JPH0970297A - D−アラニンの定量方法 - Google Patents

D−アラニンの定量方法

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JPH0970297A
JPH0970297A JP25015495A JP25015495A JPH0970297A JP H0970297 A JPH0970297 A JP H0970297A JP 25015495 A JP25015495 A JP 25015495A JP 25015495 A JP25015495 A JP 25015495A JP H0970297 A JPH0970297 A JP H0970297A
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JP
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alanine
acid
reaction
pyruvic acid
lactic acid
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JP25015495A
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Hiroshi Shimizu
浩 清水
Toshikage Asakura
敏景 朝倉
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Ono Pharmaceutical Co Ltd
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Ono Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 検体にD−アミノ酸オキシダーゼを添加し
て、ピルビン酸を発生させ、生成したNADHと乳酸デ
ヒドロゲナーゼを添加して、ピルビン酸を乳酸に、NA
DHをNADに変換し、単位時間に消費されるNADH
を測定してD−アラニンを定量する方法において、測定
系に乳酸オキシダーゼを存在させて乳酸をピルビン酸に
変換するサイクリング反応を成立させることを特徴とす
るD−アラニンの定量方法。 【効果】 従来のHPLC法に比べてより簡単に短時間
でD−アラニンを正確に測定できる。また、従来の酵素
法では不可能であった体液中のD−アラニンの測定が本
発明の測定方法により初めて可能になった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はD−アラニンの定量
方法、さらに詳しくいえば微量のD−アラニンを特異的
かつ高感度に測定できるD−アラニンの定量方法に関す
る。
【0002】
【発明の背景】従来、天然のタンパク質はL−アミノ酸
から構成されていると言われてきたが、最近、微生物、
動物や植物に種々のD−アミノ酸が、結合状態あるいは
遊離の状態で存在していることが明らかになってきた
(化学,第32巻,第7号,517-526頁 (1977年))。さ
らに、遊離のD−アラニン、D−プロリン、D−セリン
の存在が、哺乳動物、例えばマウス組織、脳およびヒト
血漿中に検出定量されるようになってきた(生化学,第
64巻,第12号,1451-1453頁 (1992年))。また、D
−アミノ酸とガン化との関係、ヒトの歯のエナメル質タ
ンパク中のD−アスパラギン酸と年齢の関係、さらには
結核罹病した動物血清中のD−アラニンについての報告
例がある。このように、D−アミノ酸が生体内に存在す
ることから、D−アミノ酸は生物学的に何らかの存在意
義をもつものと考えられる。
【0003】
【従来の技術】D−アミノ酸およびL−アミノ酸の分析
方法として、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
を用いる方法が知られている。例えば、キラルカラムを
用いる方法、キラル溶媒を用いる方法、アミノ酸の誘導
体を合成する方法が知られている(生化学,第64巻,
第12号,1451-1453頁 (1992年))。HPLCを用いる
方法は、カラムが高価であること、分析に時間がかかる
こと、特殊な技術を必要とし、操作が繁雑であることな
ど多くの問題点があるためD−アミノ酸の定量法として
は一般的ではない。
【0004】一方、よく知られている酵素法によれば、
HPLC法の欠点を解決できると考えられる。例えば、
ベルグマイヤーのD−アミノ酸オキシダーゼ(以下D−
AODと略する。)を用いる方法がある(Bergmeyer, M
ethods of Enzymatic Analysis 3rd.ed.,Vol.8, P.329-
335 (1985))。この方法は、D−アミノ酸にD−AOD
を作用させて、発生した過酸化水素量を発光法により測
定するものであり、かなり微量のD−アミノ酸を測定す
ることが可能である。しかし、高感度のため、測定時に
存在するD−アミノ酸以外の共雑物の影響を大きく受け
る。また、D−AODは基質特異性が低いので、体液中
のD−アラニンのみを測定するには、工夫が必要となる
(北村ら編,臨床酵素ハンドブック,68-69頁,講談社
発行(1982年)、以下文献1という。)。
【0005】そこで、D−アラニンにD−AODが作用
して生じるピルビン酸を測定する方法が提案されている
(Bergmeyer, Methods of Enzymatic Analysis 3rd.e
d., Vol.8, P.336-340 (1985)、以下文献2とい
う。)。文献2の方法によればD−アラニンを特異的に
測定することが可能であるが、生体サンプル、例えばヒ
トの血清中に存在するD−アラニンは非常に微量(正常
値は6μmol/リットル以下)であるのに対し、ピル
ビン酸が100μmol/リットル程度存在しているた
め(日本生化学会編,生化学データハンドブック,1549
頁,東京化学同人発行(1981年))、このピルビン酸の分
離操作なしにD−アラニンを測定することは不可能であ
り、また多量の検体が必要となる。さらに、文献2での
D−アラニンの検出限界は、89μmol/リットルと
されているが、これでは正常値が6μmol/リットル
以下である生体サンプル中のD−アラニンを直接検出
し、測定することはできない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
は、D−アラニンの臨床的意義を明らかにするために有
用と考えられるD−アラニンの定量法を提供することに
ある。さらに詳しくいえば、検体中の共雑物の影響を受
ける上に感度が低いために、体液中のD−アラニンを直
接、検出・測定することが困難であった従来の酵素法に
よるD−アラニンの測定法を改良し、例えば尿、血液な
どの検体中に存在するピルビン酸などを分離するための
操作を必要とせずに、直接D−アラニンを短時間に定量
できる方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、検体にD−AOD
を作用させてピルビン酸を発生させたのち、ニコチンア
ミドアデニンジヌクレオチドの還元型(NADH)と乳
酸デヒドロゲナーゼを添加しピルビン酸を乳酸に、NA
DHをニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NA
D)に変換して、単位時間に消費されるNADHを測定
する系に、さらに乳酸オキシダーゼを存在させてピルビ
ン酸と乳酸の間でサイクリング反応を成立させ感度を増
幅させることにより、検体中のD−アラニンを特異的か
つ高感度に測定できることを見出し、また検体中に存在
するピルビン酸や乳酸を効率的に除去できる方法をも見
出し、本発明を完成した。
【0008】
【発明の構成】すなわち、本発明は、(1)検体にD−
アミノ酸オキシダーゼを添加して、ピルビン酸を発生さ
せ、生成したピルビン酸にNADHと乳酸デヒドロゲナ
ーゼを添加して、ピルビン酸を乳酸に、NADHをNA
Dに変換し、さらに測定系に乳酸オキシダーゼを存在さ
せ、乳酸をピルビン酸に変換して乳酸とピルビン酸との
間でサイクリング反応を成立させて単位時間に消費され
るNADHを測定することを特徴とするD−アラニンの
定量方法、(2)検体中の乳酸およびピルビン酸を前処
理で除去したのち、D−アミノ酸オキシダーゼを添加し
てピルビン酸を発生させる前記1に記載のD−アラニン
の定量方法、
【0009】(3) (i) 検体に乳酸オキシダーゼとピ
ルビン酸デヒドロゲナーゼあるいはピルビン酸オキシダ
ーゼを反応させて、検体中の乳酸およびピルビン酸を除
去したのち、(ii)D−アミノ酸オキシダーゼを添加し
て、ピルビン酸を発生させ、NADHと乳酸デヒドロゲ
ナーゼを添加して(iii) ピルビン酸を乳酸に、(iv)NA
DHをNADに変換し、さらに前記反応 (i)で用いた乳
酸オキシダーゼとともに(v)乳酸をピルビン酸に変換し
て乳酸とピルビン酸との間でサイクリング反応を成立さ
せて、単位時間に消費されるNADHを測定することを
特徴とするD−アラニンの定量方法、
【0010】(4)反応(i) において、カタラーゼを存
在させる前記(3)記載の定量方法、(5)反応(i) を
酸性側で行ない、反応(ii)〜(v)をアルカリ性側で行な
う前記(3)記載の定量方法、および(6)反応(i) を
pH5〜7で、反応(ii)〜(v)をpH7〜9で行なう前
記(5)記載の定量方法に関する。
【0011】本発明のD−アラニンの定量方法の特徴
は、D−アラニンにD−アミノ酸オキシダーゼを作用さ
せて発生するピルビン酸を測定する系において、ピルビ
ン酸と乳酸との間でサイクリング反応を成立させて感度
を増幅するところにある。さらに、本発明では検体中の
乳酸およびピルビン酸を前処理で除去することにより、
これら共雑物の影響を避けることができる。検体中に共
雑物として存在する乳酸およびピルビン酸の影響は、検
体中のD−アラニンをイオン交換樹脂に吸着させて単離
すること、あるいは公知の酵素反応を利用して乳酸およ
びピルビン酸を除去することにより避けることができる
が、前者の方法は操作が繁雑であるため、特に後者の方
法が好ましい。
【0012】酵素反応を利用する前処理方法としては、
検体に乳酸オキシダーゼ(以下、LOXと略する。)お
よびピルビン酸デヒドロゲナーゼ(以下、PYDと略す
る。)またはピルビン酸オキシダーゼ(以下、POPと
略する。)を添加することにより、効率的に検体中の乳
酸およびピルビン酸を除去できる。すなわち、検体中の
乳酸をLOXの作用により、ピルビン酸へ交換し、検体
中にもともと存在していたピルビン酸および生成された
ピルビン酸をPYDまたはPOPの作用によりアセチル
リン酸に変換することにより、検体から乳酸およびピル
ビン酸を除去できる。この反応を下記反応式Aに示す。
【0013】
【化1】 次にD−アラニン測定の反応ステップ(反応(ii)〜
(v))で、D−AODと乳酸デヒドロゲナーゼ(以下、
LDHと略する。)とNADHを添加することにより、
検体中のD−アラニンをD−AODの作用によりピルビ
ン酸に変換(反応(ii))し、そのピルビン酸がLDHに
より乳酸に(反応(iii),(iv))、そして生成された乳酸
がLOXにより再びピルビン酸(反応(v)へと変換さ
れ、ピルビン酸と乳酸の間でサイクリング反応が成立す
る。これらの反応を下記反応式Bに示す。
【0014】
【化2】 共役反応(iii)、(iv)で消費されるNADHの量(単位
時間あたりの変化量)を測定することにより、微量のD
−アラニンが測定できる。
【0015】前処理の乳酸およびピルビン酸の除去方法
は公知のいかなる方法でもよい。乳酸を除去するための
反応で使用したLOXは、測定のための反応ステップで
のピルビン酸と乳酸とのサイクリング反応においてもそ
のまま利用される。また、LOXは測定のための反応ス
テップで加えてもいい。
【0016】
【発明の実施の形態】乳酸およびピルビン酸の除去反応
の際、LOXおよびPYDまたはPOPを用いる場合は
やや酸性側で反応させ、次のLDHおよびLOXによる
サイクリング反応を行なう場合はややアルカリ性側で反
応させると、測定のためのステップでPYDまたはPO
Pは全く作用せず、したがってD−アラニンより生じた
ピルビン酸にPYDまたはPOPは全く影響を及ぼさな
い。
【0017】具体的反応条件としては、乳酸およびピル
ビン酸の除去反応 (i)でのpHを5〜7、D−アラニン
測定反応(ii)〜(v)でのpHを7〜9とすればよい。各
反応においては上記のpHを示すものであればどのよう
な緩衝液でも使用できる。pH5〜7を示す緩衝液とし
ては、例えばリン酸バッファーまたは2−(N−モルホ
リノ)エタンスルホン酸(MES)、ビス(2−ヒドロ
キシエチル)イミノ−トリス(ヒドロキシメチル)メタ
ン(Bis−Tris)、N−(2−アセトアミド)イ
ミノ二酢酸(ADA)等のグッドバッファーが挙げら
れ、また、pH7〜9を示す緩衝液としては、ホウ酸バ
ッファー、トリス塩酸バッファーまたはN−トリス(ヒ
ドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン
酸(TAPS)、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン
−N′−3−プロパンスルホン酸(EPPS)等のグッ
ドバッファーが挙げられる。
【0018】さらに本発明においては、乳酸およびピル
ビン酸の除去反応において、カタラーゼを存在させる
と、除去反応が大幅に促進され、PYDあるいはPOP
の添加量の低減および反応時間の短縮が可能になる。こ
れは除去反応で発生した過酸化水素が下記
【化3】 の反応でカタラーゼにより除去され反応 (i)が促進され
ることによる。
【0019】除去反応において、LOX、PYDおよび
POPを用いる場合、これらの反応時の濃度は、各々0.
1〜20u/ml、より好ましくは1〜20u/mlと
する。 また、カタラーゼを加える場合には反応時の濃
度が0.1〜3000u/mlになるようにする。D−アラニ
ン測定に用いる酵素の反応時の濃度は、D−AODが0.
1〜10u/ml、LDHが0.1〜50u/mlである。
また、検出に用いるNADHは反応時の濃度が0.02〜0.
8mMになるように加える。さらに、LOXをこの測定
反応ステップで加える場合は、反応時の濃度は、0.1〜
20u/mlが適当である。
【0020】本発明で用いる酵素は、その由来は問われ
ない。本発明におけるサイクリング反応の反応時間は約
5分間、リサイクルの回数は10回以上が好ましい。本
発明によるD−アラニン定量のための測定操作は、用手
法は勿論のこと通常の自動分析装置を用いても行うこと
もできる。
【0021】
【発明の効果】本発明は、D−アラニンにD−アミノ酸
オキシダーゼを作用させて生成するピルビン酸にNAD
Hと乳酸デヒドロゲナーゼを添加して、ピルビン酸を乳
酸に、NADHをNADに変換し、単位時間に消費され
るNADHを測定してD−アラニンを測定する系に乳酸
オキシダーゼを存在させて乳酸をピルビン酸に変換する
サイクリング反応を成立させてD−アラニンの検出感度
を大幅に改善したものである。本発明によれば、従来の
HPLC法に比べて、より簡単に短時間でD−アラニン
を正確に測定できる。また、サイクリング反応なしの従
来の酵素法で測定できる量(文献2の検出限界は89μ
mol/リットル、なお、文献1には検出限界の記載は
ないが、文献−2と全く同じ方法であり同程度の値と考
えられる。)に比べてはるかに少量(検出限界が2μm
ol/リットル)のD−アラニンの測定が可能であり、
従来の酵素法では測定が難しかった生体サンプル中のD
−アラニン(例えば、ヒトの血清での正常値は6μmo
l/lである。)を直接測定することができる。本発明
の定量方法によって、今後臨床医学検査におけるD−ア
ラニンの臨床意義が明確になることが期待できる。
【0022】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明は下記の実施例により限定されるもので
はない。 実施例1:サイクル法によるピルビン酸溶液検体の測定 以下の試薬1および2を調製し、試料として既知濃度の
ピルビン酸溶液検体(100μMの溶液を10段階に希
釈したもの)を用いて測定した。まず試料(5μl)
に、試薬1(250μl)を加え、37℃で5分間予備
加熱し、さらに、試薬2(125μl)を加え、37℃
で5分間反応させた後、340nmでレートアッセイ法
によりピルビン酸を測定した。結果を図1に示す。
【0023】
【表1】試薬1: ・リン酸バッファー(pH 6.0) 22.5mM ・乳酸オキシダーゼ 12U/ml
【0024】
【表2】試薬2: ・TAPSバッファー(pH8.5 ) 45mM ・NADH 0.6mM ・乳酸デヒドロゲナーゼ 48U/ml ・硫酸アンモニウム 150mM
【0025】比較例1:ピルビン酸の測定 以下の試薬3および4を調製し、既知濃度のピルビン酸
溶液検体(2mMを5段階に希釈したもの)を用いて、
自動分析機日立7070型により測定した。試料(5μl)
に試薬3(250μl)および試薬4(125μl)を
加え、37℃で5〜10分間反応させた後、340nm
でエンド法により測定した。結果を図2に示す。
【0026】
【表3】試薬3: ・リン酸バッファー(pH6.0 ) 50mM ・NADH 0.3mM
【0027】
【表4】試薬4: ・リン酸バッファー(pH6.0 ) 50mM ・乳酸デヒドロゲナーゼ 6U/ml ・硫酸アンモニウム 150mM
【0028】感度の比較:リサイクル率の算定 実施例1はレートアッセイ法、比較例1はエンド法によ
るため、このままでは比較ができないので、以下の方法
により、同一吸光度変化量を示す濃度を求め感度を比較
した。すなわち、レートアッセイ法(実施例1)の結果
を示す図1において所定濃度における吸光度変化測定値
(mAbs/min)の5分間の吸光度変化量(mAb
s値)を算出し、エンド法(比較例1)の結果の図2に
ついて同じ吸光度変化量(mAbs値)に相当する濃度
を換算し、両方の濃度を比較した。図1と図2の比較か
らサイクリング反応を用いることにより約100倍(リ
サイクル率100%)の感度が向上したことがわかる。
【0029】実施例2:乳酸およびピルビン酸除去反応
におけるカタラーゼの効果 以下の試薬5および6を調製して、カタラーゼを添加し
た系と添加しない系で、試薬5中の乳酸(およびLOX
の作用で生成したピルビン酸)が除去されたか否かを測
定した。まず、試薬5(各種濃度の乳酸を含有する。ま
た、カタラーゼが添加していない場合と添加した場合が
ある。)を37℃で3分間反応させて存在していた乳酸
および乳酸から変換されたピルビン酸を除去したのち、
試薬6を加えて、37℃で反応させて、反応液の340
nmにおける吸光度減少を測定した。試薬5中の乳酸お
よび変換されたピルビン酸が残存していることは340
nmでの吸光度の減少から分かる。結果を図3に示す。
【0030】
【表5】 試薬5: ・リン酸バッファー(pH6.0 ) 0.5 M 45μl ・チラミンピロホスフェート 10mM 30μl ・塩化マグネシウム 100mM 75μl ・ピルビン酸デヒドロゲナーゼ 50U/ml 45μl ・乳酸オキシダーゼ 100U/ml 120μl ・水 1ml ・乳酸 10mM 各種(*1) ・カタラーゼ 1000 U/ml 各種(*1) *1:乳酸およびカタラーゼについては下記の組合せ〜で使用した。
【0031】
【表6】 組合せ 10mM乳酸量(μl) 1000U/mlカタラーゼ量(μl) 0 0 40 0 40 10 40 20 40 40
【0032】
【表7】 試薬6: ・ほう酸バッファー(pH8.5 ) 0.2M 170μl ・NADH 1mM 300μl ・乳酸デヒドロゲナーゼ 20U/ml 30μl
【0033】試薬5で、10mM乳酸のみを40μl存
在させて反応させると(組合せの系)、340nmで
の減少が大きく、試薬5中の乳酸および変換されたピル
ビン酸除去が不十分である。10mM乳酸40μlに10
00U/mlカタラーゼ20μl存在させて反応させると
(組合せの系)、340nmでの減少はみられず、乳
酸および変換されたピルビン酸が完全に除去されている
ことがわかる。すなわち、カタラーゼが乳酸およびピル
ビン酸除去反応を促進していることがわかる。
【0034】実施例3:除去反応およびサイクリング反
応を組込んだ試薬によるD−アラニンの測定 以下の試薬7および8を調製し、試料として既知濃度の
D−アラニン溶液(100μMおよび20μMを10段
階に希釈したもの)およびD−アラニンを添加したヒト
血清と尿(10段階に希釈したもの)の4種類の検体に
ついて、自動分析機日立7070型により測定した。まず、
試薬7(250μl)に検体(5μl)を加え、37℃
で5分間反応させたのち、試薬8(125μl)を加
え、37℃で5分間反応させて、340nmでレートア
ッセイ法によりD−アラニンを測定した。結果を図4、
5、6および7に示す。
【0035】
【表8】試薬7: ・リン酸バッファー(pH6.0 ) 22.5mM ・チラミンピロホスフェート 0.3mM ・塩化マグネシウム 7.5mM ・ピルビン酸デヒドロゲナーゼ 2.25U/ml ・カタラーゼ 30U/ml ・乳酸オキシダーゼ 12U/ml
【0036】
【表9】 試薬8: ・トリス塩酸バッファー(pH8.5 ) 45mM ・NADH 0.6mM ・乳酸デヒドロゲナーゼ 48U/ml ・D−アミノ酸オキシダーゼ 3U/ml ・硫酸アンモニウム 150mM
【0037】図4からD−アラニン濃度と吸光度変化量
(mAbs/min)との間には、直線性が得られてお
り、20μmol/リットルの10倍希釈濃度である2
μmol/リットルまで測定可能であることがわかる。
すなわち本発明の測定方法でのD−アラニンの検出限界
濃度は2μmol/リットルである。また、図6および
図7から、血清、尿には、検体中のD−アラニンに比べ
て、10〜100倍もの乳酸やピルビン酸が存在する
が、これらは最初のステップで完全に除去され、次のス
テップでD−アラニンの存在量に比例した反応を示し、
高感度な測定が可能であることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】 サイクリング反応を用いた本発明の方法によ
るピルビン酸の検量線を表わす。
【図2】 サイクリング反応を用いない比較例の方法に
よるピルビン酸の検量線を表わす。
【図3】 乳酸およびピルビン酸の除去反応によるカタ
ラーゼの効果を表わすグラフである。
【図4】 本発明の方法によるD−アラニン標品(20
μM)の検量線を表わす。
【図5】 本発明の方法によるD−アラニン標品(10
0μM)の検量線を表わす。
【図6】 本発明の方法によるD−アラニン標品添加血
清の検量線を表わす。
【図7】 本発明の方法によるD−アラニン標品添加尿
の検量線を表わす。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 検体にD−アミノ酸オキシダーゼを添加
    して、ピルビン酸を発生させ、生成したピルビン酸にN
    ADHと乳酸デヒドロゲナーゼを添加して、ピルビン酸
    を乳酸に、NADHをNADに変換し、さらに測定系に
    乳酸オキシダーゼを存在させ、乳酸をピルビン酸に変換
    して乳酸とピルビン酸との間でサイクリング反応を成立
    させて単位時間に消費されるNADHを測定することを
    特徴とするD−アラニンの定量方法。
  2. 【請求項2】 検体中の乳酸およびピルビン酸を前処理
    で除去したのち、D−アミノ酸オキシダーゼを添加して
    ピルビン酸を発生させる請求項1に記載のD−アラニン
    の定量方法。
  3. 【請求項3】 (i) 検体に乳酸オキシダーゼとピルビン
    酸デヒドロゲナーゼあるいはピルビン酸オキシダーゼを
    反応させて、検体中の乳酸およびピルビン酸を除去した
    のち、(ii)D−アミノ酸オキシダーゼを添加して、ピル
    ビン酸を発生させ、NADHと乳酸デヒドロゲナーゼを
    添加して(iii) ピルビン酸を乳酸に、(iv)NADHをN
    ADに変換し、さらに前記反応 (i)で用いた乳酸オキシ
    ダーゼとともに (v)乳酸をピルビン酸に変換して乳酸と
    ピルビン酸との間でサイクリング反応を成立させて、単
    位時間に消費されるNADHを測定することを特徴とす
    るD−アラニンの定量方法。
  4. 【請求項4】 反応 (i)において、カタラーゼを存在さ
    せる請求項3記載の定量方法。
  5. 【請求項5】 反応 (i)を酸性側で行ない、反応(ii)〜
    (v)をアルカリ性側で行なう請求項3記載の定量方法。
  6. 【請求項6】 反応 (i)をpH5〜7で、反応(ii)〜
    (v)をpH7〜9で行なう請求項5記載の定量方法。
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