容量制御では、そのデューティに応じてロックアップク
ラッチの締結容量を任意に設定できる。自動変速機制御
系中のロックアップ制御系統は、ここでは、これらロッ
クアップソレノイド8、ロックアップコントロールバル
ブやロックアップクラッチの油圧制御系、及び次のコン
トローラの一部を含んで構成できる。
【0024】シフトソレノイド6,7のON,OFF、
及びL/Uソレノイド8の駆動デューティ(L/U制御
指令値)は、変速機(A/T)コントローラ9によりこ
れらを制御し、該コントローラ9には、エンジン1のス
ロットル開度TVOを検出するスロットル開度センサ1
0からの信号を入力するとともに、変速機出力軸4の回
転数Noを検出する変速機出力回転センサ13からの信
号を入力する。また、コントローラ9には、ここでは、
エンジン1の回転数Neを検出するエンジン回転センサ
11からの信号、自動変速機2の入力回転数(トルクコ
ンバータ3の出力回転数)Ntを検出するタービン回転
センサ12からの信号、変速機作動油温(A/T油温)
を検出する油温センサ14からの信号等を入力する。ま
た、コントローラ9には、イグニッションキーのON/
OFF操作によるON/OFF信号を入力するものとす
る。
【0025】ここに、A/Tコントローラ9に入力され
るスロットル開度センサ10からの入力情報は、変速制
御に適用されるとともに、車両の惰性走行(コースト)
状態か否かを判断するのにも用いることができる。ま
た、変速機出力回転センサ13からの入力情報は、その
変速機出力回転数Noから演算して車速Vを求めるのに
用いることができる。また、車両の運転状態をL/Uク
ラッチの締結容量の設定にきめ細かく反映させるように
する態様を採用する場合に該当するとき、例えば、車速
Vや、あるいはスロットル開度センサ10、エンジン回
転センサ11からの入力情報は、それらを車両の運転状
態を示すものとして用いることができる。一方また、エ
ンジン回転センサ11及びタービン回転センサ12から
の入力情報は、L/Uクラッチの差動を検知するのにも
用いることができ、この場合は、その差動回転数を計測
する計測手段は、これらセンサ及びコントローラ9の一
部を含んで構成される。また、A/T制御系の動作条件
をL/Uクラッチの締結容量の設定に反映させるように
する態様を採用する場合に該当するとき、油温センサ1
4からの入力情報は、A/T制御系の動作条件を示すも
のとして用いることができる。また、コントローラ9
は、イグニッションキーONによって電源投入を検知す
ることができる。
【0026】A/Tコントローラ9は、車載バッテリー
を電源としてこれに接続されており、入力検出回路と、
演算処理回路と、該演算処理回路により実行される変速
制御プログラム、L/U制御プログラム、及び本発明に
従う後述のコースト時初期学習制御プログラム等の制御
プログラム、並びに演算結果その他の情報等を記憶格納
する記憶回路と、シフトソレノイド6,7及びL/Uソ
レノイド8に駆動用の制御信号を送出する出力回路等か
らなる。コントローラ9によるプログラム処理はイグニ
ッションキーONによる電源投入に基づいて起動し、開
始され、コントローラ9は入力情報に基づき変速制御や
L/U制御を実行する。
【0027】変速制御については、上記スロットル開度
及び変速機出力軸回転の入力情報に基づき、ここでは図
示しないが、周知の演算により以下の変速制御を行うこ
とができる。すなわち、変速制御に際し、A/Tコント
ローラ9は、スロットル開度TVOと、変速機出力回転
数Noから演算して求めた車速Vとから、現在の運転状
態に最適な変速段を、例えばテーブルデータからルック
アップ方式により求め、この最適変速段が選択されるよ
う、シフトソレノイド6,7をON,OFFさせて所定
の変速を行う。
【0028】L/U制御では、トルクコンバータ3によ
るトルク増大機能やトルク変動吸収機能が不要なL/U
領域での運転中か、これら機能が必要なコンバータ領域
での運転中か等の制御領域の判定をし、制御要求に応
じ、L/Uソレノイド8の駆動制御により、L/U領域
ならトルクコンバータ3をL/U状態にするように、コ
ンバータ領域ではこれを解除してトルクコンバータ3を
コンバータ状態にするように、制御する。
【0029】A/Tコントローラ9は、こうした制御に
ついては、例えば、予めスロットル開度TVOと車速V
とで設定したロックアップON線やロックアップOFF
線によるロックアップ車速線(L/U線)データ(テー
ブルデータ)を用い、当該運転中の車両の現在のスロッ
トル開度TVOと車速Vとを基に、斯く規定されたL/
U領域及びコンバータ領域のいずれの車両運転状態であ
るかを判別し、判別結果に応じて、トルクコンバータ3
を、L/U領域ではL/Uクラッチの締結により、入出
力要素間が直結されたL/U状態にし、コンバータ領域
ではL/Uクラッチの開放により、この直結が解かれた
コンバータ状態にすることによって、行うことができ
る。
【0030】さらに、本例では、運転者がアクセルぺダ
ルを釈放したコースト走行状態に該当するとき、燃費向
上効果の拡大が図れるようコーストL/U制御を行い、
さらにまた、かかるコースト時L/U状態での、例えば
低μ路での急制動によるエンストの発生を回避するため
のL/U解除応答性向上をも狙ってL/Uクラッチの締
結容量を中間容量に設定するコースト時L/U容量制御
を行うとともに、該コースト時L/U容量制御のため、
A/Tコントローラ9は、一定条件下で以下の如き初期
学習をも行う。すなわち、適用する個体によらず、その
L/U容量のばらつきを抑えながら、それらエンスト回
避と燃費向上との実効を図るべくL/U容量の制御範囲
を最適化するように、しかも、たとえ整備等での電源
(バッテリー)の取り外しなどによりそれまで蓄積記憶
してきたコントローラ9のメモリ内容がクリアされて
も、そうした場合にもよらずに、その状況にも対応しう
るよう、コースト時L/U制御指令値について最適な初
期学習による処理を電源接続後一度実行し、斯く初期学
習で得られるものをその後の該当するコースト時のL/
U制御での基準とする。
【0031】基本的には、L/U容量を減少させる方向
のL/U容量低下制御での学習の実行はエンスト回避の
面では有利に作用するが、他方、L/Uのスリップ回転
の発生頻度が多くなるほどそのだけ燃費向上効果の面で
はその効果は薄れることから、まず、初期値を絶対にス
リップ回転が発生しないことが明らかであるような制御
指令値にしておいて、例えばコントローラメモリの特定
のフラグがクリアされている場合には、最初のコースト
L/U状態となったときに即座に、かつ、極短時間の間
に制御指令値を減少させ、スリップ回転が発生するか、
エンスト回避とスリップ回転発生防止の両立が明らかな
制御指令値になったところで、そのときの値を個体バラ
ツキを考慮した補正を行った上、基準値として用いるこ
ととすることができる。このようにすると、以後、一部
のものを除いて、ほとんどの個体について、以後学習が
ほとんど発生しない範囲に収めることができる。
【0032】この場合において、好ましくは、A/Tコ
ントローラ9には、電源接続とは無関係に値(データ)
を保持できる第1の記憶手段としての第1のメモリと、
値(データ)の変更は可能であるが電源接続によって値
(データ)を保持される第2の記憶手段としての第2の
メモリとを備えるとともに、その第1のメモリに、コー
スト時L/U制御指令値として、トルクコンバータ3の
L/Uクラッチの差動が起こらないことが確実であるよ
うな所定のL/U制御指令値を事前に格納しておく構成
とする。そして、L/U制御については、その第2のメ
モリの内容がクリアされた後、最初に電源が接続され
て、ついで最初に電源が投入されたとき、電源接続とは
無関係に値を保持できるその第1のメモリに予め設定し
ておいた、上記所定のコースト時L/U制御指令値を、
その第2のメモリに読み込み、次いでL/Uが締結さ
れ、電源接続後最初にコーストL/U状態になったと
き、上記のコースト時L/U制御指令値を初期値として
適用して、L/U締結容量を低下させる制御を行い、か
つまた、そのL/U容量低下制御の結果として、L/U
クラッチの差動が確認されたならば、その時のL/U締
結容量を記憶して、その値でもって、次回からの惰性走
行状態(コースト走行状態)でのL/U容量設定値を補
正する制御を、電源接続後に1回だけ行うよう制御す
る。また、好ましくは、コントローラ9は、車両の運動
状態とA/T制御系の動作条件に応じて惰性走行状態で
のL/U容量設定値を設定し、かつ、それらに応じて補
正条件を設定し、かつ、それらに応じて補正を行うよう
制御する。
【0033】ここに、上記各記憶手段のうち、値の変更
は可能であるが電源接続によって値を保持される第2の
記憶手段についてはバッテリーバックアップによるメモ
リとして、また電源接続とは無関係に値を保持できる第
1の記憶手段についてはバックアップ不要なメモリ(例
えばEEPROM等)として、それぞれ機能させること
ができ、これらはコントローラ9の上記記憶回路の一部
として構成することができる。
【0034】また、L/Uクラッチの差動(スリップ回
転発生)の監視、検知については、既述のように例えば
エンジン回転Neと自動変速機入力回転Ntの差分(N
e−Nt)による計測とするか、あるいはその比、もし
くはそれらに相当する量を用いて行うことができる。こ
こでは、コントローラ9は、エンジン回転と自動変速機
入力回転の差分を監視し、これをL/Uの差動を代表す
る量として、差動の発生、確認を実行するものとする。
【0035】図2は、A/Tコントローラ9が実行する
上記補正処理等を含む一制御例のメインルーチンの制御
プログラムフローチャートである。本制御のメインルー
チンである初期学習ルーチンは、L/U制御ルーチンの
中でL/Uの制御状態がコーストL/U状態になった時
のみ呼び出される。なお、コーストL/Uが要求されて
いるかどうかは不図示のL/U制御プログラム中で判断
されている。また、その場合に、コースト状態かどうか
については、コントローラ9が、センサ10からの信号
に基づき、例えばスロットル開度TVOが微少設定値以
下か否かによりコントローラ9が判定するものとする。
あるいはまた、例えばアクセルペダルの釈放時にONす
るアイドルスイッチからの信号をもとに判定することも
可能であることはいうまでもない。
【0036】まず、初期学習ルーチンは、呼び出された
ならば、現在の制御状態をフラグによって確認し、必要
ならば初期化を行う。最初に、ステップS1にて初期化
終了フラグをチェックする。該初期化終了フラグは、こ
こでは、本プログラム例中の後記ステップS10の実行
によりOFFからONに切り換わるもので、そのフラグ
初期値がOFFのフラグである。また、この初期化終了
フラグはプログラム実行で一旦ONに切り換えられた後
も、整備等によって電源が取り外された場合など(バッ
テリー自体は車体から取り外されずにコントローラ9自
体が取り外された場合や、その他電源との接続が切り離
された場合を含む)コントローラメモリがクリアされる
と、OFFとなるフラグである。ステップS1では、こ
のようなフラグの状態をみており、したがって、このフ
ラグチェックにおいて、初期化終了フラグが現にONな
らば、かかる状態では、既に、初期学習は終了されたも
のとして、以下の初期学習ルーチンをスキップして終了
する。
【0037】一方、初期化終了フラグがOFFのとき、
これは、当該車両にとって今回ループで初めて初期学習
ルーチンが実行される場面に該当するか、あるいは、次
のような場面の該当する。つまり、上記のような整備等
がなされて初期化終了フラグもクリアされたのなら、そ
の後において今回ループで本初期学習ルーチンが再び初
めて実行される状況になった場面(整備等が完了して、
初めてバッテリー端子と接続された状態の後であって、
かつ電源投入によりプログラムが起動され、しかも初め
てコーストL/U状態となって本ルーチンの呼び出しが
初めてなされた状態)に該当する。
【0038】本プログラム例では、いずれの場合も、そ
のように初期化終了フラグがOFFの場合は、次に、ス
テップS2にて、さらに、初期化開始フラグをチェック
ものとする。このとき、その初期化開始フラグもOFF
ならば、ステップS2は、一度だけステップS3,S4
を経て、ステップS5以降へ進む処理を選択する。ステ
ップS3においては、コントローラ9への電源バックア
ップがなくても記憶内容(データ)の保持されているR
OM領域(第1のメモリ)からL/UDuty初期値(デー
タ)を持ってきて、コントローラ9への電源バックアッ
プによって記憶内容(データ)の保持がされているRA
M領域(第2のメモリ)のL/UDuty学習値に代入す
る。そののち、ステップS4にて初期化開始フラグをO
Nにし、初期学習開始モードとする。
【0039】ここに、ステップS3のL/UDuty初期値
セットで適用される値は、L/Uクラッチの差動が起こ
らないことが確実であるようなコースト時のL/U制御
指令値として事前に定めた値で、スリップ回転が発生し
ないことが明らかであるような値とすることができ、こ
こでは、電源バックアップ不要な上記第1のメモリに予
め設定しておいたかかる初期値データを、上記ステップ
S3実行のタイミングで、電源バックアップを要する上
記第2のメモリに読み込む。なお、かくして初期化開始
フラグがONにされた場合において次回ループでステッ
プS1からステップS2へ進んだときは、ステップS2
は、ステップS3,S4をスキップして直接ステップS
5以降へ処理を進めることができる。以上のようにし
て、現在の制御状態をフラグによって確認することがで
きる。
【0040】制御状態確認の後、初期学習ルーチルは実
際の制御に移る。まず、センサ11,12等からの信号
に基づき現在のスリップ回転数をみて、今のL/UDuty
でスリップ回転の発生がないかを検証する。ステップS
5にてスリップ回転発生検知のための閾値を読み込む。
この閾値は、回転センサの精度と回転ムラの発生によっ
てその大きさを変える必要があるために、主に車速V、
エンジン回転Ne等をパラメータとする値になる。
【0041】スリップ回転発生検知閾値を決定したなら
ば、ステップS6にて、この閾値と現在のスリップ回転
の絶対値〔abs(スリップ回転)〕を比較する。スリ
ップ回転数の絶対値が大きければ、すなわちabs(ス
リップ回転)>スリップ回転発生検知閾値が成立してス
リップ回転の発生が検知されれば、後記ステップS11
以下の処理を選択し、学習を開始することとし、スリッ
プ回転数の絶対値が小さければ、つまりabs(スリッ
プ回転)>スリップ回転発生検知閾値が不成立ならばス
テップS7側を選択し、該ステップS7にてL/UDyty
学習値を所定の減少速度で更新する。この際の減少速度
はL/U系の応答性によって決められるものである。
【0042】L/UDuty初期値は、これを絶対にスリッ
プ回転が発生しないことが明らかであるような制御指令
値にしておくと、最初にコーストL/U状態になったと
きに、基本的にステップS6の条件はまず不成立で、こ
のときに即座に極短時間の間に制御指令値を減少させう
るよう、ステップS7のL/UDyty学習値減少側の処理
を選択させることができる。ステップS7によるL/U
Duty学習値更新の後は、本プログラム例では、ステップ
S8にて更新した値をL/UDuty学習値下限値(L/U
クラッチが滑らずエンスト回避可能な値)と比較する。
もし、更新した値がこの下限値より小さい場合には、ス
テップS9,S10の処理を選択するが、然らざればス
テップS9,S10をスキップしてその時のループでの
処理を終える。(次回ループ以降においてステップS6
がステップS7側を選べば、再び上記ステップS7の処
理が繰り返されることとなる)。
【0043】しかして、ステップS9へ進んだ場合に
は、本ステップにてL/UDuty学習値をこの下限値とし
てコースト時L/UDuty値を求める。そして、ステップ
S10にて初期化終了フラグをONにして初期学習を終
了する。このL/UDuty学習値下限値はバラツキを考慮
した上で、十分エンスト回避が可能であると思われるL
/UDuty値である。
【0044】以上のステップS5→ステップS6→ステ
ップS7を経るループで処理が実行される場面に該当す
るときは、上記のコースト時L/UDuty初期値を初期値
として、L/U締結容量を低下させるL/U容量低下制
御がなされることとなる。そして、このとき、ステップ
S6のスリップ回転チェックにおいて否定の答を得つ
つ、かかる処理が進行する結果、スリップ回転が発生す
る前でも、もし、ステップS7→ステップS8→ステッ
プS9→ステップS10が実行されることとなる場面で
は、そのステップS9で求められることなる上記コース
ト時L/UDuty値=L/UDuty学習値下限値は、初期値
から制御指令値を減少させていって、エンスト回避とス
リップ回転発生防止の両立が明らかな制御指令値になっ
たところで得られるもので、個体バラツキを考慮した補
正を行った上の基準値として用いることができる値とし
て扱えるものであることを意味する。このようにすれ
ば、L/U容量の個体バラツキがあっても、基本的に、
ほとんどの個体について、以後学習を発生させないか、
または実質上ほとんど発生しない範囲、したがって、燃
費効果を損なうこととなってしまうようなスリップ回転
発生頻度の多い容量制御範囲ではない適切な制御範囲に
収めることができる。
【0045】この場合において、好ましいのは、L/U
クラッチの差動が確認される前に(ステップS6の答が
否定から肯定に転ずるに到るまえのタイミングで)、L
/U制御指令値が制御指令値−締結容量特性から定めら
れる所定値より小さくなった場合には、該L/U容量低
下制御を終了し、その時点でのL/U制御指令値によっ
て、コーストL/U時制御指令値を決定することであ
る。こうすると、実際にスリップ回転の発生をみないで
も、エンスト回避とスリップ回転発生防止の両立する適
切なコーストL/U時制御指令値の決定が可能で、L/
Uクラッチの締結容量を任意に設定できる制御装置を含
むL/U制御において、その適用する個体に合わせてバ
ラツキをより適切に吸収することができる。
【0046】また、上記L/U容量低下制御の結果、か
かる過程でL/Uクラッチの差動が確認された場合に
は、当該時点(スリップ回転が発生した時点)でのL/
U締結容量を記憶し、次回からのコースト状態でのL/
U容量設定値を補正する制御を実行する。すなわち、上
記ステップS6での比較の結果、既述の如く、その時の
スリップ回転の絶対値abs(スリップ回転)>スリッ
プ回転発生検知閾値の関係が成立すれば学習を開始する
こととし、前記ステップS7以下の処理に代えて、ステ
ップS11側の処理が選択される。これによりステップ
S11以下で補正が行われるが、好ましくは、このと
き、コースト状態でのL/U容量設定値を車両の運動状
態とA/T制御系の動作条件に応じて設定することとし
ている場合は、それらに応じて補正条件を設定し、か
つ、それらに応じて補正を行うものとする。
【0047】本プログラム例では、学習を開始すること
となったならば、ステップS11でエンジントルクを、
ステップS12で加減速イナーシャ成分を、ステップS
13で補機負荷を、ステップS14で車両走行負荷を、
それぞれ計算し、これらの計算結果からステップS15
にて必要締結容量を計算する。次に、ステップS16で
は、この締結容量を基に、制御指令値−締結容量特性を
補正し、ステップS17でこの補正結果を基にコースト
時L/UDuty値を求める。以上学習が終了したところ
で、前記ステップS10で初期化終了フラグをONにす
る。ここに、本L/U制御装置では、好ましくは、上記
の如くL/Uクラッチの滑りが検出されて学習制御が開
始されたとき、学習制御を継続している間は、通常のコ
ーストL/U制御を中断し、現在の締結容量を維持する
ものとする。
【0048】かくて上記ステップS11〜ステップS1
7→ステップS10の実行により、次回からの楕行状態
でのL/U容量設定値を補正する制御が電源接続後に1
回だけ行われ、結果、初期化終了フラグがOFFからO
Nになれば、次に本プログラムが呼び出されても、ステ
ップS2〜ステップS17の処理はコーストL/U状態
でもスキップされることとなる。
【0049】以後、かかるステップS2〜ステップS1
7による初期学習ルーチンが再び行われることとなるの
は、整備等によって電源が取り外された場合などでコン
トローラメモリがクリアされ、これにより初期化終了フ
ラグがOFFにクリアされている場合において冒頭に示
したようなタイミングで車両の走行制御状態が電源接続
後最初にコーストL/U状態となったときである。
【0050】上記制御によると、L/U制御指令値の初
期値をスリップ回転が発生しないことが明らかであるよ
うな制御指令値にしておいて、コントローラメモリの所
定のフラグ(初期値終了フラグ)がクリアされている場
合には、最初のコーストL/U状態となったときに可及
的速やかに制御指令値を減少させ、スリップ回転が発生
するに至ったところで、そのときの値を個体バラツキを
考慮した補正を行った上、基準値として用いることがで
き、このようにすれば、同様にしてL/U容量の個体バ
ラツキがあっても、以後学習を発生させないか、または
実質上ほとんど発生しない範囲、したがって、燃費効果
を損なうこととなってしまうようなスリップ回転発生頻
度の多い容量制御範囲ではない適切な制御範囲に収める
ことができ、多くの個体に広範囲に適用することができ
る。さらに、この場合に、車両の運動状態とA/T制御
系の動作条件に応じてコースト状態でのL/U容量設定
値を設定し、それらに応じて補正条件を設定するととも
に、それらに応じて補正を行うようにすると、よりきめ
細かな制御を行わせることもできる。
【0051】ここに、L/U容量低下制御中でL/Uク
ラッチの差動が確認された場合における補正処理のため
の前記ステップS11以下でのエンジントルク計算等に
ついて、図3(トルクコンバータ、L/U系のモデル)
を参照して説明を加えると、これらは、例えば以下のよ
うにして行うことができる。
【0052】なお、下記において、次の諸量は、それぞ
れ以下の内容を表す。
【数1】 T1 ;T/C+L/U系入力トルク(エンジントルク) T2 ;T/C+L/U系出力トルク N1 ;T/C入力回転(エンジン回転) N2 ;T/C出力回転 I1 ;T/C入力側イナーシャ(エンジンイナーシャ+
T/C入力部イナーシャ) I2 ;T/C出力側イナーシャ(T/C出力部イナーシ
ャ+自動変速機イナシャ) Tinp ;T/C入力部分担トルク Ttur ;T/C出力部分担トルク T1clt;L/U入力側分担トルク T2clt;L/U出力側分担トルク τ;T/Cトルク容量係数 t;T/C入出力トルク比 また、eは速度比=N1 /N2 を示し、後記で(e) を付
して表記するもの(τ(e) ,t(e) )は、この速度比e
の関数であることを示す。また、 (d/dt) は、一階微分
を示し、したがって、後記で (d/dt) を用いて表記する
(d/dt)N1 、(d/dt)N2 は、ぞれぞれその微分値を表
す。
【0053】まず、エンジントルクは、一般にエンジン
回転Neと、吸入空気量Qあるいは燃料噴射量によっ
て、マッピングされることが知られている。したがっ
て、エンジントルクは、適用する車両に応じ、例えば、
これを利用すると、容易に求まる。
【0054】また、加減速イナーシャ成分は、エンジン
1のイナーシャ変化と、変速機および車両系のイナーシ
ャ変化であるから、予め求めておいた各部イナーシャに
回転変化分を掛けることで求まる。
【0055】一方、補機負荷については、主たる補機の
動作状態をスイッチのON/OFF等によって監視し、
それによって適当な値を割り付ける方法と、補機の非動
作状態にて(あるいは強制的に作って)、その有る無し
でのエンジン負荷の比較を行って、その大きさを推定す
る方法がある。これらのいずれの方法も適用することが
できる。
【0056】また、車両走行負荷については、例えば、
各車両おきに車速によるマップが有るので、それを利用
するものとする。また、必要締結容量は、例えば、図3
のような簡単なモデルにこれらの値を用いて、以下の式
(1)〜(6)に基づき、式(7),(8)から必要締
結容量が求められる。
【0057】
【数2】 T1 =Tinp +T1clt ・・・(1) Tinp =τ(e) ・N1 2 ・・・(2) Ttur =t(e) ・Tinp ・・・(3) T1clt=T2clt ・・・(4) T2 =Ttur +T2clt ・・・(5) ∴ T1clt=T1 −τ(e) ・N1 2 ・・・(6)
【0058】ここに、式(6)は、式(1)に式(2)
を代入し、整理して得られる。しかして、式(6)右辺
に−I1 ・(d/dt)N1 を適用して、
【数3】 T1clt=T1 −τ(e) ・N1 2−I1 ・(d/dt)N1 ・・・(7) 式(4),(5)を同様に整理して =T2 −t(e) ・τ(e) ・N1 2−I2 ・(d/dt)N2 ・・・(8) となる。
【0059】なお、式(8)の右辺のT2 −t(e) ・τ
(e) ・N1 2は、式(5)よりT2clt=T2 −Ttur を
得、これに式(3)を適用してT2 −t(e) ・Tinp を
得るとともに、これにさらに式(2)を適用して得るこ
とができる。上述の如くに、ステップS11以下で該当
する演算を行うことができ、本発明は、このようにして
実施してもよい。
【0060】なお、本発明は、以上の実施の形態、変形
例等に限定されるものではない。例えば、電源接続とは
無関係に値を保持できるバッテリーバックアップ不要な
第1のメモリとして、EEPROMを一例に挙げたが、
これに限らず、例えばフラッシュメモリでもよく、バッ
クアップ電源なしでデ−タを保持できる不揮発性メモリ
であれば該第1のメモリに適用できる。
【0061】また、例えば、上記プログラム例では、ス
テップS2〜ステップS4の処理において、第1のメモ
リからのL/UDuty初期値を第2のメモリのL/UDuty
学習値に代入するようにしたが、かかる処理は図2の初
期学習プログラム中で行わずに、例えばL/U制御ルー
チン等の中で最初に電源接続後、最初に1回行うように
してもよい。すなわち、例えば整備のため電源が取り外
され、その結果、第2のメモリの内容がクリアされた
後、整備終了に伴い、最初に電源が接続されて、ついで
最初に電源が投入されたとき、このタイミングで第1の
メモリに予め設定しておいたそのL/UDuty初期値を第
2のメモリに読み込むようにしてもよい。この場合で
も、L/Uが締結され電源接続後最初にコーストL/U
状態になったとき、そのL/UDuty初期値を初期値とし
てL/U締結容量を低下させる制御を行わせることがで
きる。
【0062】また、例えば車両の運動状態に応じて補正
を行う場合に、車両の運動状態を示すものとして、車速
V、スロットル開度TVO、エンジン回転Ne、エンジ
ン1の吸入空気量Q(あるいは燃料噴射量)、吸入負
圧、補機駆動状態、制動装置作動状態もしくはそれらか
ら求められる変化速度、車両走行負荷、およびエンジン
トルクのいずれかを用いることもできる。また、同様
に、補正を行う場合、A/T制御系の動作条件を示すも
のとして、A/T油温に代え、もしくはこれを含んで、
A/T油温、ライン圧、パイロット圧、コントロール電
源電圧を対象としそののいずれか一以上を用いることも
できる。
【0063】上記の場合、いずれも、車両の運動状態と
A/T制御系の動作条件に応じてコースト状態でのL/
U容量設定値を設定し、それらに応じて補正条件を設定
し、それらに応じて補正を行えることから、よりきめ細
かく補正ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自動変速機のロックアップ制御装置の
一実施例を示すシステム図である。
【図2】同例におけるコントローラが実行する初期学習
ルーチンの説明に供するプログラムフローチャートの一
例である。
【図3】トルクコンバータ、ロックアップ系のモデルの
一例を示す図である。
【符号の説明】
1 エンジン 2 自動変速機(A/T) 3 トルクコンバータ 5 コントロールバルブ 6 シフトソレノイド 7 シフトソレノイド 8 ロックアップ(L/U)ソレノイド 9 コントローラ 10 スロットル開度センサ 11 エンジン回転センサ 12 タービン回転センサ 13 変速機出力回転センサ 14 変速機作動油温(A/T油温)センサ

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロックアップクラッチの締結容量を任意
    に設定できる制御装置と、ロックアップの差動を検知す
    る手段とを有する車両における自動変速機制御装置であ
    って、 ロックアップ制御指令値の初期値をスリップ回転が発生
    しないことが明らかであるような制御指令値にしておい
    て、コントローラメモリの所定フラグがクリアされてい
    る場合には、最初の惰性走行時ロックアップ状態となっ
    たときに速やかに制御指令値を減少させ、スリップ回転
    が発生するか、エンジンストール回避とスリップ回転発
    生防止の両立が明らかな制御指令値になったところで、
    そのときの値を個体バラツキを考慮した補正を行った上
    の基準値として用いるよう構成してなる、 ことを特徴とする自動変速機のロックアップ制御装置。
  2. 【請求項2】 ロックアップクラッチの締結容量を任意
    に設定できる制御装置と、 ロックアップの差動回転数を計測する手段と、 電源接続とは無関係に値を保持できる第1の記憶手段
    と、 値の変更は可能であるが電源接続によって値を保持され
    る第2の記憶手段と、 電源投入を検知できる手段と、 前記第2の記憶手段の内容がクリアされた後、最初に電
    源が接続されて、最初に電源が投入された場合、前記第
    1の記憶手段に予め設定しておいた、前記ロックアップ
    クラッチの差動が起こらないことが確実であるような惰
    性走行時のロックアップ制御指令値を、前記第2の記憶
    手段に読み込み、ロックアップが締結され電源接続後最
    初に車両の惰性走行時ロックアップ状態になったとき、
    前記の惰性走行時のロックアップ制御指令値を初期値と
    して、ロックアップ締結容量を低下させる制御を行い、
    かつ、斯くして行われるロックアップ容量低下制御の結
    果として、前記ロックアップクラッチの差動が確認され
    た場合、そのときのロックアップ締結容量を記憶して、
    その値でもって、次回からの惰性走行状態でのロックア
    ップ容量設定値を補正する制御を、電源接続後に1回だ
    け行うよう、制御する手段とを備えてなることを特徴と
    する自動変速機のロックアップ制御装置。
  3. 【請求項3】 前記ロックアップ制御装置において、 車両の運動状態と自動変速機制御系の動作条件に応じて
    惰性走行状態でのロックアップ容量設定値を設定し、か
    つ、それらに応じて補正条件を設定し、それらに応じて
    補正を行う、 ことを特徴とする請求項1、または請求項2記載の自動
    変速機のロックアップ制御装置。
  4. 【請求項4】 前記車両の運動状態を示すものとして、 車速、エンジンスロットル開度、エンジン回転、エンジ
    ン吸入空気量、エンジン吸入負圧、補機駆動状態、制動
    装置作動状態もしくはそれらから求められる変化速度、
    車両走行負荷、及びエンジントルクのいずれかを用い
    る、 ことを特徴とする請求項3記載の自動変速機のロックア
    ップ制御装置。
  5. 【請求項5】 前記自動変速機制御系の動作条件を示す
    ものとして、 変速機作動油温、ライン圧、パイロット圧、コントロー
    ル電源電圧のいずれかを用いる、 ことを特徴とする請求項3、または請求項4記載の自動
    変速機のロックアップ制御装置。
  6. 【請求項6】 前記ロックアップ制御装置において、 ロックアップクラッチの滑りが検出されて学習制御が開
    始されたとき、学習制御を継続している間は、通常の惰
    性走行時ロックアップ制御を中断し、現在の締結容量を
    維持する、 ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記
    載の自動変速機のロックアップ制御装置。
  7. 【請求項7】 ロックアップクラッチの差動が確認され
    るまえに、ロックアップ制御指令値が制御指令値−締結
    容量特性から定められる所定値より小さくなった場合に
    は、ロックアップ容量低下制御を終了して、その時点で
    のロックアップ制御指令値によって、惰性走行時ロック
    アップ制御の制御指令値を決定する、 ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記
    載の自動変速機のロックアップ制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8296023B2 (en) 2007-09-28 2012-10-23 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Control apparatus and control method for continuously variable transmission

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