JPH10113555A - 酸素吸収用組成物 - Google Patents

酸素吸収用組成物

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JPH10113555A
JPH10113555A JP27085696A JP27085696A JPH10113555A JP H10113555 A JPH10113555 A JP H10113555A JP 27085696 A JP27085696 A JP 27085696A JP 27085696 A JP27085696 A JP 27085696A JP H10113555 A JPH10113555 A JP H10113555A
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oxygen
oligomer
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absorbing
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和基 中川
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辰雄 岩井
Tetsushi Watanabe
哲志 渡辺
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、低湿度から高湿度のいずれの保存
雰囲気でも高い酸素吸収能力を有し、製造が容易で、か
つ酸素吸収後の発生ガスが少なく、臭いも少ない酸素吸
収に水分を必要としない酸素吸収用組成物を提供する。 【解決手段】 数平均分子量150〜4,000かつ粘
度100cp〜4,000cpである不飽和基を有した
液状炭化水素オリゴマーを主剤とし酸素吸収促進物質を
含むものを担体に担持した酸素吸収剤と、ガス吸収剤か
らなることを特徴とする酸素吸収に水分を必要としない
酸素吸収用組成物である。また、不飽和基を有した液状
オリゴマーに非酸素吸収性の希釈剤を加え粘度を10c
p〜4,000cpにした混合物を主剤とし酸素吸収促
進物質を含むものを担体に担持した酸素吸収剤と、ガス
吸収剤からなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は酸素、無機ガス、有
機ガスならびに水分等の吸収機能を有して、金属部品、
電子部品、電気部品、精密部品、磁気・光学部品、宝飾
品、兵器、航空機類、自動車、ガラス、ゴム製品、写真
フィルム、食品、医薬品、押し花、絵画、古文書、出土
品等の保存に用いられる酸素吸収に水分を必要としない
酸素吸収用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】酸素吸収剤として金属粉、カテコ−ル、
アスコルビン酸等を主成分としたものが知られている。
しかし、これらの酸素吸収剤は酸素を吸収するのに水分
を必要とするため系内が高湿度であることが必要で、保
存対象が限られていた。一方、酸素吸収において水分を
必要としない酸素吸収用組成物として特開平4ー297
41が提案されている。特開平4ー29741には、不
飽和脂肪族炭化水素および/または不飽和脂肪族化合物
を主剤に用いることが開示されている。実施例によれ
ば、不飽和脂肪族化合物としては不飽和脂肪酸または不
飽和脂肪酸からなる油脂が、不飽和脂肪族炭化水素とし
ては不飽和基を有した液状炭化水素重合物が用いられて
いる。しかし、不飽和脂肪酸および不飽和脂肪酸からな
る油脂は酸素吸収後の発生ガス量が多く、悪臭がある等
実用上問題があった。一方、不飽和基を有した液状炭化
水素重合物は一般に粘度が高いため、製造時に担体に担
持しにくいといった問題があった。そのため、不飽和基
を有した液状炭化水素重合物に不飽和脂肪酸または不飽
和脂肪酸からなる油脂を混合することにより低粘度化
し、主剤として用いる例も記載されているが、不飽和脂
肪酸または不飽和脂肪酸からなる油脂を含んでいるため
発生ガス量が多く、悪臭も強いのでガス吸収剤を多量に
入れる必要があり、これも実用上問題があった。また、
特開平5ー115776では、エチレン性不飽和炭化水
素及び遷移金属触媒を樹脂に練り込んだ脱酸素フィルム
が提案されているが、概して脱酸素するまで時間がかか
る等の問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、低湿度から
高湿度のいずれの保存雰囲気でも高い酸素吸収能力を有
し、製造が容易で、かつ酸素吸収後の発生ガスが少なく
臭いも少ない酸素吸収に水分を必要としない酸素吸収用
組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達するため
には、数平均分子量150〜4,000かつ粘度10
0cp〜4,000cpの不飽和基を有した液状オリゴ
マーまたは不飽和基を有した液状オリゴマーに非酸素
吸収性の希釈剤を添加し、粘度10cp〜4,000c
pとした主剤を用いることが好適であることを見出し本
発明に到達した。すなわち本発明は数平均分子量150
〜4,000かつ粘度100cp〜4,000cpであ
る不飽和基を有した液状オリゴマーを主剤とし、酸素吸
収促進物質を含むものを担体に担持した酸素吸収剤と、
ガス吸収剤からなることを特徴とする酸素吸収に水分を
必要としない酸素吸収用組成物である。また、不飽和基
を有した液状オリゴマーに非酸素吸収性の希釈剤を加え
粘度を10cp〜4,000cpにした混合物を主剤と
し、酸素吸収促進物質を含むものを担体に担持した酸素
吸収剤と、ガス吸収剤からなることを特徴とする酸素吸
収に水分を必要としない酸素吸収用組成物である。さら
に、本発明は不飽和基を有した液状オリゴマーが液状ブ
タジエンオリゴマーであること、また、さらに液状ブタ
ジエンオリゴマーの分子構造中の結合が65%以上1,
4結合であること、また、さらに65%以上1,4−シ
ス結合であることを特徴とする酸素吸収に水分を必要と
しない酸素吸収用組成物である。また酸素吸収用組成物
に脱湿剤を添加したことを特徴とするものである。また
酸素吸収用組成物に調湿剤を添加したことを特徴とする
ものである。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の酸素吸収に水分を必要と
しない酸素吸収用組成物は、保存物品とともにガスバリ
ア性容器内に収納することにより、酸素、無機ガス、有
機ガス、場合によっては水分を実質的に除去した密閉環
境の中に保存物品を置き、保存物品の品質の低下抑制に
供するものである。
【0006】本発明の主剤である不飽和基を有した液状
オリゴマーは、製造が容易で高い酸素吸収能力を有し、
かつ酸素吸収後の発生ガスが少なく、臭いも少ないこと
が必要である。そのためには製造面、酸素吸収能力の
面からは低粘度化合物が望まれ、一方、発生ガス低減
の面からは高分子化合物が望まれ、この、の相反す
る条件を満足させるものとして数平均分子量が150〜
4,000(Vapour pressure osm
osis法により測定)でかつ粘度が100cp〜4,
000cp(粘度はB型粘度計東機産業(株)製を用い
て、25℃で測定)、好ましくは数平均分子量300〜
3,000かつ粘度150cp〜2,000cpさらに
好ましくは数平均分子量500〜2,500かつ粘度2
00cp〜1,000cpの不飽和基を有した液状オリ
ゴマーを主剤とすることが好適である。または不飽和基
を有した液状オリゴマーに非酸素吸収性の希釈剤を添加
し粘度10cp〜4,000cp、好ましくは20cp
〜2,000cpさらに好ましくは30cp〜1,00
0cpの混合物を主剤とするのが、製造上、性能上の問
題を解決し好適であることを見出した。希釈剤を用いな
いで主剤を構成する場合、数平均分子量150未満、粘
度100cp未満のものは低分子量成分が多いため酸素
吸収後の発生ガスが多い等の問題点がある。また、一
方、数平均分子量4,000、粘度4,000cpを超え
るものでは、製造時に担体に担持しにくい、主剤中
の酸素の拡散が遅い、あるいは担体に担持したときに表
面積を稼げない等の理由により酸素吸収速度が遅いとい
った問題点があり実用的でない。また不飽和基を有した
液状オリゴマーに粘度低減のために非酸素吸収性の希釈
剤を添加し粘度10cp〜4,000cpの主剤を構成
する場合、粘度を10cp未満まで下げるのはコスト的
にも不利であるし、また酸素吸収剤の大型化をもたらし
好ましくない。
【0007】本発明に用いられる不飽和基を有した液状
オリゴマーとしては、液状ブタジエンオリゴマー、液状
イソプレンオリゴマー、液状アセチレンオリゴマー、液
状スチレンブタジエン共重合体、液状アクリロニトリル
ブタジエン共重合体、液状クロロプレンオリゴマー、液
状不飽和ポリエステル樹脂、天然ゴム等の液状オリゴマ
ーが挙げられる。なかでも、液状ブタジエンオリゴマー
がコスト、酸素吸収後の発生ガス量および臭いの点でよ
り好ましい。また、これらの液状オリゴマーは必ずしも
単一物質である必要はなく、2種以上の混合物であって
も良いし、共重合していても良い。また、その製造時に
混入してくる溶媒等の少量の不純物は、常識的な範囲で
許容される。また、本発明に用いられる不飽和基を有し
た液状オリゴマーはハロゲン基、ヒドロキシル基、カル
ボニル基、エーテル基、カルボキシ基、エステル基など
の不飽和基以外のその他置換基を持っていてもよい。例
えば、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ヒドロペ
ルオキシ基、エポキシ基、オキソ基、ヒドロキシメチル
基、アシル基、アミノ基、イミノ基、ニトリロ基、ニト
ロ基、ニトロソ基、アミド基、イミド基、シアノ基、イ
ソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、ジアゾ基、
アジド基、ヒドラジノ基、アゾ基、複素環基などの官能
基により置換されていても良い。
【0008】本発明に用いられる液状ブタジエンオリゴ
マーとしては、側鎖を持たないために同分子量の液状ブ
タジエンオリゴマーのうちでも低粘度である分子構造中
の結合が65%以上1,4結合である液状ブタジエンオ
リゴマーであることが好ましい(分子構造中の結合は核
磁気共鳴分析により測定)。さらには1,4結合の中で
も同分子量でより粘度の低い1,4−シス結合が65%
以上の液状ブタジエンオリゴマーがより好ましい。1,
2結合の液状ブタジエンオリゴマーは、1,4結合の液
状ブタジエンオリゴマーより酸素吸収後の水素、一酸化
炭素、二酸化炭素、メタン等の発生ガスも多い。
【0009】本発明に用いられる非酸素吸収性の希釈剤
としては、不飽和基、ヒドロキシル基、アルデヒド基
等の酸化されやすい官能基を持たず、不飽和基を有し
た液状炭化水素オリゴマーと混ざり、不飽和基を有し
た液状オリゴマーの粘度を低減させる有機化合物である
ことが必要である。非酸素吸収性の希釈剤は上記の条件
を満たせば特に限定されるものでないが、デカン、トリ
デカン、テトラデカン、n−パラフィン等の直鎖飽和炭
化水素、流動パラフィン等のアルキルナフテン類、ナフ
テン酸等があげられる。これらの非酸素吸収性の希釈剤
は必ずしも単一物質である必要はなく、2種以上の混合
物であっても良い。不飽和脂肪酸化合物、動物油、植物
油、アルコール等の酸素吸収性化合物を粘度低減のため
の希釈剤として用いた場合は、酸素吸収後の発生ガスが
増加し、臭気発生の原因ともなり好ましくない。不飽和
基を有した液状オリゴマーに対する非酸素吸収性の希釈
剤の割合は不飽和基を有した液状オリゴマー100重量
部に対し非酸素吸収性の希釈剤1,000重量部以下の
範囲が好ましい。非酸素吸収性の希釈剤の使用量を増や
し過ぎるとコストが上がる、酸素吸収剤の大型化を
もたらす等の問題点があるので、使用量は適宜選ぶ必要
がある。
【0010】本発明に用いられる酸素吸収促進物質とし
ては、有機化合物の酸化を促進する金属化合物やラジカ
ル開始剤等を例示することができる。金属化合物として
は、Cu、Fe、Co、Ni、Cr、Mn等の遷移金属
塩が好ましく、また、酸素吸収性能、安全性を考慮する
とMn、Feの遷移金属塩がより好ましい。遷移金属塩
として、例えば、硫酸塩、塩化物塩、硝酸塩等の無機
塩、脂肪酸塩、アセチルアセトン金属塩等の有機塩、ア
ルキル金属化合物等が好適に用いられる。また、ラジカ
ル開始剤としては、カテコール類、2,2−アゾビスイ
ソブチロニトリル等のアゾ化合物、過酸化ベンゾイル等
の過酸化物があげられる。また、酸素吸収促進物質は主
剤と混合後均一になっていることがより好ましい。
【0011】本発明に用いられる担体物質としては、表
面積が大きく酸素吸収促進物質を含んだ主剤と酸素との
接触面積を広げるものであれば特に限定するものではな
いが、天然パルプ、合成パルプからなる紙や合成紙、不
織布、多孔フィルム、シリカゲル、アルミナ、活性炭、
モレキュラーシーブス等の合成ゼオライト、モルデナイ
ト、エリオナイト等の天然ゼオライト、パーライト、活
性白土等の粘土鉱物等が例示される。また、担体物質と
して、ガス吸収剤または脱湿剤に選定されているものを
選び、担体にガス吸収能または脱湿能を持たせることも
実用的な使用方法である。
【0012】本発明に用いられるガス吸収剤としては、
主に、酸素以外のガスを吸収するものであって、具体的
には、主剤である不飽和基を有した液状オリゴマーに酸
素吸収反応する前に、液状オリゴマー自身に含まれる揮
発性の高い低数平均分子量体あるいは酸素吸収反応にお
いて生成する水素、一酸化炭素、二酸化炭素、炭化水素
類、アルデヒド類、ケトン類、カルボン酸類等のガス成
分並びに密閉する雰囲気中にある硫化水素、アンモニア
等の腐食性ガス成分等を吸収する物であり、この目的を
達成するものであれば特に限定するものではない。ガス
吸収剤としては、酸化アルミニウム、モレキュラーシー
ブスに代表される合成ゼオライト、モルデナイト、エリ
オナイト等の天然ゼオライト、パーライト、酸性白土や
活性白土等の粘土鉱物、シリカゲル等の多孔質ガラス、
活性炭、活性炭素繊維、モレキュラーシービングカーボ
ン、骨炭等の活性炭類、酸化カルシウム、酸化バリウ
ム、酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属の酸化物、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、消石灰等の水酸化
物、珪酸マグネウム、珪酸アルミニウム、高分子吸着
剤、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、
ソーダ石灰、アスカライト、有機酸塩、有機アミン類等
の吸収剤が挙げられる。また、ガス吸収剤として、主剤
の担体や脱湿剤に選定されるものを選び、ガス吸収能を
持たせることも実用的な使用方法であり、この場合には
改めてガス吸収剤を加える必要はない。さらにこれらガ
ス吸収剤は必ずしも単一物質である必要はなく、2種以
上の混合物であっても良い。
【0013】本発明では保存する物品に応じて、脱湿剤
を適宜用いることができる。例えば、金属製品の保存の
ような湿度を嫌う製品の保存の場合は積極的に脱湿剤を
添加し実質的に除去することが好ましい。本発明に用い
られる脱湿剤としては、シリカゲル、酸化アルミニウ
ム、モレキュラーシーブスに代表される合成ゼオライ
ト、モルデナイトやエリオナイト等の天然ゼオライト、
パーライト、酸性白土や活性白土等の粘土鉱物、多孔質
ガラス、珪酸マグネウム、珪酸アルミニウム、高分子吸
着剤、活性炭、活性炭素繊維、モレキュラーシービング
カーボン、骨炭、酸化カルシウム、硫酸カルシウム、塩
化カルシウム、臭化カルシウム、酸化バリウム、臭化バ
リウム、過塩素酸バリウム、塩化マグネシウム、酸化マ
グネシウム、硫酸マグネシウム、過塩素酸マグネシウ
ム、硫酸アルミニウム、硫酸ナトリウム、水酸化ナトリ
ウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウ
ム、塩化亜鉛、臭化亜鉛、過塩素酸リチウム等の一般の
脱湿剤から適宜選ぶことができる。また、脱湿剤とし
て、主剤の担体やガス吸収剤に選定されるものを選び、
脱湿能を持たせることも実用的な使用法であり、この場
合は、改めて脱湿剤を加える必要はない。さらに脱湿剤
は必ずしも単一物質である必要はなく、2種以上の混合
物であっても良い。
【0014】本発明では、紙や木などの相対湿度40〜
60%で保存することがより好ましい物品に対しては、
積極的に調湿剤を添加することできる。本発明に用いら
れる調湿剤としては、密閉雰囲気の相対湿度を所定の値
に調湿するものであれば特に限定されないが、塩化バリ
ウム二水塩、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム三水塩、塩
化カルシウム六水塩、硝酸カルシウム四水塩、硫酸カル
シウム五水塩、三酸化クロム、シュウ酸二水物、リン酸
二分の一水塩、臭化カリウム、フッ化カリウム、硫酸水
素カリウム、ヨウ化カリウム、亜硝酸カリウム、炭酸カ
リウム二水塩、過クロム酸カリウム、塩化リチウム一水
塩、酢酸マグネシウム四水塩、硝酸マグネシウム六水
塩、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、臭化ナトリ
ウム、臭化ナトリウム二水塩、臭素酸ナトリウム、塩素
酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、
亜硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウム十水塩、ニクロム酸
ナトリウム二水塩、硫酸ナトリウム十水塩、硝酸鉛、硝
酸亜鉛六水塩、硫酸亜鉛七水塩等の飽和水溶液を綿、紙
または珪藻土等に含浸させたものが挙げられる。また、
水/グリセリン混合溶液を綿、紙または珪藻土等に含浸
させたもの等が挙げられる。また、平衡含水率分の水分
を含んだ紙、綿、皮革、ゴム、木、木炭等も挙げられ
る。またさらに、保存対象そのものが、紙、綿、皮革、
ゴム、木、木炭等で調湿機能を持っている場合は、特に
調湿剤を添加する必要はない。
【0015】本発明の酸素吸収剤における各成分の割合
は、用いる物質の種類により適宜選ばれるが、数平均分
子量150〜4,000かつ粘度が100cp〜4,0
00cpである不飽和基を有した液状オリゴマーが主剤
の場合並びに不飽和基を有した液状オリゴマーに非酸素
吸収性の希釈剤を加え粘度を10cp〜4,000cp
にした混合物を主剤とした場合ともにいづれも、主剤1
00重量部に対し酸素吸収促進物質は0.01〜40重
量部の範囲であり、担体物質は1〜1,000重量部の
範囲である。
【0016】本発明の酸素吸収用組成物の使用量として
は、少なくとも保存期間中の系内雰囲気を実質的に無酸
素状態に保つために必要な量であり、好ましくはその量
の1.1〜10倍の量である。ここで実質的に無酸素状
態とは、酸素濃度5%以下、好ましくは1%以下、さら
に好ましくは0.1%以下をいう。
【0017】本発明のガス吸収剤の使用量としては、ガ
ス吸収剤の吸収能力により必要な量が変わってくるが、
酸素吸収前に主剤に含まれるガスならびに酸素吸収後発
生したガスを実質的に除去できる量を適宜選ぶ必要があ
る。具体的には、主剤100重量部に対し、1〜500
0重量部の範囲である。
【0018】本発明では脱湿剤を用いる場合、脱湿剤の
使用量としては、少なくともガスバリア性の密閉容器内
の空間容積の水分を実質的に取り去った状態にできる量
であり、好ましくは、その量の1.1〜500倍の範囲
であり、ガスバリア性の密閉容器のバリア性能に応じ適
宜選ばれる。ここで、水分を実質的に取り去った状態と
は、相対湿度10%以下、好ましくは5%以下、さらに
好ましくは1%以下をいう。
【0019】本発明において調湿剤を用いる場合、調湿
剤の使用量としては、少なくともガスバリア性の密閉容
器内の相対湿度を各保存物品に対し所定の値に保つため
に必要な量であり、好ましくは、その量の1.1〜50
0倍の範囲である。
【0020】本発明の酸素吸収剤、ガス吸収剤、脱湿剤
または調湿剤は各成分を混合して用いることも可能であ
る。これらの単一剤あるいは混合物は適宜、粉体、顆
粒、錠剤やシート状等にして用いられる。酸素吸収剤、
ガス吸収剤、脱湿剤および調湿剤は、被保存物品に直接
触れることは好ましくなく、通常は、例えば、紙、不織
布またはプラスチック等を基材とする通気性包材に包装
して包装体として使用される。また酸素吸収剤は、その
一部あるいは全部を、ガス吸収剤さらには脱湿剤または
調湿剤と一緒の包装体としても、また各々別の包装体と
しても良い。包装体の形態は必ずしも限定されず、目的
に応じて、例えば、小袋、シート、ブリスター包装体等
が挙げられる。包装体の包装材料および構成は特に限定
されない。また防塵対策として、上記包装体を酸素、無
機ガス、有機ガス及び水分の透過性に支障を来さず、か
つ包装体から発生するダストを外部に放出させない無塵
包材で更に覆い、二重包装体とすることも可能である。
しかし包装体自体に防塵対策が施されている場合には、
改めて無塵包材で覆う必要はない。
【0021】本発明のガスバリア性の密閉容器は、目的
に応じて、例えば、プラスチックス容器、フィルム袋、
金属容器、ガラス容器等で、ガスバリア性の高い容器が
望ましい。例えばフィルム袋を例にとると、アルミニウ
ム箔等の金属箔をラミネートしたフィルムや、酸化珪素
や酸化アルミニウム等を蒸着したラミネートフィルム等
のガスバリア性の高い材質の使用がより好ましい。ガス
バリア性密閉容器のガスバリア性としては、25℃、6
0%RHにおける酸素透気度が10ml/m2 ・Day ・at
m 以下であり、かつ、40℃、90%RHにおける水蒸
気透過度が1g/m2 ・Day以下であることが好ましい。
一方、保存物品を密閉保存するに際し、窒素、アルゴン
等の乾燥不活性ガスで容器内を置換してもよく、ガス置
換は、酸素吸収剤、ガス吸収剤、脱湿剤の使用量の低減
につながる。
【0022】本発明における酸素吸収用組成物は酸素吸
収に水分を必要としないため、低湿度から高湿度のあら
ゆる湿度雰囲気内で用いることができ、保存対象は、特
に制限されるものでないが、例示すれば、ワイヤ、リボ
ン等の金属配線材料、セラミック体、各種金属、プラス
チック、紙、布上に金属蒸着膜を施した部品、楽器の
弦、プリント基板、粉末超鋼材用原料、銅、銀、アルミ
ニウム、ニッケル、錫、半田等の金属や合金あるいはそ
れらの粉体、焼結用、磁性体用、耐熱素材用の被酸化性
粉体、その他一般の金属類、リードフレーム、ICチッ
プ、シリコンウエハー、シャドーマスク、ベアチップ等
の半導体部品や半導体、電子回路基板等の電子部品や電
子材料、回転部品の軸受、快削鋼部品等の精密部品、電
子部品用貴金属メッキ物品、指輪、ブローチ、ネックレ
ス、眼鏡等の装飾品、時計、鏡、宝石等の置物。フロッ
ピーデイスク、磁気テープなどの磁気光学部品、カメ
ラ、顕微鏡、望遠鏡等のレンズ、光通信で使われる光フ
ァイバー用ガラス、コピー機、レーザープリンター等光
学機器に使用されるレンズ等の精密光学部品、銃やロケ
ット等の兵器、飛行機、ヘリコプター等の航空機類、自
動車、戦車等の駆動車、クリームハンダ等のハンダ物
品、包装用、電子部品表面実装用の粘着テープ、接着
剤、玩具、生分解性ポリマー、プラスチック、タイヤ、
チューブ、ホース、ベルト、Oリング、ガスケット、絶
縁被覆材、クッション材、防振材、塗料、医療用品、運
動用品等のゴム製品、衣服や毛皮、ペンキ、ネガフィル
ム、カラープリント等の写真関係物品、絵画、押し花、
ドライフラワー、古本、古文書、土器、土偶の土製出土
品、木簡、木工器具等の木製出土品、金属製の出土品、
海苔、コーヒー、ピーナッツ、煎餅等の乾燥食料品、そ
の他一般の食品、医薬品類、試薬などが挙げられる。
【0023】
【実施例】以下に本発明の実施例を示し、さらに具体的
に説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定さ
れるものではない。
【0024】実施例1 主剤として液状ブタジエンオリゴマー (1,4−シス
結合74%、数平均数平均分子量1800、粘度650
cp)1.25gとナフテン酸Mn(Mn4wt%含
有)31mgを混合し均一溶液を得る。この均一溶液を
天然ゼオライト4gに担持し、それに破砕状活性炭0.
5g、酸化マグネシウム4gを加え通気性包装材料(紙
/開孔ポリエチレン 内寸50mm×100mm)の小
袋に充填した後、小袋の周囲をヒートシールして包装体
を製造した。この包装体を25℃、60%RHの空気5
00mlとともにアルミニウム箔ラミネ−トプラスチッ
クフィルム袋(サイズ220mm×300mm、以下
「Al袋」という)に封入した。この袋を25℃、60
%RHの雰囲気で保存し、脱酸素時間(系内酸素濃度が
0.1%以下になるまでの時間)及び脱酸素後の、Al
袋の中のガス組成を分析した。その結果を表1に示す。
【0025】実施例2 実施例1で主剤を液状ブタジエンオリゴマー (1,4
−トランス結合60%、数平均分子量1200、粘度2
000)に代えた以外は実施例1と同じにして行った。
結果を表1に示す。
【0026】実施例3 実施例1で主剤を液状ブタジエンオリゴマー(1,4−
シス結合80%、数平均分子量3000、粘度2500
cp)に代えた以外は実施例1と同じにして行った。結
果を表1に示す。
【0027】実施例4 実施例1で破砕状活性炭を加えない以外は実施例1と同
じにして行った。結果を表1に示す。
【0028】実施例5 実施例3で破砕状活性炭を加えない以外は実施例3と同
じにして行った。結果を表1に示す。
【0029】比較例1 実施例1で主剤を液状ブタジエンオリゴマー(1,2結
合89%、数平均分子量1100、粘度6000cp)
に代えた以外は実施例1と同じにして行った。結果を表
2に示す。
【0030】比較例2 実施例1で主剤を液状イソプレンオリゴマー(数平均分
子量13,000、粘度13,000cp)に代えた以外
は実施例1と同じにして行った。結果を表2に示す。
【0031】比較例3 実施例1で主剤を液状ブタジエンオリゴマー(1,4−
トランス結合60%、数平均分子量2,800、粘度8,
000cp)に代えた以外は実施例1と同じにして行っ
た。結果を表2に示す。
【0032】比較例4 比較例1で破砕状活性炭を加えない以外は比較例1と同
じにして行った。結果を表2に示す
【0033】比較例5 比較例2で破砕状活性炭を加えない以外は比較例2と同
じにして行った。結果を表2に示す
【0034】比較例6 実施例1で主剤を液状イソプレンオリゴマー(数平均分
子量13,000、粘度13,000cp) /大豆油
(希釈剤)=40/60(重量比)を用いた以外は実施
例1と同じにして行った。結果を表2に示す。
【0035】比較例7 比較例6で破砕状活性炭を加えない以外は比較例6と同
じにして行った。結果を表2に示す
【0036】実施例6 実施例1でナフテン脂肪酸Mn(Mn4wt%含有)を
トール油脂肪酸酸Mn(Mn4wt%含有)に代えた以
外は実施例1と同じにして行った。結果を表3に示す
【0037】実施例7 実施例1でナフテン酸Mn(Mn4wt%含有)をナフ
テン酸Co(Co4wt%含有)に代えた以外は実施例
1と同じにして行った。結果を表3に示す。
【0038】実施例8 実施例1で天然ゼオライトをモレキュラーシーブス13
X製に代えた以外は実施例1と同じにして行った。結果
を表3に示す。
【0039】実施例9 実施例1でナフテン酸Mn(Mn4wt%含有)をオレ
イン酸Fe(Fe5.9wt%含有)に、天然ゼオライ
トを珪藻土に代えた以外は実施例1と同じにして行っ
た。結果を表3に示す。
【0040】実施例10 実施例1でナフテン酸Mn(Mn4wt%含有)31m
gを155mgに代えた以外は実施例1と同じにして行
った。結果を表3に示す。
【0041】実施例11 実施例1で破砕状活性炭0.5gを4.0gに代えた以
外は実施例1と同じにして行った。結果を表4に示す。
【0042】実施例12 実施例1で破砕状活性炭を粉末活性炭に代えた以外は実
施例1と同じにして行った。結果を表4に示す。
【0043】実施例13 実施例1で破砕状活性炭をモレキュラーシーブス13X
に代えた以外は実施例1と同じにして行った。結果を表
4に示す。
【0044】実施例14 実施例1で担体の天然ゼオライト4gを8gに代えた以
外は実施例1と同じにして行った。結果を表4に示す。
【0045】実施例15 実施例1でMgOをCaOに代えた以外は実施例1と同
じにして行った。結果を表4に示す。
【0046】実施例16 実施例1でMgO 4gを8gに代えた以外は実施例1
と同じにして行った。結果を表4に示す。
【0047】実施例17 液状ブタジエンオリゴマー (1,2結合89%、数平
均分子量1,100、粘度6,000cp)1.25gと
流動パラフィン3.75g、ナフテン酸Mn(Mn4w
t%含有)31mgを混合し均一溶液を得る。この組成
物を天然ゼオライト11.25gに担持し、それに破砕
状活性炭0.5g、MgO 4gを加え通気性包装材料
(紙/開孔ポリエチレン 内寸100mm×100m
m)の小袋に充填した後、小袋の周囲をヒートシールし
て包装体を製造した。脱酸素時間の測定や脱酸素後の系
内ガス分析を実施例1と同様に行った。表5に結果を示
す。
【0048】実施例18 実施例17で液状ブタジエンオリゴマー (1,2結合
89%、数平均分子量1100、粘度6,000cp)
の代わりに液状イソプレンオリゴマー(数平均分子量1
3,000、粘度13,000cp)を用いた以外は実施
例17と同じにして行った。結果を表5に示す。
【0049】実施例19 実施例17で流動パラフィンのかわりにテトラデカンを
用いた以外は実施例17と同じにして行った。結果を表
5に示す。
【0050】実施例20 実施例17で破砕状活性炭を加えない以外は実施例17
と同じにして行った。結果を表5に示す。
【0051】実施例21 実施例18で破砕状活性炭を加えない以外は実施例18
と同じにして行った。結果を表5に示す。
【0052】実施例22 実施例1で主剤に液状ブタジエンオリゴマー (1,2
結合89%、数平均分子量1100、粘度6,000c
p)/テトラデカン=60/40を用いた以外は実施例
1と同じにして行った。結果を表5に示す。
【0053】実施例23 実施例1で主剤を液状ブタジエンオリゴマー (1,2
結合89%、数平均分子量1100、粘度6,000c
p)/テトラデカン=88/12を用いた以外は実施例
1と同じにして行った。結果を表5に示す。
【0054】実施例24 実施例1でMgO 4gの代わりに消石灰1gを加え、
さらに調湿剤(調湿液10g(グリセリン/水=80/
20)を10gの脱脂綿に含浸させたもの)を加えた以
外は実施例24と同じにして行った。結果を表5に示
す。
【0055】実施例25 実施例1でMgO 4gの代わりに消石灰1g及び調湿
剤(コピー用紙10枚)の2点を加えた以外は実施例1
と同じにして行った。結果を表6に示す。
【0056】実施例26 実施例1で水3.4gをAl袋に加えた以外は実施例1
と同じにして行った。結果を表6に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
【0061】
【表5】
【0062】
【表6】
【0063】
【発明の効果】本発明では、数平均分子量が150〜
4,000かつ粘度が100cp〜4,000cpであ
る不飽和基を有した液状オリゴマーまたは、非酸素吸収
性の希釈剤を用いて上記の粘度範囲に希釈した不飽和基
を有した液状オリゴマーを主剤とすることにより製造が
容易でかつ高い酸素吸収能力を持ちながらも発生ガスが
少なく臭いも無い、酸素吸収に水分を必要としない酸素
吸収用組成物が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阿部 菜穂美 東京都葛飾区新宿6丁目1番1号 三菱瓦 斯化学株式会社東京研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 数平均分子量が150〜4,000かつ
    粘度が100cp〜4,000cpである不飽和基を有
    した液状オリゴマーを主剤とし酸素吸収促進物質を含む
    ものを担体に担持した酸素吸収剤と、ガス吸収剤からな
    ることを特徴とする酸素吸収に水分を必要としない酸素
    吸収用組成物。
  2. 【請求項2】 不飽和基を有した液状オリゴマーに非酸
    素吸収性の希釈剤を加え粘度を10cp〜4,000c
    pにした混合物を主剤とし酸素吸収促進物質を含むもの
    を担体に担持した酸素吸収剤と、ガス吸収剤からなるこ
    とを特徴とする酸素吸収に水分を必要としない酸素吸収
    用組成物。
  3. 【請求項3】不飽和基を有した液状オリゴマーが液状ブ
    タジエンオリゴマーである請求項1または2記載の酸素
    吸収に水分を必要としない酸素吸収用組成物。
  4. 【請求項4】液状ブタジエンオリゴマーの分子構造中の
    結合が65%以上1,4結合である請求項1〜3のいず
    れか1項に記載の酸素吸収に水分を必要としない酸素吸
    収用組成物。
  5. 【請求項5】液状ブタジエンオリゴマーの分子構造中の
    結合が65%以上1,4−シス結合である請求項1〜4
    のいずれか1項に記載の酸素吸収に水分を必要としない
    酸素吸収用組成物。
  6. 【請求項6】脱湿剤を添加したことを特徴とする請求項
    1〜5のいずれか1項に記載の酸素吸収に水分を必要と
    しない酸素吸収用組成物。
  7. 【請求項7】調湿剤を添加したことを特徴とする請求項
    1〜5のいずれか1項に記載の酸素吸収に水分を必要と
    しない酸素吸収用組成物。
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