JPH0975923A - 浄水器 - Google Patents

浄水器

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JPH0975923A
JPH0975923A JP25821195A JP25821195A JPH0975923A JP H0975923 A JPH0975923 A JP H0975923A JP 25821195 A JP25821195 A JP 25821195A JP 25821195 A JP25821195 A JP 25821195A JP H0975923 A JPH0975923 A JP H0975923A
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water
lead
water purifier
calcium phosphate
adsorbent
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JP25821195A
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English (en)
Inventor
Yuuji Tsukida
祐二 槻田
Minoru Takashio
稔 高塩
Masaki Kitamura
正樹 北村
Takao Imasaka
卓男 今坂
Naohito Wajima
尚人 輪島
Satoshi Kitazaki
聡 北崎
Hironori Hatono
広典 鳩野
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Toto Ltd
Original Assignee
Toto Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】水道水に溶存する鉛を長期間にわたり10ppb以
下の低濃度にまで除去することの可能な浄水器を提供す
ることを目的とする。 【解決手段】浄水器のカートリッジ(34)の吸着エレメ
ント(54)にはリン酸カルシウム化合物、好ましくは水
酸アパタイトを主成分とする骨炭が配合してあり、水道
水に溶存する鉛を除去するようになっている。カートリ
ッジ(34)はヒータ(60)により定期的に加熱される。
加熱により鉛に対する骨炭の吸着能力は回復し、長期間
にわたり鉛を高度に除去することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水道水に溶存する
鉛イオンを除去するための浄水器に関する。
【0002】
【従来の技術】人体に摂取された鉛は骨に蓄積し、高濃
度に蓄積すると貧血、便秘症、腹痛、筋肉の麻痺などの
鉛中毒を惹き起こすことが知られている。
【0003】公共水道管と蛇口との間の古い配管には鉛
管が使われていることが多い。鉛管の鉛は水に溶けるの
で、水道水には鉛イオンが低濃度で溶存している。近年
では、子供は成人の数倍の鉛を吸収すること、および、
低濃度の鉛でもヘム合成酵素の働きを阻害することが明
らかになっており、飲料水中の低濃度の鉛が人体に与え
る影響が問題となっている。
【0004】これに鑑み、1993年12月に施行された改正
水質省令には飲料水中の鉛の濃度は0.05mg/l(50ppb)
以下にしなければならないことが規定されている。世界
保健機構(WHO)のガイドライン(1993年)は、更に、
飲料水中の鉛の濃度を10ppb以下にすることを勧告して
いる。そこで、水道水に溶存する鉛を10ppb以下もの低
濃度にまで除去することの可能な浄水器が望まれてい
る。
【0005】水溶液中の鉛イオンが水酸アパタイト(C
10(PO4)6(OH)2)のようなリン酸カルシウム塩に
よって容易に除去されることは知られている(鈴木喬
『環境とイオン交換・吸着剤』、雑誌『表面』、Vol.2
9、No.11、p.918(1991))。鈴木氏は水溶液中の鉛イオン
は水酸アパタイトのカルシウムイオンと常温常圧下で容
易にイオン交換すると報告している。
【0006】従来技術には、また、リン酸カルシウムに
よって飲料水の鉛を除去するようになった浄水器が提案
されている。例えば、特開平7-185532号には、活性炭が
充填された区画とリン酸カルシウムが充填された区画を
備えた浄水器が開示されている。活性炭は、水道水に溶
存する残留塩素や、残留塩素と有機物との反応により生
成するトリハロメタンのような有害な有機塩素化合物
や、水源の微生物に由来する黴くさい物質を除去する。
リン酸カルシウムは水道水に溶存する有害な鉛を除去す
ることを目的としている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来技術に提案された
浄水器においては、リン酸カルシウム単位重量当たりの
鉛吸着容量は限られており、リン酸カルシウムからなる
鉛吸着剤には所与の寿命がある。従って、10ppb以下も
の低濃度にまで鉛を除去するためには、浄水器の吸着槽
には大量のリン酸カルシウムを充填するか、或いはリン
酸カルシウムの吸着剤を頻繁に交換しなければならなか
った。リン酸カルシウムを大量に充填するためには浄水
器を大型にしなければならない。吸着剤を頻繁に交換す
るには面倒なメンテナンスを要する。
【0008】本発明の目的は、世界保健機構の1993年ガ
イドラインの鉛に関する水質基準を充足した飲料水を供
給可能な浄水器を提供することにある。
【0009】本発明の他の目的は、水道水に溶存する鉛
イオンを長期間にわたって高度に除去することの可能な
高性能の浄水器を提供することにある。
【0010】本発明の他の目的は、水道水に溶存する鉛
イオンを効果的に除去することが可能で、小型でコンパ
クトな浄水器を提供することにある。
【0011】本発明の他の目的は、水道水に溶存する鉛
イオンを長期間にわたって効果的に除去することが可能
で、リン酸カルシウムの吸着剤を交換するためのメンテ
ナンスを要しないか大幅に低減することの可能な浄水器
を提供することにある。
【0012】浄水器の活性炭の吸着能力が低下した場合
には残留塩素の臭いが強くなるので、使用者は活性炭の
寿命が尽きたことを容易に判断することができる。しか
しながら、リン酸カルシウムの鉛吸着能力の低下に伴い
浄水器からの鉛流出濃度が増加しても、使用者は感知す
ることができない。従って、本発明の他の目的は、鉛を
長期間にわたって高度に除去することが可能で、鉛除去
の観点において信頼性の高い浄水器を提供することにあ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者は、研究の結
果、水中に低濃度で溶存する鉛に対するリン酸カルシウ
ムの吸着能力は加熱により回復することを発見した。
【0014】本発明は斯る発見に基づくもので、本発明
の浄水器は、水入口と水出口を備えた容器と、前記容器
内に収容されリン酸カルシウム化合物を含む吸着剤と、
所定時期に所定時間にわたり前記吸着剤を加熱する加熱
手段とを備えている。
【0015】リン酸カルシウム化合物としては水酸アパ
タイト(Ca10(PO4)6(OH)2)を使用することがで
きる。水酸アパタイトは脊椎動物の骨や歯の主成分であ
り、鉛が骨に蓄積されるのと同様の原理で鉛を選択的に
吸着することができる。しかし、本発明者の研究によれ
ば、鉛吸着能力と加熱による吸着能力の回復において水
酸アパタイトよりも骨炭の方が優れていることが判っ
た。そこで、本発明の好ましい実施態様においては、吸
着剤のリン酸カルシウム化合物として骨炭を使用する。
骨炭は家畜などの骨を熱処理して得られるもので、その
主成分はリン酸カルシウムである。
【0016】吸着剤の加熱はリン酸カルシウム化合物1
グラム当たりの通水量少なくとも約200リッター毎、
好ましくは約100リッター毎、より好ましくは約50
リッター毎に行われる。更に好ましくは、吸着剤は毎日
1回加熱される。加熱は約50℃以上の温度、好ましく
は少なくとも約100℃の温度で行われる。
【0017】鉛に対するリン酸カルシウムの吸着能力が
加熱により回復する理由は現在のところ明らかではな
い。水酸アパタイトのイオン交換能力が加熱により回復
することは考え難いので、前掲『環境とイオン交換・吸
着剤』のイオン交換説からこの現象を説明するのは困難
であると考えられる。本発明者の仮説であるが、リン酸
カルシウムの吸着能力が加熱により回復するのは、リン
酸カルシウムの表面に吸着された鉛イオンがリン酸カル
シウム結晶内に拡散するのが加熱により促進され、鉛イ
オンの吸着サイトとなるリン酸基がリン酸カルシウムの
表面に新たに生じるからではないかと考えられる。さら
に、水道水に溶存する鉛イオンのように、濃度が極めて
低く、リン酸カルシウムの表面に吸着される鉛イオンの
量が少ない場合には、リン酸カルシウム結晶内への鉛イ
オンの拡散がスムーズに進行するものと考えられる。
【0018】本発明の好ましい実施態様においては、リ
ン酸カルシウムからなる吸着剤には更に活性炭が配合し
てある。このようにすれば、吸着剤を加熱することによ
り、活性炭に吸着されていた残留塩素や有機塩素化合物
が脱着され、リン酸カルシウムの鉛吸着能力の回復と同
時に活性炭が再生される。
【0019】好ましくは、吸着剤はリン酸カルシウム化
合物と活性炭を一体的に成形してなり、リン酸カルシウ
ム化合物と活性炭は均一に混合されている。この吸着エ
レメントは、リン酸カルシウム化合物と活性炭と結着剤
を配合したスラリーを吸引成形法などにより成形するこ
とにより容易に製造することができる。
【0020】本発明の上記特徴や効果、ならびに、他の
特徴や利点は、以下の実施例の記載に従い更に明らかと
なろう。
【0021】
【発明の実施の形態】添付図面を参照しながら本発明の
浄水器の好適な実施例を説明する。初めに図1に基づい
て本発明の浄水器の使用例を説明するに、この浄水器1
0は、例えば、流し12を備えた台所カウンター14上
に載置して使用することができる。図示した使用例で
は、流しにはシングルレバー型の湯水混合栓16が設置
してあり、この湯水混合栓16には給湯パイプ16Aを
介して給湯機(図示せず)からの湯が供給され、水道管
(図示せず)に接続された給水パイプ16Bから水道水
が供給されるようになっている。
【0022】水栓16のスパウト18には切換え弁機構
を内蔵した蛇口アダプタ20が取付けてあり、このアダ
プタ20は水道水供給ホース22と浄水吐出ホース24
とにより浄水器10に接続されている。アダプタ20の
ハンドル26を所定位置に回すと、水栓16からの水道
水は水道水供給ホース22により浄水器10に送られ、
浄化された水は浄水吐出ホース24からアダプタ20に
送り返され、その出口28から吐出される。ハンドル2
6を他の位置に回すと、水栓16からの未処理の水道水
(又は湯水混合物)は浄水器10を経由することなくア
ダプタ20の出口28からそのまゝ吐出される。浄水器
10からは、更に、排水ホース30が延長させてあり、
吸着エレメントの加熱時に発生した熱水や水蒸気を流し
12に排出させるようになっている。
【0023】図2を参照するに、図示した実施例では、
浄水器10は、水道水中に浮遊する赤錆や微生物などの
粒子成分を予めフィルターの濾過作用により除去した上
で、水道水中に溶存する鉛イオンや残留塩素やトリハロ
メタンや臭気物質のような有害な或いは不本意な物質を
吸着剤の吸着作用により除去するようになっている。こ
のため、この浄水器10は、従来型の中空糸膜フィルタ
ー(図示せず)が内蔵された濾過段32と、吸着剤が充
填されたカートリッジ34からなる吸着段とを備えてい
る。しかし、濾過段32は省略してもよい。浄水器のこ
れらの構成要素は、底板36付きのベース38に支持さ
れ、外側ケース40によって囲われている。
【0024】水栓16からの水道水は水道水供給ホース
22を介して濾過段32に送られ、濾過された水道水は
ホース42を介してカートリッジ34に送られる。濾過
段32の出口には、羽根車型の流量センサ44が配置し
てあり、浄水器を流れる水の流量を検出するようになっ
ている。流量センサ44は、浄水器の流路の任意の場所
に配置することができる。
【0025】カートリッジ34はその中に収容された吸
着剤の吸着能力を回復させるべく必要に応じて加熱され
るようになっている。このため、図3に示したように、
カートリッジ34はステンレス鋼板などからなる缶胴4
6と缶蓋48を巻き締め製缶してなり、ホース42が接
続される入口50を有する。カートリッジ34の中央に
はスケレトン状の芯枠52が配置してあり、その周りに
吸着エレメント54が固定してある。
【0026】図示した実施例では、吸着エレメント54
は骨炭と活性炭素繊維で形成されている。従って、濾過
段32で濾過された水がカートリッジ34に送られる
と、水道水中に溶存する鉛イオンは骨炭の吸着作用によ
り除去されると共に、残留塩素やトリハロメタンや臭気
物質のような物質は活性炭素繊維の吸着作用により除去
される。この吸着エレメント54は、骨炭と活性炭素繊
維と結着剤とを配合した水性スラリーを特開平7-16458
号に記載された方法で調整し、吸引成形法と乾燥により
製作することができる。鉛の除去だけを目的をする場合
には活性炭素繊維は省略してもよい。
【0027】カートリッジ34の入口50から内部に流
入した水道水は環状の空間56に分配され、エレメント
54を通過しながら浄化され、カートリッジ34の出口
58から流出する。
【0028】カートリッジ34の底部には電気ヒータ6
0が固定してあり、ヒータへの通電時にカートリッジ3
4を底部から加熱するようになっている。このため、缶
胴46の底部には複数のネジ62が溶接してあり、ナッ
トにより電気ヒータ60が締結してある。ヒータ60
は、カップ状の金属放熱板64と発熱体66とで構成す
ることができ、発熱体66には、ニクロム線を雲母箔で
挟んだマイカヒータやシーズヒータを使用することがで
きる。発熱体66と缶胴底部との間にはアルミニウム伝
熱板68を挟み、発熱体の熱が充分に容器に伝達される
ようになっている。電気ヒータ60に代えて、加熱され
た流体やバーナーなどによりカートリッジ34を加熱し
てもよい。
【0029】カートリッジ34の中央部は上げ底になっ
ており、この中央上げ底部にはその温度を検出するため
のサーミスタ70が伝熱関係で接触させてある。サーミ
スタ70はコイルばね72によって放熱板64に支持さ
れたサーミスタホルダー74に支持されており、中央上
げ底部に弾力接触されている。缶胴46と放熱板64と
の継ぎ目にはアルミニウム箔テープ76が貼付してあ
り、ヒータの熱が良好にカートリッジ34伝わるように
なっている。
【0030】図2を参照するに、カートリッジ34の出
口58には温度応答切換え弁78が装着してあり、カー
トリッジ34の加熱時にカートリッジ34内に発生した
熱水や水蒸気を排水ホース30を介して流し12に排出
させるようになっている。この切換え弁78は感温型の
もので、カートリッジ34から流出する熱水や水蒸気の
温度に応じて出口が自動的に切換わるようになってい
る。
【0031】より詳しくは、図4および図5に示したよ
うに、切換え弁78は、熱膨張性ワックス組成物などか
らなる感温エレメントを内蔵した可動部80と浄水出口
82と熱水出口84を備え、雰囲気温度の上昇に伴いス
ピンドル86が伸長して弁体88を図4において右方に
移動させ、カートリッジ34からの熱水や水蒸気を熱水
出口84に流出させるようになっている。この切換え弁
78は、例えば、雰囲気温度が60℃以下の時には流体
は浄水出口82に送られ、上記温度を超えると熱水出口
84に送られるように設定することができる。図2に示
したように、切換え弁78の浄水出口82には浄水吐出
ホース24を接続し、熱水出口84には排水ホース30
を接続することができる。
【0032】電気ヒータ60はベース38内に設けた制
御装置90によって制御されるもので、図示した実施例
では電気ヒータ60と制御装置90によって吸着剤の加
熱手段が構成される。制御装置90への電力は電源コー
ド92(図1)から得られる。浄水器10のベース38
には、また、表示・操作部94が設けてある。
【0033】図6には、制御装置90の構成の一例を示
す。制御装置90はプログラムされたマイクロコンピュ
ータ(以下、マイコン)96により構成することがで
き、流量センサ44およびサーミスタ70の出力はマイ
コン96に入力される。マイコン96はソリッド・ステ
ート・リレー(SSR)98を介してヒータ60への通
電を制御するようになっている。電源回路100の交流
出力は、SSR98と温度ヒューズ102を介してヒー
タに供給される。
【0034】表示・操作部94には、液晶表示パネル1
04と加熱再生時刻設定スイッチ106と手動加熱再生
スイッチ108を設けることができる。マイコン96
は、電源コード92のプラグをコンセントに差し込むと
加熱時刻が例えば13時間後にデフォルト設定され、加
熱時刻設定スイッチ106を押すことにより加熱時刻が
1時間単位でインクレメントされるようにプログラムす
ることができる。使用者は、浄水器を使用しない深夜な
どに加熱時刻を設定しておくのが好ましい。
【0035】次にこの浄水器10の作動と使用の態様に
ついて説明するに、図示した実施例では、この浄水器
は、使用者が設定した加熱時刻(或いは、デフォルト設
定された加熱時刻)が到来した時には毎日自動的に、お
よび、使用者が手動再生スイッチ108を押した場合に
はその都度、ヒータ60に通電し、吸着エレメント54
を加熱するようになっている。
【0036】より詳しくは、図7のフローチャートを参
照するに、設定された時刻が到来するか手動再生スイッ
チ108が押されると、マイコン96はSSR98を励
磁し、ヒーター60への通電を開始させる。同時に、液
晶表示パネル104には“再生中”または“準備中”な
どの使用禁止表示がなされ、使用者が誤って浄水器を使
用するのを防止する。
【0037】ヒーター60に通電が行われると、カート
リッジ34の底部は加熱され、カートリッジ内に滞留す
る水は熱水となり、やがて沸騰するであろう。発生した
熱水や水蒸気は、カートリッジ34の出口58から温度
応答切換え弁78に向かって上昇し、切換え弁78のワ
ックスを膨張させる。切換え弁78の雰囲気温度が60
℃以上になると、可動部80は図4において右方に移動
し、熱水や水蒸気を排水ホース30を介して流し12に
排出させる。
【0038】カートリッジ34の温度が上昇すると、吸
着エレメント54の骨炭は加熱され、骨炭の鉛吸着能力
が回復する。また、カートリッジ34内に滞留する水が
沸騰するに伴い、活性炭素繊維54は煮沸滅菌されると
共に、活性炭素繊維に吸着された塩素や、沸点が水の沸
点より低いトリハロメタンのような物質は熱水と水蒸気
の作用により脱着され、活性炭素繊維が再生される。
【0039】カートリッジ34内の滞留水と吸着エレメ
ント54に含まれた水が蒸発すると、カートリッジ34
の底部の温度が上昇する。サーミスタ70の信号に基づ
いて温度が例えば165℃を超えたことが検知される
と、ヒータ60への通電は終了される。カートリッジ3
4が放熱により冷却され、温度応答切換え弁78の雰囲
気温度が60℃以下になると、切換え弁78はカートリ
ッジ34の出口58を浄水吐出ホース24に接続し、浄
水器の使用に備える。カートリッジ34が更に放熱冷却
し、サーミスタ70の出力により容器底部の温度が40
℃に低下したことが検出されると、マイコン96は液晶
表示パネル104に“使用可能”又は“READY”と表示
させ、浄水器が使用可能な状態にあることを使用者に知
らせる。
【0040】カートリッジ34の吸着剤がリン酸カルシ
ウムのみからなる場合には、図8のフローチャートに示
したように吸着剤の加熱はより長い周期で行ってもよ
い。図7のフローチャートとの相違点のみを説明する
に、マイコン96は流量センサ44の信号に基づいて通
水を検知している間は、積算通水量を計測するための積
算カウンタをインクレメントする。マイコン96は積算
通水量が例えば1500リッターを超えるとヒータ60を作
動させ、吸着エレメントを加熱する。吸着エレメント5
4に30gの骨炭が充填されている場合には、加熱は骨
炭1g当たりの通水量50リッター毎に加熱されること
になる。加熱の頻度は適宜増減することができる。吸着
エレメントの加熱が終わると、積算カウンタはクリヤさ
れ、新たな積算が開始される。
【0041】
【実施例】実施例1 茅ヶ崎市の水道水に鉛濃度1000ppmの硝酸鉛を添加して
鉛濃度50ppbの被処理水を調整した。市販の2gのカラ
ムクロマトグラフィー用水酸アパタイト(Ca10(P
4)6(OH)2)をカラムに充填し、被処理水を中空糸膜
フィルターで濾過した後、約35ml/分の流量でカラムに
通水しながら、鉛の流出濃度をポーラログラフ分析法に
より測定した。試験結果を図9のグラフに示す。図9の
グラフにおいて、縦軸は鉛の流出率(初期濃度Co(=5
0ppb)に対する流出濃度Cの比)を示し、横軸は積算通
水量を示す。
【0042】このグラフから分かるように、積算通水量
約200リッターまでは、被処理水中の鉛は水酸アパタイ
トによって良好に除去され、鉛流出濃度は10ppb以下に
抑えられた。積算通水量が200リッターを超えると、鉛
流出濃度は10ppbを超え、次第に増加する。これは、鉛
流出濃度が10ppbを超える時を破過点とすれば、カラム
クロマトグラフィー用水酸アパタイトは1g当たり約10
0リッターの水を処理できることを意味している。積算
通水量約280リッターのところで流出濃度が一時的に初
期濃度よりも高くなったのは、水酸アパタイトに吸着さ
れた鉛が流出したことによるものと考えられる。積算通
水量が約290リッターになるまでに水酸アパタイト1g
当たり6.3mgの鉛が除去された。
【0043】積算通水量が約290リッターに達した時に
通水を止め、カラムを装置から取り外して乾燥機に入
れ、100℃で約2時間加熱した。次にカラムを再び分析
装置に取付け、被処理水の通水と鉛流出濃度の測定を再
開した。図9のグラフに示したように、加熱後は鉛流出
濃度が低下している。これは、加熱により水酸アパタイ
トの鉛吸着能力が回復したことを示している。
【0044】積算通水量が夫々約390リッターおよび約4
80リッターに達した時に通水を止め、同様にカラムを10
0℃で約2時間加熱した。2回目の加熱後も鉛流出濃度
が低下しており、水酸アパタイトの鉛吸着能力が回復し
たことを示している。最初の加熱により水酸アパタイト
1g当たり鉛0.7mgを除去するだけの吸着容量が回復
し、2回目の加熱により水酸アパタイト1g当たり鉛0.
6mgを除去するだけの吸着容量が回復した。
【0045】実施例1から、カラムクロマトグラフィー
用の水酸アパタイトは、加熱により鉛吸着能力が回復す
ることが判る。前述したように、加熱により水酸アパタ
イトの鉛吸着能力が回復する理由は明らかではないが、
水酸アパタイトの表面に吸着された鉛イオンが結晶内に
拡散するのが加熱によって促進され、鉛イオンの吸着サ
イトとなるリン酸基が水酸アパタイトの表面に新たに生
成するからではないかと考えられる。
【0046】実施例2 市販の活性炭素繊維(繊維直径2■30μm;繊維長0.5■1
0mm;中心細孔直径0.8■2.0nm;比表面積1500〜250
0m2/g)と市販の骨炭(リン酸カルシウム含有量約80
%;粒径74μm以下)と結着剤を配合した水性スラリー
を特開平7-16458号に記載された方法で調整し、吸引成
形法と乾燥により図3に示したような吸着エレメントを
複数製作した。夫々のエレメントの容積は約400cm3
あり、活性炭素繊維重量は約54gであり、骨炭重量は約
13gであった。また、比較のため、活性炭素繊維のみか
らなる吸着エレメントも製作した。
【0047】茅ヶ崎市の水道水に硝酸鉛と塩酸を添加す
ることにより、鉛濃度が50ppbでpH6.0の被処理水を調
整した。夫々の吸着エレメントを図3に示したカートリ
ッジ内に配置し、膜面積2m2の中空糸膜フィルターで
濾過した被処理水を5リッター/分の流量で通水しなが
らポーラログラフ分析法により鉛流出濃度を測定した。
結果を図10のグラフに示す。図10のグラフにおい
て、カーブAは被処理水を吸着エレメントに連続的に通
水しながら試験した場合の鉛流出率を示し、カーブBは
46リッター通水毎に約50分間通水を停止しながら試験し
た場合の鉛流出率を示す。カーブCは、46リッター通水
毎に約50分間通水を停止し、かつ、1380リッター通水毎
(従って、骨炭1g当たり約100リッター通水毎)に吸
着エレメントを加熱した場合の鉛流出率を示す。エレメ
ントの加熱は、カートリッジ内の水が蒸発してカートリ
ッジ底部の温度が約165℃になるまで行われ、加熱開始
からカートリッジの温度が雰囲気温度に冷却されるまで
に約2時間を要した。カーブDは活性炭素繊維のみから
なる吸着エレメントの鉛流出率を示す。
【0048】図10のグラフを参照するに、カーブDは
活性炭素繊維は鉛の除去には殆ど効果がないことを示し
ている。他方、カーブA〜Cは骨炭は鉛の除去に有効で
あり、しかもカラムクロマトグラフィー用の水酸アパタ
イトよりもかなり有効であることを示している。例え
ば、カーブAは、連続的に通水した場合には積算通水量
が約3m3に達するまでは鉛流出濃度は10ppb以下に抑制
されたことを示している。鉛流出濃度が10ppbを超える
時を破過点とすれば、骨炭は1g当たり約230リッター
の水を処理することができた。
【0049】また、カーブAとBを比較すれば明らかな
ように、連続的に通水した場合には積算通水量が約3m
3に達した時に鉛流出濃度は10ppbを超えたが、断続的に
通水した場合には積算通水量が約8m3に達するまで鉛
流出濃度は10ppbに抑制された。これは、連続的に通水
するよりも断続的に通水する方が骨炭の鉛吸着能力が持
続することを示している。理由は明らかではないが、通
水停止中に骨炭の鉛吸着能力が回復するものと考えられ
る。
【0050】カーブCは、骨炭を定期的に加熱しながら
使用した場合には、積算通水量約23m3までは鉛流出濃
度は10ppb以下に抑制され、鉛吸着に対する骨炭の寿命
は著るしく延長されることを示している。鉛流出濃度が
10ppbを超える時を破過点とし、浄水器の1日当たりの
平均通水量を23リッターとすれば、この吸着エレメント
は約3年の寿命を有する。
【0051】実施例3 実施例2と同様の方法で容積約400cm3の他の一連の吸
着エレメントを製作した。実施例2のエレメントとの相
違点は、骨炭の割合を約2倍に増加させたことであり、
夫々のエレメントの骨炭重量は約29gであり、活性炭素
繊維重量は約48gであった。実施例2と同様の方法で鉛
濃度50ppb、pH6.0の被処理水を調整し、夫々の吸着エ
レメントを図3に示したカートリッジ内に配置し、中空
糸膜フィルターで濾過した被処理水を通水しながら鉛流
出濃度をポーラログラフ分析法により測定した。結果を
図11のグラフに示す。図11のグラフにおいて、カー
ブAは被処理水を吸着エレメントに連続的に通水しなが
ら試験した場合の鉛流出率を示し、カーブBは23リッタ
ー通水毎に通水を止めて吸着エレメントを加熱した場合
の鉛流出率を示す。エレメントの加熱は、実施例2と同
様に、カートリッジ内の水が蒸発してカートリッジ底部
の温度が約165℃になるまで行った。
【0052】カーブAとBを対比すれば明らかなよう
に、連続的に通水した場合にはエレメントへの積算通水
量が約12m3に達した時に鉛流出濃度は10ppbを超えた
が、23リッター通水毎に吸着エレメントを加熱した場合
には、積算通水量が25m3を超えても鉛は高度に除去さ
れている。浄水器の1日当たりの平均通水量を23リッタ
ーとすれば、毎日一回吸着エレメントを加熱する場合に
は、エレメントの破過寿命は10年を超えるものと予想
される。
【0053】以上には本発明の特定の実施例について記
載したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種
々の変更を施すことができる。例えば、吸着エレメント
に活性炭を配合することは不可欠ではない。吸着剤の加
熱要素は電気ヒータに限定されない。加熱周期は適宜変
更することができる。
【0054】
【発明の効果】実施例1〜3に関連して説明したよう
に、リン酸カルシウム化合物からなる吸着剤の鉛吸着能
力は加熱により回復することが明らかである。従って、
本発明に従い浄水器の吸着剤を定期的に加熱すれば、そ
の鉛吸着能力を長期間にわたり持続させることができ、
鉛イオンが高度に除去された飲料水を長期間にわたって
供給することができ、水道水に溶存する鉛による中毒や
子供への影響を防止することができる。
【0055】リン酸カルシウム化合物の鉛吸着能力は長
期間にわたって維持されるので、浄水器を小型でコンパ
クトにすることができ、メンテナンスを必要とせず信頼
性の高い浄水器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の浄水器の使用例を示す斜視図である。
【図2】図1に示した浄水器の分解斜視図である。
【図3】図2に示したカートリッジの一部切欠き断面図
である。
【図4】図2に示した感温切換え弁の断面図である。
【図5】図4に示した感温切換え弁の可動部の斜視図で
ある。
【図6】図1に示した浄水器の制御装置のブロック図で
ある。
【図7】図6に示した制御装置の動作を示すフローチャ
ートである。
【図8】制御装置の動作の他の態様を示すフローチャー
トである。
【図9】実施例1の鉛流出率を示すグラフである。
【図10】実施例2の鉛流出率を示すグラフである。
【図11】実施例3の鉛流出率を示すグラフである。
【符号の説明】
10: 浄水器 34: 吸着剤カートリッジ 54: 吸着エレメント 60: ヒータ 60/90: 加熱手段 90: 制御装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北村 正樹 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 今坂 卓男 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 輪島 尚人 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 北崎 聡 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 鳩野 広典 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水入口と水出口を備えた容器と、前記容
    器内に収容されリン酸カルシウム化合物を含む吸着剤
    と、所定時期に所定時間にわたり前記吸着剤を加熱する
    加熱手段とを備えていることを特徴とする浄水器。
  2. 【請求項2】 前記リン酸カルシウム化合物は水酸アパ
    タイトを含む請求項1に基づく浄水器。
  3. 【請求項3】 前記リン酸カルシウム化合物は骨炭を含
    む請求項1に基づく浄水器。
  4. 【請求項4】 前記加熱手段はリン酸カルシウム化合物
    1グラム当たりの通水量少なくとも約200リッター毎
    に吸着剤を加熱することを特徴とする請求項1から3の
    いづれかに基づく浄水器。
  5. 【請求項5】 前記加熱手段はリン酸カルシウム化合物
    1グラム当たりの通水量少なくとも約100リッター毎
    に吸着剤を加熱することを特徴とする請求項4に基づく
    浄水器。
  6. 【請求項6】 前記加熱手段はリン酸カルシウム化合物
    1グラム当たりの通水量少なくとも約50リッター毎に
    吸着剤を加熱することを特徴とする請求項5に基づく浄
    水器。
  7. 【請求項7】 前記加熱手段は毎日1回吸着剤を加熱す
    ることを特徴とする請求項1から3のいづれかに基づく
    浄水器。
  8. 【請求項8】 前記加熱手段は吸着剤を約50℃以上の
    温度に加熱することを特徴とする請求項1から7のいづ
    れかに基づく浄水器。
  9. 【請求項9】 前記加熱手段は吸着剤を少なくとも約1
    00℃の温度に加熱することを特徴とする請求項8に基
    づく浄水器。
  10. 【請求項10】 前記吸着剤は更に活性炭を含む請求項
    1から9のいづれかに基づく浄水器。
  11. 【請求項11】 前記吸着剤はリン酸カルシウム化合物
    と活性炭を一体的に成形してなり、リン酸カルシウム化
    合物と活性炭は均一に混合されていることを特徴とする
    請求項10に基づく浄水器。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002361230A (ja) * 2001-06-06 2002-12-17 Ngk Insulators Ltd 鉛含有量表示部付き浄水器
KR100872820B1 (ko) * 2007-06-18 2008-12-09 인하대학교 산학협력단 인산염계 유리 조성물을 이용한 폐수 중 납 이온의 제거방법
JP2021038441A (ja) * 2019-09-04 2021-03-11 国立研究開発法人産業技術総合研究所 重金属分離方法および金属回収方法
EP4201894A1 (de) * 2021-12-23 2023-06-28 BWT Holding GmbH Vorrichtung und verfahren zur anreicherung von wasser mit silizium und/oder phosphat

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