JP2802221B2 - アルコキシシリル基含有樹脂、これを含む水性組成物および土木建築材料用吸水防止剤 - Google Patents

アルコキシシリル基含有樹脂、これを含む水性組成物および土木建築材料用吸水防止剤

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JP2802221B2 JP2250594A JP2250594A JP2802221B2 JP 2802221 B2 JP2802221 B2 JP 2802221B2 JP 2250594 A JP2250594 A JP 2250594A JP 2250594 A JP2250594 A JP 2250594A JP 2802221 B2 JP2802221 B2 JP 2802221B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルコキシシリル基含
有樹脂、これを含む水性組成物およびこの水性組成物か
らなる土木建築材料用吸水防止剤に関する。本発明の樹
脂は、各種エマルジョン、塗料、コーティング剤、吸水
防止剤または表面処理剤等として好適なものである。本
発明の水性組成物は、撥水性を有するとともに加水分解
・重縮合性を有していて、種々の材料と結合可能なた
め、プラスチックフィルム、繊維、紙、ガラス等の有機
素材または無機素材からなる種々の材料の表面処理剤と
して有用であり、特に土木建築材料用の吸水防止剤とし
て有用なものである。ここにいう土木建築材料とは、例
えば、打放しコンクリート、軽量気泡コンクリート(A
LC)、セメント板、モルタル、石膏ボード、ブロッ
ク、レンガ、タイル、瓦、スレート、ガラスウール、ロ
ックウール、セラミックファイバー、木材、合板等であ
る。本発明のアルコキシシリル基含有樹脂、これを含む
水性組成物およびこの水性組成物からなる土木建築材料
用吸水防止剤は、これらの材料の表面に塗布したり、含
浸、浸漬等したりして、あるいは、これらの材料の成形
前や成型時に添加したりして、撥水性や吸水防止性等を
付与するのに有効である。
【0002】
【従来の技術】従来、加水分解・重縮合性官能基を有す
る有機珪素化合物や有機珪素樹脂を有機溶剤に溶解した
ものが、土木建築材料の吸水防止剤に使用されている。
しかし、これら有機溶剤系の吸水防止剤は、火災・爆発
の危険性、有毒性、環境汚染性等の点から問題があり、
有機溶剤を使用しない水系の吸水防止剤の開発が望まれ
ている。
【0003】このような観点から、最近、上記加水分解
・重縮合性官能基を有する有機珪素化合物や有機珪素樹
脂の安定な水性エマルジョンが開発され、一部ではすで
に実用に供せられている。有機珪素化合物の水性エマル
ジョンとしては、各種の乳化剤を用いてアルキルトリア
ルコキシシラン等を水性乳化したものが知られている。
このような乳化剤としては、例えば、ノニオン性乳化剤
を用いた水性エマルジョンが知られている(特開昭62
−197369、特開平1−292089、特開平3−
174378、特開平3−188086号公報)。撥水
性や吸水防止性を向上させるために、乳化剤としてシリ
コーン系やフッ素系の乳化剤を用いた例も知られている
(特開平3−115485号公報)。さらに、アルコキ
シ基とともに第四級アンモニウム塩基をも含有する珪素
化合物や、ノニオン性またはアニオン性の乳化能を有す
る珪素化合物のような、アルコキシシランや土木建築材
料に対し反応性を有する乳化剤を使用した例も知られて
いる(特開平3−159975、特開平3−20079
3、特開平4−164877、特開平5−221748
号公報)。
【0004】一方、有機珪素樹脂の水性エマルジョンと
しては、メチルメトキシシリコーン樹脂やアルキルトリ
アルコキシシランの加水分解・重縮合物を水性乳化した
ものが知られており(特開昭57−92561、特開昭
58−213046、特開昭60−20959、特開昭
63−305132、特開平4−255759号公
報)、また、前記シリコーン系乳化剤のほか、アルコキ
シ基とともに塩基性窒素をも有するオルガノポリシロキ
サンと酸からなる反応性乳化剤を使用した例も知られて
いる(特開平5−156164号公報)。
【0005】しかし、前記各公報で開示されている有機
珪素化合物や有機珪素樹脂の水性エマルジョンでは、乳
化時の安定性や経時的安定性を得るためには乳化剤を多
量に用いる必要があり、そのために土木建築材料の撥水
性や吸水防止性の効果が低くなるという問題があり、他
方、撥水性や吸水防止性を向上させるために乳化剤の使
用量を少なくすると、有機珪素化合物や有機珪素樹脂が
時間の経過とともに次第に縮合すると言う経時安定性の
低下が見られたり、乳化安定性が悪かったりすると言う
問題があった。この問題をより詳しく述べると、乳化剤
としてシリコーン系やフッ素系の乳化剤を用いた水性エ
マルジョンでは、シリコーンやフッ素に起因して撥水性
が増大するため、通常の乳化剤を使用した水性エマルジ
ョンに比較して撥水性や吸水防止性は向上するが、それ
でもいまだ不充分であり、しかも、乳化安定性や経時安
定性は悪い。他方、アルコキシシリル基を有するような
上記反応性乳化剤を用いた水性エマルジョンについて
も、撥水性や吸水防止性と乳化安定性や経時安定性の両
方を同時に満足するようなものは得られていなかった。
【0006】なお、このような土木建築材料用途の水性
エマルジョンは、土木建築材料に塗布、含浸、浸漬した
り、土木建築材料の成型前や成型時に添加したりして用
いたときに、この処理により土木建築材料の強度をも増
すという効果もあればより好ましいのであるが、上記公
報開示の水性エマルジョンはいずれも、このような材料
強度の向上効果は殆どなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、上記のご
とき従来の問題を一挙に解決するために、主鎖がビニル
系ポリマーからなり、主鎖の末端および/または側鎖に
アルコキシシリル基を少なくとも1個含有する樹脂に着
目した。すなわち、このアルコキシシリル基含有樹脂
は、これまで数多く知られているが(特開昭54−36
395、特開昭54−40893、特開昭54−915
46、特開昭54−122390、特開昭54−123
192、特開昭55−129405号公報等)、ビニル
系ポリマーの特徴である光沢性、耐候性、耐変色性等に
優れ、アルコキシシリル基の反応性により無機物に対す
る密着性の向上効果が十分に期待され、大気中の水分に
よりアルコキシシリル基が加水分解・重縮合を起こすた
め、常温架橋性があって、緻密な網状構造を形成する能
力を有し、この網状構造により耐溶剤性、耐熱性、高硬
度性、耐候性に優れたものとなる。そのため、このアル
コキシシリル基含有樹脂は、これらの特徴を生かして、
各種塗料、コーティング剤、シーリング剤、接着剤、粘
着剤、カップリング剤等に極めて有用に使用できるので
はないかと考えたのである。
【0008】しかし、前記公報に開示されているアルコ
キシシリル基含有樹脂は、水に対して不安定であり、水
中ではアルコキシシリル基が加水分解・縮合しゲル化が
生じるという問題があったので、この問題を解決するこ
とが必要になる。本発明は、このような問題を解決した
新規なアルコキシシリル基含有樹脂を提供するととも
に、前述した従来公知の加水分解・重縮合性の有機珪素
化合物水性エマルジョンや有機珪素樹脂水性エマルジョ
ンの問題点をも解消していて、乳化安定性や経時安定性
が長期間良好であるとともに撥水性や吸水防止性にも十
分に優れ、さらに、土木建築材料に対して強度付与効果
も優れている水性組成物、および、この水性組成物から
なる土木建築材料用吸水防止剤を提供することを課題と
する。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
を解決するために、鋭意研究した結果、主鎖がビニル系
ポリマーからなり、主鎖の末端および/または側鎖にア
ルコキシシリル基を少なくとも1個含有するアルコキシ
シリル基含有樹脂において、前記主鎖の末端および/ま
たは側鎖に、炭素数8以上のアルキル基とポリアルキレ
ンオキシド基の両者を1分子中にそれぞれ、少なくとも
1個ずつ含有させるようにすることを見い出し、本発明
を完成した。この新規なアルコキシシリル基含有樹脂
は、これ単独でも使用できるが、分子中への炭素数8以
上のアルキル基とポリアルキレンオキシド基の導入によ
り、この樹脂自体が乳化性能を有するようになるため、
これをアルコキシシラン等、従来公知の加水分解・重縮
合性の有機珪素化合物や有機珪素樹脂と併用して、優れ
た土木建築用吸水防止剤等として使用される水性組成物
を構成し得る。
【0010】以下ではまず、本発明のアルコキシシリル
基含有樹脂について詳しく説明する。本発明のアルコキ
シシリル基含有樹脂は、主鎖がビニル系ポリマーからな
っている。ここに、主鎖がビニル系ポリマーとは−C−
C−結合からなる主鎖であることを意味する。
【0011】本発明のアルコキシシリル基含有樹脂は、
このような主鎖の末端および/または側鎖に、1分子あ
たり少なくとも1個のアルコキシシリル基を有するとと
もに、炭素数8以上のアルキル基とポリアルキレンオキ
シド基をも1分子あたり少なくとも1個有する。アルキ
ル基はアルコキシシリル基含有樹脂において疎水性を示
す部分であり、後述するアルコキシシリル基を水から保
護する基であるとともに、本発明の樹脂を土木建築材料
用吸水防止剤の一成分として使用する場合には、吸水防
止性や撥水性を付与する基である。アルキル基は炭素数
8以上のアルキル基であれば、特に限定されない。アル
キル基が炭素数12以上のアルキル基であると、水から
アルコキシシリル基をより効果的に保護することが可能
であり、その加水分解・重縮合、特に重縮合を抑制でき
る。また本発明の樹脂を吸水防止剤の一成分として使用
すると吸水防止性および撥水性が大きくなり好適であ
る。
【0012】炭素数8以上のアルキル基の具体例として
は、例えば、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニ
ル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、ペンタデ
シル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ベヘニル基
等が挙げられ、これらの2種以上の基が樹脂に含まれて
いても良い。ポリアルキレンオキシド基はアルコキシシ
リル基含有樹脂において親水性を示す部分であり、特に
限定はない。ポリアルキレンオキシド基がエチレンオキ
シドの繰り返し単位数3以上のポリアルキレンオキシド
基であると、親水性が高くなり好ましい。
【0013】ポリアルキレンオキシド基の具体例として
は、例えば、ポリエチレンオキシド基、ポリプロピレン
オキシド基、ポリテトラメチレンオキシド基あるいはポ
リ(エチレンオキシド−プロピレンオキシド)のような
異なる2種以上のアルキレンオキシド単位が規則的にま
たは不規則的に結合した基等が挙げられ、これらの2種
以上の基が樹脂に含まれていても良い。
【0014】アルコキシシリル基は無機素材と結合しう
る基であり、特に限定はない。炭素数1〜6、好ましく
は炭素数1〜2のアルコキシ基を有するアルコキシシリ
ル基は、その加水分解・重縮合速度が速く、無機素材と
の結合性が高まるため好ましい。特にトリアルコキシシ
リル基は、無機素材との結合点が多いため好ましい。ア
ルコキシシリル基の具体例としては、例えば、トリメト
キシシリル基、トリエトキシシリル基、トリプロポキシ
シリル基、トリブトキシシリル基、トリペントキシシリ
ル基、トリヘトキシシリル基、ジメトキシエトキシシリ
ル基、ジメトキシメチルシリル基、ジメトキシエチルシ
リル基、ジメトキシプロピルシリル基、ジメトキシブチ
ルシリル基、ジメトキシフェニルシリル基、ジエトキシ
メチルシリル基、ジエトキシエチルシリル基、ジエトキ
シプロピルシリル基、ジエトキシブチルシリル基、ジエ
トキシフェニルシリル基、ジプロポキシメチルシリル
基、ジプロポキシエチルシリル基、ジプロポキシプロピ
ルシリル基、ジプロポキシブチルシリル基、ジプロポキ
シフェニルシリル基、メトキシエトキシメチルシリル
基、メトキシジメチルシリル基、メトキシジエチルシリ
ル基、メトキシジプロピルシリル基、メトキシジブチル
シリル基、メトキシジフェニルシリル基、エトキシジメ
チルシリル基、エトキシジエチルシリル基、エトキシジ
プロピルシリル基、エトキシジブチルシリル基、エトキ
シジフェニルシリル基、プロポキシジメチルシリル基、
プロポキシジエチルシリル基、プロポキシジプロピルシ
リル基、プロポキシジブチルシリル基、プロポキシジフ
ェニルシリル基、メトキシメチルフェニルシリル基、エ
トキシメチルエチルシリル基、エトキシメチルフェニル
シリル基等が挙げられ、これらの2種以上の基が樹脂に
含まれていても良い。
【0015】本発明のアルコキシシリル基含有樹脂は水
中でもアルコキシシリル基の加水分解・重縮合、特に重
縮合しにくく安定である。これは、アルコキシシリル基
含有樹脂を水と混合した場合、水中においてポリアルキ
レンオキシド基が水に相溶し、アルキル基はアルコキシ
シリル基の加水分解・重縮合、特に重縮合を抑制し安定
化させるため、水中で均一に溶解または分散することが
できる。
【0016】本発明のアルコキシシリル基含有樹脂を製
造する方法は特に限定されない。例えば、下記のアルキ
ル基含有ビニル系モノマーと下記のポリアルキレンオキ
シド基含有ビニル系モノマーと下記のアルコキシシリル
基含有ビニル系モノマーとを共重合してなるアルコキシ
シリル基含有樹脂は、水中でもアルコキシシリル基が特
に安定に存在できうる点で好ましく、容易に且つ再現性
良くしかも安価に得られる。
【0017】アルキル基含有ビニル系モノマー:アルキ
ル(メタ)アクリレート(ただし、アルキル基は炭素数
8以上) ポリアルキレンオキシド基含有ビニル系モノマー:ポリ
アルキレングリコール(メタ)アクリレートおよびアル
コキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート
から選ばれる少なくとも1種のモノマー アルコキシシリル基含有ビニル系モノマー:(メタ)ア
クリロキシアルキルトリアルコキシシラン、(メタ)ア
クリロキシアルキルジアルコキシアルキルシラン、ビニ
ルトリアルコキシシランおよびビニルジアルコキシアル
キルシランから選ばれる少なくとも1種のモノマー 上記アルキル基含有ビニル系モノマーはアルキル(メ
タ)アクリレート(但しアルキル基の炭素数は8以上)
であれば特に限定されないが、好ましくはアルキル基の
炭素数が12以上のモノマーである。アルキル基の具体
例としては、例えば、上述のアルキル基が挙げられ、ア
ルキル基含有ビニル系モノマーの具体例としては、例え
ば、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシ
ル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレー
ト、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)ア
クリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ペンタ
デシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)ア
クリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ベヘ
ニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0018】上記ポリアルキレンオキシド基含有ビニル
系モノマーはポリアルキレングリコール(メタ)アクリ
レートおよびアルコキシポリアルキレングリコール(メ
タ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種以上のモ
ノマーであれば特に限定はなく、エチレンオキシドの繰
り返し単位の数が3以上のポリエチレングリコール(メ
タ)アクリレートが好ましい。
【0019】アルキレンオキシド基の具体例としては、
例えば、上述したアルキレンオキシド基が挙げらる。ポ
リアルキレンオキシド基含有ビニル系モノマーの具体例
としては、例えば、ポリエチレングリコール(メタ)ア
クリレート(エチレンオキシドの繰り返し単位の数が1
〜20の範囲にある)、メトキシポリエチレングリコー
ル(メタ)アクリレート(エチレンオキシドの繰り返し
単位の数が1〜100の範囲にある)、ポリプロピレン
グリコール(メタ)アクリレート(プロピレンオキシド
の繰り返し単位の数が1〜20の範囲にある)、ポリエ
チレングリコールポリプロピレングリコール(メタ)ア
クリレート(エチレンオキシドの繰り返し単位の数が1
〜20の範囲にあり、プロピレンオキシドの繰り返し単
位の数が1〜20の範囲にある)、ポリエチレングリコ
ールポリテトラメチレングリコール(メタ)アクリレー
ト(エチレンオキシドの繰り返し単位の数が1〜20の
範囲にあり、テトラメチレンレンオキシドの繰り返し単
位の数が1〜20の範囲にある)、ポリプロピレングリ
コールポリテトラメチレングリコール(メタ)アクリレ
ート(プロピレンオキシドの繰り返し単位の数が1〜2
0の範囲にあり、テトラメチレンレンオキシドの繰り返
し単位の数が1〜20の範囲にある)等が挙げられる。
【0020】上記アルコキシシリル基含有ビニル系モノ
マーは、(メタ)アクリロキシアルキルトリアルコキシ
シラン、(メタ)アクリロキシアルキルジアルコキシア
ルキルシラン、ビニルトリアルコキシシランおよびビニ
ルジアルコキシアルキルシランから選ばれる少なくとも
1種以上のモノマーであれば特に限定されないが好まし
くはアルコキシ基の炭素数が1〜6、特に好ましいのは
炭素数が1〜2の範囲にあるモノマーである。上記モノ
マーの中でも、(メタ)アクリロキシアルキルトリアル
コキシシラン、ビニルトリアルコキシシランが好まし
い。アルコキシシリル基含有ビニル系モノマーの具体例
としては、例えば、(メタ)アクリロキシプロピルトリ
メトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリエ
トキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリプロ
ポキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルジメトキ
シメチルシラン、(メタ)アクリロキシプロピルジエト
キシメチルシラン、(メタ)アクリロキシプロピルジプ
ロポキシメチルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビ
ニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラ
ン、ビニルジメトキシメチルシラン等が挙げられる。
【0021】上記アルキル基含有ビニル系モノマー、ポ
リアルキレンオキシド基含有ビニル系モノマーおよびア
ルコキシシリル基含有ビニル系モノマーは、得られる樹
脂1分子中にアルキル基、ポリアルキレンオキシド基お
よびアルコキシシリル基が各々1個以上含有すれば、任
意の割合で使用できる。好ましくはアルキル基含有ビニ
ル系モノマーXM、ポリアルキレンオキシド基含有ビニ
ル系モノマーYMおよびアルコキシシリル基含有ビニル
系モノマーZMのモル比が、XM:YM:ZM=0.1
〜20:0.1〜20:1の範囲であり、XM:YM:
ZM=0.3〜10:0.3〜10:1の範囲で使用す
ることがより一層好ましい。アルキル基含有ビニル系モ
ノマーXMが少なすぎたり、ポリアルキレンオキシド基
含有ビニル系モノマーYMが多すぎたりすると、アルコ
キシシリル基含有ビニル系モノマーZM中のアルコキシ
シリル基の加水分解・重縮合、特に重縮合を抑制できに
くくなくなり、逆にアルキル基含有ビニル系モノマーX
Mが多すぎたり、ポリアルキレンオキシド基含有ビニル
系モノマーYMが少なすぎたりすると、水中で均一に溶
解または分散できにくくなって樹脂が沈殿となって析出
し易くなる傾向がある。
【0022】アルキル基含有ビニル系モノマー、ポリア
ルキレンオキシド基含有ビニル系モノマーおよびアルコ
キシシリル基含有ビニル系モノマーを共重合させる方法
は、従来公知の方法で共重合させることができ、ラジカ
ル重合開始剤の存在下、バルク重合、溶液重合、懸濁重
合、乳化重合等のいずれの方法を用いても良い。しかし
ながら、溶液重合以外の方法では、高分子量化するため
溶液重合で共重合させるのが好ましい。
【0023】ラジカル重合開始剤としては、例えば、従
来公知の開始剤を使用することができる。開始剤の種類
は限定されないが、好ましくはアゾ化合物、過酸化物等
から選ばれる少なくとも1種の化合物である。上記のラ
ジカル重合開始剤の使用量も、特に限定されないが、多
量に使用すると発熱量が多くなって反応の制御が困難と
なる。一方、少量使用の場合には高分子量化し易い。好
ましくは、アルキル基含有ビニル系モノマー、ポリアル
キレンオキシド基含有ビニル系モノマーおよびアルコキ
シシリル基含有ビニル系モノマーの合計量に対して0.
5〜7wt%、更に好ましくは1〜5wt%の範囲で使
用するのがよい。
【0024】溶液重合に用いる溶媒は、アルキル基含有
ビニル系モノマー、ポリアルキレンオキシド基含有ビニ
ル系モノマー、アルコキシシリル基含有ビニル系モノマ
ーおよびラジカル重合開始剤が溶解する溶媒であれば特
に限定されない。具体例としては、例えば、ケトン類、
エステル類、芳香族炭化水素類、エーテル類、アルコー
ル類、ハロゲン化炭化水素類等が挙げられ、いずれか1
種類を単独で使用してもよく、2種類以上の溶媒の混合
溶媒で使用されたりする。
【0025】また共重合させる際の温度は、重合方法や
使用するラジカル重合開始剤によって適宜選択可能であ
るが、重合反応の制御を容易にするために、30〜20
0℃、好ましくは50〜150℃の範囲である。共重合
の際に、共重合可能な他のビニル系モノマーを使用して
共重合しても良く、また連鎖移動剤や分子量調節剤、界
面活性剤を適宜使用してもよい。重合時間も特に限定は
なく、例えば、生産性の観点からは1〜12時間とする
と好ましい。
【0026】また、本発明のアルコキシシリル基含有樹
脂を製造する他の方法としては、例えば、上記のアルキ
ル基含有ビニル系モノマー、ポリアルキレンオキシド基
含有ビニル系モノマーおよびカルボキシル基含有ビニル
系モノマー(例えば、(メタ)アクリル酸等)を予め上
述したように共重合させた後、得られた共重合体中のカ
ルボキシル基とエポキシ基含有アルコキシシラン(例え
ば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等)
を反応させて、本発明のアルコキシシリル基含有樹脂を
製造することもできる。このように予め、ビニル系ポリ
マーを合成し、その後、得られたビニル系ポリマー中の
官能基と反応する官能基を有し、かつ、アルキル基およ
び/またはアルコキシシリル基および/またはポリアル
キレンオキシド基を有する化合物と、ビニル系ポリマー
を反応させて本発明のアルコキシシリル基含有樹脂を製
造することもできる。
【0027】本発明のアルコキシシリル基含有樹脂1分
子中のアルキル基、ポリアルキレンオキシド基およびア
ルコキシシリル基の数は、アルコキシシリル基含有樹脂
1分子中に各々1個以上含有しておれば特に限定される
ものではないが、アルキル基Xとポリアルキレンオキシ
ド基Yのアルコキシシリル基Zに対する個数の比が、
X:Y:Z=0.1〜20:0.1〜20:1の範囲に
ある樹脂が好ましく、X:Y:Z=0.3〜10:0.
3〜10:1の範囲にある樹脂がより一層好ましい。ア
ルキル基Xが少なすぎたり、ポリアルキレンオキシド基
Yが多すぎると、アルコキシシリル基Zの加水分解・重
縮合を抑制できにくくなくなり、逆にアルキル基Xが多
すぎたり、ポリアルキレンオキシド基Yが少なすぎる
と、水中で均一に溶解または分散できにくくなって樹脂
が沈殿となって析出し易くなる傾向がある。
【0028】本発明のアルコキシシリル基含有樹脂の数
平均分子量は、特に限定されないが、600〜5000
0が好ましく、更に好ましくは700〜10000、よ
り一層好ましくは800〜5000の範囲である。数平
均分子量が小さすぎると、アルキル基、ポリアルキレン
オキシド基およびアルコキシシリル基の内の一部の基が
含有されない樹脂が多量に存在する場合があり、数平均
分子量が大きすぎると特に後述の土木建築材料用吸水防
止剤に使用する場合に材料への浸透性が悪くなる傾向が
ある。特に土木建築材料用吸水防止剤としては数平均分
子量は600〜4000の範囲が最も好ましい。次に、
本発明の水性組成物について説明する。
【0029】本発明の水性組成物は、アルコキシシリル
基含有樹脂および水から構成される。アルコキシシリル
基含有樹脂は、撥水性および吸水防止性を示すアルキル
基、材料と反応したりそれ自身で更に加水分解・重縮合
可能なアルコキシシリル基および水と親和性(親水性)
を示すポリアルキレンオキシド基を有しており、かつ、
ビニル系ポリマーからなるため材料の強度の向上が計れ
る。
【0030】前記アルコキシシリル基含有樹脂および水
の割合は特に限定されないが、アルコキシシリル基含有
樹脂と水の合計量に対するアルコキシシリル基含有樹脂
の割合が0.5〜30wt%の範囲が好ましく、1〜2
5wt%の範囲が更に好ましく、2〜20wt%の範囲
が一層好ましい。アルコキシシリル基含有樹脂が少なす
ぎると、塗布して使用する場合に1回だけの塗布では材
料に強度や撥水性や吸水防止性を付与できにくく塗布回
数を増やす必要がある。逆にアルコキシシリル基含有樹
脂が多すぎると、粘度が高くなって材料への浸透性が悪
くなる傾向がある。
【0031】本発明の水性組成物は、撥水性および吸水
防止性を更に高めるために、アルコキシシリル基含有樹
脂および水に、さらに、一般式(I)R1 l Si(OR
2 4-l (ただし、R1 は炭素数1〜20の一価炭化水
素基、R2 は水素原子または炭素数1〜6のアルキル
基、lは1または2である。R1 が複数ある場合は、複
数のR1 は互いに同一であっても良く、異なっていても
良い。複数のR2 は互いに同一であっても良く、異なっ
ていても良い。)で示されるシラン化合物(A)および
/またはその加水分解物および/またはその重縮合物を
も含む水性組成物が好ましい。
【0032】前記一般式(I)中、R1 は炭素数1〜2
0の一価炭化水素基ならば特に限定されないが、飽和ア
ルキル基、アリール基およびアラルキル基から選ばれる
少なくとも一種が好ましく、撥水性、吸水防止性、遮塩
性および耐アルカリ性を著しく向上させれる点で炭素数
4〜18のこれらの基がより一層好ましい。中でも耐候
性に優れる点で炭素数4〜18の飽和アルキル基が最も
好ましい。
【0033】R1 の具体例としては、例えば、メチル
基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−
ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デ
シル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基
等の飽和アルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリ
ール基、ベンジル基等のアラルキル基、ビニル基、ヘキ
セニル基、オクテニル基等のアルケニル基等が挙げられ
る。
【0034】前記一般式(I)中、R2 は水素原子また
は炭素数1〜6のアルキル基ならば特に限定されず、炭
素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、
エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチ
ル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げ
られ、中でもメチル基またはエチル基が好ましい。炭素
数3以上になると加水分解・重縮合性が低下する。
【0035】lは1または2であり、加水分解・重縮合
性官能基を多く含有できる点でl=1が好ましい。シラ
ン化合物(A)の具体例としては、例えば、メチルトリ
メトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルト
リプロキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチル
トリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、n
−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエト
キシシラン、n−プロピルトリプロポキシシラン、n−
ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシ
ラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリ
エトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシ
ルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、
オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリプロポキシ
シラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメト
キシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、テトラ
デシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシ
シラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、オクタデシ
ルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、
フェニルトリエトキシシラン、ベンジルトリメトキシシ
ラン、ベンジルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキ
シシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジブチルジメト
キシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェ
ニルジメトキシシラン、ジフェニルシランジオール、ビ
ニルトリメトキシシラン、ヘキセニルトリメトキシシラ
ン、オクテニルトリメトキシシラン等が挙げられる。こ
れらシラン化合物(A)は1種または2種以上を使用し
ても良い。
【0036】特にシラン化合物(A)が、前記一般式
(I)において、R1 が炭素数4〜18の飽和アルキル
基、アリール基、アラルキル基から選ばれる少なくとも
1種、特に飽和アルキル基、R2 がメチル基またはエチ
ル基、l=1であるトリアルコキシシラン化合物が好ま
しい。これは、加水分解・重縮合性官能基を多く含有で
き、撥水性、吸水防止性、遮塩性、耐アルカリ性、耐候
性等に優れた水性組成物となるからである。
【0037】シラン化合物(A)の重縮合物を使用する
際に、適度の親水性を付与して乳化安定性や経時安定性
を更に向上させるために、シラン化合物(A)と下記親
水性シラン化合物(B)との共重縮合物を用いることが
好ましい。すなわち、シラン化合物(A)50〜99.
9mol%、好ましくは80〜99mol%と、一般式
(II)R3 m 4 n Si(OR5 4-m-n (但し、R3
はオキシラン基または水酸基を含んでなる炭素数1〜2
0の有機基、R4 は水素原子または炭素数1〜20の一
価炭化水素基、R5 は水素原子または炭素数1〜6のア
ルキル基、mは1〜3の整数、nは0〜2の整数、但し
m+nは3以下の整数を満足する。R3 、R4 またはR
5 が各々複数ある場合互いに同一であっても良く、少な
くとも1つが異なっていても良い。)で示される親水性
シラン化合物(B)0.1〜50mol%、好ましくは
1〜20mol%(但し、シラン化合物(A)+親水性
シラン化合物(B)=100mol%である。)との共
重縮合物をも含む水性組成物は、長期間乳化安定性や経
時安定性が特に優れたものとなる。ここで、親水性シラ
ン化合物(B)が多すぎると本発明の水性組成物の撥水
性や吸水防止性が低下する傾向がある。
【0038】前記一般式(II)中、R3 はオキシラン基
または水酸基を含んでなる炭素数1〜20の有機基であ
れば、特に限定されないが、オキシラン基を含んでなる
炭素数1〜20の有機基としては、例えば、(式1)で
示される基(但し、pは1〜17の整数である)、(式
2)で示される基(但し、qは0〜14の整数である)
等が挙げられ、また水酸基を含んでなる炭素数1〜20
の有機基としては、例えば(式3)で示される基(但
し、rは1〜20の整数である)やヒドキシフェノキシ
プロピル基、ヒドロキシプロピニル基等が挙げられる。
【0039】
【化1】
【0040】
【化2】
【0041】
【化3】
【0042】ここでオキシラン基を有する炭素数1〜2
0の有機基が、共重縮合物に適度の親水性を付与できる
理由としては、シラン化合物(A)と共重縮合する際に
オキシラン基が開環して水酸基が生成することに起因す
ると考えられる。特に、R3が(式1)で示される基が
共重縮合物に適度の親水性を付与でき易い点で好まし
く、中でも(式1)において、p=1〜5の整数で示さ
れる基が、本発明の水性組成物の乳化安定性や経時安定
性を特に向上させるので特に好ましい。
【0043】前記一般式(II)中、R4 は水素原子また
は炭素数1〜20の一価炭化水素基であれば、特に限定
されず、炭素数1〜20の一価炭化水素基としては、例
えば、一般式(I)のR1 で例示された基が挙げられ、
中でも、飽和アルキル基、アリール基およびアラルキル
基から選ばれる少なくとも1種が好ましく、本発明の水
性組成物の撥水性、吸水防止性や耐候性が向上できる点
で飽和アルキル基、中でも炭素数1〜4のアルキル基、
特にメチル基が好ましい。
【0044】前記一般式(II)中、R5 は水素原子また
は炭素数1〜6のアルキル基ならば特に限定されず、炭
素数1〜6のアルキル基としては例えば、前記一般式
(I)のR2 で例示された基が挙げられ、中でもメチル
基またはエチル基が好ましい。炭素数3以上になると共
重縮合物の加水分解・重縮合性が低下する。mは1〜3
の整数、nは0〜2の整数(但し、m+nは3以下の整
数である)であるが、好ましくはm=1、n=1であ
る。mが2以上やnが2の場合シラン化合物(A)との
共重縮合性が低下するため、逆に共重縮合物に親水性が
付与されにくくなる。
【0045】特に、親水性シラン化合物(B)が一般式
(II)において、R3 が(式1)で示される基(但し、
pは1〜5の整数である)、R4 はメチル基、R5 はメ
チル基またはエチル基、m=1、n=1である親水性ジ
アルコキシシラン化合物(B−1)が好ましい。これ
は、共重縮合物中に適度の親水性を付与でき、本発明の
水性組成物が乳化安定性や経時安定性に一層優れた物と
なるからである。
【0046】このような親水性シラン化合物(B)の具
体例としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリ
メトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキ
シシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシ
シラン、3−グリシドキシプロピルジメチルメトキシシ
ラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルト
リメトキシシラン、3−ヒドキシプロピルトリメトキシ
シラン、3−(ο−ヒドロキシフェノキシプロピル)ト
リメトキシシラン、3−ヒドロキシフェノキシトリメト
キシシラン、2−ヒドロキシフェノキシトリメトキシシ
ラン、3−ヒドロキシ−1−プロピニルトリメトキシシ
ラン等が挙げられる。これら親水性シラン化合物(B)
は1種または2種以上を使用しても良い。
【0047】シラン化合物(A)単独またはシラン化合
物(A)と親水性シラン化合物(B)を(共)重縮合す
る方法は特に限定されず、無溶媒下またはシラン化合物
(A)、親水性シラン化合物(B)および水とを溶解で
きるような有機溶媒中で行われる。(共)重縮合は無溶
媒下で行うのが好ましいが、有機溶媒中で行ってもよ
い。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノー
ル、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、n−
ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチル
ケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン
等のエーテル類、メチルセロソルブ、エチルセロソル
ブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類等が挙げられ
る。
【0048】(共)重縮合反応に使用した有機溶媒、
(共)重縮合により副生するR2 OH、R5 OH(但
し、R2 、R5 が炭素数1〜6の場合)は、本発明の水
性組成物中に存在すると乳化安定性が悪くなるため、
(共)重縮合の反応の際、あるいは、反応の後に系外に
除去するのが好ましい。有機溶媒、副生したR2 OH、
5OHを系外に除去する方法は、特に限定はないが、
蒸留が好ましい。使用した有機溶媒、副生するR2
H、R5 OHは、上記理由により、存在させても、
(共)重縮合物に対して150wt%以下とし、好まし
くは80wt%以下、更に好ましくは30wt%以下で
ある。(共)重縮合物中に使用した有機溶媒、副生する
2 OH、R5 OHを存在させないのが最も好ましい。
【0049】(共)重縮合させる際の水の量は特に限定
されないが、多すぎると得られる(共)重縮合物の経時
安定性が悪くなる傾向があり、少なすぎると(共)重縮
合反応が生じにくくなるので、好ましくはシラン化合物
(A)と親水性シラン化合物(B)の合計量に対して、
10〜500mol%、更に好ましくは30〜300m
ol%、より一層好ましくは50〜150mol%の範
囲である。
【0050】(共)重縮合させる際に、酸触媒または塩
基触媒を使用しても良い。酸触媒としては、例えば、塩
酸、硝酸、硫酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、蓚酸、p−ト
ルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等の有
機酸等の系に溶解する酸触媒や、アンバーライト15、
アンバーライト200C、アンバーリスト15(以上、
ローム・アンド・ハース社製)、デュオライトC26−
C、デュオライトC−433(以上、住友化学社製)等
の陽イオン交換樹脂、リンタングステン酸、コバルトタ
ングステン酸等のヘテロポリ酸、アルミナ、シリカーア
ルミナ、ゼオライト等の金属酸化物、モンモリロナイ
ト、カオリナイト等の粘土鉱物等の系に不溶な固体酸触
媒が挙げられる。また、塩基触媒としては、例えば、ア
ンモニア、尿素、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等
の無機塩基、トリエチルアミン、n−ブチルアミン等の
有機アミン、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシ
ド、ナトリムエトキシド等の有機金属化合物等の系に溶
解する塩基触媒や、アンバーライトIRA−400、ア
ンバーライトIRA−45(以上、ローム・アンド・ハ
ース社製)等の陰イオン交換樹脂、酸化カルシウム、酸
化マグネシウム等の金属酸化物等の系に不溶な塩基触媒
が挙げられる。中でも、酸触媒が好ましい。酸触媒が好
ましい理由は、(共)重縮合物が高度な架橋構造をとり
にくく、比較的鎖状や一部分枝状の構造をとり易いため
である。また、酸触媒の中でも系に不溶な固体酸触媒を
使用すると、(共)重縮合終了後にこれを容易に除去で
きるので好ましい。系に溶解する触媒を使用すると、本
発明の水性組成物中に触媒が残存するため、乳化安定性
および経時安定性が低下する場合がある。しかしなが
ら、系に溶解する触媒であっても、(共)重縮合後中和
して沈殿として生成させた後濾過して除去したり、イオ
ン交換樹脂で除去することにより、本発明の水性組成物
の乳化安定性および経時安定性を良好に維持することが
可能である。また、例えば、中和すると乳化剤として作
用するドデシルベンゼンスルホン酸のような酸触媒を使
用すると、中和によって触媒を物理的に除去する必要は
なく、かつ、中和後は乳化剤として使用できるため好ま
しい。
【0051】(共)重縮合する際の反応温度および時間
は、シラン化合物(A)、親水性シラン化合物(B)の
種類によっても異なるが、通常、室温〜100℃の反応
温度、10分間〜10時間の範囲で行うと好ましい。高
温下あるいは長時間反応を行うと重縮合物の分子量が増
大するため、例えば、土木建築材料用吸水防止剤に使用
する場合には、材料への浸透性が低下することがある。
【0052】シラン化合物(A)を重縮合する際に、一
般式(III )R6 3SiOR7 (但し、R6 は炭素数1〜
20の一価炭化水素基、R7 は水素原子または炭素数1
〜6のアルキル基、複数のR6 は互いに同一であっても
良く、少なくとも1つが異なっていても良い。)で示さ
れる末端封止シラン化合物(C)を、シラン化合物
(A)に対して0.1〜20mol%以下用いて得られ
る、シラン化合物(A)と末端封止シラン化合物(C)
との共重縮合物をも含む水性組成物は好ましい。あるい
は、シラン化合物(A)単独を重縮合して得られる重縮
合物に、更に、末端封止シラン化合物(C)を共重縮合
して得られる共重縮合物をも含む水性組成物も好まし
い。
【0053】また、シラン化合物(A)と親水性シラン
化合物(B)とを共重縮合する際に、前記末端封止シラ
ン化合物(C)を、シラン化合物(A)と親水性シラン
化合物(B)の合計量に対して0.1〜20mol%以
下用いて得られる、シラン化合物(A)と親水性シラン
化合物(B)と末端封止シラン化合物(C)との共重縮
合物をも含む水性組成物は好ましい。あるいは、シラン
化合物(A)と親水性シラン化合物(B)を共重縮合し
て得られる共重縮合物に、更に、末端封止シラン化合物
(C)を共重縮合して得られる共重縮合物をも含む水性
組成物も好ましい。
【0054】シラン化合物(A)単独またはシラン化合
物(A)と親水性シラン化合物(B)の(共)重縮合で
は、シラン化合物(A)や親水性シラン化合物(B)の
Si原子に有機基が結合しているため主に直鎖状に重縮
合が進行し易く、その成長末端に末端封止シラン化合物
(C)を結合させることにより経時安定性が更に優れた
水性組成物となる。
【0055】ここで、前記一般式(III )中、R6 は炭
素数1〜20の一価炭化水素基であれば、特に限定され
ず、例えば、一般式(I)のR1 で例示された基が挙げ
られ、中でも、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、
特にメチル基が好ましい。炭素数が多すぎると末端封止
シラン化合物(C)の反応性が低下して、シラン化合物
(A)、親水性シラン化合物(B)あるいはこれらの
(共)重縮合物と反応しにくくなるからである。
【0056】前記一般式(III )中、R7 は水素原子ま
たは炭素数1〜6のアルキル基ならば特に限定されず、
炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、前記一般
式(I)のR2 で例示された基が挙げられ、中でもメチ
ルまたはエチル基が好ましい。炭素数3以上になるとシ
ラン化合物(A)、親水性シラン化合物(B)あるいは
これらの(共)重縮合物と反応しにくくなるからであ
る。
【0057】このような末端封止シラン化合物(C)の
具体例としては、例えば、トリメチルメトキシシラン、
トリメチルエトキシシラン、ジメチルエチルメトキシシ
ラン、ジメチルフェニルメトキシシラン、トリメチルシ
ラノール、トリフェニルシラノール等が挙げられ、これ
ら末端封止シラン化合物(C)は1種または2種以上を
使用しても良い。
【0058】本発明の水性組成物は、上述のように一般
式(I)で示されるシラン化合物(A)および/または
その加水分解物および/またはその重縮合物をも含むと
好ましいが、揮発性がなく材料に撥水性や吸水防止性を
有効に付与できる点で、シラン化合物(A)が単独の重
縮合物の形、シラン化合物(A)と親水性シラン化合物
(B)の共重縮合物の形、または、シラン化合物(A)
と末端封止シラン化合物(C)、シラン化合物(A)と
親水性シラン化合物(B)と末端封止シラン化合物
(C)等の末端封止シラン化合物(C)との共重縮合物
の形で含まれているとさらに好ましい。
【0059】得られた(共)重縮合物の構造は特に限定
されないが、プラスチックフィルム、繊維、紙、ガラス
等の表面処理剤や土木建築材料用吸水防止剤としては、
鎖状または一部分岐状の(共)重縮合物が好ましい。本
発明の水性組成物に含まれるシラン化合物(A)および
/またはその加水分解物および/またはその(共)重縮
合物(以下、「シラン化合物(A)および/またはその
加水分解物および/またはその(共)重縮合物」を「シ
ラン反応物」ということがある。)の数平均分子量は、
特に限定されないが、中でも、300〜50000が好
ましく、更に好ましくは300〜10000、より一層
好ましくは400〜5000である。数平均分子量が小
さすぎると揮発性が高くなり、撥水性および吸水防止性
が低下する場合があり、数平均分子量が大きすぎると特
に土木建築材料用吸水防止剤に使用する場合に材料への
浸透性が悪くなる傾向がある。特に土木建築材料用吸水
防止剤としては数平均分子量は400〜2000の範囲
が最も好ましい。
【0060】本発明の水性組成物中のアルコキシシリル
基含有樹脂と水の合計量に対するシラン化合物(A)お
よび/またはその加水分解物および/またはその(共)
重縮合物の割合は、特に限定されないが、1〜150w
t%の範囲が好ましく、10〜120wt%の範囲が更
に好ましく、20〜100wt%の範囲が一層好まし
い。少なすぎると、材料に非常に高い撥水性および吸水
防止性付与するためには、塗布して使用する場合に1回
だけの塗布では不充分な場合があり塗布回数を増やす必
要がある。多すぎると粘度が高くなって材料への浸透性
が悪くなる傾向がある。
【0061】本発明の水性組成物中のアルコキシシリル
基含有樹脂の数平均分子量は、特に限定されないが、6
00〜50000が好ましく、更に好ましくは700〜
10000、より一層好ましくは800〜5000であ
る。数平均分子量が小さすぎると、アルキル基、ポリア
ルキレンオキシド基およびアルコキシシリル基のうちの
一部の基が含有されない樹脂が多量に存在する場合があ
り、数平均分子量が大きすぎると特に後述の土木建築材
料用吸水防止剤に使用する場合に材料への浸透性が悪く
なる傾向がある。特に土木建築材料用吸水防止剤として
は数平均分子量は600〜4000の範囲が最も好まし
い。
【0062】本発明の水性組成物中に乳化剤等を含まな
くても乳化安定性および経時安定性は十分に良好である
が、乳化剤を使用して更に乳化安定性および経時安定性
を高めても良い。乳化剤としては、ノニオン性、アニオ
ン性、カチオン性のいずれの乳化剤でも使用できるが、
乳化安定性および経時安定性を特に向上できる点で、ノ
ニオン性乳化剤が好ましい。
【0063】ノニオン性乳化剤は、特に限定はなく、そ
の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリ
ルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリ
オキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレ
ンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェ
ニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエー
テル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、
ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル等のポリオ
キシエチレンアルキルエーテル類やポリオキシエチレン
アルキルアリルエーテル類、ソルビタンモノラウレー
ト、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステ
アレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモ
ノオレート、ソルビタントリオレート、ソルビタンセス
キオレエート、ソルビタンジステアレート等のソルビタ
ン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモ
ノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパル
ミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレ
ート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレー
ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリ
オキシエチレンソルビタントリオレート、テトラオレイ
ン酸ポリオキシエチレンソルビット等のポリオキシエチ
レンソルビタン脂肪酸エステル類やポリオキシエチレン
ソルビトール脂肪酸エステル類、グリセロールモノステ
アレート、グリセロールモノオレート、モノグリセライ
ドステアリン系、モノグリセライドオレイン系、モノグ
リセライドステアリン・オレイン系等のグリセリン脂肪
酸エステル類、ポリエチレングリコールモノラウレー
ト、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエ
チレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコ
ールモノオレート等のポリオキシエチレン脂肪酸エステ
ル類、ジメチルシロキサンの側鎖や末端をポリアルキレ
ンオキサイドで変性したジメチルシロキサン共重合体、
ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポ
リマー、ポリビニルアルコール、セルロース類、レシチ
ン、ポリオキシエチレンアルキルアミンエーテル、脂肪
酸ジエタノールアミド、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げ
られ、これらノニオン性乳化剤の1種または2種以上を
使用してもよい。
【0064】本発明の水性組成物の乳化安定性、経時安
定性、吸水防止性および撥水性を特に良好にする乳化剤
としては、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル
類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、
ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル類およ
びジメチルシロキサン共重合体から選ばれる少なくとも
1種以上であり、中でもポリオキシエチレンソルビタン
脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂
肪酸エステル類およびジメチルシロキサン共重合体から
選ばれる少なくとも1種以上が好ましい。
【0065】ノニオン性乳化剤のHLBは特に限定され
ないが、HLB6〜15が好ましく、HLB8〜13が
より好ましく、HLB9〜11の範囲がより一層好まし
く、HLBの異なる2種以上のノニオン性乳化剤を混合
使用しても良い。またHLB6未満あるいはHLB15
を超えても使用可能であるが、それらを混合して上記H
LBの範囲内にして使用するのが好ましい。
【0066】これら乳化剤の配合量は水性組成物に対し
て20wt%以下であり、好ましくは10wt%以下で
ある。なお、乳化剤はシラン反応物、アルコキシシリル
基含有樹脂および水と均一に混じり合うことが好まし
く、水で希釈しても相分離しないのが良い。本発明の水
性組成物のpHを3〜12にすると、経時安定性に優れ
る。好ましくは4〜10、更に好ましくは5〜9であ
る。
【0067】また、本発明の水性組成物中に従来公知の
乳化助剤、増粘剤、pH緩衝剤、シリカゾル、アルミナ
ゾル、水溶性ポリマー、有機系乳化重合物等を添加して
も良くこれらに限定されない。本発明の水性組成物中に
は、防カビ剤、防藻剤、防蟻剤等の添加剤を混合しても
良くこれらに限定されない。本発明の水性組成物を得る
ために、アルコキシシリル基含有樹脂、水、場合により
シラン反応物を混合溶解または分散乳化する方法として
は、一般の混合や乳化する方法が用いられ、特に限定は
ない。例えば、スターラー、ホモミキサー、ウルトラデ
ィスパーサー、高圧ホモジナイザー等で高速攪拌しなが
ら、水にアルコキシシリル基含有樹脂を、場合によりシ
ラン反応物をアルコキシシリル基含有樹脂と別々または
混合した液を水に少しずつ添加したり、アルコキシシリ
ル基含有樹脂と水の混合液にシラン反応物を少しずつ添
加したり、あるいはこれらの逆を行うことにより本発明
の水性組成物が得られる。
【0068】また、シラン反応物として上記(共)重縮
合物を使用する場合には、(共)重縮合物を予め用意せ
ずに、シラン化合物(A)、場合により親水性シラン化
合物(B)、末端封止シラン化合物(C)との(共)重
縮合反応と上記混合乳化を同時に行っても良い。例え
ば、シラン化合物(A)単独またはシラン化合物(A)
および親水性シラン化合物(B)、好ましくはこれらに
末端封止シラン化合物(C)を混合した液に、更にアル
コキシシリル基含有樹脂を混合した液を、水に少しずつ
添加しながら混合乳化したり、あるいはその逆を行うこ
とが挙げられる。その際に(共)重縮合速度を速めるた
めに、触媒として上記に例示した触媒を共存させ、中で
も、ドデシルベンゼンスルホン酸のような後で中和する
ことにより乳化剤として作用するものが好ましく、
(共)重縮合反応と混合乳化を同時に行った後、アンモ
ニア水や水酸化ナトリウムの水溶液で中和する方法がと
られる。また、(共)重縮合反応と乳化を同時に行うと
より微細なエマルジョンが得られ易い。
【0069】本発明の水性組成物は土木建築材料用吸水
防止剤として好適に使用される。土木建築材料としては
特に限定されないが、例えば、打放しコンクリート、プ
レキャストコンクリート、軽量気泡コンクリート(AL
C)、軽量コンクリート、セメント板、押出しセメント
板、石綿セメント板、パルプセメント板、木毛セメント
板、ガラス繊維入りセメント板、カーボン繊維入りセメ
ント板、モルタル、目地モルタル、石膏ボード、石膏プ
ラスター、ドロマイトプラスター、ハードボード、珪酸
カルシウム板、しっくい、ブロック、レンガ、タイル、
瓦、スレート、天然石、人工石、ガラスウール、ロック
ウール、セラミックファイバー、木材、合板等が挙げら
れる。
【0070】土木建築材料に使用する方法としては特に
限定されないが、好ましい使用する方法として、例え
ば、上記材料へローラー、刷毛、スプレー等を用い塗布
したり、場合によっては含浸、浸漬することが挙げられ
る。この際、本発明の吸水防止剤は、シラン反応物とア
ルコキシシリル基含有樹脂との合計量が、シラン反応物
とアルコキシシリル基含有樹脂と水との合計量に対して
3〜30wt%、好ましくは5〜20wt%の範囲に水
で希釈して使用される。シラン反応物とアルコキシシリ
ル基含有樹脂との合計量が少なすぎると塗布、含浸ある
いは浸漬等の回数を増やす必要があり、多すぎると材料
への浸透性が悪くなる。また、土木建築材料に使用する
他の好ましい例としては、例えば上記材料を製造する際
に添加することが挙げられる。例えば、モルタルではセ
メント、砂、水等を混和調製する際に本発明の吸水防止
剤を添加した後成形したり、コンクリートではセメン
ト、細骨材、粗骨材、減水剤、水等を混練する際に、本
発明の吸水防止剤を添加した後成形することが挙げら
れ、他の材料でもこれらと同様に成形する前や成形する
際に添加することが挙げられる。
【0071】このようにして本発明の吸水防止剤は、更
に加水分解・重縮合反応により材料表面および内部にお
いて強固に且つ優れた吸水防止層や撥水層を形成し、雨
水、汚水、酸性雨等による材料の劣化や汚れのしみこ
み、海(塩)水による塩害、寒冷地における凍結融解作
用によるひび割れ、材料からの塩の溶出による白華等の
解決に有用であり、水蒸気を放出する機能も有するため
炭酸ガスによる中性化、骨材に含まれるシリカとアルカ
リによるアルカリ骨材反応の防止等にも優れている。ま
た、アルコキシシリル基含有樹脂が含有されているため
材料の強度向上が計れる。更に種々の塗料や仕上げ材の
防水プライマーとしても有用である。
【0072】
【作用】本発明によれば、従来よりも水に対して安定で
ある新規なアルコキシシリル基含有樹脂を提供できる。
また、この樹脂と水、場合により特定のシラン化合物お
よび/またはその加水分解物および/またはその(共)
重縮合物からなる水性組成物は、長期間乳化安定性およ
び経時安定性が良好であり、且つ撥水性および吸水防止
性に優れているとともに、特に新規な樹脂を含有してい
るため材料の強度向上が計れる。本発明の水性組成物
は、プラスチックフィルム、繊維、紙、ガラス等の有機
または無機素材から成る種々の材料の表面処理剤として
有用であり、特に土木建築材料用吸水防止剤として有用
である。
【0073】
【実施例】以下に本発明の具体的な実施例および比較例
を示すが、本発明は下記実施例に限定されない。「%」
は特に限定のない限り「wt%」を示す。「X基」は
「アルキル基」を、「Y基」は「ポリアルキレンオキシ
ド基」を、「Z基」は「アルコキシシリル基」を示す。
「シラン反応物」は「シラン化合物および/または加水
分解物および/またはその(共)重縮合物」を示す。
【0074】−実施例1− 容積200mlの四つ口フラスコにイソプロピルアルコ
ール41g入れ、攪拌しながらN2 ガスをゆっくりと流
し、窒素雰囲気下で80℃まで加熱した。滴下ロート
に、アルキル基含有ビニル系モノマーとしてラウリルア
クリレートとトリデシルアクリレートの混合物30g
(平均分子量247、0.121mol)、ポリアルキ
レンオキシド基含有ビニル系モノマーとしてポリエチレ
ングリコールメタクリレート30g(エチレンオキシド
の繰り返し単位の数が7〜9、平均分子量438、0.
068mol)、アルコキシシリル基含有ビニル系モノ
マーとしてγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシ
ラン8g(分子量248、0.032mol)およびイ
ソプロピルアルコール27gを混合したモノマー溶液を
入れ、別の滴下ロートにn−ドデシルメルカプタン(D
M)5.4gを入れた。またラジカル重合開始剤として
2,2′−アゾビスイソブチロニトリル0.045gを
メタノール4.2gに溶解した開始剤溶液を用意した。
上記80℃に加熱された四つ口フラスコ中のイソプロピ
ルアルコールに開始剤溶液の半分量を入れ、5分後にモ
ノマー溶液の10%とDMの10%を滴下し重合を開始
した。発熱を確認後、5分間攪拌を続け、温度が82℃
になってからモノマー溶液を2時間かけて滴下した。ま
た、モノマー溶液の滴下の間に残りのDMを12回に分
けて滴下した。モノマー溶液を滴下開始してから1時間
後に開始剤溶液の残りの半分量を入れ、モノマー溶液の
滴下終了後開始剤溶液の残りをすべて入れた。モノマー
溶液の滴下終了後温度を87℃まで昇温しそのまま1時
間攪拌を続けた。室温まで冷却後150℃で真空乾燥し
て固形分を測定したところ46.5wt%であった。次
いでイソプロピルアルコールを減圧加熱留去して樹脂
(1)を製造した。数平均分子量、X基、Y基およびZ
基の有無、ビニル系ポリマーの有無、水中分散時のZ基
の安定性について、その評価結果を表1に示す。なお、
各評価方法を以下に示す。 (数平均分子量)GPC法により、ポリスチレン換算の
数平均分子量を測定した。 (X基の確認方法)得られた樹脂を13C−NMR分析を
行い、10〜40ppm付近に現れるケミカルシフトよ
りアルキル基を確認した。 (Y基の確認方法)得られた樹脂を、13C−NMR分析
を行い40〜70ppm付近に現れるケミカルシフト
(CH2 −O)および、IR分析を行い1085〜11
50cm-1付近に現れるスペクトル(C−O−C)によ
り確認した。 (Z基の確認方法)得られた樹脂を、29Si−NMR分
析を行い−80〜−100ppm付近に現れるケミカル
シフト(Si−OR)および、該樹脂1gを1N−Na
OH水溶液50g中に入れ室温下24時間攪拌して加水
分解されて生成したアルコールをGC分析により確認し
た。なお、この時のアルコール量をZAとする。 (ビニル系ポリマーの確認方法)得られた樹脂を、IR
分析を行い1150〜1300cm-1付近に現れるスペ
クトル(−CH2 −)により確認した。 (水中分散時の安定性)得られた樹脂1gを水50g中
に入れ室温下2週間攪拌した後に加水分解されて生成し
たアルコールをGC分析により測定し、この時のアルコ
ール量をZBとする。ZB/ZAが0.5以下の時を安
定性が良好とした。 −実施例2− 容積200mlの四つ口フラスコにイソプロピルアルコ
ール40g入れ、攪拌しながらN2 ガスをゆっくりと流
し80℃まで加熱した。滴下ロートに、アルキル基含有
ビニル系モノマーとしてラウリルアクリレートとトリデ
シルアクリレートの混合物20g(平均分子量247、
0.081mol)、ポリアルキレンオキシド基含有ビ
ニル系モノマーとしてメトキシポリエチレングリコール
メタクリレート42g(エチレンオキシドの繰り返し単
位の数が9、分子量496、0.085mol)、アル
コキシシリル基含有ビニル系モノマーとしてγ−メタク
リロキシプロピルジメトキシメチルシラン3g(分子量
232、0.013mol)、ラジカル重合開始剤とし
て2,2′−アゾビスイソブチロニトリル2.5gおよ
びイソプロピルアルコール20gを混合したモノマー溶
液を用意した。上記80℃に加熱された四つ口フラスコ
中のイソプロピルアルコールにモノマー溶液を2時間か
けて滴下した。モノマー溶液の滴下終了後温度を87℃
まで昇温しそのまま1時間攪拌を続けた。室温まで冷却
後イソプロピルアルコールを減圧加熱留去して樹脂
(2)を製造した。なお、実施例1と同様にして重合後
の固形分を測定したところ47.3wt%であった。数
平均分子量、X基、Y基およびZ基の有無、ビニル系ポ
リマーの有無、水中分散時のZ基の安定性について、そ
の評価結果を表1に示す。 −実施例3− 実施例1において、アルキル基含有ビニル系モノマーと
してステアリルアクリレート22g(分子量324、
0.068mol)、ポリアルキレンオキシド基含有ビ
ニル系モノマーとしてポリエチレングリコールメタクリ
レート37g(エチレンオキシドの繰り返し単位の数が
7〜9、平均分子量438、0.084mol)、アル
コキシシリル基含有ビニル系モノマーとしてビニルトリ
メトキシシラン8g(分子量148、0.054mo
l)を用いた以外は同様にして樹脂(3)を製造した。
なお、実施例1と同様にして重合後の固形分を測定した
ところ42.8wt%であった。数平均分子量、X基、
Y基およびZ基の有無、ビニル系ポリマーの有無、水中
分散時のZ基の安定性について、その評価結果を表1に
示す。 −実施例4− 実施例1において、アルキル基含有ビニル系モノマーと
して2−エチルヘキシルアクリレート22g(分子量1
84、0.120mol)、ポリアルキレンオキシド基
含有ビニル系モノマーとしてポリエチレングリコールメ
タクリレート21g(エチレンオキシドの繰り返し単位
の数が4〜5、平均分子量284、0.074mo
l)、アルコキシシリル基含有ビニル系モノマーとして
ビニルジメトキシメチルシラン20g(分子量132、
0.152mol)、n−ドデシルメルカプタン(D
M)10.8gを用いた以外は同様にして樹脂(4)を
製造した。なお、実施例1と同様にして重合後の固形分
を測定したところ43.2wt%であった。数平均分子
量、X基、Y基およびZ基の有無、ビニル系ポリマーの
有無、水中分散時のZ基の安定性について、その評価結
果を表1に示す。 −比較例1− 実施例1において、アルキル基含有ビニル系モノマーを
使用しない以外は同様にして樹脂(11)を製造した。
数平均分子量、X基、Y基およびZ基の有無、ビニル系
ポリマーの有無、水中分散時のZ基の安定性について、
その評価結果を表1に示す。 −比較例2− 実施例1において、ポリアルキレンオキシド基含有ビニ
ル系モノマーを使用しない以外は同様にして樹脂(1
2)を製造した。数平均分子量、X基、Y基およびZ基
の有無、ビニル系ポリマーの有無、水中分散時のZ基の
安定性について、その評価結果を表1に示す。 −比較例3− 実施例1において、アルコキシシリル基含有ビニル系モ
ノマーを使用しない以外は同様にして樹脂(13)を製
造した。数平均分子量、X基、Y基およびZ基の有無、
ビニル系ポリマーの有無について、その評価結果を表1
に示す。 −実施例5− 純水180.0gをホモジナイザーを用いて高速攪拌し
ながら、実施例1で得られた樹脂(1)20.0gを、
徐々に添加、混合して乳化を行った。そのまま1時間高
速攪拌を続け、水性組成物(1)(乳白色のエマルジョ
ン)を製造した。
【0075】吸水防止性、撥水性、浸透性、乳化安定
性、経時安定性、遮塩性、耐アルカリ性および耐候性の
評価結果を表4に示す。なお、評価方法は以下の通りで
ある。 (モルタルサンプルの調製)シラン反応物、アルコキシ
シリル基含有樹脂、水の合計量に対して、シラン反応物
とアルコキシシリル基含有樹脂と合計量の濃度が10w
t%になるように水性組成物を純水で希釈し含浸液とし
た。この含浸液200g中に、モルタル(5cm×5c
m×1.5cm)を1分間浸漬した後、23℃、60%
RH下で1週間養生してモルタルサンプルとし下記各種
試験に供した。 (吸水防止性)モルタルサンプルを純水200g中に浸
漬し、7時間後に取り出し、余剰水を乾いた布で拭き取
った後に重量測定を行い、下式により吸水率を算出し
た。
【0076】吸水率(wt%)=〔(浸漬後の重量−浸
漬前の重量)/浸漬前の重量〕×100 評価基準は以下の通りである。 ◎: 吸水率が1.5wt%未満 ○: 吸水率が1.5wt%以上2.5wt%未満 △: 吸水率が2.5wt%以上3.5wt%未満 ×: 吸水率が3.5wt%以上 なお、未処理モルタルの吸水率を同様にして測定する
と、7.5wt%であった。 (撥水性)モルタルサンプルに0.5mlの水滴を落と
し、水滴の接触角を観察した。評価基準は以下の通りで
ある。
【0077】◎: 接触角大 ○: 接触角中 △: 接触角小 ×: 水滴が浸み込む (浸透性)モルタルサンプルを切断しその断面に純水を
吹き付け、撥水層の厚みより浸透深さを測定した。評価
基準は以下の通りである。
【0078】◎: 2mm以上 ○: 1mm以上2mm未満 △: 0.5mm以上1mm未満 ×: 0.5mm未満 (乳化安定性)得られた組成物を50℃で静置し二層分
離の有無を観察した。評価基準は以下の通りである。
【0079】◎: 30日以上二層分離無し ○: 20日以上二層分離無いが、30日までには二層
分離する △: 5日以上二層分離無いが、20日までには二層分
離する ×: 5日未満で二層分離する (経時安定性)得られた組成物を50℃、30日間静置
し、静置前後の数平均分子量をGPC測定(ポリスチレ
ン換算)により評価し、下式により分子量変化を調べ
た。
【0080】分子量の変化率=静置後の数平均分子量/
静置前の数平均分子量 評価基準は以下の通りである。 ◎: 2未満 ○: 2以上3未満 △: 3以上4未満 ×: 4以上 (遮塩性)モルタルサンプルを3wt%NaCl水溶液
200g中に浸漬し、7時間後に取り出し、余剰のNa
Cl水溶液を拭き取った後破断し、その断面に0.4N
のAgNO3 水溶液を吹き付け、断面の色の変化よりC
- の浸漬の程度を観察した。なお、Cl- が存在する
と淡紫色に変色し、存在しないと淡褐色に変色する。評
価基準は以下の通りである。
【0081】◎: 淡紫色に変色せず ○: 断面の周囲がわずかに淡紫色に変色 △: 断面の中心部以外は淡紫色に変色 ×: 断面全体が淡紫色に変色 (耐アルカリ性)モルタルサンプルを飽和水酸化カルシ
ウム水溶液200g中に浸漬し、7時間後に取り出し、
余剰の飽和水酸化カルシウム水溶液を拭き取った後、吸
水防止性と同様にして飽和水酸化カルシウム水溶液の吸
収率を測定した。耐アルカリ性は下式により評価した。
【0082】耐アルカリ性=飽和水酸化カルシウム水溶
液の吸収率/純水の吸水率 評価基準は以下の通りである。 ◎: 0.9未満 ○: 0.9以上0.95未満 △: 0.95以上1未満 ×: 1以上 (耐候性)モルタルサンプルをキセノンウェザーメータ
ー型促進耐候試験機を用い、500時間紫外線を照射し
て吸水防止性およびサンプル表面の着色の有無を観察し
た。
【0083】 ◎: 吸水率が1.5wt%未満で、着色せず ○: 吸水率が1.5wt%以上2.5wt%未満で、
着色せず △: 吸水率が2.5wt%以上3.5wt%未満で、
着色せず ×: 吸水率が3.5wt%以上または着色(黄変) −実施例6− 実施例5において、アルコキシシリル基含有樹脂および
水の種類およびその量を表2に示した以外は同様にし
て、水性組成物(2)を製造した。その結果を表3に示
す。また、各種物性の評価結果を表4に示す。 −比較例4− 実施例5において、アルコキシシリル基含有樹脂として
比較例3で得られた樹脂(13)20.0gを用いた以
外は同様にして、比較組成物(1)を製造した。その結
果を表3に示す。また、各種物性の評価結果を表4に示
す。 −実施例7− シラン化合物としてヘキシルトリメトキシシラン90.
0g、アルコキシシリル基含有樹脂として実施例1で得
られた樹脂(1)8.0gを混合した液をホモジナイザ
ーを用いて高速攪拌しながら、純水102.0gを徐々
に添加、混合して乳化を行った。そのまま1時間高速攪
拌を続け、水性組成物(3)(乳白色のエマルジョン)
を製造した。その結果を表3に示す。また、各種物性の
評価結果を表4に示す。 −実施例8および9− 実施例7において、シラン化合物、アルコキシシリル基
含有樹脂および純水の種類およびその量を表2に示した
以外は同様にして、水性組成物(4)、水性組成物
(5)を製造した。その結果を表3に示す。また、各種
物性の評価結果を表4に示す。 −実施例10− ヘキシルトリメトキシシラン206.4g(1.00m
ol)、メタノール85.5g、純水12.6g(0.
7mol)およびアンバーリスト15(ローム・アンド
・ハース社製)6.8gを混合し、還流下2時間加熱
し、ヘキシルトリメトキシシランの重縮合を行った。次
に添加および副生したメタノールを、100℃、100
mmHg下で留去した。冷却後濾過によりアンバーリス
ト15を除去し、重縮合物(10)141.4gを得
た。
【0084】重縮合物(10)の数平均分子量はGPC
分析より600であった。また、重縮合物(10)以外
の残存物を調べるためにGC分析を行ったところ、ヘキ
シルトリメトキシシランは、3.7wt%含有されてい
た。また、メタノールはGC分析では検出されなかっ
た。次に、重縮合物(10)50.0gと、アルコキシ
シリル基含有樹脂として実施例1で得られた樹脂(1)
5.0gを混合した液をホモジナイザーを用いて高速攪
拌しながら、純水70.0gを徐々に添加、混合して乳
化を行った。そのまま1時間高速攪拌を続け、水性組成
物(6)(乳白色のエマルジョン)を製造した。各種物
性の評価結果を表4に示す。 −実施例11− 実施例10において、ヘキシルトリメトキシシラン20
6.4g(1.00mol)、トリメチルメトキシシラ
ン5.2g(0.05mol)、メタノール100.0
g、純水18.9g(1.05mol)を使用した以外
は、実施例10と同様にして共重縮合物(11)13
8.3g(メタノール2.5wt%、トリメチルメトキ
シシラン0.3wt%含有、数平平均分子量は800)
を得た。
【0085】次に、共重縮合物(11)51.3gと、
アルコキシシリル基含有樹脂として実施例1で得られた
樹脂(1)5.0gを混合した液をウルトラディスパー
ザーを用いて高速攪拌しながら、純水143.7gを徐
々に添加、混合して乳化を行った。そのまま1時間高速
攪拌を続け、水性組成物(7)(乳白色のエマルジョ
ン)を製造した。各種物性の評価結果を表4に示す。
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】
【0088】
【表3】
【0089】
【表4】
【0090】
【発明の効果】本発明は、水中でも安定である新規なア
ルコキシシリル基含有樹脂を提供する。また、本発明
は、アルコキシシリル基含有樹脂と水、場合により特定
のシラン化合物および/またはその加水分解物および/
またはその(共)重縮合物からなる水性組成物を提供
し、長期間の乳化安定性や経時安定性が良好で、且つ撥
水性や吸水防止性に優れたものである。また、加水分解
・重縮合性官能基を有しているため種々の材料と結合可
能であり、プラスチックフィルム、繊維、紙、ガラス等
の有機または無機素材からなる種々の材料と結合し、こ
れら材料の撥水化あるいは吸水防止化するのに優れてい
るため、これら材料の表面処理剤として有用であり、特
に土木建築材料用吸水防止剤として有用なものである。
更に、本発明の水性組成物は主鎖にビニル系ポリマーか
らなるアルコキシシリル基含有樹脂を含有しているた
め、例えば、土木建築材料吸水防止剤として使用した場
合、使用した材料の強度の向上を期待できる。
【0091】本発明の土木建築材料用吸水防止剤に含ま
れるアルコキシシリル基含有樹脂の加水分解・重縮合性
官能基が、加水分解・重縮合反応により材料表面および
内部において強固に結合し優れた吸水防止層や撥水層を
形成し、雨水、汚水、酸性雨等による材料の劣化や汚れ
のしみこみ、海(塩)水による塩害、寒冷地における凍
結融解作用によるひび割れ、材料からの塩の溶出による
白華等の問題の解決に有用であり、水蒸気を放出する機
能も有するため炭酸ガスによる中性化、骨材に含まれる
シリカとアルカリによるアルカリ骨材反応の防止等にも
優れている。更に種々の塗料や仕上げ材の防水プライマ
ーとしても有用である。

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主鎖がビニル系ポリマーからなり、主鎖
    の末端および/または側鎖にアルコキシシリル基を少な
    くとも1個含有する樹脂において、前記主鎖の末端およ
    び/または側鎖には、炭素数8以上のアルキル基とポリ
    アルキレンオキシド基をもそれぞれ少なくとも1個含有
    することを特徴とするアルコキシシリル基含有樹脂。
  2. 【請求項2】 アルキル基が炭素数12以上のアルキル
    基であり、ポリアルキレンオキシド基がエチレンオキシ
    ドの繰返し単位数3以上のポリアルキレンオキシド基で
    あり、アルコキシシリル基が炭素数1〜6のアルコキシ
    基を有するアルコキシシリル基である請求項1記載のア
    ルコキシシリル基含有樹脂。
  3. 【請求項3】 下記のアルキル基含有ビニル系モノマー
    と下記のポリアルキレンオキシド基含有ビニル系モノマ
    ーと下記のアルコキシシリル基含有ビニル系モノマーと
    を共重合してなる請求項1または2記載のアルコキシシ
    リル基含有樹脂。アルキル基含有ビニル系モノマー:ア
    ルキル(メタ)アクリレート(ただし、アルキル基は炭
    素数8以上) ポリアルキレンオキシド基含有ビニル系モノマー:ポリ
    アルキレングリコール(メタ)アクリレートおよびアル
    コキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート
    から選ばれる少なくとも1種のモノマー アルコキシシリル基含有ビニル系モノマー:(メタ)ア
    クリロキシアルキルトリアルコキシシラン、(メタ)ア
    クリロキシアルキルジアルコキシアルキルシラン、ビニ
    ルトリアルコキシシランおよびビニルジアルコキシアル
    キルシランから選ばれる少なくとも1種のモノマー
  4. 【請求項4】 アルキル基Xとポリアルキレンオキシド
    基Yのアルコキシシリル基Zに対する個数の比が、X:
    Y:Z=0.1〜20:0.1〜20:1である請求項
    1〜3のいずれかに記載のアルコキシシリル基含有樹
    脂。
  5. 【請求項5】 数平均分子量が800〜5000である
    請求項1〜4のいずれかに記載のアルコキシシリル基含
    有樹脂。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載のアルコ
    キシシリル基含有樹脂と水からなる水性組成物。
  7. 【請求項7】 アルコキシシリル基含有樹脂と水の合計
    量に対するアルコキシシリル基含有樹脂の割合が0.5
    〜30wt%である請求項6記載の水性組成物。
  8. 【請求項8】 一般式(I)R1 l Si(OR2 4-l
    (ただし、R1 は炭素数1〜20の一価炭化水素基、R
    2 は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基、lは1
    または2である。R1 が複数ある場合は、複数のR1
    互いに同一であっても良く、異なっていても良い。複数
    のR2 は互いに同一であっても良く、異なっていても良
    い。)で示されるシラン化合物(A)および/またはそ
    の加水分解物および/またはその重縮合物をも含む請求
    項6または7記載の水性組成物。
  9. 【請求項9】 一般式(I)R1 l Si(OR2 4-l
    (ただし、R1 は炭素数1〜20の一価炭化水素基、R
    2 は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基、lは1
    または2である。R1 が複数ある場合は、複数のR1
    互いに同一であっても良く、異なっていても良い。複数
    のR2 は互いに同一であっても良く、異なっていても良
    い。)で示されるシラン化合物(A)と、シラン化合物
    (A)に対して0.1〜20mol%以下の一般式(II
    I )R6 3SiOR7 (但し、R 6 は炭素数1〜20の一
    価炭化水素基、R7 は水素原子または炭素数1〜6のア
    ルキル基、複数のR6 は互いに同一であっても良く、少
    なくとも1つが異なっていても良い。)で示される末端
    封止シラン化合物(C)との共重縮合物をも含む請求項
    6〜8のいずれかに記載の水性組成物。
  10. 【請求項10】 シラン化合物(A)が一般式(I)に
    おいて、R1 が炭素数4〜18の飽和アルキル基、アリ
    ール基、アラルキル基から選ばれる少なくとも1種、R
    2 がメチル基またはエチル基、l=1であるトリアルコ
    キシシラン化合物である請求項8または9記載の水性組
    成物。
  11. 【請求項11】 シラン化合物(A)が単独の重縮合物
    の形または末端封止シラン化合物(C)との共重縮合物
    の形で含まれている請求項8〜10記載の水性組成物。
  12. 【請求項12】 シラン化合物(A)および/またはそ
    の加水分解物および/またはその(共)重縮合物の数平
    均分子量が400〜5000である請求項8〜11のい
    ずれかに記載の水性組成物。
  13. 【請求項13】 アルコキシシリル基含有樹脂と水の合
    計量に対する、シラン化合物(A)および/またはその
    加水分解物および/またはその(共)重縮合物の割合が
    1〜150wt%である請求項6〜12のいずれかに記
    載の水性組成物。
  14. 【請求項14】 アルコキシシリル基含有樹脂の数平均
    分子量が800〜5000である請求項6〜13のいず
    れかに記載の水性組成物。
  15. 【請求項15】 請求項6〜14のいずれかに記載の水
    性組成物からなる土木建築材料用吸水防止剤。
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