JPH10119841A - 土工用車輛のクローラにおける鉄履帯用のゴムパット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 鉄履帯の外面側に組付けるゴムパットＰが、
逃げ易い泥土を逃がさずに適確に掴み込むようになっ
て、牽引力を増大させ得るようになり、しかも横滑りを
阻止し得るようにする。 【解決手段】 鉄履帯用のゴムパットにおいて、それの
座板４の内面側に盛付けるゴム材６の頂面で形成される
踏面ａを、平面視において、左右の中央部が前方に偏位
し左右の両端部が後方に寄る浅いＶ字状に形成し、この
踏面ａとゴム材６の基端部６ａの上縁部位との間の前壁
面６ｃを、左右の中央部の傾斜角度が小さく、その中央
部で振分けられた右半側と左半側の傾斜角度が、左右の
両端部に向うに従い次第に大きくなる傾斜面に形成し、
後壁面６ｄを、左右の両端部の傾斜角度が小さく、中央
部に向うに従い次第に傾斜角度が大きくなる傾斜面に形
成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、クローラ型の走行装置
により走行するバックホウ等の土工用車輛において、鉄
履帯での走行が禁じられている舗装道路での走行が許さ
れるようにするために、クローラの鉄履帯の外面側にゴ
ムパットを嵌合してセットボルトにより組付け、クロー
ラを接地面がゴム材となるゴムクローラの形態に変換さ
せるように用いる土工用車輛のクローラにおける鉄履帯
用のゴムパットについての改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】駆動輪と従動輪との間に、エンドレスに
かけまわした鎖状に連結するリンクプレートの外面側
に、鉄製のシュープレート（鉄履帯）を設けた鉄クロー
ラを、ゴムクローラの形態に変換させるように用いるゴ
ムパットＰは、通常、図１にあるように、連結軸１…に
より屈曲自在の鎖状に連結するリンクプレート２…の外
面側に鉄製のシュープレート３を組付けて構成される鉄
クローラの前記シュープレート３に対し、それの外面に
嵌合する形状の座板４を、図２に示す如く、鉄板から成
形して、その座板４に、それを前記シュープレート３に
嵌合させた状態にセットするためのセットボルト５を、
内面側（図２において上面側）から底面側（下面側）に
向けて挿通し、それの頭部５０を座板４の内面に当接さ
せて先端側を座板４の底面側（図２において下面側）に
突出させ、座板４の内面に接合する頭部５０を座板４の
内面に一体的に熔接し、この状態の座板４の内面側に、
ゴム材６を枕状に成形して盛付け、そのゴム材６の基端
部側と座板４の前後の立上壁４０・４０の内面との接合
面および座板４の底板部の内面との接合面等の、ゴム材
６の基端部側と座板４の内面側との接合部位を、焼付処
理により一体的に焼付け結合させることで構成してあ
る。

【０００３】そして、このように構成されるゴムパット
Ｐは、それの鉄製の座板４の底面側（図３において下面
側）を、図３に示している如く、鉄クローラのシュープ
レート３の外面側に嵌合させ、その座板４に取付けてお
いたセットボルト５の先端側を、シュープレート３に予
め形設しておくボルト穴に挿通して、そのシュープレー
ト３の内面側（図３において下面側）において、ワッシ
ャー５１を介してナット５２…により締着し、セットボ
ルト５の先端部に保護キャツプ５３を装着することで、
シュープレート３…の外面側に組付けセットすること
で、ゴムクローラの形態に変換させるように用いられ
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上述の如く、鉄クロー
ラのシュープレート３…の外面側に、別に形成しておく
ゴムパットＰを組付けることで、鉄クローラをゴムクロ
ーラの形態に変換させる手段は、ゴムパットＰの組付け
によりそれのゴム材６により新たに形成される接地面
が、鉄製のシュープレート３に形成されていた前後に並
列するグローサー３０…を消失させるようになること
と、ゴム材６の摩擦抵抗が、接地する地面が軟弱な泥土
である場合には、鉄材よりなるシュープレート３…の摩
擦抵抗に比して小さくなることから、鉄履帯（鉄製のシ
ュープレート３）により走行する鉄クローラに比して、
牽引力が不足するようになることと、横滑りが生じ易い
問題がある。

【０００５】本発明は、このゴムパットＰを用いて、鉄
履帯を装備せる鉄クローラをゴムクローラに変換させる
際に生じている問題を解消せしめるためになされたもの
であって、鉄履帯の外面側に組付けるゴムパットＰが、
逃げ易い泥土を逃がさずに適確に掴み込むようになっ
て、牽引力を増大させ得るようになり、しかも横滑りを
阻止し得るようになる新たな手段を提供することを目的
とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】そして、本発明において
は、上述の目的を達成するための手段として、底面側
を、鉄クローラの鉄製のシュープレート３の外面形状に
倣う形状に成形した平面視において長矩形状の座板４
に、それの内面側からセットボルト５を底面側に向け挿
通して、頭部５０を座板４内面に固着し、その座板４の
内面側に、枕状に成形したゴム材６の基端部６ａを嵌合
して盛付け、座板４との接合面を焼付処理により結合さ
せる鉄履帯用のゴムパットにおいて、座板４の内面側に
盛付けるゴム材６の頂面で形成される踏面ａを、平面視
において、左右の中央部が前方に偏位し左右の両端部が
後方に寄る浅いＶ字状に形成し、この踏面ａとゴム材６
の基端部６ａの上縁部位との間の前壁面６ｃを、左右の
中央部の傾斜角度が小さく、その中央部で振分けられた
右半側と左半側の傾斜角度が、左右の両端部に向うに従
い次第に大きくなる傾斜面に形成し、後壁面６ｄを、左
右の両端部の傾斜角度が小さく、中央部に向うに従い次
第に傾斜角度が大きくなる傾斜面に形成したことを特徴
とする土工用車輛のクローラにおける鉄履帯用のゴムパ
ットを提起するものである。

【０００７】

【作用】上述の如く構成する本発明による鉄履帯用のゴ
ムパットＰは、鉄クローラの鉄製のシュープレート３の
外面に組付ける座板４の内面側に、枕状に成形して盛付
けるゴム材６の頂面により形成される踏面ａが、平面視
において、クローラを装備せる車体の後方に向う側が開
脚側となる浅いＶ字形に形成しているのだから、ゴムパ
ットＰ自体が、横滑りを防止して土砂の噛込みを良くす
るラグを形成するようになって、横滑りを防止するとと
もに牽引力を増大させるようになる。

【０００８】

【実施例】次に実施例を図面に従い詳述する。なお、図
面符号は、従前手段のものと同効の構成部材については
同一の符号を用いるものとする。

【０００９】図４は本発明を実施せるクローラにおける
鉄履帯用のゴムパットＰの縦断側面図で、同図におい
て、４は鉄クローラの鉄履帯（シュープレート３）の外
面側に嵌合させる座板、５はその座板４に取付けた組付
けセット用のセットボルト、６は座板４の内面側に盛付
けたゴム材を示す。

【００１０】該ゴムパットＰは、鉄板または鋼板を用い
て、鉄クローラのシュープレート３の外面形状に倣う形
状の座板４を成形し、それにセットボルト５…を、内面
側から挿通して、それの頭部５０・５０を座板４の内面
に熔接により固定することで、先端側が座板４の下面側
に突出する状態に取付け、この座板４の内面側に、ゴム
材６を枕状に成形して盛付け、そのゴム材６の基端部６
ａ側の外面と座板４の内面との接合面を、焼付け処理に
より一体的に結合させることでゴムパットＰに構成し、
これを、図３にあるように、鉄クローラのシュープレー
ト３の外面側に嵌合し、セットボルト５をシュープレー
ト３にワッシャー５１およびナット５２を介して締着
し、保護キャップ５３を装着して組付けセットするよう
にすることについては、従前手段のクローラにおける鉄
履帯用のゴムパットＰと変わりがない。

【００１１】しかし、枕状に成形して座板４の内面側に
盛付けるゴム材６は、座板４の内面に嵌合せしめて接合
させる基端部６ａ側を、鉄クローラのシュープレート３
の外面側に嵌合するように平面視において長方形状に成
形される座板４に対応する長矩形状に成形するが、その
基端部６ａから外方に向けて盛り上げる上部６ｂ側は、
それの頂面で形成される踏面ａを、図５にあるように、
基端部６ａの上縁部位の前後の巾より幾分狭い巾で左右
に連続する水平な平面に形成してある。

【００１２】そして、この水平な平面の踏面ａは、それ
の平面視における形状が、ゴムパットＰをクローラのシ
ュープレート３の外面側に組付けたときの車体の前面に
向う側が、図５において下方であるとすると、その図５
にあるように、左右の中央部位が前方に偏位し、左右の
両端側が後方に寄る浅いＶ字状をなすように形成してあ
る。

【００１３】また、この平面視でＶ字形をなす踏面ａと
ゴム材６の基端部６ａの上縁部との間の、前壁面６ｃと
後壁面６ｄは、それの前壁面６ｃにあっては、図６およ
び図８乃至図１４の断面図にあるように、左右の中央部
の傾斜角度が小さく、その中央部で振分けられた右半側
および左半側の傾斜角度が左右の両端部に向うに従い次
第に大きくなる傾斜面に形成してあり、また、後壁面６
ｄにあっては、図７および図８乃至図１４の断面図にあ
るように、左右の両端部の傾斜角度が小さく、中央部に
向うに従い次第に傾斜角度が大きくなるように形成して
ある。

【００１４】一例をあげれば、前壁面６ｃの傾斜面にあ
っては、図５において、Ａ−Ａ’線およびＧ−Ｇ’線に
おける部位の傾斜角度が略６０度で、Ｂ−Ｂ’線および
Ｆ−Ｆ’線における部位の傾斜角度が略５０度でＣ−
Ｃ’線およびＥ−Ｅ’線における部位の傾斜角度が略４
０度で、Ｄ−Ｄ’線における部位の傾斜角度が略３０度
となり、後壁面６ｄの傾斜面にあっては、Ａ−Ａ’線お
よびＧ−Ｇ’線における部位の傾斜角度が略３０度で、
Ｂ−Ｂ’線およびＦ−Ｆ’線における部位の傾斜角度が
略４０度で、Ｃ−Ｃ’線およびＥ−Ｅ’線における部位
の傾斜角度が略５０度で、Ｄ−Ｄ’線における部位の傾
斜角度が略６０度となるようにしてある。

【００１５】次に、図１５は、別の実施例を示してい
る。この例は、座板４の前後の立上壁４０・４０の上端
部から、その座板４をシュープレート３の外面側に嵌合
させたときにシュープレート３の前後のグローサー３０
・３０の頂面３０ａ・３０ａの上に被さるように略水平
な鍔状に延出する延出壁４１・４１を形設しておいて、
座板４の内面側に盛付けるゴム材６の前壁面６ｃおよび
後壁面６ｄを、この延出壁４１・４１の上面から盛付け
るようにした例である。

【００１６】この例においては、座板４の内面側に嵌合
さすゴム材６の基端部６ａは、座板４の内面側と対応す
る平面視において長矩形のシート状に成形するが、座板
４の上に盛り上げる上半側は、それの前面側および後面
側が座板４の前後の立上壁４０・４０の上端部から略水
平に屈曲させて前後にそれぞれ延出させた延出壁４１・
４１の上面に被さるように、前後に拡巾させてあって、
これにより、このゴム材６の上半側の上面に形成する水
平な平面の踏面ａの前後の巾が、前述の図４乃至図１４
に示している実施例の踏面ａよりも、図１５において寸
法ｗの２倍だけ拡巾するようにしてある。

【００１７】また、この例は、座板４の前後の立上壁４
０・４０から略水平に屈曲させて前後に延出させた延出
壁４１・４１が、シュープレート３の前後のグローサー
３０・３０の頂面３０ａ・３０ａに対して密に接合して
いくようにするために、座板４は弾性を具備する鋼板を
用いて成形し、かつ、延出壁４１・４１の屈曲角度を、
延出壁４１・４１の下面の先端側が基端側よりも下方に
位置する角度に設定してあって、これにより、シュープ
レート３の外面側に嵌合させたときに、図１５にあるよ
うに、延出壁４１・４１の下面の先端側だけがグローサ
ー３０の頂面３０ａ・３０ａに当接し、この当接部分を
除いた座板４の底面側の全面とシュープレート３の外面
との間に、少しの間隙Ｄが形成され、セットボルト５に
螺合するナット５２の締付けにより図１６の如く前述の
間隙Ｄを消失させるように緊縛することで、延出壁４１
・４１が座板４の弾性により撓曲してグローサー３０・
３０の頂面３０ａ・３０ａに圧接していき、このときに
生成されるバネ力Ｆで、延出壁４１・４１の先端側を強
力にグローサー３０・３０の頂面３０ａ・３０ａに密着
させるようにしてある。

【００１８】そして、この例におけるゴム材６の座板４
からそれの上方に盛り上がる上半側の前壁面６ｃおよび
後壁面６ｄは、図１７および図１８にあるように、前述
の実施例のものと同様に形成される。

【００１９】

【発明の効果】上述の如く構成せる本発明による土工用
車輛のクローラにおける鉄履帯用のゴムパットＰは、鉄
クローラのシュープレート３の外面に組付ける座板４の
内面側に、枕状に成形して盛付けるゴム材６の踏面ａ
が、平面視において、クローラを装備せる車体の後方に
向う側が開脚側となる浅いＶ字形に形成してあり、後壁
面６ｄが、左右の両端部の傾斜角度が小さく中央部に向
うに従い次第に傾斜角度が大きくなる傾斜面になってい
ることから、地面に接して走行するときに、土砂を左右
方向に逃さずに中央部に寄せ集めるようになって、土砂
の噛込みを良くし、かつ、横方向への滑りを防止するよ
うになる。

【００２０】そして、座板４の内面側に盛付けるゴム材
６は、座板４の内面側に嵌合する基端部６ａは、座板４
の内面形状に倣う平面視において長矩形のシート状で、
座板４から上方に盛上る上部６ｂ側を、平面視におい
て、後方が開脚側となる浅いＶ字状に成形するのである
から、このゴム材６の成形も面倒なく簡単に行なえる。

【００２１】従って、本発明手段によれば、ゴムパット
Ｐ自体が、横滑りを防止して土砂の噛込みを良くするラ
グを構成するようになって、横滑りを防止するとともに
牽引力を増大させるゴムパットＰが得られるようにな
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】土工用車輛に置ける鉄クローラの一部の側面図
である。

【図２】同上鉄クローラのシュープレートの外面側に組
付けるゴムパットの縦断側面図である。

【図３】同上ゴムパットのシュープレートにセットした
状態の縦断側面図である。

【図４】本発明によるゴムパットの縦断側面図である。

【図５】同上ゴムパットのゴム材の平面図である。

【図６】同上ゴムパットのゴム材の前面側から見た斜視
図である。

【図７】同上ゴムパットのゴム材の後面側から見た斜視
図である。

【図８】同上ゴムパットのゴム材の図５におけるＡ−
Ａ’線断面図である。

【図９】同上ゴムパットのゴム材の図５におけるＢ−
Ｂ’線断面図である。

【図１０】同上ゴムパットのゴム材の図５におけるＣ−
Ｃ’線断面図である。

【図１１】同上ゴムパットのゴム材の図５におけるＤ−
Ｄ’線断面図である。

【図１２】同上ゴムパットのゴム材の図５におけるＥ−
Ｅ’線断面図である。

【図１３】同上ゴムパットのゴム材の図５におけるＦ−
Ｆ’線断面図である。

【図１４】同上ゴムパットのゴム材の図５におけるＧ−
Ｇ’線断面図である。

【図１５】本発明によるゴムパットの別の実施例のセッ
ト前の状態における縦断側面図である。

【図１６】同上ゴムパットのシュープレートに締着した
状態の縦断側面図である。

【図１７】同上ゴムパットの平面図である。

【図１８】同上ゴムパットのゴム材の前面側から見た斜
視図である。

【図１９】同上ゴムパットのゴム材の後面側から見た斜
視図である。

【符号の説明】

Ｐ…ゴムパット、Ｆ…バネ力、ａ…踏面、１…連結軸、
２…リンクプレート、３…シュープレート、３０…グロ
ーサー、３０ａ…頂面、４…座板、４０…立上壁、４１
…延出壁、５…セットボルト、５０…頭部、５１…ワッ
シャー、５２…ナット、５３…保護キャップ、６…ゴム
材、６ａ…基端部、６ｂ…上部、６ｃ…前壁面、６ｄ…
後壁面。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 底面側を、鉄クローラの鉄製のシュープ
   レート３の外面形状に倣う形状に成形した平面視におい
   て長矩形状の座板４に、それの内面側からセットボルト
   ５を底面側に向け挿通して、頭部５０を座板４内面に固
   着し、その座板４の内面側に、枕状に成形したゴム材６
   の基端部６ａを嵌合して盛付け、座板４との接合面を焼
   付処理により結合させる鉄履帯用のゴムパットにおい
   て、座板４の内面側に盛付けるゴム材６の頂面で形成さ
   れる踏面ａを、平面視において、左右の中央部が前方に
   偏位し左右の両端部が後方に寄る浅いＶ字状に形成し、
   この踏面ａとゴム材６の基端部６ａの上縁部位との間の
   前壁面６ｃを、左右の中央部の傾斜角度が小さく、その
   中央部で振分けられた右半側と左半側の傾斜角度が、左
   右の両端部に向うに従い次第に大きくなる傾斜面に形成
   し、後壁面６ｄを、左右の両端部の傾斜角度が小さく、
   中央部に向うに従い次第に傾斜角度が大きくなる傾斜面
   に形成したことを特徴とする土工用車輛のクローラにお
   ける鉄履帯用のゴムパット。