JPH0978430A - 抗菌性長繊維不織布の製造方法 - Google Patents

抗菌性長繊維不織布の製造方法

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JPH0978430A
JPH0978430A JP7233089A JP23308995A JPH0978430A JP H0978430 A JPH0978430 A JP H0978430A JP 7233089 A JP7233089 A JP 7233089A JP 23308995 A JP23308995 A JP 23308995A JP H0978430 A JPH0978430 A JP H0978430A
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JP
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antibacterial
long
zirconium phosphate
nonwoven fabric
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JP7233089A
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Akitaka Kawano
晃敬 川野
Kasumi Kin
霞 金
Hideo Ikezawa
秀男 池沢
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Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶融紡糸過程中にパックフィルターでの詰ま
りや糸切れがなく、操業性と紡糸性に優れると共に、柔
軟性と抗菌性に優れた長繊維不織布の製造方法の提供。 【解決手段】 平均粒径が0.1〜1.0μmの銀を担
持したリン酸ジルコニウムを含有する熱可塑性オレフィ
ン系重合体からなる樹脂組成物と、顔料を含有しない熱
可塑性オレフィン系重合体からなる樹脂組成物とを混合
して加熱溶融して、前記銀を担持したリン酸シルコニウ
ムの含有量を全重量当り0.1〜3.0重量%に調整
し、次いで多数の口金から押出し紡糸することからなる
抗菌性長繊維不織布を製造する方法であって、前記銀を
担持したリン酸ジルコニウムを含有する樹脂組成物を、
230℃でTダイ成形し、厚さ30μmのフィルムに形
成し、このフィルム表面を、フィッシュアイ測定機で測
定した時、直径が100μmを越えるフィッシュアイの
個数が1m2当り0〜6個の範囲の分散性を有するもの
を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、抗菌性長繊維不
織布の製造方法に関する。更に詳しく述べれば、本発明
は、熱可塑性樹脂を加熱溶融紡糸する際に、糸切れとパ
ックフィルターでの詰まりが殆どなく、柔軟性が優れ、
抗菌性を有しているので、医療・衛生資材、一般工業資
材等の広い分野で使用可能であり、特に使い捨ておむ
つ、生理用ナプキン等の衛生材料の表面材料に適してい
る抗菌性長繊維不織布の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】 従来から不織布は、医療・衛生資材、
一般工業資材、土木建築材等に幅広く利用されている。
特に、近年不織布は、おむつやワイパー、衛生用ナプキ
ン、病院用ガウン・シーツ等のように人体の肌と直接接
触するような用途に使用される例が急増している。その
ためこれらの用途に使用される不織布は、衛生上細菌や
カビの発生や育成を抑制すると共に、これらにより発生
する悪臭を消すものが要望されるようになった。従来よ
り、不織布に抗菌性能や防カビ性能を付与する物質とし
ては、例えば無機系抗菌剤といわれている銀、銅、亜鉛
等の金属イオン、有機系抗菌剤といわれている有機シリ
コン系第4級アンモニウム塩、キトサン等がある。
【0003】銅或いは銅化合物とアクリロニトリル系重
合体との混合物を紡糸液として凝固糸を製造して得られ
る銅化合物を含有するアクリロニトリル系繊維が特開昭
54−147220号公報に開示されている。セルロー
ス系の天然繊維及び反合成繊維からなる繊維ウェブに、
繊維間結合剤としてキトサンを用いた不織布が特開平3
−27165号公報に開示されている。更に粒子径が1
0μm以下の微小再生キトサンを含有するセルロース再
生繊維を構成要素とする不織布が特開平5−18694
5号公報に開示されている。特開昭59−133235
号公報には、ゼオライト系固体粒子と有機高分子体とか
らなり、該ゼオライト系固体粒子の少なくとも1部が殺
菌作用を有する金属イオンを保持しているゼオライト粒
子含有高分子体が開示されており、これは、殺菌作用を
有する金属イオンを保持するゼオライト系固体粒子を、
有機高分子体の成型以前の任意の段階で有機高分子体に
添加混合するというものである。しかしながら、これら
は繊維の製造方法の工程が複雑であり、抗菌剤が使用中
に脱落するといった欠点がある。
【0004】従来から、抗菌性を付与された長繊維不織
布を、熱可塑性樹脂を溶融紡糸して連続フィラメントと
し、これを捕集して熱エンボスして製造する方法とし
て、熱可塑性合成樹脂を溶融紡糸する前に或いは溶融紡
糸する際に抗菌剤を前記熱可塑性樹脂に混練して担持さ
せることが知られている。特開平5−51816号公報
には、平均粒子径が5ミクロン以下であり、抗菌性を有
する金属イオンを含有するリン酸塩型の層状化合物と、
融点が10℃より低くかつ25℃での粘度が10ポイズ
以上を有する液状ポリエステル系化合物が含有されてい
る熱可塑性ポリマーからなる抗菌性繊維、及び前記2種
類の化合物からなる混合物を、ポリマーの重合完了後成
形吐出直前の間で該ポリマー溶融流体中へ添加し、混練
した後吐出孔より吐出し、繊維とする抗菌性繊維の製造
方法が開示されている。
【0005】しかしながら、この方法では、パックフィ
ルターでの脱落した固体粒子の詰まりが生じることによ
るパックの寿命の低下を抑制する効果はあったが、固体
粒子が合成樹脂中に均一に分散していないと加熱溶融紡
糸する際に、糸切れが多発し、溶融紡糸が満足にできな
いという問題を抱えている。そして、固体粒子による分
散性の良否は、そのような樹脂を実際に使用して初めて
判明するため、分散性不良の樹脂であった場合、操業を
中止し、樹脂の取り除きから発生した不良品の処分まで
を含めると甚大な被害が発生することとなる。従って、
固体粒子の抗菌剤を混練した熱可塑性樹脂を用いて加熱
溶融紡糸してフィラメントとし、捕集して不織布を製造
する際には、連続的に使用可能な樹脂の選択がきわめて
重要となり、又そのような樹脂を用いた製造方法の具現
化が強く望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】 本発明者等は、かか
る現状に鑑み、熱可塑性樹脂に抗菌性を有する無機化合
物の微細粒子を混練し、かかる微粒子含有熱可塑性樹脂
を加熱溶融して紡糸してフィラメントとし、このフィラ
メントを捕集してウェブを形成し、ついで熱エンボスを
施して製造される不織布の製造方法について鋭意研究
し、その結果、混練する抗菌剤の平均粒径、含有率、分
散性を確実にコントロールすることによって、溶融紡糸
時の糸切れがなく、抗菌性長繊維不織布を容易に製造で
きることを見出し、本発明を完成させるに至った。従っ
て、本発明の目的は、溶融紡糸過程時にパックフィルタ
ー詰まりによるパック寿命の低下や、延伸過程時に糸切
れが発生するなどの問題を伴うことなく柔軟性と抗菌性
に優れた抗菌性長繊維不織布を製造できる方法を提供す
ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】 本発明は、平均粒径が
0.1〜1.0μmの銀を担持したリン酸ジルコニウム
を全重量当り10〜30重量%含有する熱可塑性オレフ
ィン系重合体からなる樹脂組成物と、顔料を含有しない
熱可塑性オレフィン系重合体からなる樹脂組成物とを混
合して加熱溶融して、前記銀を担持したリン酸ジルコニ
ウムの含有量を全重量当り0.1〜3.0重量%に調整
し、次いで多数の口金から押出し紡糸し、紡出された連
続長繊維フィラメント群をエジェクターにより高速高圧
エアーで延伸しながら引き取り、開繊し、捕集用の支持
体面上に捕集してウェブを形成し、このウェブに熱圧着
処理を施して抗菌性長繊維不織布を製造する方法におい
て、前記銀を担持したリン酸ジルコニウムを含有する樹
脂組成物を、230℃でTダイ成形し、厚さ30μmの
フィルムに形成し、このフィルム表面を、フィッシュア
イ測定機で測定した時、直径が100μmを越えるフィ
ッシュアイの個数が1m2当り0〜6個の範囲の分散性
を有するものを用いることを特徴とする抗菌性長繊維不
織布の製造方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】 本発明において抗菌剤として使
用できる化合物は、リン酸塩系化合物であり、例えばリ
ン酸ジルコニウム、リン酸チタン、リン酸スズ等が考え
られるが、化合物の安定性を考慮するとリン酸ジルコニ
ウムが好ましい。抗菌性を有する金属イオンとしては例
えば銀、銅、亜鉛、錫、水銀、鉛、鉄、コバルト、ニッ
ケル、マンガン、砒素、アンチモン、ビスマス、バリウ
ム、カドミウム、クロムが考えられる。特に銀、銅、亜
鉛のイオンが好ましい。最も好ましいのは、抗菌性が高
く、安全性に優れた銀である。本発明に使用する前記抗
菌剤の平均粒径は、0.1〜1.0μm、好ましくは
0.3〜0.9μmの範囲である。平均粒径が0.1μ
m未満では、長繊維不織布を構成する長繊維の表面上に
存在する抗菌剤の存在確率が小さくなり、十分な抗菌性
を発現させることができない。十分な抗菌性を発現させ
ようとして、含有量を多くすると、抗菌剤の分散不良の
発生につながり、パックフィルター詰まりによるパック
寿命の低下や溶融紡糸時の糸切れの発生を生じる。一
方、前記抗菌剤の平均粒径が1.0μmを越えると、抗
菌剤が脱落し易くなって、溶融紡糸時にパックフィルタ
ー詰まりによる圧力上昇でパック寿命が低下したり、紡
出フィラメントを高速高圧エアーで延伸する際に糸切れ
を起こし易くなり、使用が困難となる。
【0009】前記抗菌剤は、まず熱可塑性樹脂組成物に
全重量当り10〜35重量%、好ましくは20〜25重
量%の範囲で添加され、必要により酸化防止剤、耐光性
向上剤等の位樹脂安定剤を添加し、これを従来の混練手
段、好ましくは二軸混練押出機等により混練して、抗菌
剤を含有する樹脂組成物からなるマスターバッチペレッ
トとされる。次いで実際の使用に際しては、この抗菌剤
を含有するマスターバッチペレットと、抗菌剤を含有し
ていない同一種類の熱可塑性樹脂組成物とを加熱溶融紡
糸のための押出機において混合し、溶融紡糸してフィラ
メントを紡出すると共に、フィラメント全重量当り抗菌
剤の含有率が0.1〜3.0重量%の範囲内となるよう
調整される。マスターバッチペレットにおける抗菌剤の
含有量が10重量%未満であると、マスターバッチペレ
ットを製造する回数が増加し、経済性の面で不利とな
り、逆に、前記の含有量が35重量%を超えると、この
ようなマスターバッチペレットと抗菌剤を含有しない熱
可塑性樹脂組成物とを混合して、加熱溶融紡糸する際
に、マスターバッチペレットの使用量が少なくなり過ぎ
るため、混合後に得られる長繊維フィラメント中で抗菌
剤が十分均一に分散できないので好ましくない。マスタ
ーバッチペレットを抗菌剤を含有しない熱可塑性樹脂組
成物に混合し、次いで加熱溶融紡糸して形成される長繊
維フィラメント中の抗菌剤の含有率が0.1重量%未満
では、不織布として使用する際に抗菌性が十分発現せ
ず、又前記含有率が3.0重量%を越えると抗菌性の効
果は飽和して頭打ちとなり、それ以上の含有率は経済性
から好ましくない。
【0010】以上のようにして得られた抗菌剤を含有す
る熱可塑性樹脂組成物のマスターバッチペレットを23
0℃の温度で、表1に示される仕様の押出し成形機と成
形条件でTダイ成形し、厚さ30μm±3μmのフィル
ムに成形し、このフィルムの表面に存在する直径が10
0μmを越えるフィッシュアイの個数を、フィッシュア
イ測定機(Laser Eye、安川電気製作所製)で
測定する。本発明でいうフィッシュアイは、前記のよう
にして成形したフィルム表面において観察される魚眼状
の形を有する傷と定義される。本発明では、マスターバ
ッチペレットの前記のようにして測定されたフィッシュ
アイの個数が、フィルム表面1m2当りの10回測定し
たものの平均個数(小数第1位四捨五入)で0〜6個の
範囲の抗菌剤分散性を有するマスターバッチペレット
が、抗菌剤を含有しない熱可塑性樹脂組成物に混ぜら
れ、この混合物を用いて押出機の口金から押し出され
る。
【0011】
【表1】
【0012】このようにして加熱溶融紡糸して、紡出さ
れた長繊維フィラメント群をエジェクターにより高速高
圧エアーで延伸しながら引き取り、衝突板に当てて摩擦
帯電させ、発生した電荷による反発力で開繊させる。こ
の場合、帯電方法として、コロナ放電処理を施してもよ
い。均一に開繊された多数の長繊維フィラメント群は、
捕集用の支持体上に捕集、堆積されてウェブとされる。
前記マスターバッチペレットのフィッシュアイの平均個
数が6個/m2を越える場合、この樹脂組成物のペレッ
トを用いると加熱溶融紡糸する過程においてパックフィ
ルターでの詰まりが生じ易くなって、パック寿命の低下
が生じ、更に延伸過程時において糸切れ発生の問題が生
じるため不適である。
【0013】本発明に使用される熱可塑性樹脂組成物
は、水分コントロールが容易であり、樹脂単価が安価で
あり、更に酸やアルカリに強いことからポリプロピレ
ン、高密度ポリエチレン等が考えられるが、好ましくは
ポリプロピレンからなる熱可塑性オレフィン系重合体で
ある。このポリオレフィン系重合体樹脂組成物は、JI
S K 7210に示された方法で測定した温度190
℃、荷重2.16kgの条件でのメルトフローレート
が、20〜70g/10分、好ましくは30〜60g/
10分である。この樹脂のメルトフローレートが20g
/10分未満では、溶融紡糸温度を高くする必要があ
り、コストアップの原因となるばかりでなく、作製した
シートも硬くなり風合が低下するため好ましくない。逆
に、メルトフローレートが70g/10分を越えると、
エジェクターによる高速高圧エアーで延伸する際糸切れ
が増加するため好ましくない。
【0014】本発明に用いられる長繊維の繊度は、1〜
5デニールの範囲である。長繊維の繊度が1デニール未
満では、長繊維を安定して紡糸することが難しいことが
あり、逆に、長繊維の繊度が5デニールを越えると、繊
維径が太くなり過ぎ、得られる長繊維不織布が硬くなっ
て風合が低下するという不都合を生じることがある。本
発明においては、捕集用の支持体上に集積された多数の
長繊維フィラメント群からなるウェブに、シート状の形
態保持及び強度付与の目的で規則的な間隔で熱圧着によ
る繊維同士の自己融着区域が設けられる。この自己融着
区域は、捕集用の支持体上に集積されている多数の長繊
維フィラメント群からなるウェブを加熱した凹凸ロール
と平滑ロールからなるエンボスロールに通し、凸部に対
応したウェブ部分が融着することによって得られる。
【0015】この場合、前記ロール温度は、使用する長
繊維を構成する樹脂の融点より5〜50℃、好ましくは
5〜40℃低く設定される。ロール温度と樹脂の融点の
差が5℃未満では、ロールによる熱圧着処理時に繊維が
ロールに付着し、製造トラブルの原因となることがあ
り、逆に、ロール温度と樹脂の融点の差が50℃を越え
ると、自己融着部分の形成が不十分となり、不織布の強
度が著しく低下するばかりでなく、羽毛立ちが激しくな
るなどの不都合を生じることがある。凹凸ロールと平滑
ロールとからなる1対の熱圧着ロールにより熱圧着処理
を施す場合、その線圧は、10〜80kg/cm、好ま
しくは20〜60kg/cmである。線圧が10kg/
cm未満では、熱圧着処理による自己融着区域の形成が
不十分となることがあり、80kg/cmを越えると、
自己融着区域がフィルム状になり、不織布の風合いが損
なわれることがある。自己融着区域を形成する方法とし
ては、集積された連続長繊維フィラメント群からなるウ
ェブを、凹凸ロールと超音波ホーンの間に導入し、超音
波処理を施すことにより、前記凹凸ロールの凸部に対応
した点融着部分を形成することも可能である。
【0016】本発明においては、ここの自己融着区域の
面積は、0.03〜4mm2の範囲で用いられる。この
自己融着区域の面積が0.03mm2未満では、不織布
の強度が不足することがあり、逆に、自己融着区域が4
mm2を越えると不織布が過度に硬くなることがある。
自己融着区域の面積の総和は、不織布の全面積の2〜2
0%の範囲内にあることが好ましい。自己融着区域の面
積の総和が2%未満では、不織布の強度が不足すること
があり、自己融着区域の面積が20%を越えると、不織
布が過度に硬くなることがある。本発明における長繊維
不織布の目付は、5〜100g/m2の範囲にあること
が好ましい。目付が5g/m2未満では、目付が低過ぎ
るために長繊維不織布を安定して製造することが困難と
なり、逆に、目付が100g/m2を越えるとシートの
風合が低下するため好ましくない。
【0017】本発明は、抗菌剤を含有させたポリオレフ
ィンを加熱溶融紡糸して連続長繊維フィラメント群を形
成し、高速高圧エアーで延伸しながら引き取り、開繊
し、捕集・堆積してウェブを形成し、このウェブに熱圧
着処理を施して長繊維不織布を製造する方法であるが、
抗菌剤を含有していても加熱溶融紡糸時に糸切れがな
く、又パックフィルターでの詰まりもなく、従って優れ
た抗菌剤の分散性を有する長繊維不織布を効率よく製造
することができ、このようにして得られた抗菌性長繊維
不織布は、優れた柔軟性、風合及び抗菌性を有し、必要
に応じて種々加工されて、衛生材料、医療用基材、衣料
用基材、家庭用基材、産業用基材等に使用される。
【0018】
【実施例】 以下に実施例を挙げて本発明をより具体的
に説明するが、本発明は勿論これらに限定されるもので
はない。なお、実施例及び比較例中で%とあるのは特に
断わらない限り重量%を示す。
【0019】実施例1 平均粒径0.9μmのリン酸ジルコニウムに銀を担持さ
せた抗菌剤(ノバロンAGー300、東亜合成社製)
を、メルトフローレート50g/10分のポリプロピレ
ンに25%添加し、二軸混練押出機で混練し、抗菌剤を
含有するポリプロピレンマスターバッチペレットを作製
した。このマスターバッチペレットを表1に示したフィ
ルム成形条件で230℃にて押出機で溶融、Tダイ成形
し、厚さ30μmのフィルムを作製し、このフィルムを
フィッシュアイ測定機(Laser Eye、安川電気
製作所製)で直径が100μmを越えるフィッシュアイ
の個数を測定したところ3個/m2であった。次に、こ
のマスターバッチペレットと、抗菌剤を含有していない
前記と同じポリプロピレンとを混合して抗菌剤の含有率
が0.5重量%になるように調整し、この混合物を用い
て230℃で加熱溶融を行い、押出紡糸機の微細孔から
押し出し紡糸し、紡出された連続長繊維フィラメント群
をエジェクターにより高速高圧エアーで延伸しながら引
き取り、開繊し、走行している捕集用の支持体面上に捕
集・堆積してウェブを形成した。この長繊維の繊度は
2.1デニールであった。
【0020】次に、この長繊維フィラメント群からなる
ウェブを150℃に加熱した凹凸ロールと平滑ロールの
間に導入し、凹凸ロールの凸部に対応する部分を融着す
ることにより、目付23g/m2の長繊維不織布を作製
した。この時のロール線圧は、35kg/cm、得られ
た長繊維不織布の自己融着区域の面積は0.12m
2、自己融着区域の面積の総和は、不織布の全表面積
の4.2面積%であった。樹脂組成物を加熱溶融して紡
糸する際のパックフィルターの詰まり状況と紡糸性を次
の方法で評価した。 (1)パックフィルターの詰まり状況 異物によりフィルターに目詰まりが発生すると、パック
フィルター圧力が上昇する。抗菌剤の分散性が悪いと、
押出し紡糸機において抗菌剤を含有する樹脂組成物を溶
融紡糸する際に抗菌剤がフィルターに目詰まりし、同様
にパックフィルターの圧力が大きくなる。そこで、抗菌
剤を含有しない樹脂組成物を紡糸した時のパックフィル
ターの圧力P2と抗菌剤を含有する樹脂組成物を紡糸し
た際のパックフィルターの圧力P1との差(P1ーP2
の値で詰まりの状況を評価した。差の値が5kg/cm
2を越えるものを詰まり状況が悪いとした。 (2)紡糸性 抗菌剤を含有する樹脂組成物を押出し紡糸機で溶融紡糸
する際に、1時間当りに発生した糸切れ回数で紡糸性を
評価した。糸切れ回数が15回/時間以下を紡糸性が良
好とした。
【0021】得られた長繊維不織布の柔軟性と菌の滅菌
率を下記の試験法で測定し、品質を評価した。 試験方法 (1)柔軟性 不織布の柔軟性は、手で触って官能で、次の5段階で評
価した。 5・・柔軟性が極めて優れる。 4・・柔軟である。 3・・柔軟性が普通である。 2・・柔軟性がやや劣る。 1・・柔軟性が極めて劣る。
【0022】(2)菌の滅菌率 菌種として肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)と黄色
ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の2種を使用
し、シェークフラスコ法で滅菌率を測定した。三角フラ
スコ中に試験菌液を所定量加えた後に、0.75gの試
料片を入れ、リストアクション式の振とう機により25
℃、340rpmで1時間振とうした。空試験として試
料を加えない三角フラスコについても同様の操作を繰り
返し、試験した。試験後、三角フラスコ中の生菌数を計
測した後、(1)式により滅菌率を算出した。 滅菌率、%={(B−A)/B}×100・・・(1) 但し、Aは、振とう後の三角フラスコ内容物1ml当り
の菌数 Bは、振とう前の三角フラスコ内容物1ml当りの菌数 を示す。滅菌率の測定は、2種類の菌を用いて試験した
が、2種類とも近似した値となったので、2種類の結果
の平均値で滅菌率を評価した。
【0023】実施例2 平均粒径が0.3μmの抗菌剤を用いたこと以外は、実
施例1と同様にして長繊維不織布を作製し、その評価を
行った。
【0024】実施例3 抗菌剤の含有率を0.1%としたこと以外は、実施例1
と同様にして長繊維不織布を作製し、その評価を行っ
た。
【0025】実施例4 抗菌剤の含有率を2.5%としたこと以外は、実施例1
と同様にして長繊維不織布を作製し、その評価を行っ
た。
【0026】実施例5 直径が100μmを越えるフィッシュアイの個数が0個
/m2のポリプロピレンマスターバッチペレットを用い
たこと以外は、実施例1と同様にして長繊維不織布を作
製し、その評価を行った。
【0027】実施例6 直径が100μmを越えるフィッシュアイの個数が5個
/m2のポリプロピレンマスターバッチペレットを用い
たこと以外は、実施例1と同様にして長繊維不織布を作
製し、その評価を行った。
【0028】比較例1 平均粒径が1.5μmの抗菌剤を用いたこと以外は、実
施例1と同様にして長繊維不織布を作製し、その評価を
行った。
【0029】比較例2 抗菌剤の含有率を0.05%としたこと以外は、実施例
1と同様にして長繊維不織布を作製し、その評価を行っ
た。
【0030】比較例3 抗菌剤の含有率を3.5%としたこと以外は、実施例1
と同様にして長繊維不織布を作製し、その評価を行っ
た。
【0031】比較例4 直径が100μmを越えるフィッシュアイの個数が8個
/m2のポリプロピレンマスターバッチペレットを用い
たこと以外は、実施例1と同様にして長繊維不織布を作
製し、その評価を行った。
【0032】得られた結果を表2に示した。
【0033】
【表2】
【0034】表2から分かるように、マスターバッチ中
のフィッシュアイの個数が0〜6個/m2の範囲では、
抗菌剤を樹脂組成物に混合して用いても、パックフィル
ターでの詰まりが発生せず、糸切れ回数も少なく、抗菌
剤を含有する長繊維不織布を安定して製造することがで
き、得られた不織布は、柔軟性に優れ、滅菌率が高く、
抗菌性に優れている。これに対して、抗菌剤の平均粒径
が高いと、溶融紡糸時における糸切れ回数が多くなり、
紡糸性が悪くなり、不織布の柔軟性も悪くなる(比較例
1)。不織布中の抗菌剤の含有率を低くすると、マスタ
ーバッチ中のフィッシュアイの個数が少なく、分散性が
よく、押出し紡糸機におけるパックフィルターでの詰ま
りもなく、更に紡糸性にも優れているが、抗菌性に劣る
(比較例2)。
【0035】逆に、不織布中の抗菌剤の含有率が大きく
なると、マスターバッチ中のフィッシュアイの個数が多
くなり、パックフィルターでの詰まりが発生し、糸切れ
回数が極端に多くなって紡糸性が損なわれ、柔軟性も悪
くなる(比較例3)。前記抗菌剤の含有率が低くても、
フィッシュアイの個数が大きいマスターバッチを使用す
ると、フィルター詰まりが発生し、糸切れ回数が増加
し、紡糸性が損なわれ、柔軟性も悪くなる(比較例
4)。
【0036】
【発明の効果】 本発明は、パックフィルターでの詰ま
りがなく、糸切れ回数が低く、操業性と紡糸性に優れる
と共に柔軟で、抗菌性の優れた不織布の製造方法を提供
するという効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D01F 6/04 D01F 6/04 B D04H 3/16 D04H 3/16

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒径が0.1〜1.0μmの銀を担
    持したリン酸ジルコニウムを全重量当り10〜30重量
    %含有する熱可塑性オレフィン系重合体からなる樹脂組
    成物と、顔料を含有しない熱可塑性オレフィン系重合体
    からなる樹脂組成物とを混合して加熱溶融して、前記銀
    を担持したリン酸ジルコニウムの含有量を全重量当り
    0.1〜3.0重量%に調整し、次いで多数の口金から
    押出し紡糸し、紡出された連続長繊維フィラメント群を
    エジェクターにより高速高圧エアーで延伸しながら引き
    取り、開繊し、捕集用の支持体面上に捕集してウェブを
    形成し、このウェブに熱圧着処理を施して抗菌性長繊維
    不織布を製造する方法において、 前記銀を担持したリン酸ジルコニウムを含有する樹脂組
    成物を、230℃でTダイ成形し、厚さ30μmのフィ
    ルムに形成し、このフィルム表面を、フィッシュアイ測
    定機で測定した時、直径が100μmを越えるフィッシ
    ュアイの個数が1m2当り0〜6個の範囲の分散性を有
    するものを用いることを特徴とする抗菌性長繊維不織布
    の製造方法。
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