JPH0971724A - 吸水防止剤 - Google Patents

吸水防止剤

Info

Publication number
JPH0971724A
JPH0971724A JP7228195A JP22819595A JPH0971724A JP H0971724 A JPH0971724 A JP H0971724A JP 7228195 A JP7228195 A JP 7228195A JP 22819595 A JP22819595 A JP 22819595A JP H0971724 A JPH0971724 A JP H0971724A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
water absorption
emulsifier
absorption inhibitor
carbon atoms
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7228195A
Other languages
English (en)
Inventor
Shigefumi Kuramoto
成史 倉本
Tetsuya Yasaka
哲也 八坂
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Shokubai Co Ltd filed Critical Nippon Shokubai Co Ltd
Priority to JP7228195A priority Critical patent/JPH0971724A/ja
Publication of JPH0971724A publication Critical patent/JPH0971724A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Materials Applied To Surfaces To Minimize Adherence Of Mist Or Water (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)
  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 乳化性能が高く、乳化安定性、浸透性、吸水
防止性および耐久性に優れた吸水防止剤を提供すること
である。 【解決手段】 吸水防止剤は、下記一般式(1)で示さ
れるシラン化合物(S)、その加水分解物およびその重
縮合物から選ばれる少なくとも1種からなる有機ケイ素
成分と、乳化剤とを含む吸水防止剤であって、前記乳化
剤が2種以上の乳化剤からなり、その混合HLBが20
を超え30以下の値であることを特徴とする。 【化1】 (但し、R4 は炭素数1〜20の1価炭化水素基、R5
は炭素数1〜6のアルキル基、pは1または2であ
る。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、吸水防止剤に関
し、より詳しくは、有機ケイ素成分と、乳化剤とを含む
吸水防止剤に関する。
【0002】
【従来の技術】加水分解・重縮合性官能基を有する有機
珪素化合物や有機珪素樹脂の安定な水性エマルジョンが
吸水防止剤として開発され、一部はすでに実用に供され
ている。有機珪素化合物の水性エマルジョンからなる吸
水防止剤としては、例えば、ノニオン性乳化剤を用いた
水性エマルジョンが知られている(特開昭62−197
369、特開平1−292089、特開平3−1743
78、特開平3−188086号公報)。また、撥水性
や吸水防止性を向上させるために、乳化剤としてシリコ
ーン系やフッ素系の乳化剤を用いた例も知られている
(特開平3−115485号公報)。さらに、アルコキ
シ基とともに第四級アンモニウム塩基をも含有する珪素
化合物や、ノニオン性またはアニオン性の乳化能を有す
る珪素化合物のような、アルコキシシランや土木建築材
料に対し反応性を有する乳化剤を使用した例も知られて
いる(特開平3−159975、特開平3−20079
3、特開平4−164877、特開平5−221748
号公報)。
【0003】一方、有機珪素樹脂の水性エマルジョンか
らなる吸水防止剤としては、メチルメトキシシリコーン
樹脂やアルキルトリアルコキシシランの加水分解・重縮
合物を水性乳化したものが知られている(特開昭57−
92561、特開昭58−213046、特開昭60−
20959、特開昭63−305132、特開平4−2
55759号公報)。また、前記シリコーン系乳化剤の
ほか、アルコキシ基とともに塩基性窒素をも有するオル
ガノポリシロキサンと酸からなる反応性乳化剤を使用し
た例も知られている(特開平5−156164号公
報)。
【0004】しかし、前記各公知文献で開示されている
有機珪素化合物や有機珪素樹脂の水性エマルジョンから
なる吸水防止剤で、乳化性能を高くし、乳化時の安定
性、経時的安定性および浸透性を上げるためには、乳化
剤を多量に用いる必要がある。そのためにこのような水
性エマルジョンを塗布した材料等の撥水性や吸水防止性
の効果が低くなるという問題がある。撥水性や吸水防止
性を向上させるために乳化剤の使用量を少なくすると、
有機珪素化合物や有機珪素樹脂が時間の経過とともに次
第に縮合することで、乳化性能が悪くなり、経時安定
性、乳化安定性および浸透性が低下するという問題が生
じる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、乳化性能が高く、乳化安定性、浸透性、吸
水防止性および耐久性に優れた吸水防止剤を提供するこ
とである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の吸水防止剤は、
下記一般式(1)で示されるシラン化合物(S)、その
加水分解物およびその重縮合物から選ばれる少なくとも
1種からなる有機ケイ素成分と、乳化剤とを含む吸水防
止剤であって、前記乳化剤が2種以上の乳化剤からな
り、その混合HLBが20を超え30以下の値であるこ
とを特徴とする。
【0007】
【化3】
【0008】(但し、R4 は炭素数1〜20の1価炭化
水素基、R5 は炭素数1〜6のアルキル基、pは1また
は2である。) 前記乳化剤の少なくとも1種のHLBが40を超える値
であると好ましい。前記乳化剤の少なくとも1種がイオ
ン性部分およびノニオン性部分の両方を分子内に有し、
前記ノニオン性部分がエチレンオキシドの繰り返し単位
からなり、前記繰り返し単位の数が10以上であると好
ましい。
【0009】前記乳化剤がアルコキシシリル基を有する
化合物を含むと好ましい。前記乳化剤が、下記一般式
(2)で示されるアルコキシシラン化合物(A)、その
加水分解物およびその重縮合物からなる群より選ばれる
少なくとも1種を含むと好ましい。
【0010】
【化4】
【0011】但し、R1 :H、ハロゲン原子または炭素
数1〜20の炭化水素基 R2 :炭素数1〜10の炭化水素基 R3 :炭素数1〜10の置換してもよいアルキル基 A :炭素数2〜4の置換してもよいアルキレン基 B :H、SO3 NH4 、SO3 Na、CO2 NH4
たはCO2 Na m :1〜200の整数 n :0〜2の整数 前記有機ケイ素成分が吸水防止剤全体の1〜65重量
%、前記乳化剤が前記有機ケイ素成分の0.01〜5重
量%であると好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の吸水防止剤は、有機ケイ
素成分と乳化剤とを含んでいる。有機ケイ素成分は、上
記一般式(1)で示されるシラン化合物(S)、その加
水分解物およびその重縮合物から選ばれる少なくとも1
種からなる有機ケイ素成分である。また、乳化剤は2種
以上の乳化剤からなり、その混合HLBが20を超え3
0以下の値である。本発明の吸水防止剤は、水をさらに
含んでいると好ましい。
【0013】本発明の吸水防止剤を以下に詳しく説明す
る。 〔有機ケイ素成分〕有機ケイ素成分は、上記一般式
(1)で示されるシラン化合物(S)、その加水分解物
およびその重縮合物から選ばれる少なくとも1種からな
り、撥水性および吸水防止性を有し、かつ各種材料、特
に無機材料と結合したり、それ自身で加水分解・重縮合
して材料に撥水層や吸水防止層を生成することのできる
成分である。
【0014】一般式(1)中、R4 は撥水性や吸水防止
性を示す基であり、炭素数1〜20の1価炭化水素基な
らば特に限定されないが、飽和アルキル基、アリール基
およびアラルキル基から選ばれる少なくとも1種が好ま
しく、撥水性、吸水防止性、および耐久性を著しく向上
させれる点で炭素数4〜18のこれらの基がより一層好
ましい。中でも耐久性に優れる点で炭素数4〜18の飽
和アルキル基が最も好ましい。R4 が複数である場合
は、複数のR4 は互いに同一であっても良く、異なって
いても良い。
【0015】R4 の具体例としては、メチル基、エチル
基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、
イソブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ド
デシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等の飽和ア
ルキル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベ
ンジル基等のアラルキル基;ビニル基、ヘキセニル基、
オクテニル基等のアルケニル基が挙げられる。
【0016】一般式(1)中、R5 は各種材料、特に無
機材料と結合したり、それ自身で加水分解・重縮合でき
る基であり、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基
であれば特に限定はなく、炭素数1〜6のアルキル基と
しては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプ
ロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、
ヘキシル基が挙げられる。中でも加水分解・重縮合性が
高い点でメチル基またはエチル基が好ましく、エチル基
が最も好ましい。メチル基では加水分解・重縮合性が高
すぎるため、本発明の吸水防止剤が経時的に増粘・ゲル
化する等の保存安定性に問題がある場合がある。また、
複数のR5 は互いに同一であっても良く、異なっていて
も良い。pは1または2であり、加水分解・重縮合性官
能基を多く含有できる点でpが1であるのが好ましい。
【0017】シラン化合物(S)の具体例としては、メ
チルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、
メチルトリプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラ
ン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシ
シラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピ
ルトリエトキシシラン、n−プロピルトリプロポキシシ
ラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリ
エトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソ
ブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラ
ン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキ
シシラン、オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリ
プロポキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシ
ルトリメトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラ
ン、テトラデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルト
リメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、
オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエ
トキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニル
トリエトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベ
ンジルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラ
ン、ジメチルジエトキシシラン、ジブチルジメトキシシ
ラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジ
メトキシシラン、ジフェニルシランジオール、ビニルト
リメトキシシラン、ヘキセニルトリメトキシシラン、オ
クテニルトリメトキシシランが挙げられる。これらシラ
ン化合物(S)は1種または2種以上を使用しても良
い。
【0018】一般式(1)において、R4 が炭素数4〜
18の飽和アルキル基、アリール基、アラルキル基から
選ばれる少なくとも1種、R5 がメチル基またはエチル
基、pが1であるトリアルコキシシラン化合物が好まし
い。特に、一般式(1)において、R4 が炭素数4〜1
8の飽和アルキル基、R5 がエチル基、pが1であるト
リアルコキシシラン化合物がさらに好ましい。これは、
加水分解・重縮合性官能基を多く含有でき、撥水性、吸
水防止性および耐久性に優れた吸水防止剤となるからで
ある。
【0019】シラン化合物(S)の加水分解物およびそ
の重縮合物は、シラン化合物(S)を従来公知の方法
で、加水分解・重縮合することによって得られる。例え
ば、無溶媒中、または、シラン化合物(S)および水と
を溶解できるような有機溶媒中で行なわれる。有機溶媒
としては、アルコール類、ケトン類、エーテル類、セル
ソロブ類が挙げられる。水の量は、特に限定されない
が、水の量が多すぎると得られる重縮合物が高分子量体
となるため、本発明の吸水防止剤の浸透性が低下する場
合がある。また、重縮合させる際に、従来公知の酸触媒
または塩基触媒を使用しても良い。
【0020】有機ケイ素成分の数平均分子量については
特に限定はないが、好ましくは5000以下、さらに好
ましくは2000以下、より一層好ましくは1000以
下である。前述の範囲を外れると材料等への浸透性が悪
くなることがある。 〔乳化剤〕本発明の吸水防止剤は2種以上の乳化剤を含
んでおり、その混合HLBが20を超え30以下の値で
あり、好ましくは20を超え25以下の値である。乳化
剤は、前記混合HLBの範囲内であれば特に限定されな
いが、通常ノニオン性乳化剤とイオン性乳化剤とからな
るものであり、前記範囲外であると乳化性および乳化安
定性が低下し、さらに、浸透性、吸水防止性、撥水性お
よび耐久性が低下する。なお、HLBおよび混合HLB
の定義およびその値は、後述した定義、算出方法によっ
た。
【0021】2種以上の乳化剤が、その混合HLBが前
記範囲内であれば、吸水防止剤中の液滴の粒径が微細化
するので少量の乳化剤でも乳化安定性が向上するととも
に材料に深く浸透するため、乳化性能が高く、吸水防止
性、浸透性、耐久性等の物性が向上する。ノニオン性乳
化剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエ
ーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル
類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン
ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソル
ビトール脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル
類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、ジメチルシ
ロキサンの側鎖や末端をポリアルキレンオキサイドで変
性したジメチルシロキサン共重合体類、セルロース類が
挙げられる。
【0022】イオン性乳化剤は、通常、アニオン性乳化
剤とノニオン性乳化剤の2種類に分けられる。アニオン
性乳化剤の具体例としては、アルキルベンゼンスルホン
酸塩類、高級アルコール硫酸エステル類、ポリオキシエ
チレンアルキルエーテル硫酸エステル類、ポリオキシエ
チレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル類、アル
キルナフチル酸塩類等が挙げられる。
【0023】カチオン性乳化剤の具体例としては、アル
キルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等が挙げられ
る。なお、カチオン性乳化剤は、有機ケイ素成分の加水
分解・重縮合が進行し易いので、通常は、イオン性乳化
剤としてカチオン性乳化剤ではなく、アニオン性乳化剤
を用いるのが好ましい。吸水防止剤においては、これら
の乳化剤の2種以上を使用し、その混合HLBの値を、
20を超え30以下、好ましくは20を超え25以下の
範囲にする。中でも2種以上の乳化剤のうち、その少な
くとも1種のHLBが40を超える値であると、少量の
乳化剤でも液滴の粒径がより微細化するので、乳化安定
性、浸透性、吸水防止性および耐久性がより向上するた
め好ましい。
【0024】乳化剤の少なくとも1種がイオン性部分お
よびノニオン性部分の両方を分子内に有し、ノニオン性
部分がエチレンオキシドの繰り返し単位からなり、繰り
返し単位の数が10以上であると、浸透性、吸水防止
性、乳化安定性および耐久性がさらに向上するため好ま
しい。このような乳化剤の具体例としては、オキシエチ
レンの繰り返し単位数が10以上であるポリオキシエチ
レンノニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム塩または
ナトリウム塩、オキシエチレンの繰り返し単位数10以
上であるポリオキシエチレンジノニルフェニルエーテル
硫酸アンモニウム塩またはナトリウム塩、オキシエチレ
ンの繰り返し単位数10以上であるポリオキシエチレン
ジスチリルフェニルエーテル硫酸アンモニウム塩または
ナトリウム塩、オキシエチレンの繰り返し単位数10以
上であるポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸アン
モニウム塩またはナトリウム塩等が挙げられる。中で
も、これらのアンモニウム塩が、撥水性および吸水防止
性に優れるために好ましい。なお、最も好ましいもの
は、オキシエチレンの繰り返し単位数が15以上である
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸アンモ
ニウム塩である。
【0025】HLBの算出方法については、Griff
in、川上、Davies、小田らによって種々のHL
B計算式が定義され、提案されている。本発明では、乳
化剤がノニオン性の場合はGriffinの式に従い、
イオン性またはイオン性とノニオン性との両方を有して
いる場合はDaviesの式に従った。その理由は、通
常これらの式に従ってHLBが計算されることが多いた
めである。
【0026】Griffinの式 親水部分がオキシエチレンにより成っているもの、
例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキ
シ脂肪酸エステル等の場合 HLB=E/5 E:分子中のオキシエチレンの
重量% 親水部分がオキシエチレンと多価アルコールより成
っているもので、明瞭なケン化価が得にくい場合 HLB=(E+P)/5 E:分子中のオキシエチレンの重量% P:分子中の多価アルコールの重量% 脂肪酸の多価アルコールエステル、例えば(ポリオキ
シエチレン)ソルビタンの脂肪酸エステル、モノグリセ
リド等の場合 HLB=20(1−S/N) S:エステルのケン化価 N:エステルを構成する脂肪酸の中和価Daviesの式 HLB=7+ΣL+ΣH L:疎水基のHLB基数 H:親水基のHLB基数 DaviesのHLB基数は下記の表1に示す通り。
【0027】
【表1】
【0028】2種以上の乳化剤を使用した際の混合乳化
剤のHLB値(混合HLB)は以下の算出方法によって
の計算される。 HLB値= Σ(Wi×HLBi)/100 Wi:1種の乳化剤の重量% HLBi:1種の乳化剤のHLB値 乳化剤がアルコキシシリル基を有する化合物を含むと、
アルコキシシリル基が加水分解可能で、各種無機材料、
特に無機素材と結合可能な反応性を有するようになるた
めに好ましい。また、吸水防止剤を、土木建築材物に使
用した場合には、土木建築物の材料への浸透性が、従来
開示されている有機珪素化合物や有機珪素樹脂の水性エ
マルジョンに比較して、格段に向上する。その結果、経
時的な吸水防止性や撥水性の低下の程度が小さく、耐久
性に優れたものとなる。
【0029】アルコキシシリル基を有する化合物の具体
例としては、後述のアルコキシシラン化合物(A)、下
記一般式(3)〜(6)で示されるアルコキシシリル基
を有する化合物、骨格が炭素、ケイ素、酸素、窒素等か
らなり、疎水基(炭素数が8以上のアルキル基等)、親
水基(アルキレンオキシド基、スルホン酸塩基、カルボ
ン酸塩基、4級アンモニウム塩基等)およびアルコキシ
シリル基を含有する化合物、あるいは、これらの加水分
解物およびその重縮合物からなる群より選ばれる少なく
とも1種が挙げられる。上記アルコキシシリル基を有す
る化合物は1種または2種以上を併用して使用しても良
い。
【0030】
【化5】
【0031】但し、R6 :置換基を有していても良いア
ルキル基 R7 :炭素数1〜10の炭化水素基 R8 :炭素数1〜10の置換していても良いアルキル基 D:SO3 Na、SO3 NH4 、CO2 Na、CO2
4 または−N(R9 3 Y R9 :炭素数1〜10の炭化水素基 Y:ハロゲン原子 q:0〜2の整数
【0032】
【化6】
【0033】R6 :置換基を有していても良いアルキル
基 R7 :炭素数1〜10の炭化水素基 R8 :炭素数1〜10の置換していても良いアルキル基 E:SO3 Na、SO3 NH4 、CO2 Na、CO2
4 または−N(R9 3 Y R9 :炭素数1〜10の炭化水素基 Y:ハロゲン原子 r:0〜2の整数
【0034】
【化7】
【0035】R10:炭素数1〜10の炭化水素基 R11:炭素数1〜10の置換していても良いアルキル基 s:0〜2の整数 F:炭素数2〜4の置換していても良いアルキレン基 G:H、SO3 Na、SO3 NH4 、CO2 Naまたは
CO2 NH4 t:1〜200の整数 x:1以上の整数
【0036】
【化8】
【0037】R10:炭素数1〜10の炭化水素基 R11:炭素数1〜10の置換していても良いアルキル基 R12:置換基を有していても良い炭化水素基 u:0〜2の整数 v:1以上の整数 J:炭素数2〜4の置換していても良いアルキレン基 w:1〜200の整数 乳化剤が、上記一般式(2)で示されるアルコキシシラ
ン化合物(A)、その加水分解物およびその重縮合物か
らなる群より選ばれる少なくとも1種を含むと、加水分
解可能で、各種無機材料、特に無機素材と結合可能な反
応性を有するようになり、また、浸透性、吸水防止性お
よび耐久性が最も向上するため好ましい。
【0038】以下にアルコキシシラン化合物(A)を詳
しく説明する。アルコキシシラン化合物(A)は、主と
して疎水性を有するフェニル基またはアルキルフェニル
基、親水性を有する(ポリ)アルキレンオキシド基、
(ポリ)アルキレンオキシドの硫酸アンモニウム塩基、
(ポリ)アルキレンオキシドの硫酸ナトリウム塩基、
(ポリ)アルキレンオキシドのカルボン酸アンモニウム
塩基または(ポリ)アルキレンオキシドのカルボン酸ナ
トリウム塩基、各種材料と結合可能な反応性を有するア
ルコキシシリル基からなっている。特に、アルコキシシ
リル基が(ポリ)アルキレンオキシド基と直接には結合
していないため、フェニル基またはアルキルフェニル基
のような疎水性基に保護される。このため、水中でも加
水分解・重縮合性が抑制され、ポリエチレンオキシド末
端にアルコキシシリル基が結合したシラン化合物よりも
安定である。
【0039】フェニル基またはアルキルフェニル基は、
疎水性を示す部分であり、アルコキシシラン化合物
(A)を乳化剤として使用する場合には、親油基として
作用する。また、フェニル基またはアルキルフェニル基
は、後述するアルコキシシリル基を水から保護する基で
あると共に、吸水防止剤の1成分としてアルコキシシラ
ン化合物(A)を含む場合には、撥水性や吸水防止性を
付与する基である。
【0040】ここでR1 は、H、ハロゲン原子または炭
素数1〜20の炭化水素基であれば、特に限定されない
が、疎水性の観点からHまたは炭素数6〜18から選ば
れるアルキル基が好ましく、炭素数6〜18のアルキル
基がさらに好ましく、炭素数9〜18のアルキル基が最
も好ましい。炭素数6〜18のアルキル基の具体例とし
ては、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル
基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、
ペンタデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基が挙
げられる。
【0041】(ポリ)アルキレンオキシド基、(ポリ)
アルキレンオキシドの硫酸アンモニウム塩基、(ポリ)
アルキレンオキシドの硫酸ナトリウム塩基、(ポリ)ア
ルキレンオキシドのカルボン酸アンモニウム塩基または
(ポリ)アルキレンオキシドのカルボン酸ナトリウム塩
基は、親水性を示す部分であり、アルコキシシラン化合
物(A)を乳化剤として含む場合には、親水基として使
用する。ここでAは、炭素数2〜4の置換してもよいア
ルキレン基であれば特に限定されないが、親水性の観点
から、炭素数2〜4のアルキレン基が好ましく、炭素数
2〜3のアルキレン基がさらに好ましく、エチレン基が
最も好ましい。
【0042】BはH、SO3 NH4 、SO3 Na、CO
2 NH4 またはCO2 Naである。ここで、BがHであ
ると、アルコキシシラン化合物(A)を含む乳化剤はノ
ニオン性の反応性乳化剤である。さらに、吸水防止剤の
1成分としてアルコキシシラン化合物(A)を含む場合
には、アルコキシシリル基の加水分解・重縮合性の抑制
の観点からHであるのが好ましい。また、BがSO3
4 、SO3 Na、CO2 NH4 またはCO2 Naであ
ると、アルコキシシラン化合物(A)を含む乳化剤はア
ニオン性の反応性乳化剤である。
【0043】アルコキシシリル基は、各種材料、特に無
機素材と結合し得る反応性を示す部分である。吸水防止
剤の1成分としてアルコキシシラン化合物(A)を乳化
剤の成分として使用すると、これが各種材料と反応する
ため、乳化剤のブリードが抑制される。したがって、ア
ルコキシシリル基は、撥水性や吸水防止性を向上させる
基である。
【0044】ここでR2 は、炭素数1〜10の炭化水素
基であれば特に限定されないが、後述するアルコキシシ
リル基、すわなちR3 O基の加水分解性を極端に低下さ
せない点で炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。炭素
数1〜3のアルキル基がさらに好ましく、炭素数1〜2
のアルキル基が一層好ましく、メチル基が最も好まし
い。
【0045】炭素数1〜6のアルキル基の具体例として
は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペン
チル基、ヘキシル基等が挙げられる。R3 は炭素数1〜
10の置換してもよいアルキル基であれば特に限定され
ないが、アルコキシシリル基、すなわちR3 O基の加水
分解性が高く無機素材との結合性が大きい点で、R3
炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。R3 としては、
炭素数1〜3のアルキル基がさらに好ましく、炭素数1
〜2のアルキル基が一層好ましく、エチル基が最も好ま
しい。メチル基では、メトキシ基の加水分解性が非常に
高いため、吸水防止剤の1成分としてアルコキシシラン
化合物(A)を含む場合には、組成物の乳化安定性およ
び経時安定性が低下する場合がある。
【0046】R3 の具体例としては、前記R2 で例示さ
れた基と同じものが挙げられる。mは1〜200の整数
であれば特に限定されないが、吸水防止剤の1成分とし
て、アルコキシシラン化合物(A)を含む場合には、吸
水防止剤の乳化安定性および経時安定性の観点からは、
1〜100の整数であるのが好ましく、mは2〜50の
整数であるのがさらに好ましく、mは4〜30の整数で
あるのが一層好ましく、mは5〜25の整数であるのが
より一層好ましい。mは10〜25の整数であるのが最
も好ましい。
【0047】nは0〜2の整数であれば特に限定されな
いが、上述したアルコキシシリル基の加水分解性が高
く、無機素材との結合性の観点からは、nは0または1
であるのが好ましく、0であるのが最も好ましい。アル
コキシシラン化合物(A)は、水中でも、アルコキシシ
リル基の加水分解・重縮合、特に重縮合しにくく安定で
ある。水中において、(ポリ)アルキレンオキシド基、
(ポリ)アルキレンオキシドの硫酸アンモニウム塩基ま
たは(ポリ)アルキレンオキシドの硫酸ナトリウム塩基
が水に相溶し、フェニル基またはアルキルフェニル基
は、アルコキシシリル基の加水分解・重縮合、特に重縮
合を抑制し、安定化させるためである。このような理由
から、アルコキシシラン化合物(A)を水と混合した場
合、水中で均一に分散することができる。
【0048】さらに、アルコキシシラン化合物(A)
は、上記のように、水中でもアルコキシシリル基の加水
分解・重縮合、特に重縮合しにくいため比較的安定であ
るが、加水分解したもの、あるいは重縮合したものであ
っても、界面活性能を有し、乳化剤として作用する。但
し、重縮合が進行してアルコキシシリル基やシラノール
基が、全く存在しなくなると反応性を示さなくなる。
【0049】アルコキシシラン化合物(A)の加水分解
物およびその重縮合物は、アルコキシシラン化合物
(A)を従来公知の方法で、加水分解・重縮合すること
によって得られる。例えば、無溶媒中、または、アルコ
キシシラン化合物(A)および水とを溶解できるような
有機溶媒中で行なわれる。有機溶媒としては、アルコー
ル類、ケトン類、エーテル類、セルソロブ類が挙げられ
る。水の量は、特に限定されないが、水の量が多すぎる
と得られる重縮合物が高分子量体となるため、乳化剤と
しての作用が低下する場合がある。また、重縮合させる
際に、従来公知の酸触媒または塩基触媒を使用しても良
い。
【0050】重縮合物の分子量は、上述の理由から、好
ましくは数平均分子量が20000以下、さらに好まし
くは10000以下、より一層好ましくは5000以下
である。 〔吸水防止剤〕本発明の吸水防止剤は、上記で説明した
有機ケイ素成分および乳化剤を含んでいる。乳化剤は2
種以上からなり、その混合HLBは20を超え30以下
の値である。乳化剤の混合HLBが前記範囲内であれば
吸水防止剤の液滴の粒径が微細化するので少量の乳化剤
でも乳化安定性が向上するとともに、乳化性能が高く、
材料に深く浸透するため、吸水防止性、浸透性および耐
久性が向上する。
【0051】有機ケイ素成分および乳化剤の配合割合は
特に限定されないが、有機ケイ素成分は吸水防止剤全体
に対して好ましくは1〜65重量%であり、より好まし
くは3〜60重量%であり、さらに好ましくは5〜55
重量%であり、最も好ましくは7〜50重量%である。
有機ケイ素成分が少なすぎると材料等に撥水性や吸水防
止性を付与するためには、塗布して使用する場合に1回
の塗布では不充分な場合があり、塗布回数を増やす必要
がある。また多すぎると、粘度が高くなって、材料等へ
の浸透性が悪くなる傾向がある場合がある。
【0052】乳化剤は有機ケイ素成分に対して好ましく
は0.01〜1重量%であり、より好ましくは0.05
〜3重量%、さらに好ましくは0.1〜2重量%であ
り、最も好ましくは0.2〜1重量%の範囲である。吸
水防止剤中に乳化剤が少なすぎると、有機ケイ素成分の
乳化性能が不充分となり、乳化安定性、経時安定性およ
び浸透性が低下する場合があり、一方多すぎると撥水性
や吸水防止性が低下したり、耐久性が悪い場合がある。
【0053】本発明の吸水防止剤は、有機ケイ素成分お
よび乳化剤の他に水を含んでいると、土木建築材料に深
く浸透し易く好ましい。その場合、有機ケイ素成分、乳
化剤および水の合計は100重量%である。吸水防止剤
のpHを3〜12にすると、経時安定性に優れる。好ま
しくは4〜10、さらに好ましくは5〜9である。
【0054】また、吸水防止剤中に、従来公知の増粘
剤、pH緩衝剤、pH調整剤、シリカゾル、アルミナゾ
ル、セリアゾル、紫外線吸収剤、水溶性ポリマー、有機
系乳化重合物を添加しても良く、これらに限定されな
い。吸水防止剤中には、さらに、防カビ剤、防藻剤、防
蟻剤の添加剤を混合しても良く、これら添加剤に限定さ
れない。
【0055】吸水防止剤を得るための方法としては、一
般の混合や乳化する方法が用いられ、特に限定はない。
例えば、スターラー、ホモミキサー、ウルトラディスパ
ーサー、高圧ホモジナイザー等で高速攪拌しながら、有
機ケイ素成分と乳化剤とを別々または混合した液を水に
少しずつ添加したり、乳化剤と水の混合液に有機ケイ素
成分を少しずつ添加したり、あるいはこれらの逆を行う
ことにより吸水防止剤が得られる。
【0056】吸水防止剤が使用される土木建築材料とし
ては特に限定されないが、打放しコンクリート、プレキ
ャストコンクリート、軽量気泡コンクリート(AL
C)、軽量コンクリート、セメント板、押出しセメント
板、石綿セメント板、パルプセメント板、木毛セメント
板、ガラス繊維入りセメント板、カーボン繊維入りセメ
ント板、モルタル、目地モルタル、石膏ボード、石膏プ
ラスター、ドロマイトプラスター、ハードボード、珪酸
カルシウム板、しっくい、ブロック、レンガ、タイル、
瓦、スレート、天然石、人工石、ガラスウール、ロック
ウール、セラミックファイバー、木材、合板が挙げられ
る。
【0057】土木建築材料に使用する方法としては特に
限定されないが、好ましい使用する方法として、例え
ば、上記材料へローラー、刷毛、スプレー等を用い塗布
したり、場合によっては上記材料を含浸、浸漬すること
が挙げられる。この際、吸水防止剤は、有機ケイ素成分
の量が、吸水防止剤全体に対して好ましくは3〜60重
量%、より好ましくは5〜50重量%、さらに好ましく
は7〜40重量%の範囲に水で希釈して使用される。有
機ケイ素成分が少なすぎると塗布、含浸あるいは浸漬等
の回数を増やす必要があり、多すぎると材料への浸透性
が悪くなる。また、土木建築材料に使用する他の好まし
い例としては、例えば上記材料を製造する際に添加する
ことが挙げられる。例えば、モルタルではセメント、
砂、水等を混和調製する際に吸水防止剤を添加した後成
形したり、コンクリートではセメント、細骨材、減水
材、水等を混練する際に、吸水防止剤を添加した後成形
することが挙げられ、他の材料でもこれらと同様に成形
する前や成形する際に添加することが挙げられる。
【0058】本発明の吸水防止剤は、さらに加水分解・
重縮合反応により材料表面および内部において強固に且
つ優れた吸水防止層や撥水層を形成し、雨水、汚水、酸
性雨による材料の劣化や汚れのしみこみ、海(塩)水に
よる被害、寒冷地における凍結融解作用によるひび割
れ、材料からの塩の溶出による白華等の解決に有用であ
る。水蒸気を放出する機能も有するため炭酸ガスによる
中性化、骨材に含まれるシリカとアルカリによるアルカ
リ骨材反応の防止等にも優れている。また、吸水防止層
や撥水層が厚く、浸透性が良いため、耐久性の向上が図
れる。さらに種々の塗料やコーティング剤や仕上げ材の
防水プライマーとしても有用である。
【0059】
【実施例】以下に本発明の具体的な実施例および比較例
を示すが、本発明は下記実施例に限定されない。「%」
は特に限定のない限り「重量%」を示す。 〔実施例1〕水49.8gにオキシエチレンの繰り返し
単位数22であるポリオキシエチレンノニルフェニルエ
ーテル硫酸アンモニウム塩(HLB45.8)0.07
5gを溶解した混合液をホモミキサーを用いて高速攪拌
しながら、この混合液に、ヘキシルトリエトキシシラン
50gに下記式(A−1)で示されるオキシエチレンの
繰り返し単位数10であるポリオキシエチレンジエトキ
シメチルシリルプロピルグリシジルノニルフェニルエー
テル(HLB9.7)0.125gを溶解した混合液を
徐々に添加、混合して乳化を行った(混合HLB23.
2)。そのまま30分間高速攪拌を続けて吸水防止剤
(1)を得た。
【0060】
【化9】
【0061】〔実施例2〜4〕実施例1において、乳化
剤の種類を表2に示すように変更した以外は、実施例1
と同様にして吸水防止剤(2)〜(4)を得た。 〔比較例1,2〕実施例1において、乳化剤の種類を表
3に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして
比較用吸水防止剤(11),(12)を得た。
【0062】
【表2】
【0063】
【表3】
【0064】なお、吸水防止剤の吸水防止性、浸透性、
乳化安定性および耐久性の評価結果を表4に示す。なお
評価方法は以下の通りである。 (モルタルサンプルの調製)有機ケイ素成分の濃度が3
0重量%になるように吸水防止剤を純水で希釈して塗布
液とした。モルタル(5cm×5cm×1.5cm)の
全面を300g/m 2 となるように塗布した後、23
℃、60%RH下で1週間養生してモルタルサンプルと
し下記各種試験に供した。 (吸水防止性)モルタルサンプルを水200g中に浸漬
し、7時間後に取り出し、余剰水を乾いた布で拭き取っ
た後に重量測定を行い、下式により吸水率を算出した。
【0065】吸水率(重量%)=〔(浸漬後の重量−浸
漬前の重量)/浸漬前の重量〕×100 評価基準は以下の通りである。 ◎:吸水率が0.5重量%未満 ○:吸水率が0.5重量%以上1.0重量%未満 △:吸水率が1.0重量%以上2.0重量%未満 ×:吸水率が2.0重量%以上 なお、未処理モルタルの吸水率を同様にして測定する
と、7.5重量%であった。 (浸透性)モルタルサンプルを切断しその断面に水を吹
き付け、撥水層の厚みにより浸透深さを測定した。評価
基準は以下の通りである。
【0066】 ◎:3mm以上 ○:2mm以上3mm未満 △:1mm以上2mm未満 ×:1mm未満 (乳化安定性)得られた吸水防止剤の乳化安定性を凍結
融解による促進試験を繰り返して行って二層分離の有無
を観察した。評価基準は以下の通りである。
【0067】凍結融解試験:−20℃下8時間静置して
凍結させた後室温に戻して液体とし、さらに50℃下8
時間静置した後、室温に戻すのを1サイクルとする ◎:3サイクル以上二層分離なし ○:2サイクルまで二層分離なし △:1サイクルまで二層分離なし ×:1サイクル目で二層分離する (耐久性)モルタルサンプルをサンシャインウェザーメ
ーター型促進耐候試験機を用い、1000時間紫外線を
照射して吸水防止性を評価した。評価基準は(吸水防止
性)と同様である。 (液滴の平均粒径)得られた吸水防止剤を、有機ケイ素
成分の濃度が30重量%になるように純水で希釈したと
きの塗布液をコールターマルチサイザーII型(コールタ
ーエレクトロニクス社製)を使用して測定した。
【0068】
【表4】
【0069】
【発明の効果】本発明の吸水防止剤は、上記一般式
(1)で示されるシラン化合物(S)、その加水分解物
およびその重縮合物から選ばれる少なくとも1種からな
る有機ケイ素成分と、乳化剤とを含む吸水防止剤であっ
て、前記乳化剤が2種以上の乳化剤からなり、その混合
HLBが20を超え30以下の値であることを特徴とす
るため、乳化性能が高く、乳化安定性、浸透性、吸水防
止性および耐久性に優れる。
【0070】前記乳化剤の少なくとも1種のHLBが4
0を超える値であると、少量の乳化剤でも液滴の粒径が
より微細化するので、乳化安定性、浸透性、吸水防止性
および耐久性がより向上する。前記乳化剤の少なくとも
1種がイオン性部分およびノニオン性部分の両方を分子
内に有し、前記ノニオン性部分がエチレンオキシドの繰
り返し単位からなり、前記繰り返し単位の数が10以上
であると、浸透性、吸水防止性、乳化安定性および耐久
性がさらに向上する。
【0071】前記乳化剤がアルコキシシリル基を有する
化合物を含むと、アルコキシシリル基が加水分解可能
で、各種無機材料、特に無機素材と結合可能な反応性を
有するようになる。乳化剤としてアルコキシシリル基を
有する化合物を含む吸水防止剤を、土木建築材物に使用
した場合には、土木建築物の材料への浸透性が、従来開
示されている有機珪素化合物や有機珪素樹脂の水性エマ
ルジョンに比較して、格段に向上する。その結果、経時
的な吸水防止性や撥水性の低下の程度が小さく、耐久性
に優れたものとなる。
【0072】前記乳化剤が、上記一般式(2)で示され
るアルコキシシラン化合物(A)、その加水分解物およ
びその重縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種
を含むと、加水分解可能で、各種無機材料、特に無機素
材と結合可能な反応性を有するようになり、また、浸透
性、吸水防止性および耐久性が最も向上する。前記有機
ケイ素成分が吸水防止剤全体の1〜65重量%である
と、1回の塗布で材料等に撥水性や吸水防止性を付与す
ることが可能で、粘度が高くなく、材料等への浸透性が
よい。また、前記乳化剤が前記有機ケイ素成分の0.0
1〜5重量%であると、有機ケイ素成分の乳化性能が充
分であり、乳化安定性、経時安定性および浸透性の低下
はない。さらに、撥水性や吸水防止性の低下はなく、耐
久性がよい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09K 3/18 104 C09K 3/18 104 // C09D 5/02 PPG C09D 5/02 PPG

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(1)で示されるシラン化合物
    (S)、その加水分解物およびその重縮合物から選ばれ
    る少なくとも1種からなる有機ケイ素成分と、乳化剤と
    を含む吸水防止剤であって、 前記乳化剤が2種以上の乳化剤からなり、その混合HL
    Bが20を超え30以下の値であることを特徴とする、
    吸水防止剤。 【化1】 (但し、R4 は炭素数1〜20の1価炭化水素基、R5
    は炭素数1〜6のアルキル基、pは1または2であ
    る。)
  2. 【請求項2】前記乳化剤の少なくとも1種のHLBが4
    0を超える値である、請求項1に記載の吸水防止剤。
  3. 【請求項3】前記乳化剤の少なくとも1種がイオン性部
    分およびノニオン性部分の両方を分子内に有し、前記ノ
    ニオン性部分がエチレンオキシドの繰り返し単位からな
    り、前記繰り返し単位の数が10以上である、請求項1
    または2に記載の吸水防止剤。
  4. 【請求項4】前記乳化剤がアルコキシシリル基を有する
    化合物を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の吸水防
    止剤。
  5. 【請求項5】前記乳化剤が、下記一般式(2)で示され
    るアルコキシシラン化合物(A)、その加水分解物およ
    びその重縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種
    を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の吸水防止剤。 【化2】 但し、R1 :H、ハロゲン原子または炭素数1〜20の
    炭化水素基 R2 :炭素数1〜10の炭化水素基 R3 :炭素数1〜10の置換してもよいアルキル基 A :炭素数2〜4の置換してもよいアルキレン基 B :H、SO3 NH4 、SO3 Na、CO2 NH4
    たはCO2 Na m :1〜200の整数 n :0〜2の整数
  6. 【請求項6】前記有機ケイ素成分が吸水防止剤全体の1
    〜65重量%、前記乳化剤が前記有機ケイ素成分の0.
    01〜5重量%である、請求項1〜5のいずれかに記載
    の吸水防止剤。
JP7228195A 1995-09-05 1995-09-05 吸水防止剤 Pending JPH0971724A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7228195A JPH0971724A (ja) 1995-09-05 1995-09-05 吸水防止剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7228195A JPH0971724A (ja) 1995-09-05 1995-09-05 吸水防止剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0971724A true JPH0971724A (ja) 1997-03-18

Family

ID=16872699

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7228195A Pending JPH0971724A (ja) 1995-09-05 1995-09-05 吸水防止剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0971724A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012528204A (ja) * 2009-05-25 2012-11-12 エヴォニク ゴールドシュミット ゲーエムベーハー シリル基を含有する硬化性組成物およびその使用
JP2012528203A (ja) * 2009-05-25 2012-11-12 エヴォニク ゴールドシュミット ゲーエムベーハー シリル基を有するヒドロキシル化合物をベースとするエマルジョン

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012528204A (ja) * 2009-05-25 2012-11-12 エヴォニク ゴールドシュミット ゲーエムベーハー シリル基を含有する硬化性組成物およびその使用
JP2012528203A (ja) * 2009-05-25 2012-11-12 エヴォニク ゴールドシュミット ゲーエムベーハー シリル基を有するヒドロキシル化合物をベースとするエマルジョン

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5051129A (en) Masonry water repellent composition
EP0304497B1 (en) Water repellent for masonry
CA1330848C (en) Water beading-water shedding repellent composition
US6037429A (en) Water-soluble fluorochemical polymers for use in water and oil repellent masonry treatments
US5073195A (en) Aqueous silane water repellent compositions
US5074912A (en) Siloxane masonry water repellent emulsions
KR101982472B1 (ko) 콘크리트용 발수제
US4717599A (en) Water repellent for masonry
JPH05156164A (ja) 吸水防止剤組成物およびそれを用いる吸水防止方法
JP2807610B2 (ja) シリコーン系防水処理剤およびこれによる防水処理方法
US5086146A (en) Methylalkoxy-methylalkyl cyclosiloxane copolymer
JPH101610A (ja) 水性有機ケイ素系組成物および土木建築材料
JPH0971724A (ja) 吸水防止剤
JP2802221B2 (ja) アルコキシシリル基含有樹脂、これを含む水性組成物および土木建築材料用吸水防止剤
KR100952755B1 (ko) 발수용 조성물
JP2907726B2 (ja) 反応性乳化剤および水性組成物
JP4423534B2 (ja) 水系エマルション型吸水防止材
CN114349390A (zh) 一种有机硅/无机纳米材料复合型防水剂及其制备方法
JP3301699B2 (ja) セメント混和剤およびセメント組成物
JP4535768B2 (ja) 水系エマルション型吸水防止材
JP2006335969A (ja) 吸水防止材
JPH07258549A (ja) 水性有機珪素樹脂組成物およびこれを含む土木建築材料用吸水防止剤
JP3631322B2 (ja) 無機系屋根材の処理方法
JP2002121543A (ja) 水性吸水防止材
JP2001206888A (ja) 水性有機ケイ素エマルションおよびその製造方法