JPH0988966A - 転がり軸受の振れを低減する方法と振れを低減した転がり軸受 - Google Patents

転がり軸受の振れを低減する方法と振れを低減した転がり軸受

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JPH0988966A
JPH0988966A JP24942295A JP24942295A JPH0988966A JP H0988966 A JPH0988966 A JP H0988966A JP 24942295 A JP24942295 A JP 24942295A JP 24942295 A JP24942295 A JP 24942295A JP H0988966 A JPH0988966 A JP H0988966A
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JP
Japan
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peripheral surface
shaft
rolling bearing
fitting
peripheral
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Application number
JP24942295A
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English (en)
Inventor
Seizo Miyazaki
晴三 宮崎
Koichi Kawakami
耕一 川上
Fumikatsu Takagi
文勝 高木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 軸2に内輪11a、11aを外嵌固定する事
に伴って生じた軸方向の残留応力を低減し、高速回転時
に振れが発生するのを防止する。 【構成】 軸2に内輪11a、11aを外嵌固定した
後、この軸2の端部に曲げモーメントを付与する等によ
り、嵌合固定部に微小な滑りを生じさせる。これによ
り、軸2と内輪11a、11aとの嵌合固定部に残留す
る応力を低減し、軸2及び内輪11a、11aの軸と直
角方向の歪をなくす。この結果、軸2を回転させても、
この軸2が振れる事がなくなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えばビデオテープ
レコーダ(VTR)用、ハードディスクドライブ(HD
D)用、レーザビームプリンタ(LBP)用のスピンド
ルモータ、ロータリアクチュエータ、ロータリエンコー
ダ等、各種精密回転部分に組み込んでこの回転部分を支
承する転がり軸受の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】VTRやHDDのスピンドルを、振れ回
り運動(軸と直角な方向の運動)及び軸方向の振れを防
止しつつ回転自在に支持する為、玉軸受を使用している
が、従来は互いに独立した1対の玉軸受(深溝型或はア
ンギュラ型)を使用していた。又、回転支持部分への玉
軸受の組立作業の効率化を図る為、複列の玉軸受を使用
する事も考えられていた。
【0003】複列の玉軸受は、図14(A)に示す様
に、外周面に1対の深溝型の内輪軌道1、1を有する軸
2と、同図(B)に示す様に、内周面に1対の深溝型の
外輪軌道3、3を有する外輪4とを、同図(C)に示す
様に同心に組み合わせると共に、上記各内輪軌道1、1
と外輪軌道3、3との間にそれぞれ複数の玉5、5を、
転動自在に装着する事により構成される。尚、図14
(C)の6、6は、上記玉5、5を円周方向等間隔に保
持しておく為の保持器、7、7は、玉5、5装着部への
塵芥等の進入防止を図る為のシールである。
【0004】この図14(C)に示す様な複列深溝型玉
軸受は、従来から知られている構造であるが、上記VT
RやHDDのスピンドルを支持できる様なものは、従来
は製造が難しかった。これは、次の様な理由による。V
TRやHDDのスピンドルを支持する為の玉軸受は、振
れ回り運動及び軸方向の振れを防止する為、極めて高精
度なものとしなければならない。この為、上記スピンド
ル支持用の玉軸受は、予圧を付与した状態で使用する。
一方、深溝型の玉軸受を組み立てる為、内輪軌道1と外
輪軌道3との間に玉5、5を装着する場合には、図15
に示す様に、上記内輪軌道1と外輪軌道3とを偏心させ
て、これら両軌道1、3の間の円周方向に亙る隙間8を
一部で大きくする。そして、この隙間8の大きくなった
部分から上記内輪軌道1と外輪軌道3との間に、所定数
の玉5、5を挿入する。その後、上記内輪軌道1と外輪
軌道3とを同心にすると共に、上記所定数の玉5、5
を、円周方向等間隔に配置する。
【0005】この様に、円周方向一部にまとまって挿入
された複数の玉5、5を、円周方向等間隔に配置し直す
際には、各玉5、5を上記内輪軌道1及び外輪軌道3に
対して滑らせなければならない。この際、上記内輪軌道
1及び外輪軌道3が各玉5、5を強く押圧する状態(予
圧を付与した状態)にあると、上記内輪軌道1、外輪軌
道3、各玉5、5の転動面に傷が付き易い。そして、傷
が付いた場合には、回転時に振動を生じたり、或は耐久
性が損なわれる等の問題を生じる。
【0006】予圧を付与された玉軸受としては、上述し
た従来構造の第1例の他にも従来から種々の構造のもの
が知られているが、部品点数が多く小型化が難しかった
り、或は組立作業が面倒であったり、更には十分な回転
精度を得られない等の問題があり、HDD用等の精密回
転部分に組み込んで十分な性能を得られるものではなか
った。
【0007】これに対して、特開平6−221326号
公報、同6−344233号公報には、上述の様な不都
合を解消する構造として、図16に示す様な玉軸受が記
載されている。従来構造の第2例であるこの玉軸受を構
成する軸9は、図16(A)に示す様に、小径部9aと
大径部9bとを段部9cで連続させており、大径部9b
の外周面に深溝型の第一の内輪軌道10を形成してい
る。又、内輪11は、外周面に深溝型の第二の内輪軌道
12を形成している。
【0008】この様な軸9と内輪11とを含む玉軸受を
造る場合、先ず、第一工程として、図16(B)に示す
様に、上記軸9の小径部9aに上記内輪11を、十分な
嵌合強度(予圧付与の反力でずれ動かない強度)を持た
せて外嵌する。従って、自由状態に於ける上記内輪11
の内径寸法R11(図16(A))は、同じく自由状態に
於ける上記小径部9aの外径寸法D9a(図16(A))
よりも僅かに小さい(R11<D9a)。上述の様に小径部
9aに内輪11を外嵌した状態で、上記大径部9b外周
面の第一の内輪軌道10と内輪11外周面の第二の内輪
軌道12とのピッチP1 を、完成後の玉軸受に所定の予
圧を付与する為に必要なピッチp1 (図16(D))よ
りも長く(P1 >p1 )しておく。次いで、第二工程と
して、上記第一工程により組み合わされた軸9及び内輪
11を、円筒形の外輪13の内側に挿入する。この外輪
13の内周面には、1対の深溝型の外輪軌道14、14
を形成している。この第二工程では、この1対の外輪軌
道14、14と前記第一、第二の内輪軌道10、12と
を対向させる。次に、第三工程として、上記軸9及び内
輪11と外輪13とを偏心させ、前記図15に示す様
に、上記1対の外輪軌道14、14と第一、第二の内輪
軌道10、12との間の円周方向に亙る隙間8を一部で
大きくする。そして、この隙間8の大きくなった部分か
ら、上記隙間8内に、所定数の玉5、5を挿入する。次
に、第四工程として、上記1対の外輪軌道14、14と
第一、第二の内輪軌道10、12との間の隙間8内に挿
入された所定数の玉5、5を円周方向に移動させつつ、
上記軸9及び内輪11と外輪13とを同心にして、各玉
5、5を円周方向等間隔に配置する。これと共に、図1
6(C)に示す様に、各玉列部分に保持器6、6を装着
して、各玉5、5が円周方向等間隔位置に留まる様にす
る。又、必要に応じて、外輪13の両端部内周面にシー
ル7、7を装着する。この状態では、未だ各玉5、5に
予圧は付与されていない。そして、最後に第五工程とし
て、上記内輪11を段部9cに向け、軸9の外周面で軸
方向(図16の左方)に変位させる事により、上記第
一、第二の内輪軌道10、12のピッチを短くして、図
16(D)に示す様に、前記所定の予圧を付与する為に
必要なピッチp1 とする。この状態で、上記複数の玉
5、5に所定の予圧が付与され、予圧を付与された玉軸
受として完成する。完成時にも、上記段部9cと内輪1
1の端面との間には隙間が存在する。
【0009】この様にして得られた予圧を付与された玉
軸受では、内輪11の内周面と小径部9aの外周面との
間に、締まりばめの摩擦力に基づいて、上記予圧に見合
うアキシャル荷重よりも大きな制止力が作用する。従っ
て、軸9と内輪11との間に接着剤を塗布しなくても、
上記内輪11がずれ動かず、付与された予圧が消滅する
事がなく、一体の玉軸受として取り扱える。この為、V
TRやHDDのスピンドルの軸受部を構成する作業が容
易となる。又、アキシャル方向に亙って予圧が付与され
ている為、上記スピンドルの回転支持を高精度に行なえ
る。
【0010】尚、上述した従来構造の第2例の場合、第
一の内輪軌道10を軸9の外周面に直接形成していた
が、図17に示した従来構造の第3例の様に、それ自体
は内輪軌道を有しない軸2に、1対の内輪11、11a
を外嵌する事もできる。この様に、内輪11、11aを
1対設ける場合には、予圧付与時に、一方又は双方の内
輪11、11aを変位させる。更に、図18に示した従
来構造の第4例の様に、主部15の内側に1対の外輪1
6a、16bを締まりばめにより内嵌固定し、外輪軌道
14、14の間隔を調節する事により玉5、5に予圧を
付与する構造も、前記公報に記載されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】図16〜18に示す様
な各構造を有する予圧を付与された玉軸受の場合には、
適正な予圧付与の面からは問題ないが、軸2、9或は主
部15を回転させた場合に、振れと呼ばれる振動を発生
するものが存在する事が分ってきた。この様な振動が発
生する原因に就いて本発明者が研究したところ、締まり
ばめによる嵌合固定部を構成する部材の一方又は双方の
歪みに基づく事が分った。そして、この様な歪みの原因
に就いて本発明者が考察したところ、次の様な原因が考
えられた。
【0012】例えば図16に示した従来構造の第2例の
場合、軸9の小径部9aに内輪11を締まりばめで圧入
する(小径部9aに対して内輪11をアキシャル方向に
変位させる)際に、これら小径部9aの外周面と内輪1
1の内周面とが軸方向に亙って強く摩擦し合う。この摩
擦に伴って、上記軸9及び内輪11に軸方向の応力が加
わる。図16、17に示した従来構造の第2、3例の場
合には、内輪11、11aが軸9、2の周囲に、締まり
ばめにより外嵌固定されているので、上記軸方向の応力
は、組立完了後に於いても、上記内輪11、11a、軸
9、2内に軸方向の残留応力として残る。特に、不可避
的な寸法或は形状の誤差、或は上記両周面同士の間に存
在する油量の差、傾斜等に起因して、上記摩擦に伴う軸
方向の応力が円周方向に亙って不均一になる事がある。
そして、この不均一の程度が大きくなると、上記軸9、
2と内輪11、11aとの一方又は双方の軸方向の歪み
に基づき、これら各部材9、2、11、11aの軸と直
角方向の歪みが、上記振れを発生する程度に大きくな
る。特に、外径が4mm以下の軸9、2に内輪11、11
aを外嵌固定する様な、ミニアチュア玉軸受の場合に
は、上記歪みに基づく振れが問題となり易い。
【0013】尚、この様な問題は、図19に示した様
な、1対の玉軸受17、17を構成する内輪11a、1
1aを軸2に外嵌し、1対の外輪18、18の間にばね
19を設ける事で上記各玉軸受17、17に予圧付与を
行なう構造でも生じ得る。即ち、この様な従来構造の第
5例では、上記ばね19の弾力により上記各内輪11
a、11aが軸2に対して動かない様に、これら各内輪
11a、11aを軸2に対して、締まりばめで外嵌す
る。従って、図16〜17に示した各構造の場合と同様
に、軸2と内輪11a、11aとの一方又は双方に(円
周方向不均一な軸方向歪みに基づき)軸と直角方向の歪
みが発生する可能性がある。更に、図18に示した様
に、主部15の内側に外輪16a、16bを内嵌固定し
た構造でも、これら主部15と外輪16a、16bとの
一方又は双方が歪む事により、同様の問題を生じる。本
発明の転がり軸受の振れを低減する方法と振れを低減し
た転がり軸受は、上述の様な原因で発生する軸と直角方
向の歪みを抑え、この様な歪みに基づく振動の発生を防
止すべく発明したものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の転がり軸受の振
れを低減する方法と振れを低減した転がり軸受のうち、
請求項1に記載した転がり軸受の振れを低減する方法
は、円筒状の第一の周面を有する保持部材と、それぞれ
が円筒状で互いに同心の第二、第三の周面及び第三の周
面に形成された軌道面を有する軌道輪部材とを備え、こ
の軌道輪部材は、上記第二の周面を上記第一の周面に締
まりばめで嵌合させる事により上記保持部材に固定され
ている転がり軸受を組み立てる際に、上記第二の周面を
上記第一の周面に締まりばめで嵌合させた後、これら第
二、第一の両周面同士の嵌合部に外部から力を加える事
により、これら第二、第一の両周面同士のはめ合い面を
微小変位させて、これら第二、第一の両周面同士を嵌合
させる事に伴って生じた上記保持部材及び軌道輪部材の
軸方向の残留応力を解消する。
【0015】又、請求項2に記載した振れを低減した転
がり軸受は、円筒状の第一の周面を有する保持部材と、
それぞれが円筒状で互いに同心の第二、第三の周面及び
第三の周面に形成された軌道面を有する軌道輪部材とを
備え、この軌道輪部材は、上記第二の周面を上記第一の
周面に締まりばめで嵌合させる事により上記保持部材に
固定されている。特に、本発明の振れを低減した転がり
軸受は、上記第二の周面を上記第一の周面に締まりばめ
で嵌合させた後、これら第二、第一の両周面同士の嵌合
部に外部から力を加える事により、これら第二、第一の
両周面同士のはめ合い面を微小変位させて、これら第
二、第一の両周面同士を嵌合させる事に伴って生じた上
記保持部材及び軌道輪部材の軸方向の残留応力を解消す
る。
【0016】第二、第一の両周面同士のはめ合い面を微
小変位させるべく、これら第二、第一の両周面同士の嵌
合部に外部から力を加える方法は、この嵌合部を構成す
る部材の形状等に応じて適宜選定する。特に、次の〜
の点を考慮する(〜の方法のうちの1乃至複数の
方法を採用する)事が、振れを有効に低減させる面から
好ましい。 加える力の大きさを変動させる。力の大きさを変動
させる事で、上記はめ合い面に発生した軸方向の歪みを
有効に低減できる。この結果、円周方向不均一な軸方向
歪みに基づく、軸と直角方向の歪みをなくせる。特に、
上記力の大きさを、始めは大きく、次第に小さくする事
が、作業完了後に残留する軸方向の歪み、更には軸と直
角方向の歪みをより少なくする為に有効である。 保持部材が軸であり、第一の周面がこの軸の外周面
であり、軌道輪部材が内輪であり、第二の周面がこの内
輪の内周面である場合には、上記軸に曲げ方向の力(軸
心に直角方向のモーメント)を加える。そして、この力
の作用方向を軸を中心とする円周方向に変化させつつ、
その力の大きさを次第に小さくする。 保持部材が軸であり、第一の周面がこの軸の外周面
であり、軌道輪部材が内輪であり、第二の周面がこの内
輪の内周面である場合には、第三の周面であるこの内輪
の外周面に、直径方向反対側から挟持する方向の力を加
える。 保持部材が円筒状の主部であり、第一の周面がこの
主部の内周面であり、軌道輪部材が外輪であり、第二の
周面がこの外輪の外周面である場合には、上記主部の外
周面に、直径方向反対側から挟持する方向の力を加え
る。
【0017】
【作用】上述の様に構成される本発明の転がり軸受の振
れを低減する方法と振れを低減した転がり軸受によれ
ば、第二、第一の両周面同士を嵌合させる事に伴って生
じた保持部材及び軌道輪部材の軸方向の残留応力が零
(或は僅少)若しくは均一になる。この為、これら保持
部材及び軌道輪部材の形状が軸と直角方向に歪む事がな
くなって、転がり軸受を回転させた場合にも有害な振れ
が発生しなくなる。
【0018】
【実施例】図1〜3は本発明の第一実施例を示してい
る。本実施例は、前述した従来構造のうちの図19に示
した構造に、本発明を実施したものである。尚、構成各
部材の組立方法及び各玉5、5に予圧付与を行なう方法
は、前述した従来構造の場合と同様であるから、重複す
る説明を省略若しくは簡略にし、以下、本発明の特徴部
分を中心に説明する。
【0019】それぞれが第三の周面である外周面に軌道
面である内輪軌道10、10を有する、それぞれが軌道
輪部材である1対の内輪11a、11aは、自由状態で
所定の内径寸法を有する。又、これら各内輪11a、1
1aを外嵌固定する、保持部材である軸2は、この所定
の内径寸法よりも僅かに大きな外径寸法を有する。第一
の周面である上記軸2の外周面の一部で、軸方向(図
1、3の左右方向)に離隔した2個所位置には、上記内
輪11a、11aを、それぞれ締まりばめにより外嵌固
定している。又、上記軸2の先端部(図1、3の左端
部)には、回転ドラム等の回転部材20を外嵌固定して
いる。
【0020】この様に各内輪11a、11aを軸2の外
周面に外嵌固定したままの状態では、第二の周面である
上記各内輪11a、11aの内周面と軸2の外周面との
間に作用する摩擦力に基づく軸方向の残留応力が、図1
に矢印で示す様に、上記各内輪11a、11aの内周面
近傍部分と軸2の外周面近傍部分とに生じる。この残留
応力の大きさは、前述した様な不可避的な寸法或は形状
の誤差、或は上記両周面同士の間に存在する油量の差等
に起因して、円周方向に亙って不均一になり易い。図1
に示した例では、図1の上側部分の残留応力が下側部分
の残留応力に比べて大きくなっている。この様に不均一
な残留応力をそのままにした場合には、上記内輪11
a、11aと軸2との一方又は双方の形状が軸2と直角
方向に歪んで、軸2を回転させた場合に有害な振れが発
生する。
【0021】そこで、本発明の場合には、上記回転部材
20を治具等により固定した状態で上記軸2の基端部
(図1、3の右端部)に、曲げモーメントを加える。そ
して、図2に示す様に、この曲げモーメントの作用方向
を軸2を中心とする円周方向に変化させつつ、この曲げ
モーメントの大きさを次第に小さくする。即ち、上記軸
2の基端部に図2の矢印イ、イで示す方向の曲げモーメ
ントを加えるが、この曲げモーメントの作用方向を、同
図に矢印ロで示す様に、円周方向に亙って変化させる。
【0022】例えば、図1に示す様な残留応力が存在す
る状態から上記軸2の基端部に、図1の上方に向いた曲
げモーメントを加えると、この軸2が図1の下側が凸に
湾曲する方向に弾性変形する。そして、この弾性変形に
基づき、上記軸2の外周面と上記各内輪11a、11a
の内周面との間に僅かな滑りが発生する。この状態か
ら、上記軸2の基端部に加えていた曲げモーメントを解
除すると、上記軸2の外周面と上記各内輪11a、11
aの内周面との間に、図3に示す様な軸方向の残留応力
が残る。この様に軸2を湾曲させる事に伴って、軸2の
外周面と上記各内輪11a、11aの内周面との間に発
生する軸方向の残留応力の方向(圧縮応力であるか引っ
張り応力であるか)は、上記軸2に加える力の方向が逆
になる事で反転し、反転する毎に応力の大きさ自体が次
第に小さくなる。従って、図2に示す様に、上記力の方
向と大きさとを変化させる事により、上記軸2の外周面
と上記各内輪11a、11aの内周面との間に存在する
軸方向の残留応力を零(或は僅少)若しくは均一にでき
る。
【0023】同時に、これら軸2の外周面と上記各内輪
11a、11aの内周面との間で滑りが生じる事によ
り、これら内輪11a、11aの内周面が上記軸2の外
周面に倣う様になる。この結果、仮に各内輪11a、1
1aと軸2との中心軸同士が傾斜した状態に組み付けら
れていても、この傾斜が減少若しくは零になる。従っ
て、上記軸2の基端部に図2に示す様な曲げモーメント
を付与する事で、軸2に対する内輪11a、11aの傾
斜もなくせる。
【0024】上述した様に、軸2に内輪11a、11a
を外嵌固定した後、この軸2の基端部に曲げモーメント
を、図2に示す様な方向に加える事により、上記軸2の
外周面と上記各内輪11a、11aの内周面との間に存
在する軸方向の残留応力が零若しくは均一になると同時
に、軸2に対する内輪11a、11aの傾斜がなくな
る。従って、軸2を回転した場合にも、この軸2に有害
な振れが発生する事がなくなる。尚、上記軸方向の残留
応力並びに傾斜をなくす為に上記軸2に加える曲げモー
メントの方向は、必ずしも円周方向に亙って変化させる
必要はない。要は、円周方向に異なる複数位置で、直径
方向反対方向に曲げモーメントを加えれば良い。例え
ば、上記軸2を中心とする十字方向に曲げモーメントを
加えつつ、この曲げモーメントの大きさを次第に小さく
する事でも、上記軸方向の残留応力及び傾斜を減少させ
る事ができる。
【0025】次に、図4は本発明の第二実施例を示して
いる。本実施例の場合には、軸2の先端部(図4の左端
部)を回転治具21に内嵌してこの軸2を回転させつ
つ、図4に矢印ハに示す様に、この軸2の基端部(図4
の右端部)に曲げモーメントを付与している。この曲げ
モーメントの大きさは、始めは大きくし、時間の経過と
共に次第に小さくする。この様な本実施例の場合も、前
述した第一実施例の場合と同様に、上記軸2の外周面と
上記各内輪11a、11aの内周面との間に存在する残
留応力を零若しくは均一にすると同時に、軸2に対する
内輪11a、11aの傾斜を零若しくは僅少にできる。
【0026】次に、図5〜7は本発明の第三実施例を示
している。本実施例の場合には、図5に示す様に、軸2
に内輪11a、11aを外嵌した後、玉5、5及び外輪
18、18(図1、3)を組み付ける以前に、上記軸2
の外周面と上記各内輪11a、11aの内周面との間に
存在する軸方向の残留応力を零若しくは均一にすると同
時に、軸2に対する内輪11a、11aの傾斜を零若し
くは僅少にする為の矯正作業を行なう。
【0027】この為に本実施例の場合には、図6〜7に
示す様に、上記軸2に外嵌固定した内輪11a、11a
を、台22の上面と押型23の下面との間で強く挟持し
て、上記各内輪11a、11aの外周面に、直径方向反
対側から挟持する方向の力を加える。本実施例の場合、
上記軸2及び内輪11a、11aの挟持方向を変えつ
つ、複数回これら軸2及び内輪11a、11aを直径方
向両側から挟持する。この様な挟持作業により、前述し
た第一実施例の場合と同様に、上記軸2の外周面と上記
各内輪11a、11aの内周面との間に存在する軸方向
の残留応力を零若しくは均一にすると同時に、軸2に対
する内輪11a、11aの傾斜を零若しくは僅少にでき
る。
【0028】次に、図8〜9は本発明の第四実施例を示
している。本実施例の場合には、同方向に回転する1対
の押圧ローラ24、24の間で軸2に外嵌固定した内輪
11a、11aを挟持する事により、この内輪11a、
11aを直径方向反対側から押圧している。これら1対
の押圧ローラ24、24が内輪11a、11aを押圧す
る力の大きさは、始めは大きく、時間の経過と共に小さ
くする。本実施例の場合も、前述した第一実施例の場合
と同様に、上記軸2の外周面と上記各内輪11a、11
aの内周面との間に存在する残留応力を零若しくは均一
にすると同時に、軸2に対する内輪11a、11aの傾
斜を零若しくは僅少にできる。
【0029】次に、図10〜12は、本発明の第五実施
例を示している。本実施例の場合には、円筒状の主部1
5が保持部材であり、この主部15の内周面が第一の周
面であり、上記主部15に内嵌固定された1対の外輪1
6a、16bが軌道輪部材であり、これら各外輪16
a、16bの外周面が第二の周面であり、同じく内周面
が第三の周面であり、外輪軌道14、14が軌道面であ
る。
【0030】この様な構造を有する転がり軸受で、上記
主部15の内周面と外輪16a、16bの外周面との嵌
合部に存在する残留応力を低減するには、図11に示す
様に、上記主部15を台22の上面と押型23の下面と
の間で直径方向反対側から押圧しつつ、この押型23を
水平移動させる。この水平移動に伴い、上記主部15が
台22の上面で転動し、上記台22の上面と押型23の
下面とが主部15を押圧する方向が変化する。尚、上記
押型23が主部15を押圧する力の大きさは、始めは大
きく、時間の経過と共に次第に小さくする。
【0031】この様な押圧作業により、上記主部15の
内周面と上記各外輪16a、16bの外周面との間に存
在する軸方向の残留応力を零若しくは均一にすると同時
に、主部15に対する外輪16a、16bの傾斜を零若
しくは僅少にできる。尚、この様な押圧作業の際、転が
り軸受内部には正の隙間が存在する(玉5、5に予圧を
付与していない)事が好ましい。これは、押圧作業時に
玉5、5の転動面及びこの転動面が当接する軌道面(外
輪軌道14)に圧痕等の損傷が発生するのを防止する為
である。従って本実施例の場合、押圧作業が終了する以
前には、図10に示す様に、軸2に外嵌固定した1対の
内輪11a、11aの間隔を、所定の予圧を付与するの
に必要な間隔よりも大きくしておく。そして、上記押圧
作業後、上記間隔を狭めて、図12に示す様に上記各玉
5、5に、所定の予圧を付与する。尚、内輪11a、1
1aを軸方向に変位させる事で、この内輪11a、11
aの内周面と軸2の外周面との嵌合部に有害な残留応力
が発生する可能性がある場合には、前述した第一〜第二
実施例の様な方法により、この残留応力を除去する。
【0032】次に、図13は本発明の第六実施例を示し
ている。本実施例の場合には、主部15の内周面中間部
に段部25を形成すると共に、各外輪16a、16bの
端面をこの段部25の端面に突き当てて、これら各外輪
16a、16bの位置決めを図っている。この様な段部
25を有する本実施例の構造の場合も、上述した第五実
施例と同様の作業により、上記主部15の内周面と上記
各外輪16a、16bの外周面との間に存在する軸方向
の残留応力を零若しくは均一にすると同時に、主部15
に対する外輪16a、16bの傾斜を零若しくは僅少に
できる。
【0033】
【発明の効果】本発明の転がり軸受の振れを低減する方
法と振れを低減した転がり軸受は、以上に述べた通り構
成され作用する為、締まりばめにより互いに嵌合固定さ
れた部材の軸と直角方向の歪みを無視できる程度に抑
え、これら各部材を含んで構成される転がり軸受を高速
回転させた場合にも、有害な振動が発生する事を防止で
きる。この為、VTRやHDDのスピンドル等の高性能
化に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例を、不均一な残留応力が存
在する状態で示す断面図。
【図2】上記残留応力を除去すべく軸に加える力の方向
を、図1の右方向から見た状態で示す図。
【図3】本発明の第一実施例を、軸に所定方向の曲げモ
ーメントを加えた後、この曲げモーメントを解除した状
態での、軸方向の残留応力を示す断面図。
【図4】本発明の第二実施例を示す断面図。
【図5】同第三実施例を示す、軸及び内輪の断面図。
【図6】残留応力を除去すべく、軸及び内輪を挟持した
状態を示す断面図。
【図7】図6の側方から見た図。
【図8】本発明の第四実施例を、軸及び内輪を挟持した
状態で示す断面図。
【図9】図8の上方から見た図。
【図10】本発明の第五実施例に係る転がり軸受の断面
図。
【図11】残留応力を除去すべく、上記転がり軸受を押
圧する状態を示す側面図。
【図12】残留応力を除去した後、予圧を付与した転が
り軸受を示す断面図。
【図13】本発明の第六実施例に係る転がり軸受の断面
図。
【図14】従来の玉軸受の第1例の部品と完成品とを示
す断面図。
【図15】玉を挿入する為、外輪軌道と内輪軌道とを偏
心させた状態を示す図。
【図16】従来の玉軸受の第2例を製造工程順に示す断
面図。
【図17】同第3例を製造工程順に示す半部断面図。
【図18】同第4例を製造工程順に示す半部断面図。
【図19】従来の玉軸受の第5例を示す断面図。
【符号の説明】
1 内輪軌道 2 軸 3 外輪軌道 4 外輪 5 玉 6 保持器 7 シール 8 隙間 9 軸 9a 小径部 9b 大径部 9c 段部 10 (第一の)内輪軌道 11、11a 内輪 12 第二の内輪軌道 13 外輪 14 外輪軌道 15 主部 16a、16b 外輪 17 玉軸受 18 外輪 19 ばね 20 回転部材 21 回転治具 22 台 23 押型 24 押圧ローラ 25 段部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円筒状の第一の周面を有する保持部材
    と、それぞれが円筒状で互いに同心の第二、第三の周面
    及び第三の周面に形成された軌道面を有する軌道輪部材
    とを備え、この軌道輪部材は、上記第二の周面を上記第
    一の周面に締まりばめで嵌合させる事により上記保持部
    材に固定されている転がり軸受を組み立てる際に、上記
    第二の周面を上記第一の周面に締まりばめで嵌合させた
    後、これら第二、第一の両周面同士の嵌合部に外部から
    力を加える事により、これら第二、第一の両周面同士の
    はめ合い面を微小変位させて、これら第二、第一の両周
    面同士を嵌合させる事に伴って生じた上記保持部材及び
    軌道輪部材の軸方向の残留応力を解消する転がり軸受の
    振れを低減する方法。
  2. 【請求項2】 円筒状の第一の周面を有する保持部材
    と、それぞれが円筒状で互いに同心の第二、第三の周面
    及び第三の周面に形成された軌道面を有する軌道輪部材
    とを備え、この軌道輪部材は、上記第二の周面を上記第
    一の周面に締まりばめで嵌合させる事により上記保持部
    材に固定されている転がり軸受であって、上記第二の周
    面を上記第一の周面に締まりばめで嵌合させた後、これ
    ら第二、第一の両周面同士の嵌合部に外部から力を加え
    る事により、これら第二、第一の両周面同士のはめ合い
    面を微小変位させて、これら第二、第一の両周面同士を
    嵌合させる事に伴って生じた上記保持部材及び軌道輪部
    材の軸方向の残留応力を解消した、振れを低減した転が
    り軸受。
JP24942295A 1995-09-27 1995-09-27 転がり軸受の振れを低減する方法と振れを低減した転がり軸受 Pending JPH0988966A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6971801B2 (en) 2000-09-19 2005-12-06 Nsk. Ltd. Bearing unit
CN107165934A (zh) * 2017-07-17 2017-09-15 安徽利达汽车轴承制造有限公司 一种组合轴承

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6971801B2 (en) 2000-09-19 2005-12-06 Nsk. Ltd. Bearing unit
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