JPH0995891A - 紙用ポリエステル繊維 - Google Patents

紙用ポリエステル繊維

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JPH0995891A
JPH0995891A JP27514595A JP27514595A JPH0995891A JP H0995891 A JPH0995891 A JP H0995891A JP 27514595 A JP27514595 A JP 27514595A JP 27514595 A JP27514595 A JP 27514595A JP H0995891 A JPH0995891 A JP H0995891A
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Kazuo Matsuda
一男 松田
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比佐志 凪
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水分散性に優れ、水に分散させた時に発泡が
なく、均一性、風合(地合い)及び紙強力に優れる紙を
抄造により製造することのできる紙用ポリエステル繊維
を提供すること。 【解決手段】 (A)分子量300〜4000のポリオキシアルキ
レン脂肪酸アミド、(B)分子量700〜8000のポリオキシア
ルキレントリグリセリド、(C)分子量500〜6000のポリオ
キシアルキレンスチレン化フェニルエーテル及び(D)分
子量1000〜15000のポリカルボン酸塩を、数式;{a/(a
+b+c)}×100=10〜30(重量%)、数式;{b/(a+b+
c)}×100=20〜80(重量%)、数式;{c/(a+b+c)}×
100=10〜50(重量%)、数式;a:c=1:0.2〜1:3、
及び数式(a+b+c):d=20:80〜80:20[式中、a=
成分(A)の重量、b=成分(B)の重量、c=成分(C)の重
量、d=成分(D)の重量]を満足する割合で含有する分
散剤をポリエステル繊維に付着させて紙用ポリエステル
繊維を調製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は紙用ポリエステル繊
維、該ポリエステル繊維を用いてなる紙および紙用ポリ
エステル繊維の分散剤に関する。より詳細には、本発明
は、抄造によってポリエステル繊維紙やポリエステル繊
維と他の繊維との混抄紙を製造する際に、分散性が良好
で、そのため均一性に優れ、良好な風合および紙強力を
有する紙を得ることのできる紙用ポリエステル繊維、該
ポリエステル繊維を用いて得られる紙、および紙用ポリ
エステル繊維の分散剤に関する。
【0002】
【従来の技術】化合繊紙の製造に当たっては、従来から
ビニロン、ポリプロピレン系繊維、ポリアクロニトリル
系繊維が広く用いられてきたが、近年、化合繊紙に対し
て一層高い性能が求められるようになっており、それと
同時にコストの低減も要求されている。そのため、化合
繊紙のうちで、独特の柔軟性に優れる風合を有し、しか
も湿潤時の寸法安定性に優れ、コストも安いポリエステ
ル繊維紙の開発が色々試みられるようになっている。
【0003】抄造によってポリエステル繊維紙を製造す
るに当たっては、ポリエステル繊維の水分散性が良いこ
とが繊維の分散不良・団塊化に伴うブツの発生がなくて
均一性に優れ、風合が良好で、しかも強力の大きい紙を
得る上で重要な要件となっている。抄紙用のポリエステ
ル繊維などの分散剤としては、従来、水溶性ポリウレタ
ン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはそれら
の混合物が用いられていたが、そのいずれもが繊維に充
分に良好な分散性を付与することができず、強力に優れ
るポリエステル繊維紙などを得ることができなかった。
【0004】また、上記以外にも、テレフタル酸および
/またはイソフタル酸と低級アルキレングリコールより
なるポリエステルブロックと、ポリアルキレングリコー
ルおよび/またはそのモノエーテルからなるポリエーテ
ルブロックとからなるポリエステル/ポリエーテルブロ
ック共重合体を抄紙用ポリエステル繊維に付着させて繊
維の水分散性を向上させる方法(特開昭58−2084
99号公報および特開昭58−208500号公報)、
テレフタル酸単位および/またはイソフタル酸単位並び
に低級アルキレングリコール単位から主としてなるポリ
エステルにエステル形成性スルホン酸アルカリ金属塩単
位(例えば5−スルホイソフタル酸ナトリウム単位な
ど)を共重合させてなる共重合ポリエステルを抄紙用ポ
リエステル繊維に付着させて繊維の水分散性を向上させ
る方法(特公平3−33837号公報)などが提案され
ている。
【0005】そして、ポリエステルブロック/ポリエー
テルブロック共重合体を用いたり、共重合ポリエステル
を用いる上記した従来法による場合は、ポリエステル繊
維の繊維長が10mm未満であったり、繊度が大きい場
合は、ポリエステル繊維の分散性をある程度向上させる
ことができ、それによって紙の強力、地合いをある程度
向上させることができる。しかし、ポリエステル繊維の
繊維長が10mm以上と長くなったり、繊度が0.5デ
ニール以下になると、繊維の水分散性が不良となり、均
一性、地合い、強力などに優れるポリエステル繊維紙が
得られない。
【0006】また、アスペクト比の大きなポリエステル
繊維を分散させて抄紙することを目的として、繊維スラ
リーに起泡性の高い界面活性剤を混合して強撹拌して起
泡させ、起泡状態でそのまま抄造し、その後に消泡剤を
用いて消泡する方法が提案されている(特開平4−35
2897号公報)。しかしながら、この方法による場合
は、起泡工程およびその後の消泡工程が必要であり、そ
のため工程が複雑になって、工程管理が簡単に行えず、
しかも生産性が低くなると欠点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、均一
性、風合(地合い)、紙強力などの特性に優れる高品質
のポリエステル繊維紙やポリエステル繊維と他の繊維と
の混抄紙を得ることのできる、水分散性に優れる紙用ポ
リエステル繊維を提供することである。そして、本発明
の目的は、ポリエステル繊維のアスペクト比の大小など
に拘わらず、上記した優れる特性を有するポリエステル
繊維紙やポリエステル繊維と他の繊維との混抄紙を簡単
な工程で且つ生産性よく製造することのできる、水分散
性が良好で且つ発泡の生じない、紙用ポリエステル繊
維、およびそのための分散剤を提供することである。さ
らに、本発明の目的は、均一性、風合(地合い)、紙強
力などの特性に優れるポリエステル繊維紙およびポリエ
ステル繊維と他の繊維との混抄紙を提供することであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明者らは種々の点から検討を重ねてきた。そ
の結果、特定の分子量のポリオキシアルキレン脂肪酸ア
ミド、特定の分子量のポリオキシアルキレントリグリセ
リド、特定の分子量のポリオキシアルキレンスチレン化
フェニルエーテルおよび特定の分子量のポリカルボン酸
塩の4者を特定の割合で含有する分散剤を形成し、その
分散剤をポリエステル繊維に付着させると、水分散性に
極めて優れる紙用ポリエステル繊維が得られること、そ
してそのポリエステル繊維を用いて抄造によって紙を製
造すると、均一性、地合いなどの風合、紙強力などに優
れるポリエステル繊維紙またはポリエステル繊維と他の
繊維との混抄紙が得られることを見出した。さらに、本
発明者らは、上記した分散剤を用いた場合には、ポリエ
ステル繊維を分散させた抄紙用水性スラリーに発泡が生
じず、そのためスラリーの消泡処理を行わなくても、繊
維の分散不良・団塊化にともなうブツなどの発生のな
い、良好な外観を有する、均一性、地合いなどの特性に
優れる紙が得られることを見出し、それらの知見に基づ
いて本発明を完成した。
【0009】すなわち、本発明は、(A)分子量300
〜4000のポリオキシアルキレン脂肪酸アミド、
(B)分子量700〜8000のポリオキシアルキレン
トリグリセリド、(C)分子量500〜6000のポリ
オキシアルキレンスチレン化フェニルエーテルおよび
(D)分子量1000〜15000のポリカルボン酸塩
を、下記の数式〜;
【0010】
【数3】 {a/(a+b+c)}×100=10〜30(重量%) {b/(a+b+c)}×100=20〜80(重量%) {c/(a+b+c)}×100=10〜50(重量%) a:c=1:0.2〜1:3 (a+b+c):d=20:80〜80:20 (式中、a=ポリオキシアルキレン脂肪酸アミドの重量 b=ポリオキシアルキレントリグリセリドの重量 c=ポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテル
の重量 d=ポリカルボン酸塩の重量)を満足する割合で含有す
る分散剤を付着させたことを特徴とする紙用ポリエステ
ル繊維である。そして、本発明は、前記紙用ポリエステ
ル繊維を用いて得られる紙を包含し、ここでいう紙には
ポリエステル繊維紙、及びポリエステル繊維と他の繊維
との混抄紙の両方が含まれる。
【0011】そして、本発明は、(A)分子量300〜
4000のポリオキシアルキレン脂肪酸アミド[以下こ
れを「成分(A)」ということがある]、(B)分子量
700〜8000のポリオキシアルキレントリグリセリ
ド[以下これを「成分(B)」ということがある]、
(C)分子量500〜6000のポリオキシアルキレン
スチレン化フェニルエーテル[以下これを「成分
(C)」および(D)分子量1000〜15000のポ
リカルボン酸塩[以下これを「成分(D)」ということ
がある]を、下記の数式〜;
【0012】
【数4】 {a/(a+b+c)}×100=10〜30(重量%) {b/(a+b+c)}×100=20〜80(重量%) {c/(a+b+c)}×100=10〜50(重量%) a:c=1:0.2〜1:3 (a+b+c):d=20:80〜80:20 [式中、a=成分(A)の重量、b=成分(B)の重
量、c=成分(C)の重量およびd=成分(D)の重
量]を満足する割合で含有することを特徴とする紙用ポ
リエステル繊維の分散剤である。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。上記したように、本発明のポリエステル繊維用の
分散剤は成分(A)〜成分(D)の4つの成分を含んで
いることが必要である。これらの成分のうちで、成分
(A)と成分(B)は、ポリエステル繊維の表面を親水
性にしてポリエステル繊維の水分散性を向上させる働き
を有し、また成分(C)と成分(D)はポリエステル繊
維を親水性にすると同時に、ポリエステル繊維−ポリエ
ステル繊維間の摩擦係数、また他の繊維を併用する場合
はポリエステル繊維と他の繊維との間の摩擦係数を大き
くして、紙強力を向上させる働きを有する。
【0014】本発明の分散剤において、成分(A)とし
て用いるポリオキシアルキレン脂肪酸アミドは、脂肪酸
とアミンとの反応により得られる脂肪酸アミドの窒素原
子に対して、または窒素原子に結合したアルカノール基
の水酸基に対して、ポリオキシアルキレン基(ポリアル
キレンオキサイド基)が結合した脂肪酸アミドエーテル
である。
【0015】成分(A)の製造に用いられる上記の脂肪
酸の好ましい例としては炭素数8〜22の飽和脂肪酸お
よび不飽和脂肪酸が挙げられ、これらの脂肪酸は単独で
使用してもまたは2種以上を用いてもよい。また、成分
(A)の製造に用いられる上記したアミンの例として
は、モノアルキルアミン(メチルアミン、エチルアミ
ン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、
ヘプチルアミン、オクチルアミンなどのようなアルキル
アミン)、モノアリールアミン(アニリンなど)、モノ
アラルキルアミン(ベンジルアミンなど)、モノアルカ
ノールアミン(モノエタノールアミン、モノプロパノー
ルアミン、モノブタノールアミンなど)、ジアルカノー
ルアミン(ジエタノールアミン、ジプロパノールアミ
ン、ジブタノールアミンなど)、アルキレンジアミン
(エチレンジアミン、プロピレンジアミンなど)、ジア
ルキレントリアミン(ジエチレントリアミンなど)、ト
リアルキレンテトラミン(トリエチレンテトラミンな
ど)などが挙げられ、これらのアミンは単独で使用して
もまたは2種以上を用いてもよい。それらのうちでも、
アミンとしてはトリエチレンテトラミンやステアリルア
ミンを用いるのが好ましい。
【0016】また、成分(A)における、ポリアルキレ
ンオキサイド基(ポリオキシアルキレン基)としては、
ポリプロピレンオキサイド基、ポリエチレンオキサイド
基、プロピレンオキサイド/エチレンオキサイドランダ
ム共重合体基、ポリプロピレンオキサイドブロック/ポ
リエチレンオキサイドブロックよりなるブロック共重合
体基などを挙げることができ、そのうちでも、ポリプロ
ピレンオキサイドブロック/ポリエチレンオキサイドブ
ロックよりなるブロック共重合体基であるのが好まし
い。本発明で用いる成分(A)においては、通常、アル
キレンオキサイド基(通常エチレンオキサイド基および
/またはプロピレンオキサイド基)が約5〜30モル程
度結合している。
【0017】そして、成分(A)として用いるポリオキ
シアルキレン脂肪酸アミドは、分子量が300〜400
0であることが必要であり、600〜1500であるの
が好ましく、1000前後であるのが一層好ましい。成
分(A)の分子量が前記した300〜4000の範囲か
ら外れると、ポリエステル繊維の表面を充分に親水性に
することができず、ポリエステル繊維の水分散性が不良
になり、またポリエステル繊維の抄造時に発泡が大きく
なって均一な分散を得ることができなくなり、得られる
ポリエステル繊維紙やポリエステル繊維と他の繊維との
混抄紙に、繊維の分散不良・団塊化によるブツが多く発
生して、紙の外観、地合い、強力が不良なものとなる。
【0018】また、本発明で成分(B)として用いるポ
リオキシアルキレントリグリセリドは、ヒマシ油、ナタ
ネ油、大豆油などのような水酸基を有するトリグリセリ
ドの水酸基に対して、ポリオキシアルキレン基(ポリア
ルキレンオキサイド基)が結合したトリグリセリドエー
テルである。成分(B)におけるポリアルキレンオキサ
イド基(ポリオキシアルキレン基)としては、ポリプロ
ピレンオキサイド基、ポリエチレンオキサイド基、プロ
ピレンオキサイド/エチレンオキサイドランダム共重合
体基、ポリプロピレンオキサイドブロック/ポリエチレ
ンオキサイドブロックよりなるブロック共重合体基など
を挙げることができ、そのうちでも、ポリプロピレンオ
キサイドブロック/ポリエチレンオキサイドブロックよ
りなるブロック共重合体基であるのが好ましい。本発明
で用いる成分(B)においては、通常、アルキレンオキ
サイド基(通常エチレンオキサイド基および/またはプ
ロピレンオキサイド基)が約10〜70モル程度結合し
ている。
【0019】そして、成分(B)として用いるポリオキ
シアルキレントリグリセリドは、分子量が700〜80
00であることが必要であり、1500〜4000ある
のが好ましく、2000前後であるのが一層好ましい。
成分(B)の分子量が700未満であると、ポリエステ
ル繊維の表面を充分に親水性にすることができず、ポリ
エステル繊維の水分散性が不良になって、均一性、地合
い、強力に優れる紙が得られなくなり、しかも繊維摩擦
係数が低下する傾向がある。一方、成分(B)の分子量
が8000を超えると分散剤中での分散性が低下する。
【0020】また、本発明で成分(C)として用いるポ
リオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテルは、ス
チリル基が1個、2個または3個結合しているフェニル
基に対してポリオキシアルキレン基(ポリアルキレンオ
キサイド基)がエーテル結合をなして結合しているスチ
レン化フェニルエーテルである。成分(C)において、
そのフェニル基にエーテル結合しているポリアルキレン
オキサイド基(ポリオキシアルキレン基)としては、ポ
リプロピレンオキサイド基、ポリエチレンオキサイド
基、プロピレンオキサイド/エチレンオキサイドランダ
ム共重合体基、ポリプロピレンオキサイドブロック/ポ
リエチレンオキサイドブロックよりなるブロック共重合
体基などを挙げることができ、そのうちでも、ポリプロ
ピレンオキサイドブロック/ポリエチレンオキサイドブ
ロックよりなるブロック共重合体基であるのが好まし
い。本発明で用いる成分(D)においては、通常、アル
キレンオキサイド基(通常エチレンオキサイド基および
/またはプロピレンオキサイド基)が約10〜70モル
程度結合している。
【0021】そして、成分(C)として用いるポリオキ
シアルキレンスチレン化フェニルエーテルはその分子量
が500〜6000であることが必要であり、1000
〜3000あるのが好ましく、1500前後であるのが
一層好ましい。成分(C)の分子量が500未満である
と、ポリエステル繊維の表面を充分に親水性にすること
ができずポリエステル繊維の水分散性が不良になり、ま
た繊維間の摩擦係数を高くすることができず、均一性、
地合い、強力に優れる紙が得られなくなる。一方、成分
(C)の分子量が6000を超えると、分散剤表面の消
泡効果が低下する。
【0022】また、本発明で成分(D)として用いるポ
リカルボン酸塩は、アクリル酸、メタクリル酸、クロト
ン酸、オレイン酸などの不飽和モノカルボン酸;マレイ
ン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸などの不飽
和ジカルボン酸またはその無水物のうちの1種または2
種を以上重合して得られるポリカルボン酸のカルボキシ
ル基をナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ
金属の塩、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土
類金属の塩にしたものである。そのうちでも、成分
(D)としては上記したポリカルボン酸のカリウム塩お
よびナトリウム塩が好ましく用いられる。
【0023】そして、成分(D)として用いるポリカル
ボン酸塩はその分子量が1000〜15000であるこ
とが必要であり、2000〜10000あるのが好まし
く、5000前後であるのが一層好ましい。成分(D)
の分子量が前記した1000〜15000の範囲から外
れると、ポリエステル繊維の表面を充分に親水性にする
ことができず、ポリエステル繊維の水分散性が不良にな
り、またポリエステル繊維の抄造時に発泡が大きくなっ
て均一な分散を得ることができなくなって、繊維の分散
不良・団塊化によるブツが発生して、紙の地合い、均一
性、強力が不良になる。
【0024】そして、本発明で用いる分散剤において
は、分散剤における成分(A)〜成分(D)の含有割合
が、下記の数式〜;
【0025】
【数5】 {a/(a+b+c)}×100=10〜30(重量%) {b/(a+b+c)}×100=20〜80(重量%) {c/(a+b+c)}×100=10〜50(重量%) a:c=1:0.2〜1:3 (a+b+c):d=20:80〜80:20 [式中、a=成分(A)の重量、b=成分(B)の重
量、c=成分(C)の重量およびd=成分(D)の重
量]を満足することが必要である。
【0026】成分(A)〜成分(D)の含有割合が、上
記した数式〜の範囲から外れると、ポリエステル繊
維の水分散性が不良となり、しかもポリエステル繊維を
含む抄紙原料の発泡が大きくなって、均一性、地合い、
紙強力などの特性に優れるポリエステル繊維紙が得られ
なくなる。ポリエステル繊維の水分散性、発泡の防止、
得られるポリエステル繊維紙や混抄紙の品質の点から、
成分(A)、成分(B)および成分(C)の合計重量に
基づいて、成分(A)の重量(a)が20重量%前後、
成分(B)の重量(b)が50重量%前後および成分
(C)の重量(c)が30重量%前後であり、しかも
(a+b+c):d=40:60〜70:30であるの
が好ましい。
【0027】そして、上記の成分(A)〜成分(D)を
上記の数式〜を満足する割合で使用して紙用ポリエ
ステル繊維に付着させるための分散剤を調製する。分散
剤は通常水性分散液の形態にしておくとよく、該水性分
散液は成分(A)〜成分(D)のみを含有していても、
または必要に応じて少量の他の界面活性剤、シリコン系
消泡剤、非シリコン系消泡剤(例えばポリエーテル系消
泡剤)、有機溶媒などの他の成分を含んでいてもよい。
ただし、シリコン系消泡剤を用いる場合は多量に用いる
と得られるポリエステル繊維紙にシリコンが残留してト
ラブルを生ずることがあるので注意を要する。
【0028】水性分散液の形態にした分散剤において
は、成分(A)〜成分(D)の合計量が、水性分散液の
全重量に基づいて約5〜50重量%程度になるようにし
ておくのが好ましく、その場合には分散剤の水性分散液
の粘度が適当なものとなって、取り扱い性が良好にな
り、しかもポリエステル繊維に所要量の成分(A)〜成
分(D)を均一に良好な工程性で付着させることができ
る。
【0029】ポリエステル繊維に対する分散剤の付着量
は、ポリエステル繊維の重量に基づいて、成分(A)〜
成分(D)の合計重量で0.1重量%〜2.0重量%で
あるのが好ましく、0.4〜1.0重量%であるのがよ
り好ましい。分散剤の付着量が0.1重量%未満である
と、ポリエステル繊維に良好な水分散性を付与すること
ができにくくなり、均質性、地合い、紙強力に優れるポ
リエステル繊維紙が得られにくくなる。一方ポリエステ
ル繊維への分散剤の付着量が2.0重量%を超えてもポ
リエステル繊維の水分散性は2.0重量%以下の場合と
比べてそれほど良好にはならず、分散剤の多量使用に伴
ってコストが高くなり不経済である。
【0030】ポリエステル繊維への分散剤の付着方法は
特に制限されず、ポリエステル繊維の表面に均一に付着
させ得る方法であればいずれでもよい。ポリエステル繊
維に分散剤を付着させるに当たっては、例えば、ポリエ
ステル繊維の紡糸または紡糸・延伸後であって巻取る前
の長繊維の段階で付着させる方法、ポリエステル繊維を
巻取った後に再度巻き戻しながら長繊維の状態で付着さ
せる方法、ポリエステル繊維を短繊維に切断した後に付
着させる方法などを採用することができ、その際の分散
剤の付着方法としてはロール塗布法、スリットノズル付
与法、ジェットノズル内を通過させて糸条の全周から塗
布する方法、浸漬法、スプレーノズルによる方法などを
行うことができる。
【0031】そして、上記によって分散剤を付着された
本発明の紙用ポリエステル繊維が得られる。分散剤の水
性分散液を付着させたポリエステル繊維は、そのまま湿
潤した状態で直接抄紙に用いても、または一旦乾燥処理
してから抄紙に用いてもよい。分散剤の水性分散液をポ
リエステル繊維に付着させた後に、乾燥処理して水分を
除いて得られるポリエステル繊維は、取り扱い性に優れ
ており、安定した状態で、貯蔵、流通、販売することが
できる。
【0032】また、本発明で用いる紙用ポリエステル繊
維としては、ポリエステル繊維紙で用い得ることが知ら
れているポリエステル繊維であればいずれでもよく、特
に制限されないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
ブチレンテレフタレート、或いはエチレンテレフタレー
ト単位および/またはブチレンテレフタレート単位を主
たる構成単位としこれに少量の他の共重合単位を含有さ
せたコポリエステルであるのが好ましく用いられ、特に
ポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。
【0033】ポリエステル繊維として、エチレンテレフ
タレート単位および/またはブチレンテレフタレート単
位を主とするコポリエステルを用いる場合は、コポリエ
ステル中における他の共重合単位の割合が10モル%以
下であるのが好ましく、その際の他の共重合単位の例と
しては、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタリン
ジカルボン酸、5−アルカリ金属スルホイソフタル酸な
どの芳香族カルボン酸;シュウ酸、アジピン酸、アゼラ
イン酸、セバシン酸などの脂肪族カルボン酸;トリメリ
ット酸、ピロメリット酸などの多官能性カルボン酸;ま
たはそれらのエステル形成性成分に由来するカルボン酸
単位;ジエチレングリコール、プロピレングリコール、
1,4−ブタンジオール、ポリエチレングリコール、グ
リセリン、ペンタエリスリトールなどから誘導される単
位を挙げることができる。そして、コポリエステルは前
記した共重合単位の1種または2種以上を含んでいるこ
とができる。
【0034】本発明では、紙用ポリエステル繊維に用い
るポリエステルの粘度や分子量などは特に制限されない
が、一般に、ウベローデ型粘度計を用いて、フェノール
とテトラクロロエタン等量混合溶液中、30℃で測定し
たときに、その極限粘度[η]が0.40〜0.65g
/dlのポリエステルを使用するのが、得られるポリエ
ステル紙の強力、地合い、均一性などの点から好まし
い。
【0035】また、紙用ポリエステル繊維は、その繊維
長が3〜40mm程度であるのが、ポリエステル繊維の
水分散性、抄造性、得られる紙の強力、風合、均一性な
どの点から好ましく、5〜20mm程度であるのがより
好ましい。そして、紙用ポリエステル繊維は、その単繊
維繊度が約0.1〜10デニール程度であるのが、ポリ
エステル繊維の水分散性、抄造性、得られるポリエステ
ル繊維紙の強力、風合、均一性、湿潤強力などの点から
好ましい。また、限定されるものではないが、紙用ポリ
エステル繊維は、繊維長/繊維径で表されるアスペクト
比が、約100〜5000程度であるのが、水分散性、
抄造性、得られるポリエステル繊維紙の均一性、風合、
紙強力、湿潤強力などの点から好ましい。そして、ポリ
エステル繊維としては、通常の丸形断面のものが好まし
く用いられるが、それに限定されるものではなく、場合
によっては、例えば楕円形、三角形、方形、多角形、多
葉形、アレイ形、V字形、T字形などの異形断面繊維で
あってもよい。
【0036】また、ポリエステル繊維は必要に応じて、
艶消剤、帯電防止剤、消臭剤、芳香剤、光安定剤、酸化
防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、染顔料、蛍光増白剤、
蓄熱剤などの1種または2種以上を含有していてもよ
い。
【0037】そして、紙の製造に当たっては、上記で得
られる分散剤を付着させた紙用ポリエステル繊維を単独
で用いて抄造を行っても、または他の繊維を併用して混
抄紙を製造してもよい。他の繊維と混抄する場合は、レ
ーヨン、パルプ、ビニロン、アクリル繊維、ポリアミド
繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリエ
チレン/ポリプロピレン複合繊維、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体繊維、ポリ塩化ビニル繊維、塩化ビニル−酢
酸ビニル共重合体繊維などの繊維を用いることができ、
これらの繊維は単独でポリエステル繊維と併用してもま
たは2種以上を用いてもよい。他の繊維と混抄する場合
は、他の繊維の使用割合は特に制限されず、目的とする
紙の種類、性質、用途などに応じて適宜決めることがで
き、ポリエステル繊維の方が多くても、他の繊維の方が
多くても、またはポリエステル繊維と他の繊維が同量程
度であってもよい。そして、ポリエステル繊維の柔軟
性、寸法安定性、耐熱性などの特性を活かした紙を得た
い場合は、一般に、ポリエステル繊維および他の繊維の
合計重量に基づいて、他の繊維の割合を50重量%以下
にするとよい。
【0038】また、場合によっては、バインダー繊維を
用いてもよく、その場合のバインダー繊維としては、例
えば易溶性ビニロンとして知られている水溶性ポリビニ
ルアルコール系繊維、水溶性のイソフタル酸共重合ポリ
エステル繊維、延伸処理を施してない低融点ポリエステ
ル繊維などを挙げることができる。バインダー繊維を用
いる場合は、その使用量が、ポリエステル繊維と上記し
た他の繊維(使用する場合)の合計重量に基づいて、約
1〜50重量%程度であるのが好ましい。
【0039】そして、分散剤を付着させた本発明のポリ
エステル繊維を用いて、または場合により他の繊維やバ
インダー繊維と併用して紙を製造するに当たっては、通
常の湿式抄造法に準じて行うことができる。湿式抄造に
当たっては、ポリエステル繊維および場合によりその他
の成分を含有する水性スラリーを調製し、その水性スラ
リーを用いて抄造を行うが、水性スラリーにおける固形
分濃度(ポリエステル繊維や他の固形分の合計濃度)を
約0.1〜10重量%程度にしておくと、抄造性、得ら
れる紙の均一性、地合い、湿潤強力などが良好になるの
で好ましい。 そして、抄造によってウエブ(紙層)を構成した後は、
必要に応じて、その複数枚を重ね、さらに場合により水
流交絡処理などを行ってから、通常の脱水工程および乾
燥工程を行うことによって、均一性および風合に優れ、
しかも強力に優れる紙を得ることができる。その場合
に、乾燥後に熱処理を施すことは必須ではないので、特
別の熱処理装置を必要としない。
【0040】上記により得られる本発明のポリエステル
繊維紙およびポリエステル繊維と他の繊維との混抄紙
は、その優れた特性(特に耐湿性、柔軟性、寸法安定
性、ヒートシール性、均一性、高強力、吸水性、保水性
などの特性)を活かして、各種フィルター、バッテリ
ー、電池セパレーター、ワイパー、水切袋などの多くの
用途に有効に使用することができる。
【0041】
【実施例】以下に本発明について実施例などにより具体
的に説明するが、本発明はそれにより何ら限定されな
い。以下の例では、ポリエステル繊維の水分散性、分散
剤の発泡性および得られるポリエステル繊維紙(ポリエ
ステル繊維/パルプ混抄紙)の強力を、次のようにして
評価または測定した。
【0042】[I]ポリエステル繊維の水分散性: (1) ビーカーに、イオン交換水2000ccを入
れ、これに分散剤を付着させたポリエステル繊維とパル
プ(針葉樹パルプ;平均繊維長約2mm)を両者の重量
比が40/60になるようにして加えて、固形分濃度
0.05重量%の水性スラリーを調製し、プロペラ撹拌
機(回転数200rpm)で1時間撹拌した後、タッピ
ー抄紙機を用いて抄造し、脱水、乾燥して(乾燥温度1
20℃)、縦×横×厚さ=5cm×15cm×0.5m
mのポリエステル繊維/パルプ混抄紙を製造した。 (2) 上記(1)で得られた混抄紙の表面を肉眼で観
察して、繊維の分散不良・団塊化によるブツが生じてい
る箇所の数を数えて、単位面積(75cm2)当たりに
つき、その数が0〜1個の場合を極めて良好(◎)、2
〜5個の場合を良好(○)、そして5個を超える場合を
不良(×)として評価した。
【0043】[II]分散剤の発泡性:家庭用ミキサー
(ナショナル製「MX100」)にイオン交換水100
0ccを入れ、これに分散剤を付着させたポリエステル
繊維1gを入れてポリエステル繊維の水性スラリーをつ
くり、このスラリーを500rpmの回転速度で15分
間撹拌した。それにより得られた撹拌スラリーをビーカ
ーに移し変えて、ポリエステル繊維表面における発泡状
態、およびポリエステル繊維とポリエステル繊維間の発
泡状態を肉眼で観察して、全く発泡が生じていない場合
を極めて良好(◎)、発泡の程度が微量であって殆ど発
泡がないとみなせる場合を良好(○)、そして発泡が紙
全体にわたって発生している状態であって激しい場合を
不良(×)として評価した。
【0044】[III]ポリエステル繊維紙(ポリエステ
ル繊維/パルプ混抄紙)の強力: (1) ビーカーに、イオン交換水2000ccを入
れ、これに分散剤を付着させたポリエステル繊維とパル
プ(針葉樹パルプ;平均繊維長約2mm)を両者の重量
比が40/60になるようにして加えて、固形分濃度
0.05重量%の水性スラリーを調製した。この水性ス
ラリーを用いてリサーマシン抄紙機(三菱リサーマシン
社製「MR−1型」)によって抄造し、湿潤状態にある
ウエブ(紙層)を4枚重ねて水流交絡を行い(水流速度
2m/秒)、脱水、乾燥して(乾燥温度120℃)、厚
さ=0.5mmのポリエステル繊維/パルプ混抄紙(坪
量80g/m2)を製造した。 (2) 上記(1)で得られたポリエステル繊維/パル
プ混抄紙を15cm幅に切り取り、インストロン引張り
試験機を用いて、上記した水流交絡機の進行方向(M
D)およびそれと直角の方向(CD)の強力をそれぞれ
JIS P8113に準じて測定し、それらの積の平方
根[すなわち(MD×CD)1/2]を求めて、紙強力と
した。
【0045】《実施例 1〜14》 (1) 以下の表1に示すように、それぞれの実施例で
使用するために、成分(A)として、ステアリン酸とト
リエチレンテトラミンとからなるアミドの窒素原子に対
してポリプロピレンオキサイドブロック/ポリエチレン
オキサイドブロックよりなるブロック共重合体基が結合
しているポリオキシアルキレンステアリン酸アミドの8
種類を準備した(分子量300〜4000;ポリプロピ
レンオキサイドブロック/ポリエチレンオキサイドブロ
ックよりなるブロック共重合体基におけるプロピレンオ
キサイド単位:エチレンオキサイド単位のモル比はいず
れも約7:3)。 (2) 以下の表1に示すように、それぞれの実施例で
使用するために、成分(B)として、菜種油の水酸基に
対してポリプロピレンオキサイドブロック/ポリエチレ
ンオキサイドブロックよりなるブロック共重合体基が結
合しているポリオキシアルキレントリグリセリドの10
種類を準備した(分子量700〜8000;ポリプロピ
レンオキサイドブロック/ポリエチレンオキサイドブロ
ックよりなるブロック共重合体基におけるプロピレンオ
キサイド単位:エチレンオキサイド単位のモル比はいず
れも約4:6)。
【0046】(3) 以下の表1に示すように、それぞ
れの実施例で使用するために、成分(C)として、モノ
スチリルフェニル基にポリプロピレンオキサイドブロッ
ク/ポリエチレンオキサイドブロックよりなるブロック
共重合体基が結合しているポリオキシアルキレンモノス
チレン化フェニルエーテルの10種類を準備した(分子
量500〜6000;ポリプロピレンオキサイドブロッ
ク/ポリエチレンオキサイドブロックよりなるブロック
共重合体基におけるプロピレンオキサイド単位:エチレ
ンオキサイド単位のモル比はいずれも約6:4)。 (4) 以下の表1に示すように、それぞれの実施例で
使用するために、成分(D)として、ポリアクリル酸ナ
トリウムの14種類を準備した(分子量が1000〜1
5000)。
【0047】(5) イオン交換水に、下記の表1に示
すようにして、上記の(1)で準備した成分(A)の所
定の分子量のもの、成分(B)の所定の分子量のもの、
成分(C)の所定の分子量のものおよび成分(D)の所
定の分子量のものを、[成分(A):成分(B):成分
(C):成分(D)の重量比が下記の表1になるような
割合で添加して、分散剤の水性分散液を調製した[水性
分散液中の成分(A)、成分(B)、成分(C)および
成分(D)の合計濃度30重量%]。
【0048】(6) ポリエチレンテレフタレート(極
限粘度[η]=0.48)を用いて紡糸温度300℃、
引き取り速度1400m/分で溶融紡糸を行った後、温
度90℃で延伸して(延伸倍率300%)、単繊維繊度
0.5デニールのポリエステル繊維を製造した。このポ
リエステル繊維を繊維長15mmに切断した後、上記
(5)で調製した分散剤の水性分散液を繊維に均一に噴
霧して、ポリエステル繊維の重量に基づいて、成分
(A)〜成分(D)がその合計量で0.5重量%の割合
で付着している紙用ポリエステル繊維を製造した。 (7) 上記の(6)で得られた紙用ポリエステル繊維
を用いて、上記[I]に記載した方法にしたがって、ポ
リエステル繊維紙(ポリエステル繊維/パルプ混抄紙)
を製造してポリエステル繊維の水分散性の評価を行った
ところ、下記の表1に示すとおりであった。。また、上
記の(6)で得られた紙用ポリエステル繊維を用いて、
分散剤の発泡性を上記[II]に記載した方法にしたがっ
て評価したところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0049】
【表1】
【0050】上記の表1の結果から、分子量300〜4
000の成分(A)、分子量700〜8000の成分
(B)、分子量500〜6000の成分(C)および分
子量1000〜15000の成分(D)を上記の数式
〜を満足する割合で含有する分散剤を付着させてなる
実施例1〜14で得られる紙用ポリエステル繊維は、水
分散性に優れており、しかも発泡が生じず、そのため、
それから得られるポリエステル繊維紙(ポリエステル繊
維/パルプ混抄紙)は、繊維の分散不良・団塊化による
ブツの発生がなく、均一性に優れていることがわかる。
【0051】《実施例15〜21および比較例1〜7》 (1) 成分(A)として、アジピン酸とステアリルア
ミンとからなるアミドの窒素原子に対してポリプロピレ
ンオキサイドブロック/ポリエチレンオキサイドブロッ
クよりなるブロック共重合体基が結合している分子量1
000のポリオキシアルキレンアジピン酸アミドを準備
した(ポリプロピレンオキサイドブロック/ポリエチレ
ンオキサイドブロックよりなるブロック共重合体基にお
けるプロピレンオキサイド単位:エチレンオキサイド単
位のモル比は7:3)。 (2) 成分(B)として、菜種油の水酸基に対してポ
リプロピレンオキサイドブロック/ポリエチレンオキサ
イドブロックよりなるブロック共重合体基が結合してい
る分子量2000のポリオキシアルキレントリグリセリ
ドを準備した(ポリプロピレンオキサイドブロック/ポ
リエチレンオキサイドブロックよりなるブロック共重合
体基におけるプロピレンオキサイド単位:エチレンオキ
サイド単位のモル比は4:6)。
【0052】(3) 成分(C)として、モノスチリル
フェニル基にポリプロピレンオキサイドブロック/ポリ
エチレンオキサイドブロックよりなるブロック共重合体
基が結合している分子量1500のポリオキシアルキレ
ンモノスチレン化フェニルエーテルを準備した(ポリプ
ロピレンオキサイドブロック/ポリエチレンオキサイド
ブロックよりなるブロック共重合体基におけるプロピレ
ンオキサイド単位:エチレンオキサイド単位のモル比は
6:4)。 (4) 成分(D)として、分子量6000のポリアク
リル酸ナトリウムを準備した。
【0053】(5) イオン交換水1000ccに、上
記の(1)で準備した成分(A)〜成分(D)を下記の
表2に示す重量割合で添加して、分散剤の水性分散液を
調製した[水性分散液の全重量に基づく成分(A)、成
分(B)、成分(C)および成分(D)の合計含量30
重量%]。
【0054】(6) 実施例1の(6)と同様にして製
造した単繊維繊度0.5デニール、繊維長15mmのポ
リエステル繊維に、上記(5)で調製した分散剤の水性
分散液を噴霧して、ポリエステル繊維の重量に基づい
て、成分(A)〜成分(D)がその合計量で0.5重量
%の割合で付着されている紙用ポリエステル繊維を製造
した。 (7) 上記の(6)で得られた紙用ポリエステル繊維
を用いて、上記[I]に記載した方法にしたがってポリ
エステル繊維紙(ポリエステル繊維/パルプ混抄紙)を
製造してポリエステル繊維の水分散性の評価を行ったと
ころ下記の表2に示すとおりの結果であった。また、上
記の(6)で得られた紙用ポリエステル繊維を用いて、
分散剤の発泡性を上記[II]に記載した方法にしたがっ
て評価したところ、下記の表2に示すとおりであった。
さらに、上記の(6)で得られた紙用ポリエステル繊維
を用いて、上記[III]に記載した方法にしたがってポ
リエステル繊維紙(ポリエステル繊維/パルプ混抄紙)
を製造し、その強力を測定したところ、下記の表2に示
すとおりであった。
【0055】
【表2】
【0056】上記の表2の結果から、分子量1000の
成分(A)、分子量2000の成分(B)、分子量15
00の成分(C)および分子量6000の成分(D)を
上記の数式〜を満足する割合で含有する分散剤を付
着させてなる実施例15〜21のポリエステル繊維は、
水分散性に優れており、しかも発泡が生じず、そのため
それから得られるポリエステル繊維紙(ポリエステル繊
維/パルプ混抄紙)は、繊維の分散不良・団塊化による
ブツの発生がなく、均一性に優れており、しかもその紙
強力[(MD×CD)1/2]がいずれも1.76kg/
2以上であって大きな強力を有していることがわか
る。
【0057】それに対して、実施例15〜21における
のと同じ成分(A)〜成分(D)を用いていても、各成
分の含有割合が、上記の数式〜のいずれかを満足し
ていない分散剤を付着させた比較例1〜7のポリエステ
ル繊維は、水分散性に劣っていて、発泡が大きく、その
ためそれから得られるポリエステル繊維紙(ポリエステ
ル繊維/パルプ混抄紙)は、繊維の分散不良・団塊化に
よって多数のブツが発生して、不均一であり、しかも紙
強力[(MD×CD)1/2]がいずれも0.70kg/
2以下であって強力が劣っていることがわかる。
【0058】
【発明の効果】本発明の紙用ポリエステル繊維は、水分
散性に優れており、しかも水に分散させた場合に発泡を
生じないので、本発明のポリエステル繊維を用いてポリ
エステル繊維紙またはポリエステル繊維と他の繊維との
混繊紙を製造した場合には、均一性、風合(地合い)お
よび紙強力に優れる高品質の紙を製造することができ
る。また、本発明の紙用ポリエステル繊維を用いて紙を
製造した場合には、ポリエステル繊維のアスペクト比の
大小などに拘わらず、上記した優れる特性を有する紙
を、消泡工程などを要することなく、簡単な工程で、生
産性よく製造することができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)分子量300〜4000のポリオ
    キシアルキレン脂肪酸アミド、(B)分子量700〜8
    000のポリオキシアルキレントリグリセリド、(C)
    分子量500〜6000のポリオキシアルキレンスチレ
    ン化フェニルエーテルおよび(D)分子量1000〜1
    5000のポリカルボン酸塩を、下記の数式〜; 【数1】 {a/(a+b+c)}×100=10〜30(重量%) {b/(a+b+c)}×100=20〜80(重量%) {c/(a+b+c)}×100=10〜50(重量%) a:c=1:0.2〜1:3 (a+b+c):d=20:80〜80:20 (式中、a=ポリオキシアルキレン脂肪酸アミドの重量 b=ポリオキシアルキレントリグリセリドの重量 c=ポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテル
    の重量 d=ポリカルボン酸塩の重量)を満足する割合で含有す
    る分散剤を付着させたことを特徴とする紙用ポリエステ
    ル繊維。
  2. 【請求項2】 ポリエステル繊維の重量に基づいて、分
    散剤の付着量が前記の成分(A)〜成分(D)の合計重
    量で0.1〜2.0重量%である請求項1の紙用ポリエ
    ステル繊維。
  3. 【請求項3】 請求項1または2の紙用ポリエステル繊
    維を用いてなる紙。
  4. 【請求項4】 (A)分子量300〜4000のポリオ
    キシアルキレン脂肪酸アミド、(B)分子量700〜8
    000のポリオキシアルキレントリグリセリド、(C)
    分子量500〜6000のポリオキシアルキレンスチレ
    ン化フェニルエーテルおよび(D)分子量1000〜1
    5000のポリカルボン酸塩を、下記の数式〜; 【数2】 {a/(a+b+c)}×100=10〜30(重量%) {b/(a+b+c)}×100=20〜80(重量%) {c/(a+b+c)}×100=10〜50(重量%) a:c=1:0.2〜1:3 (a+b+c):d=20:80〜80:20 (式中、a=ポリオキシアルキレン脂肪酸アミドの重量 b=ポリオキシアルキレントリグリセリドの重量 c=ポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテル
    の重量 d=ポリカルボン酸塩の重量)を満足する割合で含有す
    ることを特徴とする紙用ポリエステル繊維の分散剤。
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