JP4633452B2 - 不織布用短繊維及び短繊維不織布 - Google Patents
不織布用短繊維及び短繊維不織布 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4633452B2 JP4633452B2 JP2004361533A JP2004361533A JP4633452B2 JP 4633452 B2 JP4633452 B2 JP 4633452B2 JP 2004361533 A JP2004361533 A JP 2004361533A JP 2004361533 A JP2004361533 A JP 2004361533A JP 4633452 B2 JP4633452 B2 JP 4633452B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fiber
- nonwoven fabric
- fibers
- polylactic acid
- short
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Nonwoven Fabrics (AREA)
- Multicomponent Fibers (AREA)
Description
しかしながら、上記ジメチルシロキサン乳化重合物、アミン変性シリコーン共に制電性付与が十分でなく、さらには親水性を阻害すると共に繊維及び得られた製品に黄変が発生するという問題があった。また、これらは短繊維ではなく長繊維(繊維コード)に関するものであり、不織布の製造工程における静電気の発生による問題点を解決できるものではなかった。
しかしながら、この繊維においても特別な処理剤を用いることにより平滑性や制電性を付与するものであって、操業性やコスト的にも不利になるという問題があった。また、得られる不織布に対するニーズは様々であり、不織布に高機能性を持たせる目的で様々な処理を施すため、繊維に付与された処理剤により、得られた不織布に変色や着色が生じる等の問題もあり、品質面でも不十分であった。
(ア)分子量の異なる2種類以上のポリ乳酸からなる複合繊維であって、高分子量成分であるポリ乳酸Aの数平均分子量(MA)が60000〜100000、低分子量成分であるポリ乳酸Bの数平均分子量(MB)が50000〜90000であり、ポリ乳酸Aの数平均分子量とポリ乳酸Bの数平均分子量との差(MA−MB)が10000〜40000であり、繊維長が1.0〜30mm、単糸繊度が0.3〜40dtex、かつ捲縮が付与されている短繊維であって、単糸の捲縮形態が捲縮部の最大山部において、山部の頂点と隣接する谷部の底点2点を結んだ三角形の高さ(H)と底辺(L)の比(H/L)が下記(1)式を満足することを特徴とする不織布用短繊維。
(1)式:0.01T+0.10 ≦ H/L ≦ 0.02T+0.25
Tは単糸繊度のデシテックス(dtex)数
(イ)(ア)記載の不織布用短繊維を30質量%以上含有することを特徴とする短繊維不織布。
乾式不織布を得る場合、特にエアレイド法で製造する場合には、静電気の発生が多くなる。このエアレイド法に用いられる装置としては、例えば特開平5−9813号公報に開示されているような、複数の回転シリンダーをハウジング内に収納し、これらシリンダーを高速回転させることによってシリンダーの周縁に積極的に空気流を発生させ、この空気流によって繊維成分を所定方向に吹き飛ばし得る装置が挙げられる。そして、このエアレイド法によるウエブ形成(短繊維の解繊、搬送、分散、積層工程の全て)においては、空気流を積極的に発生させているために、繊維同士が摩擦され、また繊維と装置(金属製部材)との摩擦によっても静電気の発生が多くなる。
(1)式:0.01T+0.10≦H/L≦0.02T+0.25
(6)式:0.01T+0.10≦H/L≦0.02T+0.20
(7)式:0.1T+4.8≦捲縮数≦0.2T+6.6
(8)式:0.8T+1.2≦捲縮率≦1.0T+2.8
(4)式:-0.5T+35≦捲縮数≦-2.4T+130
(5)式:-0.3T+40≦捲縮率≦-0.8T+80
ただし、捲縮数は繊維長25mm当たりの捲縮数、Tは単糸繊度のデシテックス(dtex)数
(9)式:-0.8T+50≦捲縮数≦-2.4T+130
(10)式:-0.4T+48≦捲縮率≦-0.8T+80
なお、本発明の繊維においては、得られた不織布に130〜150℃、時間5〜15分程度の熱
処理を箱型乾燥機で行うことによって大部分の潜在捲縮が発現する。
なお、本発明の繊維においては、得られた不織布に130〜150℃、時間5〜15分程度の熱
処理を箱型乾燥機で行うことによって大部分の潜在捲縮が発現する。
(1)融点
示差走査型熱量計(パーキンエルマー社製DSC7)を用い、昇温速度20℃/分で測定した融解吸収曲線の極値を与える温度を融点とした。
(2)相対粘度
フェノールと四塩化エタンとの等質量混合物を溶媒として、温度20℃で測定した。
(3)数平均分子量
テトラヒドロフランを溶媒として、Gel Permeation Chromatography(GPC)法により測定した。充填剤として、Waters社製のStyragel HR #54460、および#44225、Ultrastyragel #10571の3種類を使用し、屈折率計を使用して測定した。
(4)ポリ乳酸のL−乳酸とD−乳酸の含有割合(モル比)
超純水と1Nの水酸化ナトリウムのメタノール溶液の等質量混合溶液を溶媒とし、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法により測定した。カラムにはsumichiral OA6100を使用し、UV吸収測定装置により検出した。
(5)繊度、繊維長、捲縮部のH/L、捲縮数、捲縮率
前記の方法で測定、算出した。
(6)繊維塊の生成
得られた短繊維を図2の簡易空気流撹拌試験機を用い繊維塊の生成を評価した。100gの短繊維を解綿機で予備解繊した後、サンプル送り込み用ブロア3から空気流にて撹拌タンク1に投入し、撹拌用ブロア2から20m/秒の空気流を吹き込み、攪拌タンク1内で1分間撹拌する。攪拌後の繊維をサンプリング口4より0.1g採取し、黒色紙の上に広げ、独立した繊維塊の有無を目視にて評価した。
○:繊維塊が発生していない
△:繊維塊が少量発生している
×:繊維塊が大量発生している
(7)不織布の均一性、嵩高性
〈乾式不織布〉
−均一性−
得られた乾式不織布(潜在捲縮を発現後)の均一性の状態を目視にて観察し、以下のように3段階評価とした。
○:十分に解繊されて均一である
△:部分的に未解繊な部分がある
×:解繊が不十分で不均一である
−嵩高性−
得られた乾式不織布(潜在捲縮を発現後)を20cm×20cmに切り出してサンプルとし、そのサンプル10枚を重ねた上に25cm×25cm×5mmのアクリル板(370g)を載せ、その上に1kgの錘を載せてアクリル板の下面の4辺のそれぞれの辺の中央の高さを測定し、4点の平均値により以下のように3段階評価とした。
○:高さが25.0mm以上である
△:高さが15.0mm以上25.0mm未満である
×:高さが15.0mm未満である
〈湿式不織布〉
−均一性−
得られた湿式不織布(潜在捲縮を発現後)の均一性の状態を目視にて観察し以下のように3段階評価とした。
○:十分に分散しており均一である
△:部分的に分散の悪い部分がある
×:分散が不十分で不均一である
−嵩高性−
得られた湿式不織布(潜在捲縮を発現後)を20cm×20cmに切り出してサンプルとし、そのサンプルを10枚重ねた上に25cm×25cm×5mmのアクリル板(370g)を載せ、その上に1kgの錘を載せてアクリル板の下面の4辺のそれぞれの辺の中央の高さを測定し、4点の平均値により以下のように3段階評価とした。
○:高さが20.0mm以上である
△:高さが12.0mm以上20.0mm未満である
×:高さが12.0mm未満である
ポリ乳酸Aとして、L−乳酸とD−乳酸の共重合体であって、L−乳酸の共重合割合が98.8モル%、数平均分子量81200、相対粘度1.850、融点168℃であるポリ乳酸を用い、ポリ乳酸Bとして、L−乳酸とD−乳酸の共重合体であって、L−乳酸の共重合割合が98.8モル%、数平均分子量60000、相対粘度1.620、融点168℃であるポリ乳酸を用いた。これらを通常の複合溶融紡糸装置を用い、紡糸温度220℃、吐出量430g/min、紡糸速度1000m/minの条件で、ホール数713の丸型断面のノズルで紡出し、ポリ乳酸Aとポリ乳酸Bが質量比率1/1でサイドバイサイド型に貼り合わされた形状の複合繊維とした。
得られた未延伸糸を12.3ktexのトウに集束した後、延伸倍率2.75倍、延伸温度60℃で延伸を行い、押し込み式クリンパーで捲縮付与条件をニップ圧0.33MPa、スタフィング圧0.10MPaとして、捲縮を付与した。その後、仕上げ油剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテルを主成分とする通常用いられる紡績用油剤を0.2%となるように付与した後、切断して単糸繊度2.2dtex、繊維長5mmの短繊維を得た。
得られた短繊維を図3に示す簡易エアレイド試験機を用い、以下のようにして目付50g/m2の乾式不織布を得た。主体繊維として得られた短繊維を用い、バインダー繊維としては参考例1に示すものを用い、主体繊維とバインダー繊維を質量比(主体繊維/バインダー繊維)60/40とした。
まず、試料投入ブロア13より投入された主体繊維及びバインダー繊維は、解繊翼回転モータ15により解繊翼回転用スプロケット16を介して回転する、それぞれ5枚1組の第1解繊翼11と第2解繊翼12で解繊され飛散落下させた。落下する短繊維を、下部にあるサクションボックス14で吸引しつつ、矢印方向に移動する集綿コンベア17の上に堆積させウェブを作成し、下流にある熱処理機18にて熱処理を施し(熱処理温度:140℃)、乾式不織布を得た。このとき、不織布の目付調整は、集綿コンベア17の移動速度を変化させることで行った。
その後、得られた乾式不織布を、温度150℃、時間10分の熱処理を箱型乾燥機で行い、短繊維の潜在捲縮を発現させた乾式不織布を得た。
押し込み式クリンパーで捲縮を付与する条件を表1、2に示すように種々変更し、表1、2に示す捲縮形態、捲縮数、捲縮率のものとした以外は、実施例1と同様に行って短繊維を得た。さらに、実施例1と同様にして乾式不織布を得、その後、得られた乾式不織布を実施例1と同様の熱処理を行って、短繊維の潜在捲縮を発現させた乾式不織布を得た。
実施例1と同様のポリ乳酸A、Bを用い、通常の複合溶融紡糸装置で、紡糸温度220℃、吐出量347g/min、紡糸速度650m/minの条件で、ホール数120の丸型断面のノズルで紡出し、ポリ乳酸Aとポリ乳酸Bは質量比率1/1のサイドバイサイド型の貼り合わせ形状の複合繊維とした。
得られた未延伸糸を13.8ktexのトウに集束した後、延伸倍率4.03倍、延伸温度70℃で延伸を行い、押し込み式クリンパーで捲縮付与条件をニップ圧0.41MPa、スタフィング圧0.34MPaとして、捲縮を付与した。その後、仕上げ油剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテルを主成分とする通常用いられる紡績用油剤を0.2%となるように付与した後、切断して単糸繊度11dtex、繊維長5mmの短繊維を得た。
得られた短繊維を主体繊維とし、バインダー繊維に参考例2の繊維を用いた以外は実施例1と同様にして乾式不織布を得、その後、得られた乾式不織布を実施例1と同様の熱処理を行って、短繊維の潜在捲縮を発現させた乾式不織布を得た。
押し込み式クリンパーで捲縮を付与する条件を表1、2に示すように種々変更し、表1、2に示す捲縮形態、捲縮数、捲縮率のものとした以外は、実施例10と同様に行い短繊維を得た。さらに、実施例10と同様にして乾式不織布を得、実施例10と同様の熱処理を行い、短繊維の潜在捲縮を発現させた乾式不織布を得た。
実施例1と同様のポリ乳酸A、Bを用い、通常の複合溶融紡糸装置で、紡糸温度220℃、吐出量237g/min、紡糸速度700m/minの条件で、ホール数40の丸型断面のノズルで紡出し、ポリ乳酸Aとポリ乳酸Bは質量比率1/1のサイドバイサイド型の貼り合わせ形状の複合繊維とした。
得られた未延伸糸を14.0ktexのトウに集束した後、延伸倍率3.85倍、延伸温度70℃で延伸を行い、押し込み式クリンパーで捲縮付与条件をニップ圧0.50MPa、スタフィング圧0.45MPaとして、捲縮を付与した。その後、仕上げ油剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテルを主成分とする通常用いられる紡績用油剤を0.2%となるように付与した後、切断して単糸繊度22dtex、繊維長5mmの短繊維を得た。
得られた短繊維を主体繊維とし、バインダー繊維に参考例2の繊維を用いた以外は実施例1と同様にして乾式不織布を得、その後、得られた乾式不織布を実施例1と同様の熱処理を行って、短繊維の潜在捲縮を発現させた乾式不織布を得た
押し込み式クリンパーで捲縮を付与する条件を表1、2に示すように種々変更し、表1、2に示す捲縮形態、捲縮数、捲縮率のものとした以外は、実施例18と同様に行い短繊維を得た。さらに、実施例18と同様にして乾式不織布を得、実施例18と同様の熱処理を行って、短繊維の潜在捲縮を発現させた乾式不織布を得た。
切断時の繊維長を変更し、表1、2に示す繊維長とした以外は、実施例1と同様に行って短繊維を得た。さらに実施例1と同様にして乾式不織布を得、実施例1と同様の熱処理を行って、短繊維の潜在捲縮を発現させた乾式不織布を得た。
ポリ乳酸として、L−乳酸とD−乳酸の共重合体であって、L−乳酸の共重合割合が98.8モル%、数平均分子量81200、相対粘度1.850、融点168℃であるものを用い、通常の溶融紡糸装置で、紡糸温度225℃、吐出量364g/min、紡糸速度900m/minの条件でホール数518の丸型ノズルから紡出し、未延伸糸を得た。
得られた未延伸糸を12.3ktexのトウに集束した後、延伸倍率3.53倍、延伸温度50℃で延伸を行い、押し込み式クリンパーで捲縮付与条件をニップ圧0.35MPa、スタフィング圧0.09MPaとして捲縮を付与した。その後、仕上げ油剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテルを主成分とする通常用いられる紡績用油剤を0.2%となるように付与した後、切断して単糸繊度2.2dtex、繊維長5mmの短繊維を得た。
さらに、実施例1と同様にして乾式不織布を得、実施例1と同様の熱処理を行って、乾式不織布を得た。
ポリ乳酸A、Bの数平均分子量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に行って短繊維を得た。さらに実施例1と同様にして乾式不織布を得、実施例1と同様の熱処理を行って、短繊維の潜在捲縮を発現させた乾式不織布を得た。
ポリ乳酸Aとして、L−乳酸とD−乳酸の共重合体であって、L−乳酸の共重合割合が98.8モル%、数平均分子量81200、相対粘度1.850、融点168℃であるポリ乳酸を用い、ポリ乳酸Bとして、L−乳酸とD−乳酸の共重合体であって、L−乳酸の共重合割合が90.9モル%、数平均分子量53100、相対粘度1.850、融点130℃であるポリ乳酸を用いた。これらを通常の複合溶融紡糸装置を用い、ポリ乳酸Aを芯、ポリ乳酸Bを鞘成分とし、芯鞘質量比率が1/1となるようにして、紡糸温度225℃、吐出量343g/min、紡糸速度800m/minの条件で、ホール数560の丸型断面のノズルで紡出し、未延伸糸を得た。得られた未延伸糸を12.5ktexのトウに集束した後、延伸倍率3.48倍、延伸温度55℃で延伸を行い、押し込み式クリンパーで捲縮付与条件をニップ圧0.38MPa、スタフィング圧0.07MPaとして捲縮を付与した。その後、仕上げ油剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテルを主成分とする通常用いられる紡績用油剤を0.2質量%の付着量となるように付与した後、切断して単糸繊度2.2dtex、繊維長5mmの短繊維を得た。得られた短繊維は捲縮数6.0個/25mm、捲縮率4.0%であった。
ポリ乳酸A、ポリ乳酸Bに参考例1と同じものを用い、複合紡糸装置を用い、ポリ乳酸Aを芯、ポリ乳酸Bを鞘成分とし、芯鞘質量比率が1/1となるようにして、紡糸温度225℃、吐出量352g/min、紡糸速度650m/minの条件で、ホール数120の丸型断面のノズルで紡出し、未延伸糸を得た。得られた未延伸糸を14.2ktexのトウに集束した後、延伸倍率4.10倍、延伸温度60℃で延伸を行い、押し込み式クリンパーで捲縮付与条件をニップ圧0.37MPa、スタフィング圧0.34MPaとして捲縮を付与した。その後、仕上げ油剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテルを主成分とする通常用いられる紡績用油剤を0.2質量%の付着量となるように付与した後、切断して単糸繊度11dtex、繊維長5mmの短繊維を得た。得られた短繊維は捲縮数8.5個/25mm、捲縮率13.5%であった。
ポリ乳酸A、ポリ乳酸Bに参考例1と同じものを用い、複合紡糸装置を用い、ポリ乳酸Aを芯、ポリ乳酸Bを鞘成分とし、芯鞘質量比率が1/1となるようにして、紡糸温度225℃、吐出量237g/min、紡糸速度700m/minの条件で、ホール数40の丸型断面のノズルで紡出し、未延伸糸を得た。得られた未延伸糸を14.0ktexのトウに集束した後、延伸倍率3.85倍、延伸温度70℃で延伸を行い、押し込み式クリンパーで捲縮付与条件をニップ圧0.47MPa、スタフィング圧0.40MPaとして捲縮を付与した。その後、仕上げ油剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテルを主成分とする通常用いられる紡績用油剤を0.2質量%の付着量となるように付与した後、切断して単糸繊度11dtex、繊維長5mmの短繊維を得た。得られた短繊維は捲縮数10.8個/25mm、捲縮率24.5%であった。
押し込み式クリンパーで捲縮を付与する条件を表2に示すように変更し、表2に示す捲縮形態、捲縮数、捲縮率のものとした以外は、参考例1と同様に行い短繊維を得た。
一方、比較例1、3、5、7、9、11の短繊維は、H/L比が(1)式の範囲より大きいため、いずれも静電気をためやすく、また、繊維の絡みも生じ、玉状の繊維塊が生じた。したがって、これらの短繊維を含有する乾式不織布は不均一で品位の劣るものであった。また、比較例2、4、6、8、10、12の短繊維は、H/L比が(1)式の範囲より小さいため、いずれも繊維同士の及び繊維と機械間の接触点(面)が多くなり、静電気の発生が多くなり玉状の繊維塊が生成した。このため、これらの短繊維を含有する乾式不織布は不均一で品位に劣り、嵩高性も不十分なものであった。
また、比較例13の短繊維は、繊維長が短すぎたため、繊維切断時の摩擦熱で繊維の密着が発生し、不織布を得ることができなかった。比較例14の短繊維は、繊維長が長すぎたため静電気をためやすく、また、繊維の絡みも生じ、玉状の繊維塊が生じたため、この短繊維を含有する乾式不織布は不均一で品位の劣るものであった。比較例15の短繊維は1種類のポリ乳酸からなる単一型の繊維であったため、潜在捲縮発現性能がなく、不織布を得た後、熱処理を施しても捲縮が発現せず、得られた不織布は嵩高性に乏しいものとなった。
それぞれ、実施例1〜7、比較例1〜4、比較例15の短繊維を主体繊維とし、バインダー繊維としては参考例1〜3に示すもの(それぞれ主体繊維と同繊度のもの)を用い、以下のようにして湿式不織布を作成した。
主体繊維とバインダー繊維を質量比(主体繊維/バインダー繊維)60/40とし、パルプ離解機(熊谷理機工業製)に投入し、3000rpmにて1分間攪拌した。その後、得られた試料を抄紙機(熊谷理機工業製角型シートマシン)に移し、アルキルホスフェート金属塩を主成分とする分散油剤を添加した後、付帯の撹拌羽根にて撹拌を行い抄紙をし、湿式不織布ウェブとした。抄紙した25×25cmの湿式不織布ウェブを、温度140℃、時間10分の熱処理を箱型熱風乾燥機で行い、目付50g/mmの湿式不織布を得た。
その後、得られた湿式不織布を、温度150℃、時間10分の熱処理を箱型乾燥機で行い、短繊維の潜在捲縮を発現させた湿式不織布を得た。
得られた湿式不織布の均一性、嵩高性の評価結果を表3に示す。
一方、比較例16で用いた短繊維は、H/L比が(1)式の範囲より大きかったため、さ
らに捲縮数、捲縮率が(2)、(3)式の範囲より大きいため、比較例18で用いた短繊維はH/L比が(1)式の範囲より大きいため、さらに捲縮率が(3)式の範囲より大きいため、いずれも水中分散性が悪く大きな繊維の集束が発生した。したがって、得られた湿式不織布は不均一で品位にも劣るものであった。また、比較例17で用いた短繊維はH/L比が(1)式の範囲より小さいため、さらに捲縮数、捲縮率が(2)、(3)式の範囲より小さいため、比較例19で用いた短繊維はH/L比が(1)式の範囲より小さいため、さらに捲縮率が(3)式の範囲より小さいため、得られた湿式不織布は潜在捲縮発現前、発現後ともに嵩高性が不十分であった。比較例20で用いた短繊維は単一型の繊維であり潜在捲縮発現性能がなかったため、得られた湿式不織布は嵩高性に劣るものであった。
主体繊維として実施例1の短繊維を用い、バインダー繊維として参考例1の短繊維を用い、主体繊維とバインダー繊維の質量比(主体繊維/バインダー繊維)を表4に示すように種々変更した以外は実施例1と同様にして乾式不織布を得た。その後、この乾式不織布に実施例1と同様の熱処理を行って、短繊維の潜在捲縮を発現させた乾式不織布を得た。
主体繊維として実施例1の短繊維を用い、バインダー繊維として参考例4の短繊維を用い、主体繊維とバインダー繊維の質量比(主体繊維/バインダー繊維)を表4に示すように種々変更した以外は実施例1と同様にして乾式不織布を得た。その後、この乾式不織布に実施例1と同様の熱処理を行って、短繊維の潜在捲縮を発現させた乾式不織布を得た。
主体繊維として実施例1の短繊維を用い、バインダー繊維として参考例5の短繊維を用い、主体繊維とバインダー繊維の質量比(主体繊維/バインダー繊維)を表4に示すように種々変更した以外は実施例1と同様にして乾式不織布を得た。その後、この乾式不織布を実施例1と同様の熱処理を行って、短繊維の潜在捲縮を発現させた乾式不織布を得た。
一方、比較例21〜27の短繊維不織布は、本発明の繊維を30質量%以上含有していなかったため、均一性や嵩高性に乏しいものであった。
主体繊維として実施例1の短繊維を用い、バインダー繊維として参考例1の短繊維を用い、主体繊維とバインダー繊維の質量比(主体繊維/バインダー繊維)を表5に示すように種々変更した以外は実施例33と同様にして湿式不織布を得た。その後、この湿式不織布に実施例33と同様の熱処理を行って、短繊維の潜在捲縮を発現させた湿式不織布を得た。
主体繊維として実施例1の短繊維を用い、バインダー繊維として参考例4の短繊維を用い、主体繊維とバインダー繊維の質量比(主体繊維/バインダー繊維)を表5に示すように種々変更した以外は実施例33と同様にして湿式不織布を得た。その後、この湿式不織布に実施例33と同様の熱処理を行って、短繊維の潜在捲縮を発現させた湿式不織布を得た。
主体繊維として実施例1の短繊維を用い、バインダー繊維として参考例5の短繊維を用い、主体繊維とバインダー繊維の質量比(主体繊維/バインダー繊維)を表5に示すように種々変更した以外は実施例33と同様にして湿式不織布を得た。その後、この湿式不織布に実施例33と同様の熱処理を行って、短繊維の潜在捲縮を発現させた湿式不織布を得た。
一方、比較例28〜34の湿式不織布は、本発明の繊維を30質量%以上含有していなかったため、均一性や嵩高性に乏しいものであった。
Claims (5)
- 分子量の異なる2種類以上のポリ乳酸からなる複合繊維であって、高分子量成分であるポリ乳酸Aの数平均分子量(MA)が60000〜100000、低分子量成分であるポリ乳酸Bの数平均分子量(MB)が50000〜90000であり、ポリ乳酸Aの数平均分子量とポリ乳酸Bの数平均分子量との差(MA−MB)が10000〜40000であり、繊維長が1.0〜30mm、単糸繊度が0.3〜40dtex、かつ捲縮が付与されている短繊維であって、単糸の捲縮形態が捲縮部の最大山部において、山部の頂点と隣接する谷部の底点2点を結んだ三角形の高さ(H)と底辺(L)の比(H/L)が下記(1)式を満足することを特徴とする不織布用短繊維。
(1)式:0.01T+0.10 ≦ H/L ≦ 0.02T+0.25
Tは単糸繊度のデシテックス(dtex)数 - 捲縮数と捲縮率が下記(2)及び(3)式を同時に満足する請求項1記載の不織布用短繊維。
(2)式:0.1T+3.8 ≦ 捲縮数≦ 0.3T+7.3
(3)式:0.8T+0.3 ≦ 捲縮率 ≦ 1.0T+4.9
ただし、捲縮数は繊維長25mm当たりの数Tは単糸繊度のデシテックス(dtex)数 - 潜在捲縮発現性能を有し、140℃自由収縮乾熱処理により捲縮を発現させた際の捲縮数と捲縮率が下記(4)及び(5)式を同時に満足する請求項1又は2記載の不織布用短繊維。
(4)式:−0.5T+35 ≦ 捲縮数 ≦ −2.4T+130
(5)式:−0.3T+40 ≦ 捲縮率 ≦ −0.8T+80
ただし、捲縮数は繊維長25mm当たりの数Tは単糸繊度のデシテックス(dtex)数 - 分子量の異なる2種類のポリ乳酸を用い、高分子量成分であるポリ乳酸Aと低分子量成分であるポリ乳酸Bが繊維の横断面形状において貼り合わせられた形状の複合繊維である請求項1〜3いずれかに記載の不織布用短繊維。
- 請求項1〜4いずれかに記載の不織布用短繊維を30質量%以上含有することを特徴とする短繊維不織布。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004361533A JP4633452B2 (ja) | 2004-12-14 | 2004-12-14 | 不織布用短繊維及び短繊維不織布 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004361533A JP4633452B2 (ja) | 2004-12-14 | 2004-12-14 | 不織布用短繊維及び短繊維不織布 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006169654A JP2006169654A (ja) | 2006-06-29 |
JP4633452B2 true JP4633452B2 (ja) | 2011-02-16 |
Family
ID=36670702
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004361533A Active JP4633452B2 (ja) | 2004-12-14 | 2004-12-14 | 不織布用短繊維及び短繊維不織布 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4633452B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4773290B2 (ja) * | 2006-07-07 | 2011-09-14 | ユニチカ株式会社 | ポリ乳酸複合繊維 |
CN113279168B (zh) * | 2021-05-21 | 2022-10-21 | 浙江肤素新材料科技有限公司 | 一种带负离子抑菌功能的功能短纤制备系统及其方法 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006002315A (ja) * | 2004-06-21 | 2006-01-05 | Nippon Ester Co Ltd | 不織布用短繊維及び短繊維不織布 |
-
2004
- 2004-12-14 JP JP2004361533A patent/JP4633452B2/ja active Active
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006002315A (ja) * | 2004-06-21 | 2006-01-05 | Nippon Ester Co Ltd | 不織布用短繊維及び短繊維不織布 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2006169654A (ja) | 2006-06-29 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4831971B2 (ja) | 不織布用短繊維及び短繊維不織布 | |
EP1516079B1 (en) | Polyester staple fiber and nonwoven fabric comprising same | |
EP2279293B1 (en) | Conjugate fiber for air-laid nonwoven fabric manufacture and method for manufacturing a high-density air-laid nonwoven fabric | |
JP4485860B2 (ja) | 不織布用短繊維及び短繊維不織布 | |
JP2011137267A (ja) | 湿式短繊維不織布 | |
JP4357255B2 (ja) | 不織布用短繊維及び短繊維不織布 | |
JP4633452B2 (ja) | 不織布用短繊維及び短繊維不織布 | |
JP4455180B2 (ja) | 不織布用短繊維及び短繊維不織布 | |
JP4351100B2 (ja) | 不織布用短繊維及び短繊維不織布 | |
JP4537701B2 (ja) | 不織布用短繊維及び短繊維不織布 | |
JP4455181B2 (ja) | 不織布用短繊維及び短繊維不織布 | |
JP4783162B2 (ja) | 分割型複合短繊維及び短繊維不織布 | |
JP4791212B2 (ja) | 分割型複合短繊維及び短繊維不織布 | |
JP4704216B2 (ja) | 分割型複合短繊維及び短繊維不織布 | |
JP4791173B2 (ja) | 分割型複合短繊維及び短繊維不織布 | |
JP4783176B2 (ja) | 分割型複合短繊維及び短繊維不織布 | |
JP4787621B2 (ja) | 分割型複合短繊維及び短繊維不織布 | |
JP4783175B2 (ja) | 分割型複合短繊維及び短繊維不織布 | |
JP2833784B2 (ja) | 水分散溶解性能を有する嵩高紙及びその製造方法 | |
JP2003089955A (ja) | 極細繊維不織布およびその製造方法 | |
JP4791156B2 (ja) | 分割型複合短繊維及び短繊維不織布 | |
JP2512579B2 (ja) | 嵩高紙の製造方法 | |
JP2555177B2 (ja) | 嵩高紙及びその製造方法 | |
JP2009215662A (ja) | 不織布用短繊維及び短繊維不織布 | |
JP2003268630A (ja) | 芯鞘型複合短繊維 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20071129 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20100616 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A132 Effective date: 20100727 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20100921 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20101102 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20101117 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4633452 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131126 Year of fee payment: 3 |