JPH0974015A - 磁気抵抗効果組成物および磁気抵抗効果素子 - Google Patents

磁気抵抗効果組成物および磁気抵抗効果素子

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JPH0974015A
JPH0974015A JP7345502A JP34550295A JPH0974015A JP H0974015 A JPH0974015 A JP H0974015A JP 7345502 A JP7345502 A JP 7345502A JP 34550295 A JP34550295 A JP 34550295A JP H0974015 A JPH0974015 A JP H0974015A
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magnetoresistive effect
magnetoresistance effect
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JP7345502A
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Inventor
Masuo Okada
益男 岡田
Masaaki Imura
正明 伊村
Masaru Matsuoka
大 松岡
Masatada Yodogawa
正忠 淀川
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Original Assignee
TDK Corp
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    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F1/00Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
    • H01F1/01Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
    • H01F1/40Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials of magnetic semiconductor materials, e.g. CdCr2S4
    • H01F1/401Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials of magnetic semiconductor materials, e.g. CdCr2S4 diluted
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造が容易で、膜状およびバルク状のいずれ
においても室温付近で大きなMR比を示す磁気抵抗効果
組成物と、これを用いた磁気抵抗効果素子とを提供す
る。 【解決手段】 式I (RE 1-a-bI aII bx
1-cc3 、 式II (RE 1-d-e NadII ex Mn1-cc3 (上記式Iおよび式IIにおいて、RE はYを含む希土類
元素の1種以上、RI はLi、K、Rb、Cs、Ag、
HgおよびTlの1種以上であるか、これらの1種以上
ならびにNa、RIIはBe、Mg、Ca、Sr、Ba、
Pb、Cd、B、Al、Ga、InおよびBiの1種以
上、MはNi、Co、Cr、Ti、V、Fe、Cu、Z
n、Zr、Nb、Mo、Ta、W、Si、Ge、Sn、
AsおよびSbの1種以上であり、0<a≦0.5、0
≦b≦0.5、a+b<1、0≦c≦0.5、0<d≦
0.5、0<e≦0.5、d+e<1、0.5≦x≦
2.0である)で表わされる組成を有する磁気抵抗効果
組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気抵抗効果を示す磁
器組成物およびこの組成物を用いた磁気抵抗効果素子に
関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、すべての導電物質の電気抵抗
は、磁界を印加することによって変化することが知られ
ている。自発磁化をもつ強磁性体の場合は、磁化の状態
に依存した抵抗変化を示す。これを異常磁気抵抗とい
う。その中でも電流の方向が磁化の向きと平行な場合と
垂直な場合とで抵抗値が異なるものを異方性磁気抵抗
( Anisotropic Magneto-Resistance )という。一方、
電流と磁界のなす角度とは無関係に比抵抗が磁界の印加
とともに著しい減少を示す現象を巨大磁気抵抗( Giant
Magneto-Resistance :以下、GMR)という。このよ
うな大きな比抵抗変化を示すものとして、強磁性/非磁
性金属人工格子などが提案され、磁気抵抗効果型ヘッド
等の磁気抵抗効果素子に用いられている。
【0003】しかし、強磁性/非磁性金属人工格子は、
製造が煩雑で低コスト化が難しい。また、このものは薄
膜としての利用に限られるため、用途の拡大が難しい。
【0004】このような人工格子型の磁気抵抗効果材に
対し、ペロブスカイト型酸化物からなる磁気抵抗効果組
成物が報告されている。ペロブスカイト型酸化物のGM
Rについては、印加磁界強度10 kOeの時、C軸配向し
たLa0.72Ca0.25MnO3薄膜が220K付近で約5
0%の磁気抵抗率(以下、MR比)を示すことが報告さ
れている[ K.Chahara,T.Ohno,M.Kasai and Y.Kozono:A
ppl.Phys.Lett.,63(14)(1993)1990 ](以下、文献
A)。また、La2/3 Ba1/3 MnO3 薄膜が室温で約
60%のMR比を示すことが報告されている[ R.von H
elmolt,J.Wecker,B.Holzapfel,L.Schultz and K.Samwe
r:Phys.Rev.Lett.,71(14)(1993)2331](以下、文献
B)。さらに、印加磁界強度60 kOeのとき、La0.67
Ca0.33MnO3薄膜が77K付近で127000%の
MR比を示すことが報告されている[ S.Jin,M.McCorMa
ck,T.H.Tiefel and R.Ramesh:J.Appl.Phys.,76(10)(199
4)6929](以下、文献C)。このようなペロブスカイト
型酸化物は、反強磁性で絶縁体であるLaMnO3 のL
aの一部をCaやBaなどの2価のアルカリ土類金属で
置換したものであり、これにより強磁性へと変化するこ
とが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】現在までのところ、比
較的大きなMR比を示す磁器組成物はいずれも薄膜なの
で、大型で高額の製造設備を必要とする。しかも、これ
らも室温付近ではMR比が小さくなってしまう。室温付
近で大きなMR比を示し、しかも、薄膜だけではなくバ
ルクにおいても大きなMR比を示す組成が見出せれば、
さらに用途が広がることが期待される。
【0006】本発明の目的は、製造が容易で、膜状およ
びバルク状のいずれにおいても室温付近で大きなMR比
を示す磁気抵抗効果組成物と、これを用いた磁気抵抗効
果素子とを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(9)のいずれかの構成により達成される。 (1) 式I (RE 1-a-bI aII bx Mn1-cc3 (上記式Iにおいて、RE はYを含む希土類元素の少な
くとも1種、RI はLi、K、Rb、Cs、Ag、Hg
およびTlの少なくとも1種であるか、Li、K、R
b、Cs、Ag、HgおよびTlの少なくとも1種なら
びにNaであり、RIIはBe、Mg、Ca、Sr、B
a、Pb、Cd、B、Al、Ga、InおよびBiの少
なくとも1種であり、MはNi、Co、Cr、Ti、
V、Fe、Cu、Zn、Zr、Nb、Mo、Ta、W、
Si、Ge、Sn、AsおよびSbの少なくとも1種で
あり、a、b、cおよびxはモル比率を表わし、 0<a≦0.5、 0≦b≦0.5、 a+b<1、 0≦c≦0.5、 0.5≦x≦2.0 である)で表わされる組成を有する磁気抵抗効果組成
物。 (2)RI がKである上記(1)の磁気抵抗効果組成
物。 (3)RI がK、Li、Na、RbおよびCsの少なく
とも1種であり、かつRIIがSrである上記(1)の磁
気抵抗効果組成物。 (4) 式II (RE 1-d-e NadII ex Mn1-cc3 (上記式IIにおいて、RE はYを含む希土類元素の少な
くとも1種であり、RIIはBe、Mg、Ca、Sr、B
a、Pb、Cd、B、Al、Ga、InおよびBiの少
なくとも1種であり、MはNi、Co、Cr、Ti、
V、Fe、Cu、Zn、Zr、Nb、Mo、Ta、W、
Si、Ge、Sn、AsおよびSbの少なくとも1種で
あり、d、e、cおよびxはモル比率を表わし、 0<d≦0.5、 0<e≦0.5、 d+e<1、 0≦c≦0.5、 0.5≦x≦2.0 である)で表わされる組成を有する磁気抵抗効果組成
物。 (5)RE が少なくともLaを含む上記(1)〜(4)
のいずれかの磁気抵抗効果組成物。 (6)RIIがCa、Sr、Ba、PbおよびCdの少な
くとも1種である上記(1)〜(5)のいずれかの磁気
抵抗効果組成物。 (7)薄膜である上記(1)〜(6)のいずれかの磁気
抵抗効果組成物。 (8)ペロブスカイト構造の結晶を含む上記(1)〜
(7)のいずれかの磁気抵抗効果組成物。 (9)上記(1)〜(8)のいずれかの磁気抵抗効果組
成物を有する磁気抵抗効果素子。
【0008】
【作用および効果】従来、LaMnO3 系ペロブスカイ
ト化合物のLaサイトの一部をアルカリ土類金属元素で
置換した化合物が、大きな磁気抵抗効果を示す磁器組成
物として知られている。
【0009】本発明では、上記式Iとして示すように、
La等の希土類元素の一部を、アルカリ金属元素等のR
I で置換するか、さらに、アルカリ土類金属元素等のR
IIで置換する。これにより、膜状およびバルク状のいず
れにおいても室温で大きなMR比が得られる。
【0010】また、上記式IIとして示すように、La等
の希土類元素の一部をNaで置換することによっても、
膜状およびバルク状のいずれにおいても大きなMR比が
得られるが、この場合、最も大きなMR比が得られる温
度が室温を大きく下回るため、さらにRIIを添加するこ
とによりキュリー点を上昇させ、室温において大きなM
R比が得られるようにする。
【0011】ところで、上記文献A記載の組成物では、
220K、10 kOeでは約50%の大きなMR比が得ら
れているが、室温付近でのMR比は記載されていない。
本発明者らの実験によれば、文献Aの組成(La−Mn
−O系にCaだけを添加し、RI は添加せず)をバルク
体に適用した場合、室温でのMR比は著しく小さくなっ
てしまう。
【0012】また、上記文献B記載の組成物では、30
0Kで約60%のMR比を示しているが、これは薄膜の
ものであり、しかも磁界強度70 kOeのときの値であ
る。本発明者らの実験によれば、文献Bの組成(La−
Mn−O系にBaだけを添加し、RI は添加せず)をバ
ルク体に適用した場合、室温でのMR比は小さくなって
しまう。なお、後述する本願の実施例と同じ磁界強度
(15 kOe)のときのMR比を文献BのFIG.3から読み
取ると、約28%となるが、本発明を薄膜に適用した場
合には、これを上回るMR比が得られる。
【0013】また、上記文献Cの組成物では、77Kで
60 kOe印加時に大きなMR比が得られているが、室温
でのMR比は記載されていない。しかも、この組成物も
文献Aのものと同様にLa−Mn−O系にCaだけを添
加し、RI は添加していないため、バルク体でのMR比
は10%以下と著しく小さくなってしまう。なお、文献
CのFIG.5には、La0.55Ca0.25Sr0.08MnOx
ィルムが、313Kにおいて磁界強度1.75T(1
7.5 kOe)でMR=51%を示すことが記載されてい
るが、この51%という値は磁界印加時の抵抗RH を基
準に算出されたΔR/RH であり、磁界を印加しないと
きの抵抗R0 を基準にしてΔR/R0 で計算すると34
%にすぎない。
【0014】また、S.Sundar Manoharan,N.Y.Vasanthac
harya,and M.S.Hegde:J.Appl.phys.76(6)(1994)3923
(以下、文献D)には、La0.6 Pb0.4 MnO3 薄膜
において、300Kで70 kOeのとき40%のMR比が
得られることが記載されている。しかし、文献Dにはバ
ルク体についての記述はない。しかも、後述する本願の
実施例と同じ磁界強度(15 kOe)のときのMR比を文
献DのFIG.4から読み取ると、約13%にすぎないこと
がわかる。
【0015】また、M.K.Gubkin,T.M.Perekalina,A.V.By
kov,and V.A.Chubarenko:Phys.Solid State 35(6)(199
3)728(以下、文献E)には、La0.9 Na0.1 MnO3
単結晶において、300Kで20 kOeのとき約15%
のMR比が得られることが記載されている(FIG.1参
照)。この系の材料では、300KにおけるMR比が磁
界強度に対しほぼ直線的に変化することから、後述する
本願の実施例と同じ磁界強度(15 kOe)でのMR比は
約12%にすぎないと推定される。しかも、単結晶は製
造が簡単とはいえないので、高コストとなってしまう。
本発明者らの実験によれば、通常のセラミックス製造プ
ロセスによって得られた多結晶体では、La−Mn−O
系にNaだけを添加してRIIを添加しない場合(La
0.833 Na0.16 7 MnO3 )には、300K、15 kOe
でのMR比は8%にすぎない。
【0016】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成について詳細
に説明する。
【0017】本発明の磁気抵抗効果組成物は、下記式I
で表わされる組成を有する。
【0018】 式I (RE 1-a-bI aII bx Mn1-cc3
【0019】上記式Iにおいて、RE はYを含む希土類
元素の少なくとも1種、すなわち、Y、La、Ce、P
r、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、E
r、Tm、YbおよびLuの少なくとも1種であり、好
ましくはLa、PrおよびNdの少なくとも1種であ
り、さらに好ましくはLaである。なお、RE が2種以
上の元素を含む場合、少なくともLaを含むことが好ま
しい。
【0020】上記式Iにおいて、RI はLi、K、R
b、Cs、Ag、HgおよびTlの少なくとも1種であ
るか、Li、K、Rb、Cs、Ag、HgおよびTlの
少なくとも1種ならびにNaである。Li、K、Rb、
Cs、Ag、HgおよびTlのうちではK、Li、N
a、RbおよびCsの少なくとも1種が好ましく、Kが
最も好ましい。Li、Na、RbおよびCsの少なくと
も1種を用いるとキュリー点が低くなるため、これらの
元素を主として用いる場合には、キュリー点を上昇させ
るためにRIIを添加することが好ましく、RIIとしてS
rを添加することが特に好ましい。また、Naはキュリ
ー点を大きく下げるため、RIIを添加しない場合にはR
I 中のNaの比率を75原子%以下とすることが好まし
く、Naを使用しないことがより好ましい。
【0021】上記式Iにおいて、RIIはBe、Mg、C
a、Sr、Ba、Pb、Cd、B、Al、Ga、Inお
よびBiの少なくとも1種であり、好ましくはCa、S
r、Ba、PbおよびCdの少なくとも1種であり、よ
り好ましくはSrおよびBaの少なくとも1種である。
IIは、キュリー点の上昇等のために必要に応じて添加
され、特に、Srはキュリー点上昇効果が大きい。
【0022】上記式Iにおいて、MはNi、Co、C
r、Ti、V、Fe、Cu、Zn、Zr、Nb、Mo、
Ta、W、Si、Ge、Sn、AsおよびSbの少なく
とも1種であり、好ましくはNi、CoおよびCrの少
なくとも1種であり、さらに好ましくはCrである。M
は、焼結性の改善や温度特性の改善等のために必要に応
じて添加される。具体的には、Crは焼結温度を低くす
る効果が高い。
【0023】上記式Iにおいて、a、b、cおよびxは
モル比率を表わし、 0<a≦0.5、 0≦b≦0.5、 a+b<1、 0≦c≦0.5、 0.5≦x≦2.0 であり、好ましくは 0.1≦a≦0.4、 0≦b≦0.4、 a+b≦0.5、 0≦c≦0.2、 0.75≦x≦1.5 である。aが小さすぎるとMR比が小さくなってしま
い、aが大きすぎると比抵抗が急激に高くなってしま
う。bが大きすぎるとMR比が小さくなってしまう。R
I に上記したキュリー点を低下させる元素を主として用
いる場合には、キュリー点を上昇させて室温で大きなM
R比を得るために、bを0.05以上とすることが好ま
しい。cが大きすぎるとキュリー点が低くなって室温で
のMR比が小さくなってしまう。xが小さすぎるとMn
23 などが析出し、主成分である(RE ,RI
II)MnO3 系化合物の体積分率が低くなり、MR比
が小さくなってしまう。一方、xが大きすぎるとLa2
3 などが析出し、MR比が小さくなってしまう。
【0024】本発明は、下記式IIで表わされる組成の磁
気抵抗効果組成物を含む。
【0025】 式II (RE 1-d-e NadII ex Mn1-cc3
【0026】上記式IIにおいて、RE 、RIIおよびMな
らびにcおよびxは、上記式Iと同じである。
【0027】上記式IIにおいて、dおよびeはモル比率
を表わし、 0<d≦0.5、 0<e≦0.5 d+e<1、 であり、好ましくは 0.05≦d≦0.25、 0.05≦e≦0.25 d+e≦0.5、 である。dが小さすぎるとMR比が小さくなってしま
い、dが大きすぎると比抵抗が急激に高くなってしま
う。eが小さすぎるとキュリー点が低くなって室温で大
きなMR比が得られなくなり、eが大きすぎるとMR比
が小さくなってしまう。なお、式IIの組成では、キュリ
ー点を上昇させるために、RIIとしてSrを用いること
が特に好ましい。
【0028】上記式Iおよび式IIでは、Mn+Mに対す
るOのモル比が3となっているが、例えば2.8〜3.
2程度の範囲で偏倚していてもよい。
【0029】本発明の磁気抵抗効果組成物は、ペロブス
カイト構造の結晶を含むことが好ましい。本明細書にお
いてペロブスカイト構造とは、通常のペロブスカイト構
造の他、擬ペロブスカイト構造も包含する。この場合の
擬ペロブスカイト構造とは、X線回折チャートにおいて
ペロブスカイト構造を示す特徴的なピークが分離するも
のを意味する。図1に、擬ペロブスカイト構造を示すX
線回折チャートを例示する。同図に示されるように、X
線回折装置の分解能にもよるが、通常、低角度域ではピ
ーク分離が認められ、高角度域ではピークがブロードと
なるかピークが分離する傾向を示す。本発明の磁気抵抗
効果組成物は、通常、ペロブスカイト構造結晶および/
または擬ペロブスカイト構造結晶を含む。
【0030】本発明の磁気抵抗効果組成物は、膜状、バ
ルク状等のいずれの形状でも大きなMR比を示すので、
各種用途に応じて適当な形状を選択し、MR素子に適用
すればよい。本発明の組成物を用いたMR素子として
は、例えば、MRヘッド、MRセンサ、マイクロホン、
磁気エンコーダ、リニアスケール等が挙げられ、特に、
本発明ではバルク体で大きなMR比が得られるので、温
度変化の大きい環境での使用、機械的強度を必要とされ
る環境での使用に有利である。また、バルク体は製造工
程が簡素であり、大型で高価な製造装置も必要ないの
で、コストの低減がはかれる。
【0031】次に、本発明の磁気抵抗効果組成物の製造
方法を説明する。
【0032】バルク状の磁気抵抗効果組成物や、塗布法
により膜状の磁気抵抗効果組成物を製造する際には、一
般のセラミックス製造プロセスを利用することができ
る。
【0033】このプロセスでは、磁気抵抗効果組成物の
構成成分である金属元素の酸化物や、焼成により酸化物
となる化合物、例えば炭酸塩などを出発原料とする。そ
して、出発原料の粉末を混合して仮焼し、得られた仮焼
体を粉砕し、粉砕粉をビヒクル(バインダを溶剤に溶解
したもの)と混練してスラリーないしペーストとし、こ
れを所定形状に成形したり塗工したりすればよい。焼成
条件は特に限定されないが、通常、1000〜1500
℃で2〜20時間程度焼成すればよい。
【0034】なお、溶液法で製造した板状や針状の粒子
からなる原料粉末をビヒクルと混練して塗工すれば、形
状の異方性にしたがって粒子が塗膜面内で配向するた
め、この塗膜を焼成すれば、MR比のより大きな膜状の
磁気抵抗効果組成物が得られる。
【0035】このようにして製造した磁気抵抗効果組成
物は多結晶体であり、その平均粒径は、通常、0.5〜
50μm 程度であることが好ましい。
【0036】膜状の磁気抵抗効果組成物を製造する方法
としては、上記した塗布法の他、気相成膜法を用いるこ
とができる。
【0037】気相成膜法としては、例えばイオンビーム
スパッタ法やレーザーアブレイション法などが好まし
い。これらの方法では、上記の方法で得た焼結体をター
ゲットとして用いる。そして、酸素欠陥等の制御のため
に、酸素含有雰囲気中で成膜を行なうことが好ましい。
具体的な成膜条件は実験的に決定すればよいが、例え
ば、基板は、(100)MgO、(001)SrTiO
3 、(100)LaAlO 3 など、基板温度は600〜
750℃程度、スパッタガスはAr+O2 やXe+O
2 、N2 Oなど、O2 分圧は0.1〜550mTorr 程度
とすることが好ましい。なお、成膜後に必要に応じて熱
処理を施してもよい。気相成膜法で形成する磁気抵抗効
果組成物の厚さは特に限定されず、配向性が良好となる
範囲で適宜決定すればよいが、通常、10〜10000
nm程度、好ましくは100〜1000nm程度とする。
【0038】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0039】<実施例1:バルク体>出発原料としてR
E 酸化物、RI 炭酸塩、RII炭酸塩、酸化マンガン、M
酸化物を用い、下記の各表に示す組成の磁気抵抗効果組
成物サンプルを以下の手順で作製した。
【0040】まず、出発原料を所定比率となるようにめ
のうのポットとボールとを用いてエタノール中で混合し
た。得られた混合物を仮プレスした後、1000℃で1
0時間仮焼し、粗粉砕および微粉砕して乾燥した。乾燥
物を金型に充填して、約4MPa の圧力でプレスし、成形
体を得た。この成形体を空気中において約1100℃で
2時間焼成し、円柱状の焼結体とした。この焼結体を直
方体状(10mm×3.8mm×2mm)に加工し、その上面
の4箇所に約0.9mm間隔でAgを300℃で10分間
焼き付けて電極とし、測定用サンプルを得た。
【0041】各サンプルの比抵抗を四端子法により測定
し、 式 MR比=|100(ρ1 −ρ0 )/ρ0 |[%] によりMR比を求めた。上記式において、ρ0 は磁界を
印加しないときの比抵抗であり、ρ1 は15 kOeの磁界
を印加したときの比抵抗である。測定は27℃で行なっ
た。測定に際しては、磁界と電流の方向とを平行にし
た。結果を各表に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】
【表5】
【0047】上記各表から本発明の効果が明らかであ
る。すなわち、表1から、RE の一部を所定量のRI
置換するか、それぞれ所定量のRI およびRIIで置換し
た本発明サンプルは、RE の一部をアルカリ土類金属元
素で置換した比較サンプルよりもMR比が大きいことが
わかる。また、表2から、種々のRIIについて本発明の
効果が認められることがわかる。また、表3から、種々
のRE について本発明の効果が認められることがわか
る。また、表4から、種々のMについて本発明の効果が
認められることがわかる。また、表5から、xを所定範
囲にすることにより、大きなMR比が得られることがわ
かる。
【0048】表1のサンプルNo. 112についてX線回
折を行なった。結果を図1に示す。また、比較のため
に、上記製造方法に準じて製造したLaMnO3 につい
てもX線回折を行なった。結果を図2に示す。図1およ
び図2から、これらの焼結体にはペロブスカイト構造結
晶が含まれていることがわかり、また、図1と図2との
比較から、本発明のサンプルでは特に低角度域でピーク
が明瞭に分離していることがわかる。
【0049】<実施例2:薄膜>表6に示す組成をもつ
直径10mm、厚さ5mmの焼結体を、実施例1と同様にし
て作製した。焼結体の組成は上記表1〜4から選択した
ものである。これらの焼結体をターゲットとし、レーザ
ーアブレイション装置を用いて、LaAlO3 基板表面
に直径30mm、厚さ約800nmの薄膜を形成した。スパ
ッタガスにはAr+O2 を用い、基板温度は750℃と
した。また、薄膜形成後、熱処理を施した。各薄膜を実
施例1と同様にして測定用サンプルに加工し、実施例1
と同様にしてMR比を求めた。結果を表6に示す。
【0050】
【表6】
【0051】表6の結果から、本発明を薄膜に適用した
場合でも、きわめて大きなMR比が得られることがわか
る。すなわち、15 kOeという比較的低い磁界強度で、
従来にない50%以上のMR比が得られている。
【0052】なお、X線回折の結果、上記各薄膜にはペ
ロブスカイト構造結晶が含まれていることが確認され
た。
【0053】表6の組成は、ターゲットとして用いた焼
結体の組成であるが、各薄膜の組成分析を行なった結
果、焼結体と近似した組成であることが確認された。
【0054】上記実施例で作製した薄膜状の磁気抵抗効
果組成物をMRヘッドに適用したところ、極めて高い感
度が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】La0.830.17MnO3 焼結体のX線回折チャ
ートである。
【図2】LaMnO3 焼結体のX線回折チャートであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松岡 大 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 (72)発明者 淀川 正忠 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式I (RE 1-a-bI aII bx Mn1-cc3 (上記式Iにおいて、RE はYを含む希土類元素の少な
    くとも1種、RI はLi、K、Rb、Cs、Ag、Hg
    およびTlの少なくとも1種であるか、Li、K、R
    b、Cs、Ag、HgおよびTlの少なくとも1種なら
    びにNaであり、RIIはBe、Mg、Ca、Sr、B
    a、Pb、Cd、B、Al、Ga、InおよびBiの少
    なくとも1種であり、MはNi、Co、Cr、Ti、
    V、Fe、Cu、Zn、Zr、Nb、Mo、Ta、W、
    Si、Ge、Sn、AsおよびSbの少なくとも1種で
    あり、a、b、cおよびxはモル比率を表わし、 0<a≦0.5、 0≦b≦0.5、 a+b<1、 0≦c≦0.5、 0.5≦x≦2.0 である)で表わされる組成を有する磁気抵抗効果組成
    物。
  2. 【請求項2】 RI がKである請求項1の磁気抵抗効果
    組成物。
  3. 【請求項3】 RI がK、Li、Na、RbおよびCs
    の少なくとも1種であり、かつRIIがSrである請求項
    1の磁気抵抗効果組成物。
  4. 【請求項4】 式II (RE 1-d-e NadII ex Mn1-cc3 (上記式IIにおいて、RE はYを含む希土類元素の少な
    くとも1種であり、RIIはBe、Mg、Ca、Sr、B
    a、Pb、Cd、B、Al、Ga、InおよびBiの少
    なくとも1種であり、MはNi、Co、Cr、Ti、
    V、Fe、Cu、Zn、Zr、Nb、Mo、Ta、W、
    Si、Ge、Sn、AsおよびSbの少なくとも1種で
    あり、d、e、cおよびxはモル比率を表わし、 0<d≦0.5、 0<e≦0.5、 d+e<1、 0≦c≦0.5、 0.5≦x≦2.0 である)で表わされる組成を有する磁気抵抗効果組成
    物。
  5. 【請求項5】 RE が少なくともLaを含む請求項1〜
    4のいずれかの磁気抵抗効果組成物。
  6. 【請求項6】 RIIがCa、Sr、Ba、PbおよびC
    dの少なくとも1種である請求項1〜5のいずれかの磁
    気抵抗効果組成物。
  7. 【請求項7】 薄膜である請求項1〜6のいずれかの磁
    気抵抗効果組成物。
  8. 【請求項8】 ペロブスカイト構造の結晶を含む請求項
    1〜7のいずれかの磁気抵抗効果組成物。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれかの磁気抵抗効果
    組成物を有する磁気抵抗効果素子。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001033585A1 (en) * 1999-11-05 2001-05-10 Oxxel Oxide Electronics Technology, Inc. Synthesis and magnetoresistance test system using double-perovskite samples for preparation of a magnetoresistance device
WO2005024091A1 (ja) * 2003-09-03 2005-03-17 Nikko Materials Co., Ltd. スパッタリング用ターゲット

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