JPH10113818A - ねじれ溝付き内径仕上げ工具及びその製造方法 - Google Patents

ねじれ溝付き内径仕上げ工具及びその製造方法

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JPH10113818A
JPH10113818A JP8266996A JP26699696A JPH10113818A JP H10113818 A JPH10113818 A JP H10113818A JP 8266996 A JP8266996 A JP 8266996A JP 26699696 A JP26699696 A JP 26699696A JP H10113818 A JPH10113818 A JP H10113818A
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inner diameter
tool
twist
round bar
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JP8266996A
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English (en)
Inventor
Kiyotaka Matsukawa
清喬 松川
Haruo Iguchi
晴夫 井口
Masaru Oshika
優 大鹿
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Nippon Kagaku Yakin Co Ltd
Original Assignee
Nippon Kagaku Yakin Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軸受の内面に油溝があっても、連続切削加工
を行うことにより内径を高精度に仕上げることのできる
切削工具及びその製造方法を提供すること。 【解決手段】 丸棒軸16を研削装置24に回動自在に
取り付け、回転している研磨部材38を丸棒軸16に押
圧し、丸棒軸16を回転させながら研磨部材38に対し
軸方向に相対移動させることにより1条目のねじれ溝2
aを所定長さ形成する。次に、1条目のねじれ溝2aか
ら円周方向に所定角度離間する2条目のねじれ溝2aを
同様の操作で形成し、この操作を複数回繰り返すことに
より複数条のねじれ溝2aを形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軸受の内径仕上げ
工具に関し、更に詳しくは、焼結含油軸受の内径を微量
切削するためのねじれ溝付き内径仕上げ工具及びその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の内径仕上げ工具においては、工具
の耐摩耗性を考慮して、材質は超硬材料が一般に用いら
れている。超硬材料はダイヤモンド砥石により研削加工
されるが、細くて長い超硬丸棒の溝加工が難しいことか
ら、従来の内径仕上げ工具は、円周方向に等角度に軸心
と平行な溝を割り出し加工することにより形成された刃
部を有する直刃工具となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
内径仕上げ工具にあっては、その周面に軸心に平行な複
数の溝が割り出し加工されているので、ランド部が直刃
となり断続切削加工を行うことから、加工精度を低下さ
せる要因となっていた。更に、内面に油溝のある軸受の
仕上げ加工にあっては、軸受の溝部に工具のランド部が
落ち込むことから加工精度が良くなかった。
【0004】本発明は、従来技術の有するこのような問
題点に鑑みてなされたものであり、内面に油溝を有する
軸受であっても、連続切削加工を行うことにより軸受内
面の高精度な仕上げ加工を行うことのできるねじれ溝付
き内径仕上げ工具及びその製造方法を提供することを目
的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のうちで請求項1に記載の発明は、少なくと
も刃部を有し、該刃部を研磨して複数条のねじれ溝を形
成し、該ねじれ溝以外のランド部で軸受内径を連続切削
することにより、軸受内径の精度を向上させたことを特
徴とするねじれ溝付き内径仕上げ工具である。
【0006】また、請求項2に記載の発明は、工具全面
に耐摩耗性被膜を形成したことを特徴とする。
【0007】さらに、請求項3に記載の発明は、複数条
のねじれ溝を有し、軸受内径を連続切削するねじれ溝付
き内径仕上げ工具の製造方法であって、丸棒軸を研削装
置に回動自在に取り付け、回転している研磨部材を上記
丸棒軸の第1の位置に押圧し、上記丸棒軸を回転させな
がら上記研磨部材に対し軸方向に相対移動させることに
より上記第1の位置と所定距離離間した第2の位置との
間に1条目のねじれ溝を形成し、該1条目のねじれ溝の
上記第1の位置から円周方向に所定角度離間した位置に
上記研磨部材を押圧して、上記丸棒軸の回転と上記研磨
部材に対する上記相対移動とを繰り返すことにより複数
条のねじれ溝を形成したことを特徴とするねじれ溝付き
内径仕上げ工具の製造方法である。
【0008】また、請求項4に記載の発明は、1条のね
じれ溝の形成に際し、上記丸棒軸と上記研磨部材との相
対移動を複数回行うようにしたことを特徴とする。
【0009】また、請求項5に記載の発明は、上記ねじ
れ溝の条数を四条以上の偶数条としたことを特徴とす
る。
【0010】また、請求項6に記載の発明は、上記ねじ
れ溝の軸心に対するねじれ角を10度乃至60度に設定
したことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照しながら説明する。図1及び図2は、本
発明にかかるねじれ溝付き内径仕上げ工具2を示してお
り、外周面を円筒研削した超硬丸棒材を研磨して形成し
た複数条の(例えば四条以上の)ねじれ溝2aを有して
いる。このねじれ溝2aは、工具2の軸心に対し例えば
10度乃至60度の比較的大きなねじれ角を有してお
り、そのランド部2bをねじれ刃とすることにより連続
切削加工を可能としている。
【0012】ねじれ方向は左ねじれと右ねじれがあり、
図1は左ねじれを示しているが、左右いずれのねじれ刃
を採用するかは、軸受の内径仕上げ加工に使用する機械
によって選定される。
【0013】図3の(a)及び(b)は、それぞれラン
ド部2bの切刃断面形状を示しており、切刃としてのラ
ンド部2bは、リーマのように尖った一枚刃が数本ある
のではなく、図4に示されるように、ランド部2bの表
面あらさ4を形成する小さな無数の凹凸のうち凸部6が
切刃となる。これは、研削砥石の砥粒やラッピングのパ
ウダーの考え方と同じであり工具のランド部に小さなパ
ウダーが固定されていると考えればわかりやすい。高精
度に加工する為には、一刃当たりの削り量を小さくする
が、そうすれば工具全体の削り量も少なくなるから、ラ
ンド部2bの表面アラサ4は0.2μm〜0.5μmに設定
されている。すなわち、一刃の大きさは0.5μm以下と
し、軸受内面の削り量は内径で40μm以下としてい
る。
【0014】ねじれ溝2aのねじれ角は、図5に示され
るように、加工しようとする軸受8の長さL内におい
て、一条目の溝中心線8aと二条目の溝点8bが軸線上
で交点8cができるよう設定されているので、ランド部
は軸線上でつながった状態となり連続加工が可能とな
る。
【0015】表1は、ねじれ溝の溝数(条数)とねじれ
角との関係を示している。
【表1】
【0016】JISが定める切削工具において、工具を
回転させ内径を高精度に仕上げ加工する工具にリーマが
ある。本発明のねじれ溝付き内径仕上げ工具は、リーマ
のような尖った鋭利な刃はなく、表面アラサの小さな凸
部が刃となる微量切削工具でリーマとは異なるが、軸受
の内径を高精度に回転切削仕上げ加工を行うという同じ
加工目的を有しているので、リーマと比較し説明する。
【0017】ねじれ溝について、JISが言うハンドリ
ーマのねじれ刃とは付加されている全ての尖った鋭利な
一枚切刃がねじれていることを意味している。溝部も刃
と同角度でねじれているが、ねじれ溝付きとは呼ばず単
にねじれ刃と称している。ねじれ溝付き内径仕上げ工具
は、鋭利な切刃は持っていない。
【0018】刃数について、リーマ工具は切刃と切刃を
対角線上に設けることで等バランス加工となり、高精度
加工ができる工具であるから、JIS−B4405は4
刃以上の偶数刃と定めている。本発明のねじれ溝付き内
径仕上げ工具は、ねじれ溝を複数設けた形状のものであ
れば使用可能であるが、上記等バランス加工を考慮し
て、四条以上の偶数溝を有するものが好ましい。
【0019】ねじれ角について、JISはねじれ角につ
いて規定せず、単にねじれ刃としている。ねじれ角は工
具製造メーカーにそれぞれ委ねられており、一般的に市
販されているもので俗称スパイラルハンドリーマと呼ば
れるものは5度前後で、ヘリカルハンドリーマと呼ばれ
るものは10度前後となっている。上記表1には、一般
的に市販されている工具のねじれ角が示されているが、
本発明のねじれ溝付き内径仕上げ工具は、ねじれ角を1
0度〜60度に設定しているから強いねじれ角となって
いる。
【0020】また、表1には、本発明のねじれ溝付き内
径仕上げ工具を使用して内径を高精度に仕上げ加工する
焼結含油軸受において、ねじれ溝付き内径仕上げ工具を
使用する内径呼び寸法φ15mm以下の長さとの関係も
示されている。一般的には、軸受長さと内径呼び寸法が
等しいものを基準とし、長いものは呼び寸法の2倍、短
いものは呼び寸法の1/2を軸受の長さとしている。こ
れらの長短軸受を連続切削加工させる為には、図5を参
照して説明したように、加工しようとする軸受8の長さ
L内において、一条目の溝中心線8aと二条目の溝点8
bが軸線上で交点8cができるよう設定しなくてはなら
ないので、表1に示されるように11度から58度のね
じれ角度が必要となる。加工誤差等を考慮して、本発明
のねじれ溝付き内径仕上げ工具は、10度〜60度のね
じれ角を有している。
【0021】尚、限界最小ねじれ角は次式により計算さ
れる。 ねじれ角 = tan-1(φd×π÷N÷L) ここで、dは軸受8の内径を、Nはねじれ溝の溝数をそ
れぞれ示している。
【0022】なお、上記構成のねじれ溝付き内径仕上げ
工具2において、その軸心に沿って貫通穴を穿設すると
ともに、この貫通穴より半径方向に延びる複数の溝穴を
形成してもよい。溝穴は、複数のねじれ溝2aの各々に
少なくとも一つ穿設し、軸方向に等間隔に形成すると効
果的である。
【0023】貫通穴及び溝穴は、冷却用の穴として使用
されるもので、その目的は、連続切削加工中ランド部で
発生する加工熱を除去し、工具温度を安定させる(温度
上昇を防止する)ことで加工精度の低下を防ぐことであ
る。
【0024】すなわち、加工熱は発生した時、その発生
部で除去するのが望ましいから、加工時ランド部を直接
冷却するのが良いが、外部冷却では加工時のランド部を
直接冷却できないから内部冷却が必要となる。そこで、
貫通穴を外部の冷却空気源に接続することにより、加工
中冷却空気を貫通穴から導入された冷却空気を溝穴を介
して各溝部に常時流出させることにより、ランド部を効
果的に冷却できる。
【0025】上記構成の本発明にかかるねじれ溝付き内
径仕上げ工具2を、図6に示されるようにハウジング1
4の両端に二つの軸受8,8を組み込んだ加工物として
の軸受組立品15に適用する場合の製造工程を以下説明
する。
【0026】まず、図7に示されるように、逆センター
研削において超硬丸棒材16の両端をダイヤモンド砥石
18により60度に円錐研削加工し、更に、この超硬丸
棒材16の外周面を、図8に示されるように円筒研削す
る。
【0027】図9は、円筒研削により得られた超硬丸棒
材16を示しており、その中央部に形成された刃部16
aと、刃部16aの両側に形成された案内部16bとチ
ャック部16cと、刃部16aと案内部16bとの間に
テーパー研削された食い付き部16dとを備えている。
刃部16aの長さL2は加工物長さL1の1.5倍以上
とし、外径は目標寸法よりラッピング代として10μm
〜15μm大きく設定される。案内部16bの長さL3
は加工物の長さL1以上とし、外径寸法は刃部寸法より
45μm小さく設定されている。また、チャック部16
cの長さL4は20mm以上とし、外径寸法は刃部寸法よ
り50μm小さく設定されるとともに、食い付き部16
dの長さL5は軸受長さLの1.5倍〜2倍以上に設定
されている。
【0028】円筒研削された超硬丸棒材16は、図10
に示されるように、そのチャック部16cをチャック2
0で保持し回転させるとともに、ダイヤモンドペースト
付き脱脂綿22を刃部16a、食い付き部16d、案内
部16bに密着させて軸方向に摺動せしめることによ
り、ラッピング代の半分5μm〜10μmをラップし外周
の表面アラサを0.2μ〜0.5μRmaxに鏡面仕上げす
る。
【0029】鏡面仕上げされた超硬丸棒材16は、次に
図11に示されるように、研磨によりねじれ溝2aとな
る部分のみを研削する。すなわち、ねじれ溝2aの条数
を複数、好ましくは四条以上の偶数条としJISリーマ
規格に合わせるとともに、ねじれ角度を10度から60
度以内とし表1に準じたものとしている。
【0030】図11は、超硬丸棒軸16を研磨してねじ
れ溝2aを形成する研削装置24を示している。この研
削装置24は、ベッド26と、ベッド26の上に回動自
在に取り付けられた主軸28と、ベッド26の上に固定
され主軸28から所定距離離間した芯押台30と、ベッ
ド26に隣接して配設された砥石台32とを備えてい
る。また、主軸28は割り出し部34及びチャック36
とを有しており、砥石台32は研磨部材あるいは砥石と
してのダイヤモンドホイール38を有している。
【0031】上記構成の研削装置24を使用して超硬丸
棒材16に六条のねじれ溝2aを形成する場合について
以下説明する。まず、超硬丸棒材16の一端を主軸28
に設けられたチャック36で挟持する一方、その他端を
芯押台30で保持する。次に、砥石38がねじれ溝2a
の始端位置P1に来るよう砥石台32をセットし、砥石
38を2,500〜4,000rpm、好ましくは、3,
400±200rpmで回転させるとともに、超硬丸棒
材16に押圧する。この状態で、主軸28を手動で矢印
Aの方向に徐々に回転させると、ベッド26が連動して
矢印Cの方向に移動し、砥石38がねじれ溝2aの終端
位置P2に到達するまで超硬丸棒材16は研削される。
【0032】次に、砥石38が終端位置P2に到達した
時点で、主軸28を今度は逆方向すなわち矢印Bの方向
に手動で回転させると、主軸28と連動するベッド26
は矢印Dの方向に移動し、既に研削されたねじれ溝2a
を再度研削する。ベッド26を複数回往復させて上記研
削を繰り返すことにより1条目のねじれ溝2aが形成さ
れる。
【0033】なお、ベッド26の移動ストロークS、す
なわち、ねじれ溝2aの始端位置P1から終端位置P2
までの距離は、図9に示される刃部16a及び食い付き
部16dの長さに、刃部16aに隣接するチャック部1
6cの長さ約3mmと食い付き部16dに隣接する案内
部16bの長さ約5mmとを加えた長さに対応する。
【0034】次に、主軸28の割り出し部34に設けら
れたクラッチ(図示せず)を切り主軸28とベッド26
との連動を解除した後、主軸28を60度回転させる
と、ベッド26は移動することなく超硬丸棒材16のみ
60度回転する。しかる後、クラッチを入れ、1条目の
ねじれ溝2aを形成した操作と同様、主軸28を矢印A
及びBの方向に回転させてベッド26を複数回往復移動
させると、2条目のねじれ溝2aが形成される。以下、
同じ操作を6回繰り返すことにより超硬丸棒材16に六
条のねじれ溝2aが形成される。
【0035】なお、上記操作において、割り出し部34
における割り出し角を適宜変更することにより任意の条
数のねじれ溝2aを形成することができる。
【0036】また、上記実施形態において、ベッド26
のスライド移動を主軸28の回転に連動させる構成とし
たが、ベッド26を固定する一方、主軸28の回転に連
動して砥石台32をスライド移動させる構成にすること
もできる。さらに、主軸28は手動で回転させる構成と
したが、電動で回転させる構成にすることも勿論可能で
ある。
【0037】なお、主軸28の回転数は、3〜10rp
m好ましくは5〜6rpmで、主軸28の回転数に応じ
て砥石38の回転数を図12のグラフに基づいて適宜変
化させるのがよい。さらに、主軸一回転あたりのベッド
送り量をねじれ溝2aのねじれ角に応じて図13のグラ
フに基づいて適宜変化させるのが好ましい。
【0038】また、ベッド26の往復移動回数は、工具
径(超硬丸棒材16の直径)が増大するにつれて、ある
いは、砥石38の粒度が減少するにつれて、増加させる
のがよく、図14及び図15のグラフはその関係を示し
ている。砥石38の粒度としては、#150以下の粒度
であれば使用可能である。
【0039】次に、上記操作によりねじれ溝2aが形成
された超硬丸棒材16を、図16に示されるように、チ
ャック20で保持し回転させるともに、ダイヤモンドペ
ースト付脱脂綿22を刃部16aと食い付き部16dに
密着させて軸方向に摺動せしめることにより、刃部16
aと食い付き部16dが5μm〜10μmラッピングさ
れ、ねじれ溝付き内径仕上げ工具2が完成する。
【0040】次に、図6の軸受組立品15を本発明のね
じれ溝付き内径仕上げ工具2を使用して加工する場合の
工程を図17を参照して説明する。
【0041】図6に示されるように、軸受組立品15
は、ハウジング14と、ハウジング14の両端に圧入さ
れた二つの軸受8,8とを有しており、加工前の軸受組
立品15の内径寸法は、両端軸受8,8の同軸度、寸
法、面アラサを仕上げ加工により改善するため、例えば
40μm以下の仕上げ代が付加されている。
【0042】加工に際し、まずねじれ溝付き内径仕上げ
工具2のチャック部16cを仕上げモーター48にチャ
ック50で固定し、1,600〜3,200回転/分で回
転させる。次に、加工前軸受組立品15を保持した状態
で工具2の案内部16bに挿入し、案内部16bから食
い付き部16dへ、更に刃部16aへと押し込むと、一
刃当たり0.2μm〜0.5μm、仕上げ代40μm以下の
微量切削加工が行われる。仕上げ工具2から取り出した
加工後軸受組立品15の内径は高精度に仕上げられてい
る。
【0043】ここで、従来から使用されている6角形割
り出し工具(ランド部0.3mm(軸心に垂直な断面に
おけるランド幅)、6本直刃)と、本発明にかかるねじ
れ溝付き内径仕上げ工具とを比較実験を行ったところ、
表2のような結果が得られた。
【表2】
【0044】以下、上記表2について説明する。加工物
は、図6に示される軸受組立品15で、ハウジング14
の両端に圧入された軸受8,8はφ3.5の内径を有し
ている。加工方法に関しては、図17に示されるよう
に、工具を略水平に固定するとともに回転することによ
り軸受組立品15を加工した。工具の材質は超硬材と
し、回転数は2,600回転/分、加工物の送り速度は
240mm/秒、試料数は各20ケ、データー値は20ケ
の最小最大値、寸法バラツキの試料数は各100ケと
し、他のテスト条件は仕上げ工具3種類が同一条件とな
るようにした。
【0045】なお、表2において「被膜あり」と記載さ
れている工具は、本発明にかかるねじれ溝付き内径仕上
げ工具2にDLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン)
コーティングにより3μ厚の耐摩耗性被膜を形成したも
のである。
【0046】試料区分が内径真円品とは、図18に示さ
れる形状の軸受で、その結果について説明する。真円度
は、加工前の精度に対していずれも精度が向上している
が、ねじれ溝付き内径仕上げ工具を使用した場合の真円
度は、6角形割り出し工具を使用した場合の半分以下と
なっており、連続切削の効果が出ている。
【0047】軸受組立品15の同軸度とは、図6に示さ
れるように、両端軸受8,8の軸心のずれである。ねじ
れ溝付き内径仕上げ工具は、6角形割り出し工具の半分
以下となっており、ここでも連続切削の効果が出てい
る。
【0048】表面粗さに関しては、6角形割り出し工具
を使用した場合に比べ、ねじれ溝付き内径仕上げ工具を
使用した場合の精度はかなり向上している。
【0049】加工傷及び寸法バラツキに関しては、6角
形割り出し工具及びねじれ溝付き内径仕上げ工具のいず
れを使用しても、傷あるいはバラツキは少なく差異は見
られない。
【0050】工具寿命に関しては、6角形割り出し工具
及び被膜なしのねじれ溝付き内径仕上げ工具については
差異が見られないが、被膜を形成したねじれ溝付き内径
仕上げ工具は飛躍的に工具寿命が延びている。
【0051】試料区分が内径油溝付品とは、図19に示
されるように、内面の軸方向に形成された油溝54を有
する軸受であって、この軸受の加工結果を以下説明す
る。
【0052】真円度に関しては、6角形割り出し工具は
加工しても精度があまり向上しないのに対し、ねじれ溝
付き内径仕上げ工具は内径真円品より少し良くないが、
加工前の半分以下に精度が向上しており、ねじれ溝付き
内径仕上げ工具による連続加工の効果が出ている。
【0053】同軸度に関しては、6角形割り出し工具は
半分以下に精度が向上しているのに対し、ねじれ溝付き
内径仕上げ工具は更に精度が向上しており、内径真円品
と同精度である。
【0054】表面粗さに関しては、6角形割り出し工具
は約半分に精度が向上しているが、油溝の影響を受けて
いるから真円品より良くない。ねじれ溝付き内径仕上げ
工具は更に精度が向上しており、連続切削の効果で油溝
の影響を受けず真円品と精度は同じである。
【0055】加工傷に関しては、6角形割り出し工具加
工の場合は、油溝にランド部が落ち込んだ時の落ち込み
傷が見られるのに対し、ねじれ溝付き内径仕上げ工具の
場合は、連続切削の効果で油溝の影響を受けず、傷は小
さく内径真円品と精度は同じである。
【0056】寸法バラツキに関しては、6角形割り出し
工具はバラツキは小さいが、油溝の影響を受けて内径真
円品より良くない。ねじれ溝付き内径仕上げ工具は、6
角形割り出し工具より小さく、連続切削の効果が出てお
り内径真円品と精度は同じである。
【0057】工具寿命に関しては、内径真円品と同様、
被膜を形成したねじれ溝付き内径仕上げ工具は飛躍的に
工具寿命が延びている。
【0058】表2の結果から、ねじれ溝付き内径仕上げ
工具は連続切削加工ができることから、6角形割り出し
工具に比べて軸受の内径を高精度に仕上げ加工できる。
更に、内面に油溝のある軸受にあっては、直刃工具では
ランド部が軸受溝部に落ち込むことから、加工による精
度向上が充分ではないが、ねじれ溝付き内径仕上げ工具
は連続切削加工ができることから、その影響を受けず内
径真円品と略同精度で加工できる。
【0059】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、以下に記載されるような効果を奏する。本
発明のうちで請求項1に記載の発明によれば、刃部を研
磨して複数条のねじれ溝を形成したので、ランド部がね
じれ形状となり、軸受内径を連続切削加工することで、
軸受内径の精度が向上する。また、内面に油溝のある軸
受の仕上げ加工にあっては、油溝に工具のランド部が落
ち込むことがなくなり、加工精度が向上する。
【0060】また、請求項2に記載の発明によれば、工
具全面に耐摩耗性被膜を形成したので、工具寿命を飛躍
的に長くすることができる。
【0061】さらに、請求項3に記載の発明によれば、
丸棒軸を回転させながら研磨部材を相対移動させること
で1条のねじれ溝を形成し、この操作を繰り返すことに
より複数条のねじれ溝を形成することができるので、複
数条のねじれ溝の形成が容易で、加工時間も短く、工具
の製造コストを削減することができる。また、加工精度
も高く、高価な設備を必要としない。
【0062】また、請求項4に記載の発明によれば、1
条のねじれ溝の形成に際し、丸棒軸と研磨部材との相対
移動を複数回行うようにしたので、所定粒度以下の任意
の砥石等を研磨部材として採用することができる。
【0063】また、請求項5に記載の発明によれば、ね
じれ溝の条数を四条以上の偶数条としたので、軸受内面
の等バランス加工が可能となる。
【0064】また、請求項6に記載の発明によれば、ね
じれ溝の軸心に対するねじれ角を10度乃至60度に設
定したので、油溝を有する軸受の加工に際し、ランド部
が油溝に落ち込むことがなく、連続切削加工が可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかるねじれ溝付き内径仕上げ工具
の正面図である。
【図2】 図1のねじれ溝付き内径仕上げ工具の部分拡
大斜視図である。
【図3】 図1のねじれ溝付き内径仕上げ工具の軸心に
垂直な部分断面図である。
【図4】 ランド部の表面アラサ図であり、(a)はそ
の1例を、(b)は別の例を示している。
【図5】 図1のねじれ溝付き内径仕上げ工具に形成さ
れたねじれ溝のねじれ角を示す説明図である。
【図6】 試料として使用された加工物である軸受組立
品の断面図である。
【図7】 ねじれ溝付き内径仕上げ工具に加工される超
硬丸棒材の逆センター研削を示す一部断面正面図であ
る。
【図8】 逆センター研削後の超硬丸棒材の円筒研削加
工を示す一部断面正面図である。
【図9】 円筒研削加工後の超硬丸棒材の正面図であ
る。
【図10】 ラッピング途中の超硬丸棒材の正面図であ
る。
【図11】 ねじれ溝付き内径仕上げ工具の製造に使用
される研削装置の斜視図である。
【図12】 図11の研削装置における主軸の回転数と
砥石の回転数との関係を示すグラフである。
【図13】 図11の研削装置における主軸の回転とベ
ッド送り量とねじれ角との関係を示すグラフである。
【図14】 図11の研削装置における砥石粒度とベッ
ドの往復回数と工具径との関係を示すグラフである。
【図15】 図11の研削装置における砥石粒度とベッ
ドの往復回数と工具径との関係を示す別のグラフであ
る。
【図16】 ねじれ溝と刃部のラッピングを示すねじれ
溝付き内径仕上げ工具の正面図である。
【図17】 加工途中のねじれ溝付き内径仕上げ工具と
加工品である軸受組立品の一部断面正面図である。
【図18】 試料として使用した内径真円品である軸受
を示しており、(a)はその正面図で、(b)は(a)
の線XVIIIB−XVIIIBに沿った断面図である。
【図19】 試料として使用した内径油溝付品である軸
受を示しており、(a)はその正面図で、(b)は
(a)の線XIXB−XIXBに沿った断面図である。
【符号の説明】
2 ねじれ溝付き内径仕上げ工具 2a ねじれ溝 2b ランド部 8 軸受 15 軸受組立品 16 超硬丸棒材 16a 刃部 16b 案内部 16c チャック部 16d 食い付き部 24 研削装置 26 ベッド 28 主軸 30 芯押台 32 砥石台 34 割り出し部 38 砥石

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも刃部を有し、該刃部を研磨し
    て複数条のねじれ溝を形成し、該ねじれ溝以外のランド
    部で軸受内径を連続切削することにより、軸受内径の精
    度を向上させたことを特徴とするねじれ溝付き内径仕上
    げ工具。
  2. 【請求項2】 工具全面に耐摩耗性被膜を形成した請求
    項1に記載のねじれ溝付き内径仕上げ工具。
  3. 【請求項3】 複数条のねじれ溝を有し、軸受内径を連
    続切削するねじれ溝付き内径仕上げ工具の製造方法であ
    って、 丸棒軸を研削装置に回動自在に取り付け、回転している
    研磨部材を上記丸棒軸の第1の位置に押圧し、上記丸棒
    軸を回転させながら上記研磨部材に対し軸方向に相対移
    動させることにより上記第1の位置と所定距離離間した
    第2の位置との間に1条目のねじれ溝を形成し、該1条
    目のねじれ溝の上記第1の位置から円周方向に所定角度
    離間した位置に上記研磨部材を押圧して、上記丸棒軸の
    回転と上記研磨部材に対する上記相対移動とを繰り返す
    ことにより複数条のねじれ溝を形成したことを特徴とす
    るねじれ溝付き内径仕上げ工具の製造方法。
  4. 【請求項4】 1条のねじれ溝の形成に際し、上記丸棒
    軸と上記研磨部材との相対移動を複数回行うようにした
    請求項3に記載のねじれ溝付き内径仕上げ工具の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 上記ねじれ溝の条数を四条以上の偶数条
    とした請求項3に記載のねじれ溝付き内径仕上げ工具の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 上記ねじれ溝の軸心に対するねじれ角を
    10度乃至60度に設定した請求項3に記載のねじれ溝
    付き内径仕上げ工具の製造方法。
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JP2003000527A (ja) * 2001-06-21 2003-01-07 Pentax Corp 内視鏡関連品

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