JPH10110043A - ポリ(アリーレンエーテルケトン)フィルム - Google Patents

ポリ(アリーレンエーテルケトン)フィルム

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JPH10110043A
JPH10110043A JP17380097A JP17380097A JPH10110043A JP H10110043 A JPH10110043 A JP H10110043A JP 17380097 A JP17380097 A JP 17380097A JP 17380097 A JP17380097 A JP 17380097A JP H10110043 A JPH10110043 A JP H10110043A
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poly
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arylene ether
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治朗 定延
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俊一 松村
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博夫 稲田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 より高いガラス転移温度を有し、かつ溶融成
形可能なポリ(アリーレンエーテルケトン)からの特定
物性のフィルムを提供する。 【解決手段】 下記式(I) で表わされる繰返し単位から主としてなり、かつヤング
率が少なくとも400kg/mm2 である新規なポリアリー
レンエーテルケトン)フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なポリ(アリーレ
ンエーテルケトン)フィルムに関し、さらに詳細には耐
熱性、耐薬品性及び機械的特性に優れたポリ(アリーレ
ンエーテルケトン)フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】ポリ(アリーレンエーテルケトン)は、
結晶性の耐熱性熱可塑性樹脂で、優れた耐熱性、耐薬品
性、電気特性を有することが知られており、これらの有
用な特性を活かし、エンジニアリングプラスチックとし
て開発されつつある。したがって、ポリ(アリーレンエ
ーテルケトン)のフィルム化は、産業上極めて大きな意
義を持つものである。ポリ(アリーレンエーテルケト
ン)のフィルムの例は、現在のところ未だに限られたも
のであるが、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)
に関しては、特開昭53−137166号公報、特開昭
58−63417号公報、特開昭60−1879284
号公報などにみられるが、PEEK以外のポリ(アリー
レンエーテルケトン)フィルムの例は殆んど知られてい
ない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】PEEKは、前述の如
き優れた特性を有するものの、そのガラス転移温度は1
43℃にすぎず、より高いガラス転移温度を有し、かつ
溶融成形可能なポリ(アリーレンエーテルケトン)から
のフィルムが期待されている。
【0004】したがって、本発明は、より高いガラス転
移温度を有し、かつ溶融成形可能なポリ(アリーレンエ
ーテルケトン)からのフィルムを提供することを目的と
するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記式(I)
【0006】
【化3】
【0007】[ここで、Ar1 は1,5−、2,6−も
しくは2,7−ナフタレン環又はそれらの組合せを表わ
し、そしてAr2 はp−フェニレン、p,p' −ビフェ
ニレン、1,5−、2,6−もしくは2,7−ナフタレ
ン環又はそれらの組合せを表わす。]で表わされる繰返
し単位から主としてなり、かつ濃硫酸中30℃で測定し
た固有粘度が少なくとも0.3であることを特徴とする
結晶性ポリ(アリーレンエーテルケトン)からなり、か
つヤング率が少なくとも400kg/mm2 である二軸配向
フィルムである。以下、本発明のフィルムについて詳細
に説明する。
【0008】本発明のフィルムを構成するポリマーは、
上記式(I)で表わされる繰返し単位を有するものであ
り、国際特許公開WO90/14379号公報(国際公
開日1990年11月29日)に記載されたものを用い
ることができる。さらに、本発明のフィルムを構成する
ポリマーとしては、上記式(I)で表わされる繰返し単
位を有するもので、該式(I)におけるAr1 はナフタ
レン環の基であって、2個の結合手を有し、この結合手
の位置が、1,5、2,6、もしくは2,7にあること
が好ましい。これらのうち、2,6に結合手があること
が特に好ましい。
【0009】また、上記一般式(I)におけるAr
2 は、2価の芳香族基である。この芳香族基の具体例
は、
【0010】
【化4】
【0011】等を例示することができるが、本発明では
これらのうち
【0012】
【化5】
【0013】が好ましい。
【0014】ポリ(アリーレンエーテルケトン)を構成
する上記一般式(I)の繰返し単位は、ポリマー全繰返
し単位の50モル%以上、好ましくは70モル%以上、
さらに好ましくは90モル%以上である。
【0015】本発明では、上記ポリ(アリーレンエーテ
ルケトン)としては、下記一般式(II)
【0016】
【化6】
【0017】の繰返し単位を主とするものが好適であ
り、該式(II)の繰返し単位が70モル%以上のポリ
(アリーレンエーテルケトン)のフィルムは、特に優れ
た溶融成形性と機械的性質を有する。
【0018】本発明に用いられるポリ(アリーレンエー
テルケトン)は、濃硫酸中、30℃で測定した固有粘度
が0.3以上、好ましくは0.4以上である。固有粘度
が0.3未満の場合は、フィルムの機械特性が不充分で
あり、好ましくない。
【0019】本発明に用いられるポリ(アリーレンエー
テルケトン)には、流動性改良などの目的でポリアリー
レンエーテル、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエ
ステル等の他の樹脂を少量ブレンドしてもよく、また、
安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの添加剤を含有
させてもよい。さらに、滑剤として、タルク、シリカ、
カオリン、マイカ、炭酸カルシウム等の無機質の充填剤
あるいはシリコン樹脂微粒子などの有機質の充填剤を含
有させてもよい。
【0020】本発明のポリ(アリーレンエーテルケト
ン)フィルムは、該ポリ(アリーレンエーテルケトン)
から溶融成形により未延伸フィルムとし、これを二軸配
向結晶化させることにより、さらに耐熱性と機械的強度
の高いフィルムとしたものである。延伸は、同時二軸、
逐次二軸のいずれも可能であり、さらに多段の延伸も有
効である。延伸温度は、未延伸フィルムの(Tg−10
℃)〜(Tm−20℃)の温度(ここで、Tgはポリマ
ーのガラス転移温度、Tmはポリマーの融点を示す)で
行うことが好ましく、さらに好ましくは同時二軸延伸の
場合には、(Tg−10℃)〜(Tc+10℃)の温度
(ここで、Tcはポリマーの結晶化温度を示す)が好適
である。逐次二軸延伸の場合には、一段目の延伸温度T
1 =(Tg−10℃〜Tc+10℃)、二段目の延伸温
度T2 =(T1+10℃)〜(Tc+100℃またはT
m−20℃のうち、低い方の温度)をそれぞれの範囲で
選ぶことができる。延伸倍率は特に限定されるものでは
ないが、面積倍率が4倍以上、特に6倍以上とすること
が好ましい。延伸したフィルムは、前記ポリ(アリーレ
ンエーテルケトン)の結晶化温度以上、融点以下で熱処
理することが好ましく、熱処理温度は、(Tc+10
℃)〜(Tc+100℃)の範囲が特に好ましい。
【0021】また、この際、必要に応じて弛緩熱処理す
ることができる。また、延伸熱処理後のフィルムの厚み
は1〜200μの範囲で選ぶことができる。
【0022】この二軸配向結晶化により、400kg/mm
2 以上のヤング率を発現し、熱的性質もさらに改善さ
れ、動的粘弾性測定(1Hz)におけるtanδのピー
ク温度は160℃以上のフィルムとなる。
【0023】本発明のポリ(アリーレンエーテルケト
ン)フィルムは、そのヤング率が400kg/mm2 未満で
は、薄物フィルムの剛性、ハンドリング性が不良であ
り、用途が限定されるため、本発明の目的を達成し得な
い。
【0024】また、本発明のフィルムの動的粘弾性測定
(1Hz)におけるtanδのピーク温度が160℃未
満では、フィルムとしての耐熱性が不充分となる。
【0025】特に、上記式(II)の繰返し単位から実質
的になるポリ(アリーレンエーテルケトン)の配向結晶
化フィルムでは、特殊な微細構造を付与することによ
り、さらに優れた熱的機械特性が発現される。
【0026】ここでいう特殊な微細構造とは、フィルム
の膜面に平行に選択配向しうる2種の結晶面(面間隔=
約3.9オングストローム及び4.7オングストロー
ム)を有し、かつ、その一方が他方に対し圧倒的に優位
な選択配向性を示すことを特徴とするものである。さら
に、詳細に説明すると、フィルムの膜面に対し、図1に
示すような対称反射法で広角X線回折を行ったとき、面
間隔約3.9オングストローム及び約4.7オングスト
ロームに相当する二つの主要なピークからなる回折パタ
ーンが得られ、このうち面間隔4.7オングストローム
に相当する回折ピークの強度I(4.7オングストロー
ム)に対する面間隔3.9オングストロームに相当する
回折ピークの強度I(3.9オングストローム)の比
[I(4.7オングストローム)/I(3.9オングス
トローム)]が0.6以下、好ましくは0〜0.4であ
ることを特徴とするものである。
【0027】フィルムの膜面に対し、等角反射法でX線
回折を行ったとき観測される反射ピークは、フィルムの
膜面に対し、平行に配列した結晶面から得られるもので
ある。ここで、観測される面間隔3.9オングストロー
ム及び4.7オングストロームのピークは、一般式(I
I)を主たる繰返し単位として持つポリマーを面配向さ
せたとき、膜面に対し平行に存在する結晶面であり、し
たがって分子鎖軸に平行な結晶面である。それぞれの前
記面間隔は、成形条件により3.9±0.2オングスト
ローム及び4.7±0.3オングストロームの変動を示
す場合がある。
【0028】本発明の特殊な微細構造を有するポリ(ア
リーレンエーテルケトン)フィルムは、この二軸の結晶
面のうち、特に一方が高度にフィルム膜面に平行に配向
したものである。この高度に選択配向する結晶面は、前
記のうち面間隔3.9オングストロームに相当するもの
である。この結晶面の選択配向性は、フィルムを対称透
過法でX線回折を行ったとき、面間隔4.7オングスト
ロームの結晶ピークが存在するにもかかわらず、面間隔
3.9オングストロームに相当するピークが実質的に観
測されないことから確認されるものである。すなわち、
この幾何学系においては、フィルムの膜面に対し、垂直
に配向した結晶面による回折のみが観測されるが、前記
の事実は、面間隔3.9オングストロームに相当する結
晶面が実質的にフィルム膜面に対して垂直には存在しな
いことを意味する。この結晶面の選択配向性は、定量的
には等角反射法で測定したX線回折パターンにおける両
結晶面のピーク強度比により測定することが可能であ
り、本発明の特殊な微細構造を有するポリ(アリーレン
エーテルケトン)フィルムは、面間隔4.7オングスト
ロームに相当する回折ピーク強度I(4.7オングスト
ローム)と面間隔3.9オングストロームに相当する回
折ピーク強度I(I(3.9オングストローム)の比
[I(4.7オングストローム)]/[I(3.9オン
グストローム)]が0.6以下、好ましくは0〜0.4
である。この回折ピーク強度比が0.6を超えると、低
ヤング率でかつ脆いフィルムとなる。
【0029】このような特殊な配向性(回折ピーク強度
比が0.6以下)を有するポリ(アリーレンエーテルケ
トン)フィルムは、従来知られておらず、全く新規なフ
ィルムである。この特殊な微細構造を有するポリ(アリ
ーレンエーテルケトン)フィルムは、ヤング率がフィル
ム面内の機械方向(MD)、幅方向(TD)いずれの方
向においても500〜800kg/mm2 の範囲であり、か
つ1Hzで測定した時のtanδのピーク温度が180
〜220℃の範囲をとりうるものである。この特殊な微
細構造を発現するには、前述の延伸条件より、さらに限
定された特定の条件下でフィルムの配向を実現すること
が必要である。
【0030】すなわち、前述の延伸条件を満たし、かつ
一軸延伸初期応力が1.0kg/mm2以上の延伸温度にお
いて、同時二軸延伸又は逐次二軸延伸の第一段の延伸を
実施し、同時又は逐次における二軸延伸後の延伸倍率
(面積倍率)が6倍以上であることが必要である。ここ
でいう一軸延伸初期応力は、延伸の初期にかかる応力値
を示し、降伏点を有する場合には、実質的に降伏応力に
一致する。本発明の特殊な微細構造を発現するために
は、延伸初期の応力値が特定値以上であることが必要で
ある。この特定値未満の温度条件を採用すると、面配向
性の発現性が低く、かつ配向の均一性が低下する。この
延伸初期応力値が1.0kg/mm2 以上であり、かつ(T
g−10℃)<T<(Tm−20℃)となる温度範囲と
しては、165〜195℃を選ぶことができる。延伸後
のフィルムは、220〜360℃の温度で定長、好まし
くは緊張下に熱固定することにより、結晶化度の増大と
協同的に面配向化が促進する。この熱固定の段階で、フ
ィルムの熱的機械的性質は大幅に改善され、高度に構造
が制御されたことによる効果が顕在化する。
【0031】本発明のポリ(アリーレンエーテルケト
ン)フィルムは、その原料ポリマーの主鎖にナフタレン
環を含有することにより、フェニレン基のみを含むポリ
(アリーレンエーテルケトン)からなるフィルムに比べ
て、ガラス転移温度(Tg)が高く、かつ良好な溶融成
形性を有し、延伸配向により従来市販のポリエチレンテ
レフタレートフィルムに匹敵する高い機械的性質をも具
備するものである。すなわち、本発明のポリ(アリーレ
ンエーテルケトン)フィルムは、MD、TDのいずれの
方向にも400kg/mm2 以上のヤング率と160℃以上
の動的粘弾性測定におけるtanδのピーク温度を併せ
持つものである。
【0032】また、高度に結晶面が選択配向した特殊な
微細構造を持つ本発明のポリ(アリーレンエーテルケト
ン)フィルムは、さらに優れた機械的性質を有し、ヤン
グ率は500kg/mm2 以上を示す。
【0033】本発明のポリ(アリーレンエーテルケト
ン)フィルムは、これらの特性を生かし各種の用途に広
く用いることができる。例えば、電気絶縁材料用途、モ
ータ絶縁、電線被覆用として、また使用温度の高い高品
位のコンデンサーに用いることができる。また、フレキ
シブルプリントサーキット用途、磁気記録用のベースフ
ィルム、感熱転写用などのフィルムに用いることができ
る。
【0034】
【実施例】以下、実施例及び参考例をあげて本発明を説
明するが、実施例は説明のためのものであって、本発明
はこれに限定されるものではない。また、参考例は本発
明のフィルムの原料となるポリマーの製造例である。な
お、例中「部」は「重量部」を意味する。
【0035】なお、例中における各種の評価項目は、次
のようにして求めた値である。
【0036】固有粘度(ηinh) 濃硫酸を溶媒とし、ポリマー濃度0.5g/dlの濃度
で30℃で測定した。
【0037】ポリマーのガラス転移温度(Tg)、融点
(Tm)、及び結晶化温度(Tc) DSCを用い、10℃/分の昇温速度で測定した。
【0038】一軸延伸初期応力の測定 加熱オーブンを備えた定速引張試験機を用い、未延伸フ
ィルムを100%の引張強度で伸長させ、歪み0〜10
0%の間の最大応力を一軸延伸初期応力とした。なお、
このときの試料の幅は20mm、試料長は30mmである。
フィルムに異方性がある場合は、その最も大なる方向に
おける値を採用する。
【0039】延伸フィルムの物性 延伸フィルムのヤング率、強度、伸度は、定速引張試験
を行い、幅10mm、長さ100mmのサンプルを、毎分1
00%の引張速度で定速引っ張りすることにより求め
た。
【0040】動的粘弾性 レオメトリックス社製、RSA−IIを用い、伸縮モード
1Hzで測定した。
【0041】フィルム面配向度の測定 フィルムの膜面に対し、図1に示す対称反射法の幾何学
的配置で、X線回折を行い、2θ=10°〜40°を計
数管によりスキャンし、フィルムの吸収及び空気散乱の
補正を行ったのち、面間隔4.7オングストロームと
3.9オングストローム付近のピークに関し、ピークの
強度値をそれぞれi(4.7オングストローム)、i
(3.9オングストローム)(cps)とし、ピークの
半価幅をw(4.7オングストローム)、w(3.9オ
ングストローム)(radian)とし、ピーク強度は
それぞれ以下の式で求めた。 I(4.7オングストローム)=i(4.7オングスト
ローム)×w(4.7オングストローム) I(3.9オングストローム)=i(3.9オングスト
ローム)×w(4.7オングストローム)。 なお、このピーク分離が悪い場合、あるいはピークの対
称性がない場合には、ピークを中心とした片側半価幅の
うち、小なるものを用いる。
【0042】[参考例A] (1)1,5−ナフタレンジカルボン酸クロライド68
部と、フルオロベンゼン150部、FeCl3 6.4
部、ニトロベンゼン250部とを、5時間還流しながら
攪拌、混合した。その後、反応混合物をメタノール15
00部中にあけ、沈澱を濾過した。1,5−ビス(p−
フルオロベンゾイル)ナフタレンの収量は60部であっ
た。キシレンで再結晶した生成物の融点は214.5
℃、元素分析は重量%でC77.4%、H3.82%、
F10.2%であった。また、生成物はIR(ヌジョー
ル法)及びNMR(ジメチルスルホキシド−d6 溶媒)
の測定によっても確認された。
【0043】(2)上記(1)で得られた1,5−ビス
(p−フルオロベンゾイル)ナフタレン5.59部、ハ
イドロキノン1.65部及びジフェニルスルホン13.
3部を攪拌装置及び留出系を備えた反応器に入れ、窒素
置換した後250℃に加熱した。約5分後内容物は融解
し、均一な溶液となった。次に無水炭酸カリウム2.1
部を添加し、常圧下窒素気流中250℃で30分反応し
た後330℃まで昇温し180分反応させた。得られた
反応物を冷却し、これを粉砕して粒径500μm以下の
チップとし、該チップをアセトン還流下で2回、水還流
下で2回、さらにアセトン還流下で1回抽出処理し、ジ
フェニルスルホン及び無機塩を除去し、次いで150℃
で3時間乾燥した。得られたポリマーはηinh=1.
0、Tg=192℃、Tm=291℃であった。
【0044】[参考例B]2,6−ビス(p−フルオロ
ベンゾイル)ナフタレン37.24部、ハイドロキノン
11.01部、4−フルオロベンゾフェノン0.20部
及びジフェニルスルホン66.37部を参考例A(2)
と同様の反応器に入れ、窒素置換した後、200℃に加
熱した。約15分後内容物は融解し、均一な溶液となっ
た。次に、無水炭酸カリウム0.69部、無水炭酸ナト
リウム15.9部を添加し、常圧下窒素気流中200℃
で1時間、次に昇温して250℃で1時間反応させた
後、さらに反応温度を340℃に昇温し、同温度で30
分間反応させた。得られた反応物にさらに4−フルオロ
ベンゾフェノン3.6部を加え、15分反応させた後冷
却し、参考例A(2)と同様に粉砕、抽出処理してジフ
ェニルスルホン及び無機塩を除去した。得られたポリマ
ーはηinh=0.768、Tg=177℃、Tm=3
76℃であった。このポリマーを150℃で6時間乾燥
し、高化式フローテスターを用い、0.5mmφ、1mmL
のノズルより420℃の温度で溶融押出して、剪断速度
103 /秒における溶融粘度を測定した。420℃の温
度で5分間溶融保持した後の溶融粘度は1410ポイ
ズ、同じく20分間溶融保存した後の溶融粘度は154
0ポイズであり、また得られたモノフィラメントはいず
れも褐色透明でゲル状物がなく、本ポリマーが良好な溶
融安定性を有していることがわかった。
【0045】[実施例1]前記式(II)の繰返し単位か
らなり、かつ固有粘度が0.8のポリ(アリーレンエー
テルケトン)を参考例Bに記載された方法により調製
し、これを溶融押出機により390℃で押出し、140
℃の温度に保持したキャスティングドラム上へキャスト
し、厚み150μmの未延伸フィルムを得た。このポリ
マーのTmは367℃であった。この未延伸フィルムの
DSCによるTgは176℃、Tcは215℃であっ
た。この未延伸フィルムを、180℃において面積倍率
9倍の同時二軸延伸を行った後、定面積下250℃で熱
処理した。この未延伸フィルムの一軸延伸初期応力は
3.1kg/mm2 であった。
【0046】得られた延伸フィルムのヤング率はMD
(機械方向)512kg/mm2 、TD(横方向)523kg
/mm2 、強度MD25kg/mm2 、TD26kg/mm2 、伸
度MD30%、TD34%の優れた機械特性を示した。
また、フィルムの厚みは12μmであった。また、得ら
れた延伸フィルムの動的粘弾性測定でのガラス転移温度
に対応するtanδのピーク温度は、191℃(1H
z)であった。さらに、このフィルムの反射法X線回折
パターンは、図2のとおりであり、ピーク強度比[I
(4.7オングストローム)/I(3.9オングストロ
ーム)]は、0.30であった。
【0047】[実施例2〜4]実施例1と全く同様の条
件で未延伸フィルムを得、これを185℃で面積倍率9
倍の同時二軸延伸を行った。このとき、185℃での一
軸延伸初期応力は、2.5kg/mm2 であった。この延伸
フィルムを、表1に示す各種の温度で熱処理して得られ
たフィルムの機械的性質とピーク強度比[I(4.7オ
ングストローム)/I(3.9オングストローム)]を
求めた。それぞれの結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】[実施例5]上記式(II)の繰返し単位を
有し固有粘度0.8のポリ(アリーレンエーテルケト
ン)を押出機により390℃で押出し、100℃の温度
に保持したキャスティングドラム上へキャストし、厚み
100μmの未延伸フィルムを得た。このポリマーのT
mは367℃であった。この未延伸フィルムのDSCに
よるTgは176℃、Tcは215℃であった。この未
延伸フィルムを180℃において面積倍率6倍の同時二
軸延伸を行った後、定面積下250℃で熱処理した。
【0050】得られたフィルムは、ヤング率460kg/
mm2 の優れた機械特性を示した。また、熱処理後のフィ
ルムはDSCでのTgは観測されず、動的粘弾性測定で
のガラス転移に対応するtanδのピーク温度は191
℃(1Hz)であった。なお、固有粘度は濃硫酸を溶媒
とし、0.5g/dlの濃度で30℃にて測定した値、
動的粘弾性はレオメトリックス社製RSA−IIを用い伸
縮モードで測定したものである。
【0051】[比較例1]200℃で延伸する以外は、
実施例1と同様にして延伸フィルムを得た。なお、20
0℃における一軸延伸初期応力は、0.2kg/mm2 であ
った。得られた延伸フィルムは、ヤング率MD380kg
/mm2 、TD374kg/mm2、引張強度MD8kg/m
m2 、TD7kg/mm2 、伸度MD6%、TD6%であ
り、ピーク強度比[I(4.7オングストローム)/I
(3.9オングストローム)]は、0.65であった。
【0052】[比較例2]延伸面積倍率が1.8である
以外は、実施例1と同様にして延伸フィルムを得た。得
られた延伸フィルムは、ヤング率MD263kg/mm2
TD254kg/mm2、引張強度MD8kg/mm2 、TD8k
g/mm2 、伸度MD12%、TD13%であり、ピーク
強度比[I(4.7オングストローム)/I(3.9オ
ングストローム)]は、0.8であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】フィルム面配向度を測定する対称反射法の幾何
学的配置の構成図である。
【図2】対称反射法によりフィルム面配向度を測定した
ときのX線回折パターンのチャートである。
【符号の説明】
1:X線源 2:計数管 3:フィルム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 71:00 (31)優先権主張番号 特願平2−325364 (32)優先日 平2(1990)11月29日 (33)優先権主張国 日本(JP)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(I) 【化1】 [ここで、Ar1 は1,5−、2,6−もしくは2,7
    −ナフタレン環又はそれらの組合せを表わし、そしてA
    2 はp−フェニレン、p,p' −ビフェニレン、1,
    5−、2,6−もしくは2,7−ナフタレン環又はそれ
    らの組合せを表わす。]で表わされる繰返し単位から主
    としてなり、かつ濃硫酸中30℃で測定した固有粘度が
    少なくとも0.3である、結晶性ポリ(アリーレンエー
    テルケトン)からなり、かつヤング率が少なくとも40
    0kg/mm2 であることを特徴とする二軸配向フィルム。
  2. 【請求項2】 1Hzで測定したtanδのピーク温度
    が160℃以上である請求項1記載のポリ(アリーレン
    エーテルケトン)フィルム。
  3. 【請求項3】 ポリ(アリーレンエーテルケトン)が下
    記式(II) 【化2】 で表わされる繰返し単位から主としてなる請求項1又は
    請求項2記載のポリ(アリーレンエーテルケトン)フィ
    ルム。
  4. 【請求項4】 フィルムの膜面に平行に配向した主要な
    結晶面として、面間隔3.9±0.2オングストローム
    及び4.7±0.3オングストロームの結晶面を有し、
    かつフィルムの膜面に対し反射法で測定した両結晶面の
    ピーク強度比[I(4.7オングストローム)/I
    (3.9オングストローム)]が0.6以下である請求
    項1又は請求項3記載のポリ(アリーレンエーテルケト
    ン)フィルム。
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