JPH0967277A - モノアルケニルベンゼンの製造方法 - Google Patents

モノアルケニルベンゼンの製造方法

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JPH0967277A
JPH0967277A JP7221454A JP22145495A JPH0967277A JP H0967277 A JPH0967277 A JP H0967277A JP 7221454 A JP7221454 A JP 7221454A JP 22145495 A JP22145495 A JP 22145495A JP H0967277 A JPH0967277 A JP H0967277A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】C7〜10のアルキルベンゼン及びC4〜6の
共役ジエン化合物を反応させてモノアルケニルベンゼン
を製造するにあたり、少なくとも式K2O・xAl23
(0.5≦x≦11)で表される化合物から構成される
担体に、ナトリウム、カリウム、ナトリウムアマイド及
びカリウムアマイドより選ばれる少なくとも1種を担持
させた後、そのまま又は水素と接触させ、さらに水、ア
ルコール及びフェノール類より選ばれる少なくとも1種
の化合物を接触させることにより得られる触媒を用いる
ことを特徴とするモノアルケニルベンゼンの製造方法。 【効果】前記モノアルケニルベンゼンの製造方法は、従
来の各種触媒を用いる方法に比べ、収率、活性、選択
性、経済性、安全操業性等に優れ、発火、火災等の危険
がなく、モノアルケニルベンゼンの工業的製造方法とし
て有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はモノアルケニルベン
ゼンの製造方法に関し、更に詳細には、医療、農薬ある
いは高分子材料等の前駆体として用いられるモノアルケ
ニルベンゼンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、アルキルベンゼンと1,3−
ブタジエンのような共役ジエンとを、アルカリ金属触媒
の存在下で反応させることにより、医療、農薬あるいは
高分子材料等の前駆体として用いられるモノアルケニル
ベンゼンを製造する方法は知られている(ドイツ特許第
557514号明細書)。しかしながら、前述の方法で
は、収率が多くても30%であるため、工業的に実施す
るには不十分である。
【0003】一方、前述の方法を改良するために、アル
カリ金属またはアルカリ土類金属の酸化物、例えば酸化
カルシウム等を触媒として用いる方法が提案されている
(米国特許第3244758号明細書)。しかしなが
ら、この触媒は誘導期が長く、その最高活性の出現、即
ち、反応が定常化するのに長時間を必要とするため、経
済性、安全操業性等に問題がある。
【0004】またこれらの方法では、モノアルケニルベ
ンゼンを製造するだけでなく、モノアルケニルベンゼン
に更に共役ジエンが付加した化合物や、またそれ以上の
高重合物の生成が併発して起こるため、生成した重合物
が触媒表面を覆い徐々に活性を失わしめるという欠点が
あり、特にこれらの触媒を用いると、活性の低下ととも
に選択性も低下する傾向がある。このような触媒は、反
応器内で樹脂状ポリマーにより固化するが、内部にまだ
十分に活性の高い触媒が残存しているため、触媒交換の
ために廃触媒の抜き出しを行う際に、大気中の酸素、水
分等の接触により、発火、火災等の危険が伴うので、取
り扱いが不便であるという欠点もある。
【0005】これらの問題点を解決する方法として、本
発明者は、一般式K2O・xAl23で表される担体
に、ナトリウムおよび/またはナトリウムアマイドを担
持して得られる触媒を用いる方法を提案している(特開
平7−82178号公報)。この方法によると従来の各
種触媒を使用する方法における欠点を改善することがで
きるのみならず、反応速度および目的物であるモノアル
ケニルベンゼンへの選択性を著しく高くすることができ
るとともに、この活性、選択性を非常に長時間高い値に
保つことができるが、さらに高い選択性を有する方法が
求められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、触媒
の誘導期が短く、より優れた選択性および収率で目的物
を得ることができるモノアルケニルベンゼンの製造方法
を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは各種前記の
従来公知の方法および触媒についてさらに鋭意研究を続
けた結果、以下に述べる全く予想もされないような方法
により、モノアルケニルベンゼンの製造方法を改良する
ことができることを見いだし本発明を完成するに至っ
た。
【0008】アルカリ金属あるいは有機アルカリ金属化
合物は、通常水やアルコール等に触れると速やかに反応
して水酸化物やアルコキサイドとなり、その触媒活性は
失われるとして、これらとの接触は忌避されている。
【0009】ところが本発明者らは一般式K2O・xA
23で示される担体に、ナトリウム、カリウム、ナト
リウムアマイドおよびカリウムアマイドより選ばれる少
なくとも1種の化合物を担持させた後、水、アルコール
またはフェノール類等を接触させて得られる触媒を用い
てアルキルベンゼンおよび共役ジエン化合物を反応させ
てモノアルケニルベンゼンの製造を行うと、驚くべきこ
とには、その触媒活性が失活するどころか活性が向上し
たり、あるいはモノアルケニルベンゼンの選択性が著し
く向上することを見いだした。
【0010】さらには担持後、水、アルコールまたはフ
ェノール類等との接触前に水素に接触させることによっ
て、活性の向上、モノアルケニルベンゼンの選択性向上
以外に誘導期を短くすることができた。
【0011】すなわち本発明によれば、炭素数7〜10
のアルキルベンゼンおよび炭素数4〜6の共役ジエン化
合物を反応させてモノアルケニルベンゼンを製造するに
あたり、(1)少なくとも一般式K2O・xAl2
3(式中、xは0.5≦x≦11の値を示す。)で表さ
れる化合物から構成される担体に、(2)ナトリウム、
カリウム、ナトリウムアマイドおよびカリウムアマイド
より選ばれる少なくとも1種を担持させた後、(3)
水、アルコールおよびフェノール類より選ばれる少なく
とも1種の化合物を接触させることにより得られる触媒
を用いることを特徴とするモノアルケニルベンゼンの製
造方法が提供される。
【0012】また本発明によれば、炭素数7〜10のア
ルキルベンゼンおよび炭素数4〜6の共役ジエン化合物
を反応させてモノアルケニルベンゼンを製造するにあた
り、(1)少なくとも一般式K2O・xAl23(式
中、xは0.5≦x≦11の値を示す。)で表される化
合物から構成される担体に、(2)ナトリウム、カリウ
ム、ナトリウムアマイドおよびカリウムアマイドより選
ばれる少なくとも1種を担持させた後、水素と接触さ
せ、さらに(3)水、アルコールおよびフェノール類よ
り選ばれる少なくとも1種の化合物を接触させることに
より得られる触媒を用いることを特徴とするモノアルケ
ニルベンゼンの製造方法が提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の製造方法では、少なくと
も一般式K2O・xAl23で表される化合物から構成
される担体(以下、「成分(1)」という。)を使用す
る。式中、xは0.5≦x≦11、好ましくは0.7≦
x≦10である。尚、本発明の成分(1)でいう一般式
2O・xAl23とは、K2O・xAl23を基本的な
構成要素とすることを意味し、後述する成分(1)の原
料の仕込み組成が変化した場合に生成した成分(1)の
組成を便宜的に表すものであって、これらの構成要素の
化合物がそのままの形で残存しているものではなく、主
として複酸化物を包含する形として存在するものであ
る。従って、成分(1)は、単にK2OとAl23とを
混合して得られる単純混合物ではなく、このような単純
混合物を用いた場合には本発明の効果は達成できない。
【0014】成分(1)の調製方法は特に限定されない
が、例えば、カリウム含有化合物およびアルミニウム含
有化合物を接触させる方法を挙げることができる。
【0015】前記カリウム含有化合物としては、焼成す
ることによりカリウム酸化物を形成するものであること
が好ましく、例えば水酸化カリウム、炭酸水素カリウ
ム、炭酸カリウム、水素化カリウム、酢酸カリウム、一
般式KR1で表される化合物、一般式KOR2で表される
化合物等を挙げることができる。
【0016】前記一般式KR1およびKOR2中、R1
よびR2は、炭素数1〜20、好ましくは1〜8の直鎖
または分岐脂肪族炭化水素基あるいは炭素数6〜30、
好ましくは6〜12のアリール基またはアラルキル基を
示す。R1およびR2の具体例としては、例えばメチル
基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル
基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチ
ル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、
tert−ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、
ヘプチル基、オクチル基、ドデシル基、ヘキサデシル基
等のアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル
基;フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、
エチルフェニル基等のアリール基;ベンジル基、ジメチ
ルベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等を挙げ
ることができる。
【0017】前記一般式KR1で表されるカリウム含有
化合物としては、具体的にはメチルカリウム、ビニルカ
リウム、エチルカリウム、フェニルカリウム、トリルカ
リウム、ベンジルカリウム、ドデシルカリウム、ヘキサ
デシルカリウム、ジメチルベンジルカリウム、フェニル
エチルカリウム等を好ましく挙げることができ、一般式
KOR2で表されるカリウム含有化合物としては、具体
的にはエトキシカリウム、ブトキシカリウム、イソプロ
ポキシカリウム等を好ましく挙げることができる。これ
らのカリウム含有化合物は、結晶水を含有していても良
く、また2種以上を混合して用いてもよい。
【0018】前記カリウム含有化合物として炭酸カリウ
ムを使用する場合には、過剰の炭酸カリウムが未反応の
まま成分(1)中に残っていてもよい。
【0019】すなわち、本発明の方法で使用する成分
(1)としてはK2O・xAl23単独であってもよい
し、あるいはK2O・xAl23を主成分とし、成分
(1)の製造原料として用いた未反応の炭酸カリウムが
少量混在するものであってもよい。この場合、炭酸カリ
ウムの残存量は、K2O・xAl23100重量部に対
して30重量部以下であることが好ましい。
【0020】また前記アルミニウム含有化合物として
は、例えばハイドロギライト、ノルストランダイト、バ
イアライト、ベーマイト、ダイアスポール等のアルミナ
水和物;α−アルミナ、θ−アルミナ、κ−アルミナ、
δ−アルミナ、η−アルミナ、γ−アルミナ、χ−アル
ミナ、ρ−アルミナ等のアルミナ;一般式Al(O
33で表されるアルミニウム含有化合物等を挙げるこ
とができる。
【0021】前記一般式Al(OR33中、R3は、炭
素数1〜20、好ましくは1〜8の直鎖または分岐脂肪
族炭化水素基あるいは炭素数6〜30、好ましくは6〜
12のアリール基またはアラルキル基を示す。R3の具
体例としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプ
ロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル
基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル
基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル
基、イソヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ドデシ
ル基、ヘキサデシル基等のアルキル基;ビニル基、アリ
ル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリ
ル基、クメニル基、エチルフェニル基等のアリール基;
ベンジル基、ジメチルベンジル基、フェネチル基等のア
ラルキル基等を挙げることができる。
【0022】前記一般式Al(OR33で表されるアル
ミニウム含有化合物の具体例としては、例えばトリメト
キシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリプ
ロポキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウ
ム、トリブトキシアルミニウム、トリイソブトキシアル
ミニウム、トリ−sec−ブトキシアルミニウム、トリ
−tert−ブトキシアルミニウム、トリペンチルオキ
シアルミニウム、トリイソペンチルオキシアルミニウ
ム、トリネオペンチルオキシアルミニウム、トリ−te
rt−ペンチルオキシアルミニウム、トリヘキシルオキ
シアルミニウム、トリイソヘキシルオキシアルミニウ
ム、トリヘプチルオキシアルミニウム、トリオクチルオ
キシアルミニウム、トリフェノキシアルミニウム、トリ
ベンジルオキシアルミニウム等を挙げることができる。
【0023】前記カリウム含有化合物およびアルミニウ
ム含有化合物を接触させる方法としては、前記カリウム
含有化合物および前記アルミニウム含有化合物を、K/
Al比が一般式K2O・xAl23において0.5≦x
≦11となるように混合した後に焼成し、得られた塊状
物を破砕および分級する方法が挙げられる。
【0024】また別の方法としては、前記カリウム含有
化合物および前記アルミニウム含有化合物を混練し、押
し出し成形や、圧縮成形等の方法によってペレット化し
た後に焼成する方法が挙げられる。
【0025】前記焼成の条件は特に制限はないが、通
常、空気または窒素等の存在下または不存在下で、40
0〜2000℃、好ましくは500〜1500℃で、1
〜20時間、好ましくは2〜10時間行うことが好まし
い。
【0026】成分(1)の形状は特に限定されるもので
はなく、反応器の形状、容量や反応条件等により適宜選
択することができ、通常、粉末状またはペレット状等が
好ましく、また粒径は0.1〜10mmであることが好
ましい。
【0027】本発明の製造方法では、次に、成分(1)
に、ナトリウム、カリウム、ナトリウムアマイドおよび
カリウムアマイドより選ばれる少なくとも1種(以下、
「成分(2)」という。)を担持させる。
【0028】成分(1)に対する成分(2)の担持量
は、成分(1)100重量部に対して、ナトリウム原子
またはカリウム原子として0.1〜30重量部、特に1
〜20重量部が望ましい。担持量が0.1重量部未満で
あると充分な活性が得られにくく、また担持量が30重
量部を超えてもそれ以上高い活性が得られない場合が多
いので通常は前記範囲で使用する。
【0029】成分(2)のうちナトリウムおよび/また
はカリウムを担持させる方法としては、無溶媒下で、1
20〜400℃の範囲で成分(1)とナトリウムおよび
/またはカリウムを30分間〜10時間撹拌混合させる
方法;成分(1)にナトリウムおよび/またはカリウム
の蒸気を沈積させる方法;ホワイトオイル等の高沸点溶
媒中でナトリウムおよび/またはカリウムと成分(1)
とを120〜400℃の範囲で高速撹拌混合させる方法
等を挙げることができる。
【0030】一方、成分(2)のうちナトリウムアマイ
ドおよび/またはカリウムアマイドを担持させる方法と
しては、例えばナトリウムおよび/またはカリウムを液
体アンモニアに溶解してナトリウムアマイドおよび/ま
たはカリウムアマイドのアンモニア溶液とし、好ましく
は0〜200℃で成分(1)を浸漬し、通常30分間〜
10時間保持後、アンモニアを蒸発させる方法等を挙げ
ることができる。更にナトリウムおよび/またはカリウ
ムと、ナトリウムアマイドおよび/またはカリウムアマ
イドとを組み合わせて担持させる場合は、これらの方法
を適宜選択して組合せることにより容易に行うことがで
きる。
【0031】本発明では成分(1)に成分(2)を担持
させた後、後述する成分(3)と接触させる前に、水素
を接触させることにより、さらに誘導期を短くすること
ができる。すなわち反応が定常化するのに要する時間を
短縮することができる。水素との接触は、例えば0〜4
00℃の温度で、0〜100kg/cm2・Gの圧力
下、30分間〜10時間の条件等で行うことができる。
【0032】こうして得られた成分(1)に成分(2)
を担持させた担持物(以下、「担持物」という。)に、
水、アルコールおよびフェノール類より選ばれる少なく
とも1種の化合物(以下、「成分(3)」という。)を
接触させることによって、本発明のモノアルケニルベン
ゼンの製造に用いる触媒(以下、単に「本発明の触媒」
という。)を得ることができる。
【0033】成分(3)のアルコールとしては、一価ア
ルコール、二価アルコールおよび三価アルコール等を挙
げることができる。
【0034】前記一価アルコールとは、一般式R4OH
で表される化合物である。式中のR4としてはメチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘ
キシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル
基またはウンデシル基の炭素数1〜11の直鎖状または
分枝状の1級、2級または3級アルキル基;炭素数2〜
11の直鎖状または分枝状の1級、2級または3級アル
ケニル基;ベンジル基、αーメチルベンジル基、フェネ
チル基等の炭素数7〜21の直鎖状または分枝状の1
級、2級または3級アラルキル基等を挙げることができ
る。前記一価アルコールの具体例としては、メタノー
ル、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノー
ル、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1
−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1−
ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、
1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノー
ル、ベンジルアルコール、 αーメチルベンジルアルコー
ル、フェネチルアルコール等を挙げることができる。
【0035】また二価アルコールとしては一般式R5
H(OH)CH2(OH)で表される化合物を挙げることが
できる。式中R5としては水素原子;メチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、
ヘプチル基、オクチル基、ノニル基またはデシル基の炭
素数1〜10の直鎖状または分枝状の1級、2級または
3級アルキル基;炭素数2〜10の直鎖状または分枝状
の1級、2級または3級アルケニル基;フェニル基、ト
リル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ナフチ
ル基等の炭素数6〜20のアリール基;ベンジル基、α
ーメチルベンジル基、フェネチル基等の炭素数7〜20
の直鎖状または分枝状の1級、2級または3級アラルキ
ル基等を挙げることができる。前記二価アルコールの具
体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコ
ール等を挙げることができる。
【0036】また前記三価アルコールとしては一般式R
6CH(OH)CH(OH)CH2(OH)で表される化合物を
挙げることができる。式中、R6としては水素原子;メ
チル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル
基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基ま
たはデシル基の炭素数1〜10の直鎖状または分枝状の
1級、2級または3級アルキル基;炭素数2〜10の直
鎖状または分枝状の1級、2級または3級アルケニル
基;フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、
メシチル基、ナフチル基等の炭素数6〜20のアリール
基;ベンジル基、αーメチルベンジル基、フェネチル基
等の炭素数7〜20の直鎖状または分枝状の1級、2級
または3級アラルキル基等を挙げることができる。前記
三価アルコールの具体例としては、グリセリン等を挙げ
ることができる。
【0037】また前記フェノール類とは一般式R7OH
で表される化合物である。式中、R7はフェニル基、ト
リル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ナフチ
ル基等の炭素数6〜20のアリール基等を挙げることが
できる。フェノール類の具体例としては、フェノール、
クレゾール、ナフトール等を好ましく挙げることができ
る。
【0038】成分(3)として列挙した前記各化合物は
単独または混合物として使用することができる。
【0039】また成分(3)として列挙した前記各化合
物の中でも水、メタノール、エタノール、1−プロパノ
ール、2−プロパノール、エチレングリコール、フェノ
ールが特に好ましい。
【0040】担持物に対する成分(3)の接触量は、担
持物中の成分(2)に対して0.1〜200モル%、好
ましくは1〜100モル%の範囲が望ましい。接触量が
0.1モル%未満の場合には、得られる触媒の選択率の
向上効果が十分でなくなる場合があるため望ましくな
い。
【0041】成分(3)の担持物との接触方法として
は、炭化水素液体中に成分(3)を溶解させ、これに粉
末状またはペレット状等の担持物を投入し撹拌する方
法;炭化水素液体中にあらかじめ粉末状またはペレット
状等の担持物を含浸させたものに、成分(3)の炭化水
素液体溶液を撹拌しつつ加えていく方法等を挙げること
ができる。前記炭化水素液体としては、ヘプタンの沸点
以上の沸点を有するものが好ましく、具体的には、例え
ばヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、
ドデカン、デカリン、トルエン、エチルベンゼン、キシ
レン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、クメ
ン、エチルジメチルベンゼン、シメン等を挙げることが
できる。また、この際の接触温度は好ましくは−10〜
50℃、接触時間は好ましくは10分間〜10時間の範
囲で行うことができる。また、これらの方法は成分
(1)に担持された成分(2)、またはこれらに水素を
接触させたものと成分(3)との反応性が非常に高いた
め、局部的に過度の処理を受けないよう成分(3)の濃
度の合計を十分に低くする必要があり、成分(3)の濃
度は溶媒として用いる炭化水素液体の0.005〜10
重量%、特に0.01〜5重量%が好ましい。
【0042】本発明の製造方法で使用する触媒は、分散
性が良いために凝集せず、活性および選択性がともに高
く、また反応開始時における誘導期がほとんど認められ
ない等の特徴を併せ持っているので、回分様式反応およ
び原料を追加しながら反応を行う半回分様式の反応のみ
成らず、触媒を原料とともに連続的に槽型反応器に導入
する完全混合様式の反応にも非常に適したものである。
また、成分(1)は炭酸カリウム等の従来の触媒とは異
なり非常に強度の大きいペレットとすることができる。
このようなペレット状の担体は、粉末状のものと同様に
多量のナトリウムやカリウムおよびその水素化物、アマ
イド等を非常に早く吸収担持することができる。従っ
て、本発明の方法においてこのようなペレット状の触媒
を用いることは固定床連続流通様式の反応によるモノア
ルケニルベンゼンの製造に最適である。
【0043】本発明のモノアルケニルベンゼンの製造方
法では、本発明の触媒を用いて炭素数7〜10のアルキ
ルベンゼンおよび炭素数4〜6の共役ジエン化合物を反
応させてモノアルケニルベンゼンを製造する。
【0044】前記アルキルベンゼンは、ベンゼン核に少
なくとも1個、好ましくは1〜4個のアルキル基を置換
した化合物で、アルキル基としてはメチル基、エチル基
またはイソプロピル基等を好ましく挙げることができ
る。
【0045】前記アルキルベンゼンとしては、具体的に
は、例えばトルエン、エチルベンゼン、キシレン、ジエ
チルベンゼン、トリメチルベンゼン、クメン、エチルジ
メチルベンゼン、シメン、テトラメチルベンゼン等を好
ましく挙げることができる。置換異性体が存在する場合
には、いずれの置換異性体も包含することができる。前
記アルキルベンゼンの各具体例のうち、特にo−キシレ
ン、m−キシレン、p−キシレン等を好ましく挙げるこ
とができる。前記アルキルベンゼンは単独または混合物
として用いることができる。
【0046】また前記共役ジエン化合物としては、具体
的には、例えば1,3−ブタジエン、イソブレン、1,
3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、2−
エチルブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエ
ン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、4−メチル−
1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,4
−ヘキサジエン等を挙げることができる。シス体および
トランス体が存在する場合にはそのいずれも使用するこ
とができる。前記共役ジエンは単独または混合物として
用いることができる。
【0047】前記アルキルベンゼンおよび前記共役ジエ
ン化合物は、必ずしも高純度である必要はなく、例えば
目的とする化合物以外のオレフィン、ジオレフィン、ア
ルキルベンゼン類、水または炭酸ガス等を、通常工業的
に可能な範囲で除去したものを用いることができる。
【0048】本発明の製造方法によれば、例えばトルエ
ンと1,3―ブタジエンとの反応においては5―フェニ
ルペンテン―2が合成され、またo―キシレンと1,3
―ブタジエンとの反応では5―(o―トリル)ペンテン
―2が、o―キシレンと1,3―ペンタジエンとの反応
では1―(o―トリル)ヘキセン―3および4−メチル
−5−(o−トリル)ペンテン−2が、p―キシレンと
1,3―ブタジエンとの反応においては5―(p―トリ
ル)ペンテン―2が、m―キシレンと1,3―ブタジエ
ンとの反応においては5―(m―トリル)ペンテン−2
が、エチルベンゼンと1,3−ブタジエンとの反応にお
いては5―(フェニル)ヘキセン―2がそれぞれ合成さ
れる。
【0049】前記アルキルベンゼンと前記共役ジエンと
を反応させる際の配合割合は、モル比でアルキルベンゼ
ン:共役ジエンが1:0.001〜0.5、特に1:
0.01〜0.4モルが望ましい。
【0050】本発明の触媒存在下で前記アルキルベンゼ
ンと前記共役ジエン化合物とを反応させる方法として
は、前述したように、例えば、オートクレーブを用いた
回分様式、原料を追加しながら行う半回分様式、オート
クレーブに触媒と原料である前記アルキルベンゼンおよ
び前記共役ジエンとを連続的に供給する完全混合槽型連
続様式、およびペレット状の触媒を反応器に充填し原料
である前記アルキルベンゼンおよび前記共役ジエンを流
通させる固定床連続流通様式等を好ましく挙げることが
できる。
【0051】本発明の触媒存在下に前記アルキルベンゼ
ンと前記共役ジエン化合物とを反応させる際の条件は、
用いる触媒使用量、仕込み量等の条件により適宜選択さ
れるが、反応温度は80〜200℃が好ましく、特に1
00〜180℃が望ましい。反応時間(回分式あるいは
半回分式の場合)または滞留時間(連続様式の場合)
は、5分間〜10時間が好ましく、特に10分間〜5時
間が望ましい。また固定床連続流通様式の場合は、液体
空間速度(LHSV)は、0.1〜10(V/V・h
r)の範囲が望ましい。更に反応時の圧力は、5〜20
0kgf/cm2が好ましく、特に10〜100kgf
/cm2が望ましい。
【0052】また本発明の触媒の使用量は特に限定され
るものではないが、例えばオートクレーブを用いる場
合、アルキルベンゼンに対し0.5〜20重量%が好ま
しく、特に1〜15重量%の範囲が望ましい。
【0053】前記反応に際しては反応を阻害しないかぎ
り溶媒を使用することができる。前記溶媒としては、ヘ
キサン、ヘプタン、ベンゼン等の不活性な炭化水素化合
物を挙げることができる。
【0054】本発明の製造方法では、前記反応が終了し
た後、蒸留、トラップ捕集等の方法により、未反応物を
除去することによって目的のモノアルケニルベンゼンを
容易に高収率で得ることができる。
【0055】
【発明の効果】本発明のモノアルケニルベンゼンの製造
方法は、既に知られている各種の触媒を用いる方法等に
比べ、収率が高く、高い活性および選択性を長期間維持
することができ、経済性および安全操業性に優れてい
る。また、本発明における成分(3)を接触させない従
来の方法で調製された触媒を用いる方法に比べ、目的物
への選択性を著しく高くすることができ、また発火、火
災等の危険がない。よって、本発明の製造方法は、モノ
アルケニルベンゼンの工業的製造方法として有用であ
る。
【0056】
【実施例】以下、実施例および比較例に基づいて本発明
の方法を具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限
定されるものではない。
【0057】
【実施例1】水酸化カリウムペレット66g(水分を1
5重量%含む)を粉砕し、微粉末としたものとベーマイ
ト60gとをよく混合し、アルミナ製坩堝に入れ、空気
雰囲気下で1200℃、5時間焼成を行った。放冷後こ
の焼成物を取り出し、遠心ボールミルで2時間粉砕を行
い、60メッシュより細かいものを担体とした。この担
体はK2O・0.98Al23の組成を有していた。
【0058】得られた担体60gを300ml容量の三
口フラスコ中、窒素ガス雰囲気下で150℃に加熱し、
撹拌しながらナトリウム6gを添加した。添加後温度を
200℃に上げ1時間撹拌を続け、担持物を得た。
【0059】充分乾燥した500ml容量のビーカーに
窒素雰囲気下でo−キシレン100gを入れ、エタノー
ル580mgを加え溶解させた。この溶液に前記担持物
16gを投入し、30分間撹拌を行った。デカンテーシ
ョンにより溶液を除去した後、合計200mlのo−キ
シレンで、生成物を5回洗浄し、触媒を得た。この操作
により、導入されたナトリウムの20モル%に相当する
量のエタノールが接触反応に使用されたことになる。
【0060】1000ml容量のステンレス製磁気回転
撹拌式オートクレーブを十分に乾燥させ窒素置換した後
に、前記の操作で得られた触媒の全量、o−キシレン4
25g、および1,3−ブタジエン43gを入れ、14
0℃で2時間反応させた。反応終了後100℃まで冷却
し、未反応のまま残っている1,3−ブタジエンをドラ
イアイス−メタノール浴中のトラップで捕集した。さら
に反応器内に残っている未反応o−キシレンおよび反応
生成物等を減圧蒸留によって回収した。回収1,3−ブ
タジエンは1.8gであり、減圧蒸留で回収された液状
物は455gであった。ガスクロマトグラフィーによる
分析で5−(o−トリル)ペンテン−2は116g生成
していることが分かった。従って収率は91%であっ
た。
【0061】
【実施例2】実施例1の処理によって減圧となっている
オートクレーブに新たに1,3−ブタジエン43gおよ
びo−キシレン425gを入れ、140℃で反応させ
た。1時間後にはオートクレーブの圧力計の指示は0気
圧を示しており、1,3−ブタジエンはほとんど残って
いないと判断されたので反応を停止し、実施例1と同様
に後処理を行った。その結果1,3−ブタジエンは1g
回収され、また液状物は458g回収された。5−(o
−トリル)ペンテン−2は120g生成しており、従っ
て収率は94%であった。
【0062】
【比較例1】エタノールによる接触処理を行わなかった
以外は実施例1と同様に、触媒の調製とモノアルケニル
ベンゼンの製造とを行った。分析の結果5−(o−トリ
ル)ペンテン−2の収率は79%であった。
【0063】
【比較例2】500℃で5時間乾燥させた炭酸カリウム
30gにナトリウム6gを窒素下で加えて200℃で激
しく撹拌し、ナトリウムの担持を行った。200℃の状
態では全体が糊状であったが、これを室温まで冷却する
とワックス状に全体が固まってしまった。
【0064】
【比較例3】比較例2で用いた炭酸カリウム50gに比
較例2と同様にしてナトリウム1gを担持させた。この
触媒は比較例2とは異なって紺色の分散性のよいもので
あった。この触媒15gを用いて実施例1と同様の反応
を行った。その結果5−(o−トリル)ペンテン−2が
収率27%で得られた。
【0065】
【実施例3】アルキルベンゼンとしてo−キシレンの代
わりにp−キシレンを用いた以外は実施例1と同様に、
触媒の調製とモノアルケニルベンゼンの製造とを行っ
た。その結果5−(p−トリル)ペンテン−2が収率7
5%で得られた。
【0066】
【実施例4】アルキルベンゼンとしてo−キシレンの代
わりにエチルベンゼンを用い、触媒および試薬のスケー
ルを1/2にした以外は実施例1と同様に、触媒の調製
とモノアルケニルベンゼンの製造とを行った。その結果
5−フェニルヘキセン−2が収率52%で得られた。
【0067】
【実施例5】共役ジエンとして1,3−ブタジエンの代
わりに1,3−ペンタジエン(純度90%、シス/トラ
ンス=23.4/76.6)を用いた以外は実施例1と
同様に、触媒の調製とモノアルケニルベンゼンの製造と
を行った。その結果1−(o−トリル)ヘキセン−3と
4−メチル−5−(o−トリル)ペンテン−2との混合
物が収率77%で得られた。
【0068】
【実施例6】和光純薬製の水酸化カリウム180gと水
酸化アルミニウム234gとを1200℃のマッフル炉
で5時間焼成した。これを遠心ボールミルで2時間粉砕
し、60メッシュ以下のものを担体とした。得られた担
体はK2O・1.1Al23の組成を有していた。
【0069】この担体60gを実施例1と同様の装置で
200〜220℃の温度に加熱し、撹拌しながらナトリ
ウム6gを添加し、添加終了後3時間撹拌を続け、担持
物を得た。生成した担持物は紺色をした非常に分散性の
良い粉末であった。
【0070】この担持物16gを、o−キシレン300
gとエタノール2.9gとの混合溶液に投入して30分
間撹拌した後、o−キシレンで洗浄し、触媒を得た。こ
の操作でナトリウムに対し等モル量のエタノールが接触
反応に使用されたことになる。
【0071】このようにして得られた触媒を用いて実施
例1と同様にo−キシレンと1,3−ブタジエンとの反
応を行った。その結果5−o−(トリル)ペンテン−2
が、収率89%で得られた。
【0072】
【実施例7】o−キシレン300gとエタノール2.9
gとの混合溶液の代わりにo−キシレン1000gとエ
タノール5.8gとの混合溶液を用いた以外は実施例6
と同様に、触媒の調製とモノアルケニルベンゼンの製造
とを行った。ナトリウムに対し2倍モル量のエタノール
が接触反応に使用された。その結果5−o−(トリル)
ペンテン−2が、収率90%で得られた。
【0073】
【実施例8】エタノールの代わりにメタノールを用いた
以外は実施例1と同様に、触媒の調製とモノアルケニル
ベンゼンの製造とを行った。その結果5−o−(トリ
ル)ペンテン−2が収率85%で得られた。
【0074】
【実施例9】エタノールの代わりにイソプロピルアルコ
ールを用いた以外は実施例1と同様に、触媒の調製とモ
ノアルケニルベンゼンの製造とを行った。その結果5−
o−(トリル)ペンテン−2が収率86%で得られた。
【0075】
【実施例10】実施例6と同様にして得られた担持物1
6gを、o−キシレン100gとエチレングリコール3
90mgとの混合溶液に投入して30分間撹拌した後、
o−キシレンで洗浄し、触媒を得た。この操作でナトリ
ウムに対し10モル%のエチレングリコールが接触反応
に使用されたことになる。
【0076】この触媒の全量をオートクレーブに入れ、
o−キシレン425g、1,3−ブタジエン54gを加
えて140℃で2時間反応を行った。その結果5−(o
−トリル)ペンテン−2が収率75%で得られた。
【0077】
【実施例11】実施例6と同様にして得られた担持物1
6gを、0.01wt%の水を含んだo−キシレン68
0gに投入して1時間撹拌し、触媒を得た。この操作で
ナトリウムに対し6モル%の水が接触反応に使用された
ことになる。
【0078】このようにして得られた触媒を用いて実施
例10と同様にo−キシレンと1,3−ブタジエンとの
反応を行った。その結果5−o−(トリル)ペンテン−
2が収率76%で得られた。
【0079】
【実施例12】無水炭酸カリウム138gと水酸化アル
ミニウム78gとを各々16メッシュよりも小さい粒度
に揃え、十分に均一になるよう混合した後1300℃で
5時間焼成して担体を調製した。この担体のK/Al比
を原子吸光分析で求めたところK/Al=2であった。
すなわちこの担体の組成はK2O・0.5Al23であ
った。
【0080】この担体15gおよびナトリウム1.5g
をステンレス製の1000ml容量のオートクレーブに
入れ、これに液化アンモニア30gを圧入し、室温で2
時間撹拌下に反応させた。反応後アンモニア、およびナ
トリウムとアンモニアとの反応で生じた水素を放出し
た。この反応により、前記担体にナトリウムアマイドが
担持された担持物が得られた。
【0081】このオートクレーブにo−キシレン100
gを入れ、ついで、o−キシレン50gとエタノール6
00mgとの混合液を撹拌しながら1時間かけて徐々に
加えた。この操作によりナトリウムアマイドに対して2
0モル%のエタノールが接触反応に使用されたことにな
る。
【0082】減圧蒸留で反応器内のo−キシレンを除去
した後、あらためてo−キシレン425gと1,3−ブ
タジエン43gとを加え、140℃で2時間反応を行っ
た。その結果5−(o−トリル)ペンテン−2が収率8
3%で得られた。
【0083】
【実施例13】実施例6と同じ割合で和光純薬の水酸化
アルミニウムと水酸化カリウムとを採取し、これに少量
の水を加えて混練し、成形機で1.6mmφの押し出し
物を作成した。この押し出し物をまず150℃で1時間
乾燥させ、次いで900℃の炉で8時間焼成した。この
焼成物を約3〜5mmの長さに折り、担体とした。
【0084】この担体に窒素雰囲気下200℃でナトリ
ウムを10wt%になるように添加し、2時間程穏やか
に撹拌してナトリウムを担持させた。さらに温度を40
0℃に上げさらに2時間加熱撹拌して担持物を調製し
た。
【0085】この担持物30gを、o−キシレン150
gとエタノール1.1gの混合溶液に投入して30分間
撹拌した後、o−キシレンで洗浄し、触媒を得た。この
操作でナトリウムに対し20モル%のエタノールが接触
反応に使用されたことになる。
【0086】このようにして得られた触媒を内径30m
mφ、長さ500mmLのステンレス製固定床連続流通
式反応装置の反応管中央部に窒素雰囲気下で充填し、o
−キシレンと1,3−ブタジエンとの反応を行った。原
料タンクにはo−キシレン/1,3−ブタジエン(モル
比)が10となるようにそれぞれを仕込み、これをポン
プで反応器に送って反応を開始した。反応器は温度14
0℃、圧力20kgf/cm2に維持し、原料の混合物
を液空間速度(LHSV)1.0hr-1で導入した。反
応開始後3時間で1,3−ブタジエンの反応率は95%
に達した。その後触媒活性の半減期、すなわち1,3−
ブタジエンの反応率が最高の値から半減するまでの時間
は1500時間以上であった。回収された反応液は未反
応の1,3−ブタジエンを除去したのち、蒸留塔でo−
キシレンを回収し、これは再使用した。また引き続いて
目的物である5−(o−トリル)ペンテン−2を減圧蒸
留で回収したが蒸留塔の缶残はほとんど無く、高沸点物
はほとんど生成していないことが分かった。
【0087】
【実施例14】炭酸水素カリウム200gとγ−アルミ
ナ101gとを十分に混合し、1000℃で7時間焼成
して担体を調製した。この担体はK2O・1.0Al2
3の組成を有するものであった。この担体15gにナト
リウム1.5gを加えて200℃で1時間撹拌してナト
リウムを担持させた。得られたナトリウム担持物全量
を、1000ml容量のオートクレーブにいれ、溶媒と
してn−ヘプタン100mlを加え、160℃に昇温し
たのち水素で70kg/cm2Gに加圧し、3時間撹拌
を行った。この間の圧力降下は2.5kg/cm2であ
った。
【0088】放冷後残存水素を放出した後、担持物を、
o−キシレン100gとエタノール600mgとの混合
溶液に投入して30分間撹拌した後、o−キシレンで洗
浄し、触媒を得た。この操作でナトリウムに対し20モ
ル%のエタノールが接触反応に使用されたことになる。
【0089】このようにして得られた触媒を用いて実施
例10と同様にしてo−キシレンと1,3−ブタジエン
との反応を行った。その結果5−o−(トリル)ペンテ
ン−2が収率80%で得られた。
【0090】
【実施例15】t−ブトキシカリウム11.2gとアル
ミニウム−sec−ブトキシド24.6gとを200m
lのt−ブタノール中、窒素雰囲気下70℃で混合し、
アート・コンプレックスであるK(Al(OC(CH3)3)
(OCH(CH3)CH2CH3)3)の白い沈澱を析出させ
た。溶媒のt−ブタノールを減圧で留去した後この析出
物を窒素気流中500℃で4時間予備焼成し、有機残基
を総て分解させた。その後温度を1200℃に上げてさ
らに3時間焼成を行い、担体を得た。
【0091】このようにして得られた担体15gに窒素
気流下でナトリウム1.5gを加え200℃で2時間撹
拌してナトリウムを担持させ、担持物を得た。
【0092】この担持物と、エタノールの代わりにフェ
ノール1.23gとを用いた他は実施例1と同様にして
o−キシレンと1,3−ブタジエンとの反応を行った。
その結果5−(o−トリル)ペンテン−2が収率86%
で得られた。
【0093】
【実施例16】ナトリウムの代わりにカリウムを用いた
以外は実施例14と同様に、触媒の調製とモノアルケニ
ルベンゼンの製造とを行った。その結果5−o−(トリ
ル)ペンテン−2が収率82%で得られた。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素数7〜10のアルキルベンゼンおよ
    び炭素数4〜6の共役ジエン化合物を反応させてモノア
    ルケニルベンゼンを製造するにあたり、(1)少なくと
    も一般式K2O・xAl23(式中、xは0.5≦x≦
    11の値を示す。)で表される化合物から構成される担
    体に、(2)ナトリウム、カリウム、ナトリウムアマイ
    ドおよびカリウムアマイドより選ばれる少なくとも1種
    を担持させた後、(3)水、アルコールおよびフェノー
    ル類より選ばれる少なくとも1種の化合物を接触させる
    ことにより得られる触媒を用いることを特徴とするモノ
    アルケニルベンゼンの製造方法。
  2. 【請求項2】 炭素数7〜10のアルキルベンゼンおよ
    び炭素数4〜6の共役ジエン化合物を反応させてモノア
    ルケニルベンゼンを製造するにあたり、(1)少なくと
    も一般式K2O・xAl23(式中、xは0.5≦x≦
    11の値を示す。)で表される化合物から構成される担
    体に、(2)ナトリウム、カリウム、ナトリウムアマイ
    ドおよびカリウムアマイドより選ばれる少なくとも1種
    を担持させた後、水素と接触させ、さらに(3)水、ア
    ルコールおよびフェノール類より選ばれる少なくとも1
    種の化合物を接触させることにより得られる触媒を用い
    ることを特徴とするモノアルケニルベンゼンの製造方
    法。
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