JP2006089851A - 極細長繊維不織布とその製造方法およびその用途 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】平均繊度が0.5dtex以下である極細長繊維からなる不織布であって、不織布構造体中に水溶性熱可塑性ポリビニルアルコールが存在しており、80℃水中で60分間浸漬処理を行った後のバイレック法による20℃、10分間の吸上性が30mm以上であることを特徴とする極細長繊維不織布。
【選択図】図1
Description
溶融紡糸と直結した効率的な不織布製造方法としては、スパンボンド法とメルトブローン法がある。一般的なスパンボンド法によって製造された従来の長繊維不織布は、機械的強度には優れるものの、繊維径が大きいため表面積が小さく、吸液性、柔軟性、濾過性に欠けるものであった。それに比べて、メルトブローン不織布は繊維径が小さく、これによる柔軟性、表面積の大きさを活かし、ワイパー材やフィルター基材等、幅広く利用されている。しかし、メルトブローン不織布は、それ単独では機械的強度が低く、支持層としてスパンボンド不織布等を積層して利用されるのが一般的である。
しかしながら、該公報の発明では、PVAの一部を残存させること、さらに残存させる際の条件により従来の常識からは予測できない耐久性に優れた吸水性を有する極細長繊維布が得られることについて記載がない。通常の熱水による抽出処理及び乾燥処理を行うと耐久性ある吸水性は得られない。
本発明において、水溶性熱可塑性樹脂以外の熱可塑性樹脂(b)からなる極細長繊維は平均0.5dtex以下の繊度を有していることが必要であり、0.4dtex以下の繊度を有することが好ましく、0.3dtex以下の繊度を有することがより好ましく、0.25dtex以下の繊度を有することが特に好ましい。極細長繊維の繊度が0.5dtexよりも大きい場合には、極細化が十分でなく、繊維表面積が低下し、さらに柔軟性、吸液性等が著しく低下する。また、下限値に関しては特に限定はないが、生産のし易さの点で0.001dtex以上が好ましい。
一方で、引張強度(B)N/5cmと目付(A)g/m2は(B)/(A)≦10.0を満足することが好ましい。(B)/(A)>10.0の場合には、極細長繊維不織布の柔軟性が低下する場合がある。なお、(B)/(A)の値は、平均繊度、紡糸引取速度、熱圧着・絡合条件等により変えることが可能で、平均繊度を大きくする、紡糸引取速度を大きくする、あるいは熱圧着・絡合条件を強化する等により、(B)/(A)の値を高くすることができる。
本発明の極細長繊維不織布構造体中に存在する水溶性熱可塑性樹脂の割合は、不織布質量に対して5質量%以下であることが必要であり、0.001〜5質量%であることが好ましく、0.03〜4質量%であることがより好ましく、0.05〜3.5質量%であることが特に好ましい。水溶性熱可塑性樹脂の割合が5質量%より多い場合には、使用時に水溶性熱可塑性樹脂の溶出が高くなり、また不織布の柔軟性が低下する。一方、水溶性熱可塑性樹脂の割合が0.001質量%より少ない場合には、不織布の吸水性が十分でなく、ワイパー等の用途で使用する際の吸水性能で劣る場合がある。
不織布表面の水溶性熱可塑性樹脂被覆率はX線光電子分光法により分析することができる。
水溶性熱可塑性PVAは、PVAのホモポリマーは勿論のこと、例えば、共重合、末端変性、および後変性により官能基を導入した変性PVAも包括するものである。勿論、溶融紡糸可能なものであらねばならない。通常の一般市販PVAは溶融温度と熱分解温度が近接しているため溶融紡糸することはできず(すなわち熱可塑性ではなく)、種々の工夫が必要である。
P=([η]×103/8.29)(1/0.62)
さらに、α−オレフィンがエチレンである場合には、特に繊維物性が高くなることからもっとも好ましく、特にエチレン単位が3〜20モル%存在する場合が好適であり、より好ましくは5〜18モル%エチレン単位が導入された変性PVAを使用する場合である。
洗浄液の量としてはアルカリ金属イオンの含有割合を満足するように設定されるが、通常、PVA100質量部に対して、300〜10000質量部が好ましく、500〜5000質量部がより好ましい。洗浄温度としては、5〜80℃が好ましく、20〜70℃がより好ましい。洗浄時間としては20分間〜100時間が好ましく、1時間〜50時間がより好ましい。
本発明に好適に用いられるPVAと複合紡糸しやすい点からは、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ナイロン6、ナイロン66、ポリプロピレン、ポリエチレンおよびエチレン単位を25モル%から70モル%含有する上記エチレン−ビニルアルコール共重合体が好ましい。
紡糸口金温度は、複合長繊維を構成するポリマーのうち高い融点を持つポリマーの融点をMpとするときMp+10℃〜Mp+80℃が好ましく、せん断速度(γ)500〜25000sec−1、ドラフト(V)50〜2000で紡糸することが好ましい。また、複合紡糸するポリマーの組み合わせから見た場合、紡糸時における口金温度とノズル通過時のせん断速度で測定したときの溶融粘度が近接したポリマー、例えば溶融紡糸口金温度において、せん断速度1000sec−1における溶融粘度差が2000poise以内である組み合せで複合紡糸することが紡糸安定性の面から好ましい。
上記以外にも、複合長繊維の分割性を向上させる方法として、高圧水流の噴射により分割する方法、加圧ロール間を通過させることによる分割方法等、種々の方法が適用可能であり、水溶性熱可塑性樹脂(a)を抽出除去する方法と併用して行われる。
乾燥時間についても、目的や使用する装置、乾燥温度に応じて適宜調整が可能であるが、生産効率、安定性、得られる極細長繊維不織布の品質・性能等を考慮すると、バッチ処理を行う場合には24時間以内であることが好ましく、連続処理の場合は1時間以内であることが好ましい。
勿論、水流絡合等の絡合方法を用いて集束状態を解き、極細長繊維を集束体から離れて独立して存在させることも可能である。該方法は柔軟性を付与したい場合に効果的であり、絡合の程度を変更することにより、適宜調整が可能である。
本発明において、不織布の目付けとしては、5〜500g/m2の範囲が生産性および後加工性の点で好ましい。
このようなエンボス模様で熱圧着された部分は、形態安定性と柔軟性、吸水性の観点から、不織布の表面積の5〜30%であることが好ましい。
本発明の不織布を電池用セパレーターとして用いる場合には、極細長繊維を構成するポリマー(b)として、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン等が挙げられ、中でも耐アルカリ性を有していることから特にポリプロピレンが好ましい。従来、ニッケル−カドミウム電池、ニッケル−水素電池等のアルカリ二次電池のセパレーターとして、スルホン化処理により親水化したポリプロピン製不織布が用いられているが、本発明の不織布は吸水性(親水性)、すなわち吸アルカリ液性に優れているため、従来技術のようにスルホン化して親水性を付与する必要がない。もちろん、本発明において、スルホン化する方法を併用してもよい。
PVAの分析方法は、特に記載のない限り、JIS−K6726に従った。
変性量は、変性ポリビニルエステルあるいは変性PVAを用いて500MHz1H−NMR(JEOL社製 GX−500)装置による測定から求めた。
アルカリ金属イオンの含有量は原子吸光法で求めた。
PVAの融点は、DSC(メトラー社、TA3000)を用いて、窒素中、昇温速度10℃/分で250℃まで昇温後室温まで冷却し、再度昇温速度10℃/分で250℃まで昇温した場合のPVAの融点を示す吸熱ピークのピークトップの温度を調べた。
溶融紡糸の状態を観察して次の基準で評価した。
◎:極めて良好、○:良好、△:やや難あり、×:不良
得られた不織布を目視観察および手触観察して次の基準で評価した。
◎:均質で極めて良好、○:ほぼ均質で良好、△:やや難あり、×:不良
30cm×30cmの不織布試料をオートクレーブ中で2000ccの水に浸漬し、120℃で1時間加熱処理した。処理後、熱水中から不織布を取り出して軽く搾り、抽出液を取り換えて同様の操作を実施。計3回の繰り返し処理により、不織布中の水溶性熱可塑性樹脂を完全抽出除去。処理前後の質量変化より、不織布中の水溶性熱可塑性樹脂の割合を求めた。
X線光電子分光法(XPS)により不織布表面の構成元素および結合状態を解析し、その結果よりPVAの割合を算出した。
30cm×30cmの不織布試料を105℃で1晩乾燥した。乾燥前後の質量変化より、不織布の含水率を求めた。
顕微鏡により倍率1000倍で撮影した不織布試料の拡大写真から、無作為に10本の繊維を選び、それらの繊維径を測定し、その平均値を平均繊維径とした。
JIS L1906 「一般長繊維不織布試験方法」に準じて測定した。
JIS L1906 「一般長繊維不織布試験方法」に準じて測定した。
JIS L1906 「一般長繊維不織布試験方法」(剛軟性A法(カンチレバー法))に準じて測定した。
JIS L1018−70「メリヤス生地試験法」(吸水性B法(バイレック法)KRT No.411−2)に準じて測定した。2.5cm×32cmの不織布の下端に荷重を取り付け、水溶性インク(インク/水=1/5)に試験片の下端1cmまで沈め、10分間保持したときの吸い上げ高さを測定した。
予め絶乾した後に精秤した20cm×20cmの不織布を、20℃の純水500cc中に5分間浸漬後、不織布を水上に引き上げた状態で約30秒間保ち、水滴が落ちなくなった時点での全質量を精秤して不織布の保水率を求めた。
時計皿(直径9cm)に1gの蒸留水を入れ、その上に5cm×5cmの不織布を広げて漬け、5秒後に不織布の一端をピンセットでつまみ、時計皿から取り除き、時計皿に残った水量を測定した。
JIS L1906 「一般長繊維不織布試験方法」に準じて測定した。
不織布資料の表面に存在する極細繊維束を取り出し、繊維の捲縮を伸ばしたときの長さと、もとの長さとの差の、伸ばしたときの長さに対する百分率。
JIS−P8113に準じて測定した。不織布試料を5%KMnO4水溶液と30%KOH水溶液を250cc/50ccの割合で混合した50℃溶液に1時間浸漬処理した。処理前後の引張強度を測定し、その保持率(%)を求めた。
5cm×5cmの電池セパレーターを、20℃の30%KOH試験水溶液に30分間浸漬処理し、水上に引き上げた状態で約30秒間保ち、水滴が落ちなくなった時点での全質量を精秤して含液量(%)を求めた。
[エチレン変性PVAの製造]
撹拌機、窒素導入口、エチレン導入口および開始剤添加口を備えた100L加圧反応槽に酢酸ビニル29.0kgおよびメタノール31.0kgを仕込み、60℃に昇温した後30分間窒素バブリングにより系中を窒素置換した。次いで反応槽圧力が5.6kg/cm2(5.5×105Pa)となるようにエチレンを導入仕込みした。開始剤として2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(AMV)をメタノールに溶解した濃度2.8g/L溶液を調整し、窒素ガスによるバブリングを行って窒素置換した。上記の重合槽内温を60℃に調整した後、上記の開始剤溶液170mlを注入し重合を開始した。重合中はエチレンを導入して反応槽圧力を5.6kg/cm2(5.5×105Pa)に、重合温度を60℃に維持し、上記の開始剤溶液を用いて610ml/hrでAMVを連続添加して重合を実施した。9.5時間後に重合率が68%となったところで冷却して重合を停止した。反応槽を開放して脱エチレンした後、窒素ガスをバブリングして脱エチレンを完全に行った。次いで減圧下に未反応酢酸ビニルモノマーを除去しポリ酢酸ビニルのメタノール溶液とした。
いずれの評価においても良好な性能を示した。
通気度が低く、濾過性に優れることを確認した。
実施例1で用いたPVAの代わりに表1に記載するPVAを用いる以外は実施例1と同じ条件下にて複合長繊維からなる不織ウエブを得た。紡糸状態を表2に示す。
得られた複合長繊維不織布について、実施例1と同様にサーキュラー染色機を用いてPVA成分を抽出し、80℃で3分間熱風乾燥させることにより、目的とする極細長繊維不織布を得た。これらの不織布においても、極細長繊維は8本集束した状態で不織布を構成していた。
得られた極細長繊維不織布のPVA残存量、被覆率、水分率、繊度、目付、基礎物性評価結果を表3に示す。さらにワイパー性能およびフィルター性能についての評価結果も表3に示す。
実施例1で用いたPVAの代わりに表1に記載するPVAを用い、表2に記載する型状の複合紡糸用口金、熱可塑性ポリマーを用い、表2に記載する紡糸条件を採用し、適宜ノズル−エジェクター間距離およびラインネット速度を調整する以外は実施例1と全く同じ条件下にて複合長繊維からなる不織ウエブを得た後、表2に記載するエンボス処理温度にて部分熱圧着して複合長繊維不織布とした。
複合繊維成分の質量比率はパックへのポリマー導入量を変えることで調整させた。また、張り合せ型複合繊維は、図2の断面で熱可塑性ポリマーが6層部分、PVAが5層部分となるように導いた。海島型複合繊維は、図4の断面で熱可塑性ポリマーが島成分、PVAが海成分となるように導いた。
得られた複合長繊維不織布についてPVA成分を抽出し、乾燥させることにより、目的とする極細長繊維不織布を得た。実施例9〜11については、ウィンス染色機(水浴1000L、90℃×60分、不織布回転速度約100m/分)を用いて処理を行った。実施例12〜17については、実施例1と同様にサーキュラー染色機を用い、熱水温度、処理時間を変更することにより、不織布中のPVAの割合を調整した。
得られた極細長繊維不織布のPVA残存量、被覆率、水分率、繊度、目付、基礎物性評価結果を表3に示す。さらにワイパー性能およびフィルター性能についての評価結果も表3に示す。なお、これらの不織布においても、極細長繊維は6本集束した状態で不織布を構成していた。
実施例1と全く同じ条件下にて複合長繊維からなる不織ウエブの製造、エンボス処理および抽出を行った後、表2に示す条件にて熱風乾燥を行い、目的とする極細長繊維不織布を得た。得られた極細長繊維不織布のPVA残存量、被覆率、水分率、繊度、目付、基礎物性評価結果を表3に示す。ワイパー性能およびフィルター性能についての評価結果も表3に示す。なお、この不織布においても、極細長繊維は集束した状態で不織布を構成していた。
実施例1と全く同じ条件下にて複合長繊維からなる不織ウエブの製造、エンボス処理を行った後、表2に示す水浴比にてPVAを抽出し、80℃にて3分間熱風乾燥を行い、目的とする極細長繊維不織布を得た。得られた極細長繊維不織布のPVA残存量、被覆率、水分率、繊度、目付、基礎物性評価結果を表3に示す。ワイパー性能およびフィルター性能についての評価結果も表3に示す。なお、この不織布においても、極細長繊維は集束した状態で不織布を構成していた。
実施例1で用いたPVAの代わりに表1に記載するPVAを用い、表2に記載する熱可塑性ポリマー、紡糸条件を適用し、適宜ノズル−エジェクター間距離およびラインネット速度を調整する以外は実施例1と全く同じ条件下にて複合長繊維からなる不織ウエブを得た後、表2に記載するエンボス処理温度にて部分熱圧着して複合長繊維不織布とした。複合繊維成分の質量比率はパックへのポリマー導入量を変えることで調整させた。紡糸状態はいずれも良好であった。
得られた複合長繊維不織布について、実施例1と同様にPVA成分を抽出し、乾燥させることにより、目的とする極細長繊維不織布を得た。不織布中のPVAの割合は、熱水温度および処理時間を適宜変更することにより調整した。
極細長繊維不織布のPVA残存量、被覆率、水分率、繊度、目付、各種性能についての評価結果を表3に示す。
比較例2については、熱水処理でPVAがほぼ完全に除去されたことにより、不織布の吸上性が低下し、ワイピング性能に劣るものとなった。
また比較例3については、熱水処理後のPVA残存率が高くなり、柔軟性に劣る極細長繊維不織布しか得られなかった。
固有粘度が0.7、融点が255℃のポリエチレンテレフタレートを準備し、押出機内で加熱して溶融混練し、280℃の紡糸パックに導き、ノズル径0.35mmφ×1008ホール、吐出量620g/分、せん断速度3000sec−1の条件で紡糸口金から吐出させ、紡出フィラメント群を20℃の冷却風で冷却しながら、ノズルから80cmの距離にあるエジェクターにより高速エアーで4000m/分の引取り速度で牽引細化させ、開繊したフィラメント群をエンドレスに回転している捕集コンベア装置上に捕集堆積させ、ポリエチレンテレフタレートからなる長繊維ウエブを形成した。
次いで、このウエブを180℃に加熱した凹凸柄エンボスロールとフラットロールとの間で、線圧50kg/cmの圧力下で通過させ、エンボス部分熱圧着させることにより、単繊維繊度1.54dtexの長繊維からなる目付84g/m2の長繊維不織布を得た。
ポリエチレンテレフタレートのみでは吸液性を示さず、さらには通気度も大きいため濾過性に劣るものとなった。
比較例4で得られた長繊維不織布をPVA−1の1%水溶液に浸漬し、95℃で1時間加熱処理を行った。処理後、長繊維不織布を引き上げ、そのまま80℃にて3分間熱風乾燥させることにより、不織布構造体中にPVA−1を含有する長繊維不織布を得た。長繊維不織布中のPVA残存率は1.4%であった。
得られた長繊維不織布を用いて各種性能評価を行った結果を表3に示す。
PVAを含有させることで吸水性を付与することができたが、繊維径が大きいため吸水性が十分でなく、ワイパー性能に劣るものであった。
メルトフローレート(MFR)が400g/10分のポリプロピレンを溶融押出機を用いて230℃で溶融混練し、溶融したポリマー流をメルトブローダイヘッドに導き、ギヤポンプで計量し、直径0.3mmΦの孔を0.75mmピッチで一列に並べたメルトブローンノズルから吐出させ、同時にこの樹脂に240℃の熱風を噴射して吐出した繊維を成形コンベア上に捕集し、目付100g/m2のポリプロピレン系極細繊維不織布を得た。
得られた極細繊維不織布の繊度、目付、各種性能についての評価結果を表3に示す。
引張強度が小さく、単独での利用が困難であった。
比較例6で得られた極細繊維不織布をPVA−1の1%水溶液に浸漬し、95℃で1時間加熱処理を行った。処理後、極細繊維不織布を引き上げ、そのまま80℃にて3分間熱風乾燥させることにより、不織布構造体中にPVA−1を含有する極細繊維不織布を得た。極細繊維不織布中のPVA残存率は1.2%であった。
得られた極細繊維不織布を用いて各種性能評価を行った結果を表3に示す。
PVAを含有させることで吸水性を付与することができたが、繊維および不織布の強度が小さいため毛羽の発生が激しく、該不織布単独での利用は困難であった。また、極細繊維は一本一本が実質的に独立しており、本発明のように、集束状態を形成していなかった。
実施例6および比較例6のポリプロピレン系不織布を積層し、150℃に加熱した凹凸柄エンボスロールとフラットロールとの間で、線圧50kg/cmの圧力下で通過させ、エンボス部分熱圧着させることにより、極細繊維からなる不織布積層物を得た。
得られた極細繊維不織布積層物について各種性能評価を行った結果を表3に示す。
強度が大きく、さらには通気度が低く、フィルター基材として好適な極細繊維不織布積層物を得ることができた。
実施例9、13、および18で得られた複合長繊維不織布各50mについて、水流絡合機(150kg/cm2、不織布通過速度5m/分)を用いて高圧水流を噴射させることにより、複合長繊維を交絡処理した。
続いてサーキュラー型染色機(水浴800L、不織布回転速度約50m/分)を用い、PVA成分の抽出処理を行った。複合長繊維不織布投入後、室温から約5℃/分の速度で95℃まで昇温させ、さらに95℃にて15分間熱水処理を行った。このような処理を2回行うことにより、複合長繊維不織布中のPVA成分を抽出した。
上記ウェブを連続処理にて80℃で3分間熱風乾燥させることにより、ポリプロピレン極細長繊維不織布を得た。
さらに、各極細長繊維不織布を表4に示す条件で熱フラットロール間を通過させることにより、均質で良好な電池セパレーターを得た。
得られた電池セパレーターの各種基礎物性評価結果を表4に記載した。いずれも評価においても良好な性能を示した。
実施例9で得られた複合長繊維不織布を用い、表4に示す条件で熱フラットロール間を通過させること以外は実施例24と同じ条件にて水流絡合、熱水処理を行い、電池セパレーターを得た。得られた電池セパレーターの各種基礎物性評価結果を表4に記載した。
電池セパレーターを構成する極細長繊維不織布がフィルム状となって吸水性能が低下し、セパレーターとしての使用は困難であった。
水酸化ニッケルの粉末100重量部にカルボキシメチルセルロースの水溶液を固形分換算で20重量部添加し、更に混練してペーストを調製した。なお、水酸化ニッケルは水酸化コバルトをコートしたものを用いた。このペーストを集電体である多孔質ニッケル板内に充填し、乾燥した後、ローラプレスして圧延成形することにより水酸化ニッケルを含む正極合剤が集電体に担持された構造の正極板を作製した。正極板は、厚さが680μmで、単位体積当りの容量が580mAh/ccであった。
60℃で2日間エージング後、10時間率で15時間充電し、0.2Cで端子電圧が1Vになるまで放電するという充放電を3回繰り返した。表5に3サイクル目の放電容量の平均値を示した。
比較例8で作製したセパレーターを用いた以外は実施例29と同様に電池を作製し、充放電を行った。表5に3サイクル目の放電容量の平均値を示した。
活性炭(クラレケミカル社製 BP−20)80重量部に、重量比でポリテトラフロロエチレン10重量部、導電性フィラー(電気化学社製デンカブラック)10重量部を加え、混錬、シート化した後、打ち抜き、直径13mmの円形の分極性電極を得た。分極性電極を導電性ペーストで、缶蓋に接着し、150℃にて30分間乾燥後、更に200℃で12時間真空乾燥を行った。直径13.5mmに打ち抜いた実施例24のセパレータ2枚を60℃にて真空乾燥後、露点−80℃以下グローブボックス内に移行し、以後のセル作製に関わる作業をグローブボックス内で実施した。電解液には1M/Lのテトラエチルアンモニウムテトラフロロボレートのプロピレンカーボネート溶液を使用し、分極性電極、実施例24のセパレーターを真空下、30分間電解液に含浸した。これらの材料を用いて図7の如くコイン型キャパシタを組み立てた。コイン型キャパシタを4mAの定電流で2.0Vまで充放電を行い、1サイクル目の放電カーブにおける1.0Vから0.5Vまでの放電カーブから静電容量を算出した。また、放電直後の電圧低下から抵抗を算出した。結果を表6に示した
比較例8で作製したセパレータを用いた以外は実施例30同様にキャパシタを作製し、充放電を行った。表6に静電容量の平均値を示した。
2 他の熱可塑性ポリマー
3 正極
4 負極
5 セパレーター
6 リード線
7 正極
8 負極
9 セパレーター
10 ガスケット
11 ケース
12 安全弁
13 集電部材
14 集電部材
15 分極性電極
16 分極性電極
17 セパレーター
18 ガスケット
19 ケース
Claims (23)
- 平均繊度が0.5dtex以下である極細長繊維からなる不織布であって、不織布構造体中に水溶性熱可塑性樹脂が不織布質量に対して5質量%以下存在しており、80℃水中で60分間浸漬処理を行った後のバイレック法による20℃、10分間の吸上性が30mm以上、不織布の縦方向および横方向の引張強度(B)N/5cmが目付(A)g/m2に対して(B)/(A)≧0.25であることを特徴とする極細長繊維不織布。
- 不織布構造体表面の30%以上が水溶性熱可塑性樹脂により被覆されている請求項1記載の極細長繊維不織布。
- 水溶性熱可塑性樹脂が水溶性熱可塑性ポリビニルアルコールである請求項1または2に記載の極細長繊維不織布。
- 水溶性熱可塑性ポリビニルアルコールが、炭素数4以下のαオレフィン単位および/またはビニルエーテル単位を0.1〜20モル%含有する変性ポリビニルアルコールである請求項3に記載の極細長繊維不織布。
- 水溶性熱可塑性ポリビニルアルコールが、エチレン単位を3〜20モル%含有する変性ポリビニルアルコールである請求項3または4に記載の極細長繊維不織布。
- 水溶性熱可塑性樹脂が不織布中に0.001〜5質量%存在している請求項1〜5のいずれかに記載の極細長繊維不織布。
- 極細長繊維不織布が、部分的な熱圧着により形態を維持している請求項1〜6のいずれかに記載の極細長繊維不織布。
- 前記極細長繊維不織布が、高圧水流の噴射により絡合されている請求項1〜7のいずれかに記載の極細長繊維不織布。
- 極細長繊維不織布が、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンおよびエチレン単位を25モル%〜70モル%含有するエチレン−ビニルアルコール共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性ポリマーからなるものである請求項1〜8のいずれかに記載の極細長繊維不織布。
- 極細長繊維不織布が、極細長繊維の集束体である極細長繊維束から形成されている請求項1〜9のいずれかに記載の極細長繊維不織布。
- 極細長繊維不織布が、微細な捲縮を有する極細長繊維の集束体である極細長繊維束から形成されている請求項1〜10のいずれかに記載の極細長繊維不織布。
- 請求項1〜11のいずれかに記載の極細長繊維不織布と他の不織布が積層されている不織布積層物。
- 水溶性熱可塑性樹脂(a)および他の熱可塑性ポリマー(b)からなり、該水溶性熱可塑性樹脂(a)を除去することにより該熱可塑性ポリマー(b)からなる平均繊度0.5dtex以下の極細長繊維となり得る複合長繊維からなる不織布から極細長繊維不織布を製造する方法において、該複合長繊維から該水溶性熱可塑性樹脂(a)の大部分を水で溶解除去すると共に、該水溶性熱可塑性樹脂(a)の一部を不織布内に残存させることを特徴とする極細長繊維不織布の製造方法。
- 水溶性熱可塑性樹脂(a)の大部分を水で溶解除去した後、120℃以下の温度で乾燥させる請求項13に記載の極細長繊維不織布の製造方法。
- 水溶性熱可塑性樹脂(a)の大部分を水で溶解除去するに際し、水浴比が不織布質量に対して100〜2000倍である水浴を使用する請求項13または14に記載の極細長繊維不織布の製造方法。
- 水溶性熱可塑性樹脂(a)の大部分を水で溶解除去する際の操作方法として、50℃以下の温度の水で溶解処理を開始し、徐々に水温を高め、水温80〜120℃で5分〜10時間溶解処理する操作を用いる請求項13に記載の極細長繊維不織布の製造方法。
- 水溶性熱可塑性樹脂(a)が水溶性熱可塑性ポリビニルアルコールである請求項13〜16のいずれかに記載の極細長繊維不織布。
- 請求項1〜12のいずれかに記載の極細長繊維不織布からなるワイパー。
- 請求項1〜12のいずれかに記載の極細長繊維不織布からなるフィルター材。
- 請求項1〜12のいずれかに記載された厚み250μm以下の極細長繊維不織布からなる電池用セパレーター。
- 請求項1〜12のいずれかに記載された厚み250μm以下の極細長繊維不織布からなるキャパシタセパレーター。
- 請求項20に記載のセパレーターを用いた電池。
- 請求項21に記載のセパレーターを用いたキャパシタ。
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