JPH10101410A - フェライト材料 - Google Patents

フェライト材料

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JPH10101410A
JPH10101410A JP8258160A JP25816096A JPH10101410A JP H10101410 A JPH10101410 A JP H10101410A JP 8258160 A JP8258160 A JP 8258160A JP 25816096 A JP25816096 A JP 25816096A JP H10101410 A JPH10101410 A JP H10101410A
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俊孝 藏本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】他の特性を維持したまま、温度特性の優れたフ
ェライト材料を得る。 【解決手段】酸化物換算で、45〜50モル%のFe2
3 と、28〜33モル%のZnOと、12〜17モル
%のNiOと、3〜8モル%のCuOを主成分とし、こ
れら主成分100重量部に対し、1.7重量部以下のC
aOと、0.05〜0.5重量部のAl2 3 を含有す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は温度特性の優れたフ
ェライト材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】Ni−Zn系のフェライト材料は、イン
ダクター素子のコアとして使用され、特に近年、携帯電
話やノート型パソコン等に広く使用されている。
【0003】例えば、Fe2 3 −ZnO−NiOを主
成分とするNi−Zn系フェライト材料を用いてフェラ
イトコアを作製し、この巻線部にコイル線を巻回してイ
ンダクター素子としている。
【0004】このようなインダクター素子は種々な環境
で使用されるが、特に温度に関する環境変化に対する耐
性は重要である。即ち、温度は季節、雰囲気等によって
大きく変化するため、温度変化に対してインダクタンス
L又は透磁率μが安定したフェライト材料が求められて
いる。
【0005】
【課題を解決するための手段】ところが、従来、一般的
に用いられるNi−Zn系フェライトでは、インダクタ
ンスL又は透磁率μの温度係数は±500ppm/℃以
上と、温度変化に伴う特性値の変化が大きいものであっ
た。
【0006】一方、Ni−Zn系フェライトに各種添加
物を加えることによって、特性を高めることも提案され
ているが(特開昭49−2092号、49−2093
号、特公昭52−27358号公報等参照)、いずれも
上記問題を解決するものではなかった。
【0007】そこで、本発明は、上記温度係数が±50
0ppm/℃以内であるような温度特性に優れたフェラ
イト材料を得ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のフェライト材料
は、酸化物換算で、45〜50モル%のFe2 3 と、
28〜33モル%のZnOと、12〜17モル%のNi
Oと、3〜8モル%のCuOを主成分とし、これら主成
分100重量部に対して、1.7重量部以下のCaOと
0.05〜0.5重量部のAl2 3 を含有することを
特徴とする。
【0009】即ち、本発明は、Ni−Zn系フェライト
において、主成分の組成比を上記範囲とし、かつCaO
とAl2 3 を添加することによって、温度特性に優れ
たフェライト材料を得るようにした。
【0010】また、本発明は、上記フェライト材料にお
いて、−20〜20℃及び20〜80℃のそれぞれ温度
範囲における透磁率の温度係数が、±500ppm/℃
以内であることを特徴とする。
【0011】即ち、本発明では、温度特性を評価する際
に、−20〜20℃の低温域及び20〜80℃の高温域
のそれぞれの温度範囲における透磁率の温度係数を求
め、これが共に±500ppm/℃以内であるようにす
れば、実用的に優れた温度特性を有することを見出し
た。
【0012】本発明において、主成分の組成比を上記範
囲とした理由は以下の通りである。Fe2 3 を45〜
50モル%としたのは、Fe2 3 が45モル%未満で
は透磁率μが低下し温度特性が悪くなるためであり、5
0モル%を超えるとQ値が低下するためである。ZnO
を28〜33モル%としたのは、28モル%未満では透
磁率μが低下し、33モル%を超えるとキューリー点が
下がるためである。NiOを12〜17モル%としたの
は、12モル%未満ではキュリー温度が下がり、17モ
ル%を超えると透磁率が低下するためである。CuOを
3〜8モル%としたのは、3モル%未満では焼結性が低
下し、8モル%を超えると焼結体中に液相が生成して粒
成長が起こりやすくなり、Q値が低下してしまうためで
ある。
【0013】なお、この他にMnOを含むこともできる
が、0.3モル%以下とすることが好ましい。これは、
0.3モル%を超えると焼結体中に液相が生成して粒成
長が起こりやすくなり、Q値が低下してしまうためであ
る。
【0014】これら主成分に対しCaOとAl2 3
添加することによって、温度特性を向上させる作用を成
す。ここで、上記主成分100重量部に対し、CaOを
1.7重量部以下としたのは、1.7重量部を超えると
−20〜20℃の低温域における温度特性が悪くなるた
めである。また、後述するAl2 3 を多く含有させれ
ばCaOは含有しなくても良いが、好ましくはCaOの
含有量は0.6重量部以上が良い。
【0015】さらに、Al2 3 を0.05〜0.5重
量部としたのは、0.05重量部未満または0.5重量
部を超えると、−20〜20℃の低温域及び20〜80
℃の高温域における温度特性が悪くなるためである。
【0016】なお、本発明のフェライト材料は、これら
の成分以外にSiO2 、MgO、K2 O、S等をそれぞ
れ0.1重量部以下の範囲で含んでいても良い。
【0017】本発明のフェライト材料の製造方法は、上
記範囲となるように主成分の各原料を調合し、振動ミル
等で粉砕混合した後、800〜900℃で仮焼し、この
仮焼粉体をボールミルで粉砕した後、所定のバインダー
を加えて造粒し、得られた粉体をプレス成形にて所定形
状に成形し、950〜1250℃の範囲で焼成すること
によって得られる。
【0018】また、本発明のフェライト材料は、特にL
C回路等に使用されるインダクター素子用のコアとして
好適に用いることができる。
【0019】ここでコアとしては、図1(a)に示すよ
うなリング状のトロイダルコア1、あるいは図1(b)
に示すようなボビン状コア2とすれば良く、それぞれ巻
き線部1a、2aに巻き線を施すことによって、インダ
クター素子とすることができる。
【0020】
【実施例】実施例1 48.5モル%のFe2 3 と、30.5モル%のZn
Oと、14.7モル%のNiOと、5.7モル%のCu
Oと、0.24モル%のMnOから成る主成分100重
量部に対して、Al2 3 とCaOの添加量を表1に示
すように種々に変化させて各原料を調合した。
【0021】得られた原料を振動ミルで混合した後、8
00〜900℃で仮焼した。この仮焼粉体をボールミル
にて粉砕し、所定のバインダーを加えて造粒した後、圧
縮成形してリング状に成形した。この成形体を1100
℃で焼成することによって、図1(a)に示すトロイダ
ルコア1を得た。なお寸法は、外径13.0mm、内径
8.0mm、厚み2.3mmとした。
【0022】このトロイダルコア1に線径0.2mmの
被膜銅線を7ターン巻き付けて、LCRメータ(HP社
製4285A)を用いて、周波数100kHzと1.5
MHzにおいて透磁率μ、tanδ/μ、及び温度係数
を測定した。温度係数は、−20〜20℃の低温域と2
0〜80℃の高温域のそれぞれの温度範囲にて、透磁率
μの差Δμ、温度差ΔTとしたとき、 温度係数=Δμ/μ・ΔT により求めた。
【0023】結果は表1に示す通りである。この結果よ
り、Al2 3 、CaOを含有しないか、またはその含
有量が本発明の範囲外のもの(No.1、4、7)では
低温域または高温域のいずれかにおいて温度係数が±5
00ppm/℃の範囲外となっている。
【0024】これに対し、Al2 3 を0.05〜0.
5重量%、CaOを1.7重量%以下とした本発明の範
囲内のもの(No.2、3、5、6、8)は、透磁率μ
やtanδ/μの特性値を維持したままで、低温域と高
温域の両方で温度係数が±500ppm/℃の範囲内と
なり、温度特性が優れていることがわかる。なお、N
o.3、5に示すように、CaOの含有量が0%でも温
度係数を本発明の範囲内とすることができるが、No.
2、6、8に示すようにCaOを0.6重量%以上含有
することによって、特に低温域での温度特性を向上でき
る。
【0025】
【表1】
【0026】実施例2 次に、Fe2 3 、NiO、ZnO、CuO、MnOの
主成分を表2に示す組成比となるように調合し、これら
100重量%に対し、Al2 3 0.2重量部、CaO
0.6重量部を添加した。
【0027】これらの原料を用いて、実施例1と同様の
実験を行った。
【0028】結果は表3に示す通りである。この結果よ
り、主成分の組成比が本発明の範囲外のもの(No.
4、5、8、9、12、13、16、17、20)では
低温域または高温域のいずれかにおいて温度係数が±5
00ppm/℃の範囲外となっている。
【0029】これに対し、主成分の組成比が本発明の範
囲内であるもの(No.1〜3、6、7、10、11、
14、15、18、19)は、透磁率μやtanδ/μ
の特性値を維持したままで、低温域と高温域の両方で温
度係数が±500ppm/℃の範囲内となり、温度特性
が優れていることがわかる。
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、酸化物換
算で、45〜50モル%のFe2 3と、28〜33モ
ル%のZnOと、12〜17モル%のNiOと、3〜8
モル%のCuOを主成分とし、これら主成分100重量
部に対し、1.7重量部以下のCaOと、0.05〜
0.5重量部のAl2 3 を含有することによって、他
の特性を維持したまま、温度特性を優れたものとでき
る。
【0033】また、本発明によれば、上記フェライト材
料における、−20〜20℃及び20〜80℃のそれぞ
れの温度範囲における透磁率の温度係数を±500pp
m/℃以内としたことによって、特に温度特性に優れた
フェライト材料とすることができる。
【0034】そのため、本発明のフェライト材料を用い
てインダクター素子を形成すれば、温度変化による特性
値の変化が極めて少ない高性能のインダクター素子を提
供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)(b)は本発明のフェライトコアを示す
斜視図である。
【符号の説明】
1:トロイダルコア 2:ボビン状コア

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸化物換算で、45〜50モル%のFe2
    3 と、28〜33モル%のZnOと、12〜17モル
    %のNiOと、3〜8モル%のCuOを主成分とし、こ
    れら主成分100重量部に対して、1.7重量部以下の
    CaOと0.05〜0.5重量部のAl2 3 を含有す
    ることを特徴とするフェライト材料。
  2. 【請求項2】−20〜20℃及び20〜80℃のそれぞ
    れの温度範囲における透磁率の温度係数が、±500p
    pm/℃以内であることを特徴とする請求項1記載のフ
    ェライト材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001151564A (ja) * 1999-11-26 2001-06-05 Kyocera Corp 高飽和磁束密度フェライト材料及びこれを用いたフェライトコア

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