JPH10110036A - (メタ)アクリルオキシ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法 - Google Patents

(メタ)アクリルオキシ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法

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JPH10110036A
JPH10110036A JP9268464A JP26846497A JPH10110036A JP H10110036 A JPH10110036 A JP H10110036A JP 9268464 A JP9268464 A JP 9268464A JP 26846497 A JP26846497 A JP 26846497A JP H10110036 A JPH10110036 A JP H10110036A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 (メタ)アクリルオキシ基を有する有機ケイ
素化合物の新規の製造方法を提供する。 【解決手段】 式: 【化1】 のアルコキシル化されたアルキ−2−イン−ジ(メタ)
アクリレート−1,4(1)と式: 【化2】 の単位を有する有機ケイ素化合物(2)をSi結合水素
の、脂肪族多重結合への付加を促進する触媒(3)なら
びに重合抑制剤(4)の存在下で反応させる。 【効果】 SiOC結合およびSiHアクリレート付加
生成物が少ないか有さず、かつ反応時間が短く、アクリ
レート化合物の熱付加が少ない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は(メタ)アクリルオ
キシ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】欧州特許出願公開第130731号明細
書から、ヒドロシリル化触媒の存在下での、Si結合水
素を有するオルガノポリシロキサンとベータ(アリルオ
キシ)エチルメタクリレートとの反応が公知である。こ
の場合メタクリルオキシ基を有するオルガノポリシロキ
サンが得られる。アクリルオキシ基を有するオルガノポ
リシロキサンは、ヒドロシリル化がアクリル基のみなら
ずアリル基にも起こるために、類似の反応により選択的
に得られない。
【0003】米国特許出願公開第5214077号明細
書はシランおよびSi結合水素を有するオルガノポリシ
ロキサンとアルキニルオキシ(メタ)アクリレートと
の、ヒドロシリル化触媒の存在下での反応を記載してい
る。この場合Si原子あたり最大1個の(メタ)アクリ
ル基が付加される。
【0004】東ドイツ国特許出願公開第298404号
明細書ではシロキサニルアルケンジイル−ビス(メタ)
アクリレートの製造方法が記載されている。この場合S
i結合水素を有するオルガノポリシロキサンをブチ−2
−イン−ジメタクリレート−1,4と等モルで、ヒドロ
シリル化触媒の存在下に反応させている。この場合、毒
性の有機モノマー、例えばブチ−2−イン−ジメタクリ
レート−1,4およびブチ−2−イン−ジオール−1,
4を使用し、これらのモノマーからメタクリル酸との反
応によりジメタクリレートが得られる。等モルの使用に
よりオルガノポリシロキサンのSiH基はブチ−2−イ
ン−ジメタクリレート−1,4のアルキン基のみならず
アクリレート基にも付加する。比較的非極性のシリコー
ン油は市販の光重合開始剤との混和が困難である。
【0005】ドイツ国特許出願公開第4443749号
明細書にはアルコキシル化されたシロキサニル−アルケ
ンジイル−ビス−(メタ)アクリレートの製造方法が記
載されており、この場合シロキサニル−アルケンジイル
−ビス−ω−ヒドロキシポリオキシアルキルをメタクリ
レートでスズ触媒下でエステル化する。エステル化をポ
リマーに行うため、エステル化が完全でなく、かつ有機
ケイ素化合物は比較的長い時間にわたり熱的に負荷さ
れ、このことにより部分的にアクリレート基が重合す
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
は、(メタ)アクリルオキシ基を有する有機ケイ素化合
物を高い選択率で、高い収率で、かつ従来使用されてい
るものよりも毒性が低く、容易に入手可能な出発物質を
使用して製造できる、(メタ)アクリルオキシ基を有す
る有機ケイ素化合物の製造方法を提供することである。
さらに、光を作用させるとすぐに架橋し、かつ架橋の際
に使用する光重合開始剤がその中で良好に溶解するよう
な、(メタ)アクリルオキシ基を有する有機ケイ素化合
物が得られる、(メタ)アクリルオキシ基を有する有機
ケイ素化合物の製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題は本発明によ
り、一般式:
【0008】
【化6】
【0009】[式中、Rは同じかまたは異なり、基あた
り1〜18個の炭素原子を有する、場合によりハロゲン
化された一価の炭化水素基を表し、Xは同じかまたは異
なり、塩素原子または式−OR1の基であり、この場合
1はエーテル酸素原子により置換されていてもよい、
基あたり1〜8個の炭素原子を有するアルキル基を表
し、aは0または1を表し、bは0、1、2または3を
表し、cは0、1、2または3を表し、かつa+b+c
の和が4以下、好ましくはa+b+cの和が3以下であ
り、Aは式:
【0010】
【化7】
【0011】(式中、zは1〜12の整数を表し、R2
は水素原子またはメチル基を表し、R3は基あたり1〜
6個の炭素原子を有する、線状または分枝状のアルキレ
ン基を表し、かつR4は基あたり1〜6個の炭素原子を
有する、線状または分枝状のアルキレン基を表す)の基
を表し、この場合分子あたり少なくとも1個の基Aを有
する]の単位を有する(メタ)アクリルオキシ基を有す
る有機ケイ素化合物の製造方法において、一般式:
【0012】
【化8】
【0013】[式中、R2、R3、R4およびzは式Iで
定義したものと同じものを表す]のアルコキシル化され
たアルキ−2−イン−ジ(メタ)アクリレート−1,4
(1)と、式:
【0014】
【化9】
【0015】[式中、Rは式(I)で定義したものと同
じものを表し、eは0または1、平均して0.01〜
1.0を表し、fは0、1、2または3、平均して0.
0〜3.0を表し、かつe+fの和は4より大きくな
く、好ましくはe+fの和は3より大きくなく、この場
合式(III)の有機ケイ素化合物は分子あたり少なく
とも1個の、Si結合水素原子を有する]の単位を有す
る有機ケイ素化合物(2)とを、Si結合水素の脂肪族
多重結合への付加を促進する触媒(3)の存在下、なら
びに重合抑制剤(4)の存在下で反応させ、ただし有機
ケイ素化合物(2)中のSi結合水素グラム原子あたり
アルコキシル化されたアルキ−2−イン−ジ(メタ)ア
クリレート−1,4(1)1.01〜1.5モルを使用
することを特徴とする、(メタ)アクリルオキシ基を有
する有機ケイ素化合物の製造方法により解決される。
【0016】本発明による有機ケイ素化合物は有利には
平均分子量500〜1000000g/モル、好ましく
は5000〜150000g/モル、および有利には2
5℃で粘度10〜1000000mm2 -1、好まし
くは25℃で20〜100000mm2 -1、特に好
ましくは25℃で50〜2000mm2 -1を有す
る。
【0017】基Rの例はアルキル基、例えばメチル基、
エチル基、n−プロピル基、イソ−プロピル基、1−n
−ブチル基、2−n−ブチル基、イソ−ブチル基、t−
ブチル基、n−ペンチル基、イソ−ペンチル基、ネオ−
ペンチル基、t−ペンチル基;ヘキシル基、例えばn−
ヘキシル基;ヘプチル基、例えばn−ヘプチル基;オク
チル基、例えばn−オクチル基およびイソ−オクチル
基、例えば2,2,4−トリメチルペンチル基;ノニル
基、例えばn−ノニル基;デシル基、例えばn−デシル
基;ドデシル基、例えばn−ドデシル基;オクタデシル
基、例えばn−オクタデシル基;シクロアルキル基、例
えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプ
チル基およびメチルシクロヘキシル基;アリール基、例
えばフェニル基、ナフチル基、およびアントリル基、お
よびフェナントリル基;アルカリール基、例えばo−ト
リル基、m−トリル基、p−トリル基;キシリル基およ
びエチルフェニル基;およびアラルキル基、例えばベン
ジル基、α−フェニルエチル基およびβ−フェニルエチ
ル基である。メチル基は好ましい。
【0018】ハロゲン化された基Rの例はハロゲンアル
キル基、例えば3,3,3−トリフルオロ−n−プロピ
ル基、2,2,2,2’,2’,2’−ヘキサフルオロ
イソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基および
ハロゲンアリール基、例えばo−クロロフェニル基、m
−クロロフェニル基、およびp−クロロフェニル基であ
る。
【0019】アルキル基R1の例はメチル基、エチル
基、n−プロピル基、イソ−プロピル基、1−n−ブチ
ル基、2−n−ブチル基、イソ−ブチル基、t−ブチル
基である。メチル基およびエチル基は好ましい。エーテ
ル酸素原子により置換されていてもよいアルキル基R1
の例はメトキシエチル基およびエトキシエチル基であ
る。
【0020】R2は好ましくは水素原子である。
【0021】R3の例は式−(CH24−、−CH2−C
2−、−CH2−CH2−CH2−、−C(CH3)HC
2−のアルキレン基である。R3は好ましくは式−CH
2−CH2−の基である。
【0022】アルキレン基R4の例は式−CH2−、−C
H(CH3)−、−C(CH32−、−C(CH3)(C
25)−、−(CH22−および−(CH24−の基で
あり、この場合式−CH2−の基が好ましい。
【0023】zは好ましくは1〜6の整数、特に好まし
くは2〜4の整数である。
【0024】基Aの例は式:
【0025】
【化10】
【0026】および
【0027】
【化11】
【0028】の基であり、この場合zは上記でこのため
に定義したものと同じものを表し、好ましくは1〜6の
整数、特に有利には2〜4の整数である。
【0029】有利には本発明による方法で得られる有機
ケイ素化合物はオルガノポリシロキサンである。
【0030】(メタ)アクリルオキシ基を有するオルガ
ノポリシロキサンは好ましくは式: A3 −gSiO(SiR2O)(SiRAO)SiR3 −g (IV ) [式中、AおよびRは上記でこのために定義したものと
同じものを表し、gは0または1であり、nは0または
1〜1500の整数であり、かつmは0または1〜10
0の整数であり、ただし分子あたり少なくとも1個の基
Aを有する]のものである。
【0031】有利には本発明による方法で式(III)
の有機ケイ素化合物としてオルガノポリシロキサンを使
用する。
【0032】分子あたり少なくとも1個の、Si結合水
素原子を有する、式(III)のオルガノポリシロキサ
ンは有利には、Si結合水素を少なくとも0.01重量
%、好ましくは0.02〜1.6重量%有し、かつその
平均的な粘度は有利には25℃で5〜20000mm2.
−1、好ましくは25℃で5〜2000mm2.
−1、特に有利には25℃で5〜800mm2.s−1
である。
【0033】好ましくは分子あたり少なくとも1個の、
Siと結合している水素原子を有するオルガノポリシロ
キサンとして、式: H3 −hSiO(SiR2O)(SiRHO)SiR3 −h (V) [式中、Rはこのために上記で定義したものを表し、h
は0または1を表し、oは0または1〜1500の整数
を表し、pは0または1〜100の整数を表す]のもの
を使用する。
【0034】アルコキシル化されたアルキ−2−イン−
ジ(メタ)アクリレート−1,4(1)は本発明による
方法では過剰で、有利には有機ケイ素化合物(2)中の
Si結合水素グラム原子あたり1.01〜1.2モル使
用する。本発明により使用する、アルコキシル化された
アルキ−2−イン−ジ(メタ)アクリレート−1,4
は、実質的にアルキ−2−イン−ジ(メタ)アクリレー
ト−1,4よりも低い毒性および揮発性、およびより高
い極性を有する。
【0035】本発明による方法で使用する、アルコキシ
ル化されたアルキ−2−イン−ジ(メタ)アクリレート
−1,4は従来技術からの一般的な方法により製造でき
る:この場合アルコキシル化されたアルキ−イン−ジオ
ール、例えばエトキシル化されたブチ−2−イン−ジオ
ール−1,4をアクリル酸で酸性触媒作用下でエステル
化する。反応水は共沸により除去する。
【0036】本発明による方法で使用する、アルコキシ
ル化されたアルキ−2−イン−ジ(メタ)アクリレート
−1,4(1)の例は式:
【0037】
【化12】
【0038】および
【0039】
【化13】
【0040】[式中、zは上記でこのために定義したも
のを表し、好ましくは1〜6、特に好ましくは2〜4の
整数である]のものである。
【0041】本発明による方法ではSi結合水素の脂肪
族多重結合への付加を促進する触媒(3)として、これ
までもSi結合水素の脂肪族多重結合への付加の促進の
ために使用されてきた触媒と同じ触媒を使用する。触媒
は有利には白金族からの金属または白金族からの化合物
または錯体である。このような触媒の例は、担体例えば
二酸化ケイ素、酸化アルミニウムまたは活性炭に担持さ
せることができる金属および微粒子白金、白金の化合物
または錯体、例えばハロゲン化白金、例えばPtC
4、H2PtCl6 *6H2O、Na2PtCl4 *4H
2O、白金−オレフィン−錯体、白金−アルコール−錯
体、白金−アルコラート−錯体、白金−エーテル−錯
体、白金−アルデヒド−錯体、白金−ケトン−錯体、お
よびH2PtCl6 *6H2Oおよびシクロヘキサンからの
反応生成物、白金−ビニルシロキサン錯体、例えば検出
可能な無機的に結合しているハロゲンを含有するか含有
しない白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テト
ラメチルジシロキサン−錯体、ビス−(ガンマ−ピコリ
ン)−白金二塩化物、トリメチレンジピリジン白金二塩
化物、ジシクロペンタジエン白金二塩化物、ジメチルス
ルホキシドエチレン白金(II)二塩化物、シクロオク
タジエン−白金二塩化物、ノルボルナジエン−白金二塩
化物、ガンマピコリン−白金二塩化物、シクロペンタジ
エン−白金二塩化物、ならびに米国特許出願公開第42
92434号明細書による四塩化白金とオレフィンおよ
び第一アミンまたは第二アミンまたは第一および第二ア
ミンとの反応生成物、例えば1−オクタンに溶解した四
塩化白金とs−ブチルアミンとの反応生成物、または欧
州特許第110370号明細書によるアンモニウム−白
金錯体である。
【0042】本発明による方法では触媒(3)を、その
都度元素白金として計算し、かつアルコキシル化された
アルキンジアクリレート(1)および有機ケイ素化合物
(2)の全重量に対して有利には2〜200重量ppm
(百万重量部あたりの重量部)の量で、有利には5〜5
0重量ppmの量で使用する。
【0043】重合抑制剤(4)として本発明による方法
では有利にはフェノール系安定剤、例えばクレゾール誘
導体もしくはヒドロキノン誘導体、例えばビス−(t−
ブチル)−クレゾール、2,5−ジ−t−ブチル−ヒド
ロキノンまたはヒドロキノンのモノメチルエーテルまた
はフェノチアジンを、アルコキシル化されたアルキンジ
アクリレート(1)および有機ケイ素化合物(2)の全
重量に対して0.001〜1重量%、有利には0.00
2〜0.5重量%の濃度で使用する。
【0044】本発明による方法は有利には周囲大気圧
で、つまり約1020hPa(絶対)で行う。しかしこ
れより高いまたは低い圧力で行うことも可能である。
【0045】さらに本発明による方法は有利には50℃
〜180℃、好ましくは80℃〜150℃の温度で行
う。
【0046】本発明による方法では不活性有機溶剤を併
用することができる。不活性有機溶剤の例はトルエン、
キシレン、オクタン異性体、およびn−ブチルアセテー
トである。
【0047】本発明による方法ではアルカリ金属塩およ
びアルカリ土類金属塩を併用することができる。その例
は酢酸ナトリウムおよび炭酸水素ナトリウムである。
【0048】本発明による方法により得られる(メタ)
アクリルオキシ基を有するオルガノポリシロキサンは、
線状で、末端位にトリオルガノシロキシ基を有するオル
ガノポリシロキサン、線状で、末端位にヒドロキシル基
を有するオルガノポリシロキサン、環式オルガノポリシ
ロキサンおよびジオルガノシロキサン単位およびモノオ
ルガノシロキサン単位からなるコポリマーからなる群か
ら選択したオルガノポリシロキサン(5)で平衡化する
ことができる。
【0049】有利には線状で、末端位にトリオルガノシ
ロキシ基を有するオルガノポリシロキサンとして式: R3SiO(SiR2O)SiR3 [式中、Rは上記でこのために定義したものを表し、か
つrは0または1〜1500の値の整数を表す]のもの
を、線状で、末端位にヒドロキシル基を有するオルガノ
ポリシロキサンとして式: HO(SiR2O)H [式中、Rは上記でこのために定義したものを表し、か
つsは1〜1500の値の整数を表す]のものを、環式
オルガノポリシロキサンとして式: (R2SiO) [式中、Rは上記でこのために定義したものを表し、か
つtは3〜12の値の整数を表す]のものを、コポリマ
ーとして式: R2SiOおよびRSiO3/2 [式中、Rは上記でこのために定義したものを表す]の
単位からなるものを使用する。
【0050】場合により行う平衡化の際に使用するオル
ガノポリシロキサンおよび(メタ)アクリルオキシ基を
有するオルガノポリシロキサンの量比はもっぱら場合に
より行う平衡化の際に生じるオルガノポリシロキサン中
の(メタ)アクリル基の所望の割合によりおよび所望の
平均鎖長により決まる。
【0051】場合により行う平衡化の際に有利には平衡
化を促進する酸性触媒を使用する。そのような触媒の例
は硫酸、リン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、塩化
窒化リン、および反応条件下で固体の酸性触媒、例えば
酸活性化された漂白土、酸性ゼオライト、スルホン化さ
れた活性炭およびスルホン化されたスチレン−ジビニル
−ベンゼン−コポリマーである。塩化窒化リンは好まし
い。塩化窒化リンを、その都度使用する有機ケイ素の全
重量に対して、有利には5〜1000重量ppm(=百
万当たりの部)、特に50〜200重量ppmの量で使
用する。塩基性平衡化触媒の使用は確かに可能ではある
が、しかし好ましくない。
【0052】場合により行う平衡化は有利には80℃〜
150℃、および周囲大気圧、つまり約1020hPa
(絶対)で行う。しかし所望の場合これより高いまたは
低い圧力を使用することも可能である。平衡化は有利に
は水と混和不可能な溶剤、例えばトルエン中で、その都
度使用する有機ケイ素化合物の全重量に対して5〜80
重量%で行う。
【0053】平衡化の際に得られる混合物を後処理する
前に触媒を失活させてもよい。
【0054】本発明による方法はバッチ式、半連続式、
または完全連続式に行うことができる。
【0055】本発明による方法により製造した、(メ
タ)アクリルオキシ基を有する有機ケイ素化合物は、
(A)(メタ)アクリルオキシ基を有するオルガノポリ
シロキサン、および(B)光増感剤を含有する、光の照
射により架橋可能な組成物中で使用することができる。
光の照射により架橋可能な組成物はコーティングの製造
のために使用することができる。
【0056】有利には本発明による(メタ)アクリルオ
キシ基を有するオルガノポリシロキサンは紫外線により
架橋し、この場合200〜400nmの範囲の波長を有
するものが好ましい。紫外線は例えばキセノン灯、低圧
水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯で発生させることがで
きる。400〜600nmの波長を有するもの、つまり
いわゆる「ハロゲンライト」もまた光による架橋に適し
ている。
【0057】しかし本発明によるオルガノポリシロキサ
ンの架橋に適切なエネルギー源としてX線、ガンマ線、
または電子線、またはこのような放射線を少なくとも2
種類同時に使用してもよい。エネルギーの多い放射に付
随して赤外線光を用いた熱供給を含む熱供給を適用して
もよい。しかしこのような熱供給は決して必要なもので
はなく、かつエネルギーコストの低下のために行わない
ことは有利である。
【0058】適切な光増感剤は場合により置換されたア
セトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、ア
ントラキノン、ベンジル、カルバゾール、キサントン、
チオキサントン、フルオレン、フルオレノン、ベンゾイ
ン、ナフタリンスルホン酸、ベンズアルデヒド、および
ケイ皮酸である。
【0059】このための例はフルオレノン、フルオレ
ン、カルバゾール;アセトフェノン;置換されたアセト
フェノン、例えば3−メチルアセトフェノン、2,2’
−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、4−メチ
ルアセトフェノン、3−ブロモアセトフェノン、4−ア
リルアセトフェノン、p−ジアセチルベンゼン、p−t
−ブチルトリクロロアセトフェノン;プロピオフェノ
ン;置換されたプロピオフェノン、例えば1−[4−
(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリンプロパノン
−1、ベンゾフェノン;置換されたベンゾフェノン、例
えばミヒラーケトン、3−メトキシベンゾフェノン、
4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−メチル
ベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’
−ジメトキシベンゾフェノン、4−クロロ−4’−ベン
ジルベンゾフェノン;キサントン;置換されたキサント
ン、例えば3−クロロキサントン、3,9−ジクロロキ
サントン、3−クロロ−8−ノニルキサントン;チオキ
サントン;置換されたチオキサントン、例えばイソプロ
ピルチオキサントン;アントラキノン;置換されたアン
トラキノン、例えばクロロアントラキノンおよびアント
ラキノ−1,5−ジスルホン酸ジナトリウム塩;ベンゾ
イン;置換されたベンゾイン、例えばベンゾインメチル
エーテル;ベンジル;2−ナフタリンスルホニルクロリ
ド;ベンズアルデヒド;ケイ皮酸である。
【0060】光増感剤は有利には架橋するべきオルガノ
ポリシロキサンの全重量に対して0.01〜10重量
%、特に0.5〜5重量%の量で使用する。
【0061】より良好な取り扱いの理由から、例えば使
用可能な製剤が貯蔵中に予め架橋することを防止するた
めに、本発明による有機ケイ素化合物に少量の抑制成分
を添加することは好ましい。場合により使用する抑制剤
の例はこれまでもラジカルにより進行するプロセスにお
いて使用される全ての通例の抑制剤、例えばヒドロキノ
ン、4−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチル
−4−メチルフェノールまたはフェノチアジンである。
有利には抑制剤を、その都度本発明による有機ケイ素材
料の全重量に対して、10〜10000ppm、特に好
ましくは50〜600ppmの量で使用する。
【0062】コーティングを施すことのできる表面の例
は、紙、木材、コルク、プラスチックフィルム、例えば
ポリエチレンフィルムまたはポリプロピレンフィルム、
セラミック品、ガラスおよびガラス繊維、金属、段ボー
ルおよびアスベストからなる段ボールの表面、および天
然または合成有機繊維からなる織物および不織布の表面
である。本発明によるコーティングは例えばレリースペ
ーパーのコーティングにおいて使用する。
【0063】光の照射により架橋可能な成分の、コーテ
ィングするべき表面への塗布は、液状物質からなるコー
ティングの製造に適切で、かつ多種多様に公知の任意の
方法、例えば浸漬、刷毛塗り、キャスティング、スプレ
ー塗布、ローラー塗布、例えばオフセットグラビアコー
ターを用いるプリント、ナイフ塗布またはドクター塗布
で行うことができる。
【0064】さらに本発明による方法により製造した
(メタ)アクリルオキシ基を有する有機ケイ素化合物は
塗料中で、繊維および皮革加工の際に、およびエレクト
ロニクス産業において添加剤として使用することができ
る。
【0065】
【実施例】以下の例における全ての反応時間はSiH基
の完全な反応に関する。
【0066】以下の例における全てのモル%の表示は反
応したSiH基に関する。
【0067】例1 水素含量0.027重量%(水素0.8×10-2モル)
および25℃で粘度171mm2/sを有する、末端位
に水素を有するポリジメチルシロキサン30.0g、分
子量400g/モル( C≡C0.844×10-2モル)
を有するエトキシル化されたブチンジオールジアクリレ
ート3.38g、ヒドロキノンモノメチルエーテル1.
01×10-3g(ジアクリレート秤量に対して300p
pm)、炭酸水素ナトリウム0.067g(0.798
×10-3モル)、トルエン13.52g(0.147モ
ル)および白金含量1重量%を有する、ヘキサクロロ白
金酸のイソプロパノール溶液85.56μl(純粋金属
に対して白金20ppm)を反応容器中で撹拌しながら
110℃に温度調整した。110℃で20分の反応時間
後、反応混合物をろ過し、かつ高真空中100℃で重量
が一定になるまで濃縮した。粘度450mm2/sを有
する、透明で無色無臭の油状物27.93g(理論値の
84%)が得られ、該物質は29Si−NMRにおいてS
iOC結合を有さず、かつ1H−NMRにおいてアクリ
レート基へのSiHの付加生成物を有していなかった。
【0068】比較例1(東ドイツ国特許出願公開第29
8404号明細書) 水素含量0.027重量%(水素0.8×10-2モル)
および25℃で粘度171mm2/sを有する、末端位
に水素を有するポリジメチルシロキサン30.0g、ブ
チンジオールジアクリレート( C≡C0.8×10-2
ル)1.56g、ヒドロキノンモノメチルエーテル0.
47mg(ジアクリレート秤量に対して300pp
m)、トルエン6.25g(0.678モル)および白
金含量1重量%を有する、ヘキサクロロ白金酸のイソプ
ロパノール溶液80.92μl(純粋金属に対して白金
20ppm)を反応容器中で撹拌しながら110℃に温
度調整した。110℃で35分の反応時間後、反応混合
物をろ過し、かつ高真空中100℃で重量が一定になる
まで濃縮した。25℃で粘度241mm2/sを有し、
典型的なアクリレート臭を有する透明で淡黄色の油状物
25.57g(理論値の81%)が得られ、該物質は29
Si−NMRにおいてSiOC結合6.24モル%を有
し、かつ1H−NMRにおいてアクリレート基へのSi
Hの付加生成物を有していなかった。
【0069】例2 分子量400g/モルを有する、エトキシル化されたブ
チンジオールジアクリレート9.59g(C≡C0.0
24モル)、ヒドロキノンモノメチルエーテル3.84
×10-3g(ジアクリレート秤量に対して400pp
m)、酢酸ナトリウム3.9×10-2g(4.8×10
-4モル)、トルエン7.0g(0.076モル)および
白金含量1重量%を有する、ヘキサクロロ白金酸のイソ
プロパノール溶液75.35μl(純粋金属に対して白
金30ppm)を反応容器中で撹拌しながら110℃に
温度調整した。次いで水素含量0.23重量%(水素
0.0228モル)および25℃で粘度7.2mm2/s
を有する、末端に水素を有するポリジメチルシロキサン
10gを毎分1gの速度で滴加した。110℃で40分
の反応時間後、反応混合物をろ過し、かつ高真空中10
0℃で重量が一定になるまで濃縮した。25℃で粘度1
23mm2/sを有する、透明で淡黄色の、無臭の油状
物11.5g(理論値の60%)が得られ、該物質は29
Si−NMRにおいてSiOC結合を有さず、かつ1
−NMRにおいてアクリレート基へのSiHの付加生成
物を有していなかった。
【0070】比較例2(東ドイツ国特許出願公開第29
8404号明細書) ブチンジオールジアクリレート4.43g(0.022
8モル)、ヒドロキノンモノメチルエーテル1.33m
g(ジアクリレート秤量に対して400ppm)、トル
エン3.3g(0.036モル)および白金含量1重量
%を有する、ヘキサクロロ白金酸のイソプロパノール溶
液55.5μl(純粋金属に対して白金30ppm)を
反応容器中で撹拌しながら110℃に温度調整した。次
いで水素含量0.23重量%(水素0.0228モル)
および25℃で粘度7.2mm2/sを有する、末端に
水素を有するポリジメチルシロキサン10gを毎分1g
の速度で滴加した。110℃で40分の反応時間後、反
応混合物をろ過し、かつ高真空中100℃で重量が一定
になるまで濃縮した。25℃で粘度26mm2/sを有
し、強いアクリレート臭を有する、透明で黄色の油状物
8.39g(理論値の58%)が得られ、該物質は29
i−NMRにおいてSiOC結合2.0モル%を有し、
かつ1H−NMRにおいてアクリレート基へのSiHの
付加生成物3.8モル%を有していた。
【0071】例3 水素含量0.057重量%(水素0.0113モル)お
よび25℃で粘度395mm2/sを有する、側位に水
素を有するポリジメチルシロキサン20.0g、分子量
400g/モルを有する、エトキシル化されたブチンジ
オールジアクリレート4.98g(C≡C0.0124
モル)、ヒドロキノンモノメチルエーテル1.49×1
-3g(ジアクリレート秤量に対して300ppm)、
酢酸ナトリウム0.05g(0.61×10-3モル)、
トルエン19.92g(0.216モル)および白金含
量1重量%を有する、ヘキサクロロ白金酸のイソプロパ
ノール溶液96.08μl(純粋金属に対して白金30
ppm)を反応容器中で撹拌しながら110℃に温度調
整した。110℃で35分の反応時間後、反応混合物を
ろ過し、かつ高真空中100℃で重量が一定になるまで
濃縮した。25℃で粘度2130mm2/sを有する、
透明で無色無臭の油状物18.16g(理論値の74
%)が得られ、該物質は29Si−NMRにおいてSiO
C結合を有さず、かつ1H−NMRにおいてアクリレー
ト基へのSiHの付加生成物を有していなかった。
【0072】比較例3(東ドイツ国特許出願公開第29
8404号明細書) 水素含量0.057重量%(水素0.0113モル)お
よび25℃で粘度395mm2/sを有する、側位に水
素を有するポリジメチルシロキサン20.0g、ブチン
ジオールジアクリレート2.19g(C≡C0.011
3モル)、ヒドロキノンモノメチルエーテル0.66m
g(ジアクリレート秤量に対して300ppm)、トル
エン8.76g(0.095モル)および白金含量1重
量%を有する、ヘキサクロロ白金酸のイソプロパノール
溶液85.35μl(純粋金属に対して白金30pp
m)を反応容器中で撹拌しながら110℃に温度調整し
た。110℃で50分の反応時間後、反応混合物をろ過
し、かつ高真空中100℃で重量が一定になるまで濃縮
した。25℃で粘度5640mm2/sを有し、典型的
なアクリレート臭を有する、透明で黄色の油状物15.
39g(理論値の69%)が得られ、該物質は29Si−
NMRにおいてSiOC結合1.8モル%を有し、かつ
1H−NMRにおいてアクリレート基へのSiHの付加
生成物0.4モル%を有していた。
【0073】例4 二酸化ケイ素単位および水素ジメチルシロキシ単位およ
び水素含量0.05重量%(水素0.0149モル)を
有するシリコーン樹脂30g、分子量400g/モルを
有する、エトキシル化されたブチンジオールジアクリレ
ート7.16g(C≡C0.0164モル)、ヒドロキ
ノンモノメチルエーテル1.43×10-3g(ジアクリ
レート秤量に対して200ppm)、炭酸水素ナトリウ
ム0.07g(0.833×10-3モル)、トルエン6
0g(0.651モル)および白金含量1重量%を有す
る、ヘキサクロロ白金酸のイソプロパノール溶液95.
28μl(純粋金属に対して白金20ppm)を反応容
器中で撹拌しながら110℃に温度調整した。110℃
で1時間の反応時間後、反応混合物をろ過し、かつ高真
空中100℃で重量が一定になるまで濃縮した。白色で
無臭の固体樹脂35.1g(理論値の94.4%)が得
られた。
【0074】
【発明の効果】本発明による方法により製造した有機ケ
イ素化合物は、東ドイツ国特許出願公開第298404
号明細書との比較において過剰の三重結合当量により、
SiOC結合およびSiH−アクリレート−付加生成物
が少ないか有さないことにおいて優れている。本方法は
より短い反応時間ひいてはアクリレート化合物の、より
少ない熱付加を保証し、このことは方法の安全性に寄与
する。本発明による方法により製造した生成物は多くの
場合無色で透明かつ無臭である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ベルンヴァルト ドイプツァー ドイツ連邦共和国 ブルクハウゼン フィ ルホシュトラーセ 14 (72)発明者 ペトラ グラッツル ドイツ連邦共和国 テュスリング モース 13 1−2 (72)発明者 ヨーゼフ ヴォルフェルスエーダー ドイツ連邦共和国 タン ヴェーバーシュ トラーセ 3

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式: 【化1】 [式中、 Rは同じかまたは異なり、基あたり1〜18個の炭素原
    子を有する、ハロゲン化されていてもよい一価の炭化水
    素基を表し、 Xは同じかまたは異なり、塩素原子または式−OR1
    基であり、この場合R1はエーテル酸素原子により置換
    されていてもよい、基あたり1〜8個の炭素原子を有す
    るアルキル基を表し、 aは0または1を表し、 bは0、1、2または3を表し、 cは0、1、2または3を表し、 かつa+b+cの和が4以下であり、 Aは式: 【化2】 (式中、 zは1〜12の整数を表し、 R2は水素原子またはメチル基を表し、 R3は基あたり1〜6個の炭素原子を有する、線状また
    は分枝状のアルキレン基を表し、かつR4は基あたり1
    〜6個の炭素原子を有する、線状または分枝状のアルキ
    レン基を表す)の基を表し、この場合分子あたり少なく
    とも1個の基Aを有する]の単位を有する(メタ)アク
    リルオキシ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法にお
    いて、一般式: 【化3】 [式中、R2、R3、R4およびzは式Iで定義したもの
    と同じものを表す]のアルコキシル化されたアルキ−2
    −イン−ジ(メタ)アクリレート−1,4(1)と、
    式: 【化4】 [式中、 Rは式(I)で定義したものと同じものを表し、 eは0または1、平均して0.01〜1.0を表し、 fは0、1、2または3、平均して0.0〜3.0を表
    し、かつe+fの和は4より大きくなく、この場合式
    (III)の有機ケイ素化合物は分子あたり少なくとも
    1個の、Si結合水素原子を有する]の単位を有する有
    機ケイ素化合物(2)とを、Si結合水素の脂肪族多重
    結合への付加を促進する触媒(3)の存在下、ならびに
    重合抑制剤(4)の存在下で反応させ、ただし有機ケイ
    素化合物(2)中のSi結合水素グラム原子あたりアル
    コキシル化されたアルキ−2−イン−ジ(メタ)アクリ
    レート−1,4(1)1.01〜1.5モルを使用する
    ことを特徴とする、(メタ)アクリルオキシ基を有する
    有機ケイ素化合物の製造方法。
  2. 【請求項2】 アルコキシル化されたアルキ−2−イン
    −ジ(メタ)アクリレート−1,4(1)として、式: 【化5】 [式中、zは1〜12の整数を表す]のものを使用す
    る、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 有機ケイ素化合物(2)として、一般
    式: H3−hSiO(SiRO)(SiRHO)SiR3−h(V) [式中、 Rは請求項1でこのために定義したものと同じものを表
    し、 hは0または1を表し、 oは0または1〜1500の整数を表し、 pは0または1〜100の整数を表す]の、分子あたり
    少なくとも1個の、Si結合水素原子を有するオルガノ
    ポリシロキサンを使用する、請求項1または2記載の方
    法。
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