JPH04240061A - 小径穴の内面加工方法およびその装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は小径深穴を有する機械部
品、とくに焼入硬化後の小径深穴の内面を能率的に加工
仕上する方法および装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】小径穴の内面仕上加工には、加工内径よ
り小径の砥石車を高速で回転させながら加工物の下穴に
挿入し、比較的高速で軸方向にオシレートさせながら半
径方向に切込を与え、所定の内径寸法になるまで研削動
作を継続する内面研削加工法が最も広く用いられている
。また、加工物内径の複数個所で砥石に一定圧力で面接
触状態を保たせながら、回転と往復の運動により内径寸
法、形状、表面の修正を行なうホーニング加工法がある
。さらにダイヤモンドやＣＢＮなどの超砥粒を固着させ
た超砥粒リーマによる加工法、および電解加工法、放電
加工法など電気エネルギーを利用した加工法も行われて
いる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、内面研
削加工法においては、加工内径より常に小径の砥石車を
使用しなければならないための制約および砥石軸の半径
方向剛性の低さ等から、とくに小径穴内面や深穴の加工
において能率、精度の向上は至難であり限界があった。 また、ホーニング加工法や超砥粒リーマ加工法において
は、その加工方式から故意に工具を加工下穴にならわせ
るようにフローティング構造とする必要があり、種々の
制約から工具の加工速度を上げることができず低能率で
あり、極小径穴には不適である等の欠点があった。さら
に電解加工法や放電加工法は加工精度、加工能率の点で
不十分であり、現状では機械的な加工法に匹敵できる状
態でない。

【０００４】現在、焼入硬化材料またはこれに準ずる硬
化材の穴内面加工においては、内面研削加工法が一般的
であるが、穴内面を研削するための技術的問題が多くと
くに小径、長穴の加工で著しい。列挙すると次のように
なる。■　　砥石軸の直角方向に切込送りを与えている
ので、研削抵抗の主分力は砥石軸の最も弱い軸直角方向
となり、先端に荷重の掛る片持梁の状態となるため砥石
軸の支持が強固にできない。■　　砥石を保持する軸ク
イルが細くなり曲げ剛性が低いうえに、片持粱の状態で
加工するので砥石軸系が撓みやすく、研削抵抗によって
砥石が研削面より逃げるため、切れ味が低下し精度劣化
となり易い。■　　穴の中に入れるので砥石外径が小さ
く砥石周速が低下する。切れ味を保つためには砥石周速
度を上げなければならず砥石軸は超高速回転を必要とす
るが、軸が高速になればなるほどスピンドル軸径は細く
なって剛性が低下し、スピンドルの製作も困難となる。 ■　　砥石軸系の剛性低下と砥石周速の低下は、砥粒の
加工物への喰付きを困難にし能率的な加工ができない。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、リーマ類似形
状で外周面にダイヤモンドやＣＢＮ等の超砥粒を固着さ
せた専用の工具を高速で回転させ、その先端面の全円周
を同時に加工物の下穴に係合させて半径方向の研削抵抗
を相殺し軸の半径方向剛性の弱点を補うとともに、工具
軸の最も剛性の高い軸方向に切込送りすることにより高
送り研削を可能とするもので、特許請求の範囲に記載し
た小径穴の内面加工方法およびその装置を提供すること
により従来技術の課題を解決した。

【０００６】

【作用】加工物の下穴に向けて、同一軸心上で高速回転
している内面加工用工具が軸方向に送られた場合、工具
の先端面の外径周縁が同時に下穴の内径周縁に喰付き係
合するため、研削抵抗の半径方向分力は互に打消されて
均衡し、軸方向分力のみが工具の軸方向に掛る。このた
め内径加工用工具は曲げモーメントを殆んど受けること
がなく、小径でも剛性の強い軸方向に高速で切込み送り
しても工具は真直に進行する。この場合加工物は回転し
てもよく、また固定でもよい。加工物の下穴と工具との
回転中心の一致度については、本発明の加工方法では工
具に自己案内性があるため、取り代の範囲で幾分の偏り
は修正される。工具の切刃部に固着される砥粒の材質は
、切刃部外径が即仕上り内径に対応するため、摩耗し難
い超砥粒としている。工具の切刃部が加工物と係合する
加工部に強制貫流されるクーラントは、加工部で発生す
る研削熱を冷却するとともに切屑を切刃部の縦溝を通し
て洗い流し外部に排出する役目を果す。

【０００７】

【実施例】本発明の第１実施例を図１および図２に示す
。この実施例は止り穴を加工する場合であり、図におい
て機台１上には、加工物２をチャッキングし加工物２に
あけられた加工下穴の軸心を中心に回転可能に保持する
工作主軸３が設けられている。この工作主軸３に対向し
てそれと平行な軸線上には高速スピンドル５が設けられ
、その工作主軸３に向い合うスピンドル軸端部には内面
加工用工具４が装着されている。

【０００８】この内面加工用工具４は切刃部４０、首部
４１および取付部４２から成り、切刃部４０は外周面に
複数条のスパイラル縦溝４４を有するリーマ状の円柱形
を基調とし、縦溝４４を除く外周面にはダイヤモンドや
ＣＢＮ等の超砥粒が電着等により固着されていて、加工
物の仕上り穴径と同一外径となっている。切刃部４０の
先端は止り穴形状に合せた円錐状をなし、外周面と接合
する部分は喰付き部４５形成している。切刃部４０の根
元には短い首部４１があって、この首部プラス切刃部の
長さは止り穴の深さに対し必要最小限とされている。こ
れに続く取付部４２は高速スピンドル５の軸径に合せて
大径とされ、スピンドル５の軸端に直接ねじ込みで取付
けられるようにされている。

【０００９】高速スピンドル５は高周波モータ等で駆動
されるが、その軸中心を通してクーラントユニット１５
（図８参照）より高圧（例えば７０ｋｇｆ／ｃｍ２）の
クーラント（研削液）が供給されるようになっており、
取付部４２を経て内面加工用工具４の切刃部の縦溝４４
の先端に設けられた小孔４６から加工部に噴出するよう
クーラント通路８が設けられている。高速スピンドル５
は送りテーブル９上に固定されていて、機台１に載置さ
れたテーブル９により工作主軸３と同一軸線上の送り、
およびこれと直角方向の送りとさらに微動送りが可能な
ようにされている。

【００１０】この第１実施例の装置による小径止り穴の
内面加工は次のように行われる。図１に示すように高速
スピンドル５の軸端に内面加工用工具４を取付け、次に
機上ツルーイング装置のロータリードレッサ６により切
刃部４０のツルーイングを行う。同一の工具を使用する
場合、第２回目以降のツルーイングは省略できる。機上
ツルーイングに代えて機外で振れ精度を確認した工具を
取付けるようにしてもよい。一方、加工物２は工作主軸
３のチャック３１に加工下穴の軸心を中心として回転可
能に取付けられている。ここでテーブル９を横方向に移
動して高速スピンドル５と工作主軸３の軸心を一致させ
る。次にクーラントを先端から噴出させながら内面加工
用工具４を高速スピンドル５で高速回転させて、加工物
２の下穴に向け軸方向に送りをかける。この送りと時間
の関係を図３に示す。工具４の先端面が加工物２に当る
までは早送り（Ａ）、工具４が加工物の下穴に係合して
研削加工中は切込送り（Ｂ）をかける。所定の深さまで
工具４を送った後は逆方向に早戻し（Ｃ）を行って加工
物２から工具４を離脱させる。図２は内面加工用工具４
が所定の深さまで送られた状態を示す。この研削加工中
に発生した研削屑は、工具４先端の孔４６から噴出する
クーラントによって洗い流され切刃部外周の縦溝４４を
通って後方に排出される。

【００１１】この一連の工程で加工物２の小径止り穴の
内面は十分に仕上げられるが、さらに研削加工の切込送
りを複数回繰返すことおよび軸直角方向への微小送りを
行って穴内面の表面粗さや表面うねりの程度を向上させ
ることも可能である。

【００１２】この第１実施例による穴内面加工と従来の
内面研削加工との比較実験データを、図６の穴表面粗さ
および図７の真円度図形について示す。各図において本
発明の加工法によるもの（Ｂ）は、従来の内面研削加工
法によるもの（Ａ）と比較して格段に優れた値が示され
ている。

【００１３】図４および図５に示すものは本発明の第２
実施例である。この実施例は第１実施例における加工物
２の止り穴の先端にある極小径（例えば０．２〜０．５
ｍｍφ）の通り穴内面を仕上げ、加工する場合であり、
図の符号は図１，２と共通としている。内面加工用工具
４は軸剛性ができるだけ大きくなるように前述の止り穴
内径近くまで太径とされた柄部４７があり、その先端に
首部４１および切刃部４０が設けられている。この首部
４１および切刃部４０は非常に小径であるから必要最小
限の突出し長さに形成される。切刃部４０は小径ながら
図５に示すように外周面に複数条の縦溝４４を有するリ
ーマ類似形状であって、縦溝４４を除く外周面に超砥粒
を固着させて仕上り穴径と同一外径を有し、先端部には
喰付き部４５が形成されている。この場合、工具４はチ
ャック５１を介して高速スピンドル５に取付けられる。 また、工具の切刃部４０が小径のためクーラントは工作
主軸３の中心穴３２を通して工具の先端側から供給され
るようにしている。

【００１４】この第２実施例の装置による極小径通り穴
の加工は、第１実施例の場合と同様に行われるが、極小
径穴に対応させて高速スピンドル５には極めて高い回転
数（例えば１５×１０４ｒｐｍ）が与えられている。

【００１５】本発明による穴内面加工法は、従来の内面
研削加工法の場合と同様の下穴前加工条件のもとで適用
した場合、内面研削加工の粗研削、仕上研削、スパーク
アウト等の各工程を一括して、内面加工用工具の軸方向
送りワンパス加工で仕上げることが可能である。しかし
、工具の摩耗が即穴寸法精度に影響することから、最も
効果的な応用としては従来の内面研削加工と併用し、先
ず加工物の粗加工に粗砥粒を使用した能率本位の加工を
従来の内面研削法で行い、次いで本発明による加工法を
仕上加工に適用して短時間で高精度な加工品質を得る複
合加工法への適用が実際的である。

【００１６】図８および図９はこの複合加工を行う小径
穴加工用工作機械の例を示す。図において機械本体はベ
ッド１１上の左方に工作主軸台を、右方に高速スピンド
ル群を配設している。工作主軸台１３は横軸まわりに旋
回可能で水平面内２位置で固定し得る工作主軸を２基（
３ａ，３ｂ）備えた旋回式となっている。これと対向し
て高速スピンドルが４基（５ａ，５ｂ，５ｃ，５ｄ）設
けられ、それぞれ４台のテーブル（９ａ，９ｂ，９ｃ，
９ｄ）上に固定されている。これらの高速スピンドルは
各加工工程に対応して工具が装着されており、また各テ
ーブルは加工シーケンスに従って各高速スピンドルを前
後、左右に移動させ、所要の工具を加工物に係合させ加
工を実行させるようになっている。さらに各テーブルを
加工位置にガイドするスライドベース７がベッド１１上
に載架されており、また、工具（砥石）に対し適時成形
、目立てを行なうツルーイング装置１６、加工内径を計
測し加工中の寸法を適宜制御する自動定寸装置１４、加
工物の供給、装填、排出を行う自動ローディング装置等
が装備され、さらに加工物およびその周辺にクーラント
を供給するクーラントユニット１５、これらの全装置を
コントロールする制御装置１７などで機械が形成されて
いる。

【００１７】この工作機械による加工はすべて自動化さ
れており、自動的に工作主軸に装填された加工物は順次
旋回アーム１２で加工位置に割出され位置決めされる。 これに対して加工工程に従って１加工工程当り１基の高
速スピンドルの工具を順次加工物に係合させ加工する。 加工工程は全４工程であり、内２工程は粗加工であって
粗砥粒の回転砥石による内面研削加工法により、残りの
２工程は仕上加工であって前述の本発明の加工法を適用
したものである。加工完了後の加工物は自動的に機外に
搬出されると共に新らしい加工物が装填され以下連続的
に加工が行われる。

【００１８】

【発明の効果】本発明の小径穴の内面加工方法は、リー
マ類似形状で外周面に超砥粒を固着させた専用の内面加
工用工具を高速で回転させ、その先端面の全円周を同時
に加工物の下穴に係合させて研削するので、工具の軸に
掛る横方向の力が均衡してバランス形の切削状態となる
ため、細い工具軸でも撓みを受けることがなく、高負荷
の研削加工を実現することができる。

【００１９】さらに、本発明による工具の軸方向送りで
の加工は、ラジアル方向送りでの加工に比較して軸系の
送り方向の剛性が高く、高速送りが可能であることから
、加工精度の安定および高能率加工が可能となり、従来
の内面研削加工法やホーニング等に比較し格段に良好な
結果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例の概略縦断面図（工具送り
前）

【図２】本発明の第１実施例の概略縦断面図（工具送り
後）

【図３】本発明方法における工具の送り量と時間との関
係を示すグラフ

【図４】本発明の第２実施例の概略縦断面図

【図５】図
４の工具の切刃部の拡大図

【図６】本発明方法と従来方法との穴内表面粗さの比較
グラフ

【図７】本発明方法と従来方法との穴真円度の比較グラ
フ

【図８】本発明装置を適用した小径穴加工用工作機械の
平面図

【図９】本発明装置を適用した小径穴加工用工作機械の
正面図

【符号の説明】

１　　　　機台 ２　　　　加工物 ３　　　　工作主軸 ４　　　　内面加工用工具 ５　　　　高速スピンドル ８　　　　クーラント通路 ９　　　　送りテーブル ４０　　切刃部 ４１　　首部 ４２　　取付部 ４４　　縦溝 ４５　　喰付き部 ４６　　クーラント噴出孔

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　下穴のあけられた加工物を内面加工装
   置の工作主軸に軸心を合せてチャッキングし、外周面に
   複数条の縦溝を有するリーマ状の円柱形であって縦溝を
   除く外周面には超砥粒を固着させて仕上り穴径と同一の
   外径を有する内面加工用工具を必要最小限の工具突出し
   量をもって装着した内面加工装置の高速スピンドルを前
   記工作主軸と同一軸線上に対向させ、前記内面加工用工
   具が加工物と係合する加工物にクーラントを強制貫流さ
   せながら、前記高速スピンドルを回転させて前記工作主
   軸に向けて軸方向に送りをかけ、内面加工用工具が加工
   物に当るまでの早送り、次いで加工物の穴内面を研削加
   工する切込送り、および内面加工用工具の早戻しからな
   る一過程で仕上げることを特徴とする小径穴の内面加工
   方法。
2. 【請求項２】　　請求項１記載の内面加工方法において
   、内面加工用工具の切込送りを複数回往復させて行うこ
   とを特徴とする小径穴の内面加工方法。
3. 【請求項３】　　請求項１または２記載の内面加工方法
   において、切込送りの終了後、さらに内面加工用工具を
   半径方向に微小移動させてから早戻しを行うことを特徴
   とする小径穴の内面加工方法。
4. 【請求項４】　　加工物をチャッキングし下穴の軸を中
   心に回転可能に保持する工作主軸と、前記工作主軸と平
   行な軸線上にあってそれと対向し内面加工用工具を必要
   最小限の工具突出し量をもって装着した高速スピンドル
   と、前記内面加工用工具は外周面に複数条の縦溝を有す
   るリーマ状の円柱形であって縦溝を除く外周面には超砥
   粒を固着させて仕上り穴径と同一外径を有してなり、前
   記高速スピンドルを固定してそれに前記工作主軸と同一
   軸線上の送りとこれに直角方向の微動送りとを行わせる
   テーブルと、前記内面加工用工具が加工物と係合する加
   工部にクーラントを強制貫流させる装置を具備したこと
   を特徴とする小径穴の内面加工装置。