JP2863339B2 - 内周用面取り研磨工具 - Google Patents

内周用面取り研磨工具

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JP2863339B2 JP3099497A JP9949791A JP2863339B2 JP 2863339 B2 JP2863339 B2 JP 2863339B2 JP 3099497 A JP3099497 A JP 3099497A JP 9949791 A JP9949791 A JP 9949791A JP 2863339 B2 JP2863339 B2 JP 2863339B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、小径穴の開口縁部に面
取りを施すための内周用面取り研磨工具に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】たとえばスプレーノズルや噴射ノズルな
どにおいて噴射性能を高めるなどのために、極めて小径
の穴の内部側或いは外部側の開口縁部に面取りが施され
る場合がある。このような場合には、通常、回転駆動装
置により保持されて軸心まわりに回転駆動される軸部
と、その軸部の先端に設けられた円錐面状の研磨面を有
する研磨部とを備え、その研磨部の円錐面状の研磨面を
小径穴の開口縁部に接触させて面取り研磨を施す形式の
内周用面取り研磨工具が用いられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な従来の内周用面取り研磨工具では、比較的高硬度或い
は高結合度のアランダム系レジノイド砥石、微細結晶の
オキサイドセラミック砥石(所謂ルビー砥石)などがテ
ーパ状の研磨部として軸部の一端に備えられている。し
かしながら、この種の研磨工具においては、小径穴の開
口縁部と接触する部分の面圧が極めて高くなるとともに
研磨部分の周速が充分に得られないため切粉の付着や圧
着が容易に発生し、研磨能率や耐久性が充分に得られな
い不都合があった。特に、小径穴が形成された金属素材
が硬質の合金である場合には、斯る不都合が顕著とな
る。このため、上記面取り加工を自動化すると研磨工具
の取り替えが頻繁となって稼動率が低下したり、或いは
研磨精度が低下する結果となる。
【0004】本発明は以上の事情を背景として為された
ものであり、その目的とするところは、小径穴の開口縁
部の面取り加工ができる耐久性の高い内周用面取り研磨
工具を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための第1の手段】斯る目的を達成す
るための、本発明の要旨とするところは、回転駆動装置
により保持されるための軸部と、その軸部の先端に設け
られた円錐面状の研磨面を有する研磨部とを備え、その
回転駆動装置により軸心まわりに回転駆動されつつその
研磨部の円錐面状の研磨面が小径穴の開口縁部に接触さ
せられて面取り研磨加工を行う形式の内周用面取り研磨
工具であって、前記研磨部が超砥粒焼結体から構成さ
れ、且つその研磨部の円錐面状の研磨面において円周方
向に対して交差する方向の複数本の長手状平面が設けら
れていることにある。
【0006】
【作用】このようにすれば、軸部の一端に設けられた研
磨部は、ダイヤモンドやCBN微粉末を焼き固めた超
粒焼結体から構成されていることから、その硬度および
剛性が極めて高くなる一方、その研磨部の円錐面状の研
磨面には円周方向に対して交差する方向の複数本の長
状平面が設けられていることから、小径穴の内周面の面
取りに際して、その長手状平面の周方向の境に形成され
る角によって好適に除去されるとともに、切粉の排出が
容易となって、切刃の露出や再生が容易となり、切れ味
が向上する。
【0007】
【第1発明の効果】したがって、小径穴の開口縁部の面
取り加工において研磨能率や耐久性が充分に得られ、上
記面取り加工を自動化した場合には、研磨工具の取り替
え周期が格段に長くなって稼動率が向上し、研磨精度も
充分に得られるのである。
【0008】ここで、好適には、上記前記研磨部の円錐
面状の研磨面において円周方向に対して交差する方向の
複数本の断面凹状の溝が設けられる。このようにすれ
ば、上記断面凹状の溝により切粉の付着や圧着が抑制さ
れるとともに切刃の露出や再生が容易となるので、相乗
的に研磨性能が向上する。
【0009】
【課題を解決するための第2の手段】また、本発明の他
の態様における要旨とするところは、回転駆動装置によ
り保持されるための軸部と、その軸部の先端に設けられ
た円錐面状の研磨面を有する研磨部とを備え、その回転
駆動装置により軸心まわりに回転駆動されつつその研磨
部の円錐面状の研磨面が小径穴の開口縁部に接触させら
れて面取り研磨加工を行う形式の内周用面取り研磨工具
であって、前記研磨部が単結晶ダイヤから構成され、且
つその研磨部の円錐面状の研磨面において円周方向に対
して交差する方向の複数本の断面凹状の溝および長手状
平面の少なくとも一方が設けられていることにある。
【0010】
【作用】このようにすれば、軸部の一端に設けられた研
磨部は、単結晶ダイヤから構成されていることから、そ
の硬度および剛性が極めて高くなる一方、その研磨部の
円錐面状の研磨面には円周方向に対して交差する方向の
複数本の断面凹状の溝および長手状平面の少なくとも一
方が設けられていることから、その断面凹状の溝により
切粉の付着や圧着が抑制されたり、長手状平面により切
粉の排出が容易となって、切刃の露出や再生が容易とな
り、相乗的に切れ味が向上する。
【0011】
【第2発明の効果】したがって、小径穴の開口縁部の面
取り加工において研磨能率や耐久性が充分に得られ、上
記面取り加工を自動化した場合には、研磨工具の取り替
え周期が格段に長くなって稼動率が格段に向上し、研磨
精度も充分に得られるのである。
【0012】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳
細に説明する。図1において、研磨工具10は、回転駆
動装置のホルダ12により保持されて軸心Cまわりに回
転駆動される軸部14と、その軸部14の先端に設けら
れた円錐面状の研磨面16を有する研磨部18とを備え
ている。この軸部14は、構造用圧延鋼、工具鋼、合金
鋼などの金属製である。また、上記研磨部18は、多結
晶ダイヤモンド焼結体(PCD)により構成されてい
る。この多結晶ダイヤモンド焼結体は、よく知られてい
るように、たとえば微粒ダイヤモンドがコバルト、ニッ
ケルなどの結合剤を用いて高温高圧下において焼結させ
られたものであって、6500〜8000程度のヌープ硬度を備
えており、上記軸部14に接合されている。
【0013】上記研磨部18の円錐面状の研磨面16に
は、周方向に対して交差する方向において、すなわち本
実施例では図2に示すように軸方向から見た場合の径方
向において4本の長手状平面20が周方向において等間
隔に形成されており、またその長手状平面20の間に位
置する外周面には複数本の溝22が形成されている。図
3は、上記の溝22を測定するために、触針式表面粗さ
計の測定台上に研磨工具10を載置し、触針が上記研磨
面16に接触した状態でその周方向へ相対移動させるこ
とにより得られた値を示している。この場合の触針は下
向きに突き出しており且つ垂直方向においてのみ移動可
能に保持されているので、図3においては、凸状の曲線
のうちの頂部において溝22が比較的正確に示されてい
る。図から明らかなように、本実施例の溝22は1μm
乃至4μm程度の深さ、0.005μm乃至0.04mm程
度の幅を備え、断面が凹状に形成されている。なお、こ
の図3の測定における研磨工具10は、30゜の先端テ
ーパ角を備えたものが用いられている。
【0014】図4は、上記の長手状平面20を測定する
ために、触針式真円度測定器により得られた値を示して
いる。この触針式真円度測定器では、研磨工具10が軸
心Cまわりに回転可能に保持されるとともに触針がその
研磨面16に接触させられ、この状態で研磨工具10が
回転させられたときの触針の径方向の変位が測定され
る。なお、この図4の測定における研磨工具10は、7
0゜の先端テーパ角を備えたものが用いられている。
【0015】上記研磨工具10は、たとえば次の工程を
経て製造される。すなわち、多結晶ダイヤモンド焼結体
である研磨部18が軸部14に接合された後には、先
ず、図5に示すように、研磨工具10を軸心Cまわりに
回転させ且つダイヤモンド砥石30の径方向に往復移動
させながらそのダイヤモンド砥石30の研磨面に対して
接触させ、研磨工具10端部に円錐面形状が加工され
る。次いで、図6に示すように、ダイヤモンド砥石32
の回転中心を通る面上に研磨工具10の軸心Cを位置さ
せ、研磨工具10を非回転状態に保持しながら、研磨部
18をダイヤモンド砥石32の研磨面に押し当ててその
研磨面に平行な方向に往復移動させることにより長手状
平面20が加工される。そして、図7に示すように、2
30〜320番程度のダイヤモンドやすり34を用いて
長手状平面20の間の研磨面16にやすり加工を施すこ
とにより、複数本の溝22が加工される。
【0016】以上のように構成された研磨工具10は、
図1に示されるように、たとえばクロムモリブデン鋼や
ステンレス鋼製の被加工物40に形成されている直径0.
1 〜3.0 mmφ程度の小径穴42の内側開口縁部に面取
り加工を施すために、その小径穴42と同心に位置させ
た状態で軸心Cまわりにたとえば500 〜2000r.p.m.
程度の回転速度で回転駆動されつつその軸心C方向に送
られ、研磨面16が被加工物40に接触させられること
により、小径穴42の内側開口縁部に面取り加工が施さ
れる。なお、この面取り加工は、既に形成されている内
周テーパ面44と小径穴42との間を滑らかとするため
のものである。
【0017】本実施例の研磨工具10によれば、軸部1
4の一端に設けられた研磨部18は、多結晶ダイヤ焼結
体から構成されていることから、極めて高い硬度および
剛性を備えているので、面圧が極めて高い研磨状態にお
いても摩耗が少なくなる一方、その研磨部18の円錐面
状の研磨面16には円周方向に対して交差する方向の複
数本の断面凹状の溝22が形成されているので、その断
面凹状の溝22により切粉の付着や圧着が抑制されると
ともに切刃の露出や再生が容易となるのに加えて、研磨
面16には円周方向に対して交差する方向の複数本の長
手状平面20が形成されているので、前記のような0.1
〜3.0 mmφ程度の小径穴の内周面の面取りに際して、
その長手状平面20の周方向の境に形成される角により
好適に除去されるとともに、切粉の排出が積極的に行わ
れることからも切粉の付着や圧着が抑制されるとともに
切刃の露出や再生が容易となり、相乗的に切れ味が向上
する。したがって、小径穴42の開口縁部の面取り加工
において研磨能率や耐久性が充分に得られ、上記面取り
加工を自動化した場合には、研磨工具10の取り替え周
期が格段に長くなって稼動率が格段に向上し、研磨精度
も充分に得られるのである。
【0018】因に、本発明者等の実験によれば、先端テ
ーパ角が45゜の研磨工具10を用いて前記の被加工物
40と同様なワークに対して面取り加工を乾式で施した
場合には工具の取替えなくして4000個の面取り加工
が可能となったが、従来のルビー砥石を用いた研磨工具
の場合には250個の面取り加工毎に工具を取り替えて
再研磨する必要があった。すなわち、本実施例の研磨工
具10によれば、実に16倍の寿命となったのである。
また、長手状平面20および溝22が形成される前の研
磨工具10では、従来のルビー砥石を用いた研磨工具に
対して僅かしか改善が認められなかった。この意味にお
いて、上記長手状平面20および溝22は、高面圧且つ
超低周速という特殊な研磨工程において重要な寄与をし
ていることが判るのである。
【0019】次に、本発明の他の実施例を説明する。本
実施例では、前記図1に示す研磨工具10の研磨部18
は、CBN焼結体(PCBN)により構成されている。
このCBN焼結体は、たとえば微粒のCBN砥粒がコバ
ルト、ニッケルなどの結合剤を用いて高温高圧下におい
て焼結させられたものであって、3400〜3900程度のヌー
プ硬度を備え、前述の実施例と同様に製造されている。
本実施例によれば、ヌープ硬度が低いため、前述の実施
例程度の耐久性および研磨性能は得られないが、従来の
高結合度のアランダム系レジノイド砥石やルビー砥石に
比較して充分に大きい耐久性や研磨性能が得られる。
【0020】また、前記図1に示す研磨工具10の研磨
部18は、テーパ状に成形された単結晶ダイヤモンドに
より構成されてもよい。このテーパ状単結晶ダイヤモン
ドは、前述の実施例と同様の工程によって、長手状平面
20および溝22が形成され、8000〜12000 程度のヌー
プ硬度を備えている。本実施例によれば、図1に示す実
施例よりもヌープ硬度が大幅に高いため、従来のものに
比較して、十数倍の耐久性および研磨性能が得られる。
【0021】上記単結晶ダイヤモンドから成る研磨部1
8を備えた研磨工具10は、好適には、図8に示す所謂
プラネタリマシン50を用いてその一端が円錐面形状に
形成されるとともに、長手状平面20が形成され、前記
図7に示す同様な工具によって複数本の溝22が加工さ
れる。上記プラネタリマシン50は、円形のダイヤモン
ド砥石から成る研磨板52が図示しない駆動装置におい
て自転および公転させられ、研磨板52の自転の回転中
心の軌跡の内側に定めた研磨位置に研磨工具10の一端
が押し当てられつつ、その研磨工具10が軸心まわりに
回転させられる。これにより、単結晶ダイヤモンドの結
晶方位に関連した研磨不能方向の存在に係わらず、好適
にテーパ形状に研磨される。また、長手状平面20を形
成する場合には、研磨工具10を軸まわりの回転しない
ように固定した状態で、上記の研磨が行われる。なお、
よく知られたスカイフを用いてテーパ面や長手状平面2
0が加工されてもよい。
【0022】以上、本発明の一実施例を図面に基づいて
説明したが、本発明はその他の態様においても適用され
る。たとえば、前述の実施例では、所謂ベストモードが
説明されているため、研磨工具10の研磨面16には長
手状平面20および溝22が形成されていたが、長手状
平面20だけが形成されていても、従来の高結合度のア
ランダム系レジノイド砥石或いはルビー砥石を用いた研
磨工具に比較して数倍以上の格段の耐久性および研磨性
能が得られるのである。
【0023】また、前述の実施例の研磨面16には4本
の長手状平面20が形成されていたが、何等それに限定
される訳ではなく、その本数や幅寸法は必要に応じて変
更され得るのである。
【0024】また、前述の実施例の研磨面16に設けら
れている長手状平面20および溝22は、ダイヤモンド
砥石による研磨加工或いはダイヤモンドやすりによるや
すり加工により形成されていたが、他の手段によって形
成されてもよい。
【0025】また、前述の実施例の研磨面16には、長
手状平面20および溝22が図2において径方向に形成
されていたが、径方向に対して斜めに形成されていても
差支えない。
【0026】なお、上述したのはあくまでも本発明の一
実施例であり、本発明はその主旨を逸脱しない範囲にお
いて種々変更が加えられ得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の研磨工具およびその使用状
態を説明する図である。
【図2】図1の研磨工具を先端側から見た図である。
【図3】図1の研磨工具の研磨面に形成されている溝を
表面粗さ計により得られた値を用いて説明する図であ
る。
【図4】図1の研磨工具の研磨面に形成されている長手
状平面を真円度測定器により得られた値を用いて説明す
る図である。
【図5】図1の研磨工具の製造工程を説明する図であっ
て、テーパ面加工工程を示している。
【図6】図1の研磨工具の製造工程を説明する図であっ
て、長手状平面加工工程を示している。
【図7】図1の研磨工具の製造工程を説明する図であっ
て、溝加工工程を示している。
【図8】研磨部が単結晶ダイヤモンドで構成された場合
におけるテーパ面加工工程を示す図である。
【符号の説明】
10:研磨工具 14:軸部 16:研磨面 18:研磨部 20:長手状平面 22:溝
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 道倉 保宏 京都府向日市鶏冠井町馬司8番地9 ク イーンダイヤ株式会社内 (56)参考文献 特開 昭60−90623(JP,A) 実開 昭56−171161(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B24D 7/18 B24D 7/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転駆動装置により保持されるための軸
    部と、該軸部の先端に設けられた円錐面状の研磨面を有
    する研磨部とを備え、該回転駆動装置により軸心まわり
    に回転駆動されつつ該研磨部の円錐面状の研磨面が小径
    穴の開口縁部に接触させられて面取り研磨加工を行う形
    式の内周用面取り研磨工具であって、 前記研磨部が超砥粒焼結体から構成され、且つ該研磨部
    の円錐面状の研磨面において円周方向に対して交差する
    方向の複数本の長手状平面が設けられていることを特徴
    とする内周用面取り研磨工具。
  2. 【請求項2】 前記研磨部の円錐面状の研磨面において
    円周方向に対して交差する方向の複数本の断面凹状の溝
    が設けられていることを特徴とする請求項1記載の内周
    用面取り研磨工具。
  3. 【請求項3】 回転駆動装置により保持されるための軸
    部と、該軸部の先端に設けられた円錐面状の研磨面を有
    する研磨部とを備え、該回転駆動装置により軸心まわり
    に回転駆動されつつ該研磨部の円錐面状の研磨面が小径
    穴の開口縁部に接触させられて面取り研磨加工を行う形
    式の内周用面取り研磨工具であって、 前記研磨部が単結晶ダイヤから構成され、且つ該研磨部
    の円錐面状の研磨面において円周方向に対して交差する
    方向の複数本の断面凹状の溝および長手状平面の少なく
    とも一方が設けられていることを特徴とする内周用面取
    り研磨工具。
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