JPH08155287A - 反応性乳化剤の製造方法および水性有機ケイ素系組成物 - Google Patents

反応性乳化剤の製造方法および水性有機ケイ素系組成物

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JPH08155287A
JPH08155287A JP6300912A JP30091294A JPH08155287A JP H08155287 A JPH08155287 A JP H08155287A JP 6300912 A JP6300912 A JP 6300912A JP 30091294 A JP30091294 A JP 30091294A JP H08155287 A JPH08155287 A JP H08155287A
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JP
Japan
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group
carbon atoms
organosilicon
reactive emulsifier
water
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JP6300912A
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English (en)
Inventor
Shigefumi Kuramoto
成史 倉本
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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  • Emulsifying, Dispersing, Foam-Producing Or Wetting Agents (AREA)
  • Silicon Polymers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 無機素材に使用すると耐水性を向上させるこ
とができる反応性乳化剤を容易に且つ再現性良く製造す
ることと、水性有機ケイ素系組成物において、乳化安定
性、経時安定性、撥水性および吸水防止性のすべてを高
く維持しつつ、耐久性を改善することである。 【構成】 反応性乳化剤の製造方法は、一般式(1)で
示される化合物(A)と一般式(2)で示される化合物
(B)とをヒドロシリル化反応させてヒドロシリル化生
成物を得るヒドロシリル化反応工程を含む。 【化1】(但し、R1 、R2 およびR3 はH、ハロゲン
原子または炭素数1〜20の1価の有機基で、互いに異
なってもよい;Aは炭素数2〜4の置換してもよいアル
キレン基;BはH、SO3 NH4 、SO3 Na、CO2
NH4 およびCO2 Naから選ばれる1種の基;mは1
〜200の整数。) 【化2】(但し、R4 は炭素数1〜20の1価の有機
基;Xは加水分解性基;nは0〜2の整数。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、反応性乳化剤の製造方
法および水性有機ケイ素系組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】有機溶剤を使用しない水系の吸水防止剤
として、加水分解・重縮合性官能基を有する有機ケイ素
化合物や有機ケイ素樹脂の安定な水性エマルジョンが開
発され、一部はすでに実用に供されている。有機ケイ素
化合物の水性エマルジョンとしては、例えば、ノニオン
性乳化剤を用いた水性エマルジョンが知られている(特
開昭62−197369、特開平1−292089、特
開平3−174378、特開平3−188086号公
報)。また、撥水性や吸水防止性を向上させるために、
乳化剤としてシリコーン系やフッ素系の乳化剤を用いた
例も知られている(特開平3−115485号公報)。
さらに、アルコキシ基とともに第四級アンモニウム塩基
をも含有するケイ素化合物や、ノニオン性またはアニオ
ン性の乳化能を有するケイ素化合物のような、アルコキ
シシランや土木建築材料に対し反応性を有する乳化剤を
使用した例も知られている(特開平3−159975、
特開平3−200793、特開平4−164877、特
開平5−221748号公報)。
【0003】一方、有機ケイ素樹脂の水性エマルジョン
としては、メチルメトキシシリコーン樹脂やアルキルト
リアルコキシシランの加水分解・重縮合物を水性乳化し
たものが知られている(特開昭57−92561、特開
昭58−213046、特開昭60−20959、特開
昭63−305132、特開平4−255759号公
報)。また、前記シリコーン系乳化剤のほか、アルコキ
シ基とともに塩基性窒素をも有するオルガノポリシロキ
サンと酸からなる反応性乳化剤を使用した例も知られて
いる(特開平5−156164号公報)。
【0004】しかし、前記各公知文献で開示されている
有機ケイ素化合物や有機ケイ素樹脂の水性エマルジョン
では、乳化時の安定性や経時的安定性を得るために乳化
剤を多量に用いる必要がある。そのために土木建築材料
の撥水性や吸水防止性の効果が低くなるという問題があ
る。撥水性や吸水防止性を向上させるために乳化剤の使
用量を少なくすると、有機ケイ素化合物や有機ケイ素樹
脂が時間の経過とともに次第に縮合することで、経時安
定性および乳化安定性が劣化するという問題が生じる。
乳化剤としてシリコーン系やフッ素系の乳化剤を用い
た水性マエルジョンでは、シリコーンやフッ素に起因し
て撥水性が増大するため、通常の乳化剤を使用した水性
エマルジョンに比較して撥水性や吸水防止性は向上する
が、それでもいまだ不充分であり、しかも、乳化安定性
や経時安定性は悪い。
【0005】アルコキシシリル基を有する上記反応性乳
化剤を用いた水性エマルジョンについては、撥水性およ
び吸水防止性と乳化安定性および経時安定性との両方を
同時に満足するようなものは得られていない。例えば、
特開平5−221748号公報に記載されている界面活
性能を有するシラン化合物を乳化剤として使用すると、
以下のおよびに示すような問題点があり、得られる
水性エマルジョンは乳化安定性および経時安定性が劣
る。 シラン化合物中のアルコキシシリル基が親水性のポリ
エチレンオキシド末端に結合していたり、アルコキシシ
リル基とポリエチレンオキシドとの結合がSi−O−C
結合であるため、加水分解性が高く、水に対して不安定
である。 アルコキシシリル基が容易に加水分解・重縮合するた
め、このようなシラン化合物を含む有機ケイ素化合物の
水性エマルジョンは、増粘ゲル化する。
【0006】また、前記各公知文献で開示されている有
機ケイ素化合物や有機ケイ素樹脂の水性エマルジョンを
土木建築材料用の吸水防止剤に使用した場合、耐久性が
悪く、撥水性や吸水防止性が早期に低下するという問題
がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、無機素材に使用すると耐水性を向上させる
ことができる反応性乳化剤を容易に且つ再現性良く製造
することである。本発明が解決しようとする別の課題
は、水性有機ケイ素系組成物において、乳化安定性、経
時安定性、撥水性および吸水防止性のすべてを高く維持
しつつ、耐久性を改善することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】反応性乳化剤の製造方法 本発明の反応性乳化剤の製造方法は、一般式(1)で示
される化合物(A)と一般式(2)で示される化合物
(B)とをヒドロシリル化反応させてヒドロシリル化生
成物を得るヒドロシリル化反応工程を含む。
【0009】
【化4】
【0010】(但し、R1 、R2 およびR3 はH、ハロ
ゲン原子または炭素数1〜20の1価の有機基で、互い
に異なってもよい;Aは炭素数2〜4の置換してもよい
アルキレン基;BはH、SO3 NH4 、SO3 Na、C
2 NH4 およびCO2 Naから選ばれる1種の基;m
は1〜200の整数。)
【0011】
【化5】
【0012】(但し、R4 は炭素数1〜20の1価の有
機基;Xは加水分解性基;nは0〜2の整数。) 前記ヒドロシリル化生成物を加水分解および重縮合させ
て加水分解物および重縮合物から選ばれる少なくとも1
種を得る加水分解・重縮合工程をさらに含むものでもよ
い。
【0013】前記R1 、R2 およびR3 はHまたは炭素
数6〜18の1価のアルキル基;前記Aは炭素数2〜4
のアルキレン基;前記BはH、SO3 NH4 およびSO
3 Naから選ばれる1種の基;前記mは1〜100の整
数;前記R4 は炭素数1〜10のアルキル基および炭素
数6〜10のアリール基から選ばれる1種の基;前記X
は炭素数1〜6のアルコキシ基であると好ましい。
【0014】本発明の反応性乳化剤は、上記の製造方法
で得られる。以下に、本発明の反応性乳化剤の製造方法
を詳細に説明する。本発明の反応性乳化剤の製造方法に
用いられる化合物(A)は、一般式(1)中、R1 、R
2 およびR3 はH、ハロゲン原子または炭素数1〜20
の1価の有機基で、互いに異なってもよい;Aは炭素数
2〜4の置換してもよいアルキレン基;BはH、SO3
NH4 、SO3 Na、CO2 NH4 およびCO2 Naか
ら選ばれる1種の基;mは1〜200の整数であれば特
に限定はない。
【0015】R1 、R2 およびR3 はH、ハロゲン原子
または炭素数1〜20の1価の有機基であれば特に限定
されないが、疎水性の観点からHまたは炭素数6〜18
から選ばれるアルキル基が好ましい。特にR1 、R2
よびR3 から選ばれる1つの基が炭素数6〜18のアル
キル基であるとさらに好ましく、炭素数9〜18のアル
キル基が最も好ましい。また、残りの2つの基はHであ
ると好ましい。
【0016】炭素数6〜18のアルキル基の具体例とし
ては、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル
基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、
ペンタデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基が挙
げられる。Aは、炭素数2〜4の置換してもよいアルキ
レン基であれば特に限定されないが、親水性の観点から
炭素数2〜4のアルキレン基が好ましく、炭素数2〜3
のアルキレン基がさらに好ましく、エチレン基が最も好
ましい。
【0017】BはH、SO3 NH4 、SO3 Na、CO
2 NH4 およびCO2 Naから選ばれる1種の基であれ
ば特に限定されない。本発明の製造方法によって得られ
る反応性乳化剤を後述の本発明の水性有機ケイ素系組成
物の1成分として使用する場合には、後述するシラン化
合物(S)中のアルコキシシリル基の加水分解・重縮合
性の抑制の観点からHであるのが好ましい。
【0018】mは1〜200の整数であれば特に限定さ
れないが、本発明の製造方法によって得られる反応性乳
化剤を水性有機ケイ素系組成物の1成分として使用する
場合には、前記水性有機ケイ素系組成物の乳化安定性お
よび経時安定性の観点から1〜100の整数であるのが
好ましい。mは2〜50の整数であるのがさらに好まし
く、mは4〜30の整数であるのが一層好ましく、mは
5〜20の整数であるのがより一層好ましく、mは7〜
15の整数であるのが最も好ましい。
【0019】一般式(1)で示される化合物(A)の具
体例としては、ノニルプロペニルフェノールエチレンオ
キシド1〜200モル付加体、ドデシルプロペニルフェ
ノールエチレンオキシド1〜200モル付加体、ジステ
アリルプロペニルフェノールエチレンオキシド1〜20
0モル付加体、ノニルプロペニルフェノールエチレンオ
キシド1〜200モル付加体のスルホン酸アンモニウム
塩等が挙げられる。
【0020】本発明の反応性乳化剤の製造方法に用いら
れる化合物(B)は、一般式(2)中、R4 は炭素数1
〜20の1価の有機基;Xは加水分解性基;nは0〜2
の整数であれば特に限定はない。R4 は、炭素数1〜2
0の1価の有機基であれば特に限定されないが、後述す
る加水分解性基Xの加水分解性を極端に低下させない点
で、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。炭素数1〜
3のアルキル基がさらに好ましく、炭素数1〜2のアル
キル基が一層好ましく、メチル基が最も好ましい。
【0021】炭素数1〜6のアルキル基の具体例として
は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペン
チル基、ヘキシル基等が挙げられる。Xは、加水分解性
基であり、たとえば、ハロゲン原子やOR7 基(但し、
7はアルキル基またはアシル基)が挙げられる。中で
も、本発明の製造方法によって得られる反応性乳化剤を
水性有機ケイ素系組成物の1成分として使用する場合に
は、X基の加水分解性が高いため無機素材との結合性が
大きく、しかも加水分解して副生する生成物が酸でない
点からは、炭素数1〜6のアルコキシ基(OR 7 基中の
7 が炭素数1〜6のアルキル基)が好ましい。さらに
炭素数1〜3のアルコキシ基(R7 が炭素数1〜3のア
ルキル基)が好ましく、炭素数1〜2のアルコキシ基
(R7 が炭素数1〜2のアルキル基)が一層好ましく、
エトキシ基が最も好ましい。メトキシ基では、加水分解
性が高すぎるため、本発明の水性有機ケイ素系組成物の
1成分として後述する本発明の反応性乳化剤を使用する
場合には、水性有機ケイ素系組成物の乳化安定性および
経時安定性が低下する場合がある。
【0022】nは0〜2の整数であれば特に限定されな
いが、上述したX基の加水分解性が高くて無機素材との
結合性を高める観点からは、nは0または1であるのが
好ましく、0であるのが最も好ましい。一般式(2)で
示される化合物(B)の具体例としては、トリメトキシ
シラン、ジメトキシメチルシラン、ジメトキシエチルシ
ラン、ジメトキシプロピルシラン、ジメトキシブチルシ
ラン、ジメチルメトキシシラン、トリエトキシシラン、
ジエトキシメチルシラン、ジメチルエトキシシラン、ト
リプロポキシシラン、ジプロポキシメチルシラン、ジメ
チルプロポキシラン、トリブトキシシラン、ジブトキシ
メチルシラン、ジメチルブトキシシラン、ジメトキシエ
トキシシラン、ジエトキシメトキシシランが挙げられ
る。
【0023】前記R1 、R2 およびR3 はHまたは炭素
数6〜18の1価のアルキル基;前記Aは炭素数2〜4
のアルキレン基;前記BはH、SO3 NH4 およびSO
3 Naから選ばれる1種の基;前記mは1〜100の整
数;前記R4 は炭素数1〜10のアルキル基および炭素
数6〜10のアリール基から選ばれる1種の基;前記X
は炭素数1〜6のアルコキシ基であると、得られる反応
性乳化剤の疎水性および加水分解性が高くなるため、反
応性乳化剤を無機素材に使用すると耐水性がさらに向上
する。また、有機ケイ素化合物や有機ケイ素樹脂を含む
後述の水性有機ケイ素系組成物に使用すると、乳化安定
性、経時安定性、撥水性および吸水防止性のすべてをよ
り高く維持しつつ、耐久性がさらに改善される。
【0024】本発明の反応性乳化剤の製造方法は、化合
物(A)と化合物(B)とをヒドロシリル化反応させる
ヒドロシリル化反応工程を含むものであれば特に限定さ
れないが、ヒドロシリル化反応触媒の存在下でヒドロシ
リル化反応を行うと、無機素材に使用すると耐水性を向
上させることができる反応性乳化剤をさらに容易に且つ
再現性良く製造できる。
【0025】ヒドロシリル化反応触媒としては、従来公
知のものであれば特に限定されないが、具体的には、過
酸化物系触媒;アゾ化合物系触媒;H2 PtCl6 ,P
tCl2 (C2 4 2 ,PtCl2 (py)(C2
4 )(但し、py=ピリジン),PtCl2 〔P(C2
5 3 2 、Pt〔P(C6 5 3 4 ,Pt〔P
(C6 5 3 2 (C2 4 ),PtClH〔P(C
2 5 3 2 ,PtH(SiCH3 Cl2 )〔P(C
6 5 3 2 等の白金系触媒;RhCl〔P(C6
5 3 3 ,PhH(CO)〔P(C6 5 3 2
〔PhCl(CO)2 2 等のロジウム系触媒;Co2
(CO)8 ,HCo(CO)4 等のコバルト系触媒;P
d〔P(C6 5 3 3 2 (但し、Lは無水マレイ
ン酸あるいはP−ベンゾキノン等の配位子),Pd〔P
(C6 5 3 4 ,PdCl2〔P(C6 5 3
2 等のパラジウム系触媒;各種ニッケル−ホスフィン錯
体等のニッケル系触媒;トリアルキルアミンが挙げられ
る。中でも、白金系触媒が好ましく、ヒドロシリル化反
応を促進させ、ヒドロシリル化生成物を収率良く製造す
ることができるため、塩化白金酸がさらに好ましい。
【0026】ヒドロシリル化反応触媒の使用量は、特に
限定はないが、化合物(A)1モルに対して10-2〜1
-10 モル、好ましくは10-3〜10-7モルである。使
用量が少ないと反応が進行しにくくなり、使用量が多い
と触媒が高価であるため好ましくない。ヒドロシリル化
反応は、無溶媒下または有機溶媒中で、上記化合物
(A)、化合物(B)およびヒドロシリル化触媒を混合
して行われる。有機溶媒としては、アルコール類、ケト
ン類、エーテル類、エステル類、セロソルブ類、脂肪族
炭化水素類、芳香族炭化水素類が挙げられる。
【0027】化合物(A)と化合物(B)の使用量は、
それぞれ任意の量を使用することができるが、化合物
(A)1モルに対して、化合物(B)を1〜3モル使用
するのが好ましい。これ以上使用すると、未反応の化合
物(B)が増加する。ヒドロシリル化反応する際の反応
温度および反応時間は、特に限定されない。しかしなが
ら、化合物(A)、化合物(B)およびヒドロシリル化
反応触媒の種類によって異なるが、反応温度は、通常、
室温〜200℃、好ましくは50〜150℃の範囲であ
る。反応時間は、10分間〜50時間、好ましくは1時
間〜20時間の範囲である。また、反応圧力は、常圧、
減圧および加圧のいずれでも良い。
【0028】上述したヒドロシリル化反応により得られ
るヒドロシリル化生成物は、(A)のプロペニル基に
(B)が付加して加水分解性シリル基を含有する。した
がって、ヒドロシリル化生成物には、主として、疎水性
を有するフェニル基または置換フェニル基、親水性を有
する(ポリ)アルキレンオキシド基、(ポリ)アルキレ
ンオチシドのスルホン酸アンモニウム塩基、(ポリ)ア
ルキレンオキシドのスルホン酸ナトリウム塩基、(ポ
リ)アルキレンオキシドのカルボン酸アンモニウム塩基
または(ポリ)アルキレンオキシドのカルボン酸ナトリ
ウム塩基を有するため、乳化剤として作用するととも
に、各種材料と結合可能な反応性を有する加水分解性シ
リル基も有しているため、反応性乳化剤として好適なも
のである。特に加水分解性シリル基が(ポリ)アルキレ
ンオキシド基と直接には結合していないため、フェニル
基または置換フェニル基のような疎水性基に保護され
る。このため、水中でも加水分解・重縮合性が抑制され
る。
【0029】本発明の反応性乳化剤の製造方法におい
て、前記ヒドロシリル化生成物を加水分解および重縮合
させて加水分解物および重縮合物から選ばれる少なくと
も1種を得る加水分解・重縮合工程をさらに含んでいて
も良い。加水分解・重縮合工程は、例えば、無溶媒中、
または、前記ヒドロシリル化生成物および水とを溶解で
きるような有機溶媒中で行なわれる。有機溶媒として
は、アルコール類、ケトン類、エーテル類、セルソロブ
類が挙げられる。水の量は、特に限定されないが、水の
量が多すぎると得られる重縮合物が高分子量体となるた
め、乳化剤としての作用が低下する場合がある。また、
重縮合させる際に、従来公知の酸触媒または塩基触媒を
使用しても良い。
【0030】前記重縮合物の分子量は、好ましくは数平
均分子量が20000以下、さらに好ましくは1000
0以下、より一層好ましくは5000以下である。数平
均分子量が20000を超えると、乳化性能が低下する
と共に、加水分解性基が少なくなって、無機材料と結合
可能な基が減少する。本発明の反応性乳化剤は、以上に
示した製造方法で得られ、前記ヒドロシリル化生成物、
前記ヒドロシリル化生成物を加水分解および重縮合させ
て得られる加水分解物および重縮合物から選ばれる少な
くとも1種である。
【0031】本発明での反応性とは、アルコキシシリル
基やシラノール基等の加水分解性基によって、各種材
料、特に無機素材と結合可能なことを意味する。本発明
の反応性乳化剤は親油性を示す部分および親水性を示す
部分を有しているため、乳化剤として作用する。ヒドロ
シリル化生成物は、水中でもアルコキシシリル基等の加
水分解性基の加水分解・重縮合、特に重縮合しにくいた
め比較的安定であるが、加水分解したもの、あるいは重
縮合したものであっても、界面活性能を有し、乳化剤と
して作用する。但し、重縮合が進行してアルコキシシリ
ル基やシラノール基等の加水分解性基が、全く存在しな
くなると反応性を示さなくなる。
【0032】本発明の反応性乳化剤は上記の製造方法で
得られるため、無機素材に使用すると耐水性が向上す
る。また、反応性乳化剤を有機ケイ素化合物や有機ケイ
素樹脂を含む水性有機ケイ素系組成物に使用すると、乳
化安定性、経時安定性、撥水性および吸水防止性のすべ
てを高く維持しつつ、耐久性が改善される。本発明の反
応性乳化剤は、各種エマルジョン、塗料、コーティング
剤の添加剤として有用であり、特に素材が無機素材から
なる材料に使用する場合には、本発明の反応性乳化剤が
材料と結合し固定化されるため、乳化剤のブリードが抑
制され、耐水性が向上する。また、以下に述べる水性有
機ケイ素系組成物に使用する場合には、特に有用なもの
である。水性有機ケイ素系組成物 本発明の水性有機ケイ素系組成物は、一般式(3)で示
されるシラン化合物(S)、その加水分解物およびその
重縮合物から選ばれる少なくとも1種からなる有機ケイ
素系成分と、前記反応性乳化剤と、水とを含む。
【0033】
【化6】
【0034】(但し、R5 は炭素数1〜20の1価炭化
水素基、R6 は炭素数1〜6のアルキル基、lは1また
は2である。) 前記有機ケイ素系成分が前記水性有機ケイ素系組成物全
体に対して1〜60wt%であり、前記反応性乳化剤が
前記有機ケイ素系成分に対して0.01〜20wt%で
あると好ましい。
【0035】前記R5 は炭素数4〜18の飽和アルキル
基、アリール基、アラルキル基からなる群より選ばれる
少なくとも1種;前記R6 はメチル基またはエチル基;
前記lは1であると好ましい。以下に、本発明の水性有
機ケイ素系組成物を詳細に説明する。本発明の水性有機
ケイ素系組成物に用いられる有機ケイ素系成分は、撥水
性および吸水防止性を有し、かつ各種材料、特に無機材
料と結合したり、それ自身で加水分解・重縮合して材料
に撥水層や吸水防止層を生成することのできる成分であ
る。
【0036】有機ケイ素系成分は、一般式(3)で示さ
れるシラン化合物(S)、その加水分解物およびその重
縮合物から選ばれる少なくとも1種からなる。シラン化
合物(S)は、一般式(3)中、R5 は炭素数1〜20
の1価炭化水素基、R6 は炭素数1〜6のアルキル基、
lは1または2である。R5 は撥水性や吸水防止性を示
す基であり、炭素数1〜20の1価炭化水素基ならば特
に限定されないが、飽和アルキル基、アリール基および
アラルキル基から選ばれる少なくとも1種が好ましく、
撥水性、吸水防止性、濾塩性および耐アルカリ性を著し
く向上させれる点で炭素数4〜18のこれらの基がより
一層好ましい。中でも耐候性に優れる点で炭素数4〜1
8の飽和アルキル基が最も好ましい。R5 が複数である
場合は、複数のR5 は互いに同一であっても良く、異な
っていても良い。
【0037】R5 の具体例としては、メチル基、エチル
基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、
イソブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ド
デシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等の飽和ア
ルキル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベ
ンジル基等のアラルキル基;ビニル基、ヘキセニル基、
オクテニル基等のアルケニル基が挙げられる。
【0038】R6 は各種材料、特に無機材料と結合した
り、それ自身で加水分解・重縮合できる基であり、水素
原子または炭素数1〜6のアルキル基であれば特に限定
はなく、炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル
基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−
ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が挙
げられる。中でも加水分解・重縮合性が高い点でメチル
基またはエチル基が好ましく、エチル基が最も好まし
い。但し、メチル基では加水分解・重縮合性が高すぎる
ため、本発明の水性有機ケイ素系組成物が経時的に増粘
・ゲル化する等の保存安定性に問題がある場合がある。
また、複数のR6 は互いに同一であっても良く、異なっ
ていても良い。
【0039】前記一般式(3)中、lは1または2であ
り、加水分解・重縮合性官能基を多く含有できる点でl
が1であるのが好ましい。前記一般式(3)中、R5
炭素数4〜18の飽和アルキル基、アリール基、アラル
キル基からなる群より選ばれる少なくとも1種;R6
メチル基またはエチル基;lは1であるトリアルコキシ
シラン化合物が好ましい。特に、R5 が炭素数4〜18
の飽和アルキル基;R6 がエチル基;lが1であるトリ
アルコキシシラン化合物がさらに好ましい。これは、得
られる水性有機ケイ素系組成物が加水分解・重縮合性官
能基を多く含有でき、撥水性、吸水防止性、遮塩性、耐
アルカリ性および耐候性に優れるからである。
【0040】シラン化合物(S)の具体例としては、メ
チルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、
メチルトリプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラ
ン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシ
シラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピ
ルトリエトキシシラン、n−プロピルトリプロポキシシ
ラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリ
エトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソ
ブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラ
ン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキ
シシラン、オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリ
プロポキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシ
ルトリメトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラ
ン、テトラデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルト
リメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、
オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエ
トキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニル
トリエトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベ
ンジルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラ
ン、ジメチルジエトキシシラン、ジブチルジメトキシシ
ラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジ
メトキシシラン、ジフェニルシランジオール、ビニルト
リメトキシシラン、ヘキセニルトリメトキシシラン、オ
クテニルトリメトキシシランが挙げられる。これらシラ
ン化合物(S)は1種または2種以上を使用しても良
い。
【0041】シラン化合物(S)の加水分解物およびそ
の重縮合物は、前述の反応性乳化剤の製造方法で説明し
た加水分解・重縮合工程と同様の方法で得ることができ
る。本発明の水性有機ケイ素系組成物を土木建築材料用
の吸水防止剤として使用する場合には、土木建築材料へ
の浸透性が悪くなることがあるので、好ましくは有機ケ
イ素系成分の数平均分子量は5000以下、さらに好ま
しくは2000以下、より一層好ましくは1000以下
である。
【0042】本発明の水性有機ケイ素系組成物は、シラ
ン化合物(S)、その加水分解物およびその重縮合物か
ら選ばれる少なくとも1種からなる有機ケイ素系成分
と、既に説明した反応性乳化剤と、水とを含み、乳化安
定性、経時安定性、撥水性および吸水防止性のすべてを
高く維持しつつ、耐久性を改善することができる。本発
明の水性有機ケイ素系組成物は、例えば、前記で説明し
た反応性乳化剤を用いて有機ケイ素系成分を水中で混合
して乳化することによって得ることができる。その方法
については特に限定はなく、一般の混合や乳化する方法
が用いられる。例えば、スターラー、ホモミキサー、ウ
ルトラディスパーサー、高圧ホモジナイザー等で高速攪
拌しながら、有機ケイ素系成分と反応性乳化剤とを別々
または混合した液を水に少しずつ添加したり、反応性乳
化剤と水の混合液に有機ケイ素系成分を少しずつ添加し
たり、あるいは、これらの逆を行うことにより水性有機
ケイ素系組成物が得られる。
【0043】反応性乳化剤は水中で有機ケイ素系成分を
乳化すると共に、各種材料、特に無機材料と結合するこ
とができる。特に水性有機ケイ素系組成物を、土木建築
材料用の吸水防止剤として使用した場合には、土木建築
材料への浸透性が、従来開示されている有機ケイ素化合
物や有機ケイ素樹脂の水性エマルジョンに比較して、格
段に向上するため、経時的な吸水防止性や撥水性の低下
の程度が小さく、耐久性に優れたものとなる。
【0044】前記有機ケイ素系成分は前記水性有機ケイ
素系組成物全体に対して1〜60wt%であり、好まし
くは5〜50wt%であり、さらに好ましくは10〜4
0wt%である。有機ケイ素系成分が少なすぎると材料
に撥水性や吸水防止性を付与するためには、塗布して使
用する場合に1回の塗布では不充分な場合があり、塗布
回数を増やす必要がある。また多すぎると、粘度が高く
なって、材料への浸透性が悪くなる傾向があったり、乳
化状態が油中水滴型になる場合がある。
【0045】前記反応性乳化剤は前記有機ケイ素系成分
に対して0.01〜20wt%であり、好ましくは0.
01〜10wt%であり、さらに好ましくは0.03〜
5wt%であり、最も好ましくは0.05wt%以上、
0.5wt%未満の範囲である。本発明の水性有機ケイ
素系組成物中に反応性乳化剤が少なすぎると、有機ケイ
素系成分の乳化が不充分となり、乳化安定性や経時安定
性が低下する場合があり、一方多すぎると撥水性や吸水
防止性が低下したり、耐久性が悪い場合がある。
【0046】本発明の水性有機ケイ素系組成物中には、
通常の乳化剤等を含まなくても乳化安定性および経時安
定性は十分に良好であるが、通常の乳化剤をさらに混合
して乳化安定性および経時安定性を高めても良い。通常
の乳化剤としては、ノニオン性乳化剤、アニオン性乳化
剤、カチオン性乳化剤のいずれの乳化剤でも使用できる
が、乳化安定性および経時安定性を特に向上できる点
で、ノニオン性乳化剤が好ましい。
【0047】ノニオン性乳化剤は、特に限定はなく、従
来公知のものが使用できる。その具体例としては、ポリ
オキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレ
ンアルキルアリルエーテル類、ソルビタン脂肪酸エステ
ル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル
類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル
類、グリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン
脂肪酸エステル類、ジメチルシロキサンの側鎖や末端を
ポリアルキレンオキサイドで編成したジメチルシロキサ
ン共重合体類、セルロース類が挙げられる。これらノニ
オン性乳化剤の1種または2種以上を使用しても良い。
これら通常の乳化剤の配合量は、反応性乳化剤に対して
60wt%以下であり、好ましくは30wt%以下であ
る。
【0048】水性有機ケイ素系組成物のpHを3〜12
にすると、経時安定性に優れる。好ましくは4〜10、
さらに好ましくは5〜9である。また、水性有機ケイ素
系組成物中に、従来公知の乳化剤、増粘剤、pH緩衝
剤、シリカゾル、アルミナゾル、セリアゾル、紫外線吸
収剤、水溶性ポリマー、有機系乳化重合物を添加しても
良く、これらに限定されない。水性有機ケイ素系組成物
中には、防カビ剤、防藻剤、防蟻剤の添加剤を混合して
も良く、これらに限定されない。
【0049】本発明の水性有機ケイ素系組成物は土木建
築材料用吸水防止剤として好適に使用される。土木建築
材料としては特に限定されないが、打放しコンクリー
ト、プレキャストコンクリート、軽量気泡コンクリート
(ALC)、軽量コンクリート、セメント板、押出しセ
メント板、石綿セメント板、パルプセメント板、木毛セ
メント板、ガラス繊維入りセメント板、カーボン繊維入
りセメント板、モルタル、目地モルタル、石膏ボード、
石膏プラスター、ドロマイトプラスター、ハードボー
ド、珪酸カルシウム板、しっくい、ブロック、レンガ、
タイル、瓦、スレート、天然石、人工石、ガラスウー
ル、ロックウール、セラミックファイバー、木材、合板
が挙げられる。
【0050】土木建築材料に使用する方法としては特に
限定されないが、好ましい使用する方法として、例え
ば、上記材料へローラー、刷毛、スプレー等を用い塗布
したり、場合によっては上記材料を含浸、浸漬すること
が挙げられる。この際、本発明の水性有機ケイ素系組成
物は、有機ケイ素系成分の量が、水性有機ケイ素系組成
物全体に対して好ましくは3〜50wt%、さらに好ま
しくは10〜40wt%の範囲に水で希釈して使用され
る。有機ケイ素系成分が少なすぎると塗布、含浸あるい
は浸漬等の回数を増やす必要があり、多すぎると材料へ
の浸透性が悪くなる。また、土木建築材料に使用する他
の好ましい例としては、例えば上記材料を製造する際に
添加することが挙げられる。例えば、モルタルではセメ
ント、砂、水等を混和調製する際に本発明の水性有機ケ
イ素系組成物を添加した後成形したり、コンクリートで
はセメント、細骨材、減水材、水等を混練する際に、本
発明の水性有機ケイ素系組成物を添加した後成形するこ
とが挙げられ、他の材料でもこれらと同様に成形する前
や成形する際に添加することが挙げられる。
【0051】本発明の水性有機ケイ素系組成物は、さら
に加水分解・重縮合反応により材料表面および内部にお
いて強固に且つ優れた吸水防止層や撥水層を形成し、雨
水、汚水、酸性雨による材料の劣化や汚れのしみこみ、
海(塩)水による被害、寒冷地における凍結融解作用に
よるひび割れ、材料からの塩の溶出による白華等の解決
に有用である。水蒸気を放出する機能も有するため炭酸
ガスによる中性化、骨材に含まれるシリカとアルカリに
よるアルカリ骨材反応の防止等にも優れている。また、
吸水防止層や撥水層が厚く、本発明の水性有機ケイ素系
組成物の浸透性が良いため、耐久性の向上が図れる。さ
らに種々の塗料やコーティング剤や仕上げ材の防水プラ
イマーとしても有用である。
【0052】
【実施例】以下に本発明の具体的な実施例および比較例
を示すが、本発明は下記実施例に限定されない。「%」
は特に限定のない限り「wt%」を示す。 〔実施例1〕化合物(A)として、ノニルプロペニルフ
ェノールエチレンオキシド10モル付加体(一般式
(1)において、R1 :ノニル、R2 ,R3 :H、A:
エチレン、B:H、m:10)30gと、化合物(B)
としてジエトキシメチルシラン(一般式(2)におい
て、R4 :メチル、X:エトキシ、n:1)11.5g
と、0.5wt%塩化白金酸のイソプロピルアルコール
溶液0.2gとを混合し、80℃で8時間加熱してヒド
ロシリル化反応を行った。次に未反応のジエトキシメチ
ルシランおよびイソプロピルアルコールを加熱減圧蒸留
して除去し、シリコン化合物(1)を製造した。
【0053】得られたシリコン化合物(1)をガスクロ
マトグラフィー(GC)で分析すると、原料であるジエ
トキシメチルシランは痕跡量しか検出されず、また、H
−NMR分析から下記の式(4)で示されるプロペニル
基で、のHのスペクトル(δ値:6.0〜6.4pp
m)が消失していること、Si−CH基に帰属されるH
のスペクトル(δ値:0〜0.2ppm)が存在してい
ることを確認した。
【0054】
【化7】
【0055】元素分析ではSi原子の存在を確認した。
また、シリコン化合物(1)0.1gを5%NH3 水1
gと混合し、12時間室温下で攪拌して、X基(エトキ
シ基)の加水分解を行った後、ガスクロマトグラフィー
で分析すると、エタノールの生成を確認した。以上の分
析結果より、シリコン化合物(1)はノニルプロペニル
フェノールエチレンオキシドの10モル付加体がジエト
キシメチルシランでヒドロシリル化した生成物であるこ
とを確認した。 〔実施例2〜6〕実施例1において、化合物(A)およ
び化合物(B)を表1に示したものを使用した以外は、
実施例1と同様にしてシリコン化合物(2)〜(6)を
製造した。
【0056】得られたシリコン化合物(2)〜(6)に
ついて、実施例1と同様にしてGC分析して化合物
(B)の残存の有無、H−NMR分析してプロペニル基
の消失とSi−CHの存在、元素分析によるSiの存在
および加水分解によるX基の存在について調べたとこ
ろ、いずれも実施例1と同様に確認できた。
【0057】
【表1】
【0058】〔実施例7〕実施例1で得られたシリコン
化合物(1)をイソプロピルアルコール85gおよび水
2g中に溶解させ、10時間加熱還流してシリコン化合
物(1)の加水分解・重縮合を行った。冷却後、加熱減
圧留去して、イソプロピルアルコールおよび水を留去し
てシリコン化合物(1)の加水分解・重縮合物(7)を
製造した。これをゲルパーミエーションクロマトグラフ
ィーで分析(GPC分析)すると、その数平均分子量は
1500であった。 〔実施例8〕反応性乳化剤として、実施例1で得られた
シリコン化合物(1)0.80gと、シラン化合物
(S)としてイソブチルトリメトキシシラン80gとを
混合した液をホモジナイザーを用いて高速攪拌しなが
ら、水119.20gを徐々に滴下、混合して乳化を行
った。そのまま1時間高速攪拌を続けて、水性有機ケイ
素系組成物(1)(乳白色のエマルジョン)を製造し
た。
【0059】なお、組成物(1)を、50℃、24時間
保存しても増粘ゲル化等は生じなかった。組成物(1)
の吸水防止性、浸透性、乳化安定性および耐久性の評価
結果を表3に示す。なお評価方法は以下の通りである。 (モルタルサンプルの調製)シラン化合物(S)、反応
性乳化剤、水の合計量に対して、シラン化合物(S)の
濃度が30wt%になるように水性有機ケイ素系組成物
を純水で希釈して塗布液とした。モルタル(5cm×5
cm×1.5cm)の全面を300g/m2となるよう
に塗布した後、23℃、60%RH下で1週間養生して
モルタルサンプルとし下記各種試験に供した。 (吸水防止性)モルタルサンプルを水200g中に浸漬
し、7時間後に取り出し、余剰水を乾いた布で拭き取っ
た後に重量測定を行い、下式により吸水率を算出した。
【0060】吸水率(wt%)=〔(浸漬後の重量−浸
漬前の重量)/浸漬前の重量〕×100 評価基準は以下の通りである。 ◎:吸水率が0.5wt%未満 ○:吸水率が0.5wt%以上1.0wt%未満 △:吸水率が1.0wt%以上2.0wt%未満 ×:吸水率が2.0wt%以上 なお、未処理モルタルの吸水率を同様にして測定すると
7.5wt%であった。 (浸透性)モルタルサンプルを切断しその断面に水を吹
き付け、撥水層の厚みにより浸透深さを測定した。評価
基準は以下の通りである。
【0061】◎:3mm以上 ○:2mm以上3mm未満 △:1mm以上2mm未満 ×:1mm未満 (乳化安定性)得られた組成物を常温で静置し二層分離
の有無を観察した。評価基準は以下の通りである。
【0062】◎:24時間以上二層分離無し ○:7時間以上二層分離無いが、24時間までには二層
分離する △:1時間以上二層分離無いが、7時間までには二層分
離する ×:1時間未満で二層分離する (耐久性)モルタルサンプルをサンシャインウェザーメ
ーター型促進耐候試験機を用い、1000時間紫外線を
照射して吸水防止性を評価した。評価基準は(吸水防止
性)と同様である。 〔実施例9〜14〕実施例8において、反応性乳化剤の
種類および量、シラン化合物(S)の種類および量、水
の量を表2に示した以外は実施例8と同様にして、水性
有機ケイ素系組成物(2)〜(7)(乳白色エマルジョ
ン)を製造した。組成物(2)〜(7)について、組成
物(1)と同様に、吸水防止性、浸透性、乳化安定性お
よび耐久性を評価した。評価結果を表3に示す。
【0063】なお、組成物(2)〜(7)を、50℃、
24時間保存しても増粘ゲル化等は生じなかった。
【0064】
【表2】
【0065】〔実施例15〕ヘキシルトリエトキシシラ
ン248g(1.0モル)、エタノール200g、水1
2.6g(0.7モル)および強酸性陽イオン交換樹
脂、アンバーリスト15(ローム&−ハース社製)6.
8g混合し、還流下2時間加熱し、ヘキシルトリエトキ
シシランの重縮合を行った。次にエタノールを加熱下で
減圧しながら留去した。冷却後、濾過によりアンバーリ
スト15を除去し、ヘキシルトリエトキシシランの加水
分解・重縮合物を得た。この加水分解・重縮合物の数平
均分子量は800であった。
【0066】次に、この加水分解・重縮合物60g、実
施例1で得られたシリコン化合物(1)0.20gおよ
び実施例2で得られたシリコン化合物(2)0.40g
を混合した液をウルトラディスパーサーを用いて高速攪
拌しながら、水139.40gを徐々に添加混合して乳
化を行った。そのまま1時間高速攪拌を続け、水性有機
ケイ素系組成物(8)(乳白色エマルジョン)を製造し
た。組成物(8)について、組成物(1)と同様に、吸
水防止性、浸透性、乳化安定性および耐久性を評価し
た。評価結果を表3に示す。
【0067】なお、組成物(8)を、50℃、24時間
保存しても増粘ゲル化等は生じなかった。
【0068】
【表3】
【0069】〔比較例1〕実施例11において、シリコ
ン化合物(1)の代わりに、ソルビタンモノラウレート
を用いた以外は、実施例11と同様にして、比較用水性
有機ケイ素系組成物(11)(乳白色エマルジョン)を
得た。この比較用組成物(11)について、組成物
(1)と同様に、吸水防止性、浸透性、乳化安定性およ
び耐久性を評価した。評価結果を表4に示す。 〔比較例2〕実施例11において、シリコン化合物
(1)の代わりに、ソルヒタンモノラウレート1.2g
を用いた以外は、実施例11と同様にして比較用水性有
機ケイ素系組成物(12)(乳白色エマルジョン)を得
た。この比較用組成物(12)について、組成物(1)
と同様に、吸水防止性、浸透性、乳化安定性および耐久
性を評価した。評価結果を表4に示す。 〔比較例3〕実施例1において、シリコン化合物(1)
の代わりに下記化合物(T)を用いた以外は、実施例1
と同様にして、比較用水性有機ケイ素系組成物(13)
(乳白色エマルジョン)を得た。この比較用組成物(1
3)について、組成物(1)と同様に、吸水防止性、浸
透性、乳化安定性および耐久性を評価した。評価結果を
表4に示す。
【0070】
【化8】
【0071】またこの比較用組成物(13)を、50
℃、24時間保存すると二層分離し、その上層がゲル化
した。
【0072】
【表4】
【0073】
【発明の効果】本発明の反応性乳化剤の製造方法は、化
合物(A)と化合物(B)とをヒドロシリル化反応させ
てヒドロシリル化生成物を得るヒドロシリル化反応工程
を含むため、無機素材に使用すると耐水性を向上させる
ことができる反応性乳化剤を容易に且つ再現性良く製造
することができる。
【0074】前記ヒドロシリル化生成物を加水分解およ
び重縮合させて加水分解物および重縮合物から選ばれる
少なくとも1種を得る加水分解・重縮合工程をさらに含
んでいても、容易に且つ再現性良く製造することができ
る。前記R1 、R2 およびR3 はHまたは炭素数6〜1
8の1価のアルキル基;前記Aは炭素数2〜4のアルキ
レン基;前記BはH、SO3 NH4 およびSO3 Naか
ら選ばれる1種の基;前記mは1〜100の整数;前記
4 は炭素数1〜10のアルキル基および炭素数6〜1
0のアリール基から選ばれる1種の基;前記Xは炭素数
1〜6のアルコキシ基であると、得られる反応性乳化剤
の疎水性および加水分解性が高くなるため、反応性乳化
剤を無機素材に使用すると耐水性がさらに向上する。ま
た、有機ケイ素化合物や有機ケイ素樹脂を含む後述の水
性有機ケイ素系組成物に使用すると、乳化安定性、経時
安定性、撥水性および吸水防止性のすべてをより高く維
持しつつ、耐久性がさらに改善される。
【0075】本発明の反応性乳化剤は上記の製造方法で
得られるため、無機素材に使用すると耐水性が向上す
る。また、反応性乳化剤を有機ケイ素化合物や有機ケイ
素樹脂を含む水性有機ケイ素系組成物に使用すると、乳
化安定性、経時安定性、撥水性および吸水防止性のすべ
てを高く維持しつつ、耐久性が改善される。本発明の水
性有機ケイ素系組成物は、シラン化合物(S)、その加
水分解物およびその重縮合物から選ばれる少なくとも1
種からなる有機ケイ素系成分と、前記反応性乳化剤と、
水とを含むため、乳化安定性、経時安定性、撥水性およ
び吸水防止性のすべてを高く維持しつつ、耐久性を改善
することができる。
【0076】前記有機ケイ素系成分が前記水性有機ケイ
素系組成物全体に対して1〜60wt%であり、前記反
応性乳化剤が前記有機ケイ素系成分に対して0.01〜
20wt%であると、この製造方法で得られる水性有機
ケイ素系組成物の材料への浸透性がよく、乳化安定性、
経時安定性、撥水性および吸水防止性が向上し、耐久性
もさらに高くなる。
【0077】前記R5 は炭素数4〜18の飽和アルキル
基、アリール基、アラルキル基からなる群より選ばれる
少なくとも1種;前記R6 はメチル基またはエチル基;
前記lは1である時、水性有機ケイ素系組成物は、遮塩
性、耐アルカリ性および耐候性にも優れるようになる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B01J 27/13 X

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(1)で示される化合物(A)と一
    般式(2)で示される化合物(B)とをヒドロシリル化
    反応させてヒドロシリル化生成物を得るヒドロシリル化
    反応工程を含む反応性乳化剤の製造方法。 【化1】 (但し、R1 、R2 およびR3 はH、ハロゲン原子また
    は炭素数1〜20の1価の有機基で、互いに異なっても
    よい;Aは炭素数2〜4の置換してもよいアルキレン
    基;BはH、SO3 NH4 、SO3 Na、CO2 NH4
    およびCO2 Naから選ばれる1種の基;mは1〜20
    0の整数。) 【化2】 (但し、R4 は炭素数1〜20の1価の有機基;Xは加
    水分解性基;nは0〜2の整数。)
  2. 【請求項2】前記ヒドロシリル化生成物を加水分解およ
    び重縮合させて加水分解物および重縮合物から選ばれる
    少なくとも1種を得る加水分解・重縮合工程をさらに含
    む請求項1に記載の反応性乳化剤の製造方法。
  3. 【請求項3】前記R1 、R2 およびR3 はHまたは炭素
    数6〜18の1価のアルキル基;前記Aは炭素数2〜4
    のアルキレン基;前記BはH、SO3 NH4 およびSO
    3 Naから選ばれる1種の基;前記mは1〜100の整
    数;前記R4 は炭素数1〜10のアルキル基および炭素
    数6〜10のアリール基から選ばれる1種の基;前記X
    は炭素数1〜6のアルコキシ基である、請求項1または
    2に記載の反応性乳化剤の製造方法。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法
    で得られた反応性乳化剤。
  5. 【請求項5】一般式(3)で示されるシラン化合物
    (S)、その加水分解物およびその重縮合物から選ばれ
    る少なくとも1種からなる有機ケイ素系成分と、 【化3】 (但し、R5 は炭素数1〜20の1価炭化水素基、R6
    は炭素数1〜6のアルキル基、lは1または2であ
    る。) 請求項4に記載の反応性乳化剤と、 水と、を含む水性有機ケイ素系組成物。
  6. 【請求項6】前記有機ケイ素系成分が前記水性有機ケイ
    素系組成物全体に対して1〜60wt%であり、前記反
    応性乳化剤が前記有機ケイ素系成分に対して0.01〜
    20wt%である、請求項5に記載の水性有機ケイ素系
    組成物。
  7. 【請求項7】前記R5 は炭素数4〜18の飽和アルキル
    基、アリール基、アラルキル基からなる群より選ばれる
    少なくとも1種;前記R6 はメチル基またはエチル基;
    前記lは1である、請求項5または6に記載の水性有機
    ケイ素系組成物。
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