JP3631322B2 - 無機系屋根材の処理方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無機系屋根材の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、無機系屋根材に対し、褪色防止、吸水防止、凍害防止、塩害防止等の処理を施す加工方法として、たとえば、下記の方法が知られている。
(1)ナトリウムメチルシリコネートやカリウムメチルシリコネート等のアルカリアルキルシリコネートの希薄水溶液中に無機系屋根材を浸漬させることにより、シロキサン層を形成させる方法(特公昭57−27059号公報参照);
(2)アルキルアルコキシシランや、その加水分解・重縮合物を有機溶剤中に溶解させた溶液を無機系屋根材に含浸させることにより、吸水防止層を形成させる方法(特開平4−92875号公報、特開平5−171046号公報、特開平6−228535号公報参照);
(3)アルキルアルコキシシランを含有するエマルジョンを無機系屋根材に含浸させることにより、吸水防止層を形成させる方法(特開昭62−197369号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来公知の方法には、下記(1)〜(3)の問題があった。
(1)の方法では、焼成された無機系屋根材を室温まで冷却させる必要がないため、無機系屋根材の製造ラインに含浸工程を組み込むことが可能であり、しかも、含浸させるアルカリアルキルシリコネートの濃度が低くても容易に無機系屋根材を処理することができるので、広く実用に供されてはいるが、アルカリアルキルシリコネートが強アルカリ性であるため、含浸槽等の金属を腐食させやすいので、その取り扱いに注意を要する。
【0004】
(2)の方法では、有機溶剤が引火性、可燃性であるため、無機系屋根材を室温まで冷却させる必要があるので、無機系屋根材の製造ラインに含浸工程を組み込むことができない。
(3)の方法では、無機系屋根材の製造ラインに含浸工程を組み込むことは可能であるが、吸水防止、凍害防止、塩害防止等の機能を付与するためには、シラン濃度を高くし、かつ、含浸時間を長くする必要があるので、生産性が低下し、無機系屋根材のコストが高くなる。
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、優れた吸水防止性、凍害防止性、塩害防止性等を無機系屋根材に付与することができ、安全性が高いエマルジョンを含浸させる工程をその製造ラインに導入し、生産性良く無機系屋根材を処理することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の無機系屋根材の処理方法は、下記一般式(1)で示されるシラン化合物(S)、その加水分解物およびその重縮合物からなる群の中から選ばれる少なくとも1種からなる有機ケイ素成分と、混合HLBが20を超え30以下の値である2種以上の乳化剤とを含むエマルジョンを無機系屋根材に含浸させる方法である。
【0007】
【化2】
【0008】
(但し、R4 は炭素数1〜20の1価炭化水素基、R5 は炭素数1〜6のアルキル基、pは1または2である。)
【0009】
【発明の実施の形態】
〔有機ケイ素成分〕
無機系屋根材に含浸させるエマルジョンに含有される有機ケイ素成分は、上記一般式(1)で示されるシラン化合物(S)、その加水分解物およびその重縮合物からなる群の中から選ばれる少なくとも1種からなり、撥水性および吸水防止性を有し、かつ無機系屋根材と結合したり、それ自身で加水分解・重縮合して無機系屋根材に撥水層や吸水防止層を生成することのできる成分である。
【0010】
一般式(1)中、R4 は撥水性や吸水防止性を示す基であり、炭素数1〜20の1価炭化水素基ならば特に限定されないが、飽和アルキル基、アリール基およびアラルキル基からなる群の中から選ばれる少なくとも1種が好ましく、撥水性、吸水防止性、および耐久性を著しく向上させれる点で炭素数4〜18のこれらの基がより一層好ましい。中でも耐久性に優れる点で炭素数4〜18の飽和アルキル基が最も好ましい。R4 が複数である場合は、複数のR4 は互いに同一であっても良く、異なっていても良い。
【0011】
R4 の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等の飽和アルキル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基;ビニル基、ヘキセニル基、オクテニル基等のアルケニル基が挙げられる。
【0012】
一般式(1)中、R5 は無機系屋根材と結合したり、それ自身で加水分解・重縮合できる基であり、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であれば特に限定はなく、炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が挙げられる。中でも加水分解・重縮合性が高い点でメチル基またはエチル基が好ましく、エチル基が最も好ましい。メチル基では加水分解・重縮合性が高すぎるため、エマルジョンを経時的に増粘・ゲル化させる等の保存安定性に支障をきたす場合がある。また、複数のR5 は互いに同一であっても良く、異なっていても良い。pは1または2であり、加水分解・重縮合性官能基を多く含有できる点でpが1であるのが好ましい。
【0013】
シラン化合物(S)の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリプロポキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリプロポキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ヘキセニルトリメトキシシラン、オクテニルトリメトキシシランが挙げられる。これらシラン化合物(S)は1種または2種以上を使用しても良い。
【0014】
一般式(1)において、R4 が炭素数4〜18の飽和アルキル基、アリール基およびアラルキル基からなる群の中から選ばれる少なくとも1種、R5 がメチル基またはエチル基、pが1であるトリアルコキシシラン化合物が好ましい。特に、一般式(1)において、R4 が炭素数4〜18の飽和アルキル基、R5 がエチル基、pが1であるトリアルコキシシラン化合物がさらに好ましい。これは、加水分解・重縮合性官能基を多く含有でき、撥水性、吸水防止性および耐久性により優れた無機系屋根材を得ることができるからである。
【0015】
シラン化合物(S)の加水分解物およびその重縮合物は、シラン化合物(S)を従来公知の方法で、加水分解・重縮合することによって得られる。例えば、無溶媒中、または、シラン化合物(S)および水とを溶解できるような有機溶媒中で行なわれる。有機溶媒としては、アルコール類、ケトン類、エーテル類、セルソロブ類が挙げられる。水の量は、特に限定されないが、水の量が多すぎると得られる重縮合物が高分子量体となるため、エマルジョンの浸透性が低下する場合がある。また、重縮合させる際に、従来公知の酸触媒または塩基触媒を使用しても良い。
【0016】
有機ケイ素成分の数平均分子量については特に限定はないが、好ましくは5000以下、さらに好ましくは2000以下、より一層好ましくは1000以下である。前述の範囲を外れると、無機系屋根材への浸透性が悪くなったり、表面に有機成分が残ってその色合いが変わる。
〔乳化剤〕
無機系屋根材に含浸させるエマルジョンは2種以上の乳化剤を含んでおり、これら乳化剤の混合HLBは、20を超え30以下の値であり、好ましくは20を超え25以下の値である。乳化剤は、前記混合HLBの範囲内であれば特に限定されないが、通常、ノニオン性乳化剤とイオン性乳化剤とからなるものである。混合HLBが前記範囲外であると、浸透性、吸水防止性、撥水性および耐久性が低下する。なお、HLBおよび混合HLBの定義およびその値は、後述した定義、算出方法によった。
【0017】
用いられる2種以上の乳化剤の混合HLBが前記範囲内であれば、有機ケイ素成分の濃度が低濃度であってもエマルジョン中の液滴の粒径が微細化するので、無機系屋根材に深く浸透して、吸水防止性、浸透性、耐久性等の物性が向上する。
ノニオン性乳化剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、ジメチルシロキサンの側鎖や末端をポリアルキレンオキサイドで変性したジメチルシロキサン共重合体類、セルロース類が挙げられる。
【0018】
イオン性乳化剤は、通常、アニオン性乳化剤とカチオン性乳化剤の2種類に分けられる。
アニオン性乳化剤の具体例としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、高級アルコール硫酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル類、アルキルナフチル酸塩類等が挙げられる。
【0019】
カチオン性乳化剤の具体例としては、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等が挙げられる。
無機系屋根材に含浸させるエマルジョンにおいては、これらの乳化剤の2種以上を使用し、その混合HLBの値を、20を超え30以下、好ましくは20を超え25以下の範囲にする。中でも2種以上の乳化剤のうち、その少なくとも1種のHLBが40を超える値であると、少量の乳化剤でも液滴の粒径がより微細化するので、乳化安定性、浸透性、吸水防止性および耐久性がより向上するため好ましい。
【0020】
乳化剤の少なくとも1種がイオン性部分およびノニオン性部分の両方を分子内に有し、ノニオン性部分がエチレンオキシドの繰り返し単位からなり、繰り返し単位の数が10以上であると、浸透性、吸水防止性、乳化安定性および耐久性がさらに向上するため好ましい。このような乳化剤の具体例としては、オキシエチレンの繰り返し単位数が10以上であるポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム塩またはナトリウム塩、オキシエチレンの繰り返し単位数10以上であるポリオキシエチレンジノニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム塩またはナトリウム塩、オキシエチレンの繰り返し単位数10以上であるポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル硫酸アンモニウム塩またはナトリウム塩、オキシエチレンの繰り返し単位数10以上であるポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸アンモニウム塩またはナトリウム塩等が挙げられる。中でも、オキシエチレンの繰り返し単位数が15以上であるポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム塩またはナトリウム塩は、撥水性および吸水防止性に優れるために好ましい。
【0021】
HLBの算出方法については、Griffin、川上、Davies、小田らによって種々のHLB計算式が定義され、提案されている。本発明では、乳化剤がノニオン性の場合はGriffinの式に従い、イオン性またはイオン性とノニオン性との両方を有している場合はDaviesの式に従った。その理由は、通常これらの式に従ってHLBが計算されることが多いためである。
【0022】
Griffinの式
▲1▼ 親水部分がオキシエチレンにより成っているもの、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシ脂肪酸エステル等の場合
HLB=E/5 E:分子中のオキシエチレンの重量%
▲2▼ 親水部分がオキシエチレンと多価アルコールより成っているもので、明瞭なケン化価が得にくい場合
HLB=(E+P)/5
E:分子中のオキシエチレンの重量%
P:分子中の多価アルコールの重量%
▲3▼ 脂肪酸の多価アルコールエステル、例えば(ポリオキシエチレン)ソルビタンの脂肪酸エステル、モノグリセリド等の場合
HLB=20(1−S/N)
S:エステルのケン化価
N:エステルを構成する脂肪酸の中和価
Daviesの式
HLB=7+ΣL+ΣH
L:疎水基のHLB基数
H:親水基のHLB基数
DaviesのHLB基数は下記の表1に示す通り。
【0023】
【表1】
【0024】
2種以上の乳化剤を使用した際の混合乳化剤のHLB値(混合HLB)は以下の算出方法によっての計算される。
HLB値= Σ(Wi×HLBi)/100
Wi:1種の乳化剤の重量%
HLBi:1種の乳化剤のHLB値
乳化剤がアルコキシシリル基を有する化合物を含むと、アルコキシシリル基が加水分解可能で、無機系屋根材と結合可能な反応性を有するようになるために好ましい。また、本発明で用いられるエマルジョンの無機系屋根材への浸透性が、従来開示されている有機珪素化合物や有機珪素樹脂の水性エマルジョンに比較して、格段に向上する。その結果、経時的な吸水防止性や撥水性の低下の程度が小さく、耐久性に優れた無機系屋根材が得られる。
【0025】
アルコキシシリル基を有する化合物の具体例としては、下記一般式(2)で示されるアルコキシシラン化合物(A)、下記一般式(3)〜(6)で示されるアルコキシシリル基を有する化合物、骨格が炭素、ケイ素、酸素、窒素等からなり、疎水基(炭素数が8以上のアルキル基等)、親水基(アルキレンオキシド基、スルホン酸塩基、カルボン酸塩基、4級アンモニウム塩基等)およびアルコキシシリル基を含有する化合物(ポリマーも含む)、あるいは、これらの加水分解物およびその重縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。上記アルコキシシリル基を有する化合物は1種または2種以上を併用して使用しても良い。
【0026】
【化3】
【0027】
但し、R1 :H、ハロゲン原子または炭素数1〜20の炭化水素基
R2 :炭素数1〜10の炭化水素基
R3 :炭素数1〜10の置換してもよいアルキル基
A :炭素数2〜4の置換してもよいアルキレン基
B :H、SO3 NH4 、SO3 Na、CO2 NH4 またはCO2 Na
m :1〜200の整数
n :0〜2の整数
【0028】
【化4】
【0029】
但し、R6 :置換基を有していても良いアルキル基
R7 :炭素数1〜10の炭化水素基
R8 :炭素数1〜10の置換していても良いアルキル基
D:SO3 Na、SO3 NH4 、CO2 Na、CO2 NH4 または−N(R9 )3 Y
R9 :炭素数1〜10の炭化水素基
Y:ハロゲン原子
q:0〜2の整数
【0030】
【化5】
【0031】
R6 :置換基を有していても良いアルキル基
R7 :炭素数1〜10の炭化水素基
R8 :炭素数1〜10の置換していても良いアルキル基
E:SO3 Na、SO3 NH4 、CO2 Na、CO2 NH4 または−N(R9 )3 Y
R9 :炭素数1〜10の炭化水素基
Y:ハロゲン原子
r:0〜2の整数
【0032】
【化6】
【0033】
R10:炭素数1〜10の炭化水素基
R11:炭素数1〜10の置換していても良いアルキル基
s:0〜2の整数
F:炭素数2〜4の置換していても良いアルキレン基
G:H、SO3 Na、SO3 NH4 、CO2 NaまたはCO2 NH4
t:1〜200の整数
x:1以上の整数
【0034】
【化7】
【0035】
R10:炭素数1〜10の炭化水素基
R11:炭素数1〜10の置換していても良いアルキル基
R12:置換基を有していても良い炭化水素基
u:0〜2の整数
v:1以上の整数
J:炭素数2〜4の置換していても良いアルキレン基
w:1〜200の整数
乳化剤が、上記一般式(2)で示されるアルコキシシラン化合物(A)、その加水分解物およびその重縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むと、加水分解可能で、無機系屋根材と結合可能な反応性を有するようになり、また、浸透性、吸水防止性および耐久性が最も向上するため好ましい。
〔エマルジョン〕
無機系屋根材に含浸させるエマルジョンは、上記で説明した有機ケイ素成分および乳化剤を含んでいる。乳化剤は2種以上からなり、その混合HLBは20を超え30以下の値である。乳化剤の混合HLBが前記範囲内であればエマルジョンの液滴の粒径が微細化するので、材料に深く浸透するため、吸水防止性、浸透性および耐久性が向上する。
【0036】
有機ケイ素成分の配合割合は、特に限定されないが、好ましくはエマルジョン全体に対して5重量%未満、より好ましくは0.01〜4重量%、さらに好ましくは0.1〜3重量%、最も好ましくは0.5〜2重量%である。有機ケイ素成分が前記範囲を超えると、粘度が高くなって、無機系屋根材へのエマルジョンの浸透性が悪くなる傾向がある場合がある。
【0037】
乳化剤の配合割合は、特に限定はされないが、たとえば、有機ケイ素成分に対して、好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは0.1〜3重量%、さらに好ましくは0.1〜2重量%、最も好ましくは0.1〜1重量%の範囲である。エマルジョン中に乳化剤が少なすぎると、有機ケイ素成分の乳化性能が不充分となり、乳化安定性、経時安定性および浸透性が低下する場合があり、一方、多すぎると撥水性や吸水防止性が低下したり、耐久性が悪くなったり、表面に乳化剤や有機ケイ素成分が残って色合いが変わってしまうことがある。
【0038】
エマルジョンは、有機ケイ素成分および乳化剤の他に水を含んでいると、無機系屋根材に深く浸透し易く好ましい。その場合、有機ケイ素成分、乳化剤および水の合計は100重量%である。
エマルジョンのpHを3〜12にすると、経時安定性に優れる。好ましくは4〜10、さらに好ましくは5〜9である。
【0039】
また、エマルジョン中に、従来公知の増粘剤、pH緩衝剤、pH調整剤、シリカゾル、アルミナゾル、セリアゾル、紫外線吸収剤、水溶性ポリマー、有機系乳化重合物を添加しても良く、これらに限定されない。エマルジョン中には、さらに、防カビ剤、防藻剤、防蟻剤の添加剤を混合しても良く、これら添加剤に限定されない。
【0040】
エマルジョンを得るための方法としては、一般の混合や乳化する方法が用いられ、特に限定はない。例えば、スターラー、ホモミキサー、ウルトラディスパーサー、高圧ホモジナイザー等で高速攪拌しながら、有機ケイ素成分と乳化剤とを別々または混合した液を水に少しずつ添加したり、乳化剤と水の混合液に有機ケイ素成分を少しずつ添加したり、あるいはこれらの逆を行うことによりエマルジョンが得られる。
〔無機系屋根材〕
本発明で処理される無機系屋根材としては、特に限定されないが、たとえば、スレート、セメント、コンクリート、セラミック、陶器、粘土、素焼き等の材質の屋根材が挙げられる。また、その形状についても特に限定はなく、たとえば、瓦状、板状、波板状等が挙げられる。無機系屋根材が、スレート瓦、セメント瓦、コンクリート瓦、セラミック瓦、陶器瓦、粘土瓦、素焼き瓦等の瓦状屋根材であると、生産性良く、効率的に処理できるため好ましい。
〔無機系屋根材の処理方法〕
本発明の無機系屋根材の処理方法は、前記エマルジョンを前記無機系屋根材に含浸させる方法である。含浸の手法は、特に限定はされず、たとえば、スプレーやコーター等で塗布したり、前記エマルジョン中へ浸漬したりすること等の、従来から公知の方法を用いることができるが、たとえば、あらかじめエマルジョンが入れられた浸漬槽内に、乳化性を維持するためにエマルジョンを攪拌しながら無機系屋根材を浸漬して、無機系屋根材中へエマルジョンを浸透させる方法が好ましい。
【0041】
本発明の無機系屋根材の処理方法は、無機系屋根材の製造工程において、焼成後の無機系屋根材であればどの時点で行ってもよく、特に制限はないが、たとえば、焼成後、30〜90℃の温度、好ましくは30〜80℃の温度に冷却された無機系屋根材に対して、エマルジョンを使用して処理する方法が、無機系屋根材の吸着水が少なく、エマルジョンがよく浸透するため好ましい。それ以上の温度であると、処理をするにつれてエマルジョンの温度は高くなって、乳化安定性が悪くなる傾向があり、処理がうまくいかないことがある。また、それ以下の温度であると、吸着水が多くなって、エマルジョンの浸透性が悪くなったり、生産性が低下することがある。エマルジョンは有機溶剤を含まないため、前述したように焼成された無機系屋根材を室温まで完全に冷却させなくても、ある程度冷却した時点で安全に含浸処理できるので、無機系屋根材を生産性良く処理し、生産コストを低く抑えられる。
【0042】
エマルジョンを無機系屋根材に含浸させる処理時間は特に限定はされないが、好ましくは1分以内、より好ましくは1〜30秒、最も好ましくは2〜10秒であると、生産性と、浸透性、吸水防止性、凍害防止性、遮塩性等の性能との釣り合いをとることができる。
エマルジョンを含浸処理した無機系屋根材は、そのまま常温下で積み重ねて放置したり、再び加熱して、浸透した水分を蒸発させたりして、有機ケイ素成分を無機系屋根材の表面近傍に固定化させて、吸水防止性、凍害防止性、遮塩性等の性能に優れた無機系屋根材となる。
【0043】
【実施例】
以下に本発明の具体的な実施例および比較例を示すが、本発明は下記実施例に限定されない。「%」は特に限定のない限り「重量%」を示す。
まず、以下の合成例により濃厚なエマルジョン(以下、濃厚エマルジョンという)を、比較合成例により濃厚な比較用エマルジョン(以下、比較用濃厚エマルジョンという)をそれぞれ作製した。
〔合成例1〕
水49.8gにオキシエチレンの繰り返し単位数22であるポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム塩(HLB45.8)0.075gを溶解した混合液をホモミキサーを用いて高速攪拌しながら、この混合液に、ヘキシルトリエトキシシラン50gに下記式(A−1)で示されるオキシエチレンの繰り返し単位数10であるポリオキシエチレンジエトキシメチルシリルプロピルグリシジルノニルフェニルエーテル(HLB9.7)0.125gを溶解した混合液を徐々に添加、混合して乳化を行った(混合HLB23.2)。そのまま30分間高速攪拌を続けて濃厚エマルジョン(1)を得た。
【0044】
【化8】
【0045】
〔合成例2〜4〕
合成例1において、乳化剤の種類を表2に示すように変更した以外は、合成例1と同様にして濃厚エマルジョン(2)〜(4)を得た。
〔比較合成例1,2〕
合成例1において、乳化剤の種類を表3に示すように変更した以外は、合成例1と同様にして比較用濃厚エマルジョン(11),(12)を得た。
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
〔実施例1〕
合成例1で得られた濃厚エマルジョン(1)を、ヘキシルトリエトキシシラン濃度が0.8%になるように水で薄めてエマルジョン(1)を得た。40〜70℃に冷却されたいぶし瓦を多数用意し、それぞれ瓦1枚当たり8秒間ずつエマルジョン(1)に浸漬し、含浸させた後、取り出し、常温下で1週間乾燥させた。
【0049】
このようにして処理した瓦について、下記の各種試験を行った。結果を表4に示す。
(吸水防止性)
処理した瓦を水中に浸漬し、24時間後に取り出し、余剰水を乾いた布で拭き取った後に重量測定を行い、下式により吸水率を算出した。
【0050】
吸水率(重量%)=〔(浸漬後の重量−浸漬前の重量)/浸漬前の重量〕×100
評価基準は以下の通りである。
◎:吸水率が1.0重量%未満
○:吸水率が1.0重量%以上3.0重量%未満
×:吸水率が3.0重量%以上
なお、未処理瓦の吸水率を同様にして測定すると、12.8重量%であった。(浸透性)
処理した瓦を切断し、その断面に水を吹き付け、撥水層の厚みにより浸透深さを測定した。評価基準は以下の通りである。
【0051】
◎:3mm以上
○:1mm以上3mm未満
×:1mm未満
(凍害防止性)
処理した瓦を1時間水中に浸漬した後、取り出し、余剰水を拭き取り、−20℃下8時間静置して凍結させた後、室温に戻すというサイクルを繰り返して、瓦の表面状態を観察した。
【0052】
○:10サイクル以上繰り返しても、瓦の表面変化せず
×:10サイクル繰り返す前に、瓦の表面が剥離した。
なお、未処理瓦では、1サイクル目に、その表面に剥離が認められた。
(遮塩性)
処理した瓦を3%食塩水中に浸漬し、24時間後に取り出し、余剰水を乾いた布で拭き取った。次いで、この瓦を破断し、その断面に0.1%フルオレセインナトリウム溶液および0.1N−AgNO3 水溶液を吹き付けたときの断面の色の変化から、Cl− の浸入の程度を評価した。
【0053】
◎:Cl− の浸入なし
○:断面の周囲にCl− 浸入
×:断面全体にCl− 浸入
〔実施例2〜4〕
実施例1において、合成例1で得られた濃厚エマルジョン(1)の代わりに、合成例2〜4で得られた濃厚エマルジョン(2)〜(4)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、いぶし瓦を処理し、処理後の瓦について実施例1と同様の試験を行った。その結果を表4に示す。
〔比較例1、2〕
実施例1において、合成例1で得られた濃厚エマルジョン(1)の代わりに、比較合成例1、2で得られた比較用濃厚エマルジョン(11)、(12)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、いぶし瓦を処理し、処理後の瓦について実施例1と同様の試験を行った。その結果を表4に示す。
【0054】
【表4】
【0055】
【発明の効果】
本発明の無機系屋根材の処理方法は、エマルジョンに有機溶剤を用いる必要がなく、焼成された無機系屋根材を室温まで冷却させることなく安全に含浸処理することができるので、無機系屋根材の製造ラインに含浸工程を安全に組み込むことが可能である。また、無機系屋根材に含浸されるエマルジョンは、無機系屋根材への浸透性が高いので、エマルジョンの濃度が低かったり含浸時間が短かったりしても、無機系屋根材に対して吸水防止性、凍害防止性、塩害防止性等の機能を容易に付与することができるので、無機系屋根材を生産性良く処理することができ、無機系屋根材のコストを低く抑えることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、無機系屋根材の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、無機系屋根材に対し、褪色防止、吸水防止、凍害防止、塩害防止等の処理を施す加工方法として、たとえば、下記の方法が知られている。
(1)ナトリウムメチルシリコネートやカリウムメチルシリコネート等のアルカリアルキルシリコネートの希薄水溶液中に無機系屋根材を浸漬させることにより、シロキサン層を形成させる方法(特公昭57−27059号公報参照);
(2)アルキルアルコキシシランや、その加水分解・重縮合物を有機溶剤中に溶解させた溶液を無機系屋根材に含浸させることにより、吸水防止層を形成させる方法(特開平4−92875号公報、特開平5−171046号公報、特開平6−228535号公報参照);
(3)アルキルアルコキシシランを含有するエマルジョンを無機系屋根材に含浸させることにより、吸水防止層を形成させる方法(特開昭62−197369号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来公知の方法には、下記(1)〜(3)の問題があった。
(1)の方法では、焼成された無機系屋根材を室温まで冷却させる必要がないため、無機系屋根材の製造ラインに含浸工程を組み込むことが可能であり、しかも、含浸させるアルカリアルキルシリコネートの濃度が低くても容易に無機系屋根材を処理することができるので、広く実用に供されてはいるが、アルカリアルキルシリコネートが強アルカリ性であるため、含浸槽等の金属を腐食させやすいので、その取り扱いに注意を要する。
【0004】
(2)の方法では、有機溶剤が引火性、可燃性であるため、無機系屋根材を室温まで冷却させる必要があるので、無機系屋根材の製造ラインに含浸工程を組み込むことができない。
(3)の方法では、無機系屋根材の製造ラインに含浸工程を組み込むことは可能であるが、吸水防止、凍害防止、塩害防止等の機能を付与するためには、シラン濃度を高くし、かつ、含浸時間を長くする必要があるので、生産性が低下し、無機系屋根材のコストが高くなる。
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、優れた吸水防止性、凍害防止性、塩害防止性等を無機系屋根材に付与することができ、安全性が高いエマルジョンを含浸させる工程をその製造ラインに導入し、生産性良く無機系屋根材を処理することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の無機系屋根材の処理方法は、下記一般式(1)で示されるシラン化合物(S)、その加水分解物およびその重縮合物からなる群の中から選ばれる少なくとも1種からなる有機ケイ素成分と、混合HLBが20を超え30以下の値である2種以上の乳化剤とを含むエマルジョンを無機系屋根材に含浸させる方法である。
【0007】
【化2】
【0008】
(但し、R4 は炭素数1〜20の1価炭化水素基、R5 は炭素数1〜6のアルキル基、pは1または2である。)
【0009】
【発明の実施の形態】
〔有機ケイ素成分〕
無機系屋根材に含浸させるエマルジョンに含有される有機ケイ素成分は、上記一般式(1)で示されるシラン化合物(S)、その加水分解物およびその重縮合物からなる群の中から選ばれる少なくとも1種からなり、撥水性および吸水防止性を有し、かつ無機系屋根材と結合したり、それ自身で加水分解・重縮合して無機系屋根材に撥水層や吸水防止層を生成することのできる成分である。
【0010】
一般式(1)中、R4 は撥水性や吸水防止性を示す基であり、炭素数1〜20の1価炭化水素基ならば特に限定されないが、飽和アルキル基、アリール基およびアラルキル基からなる群の中から選ばれる少なくとも1種が好ましく、撥水性、吸水防止性、および耐久性を著しく向上させれる点で炭素数4〜18のこれらの基がより一層好ましい。中でも耐久性に優れる点で炭素数4〜18の飽和アルキル基が最も好ましい。R4 が複数である場合は、複数のR4 は互いに同一であっても良く、異なっていても良い。
【0011】
R4 の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等の飽和アルキル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基;ビニル基、ヘキセニル基、オクテニル基等のアルケニル基が挙げられる。
【0012】
一般式(1)中、R5 は無機系屋根材と結合したり、それ自身で加水分解・重縮合できる基であり、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であれば特に限定はなく、炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が挙げられる。中でも加水分解・重縮合性が高い点でメチル基またはエチル基が好ましく、エチル基が最も好ましい。メチル基では加水分解・重縮合性が高すぎるため、エマルジョンを経時的に増粘・ゲル化させる等の保存安定性に支障をきたす場合がある。また、複数のR5 は互いに同一であっても良く、異なっていても良い。pは1または2であり、加水分解・重縮合性官能基を多く含有できる点でpが1であるのが好ましい。
【0013】
シラン化合物(S)の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリプロポキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリプロポキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ヘキセニルトリメトキシシラン、オクテニルトリメトキシシランが挙げられる。これらシラン化合物(S)は1種または2種以上を使用しても良い。
【0014】
一般式(1)において、R4 が炭素数4〜18の飽和アルキル基、アリール基およびアラルキル基からなる群の中から選ばれる少なくとも1種、R5 がメチル基またはエチル基、pが1であるトリアルコキシシラン化合物が好ましい。特に、一般式(1)において、R4 が炭素数4〜18の飽和アルキル基、R5 がエチル基、pが1であるトリアルコキシシラン化合物がさらに好ましい。これは、加水分解・重縮合性官能基を多く含有でき、撥水性、吸水防止性および耐久性により優れた無機系屋根材を得ることができるからである。
【0015】
シラン化合物(S)の加水分解物およびその重縮合物は、シラン化合物(S)を従来公知の方法で、加水分解・重縮合することによって得られる。例えば、無溶媒中、または、シラン化合物(S)および水とを溶解できるような有機溶媒中で行なわれる。有機溶媒としては、アルコール類、ケトン類、エーテル類、セルソロブ類が挙げられる。水の量は、特に限定されないが、水の量が多すぎると得られる重縮合物が高分子量体となるため、エマルジョンの浸透性が低下する場合がある。また、重縮合させる際に、従来公知の酸触媒または塩基触媒を使用しても良い。
【0016】
有機ケイ素成分の数平均分子量については特に限定はないが、好ましくは5000以下、さらに好ましくは2000以下、より一層好ましくは1000以下である。前述の範囲を外れると、無機系屋根材への浸透性が悪くなったり、表面に有機成分が残ってその色合いが変わる。
〔乳化剤〕
無機系屋根材に含浸させるエマルジョンは2種以上の乳化剤を含んでおり、これら乳化剤の混合HLBは、20を超え30以下の値であり、好ましくは20を超え25以下の値である。乳化剤は、前記混合HLBの範囲内であれば特に限定されないが、通常、ノニオン性乳化剤とイオン性乳化剤とからなるものである。混合HLBが前記範囲外であると、浸透性、吸水防止性、撥水性および耐久性が低下する。なお、HLBおよび混合HLBの定義およびその値は、後述した定義、算出方法によった。
【0017】
用いられる2種以上の乳化剤の混合HLBが前記範囲内であれば、有機ケイ素成分の濃度が低濃度であってもエマルジョン中の液滴の粒径が微細化するので、無機系屋根材に深く浸透して、吸水防止性、浸透性、耐久性等の物性が向上する。
ノニオン性乳化剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、ジメチルシロキサンの側鎖や末端をポリアルキレンオキサイドで変性したジメチルシロキサン共重合体類、セルロース類が挙げられる。
【0018】
イオン性乳化剤は、通常、アニオン性乳化剤とカチオン性乳化剤の2種類に分けられる。
アニオン性乳化剤の具体例としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、高級アルコール硫酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル類、アルキルナフチル酸塩類等が挙げられる。
【0019】
カチオン性乳化剤の具体例としては、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等が挙げられる。
無機系屋根材に含浸させるエマルジョンにおいては、これらの乳化剤の2種以上を使用し、その混合HLBの値を、20を超え30以下、好ましくは20を超え25以下の範囲にする。中でも2種以上の乳化剤のうち、その少なくとも1種のHLBが40を超える値であると、少量の乳化剤でも液滴の粒径がより微細化するので、乳化安定性、浸透性、吸水防止性および耐久性がより向上するため好ましい。
【0020】
乳化剤の少なくとも1種がイオン性部分およびノニオン性部分の両方を分子内に有し、ノニオン性部分がエチレンオキシドの繰り返し単位からなり、繰り返し単位の数が10以上であると、浸透性、吸水防止性、乳化安定性および耐久性がさらに向上するため好ましい。このような乳化剤の具体例としては、オキシエチレンの繰り返し単位数が10以上であるポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム塩またはナトリウム塩、オキシエチレンの繰り返し単位数10以上であるポリオキシエチレンジノニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム塩またはナトリウム塩、オキシエチレンの繰り返し単位数10以上であるポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル硫酸アンモニウム塩またはナトリウム塩、オキシエチレンの繰り返し単位数10以上であるポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸アンモニウム塩またはナトリウム塩等が挙げられる。中でも、オキシエチレンの繰り返し単位数が15以上であるポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム塩またはナトリウム塩は、撥水性および吸水防止性に優れるために好ましい。
【0021】
HLBの算出方法については、Griffin、川上、Davies、小田らによって種々のHLB計算式が定義され、提案されている。本発明では、乳化剤がノニオン性の場合はGriffinの式に従い、イオン性またはイオン性とノニオン性との両方を有している場合はDaviesの式に従った。その理由は、通常これらの式に従ってHLBが計算されることが多いためである。
【0022】
Griffinの式
▲1▼ 親水部分がオキシエチレンにより成っているもの、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシ脂肪酸エステル等の場合
HLB=E/5 E:分子中のオキシエチレンの重量%
▲2▼ 親水部分がオキシエチレンと多価アルコールより成っているもので、明瞭なケン化価が得にくい場合
HLB=(E+P)/5
E:分子中のオキシエチレンの重量%
P:分子中の多価アルコールの重量%
▲3▼ 脂肪酸の多価アルコールエステル、例えば(ポリオキシエチレン)ソルビタンの脂肪酸エステル、モノグリセリド等の場合
HLB=20(1−S/N)
S:エステルのケン化価
N:エステルを構成する脂肪酸の中和価
Daviesの式
HLB=7+ΣL+ΣH
L:疎水基のHLB基数
H:親水基のHLB基数
DaviesのHLB基数は下記の表1に示す通り。
【0023】
【表1】
【0024】
2種以上の乳化剤を使用した際の混合乳化剤のHLB値(混合HLB)は以下の算出方法によっての計算される。
HLB値= Σ(Wi×HLBi)/100
Wi:1種の乳化剤の重量%
HLBi:1種の乳化剤のHLB値
乳化剤がアルコキシシリル基を有する化合物を含むと、アルコキシシリル基が加水分解可能で、無機系屋根材と結合可能な反応性を有するようになるために好ましい。また、本発明で用いられるエマルジョンの無機系屋根材への浸透性が、従来開示されている有機珪素化合物や有機珪素樹脂の水性エマルジョンに比較して、格段に向上する。その結果、経時的な吸水防止性や撥水性の低下の程度が小さく、耐久性に優れた無機系屋根材が得られる。
【0025】
アルコキシシリル基を有する化合物の具体例としては、下記一般式(2)で示されるアルコキシシラン化合物(A)、下記一般式(3)〜(6)で示されるアルコキシシリル基を有する化合物、骨格が炭素、ケイ素、酸素、窒素等からなり、疎水基(炭素数が8以上のアルキル基等)、親水基(アルキレンオキシド基、スルホン酸塩基、カルボン酸塩基、4級アンモニウム塩基等)およびアルコキシシリル基を含有する化合物(ポリマーも含む)、あるいは、これらの加水分解物およびその重縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。上記アルコキシシリル基を有する化合物は1種または2種以上を併用して使用しても良い。
【0026】
【化3】
【0027】
但し、R1 :H、ハロゲン原子または炭素数1〜20の炭化水素基
R2 :炭素数1〜10の炭化水素基
R3 :炭素数1〜10の置換してもよいアルキル基
A :炭素数2〜4の置換してもよいアルキレン基
B :H、SO3 NH4 、SO3 Na、CO2 NH4 またはCO2 Na
m :1〜200の整数
n :0〜2の整数
【0028】
【化4】
【0029】
但し、R6 :置換基を有していても良いアルキル基
R7 :炭素数1〜10の炭化水素基
R8 :炭素数1〜10の置換していても良いアルキル基
D:SO3 Na、SO3 NH4 、CO2 Na、CO2 NH4 または−N(R9 )3 Y
R9 :炭素数1〜10の炭化水素基
Y:ハロゲン原子
q:0〜2の整数
【0030】
【化5】
【0031】
R6 :置換基を有していても良いアルキル基
R7 :炭素数1〜10の炭化水素基
R8 :炭素数1〜10の置換していても良いアルキル基
E:SO3 Na、SO3 NH4 、CO2 Na、CO2 NH4 または−N(R9 )3 Y
R9 :炭素数1〜10の炭化水素基
Y:ハロゲン原子
r:0〜2の整数
【0032】
【化6】
【0033】
R10:炭素数1〜10の炭化水素基
R11:炭素数1〜10の置換していても良いアルキル基
s:0〜2の整数
F:炭素数2〜4の置換していても良いアルキレン基
G:H、SO3 Na、SO3 NH4 、CO2 NaまたはCO2 NH4
t:1〜200の整数
x:1以上の整数
【0034】
【化7】
【0035】
R10:炭素数1〜10の炭化水素基
R11:炭素数1〜10の置換していても良いアルキル基
R12:置換基を有していても良い炭化水素基
u:0〜2の整数
v:1以上の整数
J:炭素数2〜4の置換していても良いアルキレン基
w:1〜200の整数
乳化剤が、上記一般式(2)で示されるアルコキシシラン化合物(A)、その加水分解物およびその重縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むと、加水分解可能で、無機系屋根材と結合可能な反応性を有するようになり、また、浸透性、吸水防止性および耐久性が最も向上するため好ましい。
〔エマルジョン〕
無機系屋根材に含浸させるエマルジョンは、上記で説明した有機ケイ素成分および乳化剤を含んでいる。乳化剤は2種以上からなり、その混合HLBは20を超え30以下の値である。乳化剤の混合HLBが前記範囲内であればエマルジョンの液滴の粒径が微細化するので、材料に深く浸透するため、吸水防止性、浸透性および耐久性が向上する。
【0036】
有機ケイ素成分の配合割合は、特に限定されないが、好ましくはエマルジョン全体に対して5重量%未満、より好ましくは0.01〜4重量%、さらに好ましくは0.1〜3重量%、最も好ましくは0.5〜2重量%である。有機ケイ素成分が前記範囲を超えると、粘度が高くなって、無機系屋根材へのエマルジョンの浸透性が悪くなる傾向がある場合がある。
【0037】
乳化剤の配合割合は、特に限定はされないが、たとえば、有機ケイ素成分に対して、好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは0.1〜3重量%、さらに好ましくは0.1〜2重量%、最も好ましくは0.1〜1重量%の範囲である。エマルジョン中に乳化剤が少なすぎると、有機ケイ素成分の乳化性能が不充分となり、乳化安定性、経時安定性および浸透性が低下する場合があり、一方、多すぎると撥水性や吸水防止性が低下したり、耐久性が悪くなったり、表面に乳化剤や有機ケイ素成分が残って色合いが変わってしまうことがある。
【0038】
エマルジョンは、有機ケイ素成分および乳化剤の他に水を含んでいると、無機系屋根材に深く浸透し易く好ましい。その場合、有機ケイ素成分、乳化剤および水の合計は100重量%である。
エマルジョンのpHを3〜12にすると、経時安定性に優れる。好ましくは4〜10、さらに好ましくは5〜9である。
【0039】
また、エマルジョン中に、従来公知の増粘剤、pH緩衝剤、pH調整剤、シリカゾル、アルミナゾル、セリアゾル、紫外線吸収剤、水溶性ポリマー、有機系乳化重合物を添加しても良く、これらに限定されない。エマルジョン中には、さらに、防カビ剤、防藻剤、防蟻剤の添加剤を混合しても良く、これら添加剤に限定されない。
【0040】
エマルジョンを得るための方法としては、一般の混合や乳化する方法が用いられ、特に限定はない。例えば、スターラー、ホモミキサー、ウルトラディスパーサー、高圧ホモジナイザー等で高速攪拌しながら、有機ケイ素成分と乳化剤とを別々または混合した液を水に少しずつ添加したり、乳化剤と水の混合液に有機ケイ素成分を少しずつ添加したり、あるいはこれらの逆を行うことによりエマルジョンが得られる。
〔無機系屋根材〕
本発明で処理される無機系屋根材としては、特に限定されないが、たとえば、スレート、セメント、コンクリート、セラミック、陶器、粘土、素焼き等の材質の屋根材が挙げられる。また、その形状についても特に限定はなく、たとえば、瓦状、板状、波板状等が挙げられる。無機系屋根材が、スレート瓦、セメント瓦、コンクリート瓦、セラミック瓦、陶器瓦、粘土瓦、素焼き瓦等の瓦状屋根材であると、生産性良く、効率的に処理できるため好ましい。
〔無機系屋根材の処理方法〕
本発明の無機系屋根材の処理方法は、前記エマルジョンを前記無機系屋根材に含浸させる方法である。含浸の手法は、特に限定はされず、たとえば、スプレーやコーター等で塗布したり、前記エマルジョン中へ浸漬したりすること等の、従来から公知の方法を用いることができるが、たとえば、あらかじめエマルジョンが入れられた浸漬槽内に、乳化性を維持するためにエマルジョンを攪拌しながら無機系屋根材を浸漬して、無機系屋根材中へエマルジョンを浸透させる方法が好ましい。
【0041】
本発明の無機系屋根材の処理方法は、無機系屋根材の製造工程において、焼成後の無機系屋根材であればどの時点で行ってもよく、特に制限はないが、たとえば、焼成後、30〜90℃の温度、好ましくは30〜80℃の温度に冷却された無機系屋根材に対して、エマルジョンを使用して処理する方法が、無機系屋根材の吸着水が少なく、エマルジョンがよく浸透するため好ましい。それ以上の温度であると、処理をするにつれてエマルジョンの温度は高くなって、乳化安定性が悪くなる傾向があり、処理がうまくいかないことがある。また、それ以下の温度であると、吸着水が多くなって、エマルジョンの浸透性が悪くなったり、生産性が低下することがある。エマルジョンは有機溶剤を含まないため、前述したように焼成された無機系屋根材を室温まで完全に冷却させなくても、ある程度冷却した時点で安全に含浸処理できるので、無機系屋根材を生産性良く処理し、生産コストを低く抑えられる。
【0042】
エマルジョンを無機系屋根材に含浸させる処理時間は特に限定はされないが、好ましくは1分以内、より好ましくは1〜30秒、最も好ましくは2〜10秒であると、生産性と、浸透性、吸水防止性、凍害防止性、遮塩性等の性能との釣り合いをとることができる。
エマルジョンを含浸処理した無機系屋根材は、そのまま常温下で積み重ねて放置したり、再び加熱して、浸透した水分を蒸発させたりして、有機ケイ素成分を無機系屋根材の表面近傍に固定化させて、吸水防止性、凍害防止性、遮塩性等の性能に優れた無機系屋根材となる。
【0043】
【実施例】
以下に本発明の具体的な実施例および比較例を示すが、本発明は下記実施例に限定されない。「%」は特に限定のない限り「重量%」を示す。
まず、以下の合成例により濃厚なエマルジョン(以下、濃厚エマルジョンという)を、比較合成例により濃厚な比較用エマルジョン(以下、比較用濃厚エマルジョンという)をそれぞれ作製した。
〔合成例1〕
水49.8gにオキシエチレンの繰り返し単位数22であるポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム塩(HLB45.8)0.075gを溶解した混合液をホモミキサーを用いて高速攪拌しながら、この混合液に、ヘキシルトリエトキシシラン50gに下記式(A−1)で示されるオキシエチレンの繰り返し単位数10であるポリオキシエチレンジエトキシメチルシリルプロピルグリシジルノニルフェニルエーテル(HLB9.7)0.125gを溶解した混合液を徐々に添加、混合して乳化を行った(混合HLB23.2)。そのまま30分間高速攪拌を続けて濃厚エマルジョン(1)を得た。
【0044】
【化8】
【0045】
〔合成例2〜4〕
合成例1において、乳化剤の種類を表2に示すように変更した以外は、合成例1と同様にして濃厚エマルジョン(2)〜(4)を得た。
〔比較合成例1,2〕
合成例1において、乳化剤の種類を表3に示すように変更した以外は、合成例1と同様にして比較用濃厚エマルジョン(11),(12)を得た。
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
〔実施例1〕
合成例1で得られた濃厚エマルジョン(1)を、ヘキシルトリエトキシシラン濃度が0.8%になるように水で薄めてエマルジョン(1)を得た。40〜70℃に冷却されたいぶし瓦を多数用意し、それぞれ瓦1枚当たり8秒間ずつエマルジョン(1)に浸漬し、含浸させた後、取り出し、常温下で1週間乾燥させた。
【0049】
このようにして処理した瓦について、下記の各種試験を行った。結果を表4に示す。
(吸水防止性)
処理した瓦を水中に浸漬し、24時間後に取り出し、余剰水を乾いた布で拭き取った後に重量測定を行い、下式により吸水率を算出した。
【0050】
吸水率(重量%)=〔(浸漬後の重量−浸漬前の重量)/浸漬前の重量〕×100
評価基準は以下の通りである。
◎:吸水率が1.0重量%未満
○:吸水率が1.0重量%以上3.0重量%未満
×:吸水率が3.0重量%以上
なお、未処理瓦の吸水率を同様にして測定すると、12.8重量%であった。(浸透性)
処理した瓦を切断し、その断面に水を吹き付け、撥水層の厚みにより浸透深さを測定した。評価基準は以下の通りである。
【0051】
◎:3mm以上
○:1mm以上3mm未満
×:1mm未満
(凍害防止性)
処理した瓦を1時間水中に浸漬した後、取り出し、余剰水を拭き取り、−20℃下8時間静置して凍結させた後、室温に戻すというサイクルを繰り返して、瓦の表面状態を観察した。
【0052】
○:10サイクル以上繰り返しても、瓦の表面変化せず
×:10サイクル繰り返す前に、瓦の表面が剥離した。
なお、未処理瓦では、1サイクル目に、その表面に剥離が認められた。
(遮塩性)
処理した瓦を3%食塩水中に浸漬し、24時間後に取り出し、余剰水を乾いた布で拭き取った。次いで、この瓦を破断し、その断面に0.1%フルオレセインナトリウム溶液および0.1N−AgNO3 水溶液を吹き付けたときの断面の色の変化から、Cl− の浸入の程度を評価した。
【0053】
◎:Cl− の浸入なし
○:断面の周囲にCl− 浸入
×:断面全体にCl− 浸入
〔実施例2〜4〕
実施例1において、合成例1で得られた濃厚エマルジョン(1)の代わりに、合成例2〜4で得られた濃厚エマルジョン(2)〜(4)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、いぶし瓦を処理し、処理後の瓦について実施例1と同様の試験を行った。その結果を表4に示す。
〔比較例1、2〕
実施例1において、合成例1で得られた濃厚エマルジョン(1)の代わりに、比較合成例1、2で得られた比較用濃厚エマルジョン(11)、(12)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、いぶし瓦を処理し、処理後の瓦について実施例1と同様の試験を行った。その結果を表4に示す。
【0054】
【表4】
【0055】
【発明の効果】
本発明の無機系屋根材の処理方法は、エマルジョンに有機溶剤を用いる必要がなく、焼成された無機系屋根材を室温まで冷却させることなく安全に含浸処理することができるので、無機系屋根材の製造ラインに含浸工程を安全に組み込むことが可能である。また、無機系屋根材に含浸されるエマルジョンは、無機系屋根材への浸透性が高いので、エマルジョンの濃度が低かったり含浸時間が短かったりしても、無機系屋根材に対して吸水防止性、凍害防止性、塩害防止性等の機能を容易に付与することができるので、無機系屋根材を生産性良く処理することができ、無機系屋根材のコストを低く抑えることができる。
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JP15075896A JP3631322B2 (ja) | 1996-06-12 | 1996-06-12 | 無機系屋根材の処理方法 |
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