JPH0996915A - 非結晶シリコン系感光体製造装置及び製造方法 - Google Patents

非結晶シリコン系感光体製造装置及び製造方法

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JPH0996915A
JPH0996915A JP27465395A JP27465395A JPH0996915A JP H0996915 A JPH0996915 A JP H0996915A JP 27465395 A JP27465395 A JP 27465395A JP 27465395 A JP27465395 A JP 27465395A JP H0996915 A JPH0996915 A JP H0996915A
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film
gas
electrode
layer
atom
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JP27465395A
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Kazuyoshi Akiyama
和敬 秋山
Hitoshi Murayama
仁 村山
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、帯電能の低下をもたらすことなく光
メモリーの低減が可能で、極めて良好な電子写真画像を
得ることができる非結晶シリコン系感光体製造装置及び
製造方法を提供することを目的とするものである。 【解決手段】本発明は上記目的を達成するために、真空
気密可能な反応容器の成膜空間内に基体を配置し、該成
膜空間内に少なくとも原料ガスとVHF帯の高周波電力
を導入し、該成膜空間にグロー放電を生起させることに
より該基体上に堆積膜を形成するプラズマCVD法によ
る非晶質シリコン系感光体製造装置または製造方法にお
いて、該成膜空間内に該VHF電力導入用の電極を備
え、該電極の少なくとも一部から該成膜空間内に水素ガ
スを導入し得る機構を有していることを特徴とするもの
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプラズマCVD法を
用いた非晶質シリコン(以下、a−Siと称す)系感光
体の製造装置及び製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真用感光体を形成する光導電材料
としては、高感度で、SN比〔光電流(Ip)/暗電流
(Id)〕が高く、照射する電磁波のスペクトル特性に
適合した吸収スペクトルを有すること、光応答性が早
く、所望の暗抵抗値を有すること、使用時において人体
に対して無害であること、等の特性が要求される。特
に、事務機としてオフィスで使用される電子写真装置内
に組み込まれる電子写真用光受容部材の場合には、上記
の使用時における無公害性は重要な点である。この様な
点に優れた性質を示す光導電材料に水素化アモルファス
シリコン(以下、「a−Si:H」と表記する)があ
り、例えば、特公昭60−35059号公報には電子写
真用光受容部材としての応用が記載されている。このよ
うな電子写真用感光体は、一般的には、導電性支持体を
50℃〜400℃に加熱し、該支持体上に真空蒸着法、
スパッタリング法、イオンプレーテイング法、熱CVD
法、光CVD法、プラズマCVD法等の成膜法によりa
−Siからなる光導電層を形成する。なかでもプラズマ
CVD法、すなわち、原料ガスを直流または高周波ある
いはマイクロ波グロー放電によつて分解し、支持体上に
a−Si堆積膜を形成する方法が好適なものとして実用
に付されている。また、特開昭56−83746号公報
においては、導電性支持体と、ハロゲン原子を構成要素
として含むa−Si(以下、「a−Si:X」と表記す
る)光導電層からなる電子写真用感光体が提案されてい
る。当該公報においては、a−Siにハロゲン原子を1
乃至40原子%含有させることにより、耐熱性が高く、
電子写真用感光体の光導電層として良好な電気的、光学
的特性を得ることができるとされている。また、特開昭
57−115556号公報には、a−Si堆積膜で構成
された光導電層を有する光導電部材の、暗抵抗値、光感
度、光応答性等の電気的、光学的、光導電的特性及び耐
湿性等の使用環境特性、さらには経時的安定性について
改善を図るため、シリコン原子を母体としたアモルファ
ス材料で構成された光導電層上に、シリコン原子及び炭
素原子を含む非光導電性のアモルファス材料で構成され
た表面障壁層を設ける技術が記載されている。更に、特
開昭60−67951号公報には、アモルファスシリコ
ン、炭素、酸素及び弗素を含有してなる透光絶縁性オー
バーコート層を積層する感光体についての技術が記載さ
れ、特開昭62−168161号公報には、表面層とし
て、シリコン原子と炭素原子と41〜70原子%の水素
原子を構成要素として含む非晶質材料を用いる技術が記
載されている。一方、特開昭60−95551号公報に
は、アモルファスシリコン感光体の画像品質向上のため
に、感光体表面近傍の温度を30乃至40℃に維持して
帯電、露光、現像および転写といつた画像形成行程を行
うことにより、感光体表面での水分の吸着による表面抵
抗の低下とそれに伴って発生する画像流れを防止する技
術が開示されている。また、特開昭61−283116
号公報には非晶質半導体の形成に適したマイクロ波プラ
ズマCVD法及びその装置が記載されている。特開昭6
3−149381号公報には、複数の円筒状基体を同心
円上に設置し、円筒状基体に囲まれた放電空間にマイク
ロ波電力を投入することにより、基体上に非晶質膜を形
成する技術が記載されている。これらの技術により、電
子写真用a−Si系感光体の電気的、光学的、光導電的
特性及び使用環境特性が向上し、それに伴って画像品質
も向上してきた。このようなa−Si系感光体の製造装
置及び製造方法は概略以下のようなものである。
【0003】図2は電源としてRF帯の周波数を用いた
RFプラズマCVD法(以後「RF−PCVD」と略記
する)による電子写真用光受容部材の製造装置の一例を
示す模式的な構成図である。図2に示す製造装置の構成
は以下の通りである。この装置は大別すると、堆積装置
2100、原料ガスの供給装置2200、反応容器21
11内を減圧にするための排気装置(図示せず)から構
成されている。堆積装置2100中の反応容器2111
内には円筒状支持体2112、支持体加熱用ヒーター2
113、原料ガス導入管2114が設置され、更に高周
波マッチングボックス2115が接続されている。原料
ガス供給装置2200は、SiH4、GeH4、H2、C
4、B26、PH3等の原料ガスのボンベ2221〜2
226とバルブ2231〜2236,2241〜224
6,2251〜2256およびマスフローコントローラ
ー2211〜2216から構成され、各原料ガスのボン
ベはバルブ2260を介して反応容器2111内のガス
導入管2114に接続されている。
【0004】この装置を用いた堆積膜の形成は、例えば
以下のように行なうことができる。まず、反応容器21
11内に円筒状支持体2112を設置し、不図示の排気
装置(例えば真空ポンプ)により反応容器2111内を
排気する。続いて、支持体加熱用ヒーター2113によ
り円筒状支持体2112の温度を200℃乃至350℃
の所定の温度に制御する。堆積膜形成用の原料ガスを反
応容器2111に流入させるには、ガスボンベのバルブ
2231〜2237、反応容器のリークバルブ2117
が閉じられていることを確認し、又、流入バルブ224
1〜2246、流出バルブ2251〜2256、補助バ
ルブ2260が開かれていることを確認して、まずメイ
ンバルブ2118を開いて反応容器2111およびガス
配管内2116を排気する。次に真空計2119の読み
が約5×10-6Torrになった時点で補助バルブ22
60、流出バルブ2251〜2256を閉じる。その
後、ガスボンベ2221〜2226より各ガスをバルブ
2231〜2236を開いて導入し、圧力調整器226
1〜2266により各ガス圧を2Kg/cm2 に調整す
る。次に、流入バルブ2241〜2246を徐々に開け
て、各ガスをマスフローコントローラー2211〜22
16内に導入する。
【0005】以上のようにして成膜の準備が完了した
後、以下の手順で各層の形成を行う。円筒状支持体21
12が所定の温度になったところで流出バルブ2251
〜2256のうちの必要なものおよび補助バルブ226
0を徐々に開き、ガスボンベ2221〜2226から所
定のガスをガス導入管2114を介して反応容器211
1内に導入する。次にマスフローコントローラー221
1〜2216によって各原料ガスが所定の流量になるよ
うに調整する。その際、反応容器2111内の圧力が1
Torr以下の所定の圧力になるように真空計2119
を見ながらメインバルブ2118の開口を調整する。内
圧が安定したところで、周波数13.56MHzのRF
電源(不図示)を所望の電力に設定して、高周波マッチ
ングボックス2115を通じて反応容器2111内にR
F電力を導入し、グロー放電を生起させる。この放電エ
ネルギーによって反応容器内に導入された原料ガスが分
解され、円筒状支持体2112上に所定のシリコンを主
成分とする堆積膜が形成されるところとなる。所望の膜
厚の形成が行われた後、RF電力の供給を止め、流出バ
ルブを閉じて反応容器へのガスの流入を止め、堆積膜の
形成を終える。同様の操作を複数回繰り返すことによっ
て、所望の多層構造の光受容層が形成される。それぞれ
の層を形成する際には必要なガス以外の流出バルブはす
べて閉じられていることは言うまでもなく、また、それ
ぞれのガスが反応容器2111内、流出バルブ2251
〜2256から反応容器2111に至る配管内に残留す
ることを避けるために、流出バルブ2251〜2256
を閉じ、補助バルブ2260を開き、さらにメインバル
プ2118を全開にして系内を一旦高真空に排気する操
作を必要に応じて行う。膜形成の均一化を図るために、
層形成を行なっている間は、支持体2112を駆動装置
(不図示)によって所定の速度で回転させることも有効
である。さらに、上述のガス種およびバルブ操作は各々
の層の作成条件にしたがって変更が加えられることは言
うまでもない。
【0006】一方、複数の感光体を同時に形成でき、生
産性の極めて高い図3に示した堆積膜形成装置の開発も
積極的に進められている。図3(a)は概略断面図、図
3(b)は図3(a)の切断線B−B’に沿う概略断面
図である。反応容器301の側面には排気管304が一
体的に形成され、排気管304の他端は不図示の排気装
置に接続されている。反応容器301の上面と下面には
それぞれ導波管303が取り付けられ、各導波管303
の他瑞は不図示のマイクロ波電源に接続されている。各
導波管303の反応容器301側の端部にはそれぞれ誘
電体窓302が気密封止されている。反応容器301の
中心部を取り囲むように、堆積膜の形成される6個の円
筒状基体305が互いに平行になるように配置されてい
る。各円筒状基体305は回転軸308によって保持さ
れ、発熱体307によって加熱されるようになってい
る。モータ309を駆動すると、減速ギア310を介し
て回転軸308が回転し、円筒状基体305がその母線
方向中心軸のまわりを自転するようになっている。反応
容器301内の円筒状基体305と各誘電体窓302で
囲まれた空間があり、この空間が成膜空間306とな
る。また、隣接する2個の円筒状基体305の間の隙間
には、それぞれ原料ガス導入管351が設けられてい
る。原料ガス導入管351は原料ガスを成膜空間306
に導入するようになっている。この装置を用いて電子写
真用感光体を作製するときは、まず、反応容器301内
を10-7 Torr以下まで排気し、ついで、発熱体30
7により円筒状基体305を所望の温度に加熱保持す
る。そして、原料ガス導入管351を介して、原料ガス
を反応容器301内に導入する。これと同時並行的に周
波数500MHz以上の、一般的には2.45GHzの
マイクロ波を導波管303、誘電体窓302を経て反応
容器301内に入射させる。その結果、成膜空問306
においてグロー放電が生起し、原料ガスは励起解離して
円筒状基体305上に堆積膜が形成される。このとき、
モータ309を回転させることにより、円筒状基体30
5の全周にわたって堆積膜を形成することができる。
【0007】また、近年VHF帯の高周波電力をプラズ
マ励起源としたVHFプラズマCVD法(以後「VHF
−PCVD」と略記する)によるa−Si系感光体の形
成装置、形成方法も研究・開発されている。これは、例
えば図2の装置において高周波電源を50〜450MH
z程度のVHF帯の高周波電源に置き換えることで達成
しうる。VHF−PCVDにおいては、原料ガス利用効
率が高い、成膜速度が速い(いずれもRF−PCVDに
対して)等の特徴を有しており、また、低圧力でのプラ
ズマ維持が可能なため高品質堆積膜が得られる可能性が
ある等の魅力を有している。しかしながら、このVHF
−PCVDはまだ研究・開発の歴史が浅く、VHF−P
CVDのメリットを充分に活かせる具体的装置構成、堆
積膜形成方法に関して今後更に適正化される余地が多く
残されているのが現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の装置及び方
法により、良好なa−Si系感光体が形成されるが、現
在の市場での要求に対応していくため、更なる技術の向
上が必要となっている。その1つとして、光メモリーと
呼ばれる電子写真画像上の残像現象の低減が挙げられ
る。光メモリーは前回のコピー時に形成された潜像が、
次回のコピー時までに完全に消去されず、次回のコビー
画像上にかすかに前回のコピー画像が形成されてしまう
ものであり、このメカニズムの概略は以下のようなもの
であると考えられている。a−Si系感光体は多くのダ
ングリングボンド(未結合手)を有しており、これが局
在準位となって光キヤリアの一部を捕捉してその走行性
を低下させ、あるいは光生成キャリアの再結合確率を低
下させる。従って、電子写真装置の画像形成プロセスに
おいて、露光によって生成されたキャリアの一部は、次
工程の帯電時に感光体に電界がかかると同時に局在準位
から解放され、露光部と非露光部で感光体表面電位に差
が生じて、これが光メモリーとなって現れる。この光メ
モリーを低減させるための手段として主除電工程におけ
る均一露光の光量を増すことが考えられるが、この場
合、露光量の増加に伴って帯電能が著しく低下してしま
う。これは特に、高速電子写真装置において深刻な問題
であり、実際には光メモリーが充分に軽減されるまでの
光量は照射できないのが実状である。また、近年急速に
市場の要望が高まつているカラー電子写真装置における
高画質化、高速化に対しても高速化という点ではa−S
i系感光体は充分な魅力を有しているにも拘らず、上記
のような光メモリーが存在するために、未だ搭載される
には至っていない。カラー電子写真装置の場合は特に光
メモリーが存在するとコピー画像上においてそれが色の
変化として現れてしまうため、画質を著しく低下させて
しまう。以上の様に、電子写真用a−Si系感光体の形
成方法において光メモリー軽減可能な形成方法を提供す
ることは非常に強く要望されており、これを達成するこ
とにより電子写真用a−Si系感光体の使用可能範囲が
広がり、現在の高画質化、高速化といった市場の要求に
充分に応じることができるものと期待が寄せられてい
る。一方、電子写真装置の低価格化に対する市場の要求
はいうまでもなく、この要求に応えていくためには、上
記光メモリー軽減をコストの上昇を伴うことなく実現す
ることが可能なa−Si系感光体形成装置、形成方法の
確立が必要とされている。
【0009】そこで、本発明は上記従来技術の問題点を
解決し、帯電能の低下をもたらすことなく光メモリーの
低減が可能で、極めて良好な電子写真画像を得ることが
できる非結晶シリコン系感光体製造装置及び製造方法を
提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、VHF電力導入用の電極の少なくとも一
部から反応容器の成膜空間内に水素ガスを導入すること
により、光メモリーの極めて少ない良好な非結晶シリコ
ン系感光体を堆積速度を低下させることなく製造できる
ようにしたものである。すなわち、本発明の非結晶シリ
コン系感光体製造装置は、真空気密可能な反応容器の成
膜空間内に基体を配置し、該成膜空間内に少なくとも原
料ガスとVHF帯の高周波電力を導入し、該成膜空間に
グロー放電を生起させることにより該基体上に堆積膜を
形成するプラズマCVD法による非晶質シリコン系感光
体製造装置において、該成膜空間内に該VHF電力導入
用の電極を備え、該電極の少なくとも一部から該成膜空
間内に水素ガスを導入し得る機構を有していることを特
徴としている。本発明においては、前記基体が、前記成
膜空間を取り囲むように配置した複数の円筒状基体によ
って構成されている場合においてより効果を発揮するこ
とができる。本発明は、前記VHF電力導入用の電極
は、周波数50MHz以上450MHz以下のVHF電
力導入用の電極とすることがより有効であり、また、電
極の表面を絶縁性材料により覆うと、一層効果的であ
る。さらに、本発明の非結晶シリコン系感光体製造方法
は真空気密可能な反応容器内に、少なくとも原料ガスと
VHF帯の高周波電力を導入してグロー放電を生起させ
ることにより、該反応容器の成膜空間内の基体上に堆積
膜を形成するプラズマCVD法による非晶質シリコン系
感光体製造方法において、該成膜空間内に配された該V
HF電力導入用の電極の少なくとも一部から、該成膜空
間内に水素ガスを導入しながら膜堆積を行なうことを特
徴とするものである。本発明においしては、前記成膜空
間内へのの導入は、前記VHF電力導入用の電極からの
水素ガスを導入と共に、更に原料ガス導入手段からも原
料ガスと同時に水素ガスを導入するようにしてもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明は、上記した手段により、
光メモリーの極めて少ない良好な電子写真用a−Si系
感光体を製造工程でのa−Si膜堆積速度を低下させる
ことなく、即ちコストの増加を伴うことなく形成するこ
とができる。それは、本発明者が上記目的を達成すべく
鋭意検討を行った結果、a−Si系感光体の特性向上に
おいて水素活性種の果たす役割は極めて大きく、この水
素活性種を効率的に生成し、堆積膜に有効に作用させう
る装置構成、堆積膜形成方法とすることで上記目的を達
成し得るとの知見に基づくものである。そして、本発明
においてこのような効果が得られる原因については、概
略次のようなメカニズムに基づくものと推察される。ま
ず、水素ラジカルが膜成長表面に到達することにより、
膜成長表面の弱結合水素を水素引き抜き反応により除去
し、膜特性の大幅な低下をもたらすとされている膜中の
(SiH2)n等の高次の水素結合の形成を防止する。
同時に膜成長表面のSiダングリングボンドを終端し、
結果として膜中のダングリングボンド密度を低下させる
効果が得られる。更には、膜成長表面が常に水素で終端
され、膜成長表面に到達したSiH、SiH2、SiH3
等の活性種の表面での拡散距離が大きくなるため、各活
性種はエネルギー的により安定なサイトを見つけて膜形
成が進行し、この結果、緻密で欠陥密度の低い良質膜が
形成される。本発明においてこのような水素ラジカルが
効率的に生成されるのは、水素ガスを高周波電極の一部
から成膜空間中に導入していることによるものである。
高周波電極の一部から導入された水素ガスは成膜空間に
生起されたプラズマ内に到達する前に、高周波電極表面
に形成されるプラズマシース部において活性化される。
この電極表面のプラズマシース部においては、高電界が
生起されるため高エネルギー電子・イオンが存在し、水
素の活性化が効率的に行なわれる。特に、本発明の装置
構成のように成膜空間を取り囲むように複数の円筒状基
体を配置し、成膜空間中に高周波電極を設置した場合に
は、カソードである高周波電極の表面積に対してアノー
ドである円筒状基体の表面積が大きくなり、この面積比
の影響によリカソード表面のシース中電界が大きくな
り、水素の活性化がより効率的になされる。
【0012】本発明においては、原料ガス(SiH4
Si26等)とは別に水素ガスのみまたは水素ガスと不
活性ガスを高周波電極の少なくとも一部から成膜空間に
導入することにより上記効果が得られる。H2ガスと同
時に原料ガスも高周波電極から導入した場合には、電極
表面のシース領域で水素ラジカルと同時にSiH,Si
2,SiH3等の原料ガスをもととした活性種も多量に
生成されてしまう。この結果、電極表面近傍は局所的に
水素ラジカル及びSiH、SiH2、SiH3等が回時に
高密度で存在するところとなり、水素ラジカルは直ちに
SiH、SiH2、SiH3等と反応してしまう。このた
め、膜成長表面には充分な水素ラジカルが供給されず、
本発明の効果を維持することができなくなってしまう。
従って、本発明においては原料ガスは水素ガスとは別に
電極以外の箇所に設置された原料ガス導入手段から導入
する必要がある。本発明はこのようなメカニズムにより
効果が得られるものと考えられ、従って、高周波電極の
少なくとも一部から水素ガスを導入し、更に原料ガス導
入手段からも原料ガスと同時に水素ガスを導入しても良
い。
【0013】図1は主本発明に関わる装置の該略図を示
したものである。図において100は反応容器、101
は円筒状基体、102は高周波電極、103は原料ガス
供給手段、104はヒーター、105は排気管、106
はマッチングボックス、107は高周波電源、108は
基体回転軸、109はモーター、110は減速ギア、1
11は放電空間である。高周波電極102は内部に水素
ガス導入可能となっており、導入された水素ガスは電極
表面に設けられた水素ガス導入口より成膜空問へ導入さ
れる構造となっている。
【0014】また、本発明においては更に電極表面を絶
縁性材料で覆う構成とすることで、作製された感光体に
より得られる電子写真画像の画像濃度むらが低減すると
いう更なる効果が得られる。従来技術において、単に電
極表面を絶縁性材料で覆う構成としただけではこのよう
な顕著な効果は認められない。従って、この効果は本発
明において、即ち絶縁性材料で表面を覆われた高周波電
極の少なくとも一部から成膜空間に水素ガスを導入する
構成、方法により初めて得られるものである。このよう
な効果が得られるメカニズムに関しては定かではない
が、従来技術において単に電極表面を絶縁性材料で覆う
構成としただけでは効果が得られないことから、電極表
面近傍での水素ラジカルの生成が均一に為されることに
より得られる効果であることは間違いないものと考えて
いる。このように、電極表面を覆う絶緑性材料としては
特に限定されるものではないが、プラズマにさらされた
際に損傷を受けにくいという点、堆積膜に悪影響を及は
すガスを放出しにくいという点を考慮して選定すること
が好ましい。具体的にはアルミナ(Al23)、窒化ボ
ロン(BN)、テフロン、酸化ケイ素(SiO2)、窒
化ケイ素Si34)、炭化ケイ素(SiC)、ジルコン
(ZrO2・SiO2)、ステアタイト(MgO・SiO
2)、ガラス等が挙げられる。
【0015】図1に示した装置を用いたa−si系感光
体の作製は例えば以下のように行なわれる。反応容器1
00の中心部を取り囲むように、堆積膜の形成される8
本の円筒状基体101が互いに平行になるように配置さ
れている。各円筒状基体101は回転軸108によって
保持され、ヒーター104によって加熱されるようにな
っている。モータ109を駆動すると、減速ギア110
を介して回転軸108が回転し、円筒状基体101がそ
の母線方向中心軸のまわりを自転するようになってい
る。反応容器l00内の円筒状基体101により囲まれ
た空間、即ち放電空間111の中央部付近に円筒状基体
101と平行になるようにVHF電極102が設けられ
ている。VHF電極102は反応容器外部に設置された
高周波マッチングボックス106に接続され、更に高周
波電源107へと接続されている。この装置を用いて電
子写真用感光体を作製するときは、まず、反応容器10
0内を10-7Torr以下まで排気し、ついで、ヒータ
ー104により円筒状基体101を所望の温度に加熱保
持する。そして、原料ガス導入手段103を介して、原
料ガスを放電空間111内に導入する。これと同時並行
的に電極表面に設けられた水素ガス導入口より水素ガス
を放電空間111内に導入する。原料ガス流量、及び水
素流量を所定の値とした後、高周波電源107より高周
波電力を高周波マッチングボックス106を介して高周
波電極102へ供給する。その結果、放電空間111に
おいてグロー放電が生起し、原料ガスは励起解離して円
筒状基体101上に堆積膜が形成される。このとき、モ
ータ109を回転させることにより、円筒状基体101
の全周にわたつて堆積膜を形成することができる。
【0016】本発明を用いて作製しうるa−Si系感光
体の層構成は例えば以下のようなものである。図4は、
層構成を説明するための模式的構成図である。図4
(a)に示す電子写真用感光体400は、支持体401
の上にa−Si:H、Xからなり光導電性を有する光導
電層402が設けられている。図4(b)に示す電子写
真用感光体400は、支持体401の上に、a−Si:
H,Xからなり光導電性を有する光導電層402と、ア
モルファスシリコン系表面層403とから構成されてい
る。図4(c)に示す電子写真用感光体400は、支持
体401の上に、a−Si:H,Xからなり光導電性を
有する光導電層402と、アモルフアスシリコン系表面
層403と、アモルファスシリコン系電荷注入阻止層4
04とから構成されている。図4(d)に示す電子写真
用感光体400は、支持体401の上に、光導電層40
2が設けられている。該光導電層402はa−Si:
H,Xからなる電荷発生層405ならびに電荷輸送層4
06とからなり、その上にアモルファスシリコン系表面
層403が設けられている。
【0017】本発明の感光体の支持体としては、導電性
でも電気絶縁性であってもよい。導電性支持体として
は、Al、Cr、Mo、Au、In、Nb、Te、V、
Ti、Pt、Pd、Fe等の金属、およびこれらの合
金、例えばステンレス等が挙げられる。また、ポリエス
テル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロースア
セテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチ
レン、ポリアミド等の合成樹脂のフィルムまたはシー
ト、ガラス、セラミック等の電気絶縁性支持体の少なく
とも光受容層を形成する側の表面を導電処理した支持体
も用いることができる。支持体401の形状は平滑表面
あるいは凹凸表面の円筒状または板状無端ベルト状であ
ることができ、その厚さは、所望通りの電子写真用感光
体400を形成し得るように適宜決定するが、電子写真
用感光体400としての可撓性が要求される場合には、
支持体401としての機能が充分発揮できる範囲内で可
能な限り薄くすることができる。しかしながら、支持体
401は製造上および取り扱い上、機械的強度等の点か
ら通常は10μm以上とされる。
【0018】つぎに 本発明の感光体の光導電層につい
て説明する。光導電層402は支持体401上に、所望
特性が得られるように適宜成膜パラメーターの数値条件
が設定されて作成される。光導電層402を形成するに
は、基本的にはシリコン原子(Si)を供給し得るSi
供給用の原料ガスと、水素原子(H)を供給し得るH供
給用の原料ガスまたは/及びハロゲン原子(X)を供給
し得るX供給用の原料ガスを、反応容器内に所望のガス
状態で導入して、該反応容器内にグロー放電を生起さ
せ、あらかじめ所定の位置に設置されてある所定の支持
体401上にa−Si:H,Xからなる層を形成させ
る。本発明において、上記H供給用原料ガスの導入は高
周波電極の少なくとも一部より導入する水素ガスで代用
しても良いし、また、それとは別に原料ガス導入手段か
らSi供給用原料ガス等と同時に導入しても良い。ま
た、光導電層402中に水素原子または/及びハロゲン
原子が含有されることが必要であるが、これはシリコン
原子の未結合手を補償し、層品質の向上、特に光導電性
および電荷保持特性を向上させるために必須不可欠であ
るからである。よって水素原子またはハロゲン原子の含
有量、または水素原子とハロゲン原子の和の量はシリコ
ン原子と水素原子または/及びハロゲン原子の和に対し
て10〜40原子%、より好ましくは15〜25原子%
とされるのが望ましい。
【0019】Si供給用ガスとなり得る物質としては、
SiH4、Si26、Si38、Si410等のガス状態
の、またはガス化し得る水素化珪素(シラン類)が有効
に使用されるものとして挙げられ、更に層作成時の取り
扱い易さ、Si供給効率の良さ等の点でSiH4、Si2
6が好ましいものとして挙げられる。またハロゲン原
子供給用の原料ガスとして有効なのは、たとえばハロゲ
ンガス、ハロゲン化物、ハロゲンをふくむハロゲン間化
合物、ハロゲンで置換されたシラン誘導体等のガス状の
またはガス化し得るハロゲン化合物が好ましく挙げられ
る。また、さらにはシリコン原子とハロゲン原子とを構
成要素とするガス状のまたはガス化し得る、ハロゲン原
子を含む水素化珪素化合物も有効なものとして挙げるこ
とができる。好適に使用し得るハロゲン化合物として
は、具体的には弗素ガス(F2)、BrF、ClF、C
lF3、BrF3、BrF5、IF3、IF7等のハロゲン
間化合物を挙げることができる。ハロゲン原子を含む珪
素化合物、いわゆるハロゲン原子で置換されたシラン誘
導体としては、具体的には、たとえばSiF4、Si2
6等の弗化珪素が好ましいものとして挙げることができ
る。
【0020】光導電層402中に含有される水素原子ま
たは/及びハロゲン原子の量を制御するには、例えば支
持体401の温度、水素原子または/及びハロゲン原子
を含有させるために使用される原料物質の反応容器内へ
導入する量、高周波電極の少なくとも一部より導入する
水素ガス流量、放電電力等を制御すればよい。光導電層
402には必要に応じて伝導性を制御する原子を含有さ
せることが好ましい。伝導性を制御する原子は、光導電
層402中に万偏なく均一に分布した状態で含有されて
も良いし、あるいは層厚方向には不均一な分布状態で含
有している部分があってもよい。
【0021】前記伝導性を制御する原子としては、半導
体分野における、いわゆる不純物を挙げることができ、
p型伝導特性を与える周期律表第IIIb族に属する原子
(以後「第IIIb族原子」と略記する)またはn型伝導
特性を与える周期律表第Vb族に属する原子(以後「第
Vb族原子」と略記する)を用いることができる。第II
Ib族原子としては、具体的には、硼素(B)、アルミ
ニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(I
n)、タリウム(Tl)等があり、特にB、Al、Ga
が好適である。第Vb族原子としては、具体的には燐
(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス
(Bi)等があり、特にP、Asが好適である。
【0022】光導電層402に含有される伝導性を制御
する原子の含有量としては、好ましくは1×10-2〜1
×104原子ppm、より好ましくは5×10-2〜5×
103原子ppm、最適には1×10-1〜1×103原子
ppmとされるのが望ましい。伝導性を制御する原子、
たとえば、第IIIb族原子あるいは第Vb族原子を構造
的に導入するには、層形成の際に、第IIIb族原子導入
用の原料物質あるいは第Vb族原子導入用の原料物質を
ガス状態で反応容器中に、光導電層402を形成するた
めの他のガスとともに導入してやればよい。第IIIb族
原子導入用の原料物質あるいは第Vb族原子導入用の原
料物質となり得るものとしては、常温常圧でガス状のま
たは、少なくとも層形成条件下で容易にガス化し得るも
のが採用されるのが望ましい。
【0023】そのような第IIIb族原子導入用の原料物
質として具体的には、硼素原子導入用としては、B
26、B 410、B59、B511、B610、B612
614等の水素化硼素、BF3、BCl3、BBr3等の
ハロゲン化硼素等が挙げられる。この他、AlCl3
GaCl3、Ga(CH33、InCl3、TlCl3
も挙げることができる。第Vb族原子導入用の原料物質
として有効に使用されるのは、燐原子導入用としては、
PH3、P24等の水素化燐、PH4I、PF3、PF5
PCl3、PCl5、PBr3、PBr5、PI3等のハロ
ゲン化燐が挙げられる。この他、AsH3、AsF3、A
sCl3、AsBr3、AsF5、SbH3、SbF3、S
bF5、SbCl3、SbCl5、BiH3、BiCl3
BiBr3等も第Vb族原子導入用の出発物質の有効な
ものとして挙げることができる。また、これらの伝導性
を制御する原子導入用の原料物質を必要に応じてH2
よび/またはHeにより希釈して使用してもよい。さら
に光導電層402に炭素原子及び/または酸素原子及び
/または窒素原子を含有させることも有効である。炭素
原子及び/または酸素原子/及びまたは窒素原子の含有
量はシリコン原子、炭素原子、酸素原子及び窒素原子の
和に対して好ましくは1×10-5〜10原子%、より好
ましくは1×10-4〜8原子%、最適には1×10-3
5原子%が望ましい。炭素原子及び/または酸素原子及
び/または窒素原子は、光導電層中に万遍なく均一に含
有されても良いし、光導電層の層厚方向に含有量が変化
するような不均一な分布をもたせた部分があっても良
い。光導電層402の層厚は所望の電子写真特性が得ら
れること及び経済的効果等の点から適宜所望にしたがっ
て決定され、好ましくは1〜100μm、より好ましく
は20〜50μm、最適には23〜45μmとされるの
が望ましい。
【0024】所望の膜特性を有する光導電層402を形
成するには、Si供給用のガスと希釈ガスとの混合比、
反応容器内のガス圧、放電電力、支持体温度ならびに高
周波電極の少なくとも一部より導入する水素ガス流量を
適宜設定することが必要である。これら条件は通常は独
立的に別々に決められるものではなく、所望の特性を有
する光受容部材を形成すべく相互的且つ有機的関連性に
基づいて最適値を決めるのが望ましい。
【0025】つぎに 本発明の感光体の表面層について
説明する。上述のようにして支持体401上に形成され
た光導電層402の上に、更にアモルファスシリコン系
の表面層403を形成することが好ましい。この表面層
403は主に耐湿性、連続繰り返し使用特性、電気的耐
圧性、使用環境特性、耐久性向上を主たる目的として設
けられる。表面層403は、アモルファスシリコン系の
材料であればいずれの材質でも可能であるが、例えば、
水素原子(H)及び/またはハロゲン原子(X)を含有
し、更に炭素原子を含有するアモルファスシリコン(以
下「a−SiC:H,X」と表記する)、水素原子
(H)及び/またはハロゲン原子(X)を含有し、更に
酸素原子を含有するアモルファスシリコン(以下「a−
SiO:H,X」と表記する)、水素原子(H)及び/
またはハロゲン原子(X)を含有し、更に窒素原子を含
有するアモルファスシリコン(以下「a−SiN:H,
X」と表記する)、水素原子(H)及び/またはハロゲ
ン原子(X)を含有し、更に炭素原子、酸素原子、室素
原子の少なくとも一つを含有するアモルファスシリコン
(以下「a−SiCON:H,X」と表記する)等の材
料が好適に用いられる。
【0026】表面層403は真空堆積膜形成方法によっ
て、所望特性が得られるように適宜成膜パラメーターの
数値条件が設定されて作成される。例えば、a−Si
C:H,Xよりなる表面層403を形成するには、基本
的にはシリコン原子(Si)を供給し得るSi供給用の
原料ガスと、炭素原子(C)を供給し得るC供給用の原
料ガスと、水素原子(H)を供給し得るH供給用の原料
ガスまたは/及びハロゲン原子(X)を供給し得るX供
給用の原料ガスを、内部を減圧にし得る反応容器内に所
望のガス状態で導入して、該反応容器内にグロー放電を
生起させ、あらかじめ所定の位置に設置された光導電層
402を形成した支持体401上にa−SiC:H,X
からなる層を形成すればよい。表面層をa−SiCを主
成分として構成する場合の炭素量は、シリコン原子と炭
素原子の和に対して30%から90%の範囲が好まし
い。
【0027】また、表面層403中に水素原子または/
及びハロゲン原子が含有されることが必要であるが、こ
れはシリコン原子の未結合手を補償し、層品質の向上、
特に光導電性特性および電荷保持特性を向上させるため
に重要である。水素含有量は、構成原子の総量に対して
通常の場合30〜70原子%、好適には35〜65原子
%、最適には40〜60原子%とするのが望ましい。ま
た、弗素原子の含有量として、通常の場合は0.01〜
15原子%、好適には0.1〜10原子%、最適には
0.6〜4原子%とされるのが望ましい。表面層の形成
において使用されるシリコン(Si)供給用ガスとなり
得る物質としては、SiH4、Si26、Si38、S
410等のガス状態の、またはガス化し得る水素化珪
素(シラン類)が有効に使用されるものとして挙げら
れ、更に層作成時の取り扱い易さ、Si供給効率の良さ
等の点でSiH4、Si26が好ましいものとして挙げ
られる。また、これらのSi供給用の原料ガスを必要に
応じてH2、He、Ar、Ne等のガスにより希釈して
使用してもよい。
【0028】炭素供給用ガスとなり得る物質としては、
CH4、C26、C38、C410等のガス状態の、また
はガス化し得る炭化水素が有効に使用されるものとして
挙げられ、更に層作成時の取り扱い易さ、Si供給効率
の良さ等の点でCH4、C26が好ましいものとして挙
げられる。また、これらのC供給用の原料ガスを必要に
応じてH2、He、Ar、Ne等のガスにより希釈して
使用してもよい。窒素または酸素供給用ガスとなり得る
物質としては、NH3、NO、N2O、NO2、O2、C
O、CO2、N2等のガス状態の、またはガス化し得る化
合物が有効に使用されるものとして挙げられる。また、
これらの窒素、酸素供給用の原料ガスを必要に応じてH
2、He、Ar、Ne等のガスにより希釈して使用して
もよい。
【0029】また、形成される表面層403中に導入さ
れる水素原子の導入割合の制御をいっそう容易になるよ
うに図るために、これらのガスに更に水素ガスまたは水
素原子を含む珪素化合物のガスも所望量混合して層形成
することが好ましい。また、各ガスは単独種のみでなく
所定の混合比で複数種混合しても差し支えないものであ
る。本発明において水素ガス導入は高周波電極の少なく
とも一部より導入する水素ガスで代用しても良い。ハロ
ゲン原子供給用の原料ガスとして有効なのは、たとえば
ハロゲンガス、ハロゲン化物、ハロゲンをふくむハロゲ
ン間化合物、ハロゲンで置換されたシラン誘導体等のガ
ス状のまたはガス化し得るハロゲン化合物が好ましく挙
げられる。また、さらにはシリコン原子とハロゲン原子
とを構成要素とするガス状のまたはガス化し得る、ハロ
ゲン原子を含む水素化珪素化合物も有効なものとして挙
げることができる。
【0030】本発明に於て好適に使用し得るハロゲン化
合物としては、具体的には弗素ガス(F2)、BrF、
ClF、ClF3、BrF3、BrF5、IF3、IF7
のハロゲン間化合物を挙げることができる。ハロゲン原
子を含む珪素化合物、いわゆるハロゲン原子で置換され
たシラン誘導体としては、具体的には、たとえばSiF
4、Si26等の弗化珪素が好ましいものとして挙げる
ことができる。表面層403中に含有される水素原子ま
たは/及びハロゲン原子の量を制御するには、例えば支
持体401の温度、水素原子または/及びハロゲン原子
を含有させるために使用される原料物質の反応容器内へ
導入する量、放電電力、高周波電極の少なくとも一部よ
り導入する水素ガス流量等を制御すればよい。炭素原子
及び/または酸素原子及び/または窒素原子は、表面層
中に万遍なく均一に含有されても良いし、表面層の層厚
方向に含有量が変化するような不均一な分布をもたせた
部分があつても良い。さらに表面層403には必要に応
じて伝導性を制御する原子を含有させても良い。伝導性
を制御する原子は、表面層403中に万偏なく均一に分
布した状態で含有されても良いし、あるいは層厚方向に
は不均一な分布状態で含有している部分があってもよ
い。
【0031】前記の伝導性を制御する原子としては、半
導体分野における、いわゆる不純物を挙げることがで
き、p型伝導特性を与える周期律表第IIIb族に属する
原子(以後「第IIIb族原子」と略記する)またはn型
伝導特性を与える周期律表第Vb族に属する原子(以後
「第Vb族原子」と略記する)を用いることができる。
第IIIb族原子としては、具体的には、硼素(B)、ア
ルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム
(In)、タリウム(Tl)等があり、特にB、Al、
Gaが好適である。第Vb族原子としては、具体的には
燐(P)、破素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマ
ス(Bi)等があり、特にP、Asが好適である。
【0032】表面層403に含有される伝導性を制御す
る原子の含有量としては、好ましくは1×10-3 〜1×
103原子ppm、より好ましくは1×10-2 〜5×1
2 原子ppm、最適には1×10-1 〜1×102 原子p
pmとされるのが望ましい。伝導性を制御する原子、た
とえば、第IIIb族原子あるいは第Vb族原子を構造的
に導入するには、層形成の際に、第IIIb族原子導入用
の原料物質あるいは第Vb族原子導入用の原料物質をガ
ス状態で反応容器中に、表面層403を形成するための
他のガスとともに導入してやればよい。第IIIb族原子
導入用の原料物質あるいは第Vb族原子導入用の原料物
質となり得るものとしては、常温常圧でガス状のまた
は、少なくとも層形成条件下で容易にガス化し得るもの
が採用されるのが望ましい。そのような第IIIb族原子
導入用の原料物質として具体的には、硼素原子導入用と
しては、B26、B410、B59、B511、B
610、B612、B614等の水素化硼素、BF3、BC
3、BBr3等のハロゲン化硼素等が挙げられる。この
他、AlCl3、GaCl3、Ga(CH33、InCl
3、TlCl3等も挙げることができる。第Vb族原子導
入用の原料物質として、有効に使用されるのは、燐原子
導入用としては、PH3、P24等の水素化燐、PH
4I、PF3、PF3、PCl3、PCl5、PBr3、PB
5、PI3等のハロゲン化燐が挙げられる。この他、A
sH3、AsF3、AsCl3、AsBr3、AsF5、S
bH3、SbF3、SbF5、SbCl3、SbCl5、B
iH3、BiCl3、BiBr3等も第Vb族原子導入用
の出発物質の有効なものとして挙げることができる。ま
た、これらの伝導性を制御する原子導入用の原料物質を
必要に応じてH2、He、Ar、Ne等のガスにより希
釈して使用してもよい。表面層403の層厚としては、
通常0.01〜3μm、好適には0.05〜2μm、最
適には0.1〜lμmとされるのが望ましいものであ
る。層厚が0.01μmよりも薄いと光受容部材を使用
中に摩耗等の理由により表面層が失われてしまい、3μ
mを越えると残留電位の増加等の電子写真特性の低下が
みられる。表面層403は、その要求される特性が所望
通りに与えられるように注意深く形成される。即ち、S
i、C及び/またはN及び/またはO、H及び/または
Xを構成要素とする物質はその形成条件によって構造的
には結晶からアモルファスまでの形態を取り、電気物性
的には導電性から半導体性、絶縁性までの間の性質を、
又、光導電的性質から非光導電的性質までの間の性質を
各々示すので、本発明においては、目的に応じた所望の
特性を有する化合物が形成される様に、所望に従ってそ
の形成条件の選択が厳密になされる。例えば、表面層4
03を耐圧性の向上を主な目的として設けるには、使用
環境に於いて電気絶縁性的挙動の顕著な非単結晶材料と
して作成される。又、連続繰り返し使用特性や使用環境
特性の向上を主たる目的として表面層403が設けられ
る場合には、上記の電気絶縁性の度合はある程度緩和さ
れ、照射される光に対して有る程度の感度を有する非単
結晶材料として形成される。
【0033】目的を達成し得る特性を有する表面層40
3を形成するには、支持体401の温度、反応容器内の
ガス圧を所望にしたがって、適宜設定する必要がある。
支持体401の温度(Ts)は、層設計にしたがって適
宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好ましくは2
00〜350℃、より好ましくは230〜330℃、最
適には250〜300℃とするのが望ましい。反応容器
内のガス圧も同様に層設計にしたがつて適宜最適範囲が
選択されるが、通常の場合、好ましくは1×10-4 〜1
0Torr、より好ましくは5×10-4〜5Torr、
最適には1×10-3 〜1Torrとするのが好ましい。
表面層を形成するための支持体温度、ガス圧の望ましい
数値範囲として前記した範囲が挙げられるが、条件は通
常は独立的に別々に決められるものではなく、所望の特
性を有する光受容部材を形成すべく相互的旦つ有機的関
連性に基づいて最適値を決めるのが望ましい。また表面
層403と光導電層402との間に炭素原子及び/また
は酸素原子及び/または窒素原子の含有量が光導電層4
02に向かって連続的に減少する領域を設けても良い。
これにより表面層と光導電層の密着性を向上させ、界面
での光の反射による干渉の影響をより少なくすることが
できると同時に、界面でのキャリアのトラップを防止
し、感光体特性向上を達し得る。
【0034】つぎに 本発明の感光体の電荷注入阻止層
について説明する。必要に応じて導電性支持体と光導電
層との間に、導電性支持体側からの電荷の注入を阻止す
る働きのある電荷注入阻止層を設けてもよい。すなわ
ち、電荷注入阻止層は感光体が一定極性の帯電処理をそ
の表面に受けた際、支持体側より光導電層側に電荷が注
入されるのを阻止する機能を有し、逆の極性の帯電処理
を受けた際にはそのような機能は発揮されない、いわゆ
る極性依存性を有している。そのような機能を付与する
ために、電荷注入阻止層には伝導性を制御する原子を光
導電層に比べ比較的多く含有させる。該層に含有される
伝導性を制御する原子は、該層中に万偏なく均一に分布
されても良いし、あるいは層厚方向には万偏なく含有さ
れてはいるが、不均一に分布する状態で含有している部
分があってもよい。分布濃度が不均一な場合には、支持
体側に多く分布するように含有させるのが好適である。
しかしながら、いずれの場合にも支持体の表面と平行面
内方向においては、均一な分布で万偏なく含有されるこ
とが面内方向における特性の均一化をはかる点からも必
要である。電荷注入阻止層に含有される伝導性を制御す
る原子としては、半導体分野における、いわゆる不純物
を挙げることができ、p型伝導特性を与える周期律表第
IIIb族に属する原子(以後「第IIIb族原子」と略記す
る)またはn型伝導特性を与える周期律表第Vb族に属
する原子(以後「第Vb族原子」と略記する)を用いる
ことができる。第IIIb族原子としては、具体的には、
B(ほう素),Al(アルミニウム),Ga(ガリウ
ム),In(インジウム),Ta(タリウム)等があ
り、特にB,Al,Gaが好適である。第Vb族原子と
しては、具体的にはP(リン),As(砒素),Sb
(アンチモン),Bi(ビスマス)等があり、特にP,
Asが好適である。
【0035】電荷注入阻止層中に含有される伝導性を制
御する原子の含有量としては、所望にしたがつて適宜決
定されるが、好ましくは10〜1×104原子ppm、
より好適には50〜5×103 原子ppm、最適には1
×102 〜1×103原子ppmとされるのが望ましい。
さらに、電荷注入阻止層には、炭素原子、窒素原子及び
酸素原子の少なくとも一種を含有させることによって、
該電荷注入阻止層に直接接触して設けられる他の層との
間の密着性の向上をよりいっそう図ることができる。該
層に含有される炭素原子または窒素原子または酸素原子
は該層中に万偏なく均一に分布されても良いし、あるい
は層厚方向には万偏なく含有されてはいるが、不均一に
分布する状態で含有している部分があってもよい。しか
しながら、いずれの場合にも支持体の表面と平行面内方
向においては、均一な分布で万偏なく含有されることが
面内方向における特性の均一化をはかる点からも必要で
ある。電荷注入阻止層の全層領域に含有される炭素原子
及び/または窒素原子および/または酸素原子の含有量
は、所望の膜特性が得られるよう適宜決定されるが、一
種の場合はその量として、二種以上の場合はその総和と
して、好ましくは1×10-3 〜50原子%、より好適に
は5×10-3 〜30原子%、最適には1×10-2 〜10
原子%とされるのが望ましい。また、電荷注入阻止層に
含有される水素原子および/またはハロゲン原子は層内
に存在する未結合手を補償し膜質の向上に効果を奏す
る。電荷注入阻止層中の水素原子またはハロゲン原子あ
るいは水素原子とハロゲン原子の和の含有量は、好適に
は1〜50原子%、より好適には5〜40原子%、最適
には10〜30原子%とするのが望ましい。電荷注入阻
止層の層厚は所望の電子写真特性が得られること、及び
経済的効果等の点から好ましくは0.1〜5μm、より
好ましくは0.3〜4μm、最適には0.5〜3μmと
されるのが望ましい。
【0036】電荷注入阻止層を形成するには、前述の光
導電層を形成する方法と同様の真空堆積法が採用され
る。光導電層402と同様に、Si供給用のガスと希釈
ガスとの混合比、反応容器内のガス圧、放電電力ならび
に支持体401の温度を適宜設定することが必要であ
る。反応容器内のガス圧は適宜最適範囲が選択される
が、通常の場合1×10-4〜10Torr、好ましくは
5×10-4〜5Torr、最適には1×10-3 〜1To
rrとするのが好ましい。電荷注入阻止層を形成するた
めの希釈ガスの混合比、ガス圧、放電電力、支持体温度
等の層作成ファクターは通常は独立的に別々に決められ
るものではなく、所望の特性を有する電荷注入阻止層を
形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて各層作成
ファクターの最適値を決めるのが望ましい。支持体40
1と光導電層402あるいは電荷注入阻止層404との
間の密着性の一層の向上を図る目的で、例えば、Si3
4、SiO2、SiO、あるいはシリコン原子を母体と
し、水素原子及び/またはハロゲン原子と、炭素原子及
び/または酸素原子及び/または窒素原子とを含む非晶
質材料等で構成される密着層を設けても良い。更に、支
持体からの反射光による干渉模様の発生を防止するため
の光吸収層を設けても良い。
【0037】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳しく説明
するが、本発明はこれらによりなんら制限されるもので
はない。
【0038】[実施例1]図1に示す電子写真用感光体
の製造装置を用い、直径80mm、長さ358mmの円
筒状アルミニウムシリンダー上に、表1に示す条件で電
荷注入阻止層、光導電層、表面層からなる感光体を作製
した。VHF電源107の発振周波数は450MHzと
した。電極はSUS304製の全長400mm、外径2
0mm、内径15mmの円筒状であり、電極内部に水素
ガスを導入できる構造となっている。更には電極表面に
は直径1mmの水素ガス放出口が電極軸方向に10個、
電極端部より2cmの箇所から4cm間隔で配置されて
おり、このような水素ガス放出口列が電極周方向に90
°間隔で4列配置されている。水素ガス放出口の総数は
40個である。このような装置構成及び条件で、前述し
た具体的手順により作製したa−Si感光体を本テスト
用に改造されたキヤノン製の複写機NP−6750に設
置し、感光体の特性の評価を行なった。評価項目は「帯
電能」、「光メモリー」、「画像濃度むら」、「総合画
像特性」の4項目とし、以下の具体的評価法により各項
目の評価を行なった。
【0039】「帯電能」・・・複写機の主帯電器に一定
の電流を流したときの現像器位置での暗部電位を測定す
る。したがって、暗部電位が大きいほど帯電能が良好で
あることを示す。感光体軸方向測定位置は中央位置とし
た。 「光メモリー」・・・現像器位置における暗部電位が所
定の値となるよう主帯電器の電流値を調整した後、所定
の白紙を原稿とした際の明部電位が所定の値となるよう
像露光光量を調整する。この状態でキヤノン製ゴースト
テストチャート(部品番号:FY9−9040)に反射
濃度1.1、直径5mmの黒丸を貼りつけたものを原稿
台に置き、その上にキヤノン製中間調チャートを重ねて
おいた際のコピー画像において、中間調コピー上に認め
られるゴーストチャートの直径5mmの黒丸の反射濃度
と中間調部分の反射濃度との差を測定することにより行
なった。 「画像濃度むら」・・・現像器位置における暗部電位が
所定の値となるよう主帯電器の電流値を調整した後、所
定の自紙を原稿とした際の明部電位が所定の値となるよ
う像露光光量を調整する。この状態で、全面が反射濃度
0.3のハーフトーンチャートを原稿台に置き、得られ
たコピー画像全体における最も低い反射濃度値と最も高
い反射濃度値の差により評価した。 「総合画像特性」・・・画像流れ、ドラム上球状突起に
起因する画像欠陥等を含め、コピー画像を総合的に判断
した。評価結果を表2に示す。いずれの項目においても
良好な結果が得られ、本発明により帯電能の低下をもた
らすことなく光メモリーの低減が可能であり、極めて良
好な電子写真画像を得ることができるa−Si系感光体
が作製されることが確認された。
【0040】(比較例1)電極に水素ガス放出口を設け
ず、電極から成膜空間への水素ガス導入を行なわない以
外は実施例1と同様にして、a−Si系感光体を作製し
た。作製したa−Si系感光体を実施例1と同様の評価
法により、「帯電能」、「光メモリー」、「画像濃度む
ら」、「総合画像特性」の4項目について評価した。評
価結果を表2中に示す。帯電能、光メモリー、総合画像
特性共に実施例1に劣るものであり、特に光メモリーに
おいて顕著な差異が認められた。
【0041】(比較例2)比較例1において、表3に示
す条件とする以外は同様にしてa−Si系感光体を作製
した。作製したa−Si系感光体を実施例1と同様の評
価法により、「帯電能」、「光メモリー」、「画像濃度
むら」、「総合画像特性」の4項目について評価した。
評価結果を表2中に示す。帯電能、光メモリー、総合画
像特性共に実施例1に劣るものであり、特に光メモリー
において顕著な差異が認められた。
【0042】(比較例3)比較例1において、表4に示
す条件とする以外は同様にしてa−Si系感光体を作製
した。作製したa−Si系感光体を実施例1と同様の評
価法により、「帯電能」、「光メモリー」、「画像濃度
むら」、「総合画像特性」の4項目について評価した。
評価結果を表2中に示す。帯電能、光メモリー、総合画
像特性共に実施例1に劣るものであり、特に光メモリー
において顕著な差異が認められた。実施例1と比較例
1、2、3の比較から、本発明は単に成膜空間に導入さ
れる総水素流量により効果が得られるものではなく、高
周波電極表面から成膜空間中に水素を導入するという装
置構成、感光体形成方法により効果が得られるものであ
ることが確認された。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】 [実施例2]図1に示す電子写真用感光体の製造装置を
用い、直径80mm、長さ358mmの円筒状アルミニ
ウムシリンダー上に、表5に示す条件で電荷注入阻止
層、光導電層、表面層からなる感光体を作製した。VH
F電源107の発振周波数は100MHzとした。電極
はSUS304製の全長400mm、外径20mm、内
径15mmの円筒体の外部を窒化ボロン製の全長400
mm、外径25mm、内径20.5mmの円筒体でカバ
ーした構成となっており、SUS304製円筒体内部に
水素ガスを導入できる構造となっている。更には電極表
面には直径0.7mmの水素ガス放出口がアルミナ製円
筒体、及びSUS304製円筒体を貫通して開口されて
いる。水素ガス放出口は電極軸方向に19個、電極端部
より2cmの箇所から2cm間隔で配置されており、こ
のような水素ガス放出口列が電極周方向に90°間隔で
4列配置されている。水素ガス放出口の総数は76個で
ある。このような装置構成及び条件で、前述した具体的
手順により作製したa−Si感光体を本テスト用に改造
されたキヤノン製の複写機NP−6750に設置し、感
光体の特性の評価を行なった。評価項目は「帯電能」、
「光メモリー」、「画像濃度むら」、「総合画像特性」
の4項目とし、実施例1と同様の具体的評価法により各
項目の評価を行なった。評価結果を表6中に示す。いず
れの項目においても良好な結果が得られ、本発明により
帯電能の低下をもたらすことなく光メモリーの低減が可
能であり、また、濃度むらが非常に軽微で、極めて良好
な電子写真画像を得ることができるa−Si系感光体が
作製されることが確認された。
【0047】(比較例4)電極に水素ガス放出口を設け
ず、電極から成膜空間への水素ガス導入を行なわない以
外は実施例2と同様にして、a−Si感光体を作製し
た。作製したa−Si感光体を実施例1と同様の評価法
により、「帯電能」、「光メモリー」、「画像濃度む
ら」、「総合画像特性」の4項目について評価した。評
価結果を表6中に示す。帯電能、光メモリー、総合画像
特性共に実施例2に劣るものであり、特に光メモリー、
及び画像濃度むらにおいて顕著な差異が認められた。
【0048】
【表5】
【0049】
【表6】 (実施例3)図1に示す電子写真用感光体の製造装置を
用い、直径80mm、長さ358mmの円筒状アルミニ
ウムシリンダー上に、表7に示す条件で電荷輸送層、電
荷発生層、表面層からなる機能分離型のa―Si系感光
体を作製した。VHF電源107の発振周波数は50M
Hzとした。電極はSUS304製の全長450mm、
外径10mm、内径6mmの円筒体の外部を溶射により
200μmの厚さでアルミナコーティングした構成とな
っており、SUS304製円筒体内部に水素及びヘリウ
ムを導入できる構造となっている。更には電極表面には
直径1.2mmの水素ガス放出口がアルミナコーティン
グ、及びSUS304製円筒体を貫通して開口されてい
る。水素ガス放出口は電極軸方向に11個、電極端部よ
り2.5cmの箇所から4cm間隔で配置されており、
このような水素ガス放出口列が電極周方向に90°間隔
で4列配置されている。水素ガス放出口の総数は44個
である。次いで、作製したa−Si感光体を本テスト用
に改造されたキヤノン製の複写機NP−6750に設置
し、感光体の特性の評価を行なった。評価項目は「帯電
能」、「光メモリー」、「画像濃度むら」、「総合画像
特性」の4項目とし、実施例1と同様の具体的評価法に
より各項目の評価を行なった。評価結果を表8中に示
す。いずれの項目においても良好な結果が得られ、本発
明により帯電能の低下をもたらすことなく光メモリーの
低減が可能であり、また、濃度むらが非常に軽微で、極
めて良好な電子写真画像を得ることができるa−Si系
感光体が作製されることが確認された。
【0050】(比較例5)電極に水素ガス放出口を設け
ず、電極から成膜空間への水素及びヘリウムの導入を行
なわない以外は実施例3と同様にして、a−Si系感光
体を作製した。作製したa−Si系感光体を実施例1と
同様の評価法により、「帯電能」、「光メモリー」、
「画像濃度むら」、「総合画像特性」の4項目について
評価した。評価結果を表8中に示す。帯電能、光メモリ
ー、総合画像特性共に実施例3に劣るものであり、特に
光メモリー、及び画像濃度むらにおいて顕著な差異が認
められた。
【0051】
【表7】
【0052】
【表8】
【0053】
【発明の効果】本発明は、以上のようにVHF電力導入
用の電極の少なくとも一部から反応容器の成膜空間内に
水素ガスを導入することにより、帯電能の低下をもたら
すことなく光メモリーの極めて少ない特性の優れたな非
結晶シリコン系感光体を堆積速度を低下させることなく
製造することができる。また、本発明においては、その
高周波電極の表面を絶縁性材料で覆うことにより、画像
濃度むらが一層低減され、圧傷に対する強度が増した非
結晶シリコン系感光体を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いることができるa−Si系感光体
製造装置の一例を示した概略図である。
【図2】従来のRF帯の周波数を用いたRFプラズマC
VD法による電子写真用光受容部材の製造装置の一例を
示した模式的な構成図である。
【図3】従来のMW帯の周波数を用いたMWプラズマC
VD法による電子写真用光受容部材の製造装置の一例を
示した模式的な構成図である。
【図4】a−Si系感光体の層構成の一例を示した図で
ある。
【符号の説明】
100・・・・・・・・・・反応容器 101・・・・・・・・・・円筒状基体 102・・・・・・・・・・高周波電極 103・・・・・・・・・・原料ガス供給手段 104・・・・・・・・・・ヒーター 105・・・・・・・・・・排気管 106・・・・・・・・・・マッチングボックス 107・・・・・・・・・・高周波電源 108・・・・・・・・・・回転軸 109・・・・・・・・・・モータ 110・・・・・・・・・・減速ギア 111・・・・・・・・・・放電空間 2100・・・・・・・・・・堆積装置 2111・・・・・・・・・・反応容器 2112・・・・・・・・・・円筒状基体 2113・・・・・・・・・・支持体加熱用ヒーター 2114・・・・・・・・・・原料ガス導入管 2115・・・・・・・・・・マッチングボックス 2116・・・・・・・・・・原料ガス配管 2117・・・・・・・・・・反応容器リークバルブ 2118・・・・・・・・・・メイン排気バルブ 2119・・・・・・・・・・真空計 2211〜2216・・・・・・・・・・マスフローコ
ントローラー 2221〜2226・・・・・・・・・・原料ガスボン
ベ 2231〜2236・・・・・・・・・・原料ガスボン
ベバルブ 2241〜2246・・・・・・・・・・ガス流入バル
ブ 2251〜2256・・・・・・・・・・ガス流出バル
ブ 2261〜2266・・・・・・・・・・圧力調整器 301・・・・・・・・・・反応容器 302・・・・・・・・・・誘電体窓 303・・・・・・・・・・導波管 304・・・・・・・・・・排気管 305・・・・・・・・・・円筒状基体 306・・・・・・・・・・成膜空問 307・・・・・・・・・・発熱体 308・・・・・・・・・・回転軸 309・・・・・・・・・・モータ 310・・・・・・・・・・減速ギア 351・・・・・・・・・・原料ガス導入管 400・・・・・・・・・・電子写真用感光体 401・・・・・・・・・・支持体 402・・・・・・・・・・光導電層 403・・・・・・・・・・表面層 404・・・・・・・・・・電荷注入阻止層 405・・・・・・・・・・電荷発生層 406・・・・・・・・・・電荷輸送層

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空気密可能な反応容器の成膜空間内に
    基体を配置し、該成膜空間内に少なくとも原料ガスとV
    HF帯の高周波電力を導入し、該成膜空間にグロー放電
    を生起させることにより該基体上に堆積膜を形成するプ
    ラズマCVD法による非晶質シリコン系感光体製造装置
    において、該成膜空間内に該VHF電力導入用の電極を
    備え、該電極の少なくとも一部から該成膜空間内に水素
    ガスを導入し得る機構を有していることを特徴とする非
    晶質シリコン系感光体製造装置。
  2. 【請求項2】 前記基体は、前記成膜空間を取り囲むよ
    うに配置した複数の円筒状基体によって構成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の非結晶シリコン系感
    光体製造装置。
  3. 【請求項3】 前記VHF電力導入用の電極は、周波数
    50MHz以上450MHz以下のVHF電力導入用の
    電極であることを特徴とする請求項1に記載の非結晶シ
    リコン系感光体製造装置。
  4. 【請求項4】 前記VHF電力導入用の電極は、その表
    面が絶縁性材料により覆われていることを特徴とする請
    求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の非結晶シリコ
    ン系感光体製造装置。
  5. 【請求項5】 真空気密可能な反応容器内に、少なくと
    も原料ガスとVHF帯の高周波電力を導入してグロー放
    電を生起させることにより、該反応容器の成膜空間内の
    基体上に堆積膜を形成するプラズマCVD法による非晶
    質シリコン系感光体製造方法において、該成膜空間内に
    配された該VHF電力導入用の電極の少なくとも一部か
    ら、該成膜空間内に水素ガスを導入しながら膜堆積を行
    なうことを特徴とする非晶質シリコン系感光体製造方
    法。
  6. 【請求項6】 前記膜堆積は、前記反応容器内の成膜空
    間を取り囲むように配置された複数の円筒状基体上で行
    われるようにしたことを特徴とする請求項5に記載の非
    晶質シリコン系感光体製造方法。
  7. 【請求項7】 前記VHF帯の高周波電力は、周波数が
    50MHz以上450MHz以下であることを特徴とす
    る請求項5または請求項6に記載の非晶質シリコン系感
    光体製造方法。
  8. 【請求項8】 前記VHF電力導入用の電極は、その
    表面が絶縁性材料により覆われていることを特徴とする
    請求項5〜請求項7のいずれか1項に記載の非結晶シリ
    コン系感光体製造方法。
  9. 【請求項9】 前記成膜空間内への水素ガスの導入が、
    前記VHF電力導入用の電極からの水素ガスの導入と共
    に、更に原料ガス導入手段から原料ガスと同時に水素ガ
    スを導入するようにしたことを特徴とする請求項5〜請
    求項8のいずれか1項に記載の非結晶シリコン系感光体
    製造方法。
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