JPH07258549A - 水性有機珪素樹脂組成物およびこれを含む土木建築材料用吸水防止剤 - Google Patents

水性有機珪素樹脂組成物およびこれを含む土木建築材料用吸水防止剤

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JPH07258549A
JPH07258549A JP5234494A JP5234494A JPH07258549A JP H07258549 A JPH07258549 A JP H07258549A JP 5234494 A JP5234494 A JP 5234494A JP 5234494 A JP5234494 A JP 5234494A JP H07258549 A JPH07258549 A JP H07258549A
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JP
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group
water
silane compound
resin composition
carbon atoms
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JP5234494A
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English (en)
Inventor
Shigefumi Kuramoto
成史 倉本
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Publication date
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  • Materials Applied To Surfaces To Minimize Adherence Of Mist Or Water (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 撥水性を有するともに加水分解・縮合性を有
する水性有機珪素樹脂組成物およびこれを含む土木建築
材料用吸水防止剤を提供する。 【構成】 この組成物は、一般式(I)R1 l Si(O
2 4-l (R1 は炭素数1〜20の一価炭化水素基、
2 は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基、lは
1または2である。)で示されるシラン化合物(A)5
0〜99.9mol%と、一般式(II)R3 m 4 n
i(OR5 4-m-n (R3 はオキシラン基または水酸基
を含んでなる炭素数1〜20の有機基、R4 は水素原子
または炭素数1〜20の一価炭化水素基、R5 は水素原
子または炭素数1〜6のアルキル基、mは1〜3の整
数、nは0〜2の整数、m+nは3以下の整数。)で示
される親水性シラン化合物(B)0.1〜50mol%
との共加水分解・重縮合物、ノニオン性乳化剤および水
からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水性有機珪素樹脂組成
物およびこれを含む土木建築材料用吸水防止剤に関す
る。本発明の水性有機珪素樹脂組成物は、撥水性を有す
るとともに加水分解・縮合性を有していて、種々の材料
と結合可能なため、プラスチックフィルム、繊維、紙、
ガラス等の有機または無機素材からなる種々の材料の表
面処理剤として有用であり、特に土木建築材料用の吸水
防止剤として有用なものである。ここにいう土木建築材
料とは、例えば、打放しコンクリート、軽量気泡コンク
リート(ALC)、セメント板、モルタル、石膏ボー
ド、ブロック、レンガ、タイル、瓦、スレート、ガラス
ウール、ロックウール、セラミックファイバー、木材、
合板等である。本発明の水性有機珪素樹脂組成物および
これを含む土木建築材料用吸水防止剤は、これら材料表
面に塗布したり、含浸、浸漬等したりして、あるいは、
これら材料の成形前や成型時に添加したりして、撥水性
や吸水防止性等を付与するのに有効である。
【0002】
【従来の技術】従来、加水分解・重縮合性官能基を有す
る有機珪素化合物や有機珪素樹脂を有機溶剤に溶解した
ものが、土木建築材料の吸水防止剤に使用されている。
しかし、これら有機溶剤系は、火災・爆発の危険性、有
毒性、環境汚染性等の点から問題があり、有機溶剤を使
用しない水系の吸水防止剤の開発が望まれている。
【0003】このような観点から、最近、上記加水分解
・重縮合性官能基を有する有機珪素化合物や有機珪素樹
脂の安定な水性エマルジョンが開発され、一部ではすで
に実用に供せられている。有機珪素化合物の水性エマル
ジョンとしては、各種の乳化剤を用いてアルキルトリア
ルコキシシラン等を水性乳化したものが知られている。
このような乳化剤としては、例えば、ノニオン性乳化剤
を用いた水性エマルジョンが知られている(特開昭62
−197369、特開平1−292089、特開平3−
174378、特開平3−188086号公報)。撥水
性や吸水防止性を向上させるために、乳化剤としてシリ
コーン系やフッ素系の乳化剤を用いた例も知られている
(特開平3−115485号公報)。さらに、アルコキ
シ基とともに第四級アンモニウム塩基をも含有する珪素
化合物や、ノニオン性またはアニオン性の乳化能を有す
る珪素化合物のような、アルコキシシランや土木建築材
料に対し反応性を有する乳化剤を使用した例も知られて
いる(特開平3−159975、特開平3−20079
3、特開平4−164877、特開平5−221748
号公報)。
【0004】一方、有機珪素樹脂の水性エマルジョンと
しては、メチルメトキシシリコーン樹脂やアルキルトリ
アルコキシシランの加水分解・重縮合物を水性乳化した
ものが知られており(特開昭57−92561、特開昭
58−213046、特開昭60−20959、特開昭
63−305132、特開平4−255759号公
報)、また、前記シリコーン系乳化剤のほか、アルコキ
シ基とともに塩基性窒素をも有するオルガノポリシロキ
サンと酸からなる反応性乳化剤を使用した例も知られて
いる(特開平5−156164号公報)。
【0005】しかし、前記公報で開示されている有機珪
素化合物の水性エマルジョンでは、例えば、オクチルト
リエトキシシラン等のような、加水分解性が低くく、蒸
気圧が高い有機珪素化合物が使用されるため、材料へ塗
布した場合の浸透性は良いが、塗布した材料表面から有
機珪素化合物の揮発損失は避けられない。また、乳化時
の安定性や経時安定性を得るために多量の乳化剤を用い
るため、撥水性や吸水防止性が低いという問題があっ
た。
【0006】他方、有機珪素樹脂の水性エマルジョンで
は、有機珪素化合物を予め縮合させるため、蒸気圧がほ
とんどなく、塗布した材料表面からの揮発損失はない
が、経時的に高分子量化するため、材料への浸透性が低
下するという問題があった。そこで、浸透性を上げるた
めに、縮合度の低いオリゴマー状態で長期間安定に乳化
させることが必要であり、多量の乳化剤を用いて乳化安
定性の向上や経時的な縮合の抑制(以下、経時安定性と
言う)が図られるが、十分に目的を達成するものではな
く、しかも撥水性や吸水防止性が低下するという問題が
あった。
【0007】また、有機珪素樹脂の水性エマルジョンで
は、乳化剤としてポリビニルアルコールやセルロース類
等の高分子乳化剤を使用するため、材料への浸透性が悪
いという問題があった(特開昭58−213046号公
報)。特開昭58−213046、特開平5−1561
64号公報以外はいずれも、メチルメトキシシリコーン
樹脂やメチルメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラ
ン等の加水分解・重縮合物を主成分とする低級アルキル
やアルケニル基を有する有機珪素樹脂の水性エマルジョ
ンが開示されているが、これらの有機珪素樹脂は、土木
建築材料用に使用する場合に、遮塩性、耐アルカリ性に
劣るという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、有機珪素
樹脂を土木建築材料用に使用する場合、耐アルカリ性を
良くするために、例えば、炭素数が4以上の長鎖アルキ
ル基を有するアルキルトリアルコキシシランの加水分解
・重縮合物を乳化することについて、上記公報に従って
追試し、研究を重ね、乳化安定性や経時安定性を良くす
るためには、多量の乳化剤が必要であり、その結果、撥
水性や吸水防止性が低下することがわかった。また、特
開昭63−305132号公報には、加水分解・縮合性
の有機珪素化合物としてグリシジル基を有する有機珪素
化合物を使用しても良いと記載されているが、対応する
実施例はなく、当然その作用効果も記載されていない。
更に、使用する乳化剤はアニオン性あるいはカチオン性
乳化剤のいずれかを使用することが開示されているが、
開示された乳化剤を使用すると親水性が高まるが、逆に
撥水性や吸水防止性は低下することがわかった。
【0009】本発明は、前述した従来公知の加水分解・
重縮合性のある有機珪素化合物や有機珪素樹脂の水性エ
マルジョンの問題点を解消し、少量の乳化剤でも長期間
乳化安定性や経時安定性が良好で、且つ撥水性や吸水防
止性に優れる水性有機珪素樹脂組成物およびこれを含む
土木建築材料用吸水防止剤を提供することを課題とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
を解決するために、種々の乳化剤を用いて種々の有機珪
素化合物および/またはその共加水分解・重縮合物を水
性乳化する方法について鋭意検討した結果、特定のシラ
ン化合物の共加水分解・重縮合物と特定の乳化剤と水か
らなる水性有機珪素樹脂組成物により、上記課題が解決
されることを見い出した。更に、この水性有機珪素樹脂
組成物が土木建築材料用吸水防止剤として好適であるこ
とも見い出し、本発明を完成した。
【0011】すなわち本発明は、一般式(I)R1 l
i(OR2 4-l (ただし、R1 は炭素数1〜20の一
価炭化水素基、R2 は水素原子または炭素数1〜6のア
ルキル基、lは1または2である。R1 が複数ある場合
は、複数のR1 は互いに同一であっても良く、異なって
いても良い。複数のR2 は互いに同一であっても良く、
異なっていても良い。)で示されるシラン化合物(A)
50〜99.9mol%と、一般式(II)R3 m 4 n
Si(OR5 4-m-n (ただし、R3 はオキシラン基ま
たは水酸基を含んでなる炭素数1〜20の有機基、R4
は水素原子または炭素数1〜20の一価炭化水素基、R
5 は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基、mは1
〜3の整数、nは0〜2の整数、ただしm+nは3以下
の整数を満足する。R3 、R4 またはR5 が各々複数あ
る場合互いに同一であっても良く、少なくとも1つが異
なっていても良い。)で示される親水性シラン化合物
(B)0.1〜50mol%(ただし、シラン化合物
(A)+親水性シラン化合物(B)=100mol%で
ある。)との共加水分解・重縮合物(a)、ノニオン性
乳化剤(b)および水(c)からなる水性有機珪素樹脂
組成物、およびこの水性有機珪素樹脂組成物からなる土
木建築材料用吸水防止剤を提供する。
【0012】以下ではまず、本発明の水性有機珪素樹脂
組成物について詳しく説明する。シラン化合物(A)
は、本発明の水性有機珪素樹脂組成物を構成する後述の
共加水分解・重縮合物(a)を得るための原料の1つで
あり、前記一般式(I)で示される。本発明の水性有機
珪素樹脂組成物中の有機珪素樹脂は、撥水性や吸水防止
性を有し、材料と反応したりそれ自身で更に共加水分解
・重縮合可能な共加水分解・重縮合性官能基を含有す
る。
【0013】前記一般式(I)中、R1 は炭素数1〜2
0の一価炭化水素基であれば、特に限定はなく、飽和ア
ルキル基、アリール基およびアラルキル基から選ばれる
少なくとも1種が好ましく、撥水性、吸水防止性、遮塩
性および耐アルカリ性を著しく向上させれる点で、炭素
数4〜18のこれらの基がより一層好ましい。中でも、
耐候性に優れる点で、炭素数4〜18の飽和アルキル基
が最も好ましい。
【0014】R1 の具体例としては、例えば、メチル
基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−
ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デ
シル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基
等の飽和アルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリ
ール基、ベンジル基等のアラルキル基、ビニル基、ヘキ
セニル基、オクテニル基等のアルケニル基等が挙げられ
る。
【0015】前記一般式(I)中、R2 は水素原子また
は炭素数1〜6のアルキル基ならば特に限定されず、炭
素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、
エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチ
ル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げ
られ、中でも、メチル基またはエチル基が好ましい。炭
素数3以上になると後述する共加水分解・重縮合物
(a)中の加水分解・縮合性官能基の共加水分解・重縮
合性が低下する。
【0016】lは1または2であり、後述する共加水分
解・重縮合物(a)中の加水分解・縮合性官能基を多く
含有できる点でl=1が好ましい。シラン化合物(A)
の具体例としては、例えば、メチルトリメトキシシラ
ン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロキシシ
ラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシ
シラン、エチルトリプロポキシシラン、n−プロピルト
リメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、
n−プロピルトリプロポキシシラン、n−ブチルトリメ
トキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、イソブ
チルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラ
ン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキ
シシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリ
エトキシシラン、オクチルトリプロポキシシラン、デシ
ルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、
テトラデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリエ
トキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキ
サデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキ
シシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリ
エトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジ
ルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジ
メチルジエトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、
フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキ
シシラン、ジフェニルシランジオール、ビニルトリメト
キシシラン、ヘキセニルトリメトキシシラン、オクテニ
ルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらシラン化
合物(A)は1種または2種以上を使用しても良い。
【0017】特にシラン化合物(A)が、前記一般式
(I)において、R1 が炭素数4〜18の飽和アルキル
基、アリール基、アラルキル基から選ばれる少なくとも
1種、特に飽和アルキル基、R2 がメチル基またはエチ
ル基、l=1であるトリアルコキシシラン化合物(A−
1)が好ましい。これは、後述する共加水分解・重縮合
物(a)中に加水分解・重縮合性官能基を多く含有で
き、撥水性、吸水防止性、遮塩性、耐アルカリ性、耐候
性等に優れるからである。
【0018】親水性シラン化合物(B)は、後述する共
加水分解・重縮合物(a)に適度の親水性を付与して乳
化安定性や経時安定性を向上させる成分であり、前記一
般式(II)で示される。前記一般式(II)中、R3 はオ
キシラン基または水酸基を含んでなる炭素数1〜20の
有機基であれば、特に限定はない。オキシラン基を含ん
でなる炭素数1〜20の有機基としては、例えば、(式
1)で示される基(ただし、pは1〜17の整数であ
る。)、(式2)で示される基(ただし、qは0〜14
の整数である。)等が挙げられ、また水酸基を含んでな
る炭素数1〜20の有機基としては、例えば、(式3)
で示される基(ただし、rは1〜20の整数である。)
やヒドキシフェノキシプロピル基、ヒドロキシプロピニ
ル基等が挙げられる。
【0019】
【化2】
【0020】
【化3】
【0021】
【化4】
【0022】ここでオキシラン基を有する炭素数1〜2
0の有機基が、後述する共加水分解・重縮合物(a)に
適度の親水性を付与できる理由としては、シラン化合物
(A)と共加水分解・重縮合する際にオキシラン基が開
環して水酸基が生成することに起因すると考えられる。
特に、R3 が(式1)で示される基であると、後述する
共加水分解・重縮合物(a)に適度の親水性を容易に付
与できるため好ましく、中でも(式1)において、p=
1〜5の整数で示される基は、本発明の水性有機珪素樹
脂組成物の乳化安定性や経時安定性を特に向上させるの
で特に好ましい。
【0023】前記一般式(II)中、R4 は水素原子また
は炭素数1〜20の一価炭化水素基であれば、特に限定
されないが、飽和アルキル基、アリール基およびアラル
キル基から選ばれる少なくとも1種が好ましく、本発明
の水性有機珪素樹脂組成物の撥水性、吸水防止性や耐候
性が向上できる点で、飽和アルキル基、中でも炭素数1
〜4のアルキル基、特にメチル基が好ましい。
【0024】前記一般式(II)中、R5 は水素原子また
は炭素数1〜6のアルキル基であれば、特に限定され
ず、炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、前記
一般式(I)のR2 で例示された基が挙げられ、中でも
メチル基またはエチル基が好ましい。炭素数3以上にな
ると後述する共加水分解・重縮合物(a)の加水分解・
重縮合性官能基の共加水分解・重縮合性が低下する。m
は1〜3の整数、nは0〜2の整数(ただし、m+nは
3以下の整数である)であるが、好ましくはm=1、n
=1である。mが2以上やnが2の場合は、シラン化合
物(A)との共加水分解・重縮合性が低下するため、後
述する共加水分解・重縮合物(a)に親水性が付与され
にくくなり、本発明の水性有機珪素樹脂組成物の乳化安
定性が悪くなる場合がある。
【0025】特に、親水性シラン化合物(B)が一般式
(II)において、R3 が(式1)で示される基(ただ
し、pは1〜5の整数である。)、R4 はメチル基、R
5 はメチル基またはエチル基、m=1、n=1である親
水性ジアルコキシシラン化合物が好ましい。これは、後
述する共加水分解・重縮合物(a)中に適度の親水性を
付与でき、本発明の水性有機珪素樹脂組成物が乳化安定
性や経時安定性に優れたものとなるからである。
【0026】このような親水性シラン化合物(B)の具
体例としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリ
メトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキ
シシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシ
シラン、3−グリシドキシプロピルジメチルメトキシシ
ラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルト
リメトキシシラン、3−ヒドキシプロピルトリメトキシ
シラン、3−(ο−ヒドロキシフェノキシプロピル)ト
リメトキシシラン、3−ヒドロキシフェノキシトリメト
キシシラン、2−ヒドロキシフェノキシトリメトキシシ
ラン、3−ヒドロキシ−1−プロピニルトリメトキシシ
ラン等が挙げられる。これら親水性シラン化合物(B)
は1種または2種以上を使用しても良い。
【0027】上述したシラン化合物(A)50〜99.
9mol%と親水性シラン化合物(B)0.1〜50m
ol%を共加水分解・重縮合することにより、好ましく
はシラン化合物(A)65〜99mol%と親水性シラ
ン化合物(B)1〜35mol%(ただし、シラン化合
物(A)+親水性シラン化合物(B)=100mol%
である)、さらに好ましくは、シラン化合物(A)80
〜98mol%と親水性シラン化合物(B)2〜20m
ol%を共加水分解・重縮合することにより、本発明の
水性有機珪素樹脂組成物の構成成分の1つである、共加
水分解・重縮合物(a)が得られる。共加水分解・重縮
合物(a)は撥水性や吸水防止性を付与するR1 基およ
びR4 基、材料と反応したりそれ自身で加水分解・重縮
合可能な加水分解・重縮合性官能基であるR2 O基およ
びR5 O基、および乳化安定性や経時安定性を向上させ
るR3 基を含有する。
【0028】親水性シラン化合物(B)が少なすぎると
本発明の水性有機珪素樹脂組成物の乳化安定性や経時安
定性が悪くなる傾向があり、シラン化合物(A)が少な
すぎると撥水性や吸水防止性が低下する傾向がある。シ
ラン化合物(A)と親水性シラン化合物(B)を共加水
分解・重縮合する方法は特に限定されず、無溶媒下にま
たはシラン化合物(A)、親水性シラン化合物(B)お
よび水とを溶解できるような有機溶媒中で行われる。共
加水分解・重縮合は無溶媒下で行うのが好ましいが、有
機溶媒中で行ってもよい。有機溶媒としては、例えば、
メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロ
ピルアルコール、n−ブタノール等のアルコール類、ア
セトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒド
ロフラン、ジオキサン等のエーテル類、メチルセロソル
ブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソル
ブ類等が挙げられる。
【0029】共加水分解・重縮合に使用した有機溶媒、
共加水分解・重縮合により副生するアルコールR2
H、R5 OH(ただし、R2 、R5 が炭素数1〜6の場
合)は、本発明の水性有機珪素樹脂組成物中に存在する
と乳化安定性を悪くする場合があるため、共加水分解・
重縮合の際、あるいは、反応の後に系外に除去するのが
好ましい。有機溶媒、副生したR2 OH、R5 OHを系
外に除去する方法は、特に限定はないが、蒸留が好まし
い。使用した有機溶媒、副生するR2 OH、R2OH
は、上記理由により、共加水分解・重縮合物(a)中に
存在させても、共加水分解・重縮合物(a)に対して1
50wt%以下とし、好ましくは80wt%以下、更に
好ましくは30wt%以下である。共加水分解・重縮合
物(a)中に使用した有機溶媒、副生するR2 OH、R
5 OHを存在させないのが最も好ましい。
【0030】共加水分解・重縮合させる際の水の量は特
に限定されないが、多すぎると得られる共加水分解・重
縮合物(a)の経時安定性が悪くなる傾向があり、少な
すぎると共加水分解・重縮合反応が生じにくくなるの
で、好ましくはシラン化合物(A)と親水性シラン化合
物(B)の合計量に対して、10〜500mol%、更
に好ましくは30〜300mol%、より一層好ましく
は50〜150mol%の範囲である。
【0031】共加水分解・重縮合させる際に、酸触媒ま
たは塩基触媒を使用しても良い。酸触媒としては、例え
ば、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、蓚酸、
p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸
等の有機酸等の系に溶解する酸触媒や、アンバーライト
15、アンバーライト200C、アンバーリスト15
(以上、ローム・アンド・ハース社製)、デュオライト
C26−C、デュオライトC−433(以上、住友化学
社製)等の陽イオン交換樹脂、リンタングステン酸、コ
バルトタングステン酸等のヘテロポリ酸、アルミナ、シ
リカーアルミナ、ゼオライト等の金属酸化物、モンモリ
ロナイト、カオリナイト等の粘土鉱物等の系に不溶な固
体酸触媒が挙げられる。また、塩基触媒としては、例え
ば、アンモニア、尿素、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム等の無機塩基、トリエチルアミン、n−ブチルアミ
ン等の有機アミン、ナトリウムメトキシド、カリウムメ
トキシド、ナトリムエトキシド等の有機金属化合物等の
系に溶解する塩基触媒や、アンバーライトIRA−40
0、アンバーライトIRA−45(以上、ローム・アン
ド・ハース社製)等の陰イオン交換樹脂、酸化カルシウ
ム、酸化マグネシウム等の金属酸化物等の系に不溶な塩
基触媒が挙げられる。中でも、酸触媒が好ましい。酸触
媒が好ましい理由は、共加水分解・重縮合物(a)が高
度な架橋構造をとりにくく、比較的鎖状や一部分枝状の
構造をとり易いためである。また、酸触媒の中でも系に
不溶な固体酸触媒を使用すると、共加水分解・重縮合後
にこれを容易に除去できるので好ましい。系に溶解する
触媒を使用すると、本発明の水性有機珪素樹脂組成物中
に残存するため、乳化安定性および経時安定性に劣る場
合がある。しかしながら、系に溶解する触媒であって
も、共加水分解・重縮合後中和して沈殿として生成させ
た後濾過して除去したり、イオン交換樹脂で除去するこ
とにより、本発明の水性有機珪素樹脂組成物の乳化安定
性および経時安定性を良好に維持することが可能であ
る。また、例えば、中和すると乳化剤として作用するド
デシルベンゼンスルホン酸のような酸触媒を使用する
と、中和によって触媒を物理的に除去する必要はなく、
かつ、中和後は乳化剤として使用できるため好ましい。
【0032】共加水分解・重縮合する際の反応温度およ
び時間は、シラン化合物(A)、親水性シラン化合物
(B)の種類によっても異なるが、通常、室温〜100
℃の温度で10分間〜10時間の範囲で行うと好まし
い。高温下あるいは長時間反応を行うと共加水分解・重
縮合物(a)の分子量が増大するため、例えば、土木建
築材料用吸水防止剤に使用する場合には、材料への浸透
性が低下することがある。
【0033】更に、シラン化合物(A)と親水性シラン
化合物(B)を共加水分解・重縮合する際に、一般式
(III )R6 3SiOR7 (ただし、R6 は炭素数1〜2
0の一価炭化水素基、R7 は水素原子または炭素数1〜
6のアルキル基、複数のR6 は互いに同一であっても良
く、少なくとも1つが異なっていても良い。)で示され
る末端封止シラン化合物(C)をシラン化合物(A)お
よび親水性シラン化合物(B)の合計量に対して0.1
〜20mol%以下、好ましくは1〜10mol%以下
で用いて、シラン化合物(A)および親水性シラン化合
物(B)と、末端封止シラン化合物(C)との共加水分
解・重縮合物(d)を、前記共加水分解・重縮合物
(a)として使用すると好ましい。また、シラン化合物
(A)と親水性シラン化合物(B)とを共加水分解・重
縮合して得られる共加水分解・重縮合物(a)に末端封
止シラン化合物(C)を更に共加水分解・重縮合して得
られる共加水分解・重縮合物(d)も、前記共加水分解
・重縮合物(a)として使用すると好ましい。シラン化
合物(A)と親水性シラン化合物(B)の共加水分解・
重縮合では、シラン化合物(A)および親水性シラン化
合物(B)のSi原子に有機基が結合しているため主に
直鎖状に縮合が進行し易く、その成長末端に末端封止シ
ラン化合物(C)を結合させた共加水分解・重縮合物
(d)を、前記共加水分解・重縮合物(a)の1種とし
て使用することにより経時安定性が更に優れた水性有機
珪素樹脂組成物となるためである。
【0034】ここで、前記一般式(III )中、R6 は炭
素数1〜20の一価炭化水素基ならば特に限定されず、
例えば、前記一般式(I)のR1 で例示された基が挙げ
られ、中でも、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、
特にメチル基が好ましい。炭素数が多すぎると末端封止
シラン化合物(C)の反応性が低下して、シラン化合物
(A)、親水性シラン化合物(B)あるいはこれらの共
加水分解・重縮合物(a)と反応しにくくなるからであ
る。
【0035】前記一般式(III )中、R7 は水素原子ま
たは炭素数1〜6のアルキル基ならば特に限定されず、
炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、前記一般
式(I)のR2 で例示された基が挙げられ、中でもメチ
ル基またはエチル基が好ましい。炭素数3以上になると
シラン化合物(A)、親水性シラン化合物(B)あるい
はこれらの共加水分解・重縮合物(a)と反応しにくく
なるからである。
【0036】このような末端封止シラン化合物(C)の
具体例としては、例えば、トリメチルメトキシシラン、
トリメチルエトキシシラン、ジメチルエチルメトキシシ
ラン、ジメチルフェニルメトキシシラン、トリメチルシ
ラノール、トリフェニルシラノール等が挙げられ、これ
ら末端封止シラン化合物(C)は1種または2種以上を
使用しても良い。
【0037】このようにして得られた共加水分解・重縮
合物(a)の構造は特に限定されないが、プラスチック
フィルム、繊維、紙、ガラス等の表面処理剤や土木建築
材料用吸水防止剤としては、鎖状や一部分岐状が好まし
い。本発明の水性有機珪素樹脂組成物に含まれる共加水
分解・重縮合物(a)の数平均分子量は、特に限定され
ないが、300〜50000が好ましく、更に好ましく
は300〜10000、より一層好ましくは400〜5
000の範囲である。数平均分子量が小さすぎると揮発
性が高くなり撥水性や吸水防止性が低下する場合があ
り、数平均分子量が大きすぎると特に土木建築材料用吸
水防止剤に使用する場合に材料への浸透性が悪くなる傾
向がある。特に後述の土木建築材料用吸水防止剤として
は、共加水分解・重縮合物(a)の数平均分子量は、4
00〜5000が好ましく、400〜2000の範囲が
最も好ましい。
【0038】また、得られた共加水分解・重縮合物
(a)または共加水分解・重縮合物(d)中に、使用し
たシラン化合物(A)、親水性シラン化合物(B)ある
いは末端封止シラン化合物(C)の未反応物や加水分解
物が、合計で共加水分解・重縮合物(a)または共加水
分解・重縮合物(d)に対して30wt%以下、好まし
くは20wt%、更に好ましくは10wt%以下残存し
ていても良い。
【0039】ノニオン性乳化剤(b)は、本発明の水性
有機珪素樹脂組成物において、前記共加水分解・重縮合
物(a)を水中で乳化するために必要なものである。ア
ニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、両性乳化剤のいず
れの乳化剤でも共加水分解・重縮合物(a)を乳化可能
であるが、本発明の水性有機珪素樹脂組成物の乳化安定
性や経時安定性および撥水性や吸水防止性等がノニオン
性乳化剤と比較すると低下するため好ましくない。
【0040】このようなノニオン性乳化剤(b)は、親
水基が非イオン性のものであれば、特に限定はなく、そ
の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリ
ルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリ
オキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレ
ンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェ
ニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエー
テル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、
ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル等のポリオ
キシエチレンアルキルエーテル類やポリオキシエチレン
アルキルアリルエーテル類、ソルビタンモノラウレー
ト、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステ
アレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモ
ノオレート、ソルビタントリオレート、ソルビタンセス
キオレエート、ソルビタンジステアレート等のソルビタ
ン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモ
ノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパル
ミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレ
ート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレー
ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリ
オキシエチレンソルビタントリオレート、テトラオレイ
ン酸ポリオキシエチレンソルビット等のポリオキシエチ
レンソルビタン脂肪酸エステル類やポリオキシエチレン
ソルビトール脂肪酸エステル類、グリセロールモノステ
アレート、グリセロールモノオレート、モノグリセライ
ドステアリン系、モノグリセライドオレイン系、モノグ
リセライドステアリン・オレイン系等のグリセリン脂肪
酸エステル類、ポリエチレングリコールモノラウレー
ト、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエ
チレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコ
ールモノオレート等のポリオキシエチレン脂肪酸エステ
ル類、ジメチルシロキサンの側鎖や末端をポリアルキレ
ンオキシドで変性したジメチルシロキサン共重合体、ポ
リオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリ
マー、ポリビニルアルコール、セルロース類、レシチ
ン、ポリオキシエチレンアルキルアミンエーテル、脂肪
酸ジエタノールアミド、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げ
られ、これらノニオン性乳化剤(b)の1種または2種
以上を使用してもよい。
【0041】前記共加水分解・重縮合物(a)を水中に
乳化するに際して、本発明の水性有機珪素樹脂組成物の
乳化安定性、経時安定性および吸水防止性、撥水性を特
に良好にする乳化剤(b)としては、ポリオキシエチレ
ンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレンソル
ビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビト
ール脂肪酸エステル類およびジメチルシロキサン共重合
体から選ばれる少なくとも1種以上であり、中でもポリ
オキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキ
シエチレンソルビトール脂肪酸エステル類およびジメチ
ルシロキサン共重合体から選ばれる少なくとも1種以上
が好ましい。
【0042】ノニオン性乳化剤のHLBとしては特に限
定されないが、HLB6〜15が好ましく、HLB8〜
13がより好ましく、HLB9〜11の範囲がより一層
好ましく、HLBの異なる2種以上を混合使用しても良
い。またHLB6未満あるいはHLB15を超えても使
用可能であるが、それらを混合して上記HLBの範囲内
にして使用するのが好ましい。
【0043】また、本発明の水性有機珪素樹脂組成物
は、その撥水性、吸水防止性を低下させない程度に、ア
ニオン性、カチオン性、両性あるいはアニオンノニオン
性の乳化剤を存在させても良く、その量は上記のノニオ
ン性乳化剤(b)に対して20wt%以下であり、前記
共加水分解・重縮合物(a)の乳化安定性を高めるため
に、特にスルホン酸型のアニオン性乳化剤またはアニオ
ンノニオン性乳化剤を、ノニオン性乳化剤(b)に対し
て20wt%以下、好ましくは10wt%以下共存させ
ると好ましい。
【0044】なお、ノニオン性乳化剤(b)は、前記共
加水分解・重縮合物(a)や水(c)と均一に混じり合
うのが好ましく、水で希釈しても相分離しないのが良
い。また、本発明の水性有機珪素樹脂組成物の乳化安定
性、経時安定性および吸水防止性、撥水性を特に良好に
するノニオン性乳化剤として、主鎖がビニル系ポリマー
からなり、主鎖の末端および/または側鎖にアルコキシ
シリル基を少なくとも1個含有する樹脂において、前記
主鎖の末端および/または側鎖には、炭素数8以上のア
ルキル基とポリアルキレンオキシド基をもそれぞれ少な
くとも1個含有するアルコキシシリル基含有樹脂が好ま
しい。
【0045】以下では、このアルコキシシリル基含有樹
脂について詳しく説明する。アルコキシシリル基含有樹
脂は、主鎖がビニル系ポリマーからなっている。ここ
に、主鎖がビニル系ポリマーとは−C−C−結合からな
る主鎖であることを意味する。アルコキシシリル基含有
樹脂は、このような主鎖の末端および/または側鎖に、
1分子あたり少なくとも1個のアルコキシシリル基を有
するとともに、炭素数8以上のアルキル基とポリアルキ
レンオキシド基をも1分子あたり少なくとも1個有す
る。
【0046】アルキル基はアルコキシシリル基含有樹脂
において疎水性を示す部分であり、後述するアルコキシ
シリル基を水から保護する基であるとともに、アルコキ
シシリル基含有樹脂を土木建築材料用吸水防止剤の一成
分として使用する場合には、吸水防止性や撥水性を付与
する基である。アルキル基は炭素数8以上のアルキル基
であれば、特に限定されない。アルキル基が炭素数12
以上のアルキル基であると、水からアルコキシシリル基
をより効果的に保護することが可能であり、その加水分
解・重縮合、特に重縮合を抑制できる。またアルコキシ
シリル基含有樹脂をそれ単独または他のノニオン性乳化
剤と併用して使用すると吸水防止性および撥水性が大き
くなり好適である。
【0047】炭素数8以上のアルキル基の具体例として
は、例えば、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニ
ル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、ペンタデ
シル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ベヘニル基
等が挙げられ、これらの2種以上の基が樹脂に含まれて
いても良い。ポリアルキレンオキシド基はアルコキシシ
リル基含有樹脂において親水性を示す部分であり、特に
限定はない。ポリアルキレンオキシド基がエチレンオキ
シドの繰り返し単位数3以上のポリアルキレンオキシド
基であると、親水性が高くなり好ましい。
【0048】ポリアルキレンオキシド基の具体例として
は、例えば、ポリエチレンオキシド基、ポリプロピレン
オキシド基、ポリテトラメチレンオキシド基あるいはポ
リ(エチレンオキシド−プロピレンオキシド)のような
異なる2種以上のアルキレンオキシド単位が規則的にま
たは不規則的に結合した基等が挙げられ、これらの2種
以上の基が樹脂に含まれていても良い。
【0049】アルコキシシリル基は無機素材と結合しう
る基であり、特に限定はない。炭素数1〜6、好ましく
は炭素数1〜2のアルコキシ基を有するアルコキシシリ
ル基は、その加水分解・重縮合速度が速く、無機素材と
の結合性が高まるため好ましい。特にトリアルコキシシ
リル基は、無機素材との結合点が多いため好ましい。ア
ルコキシシリル基の具体例としては、例えば、トリメト
キシシリル基、トリエトキシシリル基、トリプロポキシ
シリル基、トリブトキシシリル基、トリペントキシシリ
ル基、トリヘトキシシリル基、ジメトキシエトキシシリ
ル基、ジメトキシメチルシリル基、ジメトキシエチルシ
リル基、ジメトキシプロピルシリル基、ジメトキシブチ
ルシリル基、ジメトキシフェニルシリル基、ジエトキシ
メチルシリル基、ジエトキシエチルシリル基、ジエトキ
シプロピルシリル基、ジエトキシブチルシリル基、ジエ
トキシフェニルシリル基、ジプロポキシメチルシリル
基、ジプロポキシエチルシリル基、ジプロポキシプロピ
ルシリル基、ジプロポキシブチルシリル基、ジプロポキ
シフェニルシリル基、メトキシエトキシメチルシリル
基、メトキシジメチルシリル基、メトキシジエチルシリ
ル基、メトキシジプロピルシリル基、メトキシジブチル
シリル基、メトキシジフェニルシリル基、エトキシジメ
チルシリル基、エトキシジエチルシリル基、エトキシジ
プロピルシリル基、エトキシジブチルシリル基、エトキ
シジフェニルシリル基、プロポキシジメチルシリル基、
プロポキシジエチルシリル基、プロポキシジプロピルシ
リル基、プロポキシジブチルシリル基、プロポキシジフ
ェニルシリル基、メトキシメチルフェニルシリル基、エ
トキシメチルエチルシリル基、エトキシメチルフェニル
シリル基等が挙げられ、これらの2種以上の基が樹脂に
含まれていても良い。
【0050】アルコキシシリル基含有樹脂は水中でもア
ルコキシシリル基の加水分解・重縮合、特に重縮合しに
くく安定である。これは、アルコキシシリル基含有樹脂
を水と混合した場合、水中においてポリアルキレンオキ
シド基が水に相溶し、アルキル基はアルコキシシリル基
の加水分解・重縮合、特に重縮合を抑制し安定化させる
ため、水中で均一に溶解または分散することができる。
【0051】アルコキシシリル基含有樹脂を製造する方
法は特に限定されない。例えば、下記のアルキル基含有
ビニル系モノマーと下記のポリアルキレンオキシド基含
有ビニル系モノマーと下記のアルコキシシリル基含有ビ
ニル系モノマーとを共重合してなるアルコキシシリル基
含有樹脂は、水中でもアルコキシシリル基が特に安定に
存在できうる点で好ましく、容易に且つ再現性良くしか
も安価に得られる。
【0052】アルキル基含有ビニル系モノマー:アルキ
ル(メタ)アクリレート(ただし、アルキル基は炭素数
8以上)ポリアルキレンオキシド基含有ビニル系モノマ
ー:ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートお
よびアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アク
リレートから選ばれる少なくとも1種のモノマーアルコ
キシシリル基含有ビニル系モノマー:(メタ)アクリロ
キシアルキルトリアルコキシシラン、(メタ)アクリロ
キシアルキルジアルコキシアルキルシラン、ビニルトリ
アルコキシシランおよびビニルジアルコキシアルキルシ
ランから選ばれる少なくとも1種のモノマー上記アルキ
ル基含有ビニル系モノマーはアルキル(メタ)アクリレ
ート(但しアルキル基の炭素数は8以上)であれば特に
限定されないが、好ましくはアルキル基の炭素数が12
以上のモノマーである。アルキル基の具体例としては、
例えば、上述のアルキル基が挙げられ、アルキル基含有
ビニル系モノマーの具体例としては、例えば、オクチル
(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)ア
クリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メ
タ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ト
リデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)
アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オ
クタデシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)ア
クリレート等が挙げられる。
【0053】上記ポリアルキレンオキシド基含有ビニル
系モノマーはポリアルキレングリコール(メタ)アクリ
レートおよびアルコキシポリアルキレングリコール(メ
タ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種以上のモ
ノマーであれば特に限定はなく、エチレンオキシドの繰
り返し単位の数が3以上のポリエチレングリコール(メ
タ)アクリレートが好ましい。
【0054】アルキレンオキシド基の具体例としては、
例えば、上述したアルキレンオキシド基が挙げらる。ポ
リアルキレンオキシド基含有ビニル系モノマーの具体例
としては、例えば、ポリエチレングリコール(メタ)ア
クリレート(エチレンオキシドの繰り返し単位の数が1
〜20の範囲にある)、メトキシポリエチレングリコー
ル(メタ)アクリレート(エチレンオキシドの繰り返し
単位の数が1〜100の範囲にある)、ポリプロピレン
グリコール(メタ)アクリレート(プロピレンオキシド
の繰り返し単位の数が1〜20の範囲にある)、ポリエ
チレングリコールポリプロピレングリコール(メタ)ア
クリレート(エチレンオキシドの繰り返し単位の数が1
〜20の範囲にあり、プロピレンオキシドの繰り返し単
位の数が1〜20の範囲にある)、ポリエチレングリコ
ールポリテトラメチレングリコール(メタ)アクリレー
ト(エチレンオキシドの繰り返し単位の数が1〜20の
範囲にあり、テトラメチレンレンオキシドの繰り返し単
位の数が1〜20の範囲にある)、ポリプロピレングリ
コールポリテトラメチレングリコール(メタ)アクリレ
ート(プロピレンオキシドの繰り返し単位の数が1〜2
0の範囲にあり、テトラメチレンレンオキシドの繰り返
し単位の数が1〜20の範囲にある)等が挙げられる。
【0055】上記アルコキシシリル基含有ビニル系モノ
マーは、(メタ)アクリロキシアルキルトリアルコキシ
シラン、(メタ)アクリロキシアルキルジアルコキシア
ルキルシラン、ビニルトリアルコキシシランおよびビニ
ルジアルコキシアルキルシランから選ばれる少なくとも
1種以上のモノマーであれば特に限定されないが好まし
くはアルコキシ基の炭素数が1〜6、特に好ましいのは
炭素数が1〜2の範囲にあるモノマーである。上記モノ
マーの中でも、(メタ)アクリロキシアルキルトリアル
コキシシラン、ビニルトリアルコキシシランが好まし
い。アルコキシシリル基含有ビニル系モノマーの具体例
としては、例えば、(メタ)アクリロキシプロピルトリ
メトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリエ
トキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリプロ
ポキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルジメトキ
シメチルシラン、(メタ)アクリロキシプロピルジエト
キシメチルシラン、(メタ)アクリロキシプロピルジプ
ロポキシメチルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビ
ニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラ
ン、ビニルジメトキシメチルシラン等が挙げられる。
【0056】上記アルキル基含有ビニル系モノマー、ポ
リアルキレンオキシド基含有ビニル系モノマーおよびア
ルコキシシリル基含有ビニル系モノマーは、得られるア
ルコキシシリル基含有樹脂1分子中にアルキル基、ポリ
アルキレンオキシド基およびアルコキシシリル基が各々
1個以上含有すれば、任意の割合で使用できる。好まし
くはアルキル基含有ビニル系モノマーXM、ポリアルキ
レンオキシド基含有ビニル系モノマーYMおよびアルコ
キシシリル基含有ビニル系モノマーZMのモル比が、X
M:YM:ZM=0.1〜20:0.1〜20:1の範
囲であり、XM:YM:ZM=0.3〜10:0.3〜
10:1の範囲で使用することがより一層好ましい。ア
ルキル基含有ビニル系モノマーXMが少なすぎたり、ポ
リアルキレンオキシド基含有ビニル系モノマーYMが多
すぎたりすると、アルコキシシリル基含有ビニル系モノ
マーZM中のアルコキシシリル基の加水分解・重縮合、
特に重縮合を抑制できにくくなくなり、逆にアルキル基
含有ビニル系モノマーXMが多すぎたり、ポリアルキレ
ンオキシド基含有ビニル系モノマーYMが少なすぎたり
すると、水中で均一に溶解または分散できにくくなって
アルコキシシリル基含有樹脂が沈殿となって析出し易く
なる傾向がある。
【0057】アルキル基含有ビニル系モノマー、ポリア
ルキレンオキシド基含有ビニル系モノマーおよびアルコ
キシシリル基含有ビニル系モノマーを共重合させる方法
は、従来公知の方法で共重合させることができ、ラジカ
ル重合開始剤の存在下、バルク重合、溶液重合、懸濁重
合、乳化重合等のいずれの方法を用いても良い。しかし
ながら、溶液重合以外の方法では、高分子量化するため
溶液重合で共重合させるのが好ましい。
【0058】ラジカル重合開始剤としては、例えば、従
来公知の開始剤を使用することができる。開始剤の種類
は限定されないが、好ましくはアゾ化合物、過酸化物等
から選ばれる少なくとも1種の化合物である。上記のラ
ジカル重合開始剤の使用量も、特に限定されないが、多
量に使用すると発熱量が多くなって反応の制御が困難と
なる。一方、少量使用の場合には高分子量化し易い。好
ましくは、アルキル基含有ビニル系モノマー、ポリアル
キレンオキシド基含有ビニル系モノマーおよびアルコキ
シシリル基含有ビニル系モノマーの合計量に対して0.
5〜7wt%、更に好ましくは1〜5wt%の範囲で使
用するのがよい。
【0059】溶液重合に用いる溶媒は、アルキル基含有
ビニル系モノマー、ポリアルキレンオキシド基含有ビニ
ル系モノマー、アルコキシシリル基含有ビニル系モノマ
ーおよびラジカル重合開始剤が溶解する溶媒であれば特
に限定されない。具体例としては、例えば、ケトン類、
エステル類、芳香族炭化水素類、エーテル類、アルコー
ル類、ハロゲン化炭化水素類等が挙げられ、いずれか1
種類を単独で使用してもよく、2種類以上の溶媒の混合
溶媒で使用されたりする。
【0060】また共重合させる際の温度は、重合方法や
使用するラジカル重合開始剤によって適宜選択可能であ
るが、重合反応の制御を容易にするために、30〜20
0℃、好ましくは50〜150℃の範囲である。共重合
の際に、共重合可能な他のビニル系モノマーを使用して
共重合しても良く、また連鎖移動剤や分子量調節剤、界
面活性剤を適宜使用してもよい。重合時間も特に限定は
なく、例えば、生産性の観点からは1〜12時間とする
と好ましい。
【0061】また、アルコキシシリル基含有樹脂を製造
する他の方法としては、例えば、上記のアルキル基含有
ビニル系モノマー、ポリアルキレンオキシド基含有ビニ
ル系モノマーおよびカルボキシル基含有ビニル系モノマ
ー(例えば、(メタ)アクリル酸等)を予め上述したよ
うに共重合させた後、得られた共重合体中のカルボキシ
ル基とエポキシ基含有アルコキシシラン(例えば、γ−
グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等)を反応さ
せて、アルコキシシリル基含有樹脂を製造することもで
きる。このように予め、ビニル系ポリマーを合成し、そ
の後、得られたビニル系ポリマー中の官能基と反応する
官能基を有し、かつ、アルキル基および/またはアルコ
キシシリル基および/またはポリアルキレンオキシド基
を有する化合物と、ビニル系ポリマーを反応させて本発
明のアルコキシシリル基含有樹脂を製造することもでき
る。
【0062】アルコキシシリル基含有樹脂1分子中のア
ルキル基、ポリアルキレンオキシド基およびアルコキシ
シリル基の数は、アルコキシシリル基含有樹脂1分子中
に各々1個以上含有しておれば特に限定されるものでは
ないが、アルキル基Xとポリアルキレンオキシド基Yの
アルコキシシリル基Zに対する個数の比が、X:Y:Z
=0.1〜20:0.1〜20:1の範囲にある樹脂が
好ましく、X:Y:Z=0.3〜10:0.3〜10:
1の範囲にある樹脂がより一層好ましい。アルキル基X
が少なすぎたり、ポリアルキレンオキシド基Yが多すぎ
ると、アルコキシシリル基Zの加水分解・重縮合を抑制
できにくくなくなり、逆にアルキル基Xが多すぎたり、
ポリアルキレンオキシド基Yが少なすぎると、水中で均
一に溶解または分散できにくくなって樹脂が沈殿となっ
て析出し易くなる傾向がある。
【0063】アルコキシシリル基含有樹脂の数平均分子
量は、特に限定されないが、600〜50000が好ま
しく、更に好ましくは700〜10000、より一層好
ましくは800〜5000の範囲である。数平均分子量
が小さすぎると、アルキル基、ポリアルキレンオキシド
基およびアルコキシシリル基の内の一部の基が含有され
ない樹脂が多量に存在する場合があり、数平均分子量が
大きすぎると特に後述の土木建築材料用吸水防止剤に使
用する場合に材料への浸透性が悪くなる傾向がある。特
に土木建築材料用吸水防止剤としては数平均分子量は6
00〜4000の範囲が最も好ましい。
【0064】ノニオン性乳化剤(b)として、前記アル
コキシシリル基含有樹脂と下記のノニオン性乳化剤群か
ら選ばれる少なくとも1種のノニオン性乳化剤とを併用
すると好ましい。 ノニオン性乳化剤群:ポリオキシエチレンアルキルエー
テル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル
類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン
ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソル
ビトール脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル
類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、ジメチルシ
ロキサンの側鎖や末端をポリアルキレンオキシドで変性
したジメチルシロキサン共重合体。
【0065】上記ノニオン性乳化剤群として、その具体
例としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエー
テル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシ
エチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレ
イルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエ
ーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、
ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオ
キシエチレン高級アルコールエーテル等のポリオキシエ
チレンアルキルエーテル類やポリオキシエチレンアルキ
ルアリルエーテル類、ソルビタンモノラウレート、ソル
ビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレー
ト、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレ
ート、ソルビタントリオレート、ソルビタンセスキオレ
エート、ソルビタンジステアレート等のソルビタン脂肪
酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウ
レート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテー
ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、
ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリ
オキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエ
チレンソルビタントリオレート、テトラオレイン酸ポリ
オキシエチレンソルビット等のポリオキシエチレンソル
ビタン脂肪酸エステル類やポリオキシエチレンソルビト
ール脂肪酸エステル類、グリセロールモノステアレー
ト、グリセロールモノオレート、モノグリセライドステ
アリン系、モノグリセライドオレイン系、モノグリセラ
イドステアリン・オレイン系等のグリセリン脂肪酸エス
テル類、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリ
エチレングリコールモノステアレート、ポリエチレング
リコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノ
オレート等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、ジ
メチルシロキサンの側鎖や末端をポリアルキレンオキシ
ドで変性したジメチルシロキサン共重合体が挙げられ
る。
【0066】上記ノニオン性乳化剤群の中でも、ポリオ
キシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシ
エチレンソルビトール脂肪酸エステル類およびジメチル
シロキサンの側鎖や末端をポリアルキレンオキシドで変
性したジメチルシロキサン共重合体選ばれる少なくとも
1種のノニオン性乳化剤とアルコキシシリル基含有樹脂
とを併用するとさらに好ましい。
【0067】アルコキシシリル基含有樹脂と併用される
上記ノニオン性乳化剤のHLBは6〜15が好ましく、
HLB8〜13がより好ましく、HLB9〜11の範囲
がより一層好ましい。ノニオン性乳化剤群と併用される
アルコキシシリル基含有樹脂は、上記に説明したもので
あれば、特に限定はないが、アルコキシシリル基含有樹
脂中のアルキル基が炭素数12以上のアルキル基であ
り、ポリアルキレンオキシド基がエチレンオキシドの繰
返し単位数3以上のポリアルキレンオキシド基であり、
アルコキシシリル基が炭素数1〜6のアルコキシ基を有
するアルコキシシリル基であるものが好ましい。さらに
好ましくは、下記のアルキル基含有ビニル系モノマーと
下記のポリアルキレンオキシド基含有ビニル系モノマー
と下記のアルコキシシリル基含有ビニル系モノマーとを
共重合してなるアルコキシシリル基含有樹脂である。
【0068】アルキル基含有ビニル系モノマー:アルキ
ル(メタ)アクリレート(ただし、アルキル基は炭素数
12以上) ポリアルキレンオキシド基含有ビニル系モノマー:ポリ
エチレングリコール(メタ)アクリレート(ただしエチ
レンオキシドの繰り返し単位数3以上) アルコキシシリル基含有ビニル系モノマー:(メタ)ア
クリロキシアルキルトリアルコキシシランおよび/また
はビニルトリアルコキシシラン ノニオン性乳化剤(b)として、アルコキシシリル基含
有樹脂とノニオン性乳化剤群から選ばれる少なくとも1
種のノニオン性乳化剤とを併用する場合の配合割合は、
特に限定はないが、アルコキシシリル基含有樹脂の配合
量1に対して、ノニオン性乳化剤群から選ばれる少なく
とも1種のノニオン性乳化剤の配合量を1/9〜9とす
るのが好ましく、1/5〜2とするのがより好ましく、
1/3〜1/2とするのがさらに好ましい。
【0069】前記共加水分解・重縮合物(a)、ノニオ
ン性乳化剤(b)および水(c)の配合割合は特に限定
されないが、共加水分解・重縮合物(a)、ノニオン性
乳化剤(b)および水(c)の合計量に対して、共加水
分解・重縮合物(a)が1〜40wt%の範囲が好まし
く、3〜30wt%の範囲が更に好ましく、5〜20w
t%の範囲が一層好ましい。またノニオン性乳化剤
(b)は共加水分解・重縮合物(a)に対して0.1〜
20wt%が好ましく、1〜10wt%が更に好まし
く、2〜8wt%が最も好ましい。共加水分解・重縮合
物(a)が少なすぎると、塗布する場合に、1回の塗布
では材料に撥水性や吸水防止性を付与できにくく、塗布
回数を増やす必要がある。多すぎると粘度が高くなって
材料への浸透性が悪くなる傾向がある。またノニオン性
乳化剤(b)が少なすぎると、本発明の水性有機珪素樹
脂組成物の乳化安定性や経時安定性が低下し、多すぎる
と撥水性や吸水防止性が低下する。
【0070】本発明の水性有機珪素樹脂組成物のpHを
3〜12にすると、経時安定性に優れる。好ましくは4
〜10、更に好ましくは5〜9である。また、本発明の
水性有機珪素樹脂組成物中に、従来公知の乳化助剤、増
粘剤、pH緩衝剤、シリカゾル、アルミナゾル、水溶性
ポリマー、有機系乳化重合物等を添加しても良くこれら
に限定されない。本発明の水性有機珪素樹脂組成物中に
は、防カビ剤、防藻剤、防蟻剤等の添加剤を混合しても
良くこれらに限定されない。
【0071】本発明の水性有機珪素樹脂組成物を得るた
めに、上記共加水分解・重縮合物(a)、ノニオン性乳
化剤(b)および水(c)を乳化する方法としては、一
般の乳化する方法が用いられ、特に限定はない。例え
ば、ホモミキサー、ウルトラディスパーサー、高圧ホモ
ジナイザー等で高速攪拌しながら、水(c)に共加水分
解・重縮合物(a)とノニオン性乳化剤(b)を別々ま
たは混合した液を少しずつ添加したり、ノニオン性乳化
剤(b)と水(c)の混合液に共加水分解・重縮合物
(a)を少しずつ添加したり、あるいはこれらの逆を行
うことにより本発明の水性有機珪素樹脂組成物が得られ
る。
【0072】また、共加水分解・重縮合物(a)を予め
用意せずに、シラン化合物(A)、親水性シラン化合物
(B)や末端封止シラン化合物(C)の共加水分解・重
縮合反応と上記乳化を同時に行っても良い。例えば、好
ましくは末端封止シラン化合物(C)を含むシラン化合
物(A)および親水性シラン化合物(B)を、水(c)
に加え、更に、ノニオン性乳化剤(b)を少しずつ、徐
々に添加しながら、乳化したり、あるいはその逆を行う
ことが挙げられる。その際に共加水分解・重縮合速度を
速めるために触媒として上記例示した触媒を共存させて
も良く、中でもドデシルベンゼンスルホン酸のような後
で中和することにより乳化剤として作用するものが好ま
しく、共加水分解・重縮合反応と乳化を同時に行った
後、アンモニア水や水酸化ナトリウムの水溶液で中和す
る方法が採られる。共加水分解・重縮合反応と乳化を同
時に行うとより微細なエマルジョンが得られ易い。
【0073】本発明の水性有機珪素樹脂組成物は土木建
築材料用吸水防止剤として好適に使用される。上記土木
建築材料は、特に限定されないが、例えば、打放しコン
クリート、プレキャストコンクリート、軽量気泡コンク
リート(ALC)、軽量コンクリート、セメント板、押
出しセメント板、石綿セメント板、パルプセメント板、
木毛セメント板、ガラス繊維入りセメント板、カーボン
繊維入りセメント板、モルタル、目地モルタル、石膏ボ
ード、石膏プラスター、ドロマイトプラスター、ハード
ボード、珪酸カルシウム板、しっくい、ブロック、レン
ガ、タイル、瓦、スレート、天然石、人工石、ガラスウ
ール、ロックウール、セラミックファイバー、木材、合
板等が挙げられる。
【0074】土木建築材料に使用する方法としては特に
限定されないが、好ましい方法としては、例えば、上記
材料へローラー、刷毛、スプレー等を用い塗布したり、
場合によっては含浸、浸漬することが挙げられる。この
際、本発明の吸水防止剤は、前記共加水分解・重縮合物
(a)が、共加水分解・重縮合物(a)、ノニオン性乳
化剤(b)および水(c)の合計量に対して3〜30w
t%、好ましくは5〜20wt%の範囲に水で希釈して
使用される。共加水分解・重縮合物(a)が少なすぎる
と、塗布、含浸あるいは浸漬等の回数を増やす必要があ
り、多すぎると材料への浸透性が悪くなる。また、土木
建築材料に使用する方法の他の好ましい例としては、例
えば上記材料を製造する際に添加することが挙げられ
る。例えば、モルタルではセメント、砂、水等を混和調
製する際に本発明の吸水防止剤を添加した後成形した
り、コンクリートではセメント、細骨材、粗骨材、減水
剤、水等を混練する際に本発明の吸水防止剤を添加した
後成形することが挙げられ、他の材料でもこれらと同様
に成形する前や成形する際に添加することが挙げられ
る。
【0075】このようにして本発明の吸水防止剤は、更
に加水分解・縮合反応により材料表面および内部におい
て強固に且つ優れた吸水防止層や撥水層を形成し、雨
水、汚水、酸性雨等による材料の劣化や汚れのしみこ
み、海(塩)水による塩害、寒冷地における凍結融解作
用によるひび割れ、材料からの塩の溶出による白華等の
解決に有用であり、水蒸気を放出する機能も有するため
炭酸ガスによる中性化、骨材に含まれるシリカとアルカ
リによるアルカリ骨材反応の防止等にも優れている。更
に種々の塗料や仕上げ材の防水プライマーとしても有用
である。
【0076】
【作用】本発明によれば、特定のシラン化合物(A)と
特定の親水性シラン化合物(B)を共加水分解・重縮合
することにより得られる共加水分解・重縮合物(a)、
特定の乳化剤および水から成る水性有機珪素樹脂組成物
を提供できる。また、この水性有機珪素樹脂組成物は、
長期間乳化安定性および経時安定性が良好であり、且つ
撥水性および吸水防止性に優れている。
【0077】特に、特定のシラン化合物(A)を使用す
ることによって、共加水分解・重縮合物(a)に撥水性
および吸水防止性を付与させることができ、また、特定
の親水性シラン化合物(B)の使用により共加水分解・
重縮合物(a)に適度の親水性を付与させることができ
るため、乳化安定性および経時安定性に特に優れてい
る。特定の親水性シラン化合物(B)の中でも、オキシ
ラン基を有するものは、容易に親水性を付与させること
ができるため、乳化安定性および経時安定性に最も優れ
ている。
【0078】更に、シラン化合物(A)と親水性シラン
化合物(B)とを共加水分解・重縮合させる際に、末端
封止シラン化合物(C)を使用すると、シラン化合物
(A)や親水性シラン化合物(B)のSi原子に有機基
が結合し、主に直鎖状に縮合が進行し易くなっており、
その成長末端に末端封止シラン化合物(C)を結合させ
ることができるため、シラン化合物(A)および親水性
シラン化合物(B)と、末端封止シラン化合物(C)と
の共加水分解・重縮合物(d)を使用すると、経時安定
性が一層向上する。
【0079】本発明の水性有機珪素樹脂組成物は、プラ
スチックフィルム、繊維、紙、ガラス等の有機または無
機素材から成る種々の材料の表面処理剤として有用であ
り、特に土木建築材料用吸水防止剤として有用である。
【0080】
【実施例】以下に本発明の具体的な実施例および比較例
を示すが、本発明は下記実施例に限定されない。「%」
は特に限定のない限り「wt%」を示す。「X基」は
「アルキル基」を、「Y基」は「ポリアルキレンオキシ
ド基」を、「Z基」は「アルコキシシリル基」を示す。
【0081】−製造例1− 容積200mlの四つ口フラスコにイソプロピルアルコ
ール41g入れ、攪拌しながらN2 ガスをゆっくりと流
し、窒素雰囲気下で80℃まで加熱した。滴下ロート
に、アルキル基含有ビニル系モノマーとしてラウリルア
クリレートとトリデシルアクリレートの混合物30g
(平均分子量247、0.121mol)、ポリアルキ
レンオキシド基含有ビニル系モノマーとしてポリエチレ
ングリコールメタクリレート30g(エチレンオキシド
の繰り返し単位の数が7〜9、平均分子量438、0.
068mol)、アルコキシシリル基含有ビニル系モノ
マーとしてγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシ
ラン8g(分子量248、0.032mol)およびイ
ソプロピルアルコール27gを混合したモノマー溶液を
入れ、別の滴下ロートにn−ドデシルメルカプタン(D
M)5.4gを入れた。またラジカル重合開始剤として
2,2′−アゾビスイソブチロニトリル0.045gを
メタノール4.2gに溶解した開始剤溶液を用意した。
上記80℃に加熱された四つ口フラスコ中のイソプロピ
ルアルコールに開始剤溶液の半分量を入れ、5分後にモ
ノマー溶液の10%とDMの10%を滴下し重合を開始
した。発熱を確認後、5分間攪拌を続け、温度が82℃
になってからモノマー溶液を2時間かけて滴下した。ま
た、モノマー溶液の滴下の間に残りのDMを12回に分
けて滴下した。モノマー溶液を滴下開始してから1時間
後に開始剤溶液の残りの半分量を入れ、モノマー溶液の
滴下終了後開始剤溶液の残りをすべて入れた。モノマー
溶液の滴下終了後温度を87℃まで昇温しそのまま1時
間攪拌を続けた。室温まで冷却後150℃で真空乾燥し
て固形分を測定したところ46.5wt%であった。次
いでイソプロピルアルコールを減圧加熱留去して樹脂
(1)を製造した。数平均分子量、X基、Y基およびZ
基の有無、ビニル系ポリマーの有無、水中分散時のZ基
の安定性について、その評価結果を表1に示す。なお、
各評価方法を以下に示す。 (数平均分子量)GPC法により、ポリスチレン換算の
数平均分子量を測定した。 (X基の確認方法)得られた樹脂を13C−NMR分析を
行い、10〜40ppm付近に現れるケミカルシフトよ
りアルキル基を確認した。 (Y基の確認方法)得られた樹脂を、13C−NMR分析
を行い40〜70ppm付近に現れるケミカルシフト
(CH2 −O)および、IR分析を行い1085〜11
50cm-1付近に現れるスペクトル(C−O−C)によ
り確認した。 (Z基の確認方法)得られた樹脂を、29Si−NMR分
析を行い−80〜−100ppm付近に現れるケミカル
シフト(Si−OR)および、該樹脂1gを1N−Na
OH水溶液50g中に入れ室温下24時間攪拌して加水
分解されて生成したアルコールをGC分析により確認し
た。なお、この時のアルコール量をZAとする。 (ビニル系ポリマーの確認方法)得られた樹脂を、IR
分析を行い1150〜1300cm-1付近に現れるスペ
クトル(−CH2 −)により確認した。 (水中分散時の安定性)得られた樹脂1gを水50g中
に入れ室温下2週間攪拌した後に加水分解されて生成し
たアルコールをGC分析により測定し、この時のアルコ
ール量をZBとする。ZB/ZAが0.5以下の時を安
定性が良好とした。 −製造例2− 容積200mlの四つ口フラスコにイソプロピルアルコ
ール40g入れ、攪拌しながらN2 ガスをゆっくりと流
し80℃まで加熱した。滴下ロートに、アルキル基含有
ビニル系モノマーとしてラウリルアクリレートとトリデ
シルアクリレートの混合物20g(平均分子量247、
0.081mol)、ポリアルキレンオキシド基含有ビ
ニル系モノマーとしてメトキシポリエチレングリコール
メタクリレート42g(エチレンオキシドの繰り返し単
位の数が9、分子量496、0.085mol)、アル
コキシシリル基含有ビニル系モノマーとしてγ−メタク
リロキシプロピルジメトキシメチルシラン3g(分子量
232、0.013mol)、ラジカル重合開始剤とし
て2,2′−アゾビスイソブチロニトリル2.5gおよ
びイソプロピルアルコール20gを混合したモノマー溶
液を用意した。上記80℃に加熱された四つ口フラスコ
中のイソプロピルアルコールにモノマー溶液を2時間か
けて滴下した。モノマー溶液の滴下終了後温度を87℃
まで昇温しそのまま1時間攪拌を続けた。室温まで冷却
後イソプロピルアルコールを減圧加熱留去して樹脂
(2)を製造した。なお、製造例1と同様にして重合後
の固形分を測定したところ47.3wt%であった。数
平均分子量、X基、Y基およびZ基の有無、ビニル系ポ
リマーの有無、水中分散時のZ基の安定性について、そ
の評価結果を表1に示す。 −製造例3− 製造例1において、アルキル基含有ビニル系モノマーと
してステアリルアクリレート22g(分子量324、
0.068mol)、ポリアルキレンオキシド基含有ビ
ニル系モノマーとしてポリエチレングリコールメタクリ
レート37g(エチレンオキシドの繰り返し単位の数が
7〜9、平均分子量438、0.084mol)、アル
コキシシリル基含有ビニル系モノマーとしてビニルトリ
メトキシシラン8g(分子量148、0.054mo
l)を用いた以外は同様にして樹脂(3)を製造した。
なお、製造例1と同様にして重合後の固形分を測定した
ところ42.8wt%であった。数平均分子量、X基、
Y基およびZ基の有無、ビニル系ポリマーの有無、水中
分散時のZ基の安定性について、その評価結果を表1に
示す。 −製造例4− 製造例1において、アルキル基含有ビニル系モノマーと
して2−エチルヘキシルアクリレート22g(分子量1
84、0.120mol)、ポリアルキレンオキシド基
含有ビニル系モノマーとしてポリエチレングリコールメ
タクリレート21g(エチレンオキシドの繰り返し単位
の数が4〜5、平均分子量284、0.074mo
l)、アルコキシシリル基含有ビニル系モノマーとして
ビニルジメトキシメチルシラン20g(分子量132、
0.152mol)、n−ドデシルメルカプタン(D
M)10.8gを用いた以外は同様にして樹脂(4)を
製造した。なお、製造例1と同様にして重合後の固形分
を測定したところ43.2wt%であった。数平均分子
量、X基、Y基およびZ基の有無、ビニル系ポリマーの
有無、水中分散時のZ基の安定性について、その評価結
果を表1に示す。
【0082】
【表1】
【0083】−実施例1− シラン化合物(A)としてヘキシルトリメトキシシラン
196.1g(0.95mol)、親水性シラン化合物
(B)としてγ−グリシドキシプロピルメチルジエトキ
シシラン12.4g(0.05mol)、末端封止シラ
ン化合物(C)としてメトキシトリメチルシラン5.2
g(0.05mol)、メタノール85.5g、純水1
2.6g(0.7mol)およびアンバーリスト15
(ローム・アンド・ハース社製)6.8gを混合し、還
流下2時間加熱し、シラン化合物(A)、親水性シラン
化合物(B)および末端封止シラン化合物(C)の共加
水分解・重縮合を行った。次に、溶媒として使用したメ
タノールおよび共加水分解・重縮合によって副生したメ
タノールやエタノールを、100℃、100mmHgの
条件下で留去した。冷却後濾過によりアンバーリスト1
5を除去し、共加水分解・重縮合物(a−1)142.
8gを得た。
【0084】共加水分解・重縮合物(a−1)の数平均
分子量はGPC分析より600であった。また、共加水
分解・重縮合物(a)以外の残存物を調べるためにGC
分析を行ったところ、ヘキシルトリメトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランおよび
メトキシトリメチルシランは、各々3.2wt%、0.
4wt%、0.1wt%含有されていた。また、メタノ
ール、エタノールはGC分析では検出されなかった。
【0085】次に、共加水分解・重縮合物(a)とし
て、共加水分解・重縮合物(a−1)51.9g(共加
水分解・重縮合物(a)純分は96.3wt%であり、
50.0gに相当)、ノニオン性乳化剤(b)としてポ
リオキシエチレンソルビタンモノオレート(花王製、商
品名「レオドールTW−O106」、HLB10.0)
1.5gを混合した液をホモジナイザーを用いて高速攪
拌しながら、純水71.6gを徐々に添加、混合して乳
化を行った。そのまま1時間高速攪拌を続け、水性有機
珪素樹脂組成物(1)(乳白色のエマルジョン)を製造
した。
【0086】吸水防止性、撥水性、浸透性、乳化安定
性、経時安定性、遮塩性、耐アルカリ性および耐候性の
評価結果を表6に示す。なお、評価方法は以下の通りで
ある。 (モルタルサンプルの調製)共加水分解・重縮合物
(a)の濃度が共加水分解・重縮合物(a)、ノニオン
性乳化剤(b)および水(c)の合計量に対して10w
t%になるように、水性有機珪素樹脂組成物を純水で希
釈し含浸液とした。この含浸液200g中に、モルタル
(5cm×5cm×1.5cm)を1分間浸漬した後、
23℃、60%RH下で1週間養生してモルタルサンプ
ルとし下記各種試験に供した。 (吸水防止性)モルタルサンプルを純水200g中に浸
漬し、7時間後に取り出し、余剰水を乾いた布で拭き取
った後に重量測定を行い、下式により吸水率を算出し
た。
【0087】吸水率(wt%)=〔(浸漬後の重量−浸
漬前の重量)/浸漬前の重量〕×100 評価基準は以下の通りである。 ◎: 吸水率が1.5wt%未満 ○: 吸水率が1.5wt%以上2.5wt%未満 △: 吸水率が2.5wt%以上3.5wt%未満 ×: 吸水率が3.5wt%以上 なお、未処理モルタルの吸水率を同様にして測定する
と、7.2wt%であった。 (撥水性)モルタルサンプルに0.5mlの水滴を落と
し、水滴の接触角を観察した。評価基準は以下の通りで
ある。
【0088】◎: 接触角大 ○: 接触角中 △: 接触角小 ×: 水滴が浸み込む (浸透性)モルタルサンプルを切断しその断面に純水を
吹き付け、撥水層の厚みより浸透深さを測定した。評価
基準は以下の通りである。
【0089】◎: 2mm以上 ○: 1mm以上2mm未満 △: 0.5mm以上1mm未満 ×: 0.5mm未満 (乳化安定性)得られた水性有機珪素樹脂組成物を50
℃で静置し二層分離の有無を観察した。評価基準は以下
の通りである。
【0090】◎: 30日以上二層分離無し ○: 20日以上二層分離無いが、30日までには二層
分離する △: 5日以上二層分離無いが、20日までには二層分
離する ×: 5日未満で二層分離する (経時安定性)得られた水性有機珪素樹脂組成物を50
℃、30日間静置し、静置前後の数平均分子量をGPC
測定(ポリスチレン換算)により評価し、下式により分
子量変化を調べた。
【0091】分子量の変化率=静置後の数平均分子量/
静置前の数平均分子量 評価基準は以下の通りである。 ◎: 2未満 ○: 2以上3未満 △: 3以上4未満 ×: 4以上 (遮塩性)モルタルサンプルを3wt%NaCl水溶液
200g中に浸漬し、7時間後に取り出し、余剰のNa
Cl水溶液を拭き取った後破断し、その断面に0.4N
のAgNO3 水溶液を吹き付け、断面の色の変化よりC
- の浸漬の程度を観察した。なお、Cl- が存在する
と淡紫色に変色し、存在しないと淡褐色に変色する。評
価基準は以下の通りである。
【0092】◎: 淡紫色に変色せず ○: 断面の周囲がわずかに淡紫色に変色 △: 断面の中心部以外は淡紫色に変色 ×: 断面全体が淡紫色に変色 (耐アルカリ性)モルタルサンプルを飽和水酸化カルシ
ウム水溶液200g中に浸漬し、7時間後に取り出し、
余剰の飽和水酸化カルシウム水溶液を拭き取った後、吸
水防止性と同様にして飽和水酸化カルシウム水溶液の吸
収率を測定した。耐アルカリ性は下式により評価した。
【0093】耐アルカリ性=飽和水酸化カルシウム水溶
液の吸収率/純水の吸水率 評価基準は以下の通りである。 ◎: 0.9未満 ○: 0.9以上0.95未満 △: 0.95以上1未満 ×: 1以上 (耐候性)モルタルサンプルをキセノンウェザーメータ
ー型促進耐候試験機を用い、500時間紫外線を照射し
て吸水防止性およびサンプル表面の着色の有無を観察し
た。
【0094】◎: 吸水率が1.5wt%未満で、着色
せず ○: 吸水率が1.5wt%以上2.5wt%未満で、
着色せず △: 吸水率が2.5wt%以上3.5wt%未満で、
着色せず ×: 吸水率が3.5wt%以上または着色(黄変) −実施例2〜5− 実施例1において、シラン化合物(A)、親水性シラン
化合物(B)および末端封止シラン化合物(C)の種類
およびその量、共加水分解・重縮合させる際の水の量を
表2に示した以外は同様にして、共加水分解・重縮合物
(a−2)〜共加水分解・重縮合物(a−5)を得た。
得られた共加水分解・重縮合物の分析した結果を表3に
示す。次に、共加水分解・重縮合物(a)、ノニオン性
乳化剤(b)の種類およびその量、水(c)の量を表4
に示した以外は、実施例1と同様にして水性有機珪素樹
脂組成物(2)〜水性有機珪素樹脂組成物(5)を製造
した。その結果を表5に示す。また、各種物性の評価結
果を表6に示す。 −実施例6− 実施例1において、シラン化合物(A)、親水性シラン
化合物(B)および末端封止シラン化合物(C)の種類
およびその量、共加水分解・重縮合させる際の水の量を
表2に示した以外は同様にして、共加水分解・重縮合物
(a−6)を得た。得られた共加水分解・重縮合物の分
析した結果を表3に示す。次に、純水71.9gをホモ
ジナイザーを用いて高速攪拌しながら、共加水分解・重
縮合物(a)として共加水分解・重縮合物(a−6)5
0.6g(共加水分解・重縮合物(a)純分は98.8
wt%であり、50.0gに相当)とノニオン性乳化剤
(b)としてテトラオレイン酸ポリオキシエチレンソル
ビート(花王製、商品名「レオドール430」、HLB
10.5)2.5gを混合した液を徐々に添加、混合し
て乳化を行った。そのまま1時間高速攪拌を続け、水性
有機珪素樹脂組成物(6)(乳白色のエマルジョン)を
製造した。その結果を表5に示す。また、各種物性の評
価結果を表6に示す。 −実施例7− 実施例1において、シラン化合物(A)、親水性シラン
化合物(B)および末端封止シラン化合物(C)の種類
およびその量、共加水分解・重縮合させる際の水の量を
表2に示した以外は同様にして、共加水分解・重縮合物
(a−7)を得た。得られた共加水分解・重縮合物の分
析した結果を表3に示す。次に、共加水分解・重縮合物
(a)、ノニオン性乳化剤(b)の種類およびその量、
水(c)の量を表4に示した以外は、実施例6と同様に
して水性有機珪素樹脂組成物(7)を製造した。その結
果を表5に示す。また、各種物性の評価結果を表6に示
す。 −実施例8− 300ppmドデシルベンゼンスルホン酸水溶液67.
8gをウルトラディスパーサーを用いて高速攪拌しなが
ら、シラン化合物(A)としてヘキシルトリメトキシシ
ラン50.0g(0.242mol)、親水性シラン化
合物(B)としてγ−グリシドキシプロピルメチルジエ
トキシシラン1.7g(0.0068mol)を混合し
た液を添加し、さらにノニオン性乳化剤(b)としてポ
リオキシエチレン硬化ヒマシ油(花王製、商品名「エマ
ノーンCH−25」、HLB10.7)2.0gを添加
して、加水分解・重縮合させながら乳化を行った。その
まま3時間高速攪拌を続けた後、高速攪拌を続けながら
20ppmNaOH水溶液128.5gを添加してドデ
シルベンゼンスルホン酸を中和し、水性有機珪素樹脂組
成物(8)(青みがかった乳白色のエマルジョン)を製
造した。なお、共加水分解・重縮合物の数平均分子量は
500であった。各種物性の評価結果を表6に示す。 −実施例9− JIS−R5210に規定する普通ポルトランドセメン
ト100重量部、セメント試験用標準砂35重量部、水
60重量部および実施例1で得られた水性有機珪素樹脂
組成物(1)10重量部を良く混合し5cm×5cm×
1.5cm角に成型した。成型後48時間経て脱型し、
その後19日間、20℃、80%RH下で養生し、更に
室温下で7日間保存した。得られたモルタルの吸水防止
性、撥水性、遮塩性、耐アルカリ性および耐候性の評価
結果を表6に示す。 −比較例1〜2− 実施例1および6において、親水性シラン化合物(B)
を用いない以外は同様にして、水性有機珪素系組成物
(C1)、水性有機珪素系組成物(C2)を得た。その
評価結果を表5〜6に示す。 −比較例3− 実施例1において、ノニオン性乳化剤(b)の代わり
に、アニオン性乳化剤であるドデシルベンゼンスルホン
酸ナトリウム(花王製、商品名「ネオペレックスF−6
5」、有効成分60%)2.5g、純水70.6gを用
いた以外は同様にして、水性有機珪素系組成物(C3)
を得た。その評価結果を表5〜6に示す。 −比較例4− 実施例1において、ノニオン性乳化剤(b)の代わり
に、カチオン性乳化剤であるラウリルトリメチルアンモ
ニウムクロライド(花王製、商品名「コータミン24
P」、有効成分27%)5.6g、純水67.5gを用
いた以外は同様にして、水性有機珪素系組成物(C4)
を得た。その評価結果を表5〜6に示す。 −比較例5− シラン化合物(A)としてヘキシルトリメトキシシラン
196.1g(0.95mol)、親水性シラン化合物
(B)としてγ−グリシドキシプロピルメチルジエトキ
シシラン12.4g(0.05mol)、末端封止シラ
ン化合物(C)としてメトキシトリメチルシラン5.2
g(0.05mol)、およびノニオン性乳化剤(b)
としてポリオキシエチレンソルビタンモノオレート(花
王製、商品名「レオドールTW−O106」、HLB1
0.0)6.4gを混合した液をホモジナイザーを用い
て高速攪拌しながら、純水314.2gを徐々に添加、
混合して乳化を行った。そのまま1時間高速攪拌を続
け、水性有機珪素系組成物(C5)を得た。その評価結
果を表5〜6に示す。 −比較例6− シラン化合物(A)としてオクチルトリエトキシシラン
262.7g(0.95mol)およびノニオン性乳化
剤(b)としてテトラオレイン酸ポリオキシエチレンソ
ルビート(花王製、商品名「レオドール430」、HL
B10.5)7.9gを混合した液をホモジナイザーを
用いて高速攪拌しながら、純水386.2gを徐々に添
加、混合して乳化を行った。そのまま1時間高速攪拌を
続け、水性有機珪素系組成物(C6)を得た。その評価
結果を表5〜6に示す。 −比較例7− 実施例1において、シラン化合物(A)としてメチルト
リメトキシシラン136.2g(1.0mol)、メタ
ノール54.5gおよび純水18.0g(1.0mo
l)を用いた以外は同様にして、共加水分解・重縮合物
(aa−7)95.7g(共加水分解・重縮合物の純分
99.1wt%)を得た。その分析結果を表3に示す。
次に、共加水分解・重縮合物(aa−7)50.5gお
よびノニオン性乳化剤(b)としてポリオキシエチレン
ソルビタンモノオレート(花王製、商品名「レオドール
TW−O106」、HLB10.0)1.5gを混合し
た液をホモジナイザーを用いて高速攪拌しながら、純水
73.0gを徐々に添加、混合して乳化を行った。その
まま1時間高速攪拌を続け、水性有機珪素系組成物(C
7)を得た。その評価結果を表5〜6に示す。 −比較例8〜9− 比較例1、比較例5において、ノニオン性乳化剤(b)
の量を各々12.5g、53.4gに代え、純水の量を
各々61.2g、267.2gに代えた以外は同様にし
て、水性有機珪素系組成物(C8)、水性有機珪素系組
成物(C9)を得た。その評価結果を表5〜6に示す。
【0095】
【表2】
【0096】
【表3】
【0097】
【表4】
【0098】
【表5】
【0099】
【表6】
【0100】−実施例10− 実施例1で得た共加水分解・重縮合物(a−1)51.
9g(純分は96.3wt%であり、50.0gに相
当)、ノニオン性乳化剤(b)として、アルコキシシリ
ル基含有樹脂である製造例1で得られた樹脂(1)5.
0gを混合した液をホモジナイザーを用いて高速攪拌し
ながら、純水68.1gを徐々に添加、混合して乳化を
行った。そのまま1時間高速攪拌を続け、水性有機珪素
樹脂組成物(10)(乳白色のエマルジョン)を製造し
た。各種物性の評価結果を表9に示す。 −実施例11〜14− 実施例2〜5で得られた共加水分解・重縮合物(a−
2)〜共加水分解・重縮合物(a−5)、アルコキシシ
リル基含有樹脂である製造例1〜4で得られた樹脂
(1)〜樹脂(4)、水(c)の種類及びその量を表7
に示した以外は、実施例10と同様にして水性有機珪素
樹脂組成物(11)〜水性有機珪素樹脂組成物(14)
を製造した。その結果を表8に示す。また、各種物性の
評価結果を表9に示す。 −実施例15− 純水64.4gをホモジナイザーを用いて高速攪拌しな
がら、実施例6で得られた共加水分解・重縮合物(a−
6)50.6g(共縮合物純分は98.8wt%であ
り、50.0gに相当)と、ノニオン性乳化剤(b)と
してアルコキシシリル基含有樹脂である製造例4で得ら
れた樹脂(4)10.0gを混合した液を徐々に添加、
混合して乳化を行った。そのまま1時間高速攪拌を続
け、水性有機珪素樹脂組成物(15)(乳白色のエマル
ジョン)を製造した。各種物性の評価結果を表9に示
す。 −実施例16− 実施例7で得られた共加水分解・重縮合物(a−7)、
ノニオン性乳化剤(b)、水(c)の種類およびその量
を表7に示した以外は、実施例15と同様にして水性有
機珪素樹脂組成物(16)を製造した。その結果を表8
に示す。また、各種物性の評価結果を表9に示す。 −実施例17− 実施例13において、純水70.1g、共加水分解・重
縮合物(a−4)50.4g、ノニオン性乳化剤(b)
として、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート
(花王製、商品名「レオドールTW−0106」、HL
B10.0)1.5gおよび樹脂(2)3.0gを使用
し、表7に示した以外は実施例13と同様にして水性有
機珪素樹脂組成物(17)を製造した。この組成物は乳
白色のエマルジョンであった。その結果を表8に示す。
また、各種物性の評価結果を表9に示す。 −比較例10− 純水180.0gをホモジナイザーを用いて高速攪拌し
ながら、製造例1において、ZMを使用しない以外は同
様にして得られた比較樹脂(10)20.0gを徐々に
混合、滴下して乳化を行った。そのまま1時間高速攪拌
を続け、比較組成物(10)を製造した。その結果を表
8に示す。また、各種物性の評価結果を表9に示す。
【0101】
【表7】
【0102】
【表8】
【0103】
【表9】
【0104】
【発明の効果】本発明は、特定のシラン化合物の加水分
解・重縮合物と特定の乳化剤と水からなる水性有機珪素
樹脂組成物を提供し、少量の乳化剤でも長期間乳化安定
性や経時安定性が良好で、且つ撥水性や吸水防止性に優
れたものである。また、本発明の水性有機珪素樹脂組成
物は、加水分解・縮合性官能基を有しているため、種々
の材料と結合可能であり、プラスチックフィルム、繊
維、紙、ガラス等の有機または無機素材からなる種々の
材料と結合し、これら材料の撥水化あるいは吸水防止化
するのに優れているため、これら材料の表面処理剤とし
て有用であり、特に、土木建築材料用吸水防止剤として
有用なものである。
【0105】本発明の土木建築材料用吸水防止剤は、こ
の土木建築材料用吸水防止剤中の水性有機珪素樹脂組成
物にある加水分解・縮合性官能基が、加水分解・重縮合
反応により材料表面および内部において強固に結合し優
れた吸水防止層や撥水層を形成することによって、雨
水、汚水、酸性雨等による材料の劣化や汚れのしみこ
み、海(塩)水による塩害、寒冷地における凍結融解作
用によるひび割れ、材料からの塩の溶出による白華等の
解決に有用であり、水蒸気を放出する機能も有するため
炭酸ガスによる中性化、骨材に含まれるシリカとアルカ
リによるアルカリ骨材反応の防止等にも優れている。更
に本発明の土木建築材料用吸水防止剤は、種々の塗料や
仕上げ材の防水プライマーとしても有用である。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I)R1 l Si(OR2 4-l
    (ただし、R1 は炭素数1〜20の一価炭化水素基、R
    2 は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基、lは1
    または2である。R1 が複数ある場合は、複数のR1
    互いに同一であっても良く、異なっていても良い。複数
    のR2 は互いに同一であっても良く、異なっていても良
    い。)で示されるシラン化合物(A)50〜99.9m
    ol%と、一般式(II)R3 m 4 n Si(OR5
    4-m-n (ただし、R3 はオキシラン基または水酸基を含
    んでなる炭素数1〜20の有機基、R4 は水素原子また
    は炭素数1〜20の一価炭化水素基、R5 は水素原子ま
    たは炭素数1〜6のアルキル基、mは1〜3の整数、n
    は0〜2の整数、ただしm+nは3以下の整数を満足す
    る。R3 、R4 またはR5 が各々複数ある場合互いに同
    一であっても良く、少なくとも1つが異なっていても良
    い。)で示される親水性シラン化合物(B)0.1〜5
    0mol%(ただし、シラン化合物(A)+親水性シラ
    ン化合物(B)=100mol%である。)との共加水
    分解・重縮合物、ノニオン性乳化剤および水からなる水
    性有機珪素樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 ノニオン性乳化剤がアルコキシシリル基
    含有樹脂であり、このアルコキシシリル基含有樹脂は、
    主鎖がビニル系ポリマーからなり、主鎖の末端および/
    または側鎖に、アルコキシシリル基を少なくとも1個含
    有するとともに、炭素数8以上のアルキル基とポリアル
    キレンオキシド基をもそれぞれ少なくとも1個含有する
    樹脂である請求項1記載の水性有機珪素樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 アルコキシシリル基含有樹脂中のアルキ
    ル基が炭素数12以上のアルキル基であり、ポリアルキ
    レンオキシド基がエチレンオキシドの繰返し単位数3以
    上のポリアルキレンオキシド基であり、アルコキシシリ
    ル基が炭素数1〜6のアルコキシ基を有するアルコキシ
    シリル基である請求項2記載の水性有機珪素樹脂組成
    物。
  4. 【請求項4】 アルコキシシリル基含有樹脂が、下記の
    アルキル基含有ビニル系モノマーと下記のポリアルキレ
    ンオキシド基含有ビニル系モノマーと下記のアルコキシ
    シリル基含有ビニル系モノマーとを共重合してなる樹脂
    である請求項2または3記載の水性有機珪素樹脂組成
    物。 アルキル基含有ビニル系モノマー:アルキル(メタ)ア
    クリレート(ただし、アルキル基は炭素数8以上) ポリアルキレンオキシド基含有ビニル系モノマー:ポリ
    アルキレングリコール(メタ)アクリレートおよびアル
    コキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート
    から選ばれる少なくとも1種のモノマー アルコキシシリル基含有ビニル系モノマー:(メタ)ア
    クリロキシアルキルトリアルコキシシラン、(メタ)ア
    クリロキシアルキルジアルコキシアルキルシラン、ビニ
    ルトリアルコキシシランおよびビニルジアルコキシアル
    キルシランから選ばれる少なくとも1種のモノマー
  5. 【請求項5】 ノニオン性乳化剤としてアルコキシシリ
    ル基含有樹脂と下記ノニオン性乳化剤群から選ばれる少
    なくとも1種のノニオン性乳化剤とを併用する請求項1
    〜4のいずれかに記載の水性有機珪素樹脂組成物。 ノニオン性乳化剤群:ポリオキシエチレンアルキルエー
    テル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル
    類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン
    ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソル
    ビトール脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル
    類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、ジメチルシ
    ロキサンの側鎖や末端をポリアルキレンオキシドで変性
    したジメチルシロキサン共重合体。
  6. 【請求項6】 シラン化合物(A)が一般式(I)にお
    いて、R1 が炭素数4〜18の飽和アルキル基、アリー
    ル基、アラルキル基から選ばれる少なくとも1種、R2
    がメチル基またはエチル基、l=1であるトリアルコキ
    シシラン化合物である請求項1〜5のいずれかに記載の
    水性有機珪素樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 親水性シラン化合物(B)が一般式(I
    I)において、R3 が(式1)で示される基(ただし、
    pは1〜5の整数である。)、R4 はメチル基、R5
    メチル基またはエチル基、m=1、n=1である親水性
    ジアルコキシシラン化合物である請求項1〜6のいずれ
    かに記載の水性有機珪素樹脂組成物。 【化1】
  8. 【請求項8】 ノニオン性乳化剤のHLBが8〜13で
    ある請求項1〜7のいずれかに記載の水性有機珪素樹脂
    組成物。
  9. 【請求項9】 共加水分解・重縮合物、ノニオン性乳化
    剤および水の合計量に対する共加水分解・重縮合物の割
    合が1〜40wt%であり、共加水分解・重縮合物に対
    するノニオン性乳化剤の割合が0.1〜20wt%の範
    囲にある請求項1〜8のいずれかに記載の水性有機珪素
    樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 共加水分解・重縮合物が、シラン化合
    物(A)および親水性シラン化合物(B)の合計量に対
    して0.1〜20mol%以下の一般式(III )R6 3
    iOR7 (ただし、R6 は炭素数1〜20の一価炭化水
    素基、R7 は水素原子または炭素数1〜6のアルキル
    基、複数のR6 は互いに同一であっても良く、少なくと
    も1つが異なっていても良い。)で示される末端封止シ
    ラン化合物(C)と、シラン化合物(A)および親水性
    シラン化合物(B)との共加水分解・重縮合物である請
    求項1〜9のいずれかに記載の水性有機珪素樹脂組成
    物。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10のいずれかに記載の水
    性有機珪素樹脂組成物からなる土木建築材料用吸水防止
    剤。
  12. 【請求項12】 共加水分解・重縮合物の数平均分子量
    が400〜5000である請求項11記載の土木建築材
    料用吸水防止剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006037040A (ja) * 2004-07-30 2006-02-09 Kimoto & Co Ltd コーティング組成物、およびこれを用いてなる透明導電膜
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