JPH03169B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は硬質材料からなる軸長手方向の捻れ
刃を有する切削工具の製造方法に関する。

従来工具用ブレードの硬質材料には超硬合金や
サーメツト等が用いられ、中でも超硬合金をブレ
ードとした工具の開発はめざましいものがある。
従来のかかる工具としては例えば実公昭49−4218
号公報ではスパイラル溝を設けた工具本体に超硬
合金のスパイラルブレードをろう付けした捻れ刃
エンドミルが記載されているが、スパイラルブレ
ードの製造方法については開示されていない。従
来は捻れ面をもつた高精度のブレードの製作は困
難で、殆ど平面加工されたブレードが用いられて
いる。例えば捻れ刃をもつたフライス類やホブ等
は本体のろう付け部は精度のよい捻れ面が形成さ
れていて、超硬合金のブレードをろう付けする場
合、小さくこまぎれにした板状のブレードを捻れ
面にそつてろう付けしているが、捻れ面に平面を
ろう付けするので完全接着はできない。又超硬合
金の仮焼結時に捻れフオームを形成した後、本焼
結して捻れブレードを作る方法もあるが、フオー
ムの形成は困難で、充分な捻れ面精度が得られ
ず、本体とのろう付け面の間にすき間ができまた
ろう付け面にばら付きがあり接着強度が小さく、
いずれにしても無理なろう付けとなつているの
で、切削中切削抵抗によりろう付け面に剥離が生
じてブレードが脱落したり、あるいはブレードの
割れや刃欠けの原因となつている。又、ろう付け
後のブレード表面は不揃いとなるので、この不揃
いを研削で修正する必要があり研削代として約１
mm前後の取り代をつけている。この取り代を通常
ダイヤモンド砥石で研削するのであるが、超硬合
金は高速度工具のように簡単に研削することがで
きず、研削に多くの時間がかゝり、砥石の損耗も
多くて加工能率が非常に悪く、不経済である。さ
らに例えば特開昭55−48529号公報では、捻れ刃
状物品をワイヤカツトにより成形する製造方法が
記載されているが、この公報のものは中実円柱体
にネジ溝、又は中空円筒体から軸方向に相互に平
行な面を有するコイル、を加工する方法が記載さ
れているにすぎず、本発明の技術は開示されてい
ない。

本発明はこのような従来の問題点を解決するこ
とを目的とするものであり、特許請求の範囲に記
載した硬質材料の捻れ刃を有する切削工具の製造
方法によつてかかる従来の問題点が解決された。

以下この発明の実施例を図面について説明する
と、第１図、第２図において、硬質材料からなる
中空円筒形の素材１を把持具２に固定し、素材の
端面３の中心線Ａを基準線としてワイヤ電極４を
ごく僅かの間隔をおいて端面中心線Ａに対置し、
ワイヤ電極をして矢印Ｘの方向に与えられた捻れ
角を回転させる。ワイヤ電極の回転と同時に円筒
形素材１に矢印Ｙ方向の平行送りを与えると、回
転するワイヤ電極は長手方向に素材１の肉部を２
個所即ち５ａから５ｂまで、及び６ａから６ｂま
でを同時に均等に回転しながらワイヤ放電加工に
より捻れ切断をする。ついで原位置まで逆方向運
動させて再び端面中心線Ａの原位置のところにワ
イヤ電極４を戻し、さらに素材１を円周方向に所
望の分割角度だけワイヤ電極４に対し相対回転さ
せてから、同様にワイヤ電極を回転しながら素材
１にＹ方向の平行送りを与えると、５ｃから５
ｄ，６ｃから６ｄというように捻れ切断を繰返
し、そして所望の軸方向長さに切断することによ
り、所望の長さの断面が扇形で軸長手方向に長く
捻れた面をもつたブレード７，８が得られる。

第３図はこのようにして得られたブレード７′，
８′を、エンドミル本体９に設けた埋込スパイラ
ル溝１０，１１に内側面１２と側面１３とをろう
付けし、外側面１４及びすくい面１５を仕上げ研
削してエンドミルとした正面図ａと側面図ｂとを
示す。この場合、内側面１２と側面１３とは、追
加研削加工を必要とすることなくろう付けするこ
とができるので、ブレードの切断幅即ち軸方向長
さと、スパイラル溝１０，１１の各溝底外径に合
つた内径と、外側面１４に仕上げ研削代を加算し
た外径を有する円筒形素材をワイヤ放電加工によ
り切断するので、材料の無駄が無く、材料費が縮
減できる。そしてスパイラル溝底面とブレード内
側面１２との間はろう付けのろうで埋められて、
強固な接着をするので、ブレード７′，８′の内側
面１２は側面１３と同様に追加工が必要なく、加
加工費も縮減でき、さらにワイヤ放電加工により
高精度の捻れ面が得られ、仕上代として外側面１
４に数μｍ程度あればよく、研削工数が縮減され
て砥石の寿命も長くなり、製品のコストダウンを
実現できる。また以上の如くして得られた捻れ面
を有するブレードを工具本体９の捻れ面にろう付
けして得られる本発明の切削工具は、本体の捻れ
面と超硬金等硬質材料のブレードの捻れ面が合致
するので、ろう付け面は完全に接着され、ろう付
け強度は大きくなる。

以上の実施例の如くワイヤ電極を回転させなが
ら、素材に軸方向の運動を与える代りにワイヤ電
極の位置を固定し、素材１を回転させながら軸方
向に移動させて５ａから５ｂ、６ａから６ｂをワ
イヤ放電により切断しても同様に高精度の捻れ面
を持つたブレードを得ることができる。５ａから
５ｂ、６ａから６ｂは捻れ切断されたブレードの
長さであり、この捻れと長さはワイヤ放電カツト
の速さと、加工物の回転送り速さを調整すること
によつて、要求される捻れをもつた長さも充分な
ブレードを得ることができるので、途中で切断し
て使用するこもでき、同じ捻れ同じ長さのブレー
ドを大量生産することも可能である。

実験例によると0.2mmのワイヤを電極として放
電加工面粗さ5μ〜3μ程度に加工することができ
る。放電代としては80μ位を見込むことができ加
工面の精度がよいので、ろう付け時の歪を考慮し
ても研削代として0.3〜0.4mmをつけたブレードを
製作すればよく、ろう付け後の加工工数が従来よ
り大幅に縮減される。

この発明によると中空円筒状素材の２個所の肉
部を同時に軸方向に加工するので、加工能率がよ
くかつ材料を無駄にすることがない。また本発明
では素材端面の中心線に沿つて断面が扇形のブレ
ードが成形されるので、このブレードを埋込む工
具本体のブレード埋込溝の加工も工具本体の端面
の中心線に沿うので容易であり極めて高精度のブ
レードと埋込溝との嵌合面を得ることができ、こ
れによりろう付け強度の向上を図ることができ、
特に取り代を除いた素材外径と出来上つた工具の
外径が一致する場合に好都合である。また円形の
外周を有する素材から捻れ面を有するブレードを
切り出すので、ろう付け後のブレードの表面は整
然と揃つており、研削代として取り代も少くてよ
く、砥石の損耗も少く仕上に要する加工時間も少
くてすみ、捻れ面を有する硬質材料のブレードを
ろう付けした堅牢で高精度の切削工具を容易に製
作することが可能となつた。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本発明に基く実施例方法で
ある円筒形素材から捻れ面を有するブレードを製
作する工程の模式図で、第１図は素材の端面側か
ら見た正面図、第２図は側面図、第３図は第１図
乃び第２図に示す本発明方法で得られたブレード
をエンドミル本体に設けた埋込スパイラル溝にろ
う付けした状態を示す正面図ａと側面図ｂであ
る。 １……硬質材料の中空円筒形素材、３……端
面、４……ワイヤ電極、７，８，７′，８′……ブ
レード、Ａ……端面中心線。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 硬質材料からなる中空円筒形素材の端面を横
   断するよう端面中心線にワイヤ電極をセツトし、
   素材の中心線を基準にして素材をワイヤ電極に対
   して相対的に任意の角度に回転させながら軸方向
   に平行移動させて、端面中心線上の素材の２個所
   の肉部を同時に軸方向に放電加工し、原位置に戻
   し、さらに素材を円周方向に所望の分割角度だけ
   ワイヤ電極に対し相対回転させてから同様に前記
   軸方向に放電加工をくり返し、所望の長さの断面
   が扇形で軸長手方向に捻れ面をもつたブレードを
   成形し、所望の軸方向長に切断し、次いで成形さ
   れたブレードを工具の本体にろう付けすることを
   特徴とする硬質材料の捻れ刃を有する切削工具の
   製造方法。