JPH0755980B2 - ポリ(アリ―レンエ―テルケトン)の製造方法 - Google Patents

ポリ(アリ―レンエ―テルケトン)の製造方法

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JPH0755980B2
JPH0755980B2 JP2131210A JP13121090A JPH0755980B2 JP H0755980 B2 JPH0755980 B2 JP H0755980B2 JP 2131210 A JP2131210 A JP 2131210A JP 13121090 A JP13121090 A JP 13121090A JP H0755980 B2 JPH0755980 B2 JP H0755980B2
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【発明の詳細な説明】 (a)産業上の利用分野 本発明はポリ(アリーレンエーテルケトン)の製造方法
に関するものである。更に詳しくは、二次転移温度が高
く、耐溶剤性に優れ且つ優れた成形性を備えたポリ(ア
リーレンエーテルケトン)の製造方法に関するものであ
る。
(b)従来技術 ポリアリールエーテルケトンは、耐薬品性、耐酸性、耐
アルカリ性、寸法安定性、機械的特性に優れ、エンプ
ラ、繊維、フイルム、複合材料マトリクス等として種々
検討されている。
ポリアリールエーテルケトンとしては、従来、アリール
基がフェニレン基であるポリマーが多く知られている。
すなわち、4,4′−ジハロベンゾフェノンとハイドロキ
ノンとを反応させて下記式(a) で表わされる繰返し単位からなるポリアリールエーテル
ケトンを製造する方法(特開昭54−90296号)、4,4′−
ジハロベンゾフェノンと4,4′−ジヒドロキシベンゾフ
ェノンとを反応させて下記式(b) で表わされる繰返し単位からなるポリアリールエーテル
ケトンを製造する方法(特公昭57−22938号)、および
ビス(p−ハロベンゾイル)ベンゼンとハイドロキノン
とを反応させて下記式(c) で表わされる繰返し単位からなるポリアリールエーテル
ケトンを製造する方法(特開昭53−34900号、特開昭53
−97094号)が知られている。
これらのポリアリールエーテルケトンの耐熱性は必ずし
も十分ではなく、一層優れた耐熱性を有するポリアリー
ルエーテルケトンの開発が望まれている。
特開昭64−29427号公報には、下記式(d) で表わされる構成単位15〜90モル%を下記式(e) で表わされる構成単位10〜85モル%からなる芳香族ポリ
ケトン共重合体が開示されている。
特開昭64−31828号公報には、上記式(e)で表わされ
る構成単位50〜85モル%と下記式(f) で表わされる構成単位15〜50モル%からなる芳香族ポリ
ケトン共重合体が開示されている。
また、特開昭64−33132号公報には、下記式(g) で表わされる構成単位15〜40モル%と下記式(h) で表わされる構成単位60〜85モル%とからなる芳香族ポ
リケトン共重合体が開示されている。
上記3種の芳香族ポリケトン共重合体はいずれも熱変形
温度が高いことがそれぞれの公開公報に記載されてい
る。
(c)発明の目的 本発明の目的は従来高知のポリ(アリーレンエーテルケ
トン)よりも高い耐熱性を備えた新規なポリ(アリーレ
ンエーテルケトン)の製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、二次転移温度が高く、にもかかわ
らず融点がさほど高くなく故成形性に優れ、また結晶性
であるにもかかわらず結晶化が比較的遅いため、例えば
溶融成形後の加工、例えば溶融成形して得られたフイル
ムの熱延伸等を容易に且つ円滑に行なうことができるポ
リ(アリーレンエーテルケトン)を与える製造方法を提
供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から
明らかとなろう。
(d)発明の構成 すなわち本発明は、下記式(I) で表わされるビス(p−フルオロベンゾイル)ナフタレ
ンと下記式(II) で表わされる芳香族ジヒドロキシ化合物とから主として
なる原料を、不活性媒体中、アルカリ金属の水酸化物,
炭酸塩および重炭酸塩よりなる群から選ばれる少くとも
一種のアルカリ性化合物の存在下、300〜360℃の範囲の
温度に加熱して重縮合せしめ、下記式(III) で表わされる繰返し単位から主としてなり、且つ濃硫酸
中30℃で測定した固有粘度が少なくとも0.3である結晶
性ポリ(アリーレンエーテルケトン)を生成する、こと
を特徴とする結晶性ポリ(アリーレンエーテルケトン)
の製造方法である。
上記式(I)において、Ar1は1,5−、2,6−もしくは2,7
−ナフタレン環又はそれらの組合せを表わす。これらの
うち、下記式: で表わされる2,6−ナフタレン環が特に好ましい。
式(I)で表わされるビス(p−フルオロベンゾイル)
ナフタレンは、それ故、ビス−1,5−(p−フルオロベ
ンゾイル)ナフタレン、ビス−2,6−(p−フルオロベ
ンゾイル)ナフタレン、ビス−2,7−(p−フルオロベ
ンゾイル)ナフタレンおよびそれらの組合せを包含す
る。
また、上記式(II)において、Ar2はp−フェニレン,p,
p′−ビフェニレン、1,5−、2,6−もしくは2,7−ナフタ
レン環又はそれらの組合せを表わす。これらのうち下記
式: で表わされるp−フェニレンが特に好ましい。
式(II)で表わされる芳香族ジヒドロキシ化合物は、そ
れ故、ハイドロキノン、4,4′−ジヒドロキシビフェニ
ル、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシ
ナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレンおよびこれ
らの組合せを包含する。
本発明方法によれば、上記式(I)のビス(p−フルオ
ロベンゾイル)ナフタレンと上記式(II)の芳香族ジヒ
ドロキシ化合物とから主としてなる原料を、不活性媒体
中アルカリ性化合物の存在下に、加熱することにより実
施される。
上記式(I)および(II)の化合物以外に使用すること
のできる他の原料化合物は、例えば4,4′−ジフルオロ
ベンゾフェノン、1,4−ビス(p−フルオロベンゾイ
ル)ベンゼン、4,4′−ビス(p−フルオロベンゾイ
ル)ジフェニル、1,3−ビス(p−フルオロベンゾイ
ル)ベンゼン、4,4′−ビス(p−フルオロベンゾイ
ル)ジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシベンゾ
フェノン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロ
パン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−
フルオロ−4′−ヒドロキシベンゾフェノン、4−クロ
ル−4′−ヒドロキシベンゾフェノン、4−(p−フル
オロベンゾイル)−4′−ヒドロキシジフェニルエーテ
ル、2−(p−フルオロベンゾイル)−6−ヒドロキシ
ナフタレン、4−クロル−4′−ヒドロキシジフェニル
スルホン等を挙げることができる。
上記式(I)および(II)の化合物は、上記式(I)の
ビス(p−フルオロベンゾイル)ナフタレン1モル当り
上記式(II)の芳香族ジヒドロキシ化合物0.98〜1.02モ
ルの割合で使用するのが好ましい。
前記他の原料化合物を使用する際にも、原料中の化合物
の組成比率は互いに反応してアリールエーテルケトン重
合体鎖が形成されるような割合で使用されることは容易
に理解されよう。
上記式(I)および(II)の化合物は、原料全体の少く
とも70モル%、特に少くとも80モル%含有するのが好ま
しい。
反応に用いられる不活性媒体としては、例えばジフェニ
ルスルホン、N−メチル−2−ピロリドン、スルホラン
等を挙げることができる。これらのうち、ジフェニルス
ルホンが特に好ましく用いられる。
アルカリ性化合物としては、アルカリ金属の水酸化物、
炭酸塩又は重炭酸塩が用いられる。これらは一種又は二
種以上組合せて使用することができる。アルカリ性化合
物としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸
カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸ナ
トリウム等を好ましいものとして挙げることができる。
これらのうち、炭酸カリウムおよび炭酸ナトリウムが特
に好ましい。これらのアルカリ性化合物は、原料中のフ
ッ素原子の全部を捕捉するのに充分な割合、好ましくは
原料中のフッ素原子とほぼ等当量のアルカリ金属原子と
なる割合で用いられる。
反応は最終的に300〜360℃の範囲の温度に加熱すること
により実施される。原料が300℃よりも低い沸点を持つ
化合物、例えば、ハイドロキノンを含有する場合には、
300℃以下、例えば200〜250℃の温度で先ず反応を行な
い、次いで最終的に300〜360℃の温度とするのが好まし
い。反応の進行と共に反応系内に副生物としてアルカリ
金属フッ化物が生成し、他方、上記式(III)で表わさ
れる繰り返し単位から主としてなるポリ(アリーレンエ
ーテルケトン)が生成物として生成される。
重合反応が所望の程度まで進行したのち、場合により反
応系内に一官能性の末端停止剤を添加して、生成した重
合体の末端水酸基を末端停止剤で封鎖することができ
る。一官能性の末端停止剤としては、例えばp−クロロ
ベンゾフェノン、p−フルオロベンゾフェノンあるいは
塩化メチル等を好ましいものとして挙げることができ
る。末端停止した重合体は、成形時例えば溶融成形時に
良好な熱安定性を示す。
重縮合反応後、反応系からの本発明のポリ(アリーレン
エーテルケトン)の単離は、例えば反応系を固化したの
ち、必要により粉砕し、不活性媒体および副生したアル
カリ金属フッ化物を例えばアセトン、メタノールおよび
水等により、同時に又は逐次に抽出除去することによっ
て行なうことができる。
なお、本発明方法で用いられる上記式(I)のビス(p
−フルオロベンゾイル)ナフタレンは、例えば(A)相
当するナフタレンジカルボン酸の酸ハロゲン化物と、該
酸ハロゲン化物の2モル倍以上のフルオロベンゼンと
を、ルイス酸の存在下に、反応溶媒中で反応させるか又
は(B)ナフタレンと、ナフタレンに対し2倍モル以上
のp−フルオロベンゾイルハライドとをルイス酸の存
在、反応溶媒中で反応させる、いずれかの方法によって
有利に製造することができる。
上記方法(A)、(B)の具体的方法は、以下に記載す
る実施例から明らかとなろう。
本発明方法により得られるポリ(アリーレンエーテルケ
トン)は、上記式(III)で表わされる繰返し単位とし
て、下記式: で表わされる繰返し単位(式(III)中、Ar1が2,6−ナ
フタレン環でありそしてAr2がp−フェニレンである場
合に相当する)が就中好ましい。
本発明方法により得られる結晶性ポリ(アリーレンエー
テルケトン)は上記式(III)で表わされる繰返し単位
から主としてなる。上記式(III)の繰返し単位以外の
繰返し単位としては、例えば前記公知の繰返し単位
(a)〜(g)および下記式(h) を挙げることができる。
本発明方法により得られる結晶性ポリ(アリーレンエー
テルケトン)としては、上記式(III)の繰返し単位を
全繰返し単位当り少くとも70モル%、特に少くとも80モ
ル%含有するものが好ましい。とりわけ、本発明の結晶
性ポリ(アリーレンエーテルケトン)としては、上記式
(III)の繰返し単位から実質的になるものが好まし
い。
本発明方法により製造されるポリ(アリーレンエーテル
ケトン)は濃硫酸中30℃で測定した固有粘度(ηinh)
が少なくとも0.3である。
固有粘度は好ましくは少なくとも0.4であり、より好ま
しくは少なくとも0.5である。固有粘度の上限値は好ま
しくは2.0であり、より好ましくは1.5である。好適な成
形性は上記の如き適当な固有粘度を示すポリ(アリーレ
ンエーテルケトン)によって達成される。
本発明方法により得られるポリ(アリーレンエーテルケ
トン)は、二次転移温度が高いことをその特徴的性質の
一つとして有している。この二次転移温度(Tg)は示差
熱分析法(DSC)により、好ましくは少くとも170℃を示
し、より好ましくは少くとも175℃を示す。また、融点
(Tm)はDSCにより好ましくは300〜380℃の間を示し、
より好ましくは320〜370℃の間を示す。
本発明方法により得られるポリ(アリーレンエーテルケ
トン)は、その優れた耐溶剤性および高い二次転移温度
を利用すべく種々の分野に使用することができる。例え
ば、かかるポリ(アリーレンエーテルケトン)は、繊
維、フイルム、繊維強化複合体のマトリックス樹脂ある
いはその他の成形物品の製造のために有利に使用され
る。
上記ポリ(アリーレンエーテルケトン)の繊維は、該ポ
リ(アリーレンエーテルケトン)から溶融成形により製
造することができる。例えば、該ポリマーをTm+20℃〜
Tm+100℃(但し、Tmはポリマーの融点)の温度で溶融
させて紡糸口金を通して溶融押出し、冷却固化後巻取る
ことにより得られる。口金の直下には、紡出糸を徐冷す
るための加熱筒を設けることが好ましい。加熱筒内の雰
囲気温度はTm−50℃〜600℃が好ましい。溶融紡糸によ
って得られた未延伸繊維は、引き続き、該ポリ(アリー
レンエーテルケトン)のガラス転移点(Tg)以上、融点
(Tm)以下、好ましくはTg−10℃以上Tm−20℃の加熱媒
体中、または加熱媒体の接触下で熱延伸することによ
り、優れた機械的性質を発現するようになる。延伸は一
段もしくは多段で行うことができる。多段延伸は、好ま
しくは、一段目の延伸をTg−10〜Tc−5℃、二段目の延
伸をTc〜Tm−20℃、さらに好ましくは一段目の延伸をTg
−10〜Tc−5℃、二段目をTc〜Tc+60℃、三段目を(Tc
+67℃もしくは二段目の延伸温度+20℃のうち高い方の
温度)〜Tm−20℃とすることにより、より高い配向を得
ることができる。ここでTcはDSCで測定した未延伸糸の
結晶化温度である。
上記ポリ(アリーレンエーテルケトン)の繊維は、その
原料ポリマーの主鎖にナフタレン環を有しており、フェ
ニレン基よりのみからなるポリエーテルケトンからなる
繊維に比して、二次転移点が高く、かつ延伸配向により
1,000Kg/mm2を超えるヤング率を発現する耐熱性、機械
特性に優れた繊維である。
上記ポリ(アリーレンエーテルケトン)の繊維は、広く
産業用繊維として用いることができ、例えばモノフィラ
メントとして、耐熱・耐摩耗性ブラシ、ドライヤーキャ
ンバス、耐摩耗・高弾性ガット等に有用であり、またマ
ルチフィラメントとしては、耐熱・耐薬品フィルター及
びパッキン、更にはガラス繊維、炭素繊維、セラミック
繊維等の無機繊維や芳香族ポリアミド繊維等の高強度・
高弾性繊維との複合材料用マトリックス等に有用であ
る。例えば、本発明の繊維と高強度・高弾性繊維との交
織交編物を本発明の繊維の融点以上の温度で熱プレスす
ることにより、ポリ(アリーレンエーテルケトン)がマ
トリックス樹脂である繊維強化複合材料とすることがで
きる。
本発明方法により得られるポリ(アリーレンエーテルケ
トン)のフイルムは、該ポリ(アリーレンエーテルケト
ン)を溶融成形で製膜することにより製造することがで
きる。
上記のポリ(アリーレンエーテルケトン)のフイルムは
未延伸でも使用することができるが、二軸配向結晶化さ
せることにより、更に耐熱性と機械強度の高いフイルム
とすることができる。延伸は同時二軸、逐次二軸延伸の
いずれで行うことも可能であり、更に多段延伸も有効で
ある。延伸温度は未延伸フイルムのTg−10℃〜Tm−20℃
(但し、Tgは2次転移温度)で行うことが好ましい。同
時二軸の場合には、さらに好ましくはTg−10℃〜Tc+80
℃(但し、Tcは結晶化温度)が好適である。逐次二軸の
場合には一段目の延伸温度T1=Tg−10〜Tc+10℃、二段
目の延伸温度T2=T1+10℃〜(Tc+100℃またはTm−20
℃のうち低い方の温度)とするのがより好適である。延
伸倍率は特に限定するものではないが、面積倍率が4倍
以上、特に6倍以上とすることが好ましい。延伸フイル
ムは、該ポリ(アリールエーテルケトン)の結晶化温度
以上融点以下で熱処理することが好ましい。熱処理温度
は、Tc+10℃〜Tc+100℃の範囲が特に好ましい。必要
に応じ弛緩熱処理することができる。この二軸配向結晶
化により400kg/mm2をこえるヤング率を発現し、熱的性
質もさらに改善される。
上記ポリ(アレーレンエーテルケトン)のフイルムは、
好ましくは二軸配向結晶化により、動的粘弾性測定(1H
z)におけるtanδピーク温度は160℃を超えるものとな
る。
本発明方法により得られるポリ(アリーレンエーテルケ
トン)は、その原料ポリマーの主鎖にナフタレン環を有
しており、フェニレン基のみからなるポリエーテルケト
ンに比して、二次転移温度が高く、かつ良好な溶融成型
性を有している。そして延伸配向により従来市販のポリ
エチレンテレフタレートフイルムに匹敵する高い機械的
性質を具備するフイルムを与える。例えば、160℃を超
える二次転移温度と400kg/mm2を超えるヤング率をあわ
せもつフイルムとすることができる。
本発明方法により得られるポリ(アリーレンエーテルケ
トン)のフイルムは、これらの特性を生かし各種の用途
に広く用いることができる。例えば、電気絶縁材料用
途、モータ絶縁、電線被覆用として、また使用温度の高
い高品位のコンデンサーに用いることができる。また、
フレキシブルプリントサーキット用途、磁気記録用のベ
ースフイルム、感熱転写用等のフイルムに用いることが
できる。
本発明方法により得られるポリ(アリーレンエーテルケ
トン)は、さらに繊維強化複合体のマトリックス樹脂と
して用いることができ、あるいは耐熱性容器、電絶部品
等の成形物品等の素材としても有用である。
(e)発明の効果 本発明方法により得られるポリ(アリーレンエーテルケ
トン)は、特定の位置でケトン基に結合したナフタレン
骨格と特定のアリーレンエーテル骨格とを有する。この
ポリ(アレーレンエーテルケトン)は重合体としての特
徴として二次転移温度が高く、にもかかわらず融点がさ
ほど高くなく、且つ耐溶剤性が優れており、しかも優れ
た成形性を有している。更に本発明のポリ(アリーレン
エーテルケトン)は結晶性であるにもかかわらず結晶化
が比較的遅いという性質を有しており、配向性にも優れ
ている。
該ポリ(アリーレンエーテルケトン)は本発明方法によ
り、効率的に、工業的に有利に製造される。
(f)実施例 以下、実施例を挙げて本発明を詳述するが、実施例は説
明のためのものであって、本発明はこれに限定されるも
のではない。なお、実施例中「部」は「重量部」を意味
する。また、ポリマーの固有粘土(ηinh)は濃硫酸を
溶媒とし、0.5g/dlの濃度で30℃にて測定した。更にま
た、ポリマーの二次転移点(Tg)、融点(Tm)はDSCを
用い、10℃/分の昇温速度で測定した。
実施例1 (i)1,5−ナフタレンジカルボン酸クロライド68部
と、フルオロベンゼン150部、FeCl36.4部、ニトロベン
ゼン250部を5時間環流しながら撹拌、混合した。その
後反応混合物をメタノール1500部中にあけ、沈殿を過
した。1,5−ビス(P−フルオロベンゾイル)ナフタレ
ンの収量は60部であった。キシレンで再結晶した生成物
の融点は214.5℃、元素分析は重量%でC77.4%、H3.82
%、F10.2%であった。また、生成物はIR(ヌジョール
法)およびNMR(ジメチルスルホキシド−d6溶媒)の測
定によっても確認された。
(ii)上記(i)で得られた1,5−ビス(P−フルオロ
ベンゾイル)ナフタレン5.59部、ハイドロキノン1.65
部、およびジフェニルスルホン13.3部を撹拌装置および
留出系を備えた反応器に入れ、窒素置換した後250℃に
加熱した。約5分後内容物は溶解し、均一な溶液となっ
た。次に無水炭酸カリウム2.1部を添加し、常圧下窒素
気流中250℃で30分反応した後330℃まで昇温し180分反
応させた。得られた反応物を冷却し、これを粉砕して粒
径500μm以下のチップとし、該チップをアセトンに環
流下で2回、水環流下で2回、更にアセトン環流下で1
回抽出処理し、ジフェニレスルホンおよび無機塩を除去
し、次いで150℃で3時間乾燥した。得られたポリマー
はηinh=1.0、Tg=192℃、Tm=291℃であった。
実施例2 (i)2,6−ナフタレンジカルボン酸クロライド70部
と、フルオロベンゼン74部、AlCl374部、ニトロベンゼ
ン200部を10時間80℃で撹拌反応した。その後反応物を
メタノール1000部中にあけ、沈殿を過した。生成物は
2,6−ビス(P−フルオロベンゾイル)ナフタレンであ
り、収量は78部であった。ジメチルホルムアミドで再結
晶した生成物の融点は265℃、元素分析は重量%でC77.2
%、H3.90%、F10.1%であった。また、生成物はIR(ヌ
ジョール法)およびNMR(ジメチルスルホキシド−d6
媒)の測定によっても確認された。
(ii)上記(i)で得られた2,6−ビス(p−フルオロ
ベンゾイル)ナフタレン37.24部,ハイドロキノン11.1
部及びジフェニルスルホン67部を実施例1−(ii)と同
様の反応器に入れ、窒素置換した後200℃に加熱した。
約15分後内容物は融解し、均一な溶液となった。次に無
水炭酸カリウム4.15部及び無水炭酸ナトリウム7.42部を
添加し、常圧下窒素気流中200℃で1時間、次に昇温し
て250℃で同じく1時間反応させた後、更に反応温度を3
40℃に昇温した。同温度で90分反応させたところ反応物
はしだいに粘稠となった。得られた反応物を冷却した
後、実施例1−(ii)と同様に粉砕、抽出処理してジフ
ェニルスルホン及び無機塩を除去した。得られたポリマ
ーはηinh=1.08、Tg178℃、Tm367℃であった。
このポリマーを200℃で4時間乾燥し、これをバレル温
度390℃、金型温度160℃、成形サイクル約2分の条件で
射出成形した。得られた成形品(板状体)の物性は下記
の通りであり、本発明方法により製造されたポリマーが
耐熱性、機械特性に優れていることがわかる。
熱変形温度(荷重18.5Kg) 185℃ 引張強度 1020kg/cm2 引張弾性率 18900kg/cm2 破断伸度 42% 曲げ強度 2190kg/cm2 曲げ弾性率 33300kg/cm2 衝撃強度 6.6kg・cm/cm (アイゾット,ノッチ付) 実施例3 ハイドロキノン1.65部を4,4′−ジヒドロキシジフェニ
ルスルホン3.75部に替える以外は、実施例1の(ii)と
全く同様にしてポリマーを得た。得られたポリマーはη
inh=0.78、Tg=218℃であった。Tmは難結晶性のため検
出できなかった。
実施例4 2,6−ビス(P−フルオロベンゾイル)ナフタレン4.47
部、2,6−ジヒドロキシナフタレン1.92部、及びジフェ
ニルスルホン23.6部を撹拌装置及び留出系を備えた反応
器に入れ、系を窒素置換した後250℃に加熱した。約10
分後、内容物は融解し、均一な溶液となった。次に無水
炭酸カリウム1.66部を添加し、常圧下窒素雰囲気中250
℃で120分反応した後300℃に昇温し60分反応させた。得
られた反応物を冷却し、これを粉砕して粒径500μm以
下のチップとし、該チップをアセトン還流下で3回、水
還流下で3回抽出処理し、ジフェニルスルホン及び無機
塩を除去し、次いで150℃で4時間乾燥した。得られた
ポリマーは、ηinh=0.86、Tg=196℃、Tm=354℃であ
った。
このポリマーを高化式フローテスターを用い、温度390
℃で0.5mmφ、1mmLのノズルより溶融押出したところ、
淡褐色、透明でかつ強靭なモノフィラメントが得られ
た。
実施例5 2,6−ビス(P−フルオロベンゾイル)ナフタレン4.47
部、2,7−ジヒドロキシナフタレン1.92部、及びジフェ
ニルスルホン13.8部を実施例4と同様の反応器に入れ、
窒素置換した後、250℃に加熱した。約10分後均一に溶
解した内容物中に無水炭酸カリウム1.66部を添加し常圧
下窒素気流中250℃で60分反応させた後300℃に昇温し、
60分間反応させた後、更に320℃に昇温し30分間反応さ
せた。次いで反応物を冷却し粉砕してチップとした後、
実施例4と同様に抽出、乾燥処理した。得られたポリマ
ーはηinh=0.91、Tg=196℃、Tm=330℃であった。
実施例6 2,6−ビス(p−フルオロベンゾイル)ナフタレンを2,7
−ビス(p−フルオロベンゾイル)ナフタレンに代える
以外は実施例2の(ii)と同様にしてポリマーを得た。
得られたポリマーはηinh=0.97、Tg=179℃であった。
実施例7 2,6−ビス(p−フルオロベンゾイル)ナフタレン37.24
部、ハイドロキノン9.91部、4,4′−ジヒドロキシジフ
ェニル1.86部及びジフェニルスルホン70部を実施例1の
(ii)と同様の反応器に入れ窒素置換した後200℃に加
熱した。約15分後内容物は融解し、均一な溶液となっ
た。次に無水炭酸カリウム12.5部を添加し、常圧下窒素
気流中200℃で1時間、次に昇温して250℃で同じく1時
間、更に340℃に昇温して120分間反応させた。得られた
ポリマーは実施例1の(ii)と同様に粉砕、抽出処理し
た。得られたポリマーはηinh=0.68、Tg=175℃、Tm=
366℃であった。
実施例8 ハイドロキノン9.91部及び4,4′−ジヒドロキシジフェ
ニル1.86部をハイドロキノン7.71部及び4,4′−ジヒド
ロキシジフェニル5.59部に代える以外は実施例7と同様
に重合した。
得られたポリマーはηinh=0.76、Tg=179℃、Tm=339
℃であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 誠司 山口県岩国市日の出町2番1号 帝人株式 会社岩国研究センター内 (56)参考文献 特開 昭57−182321(JP,A) 特開 昭58−87127(JP,A) 特開 昭64−38435(JP,A) 特開 昭63−75032(JP,A) 特開 平1−161018(JP,A) 特開 昭62−231026(JP,A) 特表 平3−501864(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式(I) で表わされるビス(p−フルオロベンゾイル)ナフタレ
    ンと下記式(II) で表わされる芳香族ジヒドロキシ化合物とから主として
    なる原料を、不活性媒体中、アルカリ金属の水酸化物,
    炭酸塩および重炭酸塩よりなる群から選ばれる少なくと
    も一種のアルカリ性化合物の存在下、300〜360℃の範囲
    の温度に加熱して重縮合せしめ、下記式(III) で表わされる繰返し単位から主としてなり且つ濃硫酸中
    30℃で測定した固有粘度が少なくとも0.3である結晶性
    ポリ(アリーレンエーテルケトン)を生成する、ことを
    特徴とする結晶性ポリ(アリーレンエーテルケトン)の
    製造方法。
JP2131210A 1989-05-23 1990-05-23 ポリ(アリ―レンエ―テルケトン)の製造方法 Expired - Fee Related JPH0755980B2 (ja)

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