JPH0966658A - 平版印刷版の印刷方法 - Google Patents
平版印刷版の印刷方法Info
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- JPH0966658A JPH0966658A JP22525595A JP22525595A JPH0966658A JP H0966658 A JPH0966658 A JP H0966658A JP 22525595 A JP22525595 A JP 22525595A JP 22525595 A JP22525595 A JP 22525595A JP H0966658 A JPH0966658 A JP H0966658A
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- ink
- hydrophilic
- water
- swelling layer
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- Printing Methods (AREA)
- Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】不感脂化処理なしで高いインキ反発性を有し、
湿し水のコントロール幅が広く、湿し水として純水を使
用することができ、高画質の印刷物を得ることができる
印刷方法を提供する。 【解決手段】基板上に少なくとも親水性膨潤層を備えた
平版印刷版を用いた印刷において、直刷り印刷すること
を特徴とする平版印刷版の印刷方法に関する。
湿し水のコントロール幅が広く、湿し水として純水を使
用することができ、高画質の印刷物を得ることができる
印刷方法を提供する。 【解決手段】基板上に少なくとも親水性膨潤層を備えた
平版印刷版を用いた印刷において、直刷り印刷すること
を特徴とする平版印刷版の印刷方法に関する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は平版印刷版の印刷方
法に関するものであり、不感脂化処理を行なうことなく
高いインキ反発性を有し、湿し水のコントロール幅が広
く、湿し水として純水を使用でき、画質の高い印刷物を
与える新規な平版印刷版の印刷方法に関するものであ
る。
法に関するものであり、不感脂化処理を行なうことなく
高いインキ反発性を有し、湿し水のコントロール幅が広
く、湿し水として純水を使用でき、画質の高い印刷物を
与える新規な平版印刷版の印刷方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】平版印刷版を直刷りする印刷方法は、従
来から用いられているが、この印刷方法においては、硬
い金属などの表面にインキが存在し、そのまま被印刷体
と接触するため画質低下が生じる。被印刷体として通常
は紙を用いるが、紙とて微視的に見れば繊維の集合体で
あり表面は硬く凹凸の多い粗面である。したがって、金
属と紙の接触では、硬い面から硬く粗い面へインキが転
移するため、インキが紙面になじまず、均質な画像を紙
面上に印刷することが難しかった。
来から用いられているが、この印刷方法においては、硬
い金属などの表面にインキが存在し、そのまま被印刷体
と接触するため画質低下が生じる。被印刷体として通常
は紙を用いるが、紙とて微視的に見れば繊維の集合体で
あり表面は硬く凹凸の多い粗面である。したがって、金
属と紙の接触では、硬い面から硬く粗い面へインキが転
移するため、インキが紙面になじまず、均質な画像を紙
面上に印刷することが難しかった。
【0003】また、これを強制的になじませるために
は、画線部を凸状にして局部印圧を上げたり(凸版印
刷)、非常に強い印圧下で印刷しなければならないが、
印圧を強くすると平版印刷面が短時間で破壊されほとん
ど実用にならないと同時に印刷機自体も故障を起こし易
く、結局のところ品質があまり向上しなかった。
は、画線部を凸状にして局部印圧を上げたり(凸版印
刷)、非常に強い印圧下で印刷しなければならないが、
印圧を強くすると平版印刷面が短時間で破壊されほとん
ど実用にならないと同時に印刷機自体も故障を起こし易
く、結局のところ品質があまり向上しなかった。
【0004】一方、オフセット印刷においては、印刷版
上のインキを一度ブランケットと称するゴム状の弾性体
へ転移させ、ついでブランケットから紙などの被印刷体
へ転移させるという工程を経ているため、オフセット印
刷の方が直刷り印刷よりも画質の点で優れているという
のが一般的な評価であった。
上のインキを一度ブランケットと称するゴム状の弾性体
へ転移させ、ついでブランケットから紙などの被印刷体
へ転移させるという工程を経ているため、オフセット印
刷の方が直刷り印刷よりも画質の点で優れているという
のが一般的な評価であった。
【0005】これに対し、特開昭56−48633号公
報には、基板上または基板を設けることなしに、弾性体
層上にインキ反発層を設けた平版印刷版を直刷りする印
刷方法が開示されている。しかしながら、これとてイン
キ反発層が弾性体上にあるため、インキ反発層が弾性体
のクッション性を妨げ、十分な効果が得られないという
問題点があった。
報には、基板上または基板を設けることなしに、弾性体
層上にインキ反発層を設けた平版印刷版を直刷りする印
刷方法が開示されている。しかしながら、これとてイン
キ反発層が弾性体上にあるため、インキ反発層が弾性体
のクッション性を妨げ、十分な効果が得られないという
問題点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、直刷り印刷であっても、オフセット印刷と同程度の
高い画質の得られる平版印刷版について鋭意検討した結
果、親水性膨潤層を備えた平版印刷版を用いることによ
り、所期の目的を達成することができることを見出し
た。
は、直刷り印刷であっても、オフセット印刷と同程度の
高い画質の得られる平版印刷版について鋭意検討した結
果、親水性膨潤層を備えた平版印刷版を用いることによ
り、所期の目的を達成することができることを見出し
た。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、基板
上に少なくとも親水性膨潤層を備えた平版印刷版を用い
た印刷において、該親水性膨潤層を湿潤させた状態で版
表面に油性インキを接触させ、画線部に油性インキを着
肉させた後、版のインキ付着面を被印刷体に圧着するこ
とによってインキを転写することを特徴とする平版印刷
版の直刷り印刷方法を提供するものである。
上に少なくとも親水性膨潤層を備えた平版印刷版を用い
た印刷において、該親水性膨潤層を湿潤させた状態で版
表面に油性インキを接触させ、画線部に油性インキを着
肉させた後、版のインキ付着面を被印刷体に圧着するこ
とによってインキを転写することを特徴とする平版印刷
版の直刷り印刷方法を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明に言う親水性とは、水に対
して実質的に不溶でかつ水膨潤性を示す性質を意味し、
公知の親水性ポリマを基板上に塗布または転写などによ
り積層し、公知の方法を用いて架橋または疑似架橋し、
水に不溶化せしめて水膨潤性とした親水性膨潤層が用い
られる。
して実質的に不溶でかつ水膨潤性を示す性質を意味し、
公知の親水性ポリマを基板上に塗布または転写などによ
り積層し、公知の方法を用いて架橋または疑似架橋し、
水に不溶化せしめて水膨潤性とした親水性膨潤層が用い
られる。
【0009】ここで言う親水性ポリマとは、公知の水溶
性ポリマ(水に完全に溶解するものを意味する)、疑似
水溶性ポリマ(両親媒性を意味し、マクロには水に溶解
するがミクロには非溶解部分を含むものを意味する)、
水膨潤性ポリマ(水に膨潤するが溶解しないものを意味
する)を指す。すなわち、通常の使用条件下で水を吸着
または吸収するポリマを意味し、水に溶けるか或いは水
に膨潤するポリマを意味する。
性ポリマ(水に完全に溶解するものを意味する)、疑似
水溶性ポリマ(両親媒性を意味し、マクロには水に溶解
するがミクロには非溶解部分を含むものを意味する)、
水膨潤性ポリマ(水に膨潤するが溶解しないものを意味
する)を指す。すなわち、通常の使用条件下で水を吸着
または吸収するポリマを意味し、水に溶けるか或いは水
に膨潤するポリマを意味する。
【0010】本発明において親水性ポリマとしては公知
のものを使用することができ、動物系ポリマ、植物系ポ
リマ、合成系ポリマがある。例えば、「Functio
mnal Monomers」(Y.Nyquist
著、Dekker)、「水溶性高分子」(中村著、化学
工業社)、「水溶性高分子 水分散型樹脂の最新加工・
改質技術と用途開発 総合技術資料集」(経営開発セン
ター出版部)、「新・水溶性ポリマの応用と市場」(シ
ーエムシー)などに記載の水溶性ポリマが挙げられる。
具体例を以下に示す。
のものを使用することができ、動物系ポリマ、植物系ポ
リマ、合成系ポリマがある。例えば、「Functio
mnal Monomers」(Y.Nyquist
著、Dekker)、「水溶性高分子」(中村著、化学
工業社)、「水溶性高分子 水分散型樹脂の最新加工・
改質技術と用途開発 総合技術資料集」(経営開発セン
ター出版部)、「新・水溶性ポリマの応用と市場」(シ
ーエムシー)などに記載の水溶性ポリマが挙げられる。
具体例を以下に示す。
【0011】(A)天然高分子類。
【0012】デンプン−アクリロニトリル系グラフト重
合体加水分解物、デンプン−アクリル酸系グラフト重合
体、デンプン−スチレンスルフォン酸系グラフト重合
体、デンプン−ビニルスルフォン酸系グラフト重合体、
デンプン−アクリルアミド系グラフト重合体、カルボキ
シル化メチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキ
シプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロ
ース、キサントゲン酸セルロース、セルロース−アクリ
ロニトリル系グラフト重合体、セルロース−スチレンス
ルフォン酸系グラフト重合体、カルボキシメチルセルロ
ース系架橋体、ヒアルロン酸、アガロース、コラーゲ
ン、ミルクカゼイン、酸カゼイン、レンネットカゼイ
ン、アンモニアカゼイン、カリ化カゼイン、ホウ砂カゼ
イン、グルー、ゼラチン、グルテン、大豆蛋白、アルギ
ン酸塩、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カリウ
ム、アルギン酸ナトリウムアラビヤガム、トラガカント
ガム、カラヤガム、グアールガム、ロカストビーンガ
ム、アイリッシュモス、大豆レシチン、ペクチン酸、澱
粉、カルボキシル化澱粉、寒天、デキストリン、マンナ
ンなど。
合体加水分解物、デンプン−アクリル酸系グラフト重合
体、デンプン−スチレンスルフォン酸系グラフト重合
体、デンプン−ビニルスルフォン酸系グラフト重合体、
デンプン−アクリルアミド系グラフト重合体、カルボキ
シル化メチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキ
シプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロ
ース、キサントゲン酸セルロース、セルロース−アクリ
ロニトリル系グラフト重合体、セルロース−スチレンス
ルフォン酸系グラフト重合体、カルボキシメチルセルロ
ース系架橋体、ヒアルロン酸、アガロース、コラーゲ
ン、ミルクカゼイン、酸カゼイン、レンネットカゼイ
ン、アンモニアカゼイン、カリ化カゼイン、ホウ砂カゼ
イン、グルー、ゼラチン、グルテン、大豆蛋白、アルギ
ン酸塩、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カリウ
ム、アルギン酸ナトリウムアラビヤガム、トラガカント
ガム、カラヤガム、グアールガム、ロカストビーンガ
ム、アイリッシュモス、大豆レシチン、ペクチン酸、澱
粉、カルボキシル化澱粉、寒天、デキストリン、マンナ
ンなど。
【0013】(B)合成高分子類。
【0014】ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキ
サイド、ポリ(エチレンオキサイド-co-プロピレンオキ
サイド)、水性ウレタン樹脂、水溶性ポリエステル、ヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリレート系ポリマ、ポリ
(ビニルメチルエーテル-co-無水マレイン酸)、無水マ
レイン酸系共重合体、ビニルピロリドン系共重合体、ポ
リエチレングリコールジ(メタ)アクリレート系架橋重
合体、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト系架橋重合体、ポリ(N−ビニルカルボン酸アミ
ド)、N−ビニルカルボン酸アミド共重合体、など。
サイド、ポリ(エチレンオキサイド-co-プロピレンオキ
サイド)、水性ウレタン樹脂、水溶性ポリエステル、ヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリレート系ポリマ、ポリ
(ビニルメチルエーテル-co-無水マレイン酸)、無水マ
レイン酸系共重合体、ビニルピロリドン系共重合体、ポ
リエチレングリコールジ(メタ)アクリレート系架橋重
合体、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト系架橋重合体、ポリ(N−ビニルカルボン酸アミ
ド)、N−ビニルカルボン酸アミド共重合体、など。
【0015】なお、上記の親水性ポリマは発明の効果を
損わない範囲で、柔軟性を付与したり、親水性を制御す
る目的から置換基が異なるモノマや共重合成分を、1種
または2種以上を適宜混合して用いることが可能であ
る。
損わない範囲で、柔軟性を付与したり、親水性を制御す
る目的から置換基が異なるモノマや共重合成分を、1種
または2種以上を適宜混合して用いることが可能であ
る。
【0016】次に、親水性ポリマの架橋方法について説
明する。
明する。
【0017】親水性膨潤層は、既述の親水性ポリマの少
なくとも1種以上を必要に応じて架橋または疑似架橋
し、水に不溶化せしめることによって基板上に積層形成
される。架橋には、親水性ポリマの有する反応性官能基
を用いて架橋反応することにより行われる。
なくとも1種以上を必要に応じて架橋または疑似架橋
し、水に不溶化せしめることによって基板上に積層形成
される。架橋には、親水性ポリマの有する反応性官能基
を用いて架橋反応することにより行われる。
【0018】架橋反応は、共有結合性の架橋であって
も、イオン結合性の架橋であってもよい。
も、イオン結合性の架橋であってもよい。
【0019】架橋反応に用いられる化合物としては、架
橋性を有する公知の多官能性化合物が挙げられ、ポリエ
ポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物、ポリ(メ
タ)アクリル化合物、ポリメルカプト化合物、ポリアル
コキシシリル化合物、多価金属塩化合物、ポリアミン化
合物、アルデヒド化合物、ポリビニル化合物などが挙げ
られ、該架橋反応は公知の触媒を添加し、反応を促進す
ることが行われる。
橋性を有する公知の多官能性化合物が挙げられ、ポリエ
ポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物、ポリ(メ
タ)アクリル化合物、ポリメルカプト化合物、ポリアル
コキシシリル化合物、多価金属塩化合物、ポリアミン化
合物、アルデヒド化合物、ポリビニル化合物などが挙げ
られ、該架橋反応は公知の触媒を添加し、反応を促進す
ることが行われる。
【0020】これら親水性ポリマは、該親水性膨潤層の
形態保持や水膨潤性の調整などの目的から単体または2
種以上の混合物として用いることが可能であり、非親水
性ポリマをブレンドすることも可能である。
形態保持や水膨潤性の調整などの目的から単体または2
種以上の混合物として用いることが可能であり、非親水
性ポリマをブレンドすることも可能である。
【0021】また、下層との接着性向上などの目的か
ら、公知のシランカップリング剤やイソシアネート化合
物、触媒などを添加したり中間層として設けることも可
能である。
ら、公知のシランカップリング剤やイソシアネート化合
物、触媒などを添加したり中間層として設けることも可
能である。
【0022】本発明の親水性膨潤層の水に対する膨潤率
は、以下の定義に従って測定することができる。
は、以下の定義に従って測定することができる。
【0023】
【数1】 ただし、吸水量とは、以下の定義に従って測定した値を
意味する。
意味する。
【0024】吸水量(g/m2 )=WWET −WDRY WDRY :乾燥状態における重量(g/m2 ) WWET :水中に25℃×10分間浸漬した後の重量(g
/m2 ) [吸水量の測定方法]測定しようとする感光性平版印刷
版原版を所定面積に裁断し、25℃の精製水中に浸漬す
る。10分間浸漬した後、該原版の親水性膨潤層表面お
よび裏面に付着した余分の液体を「ハイゼガーゼ」(コ
ットン布:旭化成工業(株)製)にて素速く拭き取り、
該原版の膨潤重量WWET を秤量する。その後、該原版を
60℃のオーブンにて約30分間乾燥し、乾燥重量WDR
Y を秤量する。
/m2 ) [吸水量の測定方法]測定しようとする感光性平版印刷
版原版を所定面積に裁断し、25℃の精製水中に浸漬す
る。10分間浸漬した後、該原版の親水性膨潤層表面お
よび裏面に付着した余分の液体を「ハイゼガーゼ」(コ
ットン布:旭化成工業(株)製)にて素速く拭き取り、
該原版の膨潤重量WWET を秤量する。その後、該原版を
60℃のオーブンにて約30分間乾燥し、乾燥重量WDR
Y を秤量する。
【0025】親水性膨潤層厚さとは、基板上に塗設した
乾燥済みの感光性平版印刷版原版の親水性膨潤層の塗布
層を剥離し、重量法によって測定した値を意味する。親
水性膨潤層厚さは下記式に従って測定した。
乾燥済みの感光性平版印刷版原版の親水性膨潤層の塗布
層を剥離し、重量法によって測定した値を意味する。親
水性膨潤層厚さは下記式に従って測定した。
【0026】 親水性膨潤層厚さ(g/m2 )=(W−W0 )/α W:感光性平版印刷版原版の乾燥重量 (g) W0 :上記Wから親水性膨潤層を剥離脱落した後の乾燥
重量(g) α:感光性平版印刷版原版の測定面積(m2 ) [親水性膨潤層厚さの測定方法]感光性平版印刷版原版
を所定面積αに裁断した後、60℃のオーブンにて約3
0分間乾燥し、乾燥重量Wを秤量する。その後、該原版
を水中に浸漬し、親水性膨潤層を膨潤させ、スクレーパ
ーなどを用いて該膨潤層を剥離脱落させる。親水性膨潤
層を剥離脱落させた原版を再度60℃のオーブンにて約
30分間乾燥し、乾燥重量W0 を秤量する。
重量(g) α:感光性平版印刷版原版の測定面積(m2 ) [親水性膨潤層厚さの測定方法]感光性平版印刷版原版
を所定面積αに裁断した後、60℃のオーブンにて約3
0分間乾燥し、乾燥重量Wを秤量する。その後、該原版
を水中に浸漬し、親水性膨潤層を膨潤させ、スクレーパ
ーなどを用いて該膨潤層を剥離脱落させる。親水性膨潤
層を剥離脱落させた原版を再度60℃のオーブンにて約
30分間乾燥し、乾燥重量W0 を秤量する。
【0027】本発明に用いられる親水性膨潤層厚さは、
0.1〜100g/m2 で用いることが可能であるが、
インキ反撥性および形態保持性の観点から、好ましくは
0.3〜10g/m2 である。該厚みが0.3g/m2
未満になると、インキ反撥性が極端に低下する傾向にあ
り、また塗工時にピンホ−ルなどの欠陥が生じ易くな
る。また10g/m2 より大きい場合は水膨潤時の形態
保持性が劣化する傾向にあり経済的にも不利である。
0.1〜100g/m2 で用いることが可能であるが、
インキ反撥性および形態保持性の観点から、好ましくは
0.3〜10g/m2 である。該厚みが0.3g/m2
未満になると、インキ反撥性が極端に低下する傾向にあ
り、また塗工時にピンホ−ルなどの欠陥が生じ易くな
る。また10g/m2 より大きい場合は水膨潤時の形態
保持性が劣化する傾向にあり経済的にも不利である。
【0028】本発明の親水性膨潤層の水に対する膨潤率
は、10〜1000%であることが好ましい。インキ反
発性および形態保持性の観点から50〜500%がさら
に好ましい。水に対する膨潤率が10%未満になると、
インキ反発性が低下し、また塗工時にピンホールなどの
欠陥が生じ易くなる。一方、水に対する膨潤率が100
0%よりも大きくなると、形態保持性が大きく低下す
る。
は、10〜1000%であることが好ましい。インキ反
発性および形態保持性の観点から50〜500%がさら
に好ましい。水に対する膨潤率が10%未満になると、
インキ反発性が低下し、また塗工時にピンホールなどの
欠陥が生じ易くなる。一方、水に対する膨潤率が100
0%よりも大きくなると、形態保持性が大きく低下す
る。
【0029】本発明の親水性膨潤層に用いられる疎水性
ポリマは、水性エマルジョンから主として構成されたも
のが好ましく用いられる。
ポリマは、水性エマルジョンから主として構成されたも
のが好ましく用いられる。
【0030】本発明にいう水性エマルジョンとは、微細
なポリマ粒子と必要に応じて該粒子を包囲する保護層か
らなる粒子を水中に分散させた疎水性ポリマ懸濁水溶液
を意味する。
なポリマ粒子と必要に応じて該粒子を包囲する保護層か
らなる粒子を水中に分散させた疎水性ポリマ懸濁水溶液
を意味する。
【0031】すなわち、基本的に分散質としてのポリマ
粒子と必要に応じて形成される保護層からなるエマルジ
ョン粒子と分散媒としての希釈水溶液から構成される自
己乳化または強制乳化水溶液を意味する。本発明に用い
られる水性エマルジョンの具体例としては、ビニルポリ
マ系ラテックス、共役ジエンポリマ系ラテックスおよび
水性または水分散ポリウレタン樹脂などが挙げられる。
粒子と必要に応じて形成される保護層からなるエマルジ
ョン粒子と分散媒としての希釈水溶液から構成される自
己乳化または強制乳化水溶液を意味する。本発明に用い
られる水性エマルジョンの具体例としては、ビニルポリ
マ系ラテックス、共役ジエンポリマ系ラテックスおよび
水性または水分散ポリウレタン樹脂などが挙げられる。
【0032】本発明の水性エマルジョンの中でも本発明
に特に好ましく用いられる疎水性ポリマとしてはスチレ
ン/ブタジエン系、アクリロニトリル/ブタジエン系、
メタクリル酸メチル/ブタジエン系、クロロプレン系な
どの共役ジエン系化合物を含有するラテックスが挙げら
れる。
に特に好ましく用いられる疎水性ポリマとしてはスチレ
ン/ブタジエン系、アクリロニトリル/ブタジエン系、
メタクリル酸メチル/ブタジエン系、クロロプレン系な
どの共役ジエン系化合物を含有するラテックスが挙げら
れる。
【0033】本発明の親水性膨潤層は、上記の親水性ポ
リマと疎水性ポリマを混合し、必要に応じて架橋または
疑似架橋し、水に不溶化せしめることによって基板上に
積層形成される。
リマと疎水性ポリマを混合し、必要に応じて架橋または
疑似架橋し、水に不溶化せしめることによって基板上に
積層形成される。
【0034】架橋には、親水性ポリマおよび疎水性ポリ
マが反応性官能基を用いて架橋反応することが好まし
い。
マが反応性官能基を用いて架橋反応することが好まし
い。
【0035】架橋反応は、共有結合性の架橋であって
も、イオン結合性の架橋であってもよい。
も、イオン結合性の架橋であってもよい。
【0036】本発明の親水性膨潤層の親水性ポリマと疎
水性ポリマを混合する方法としては、3本ロールなどの
ロールミキサ、ニーダーなど混合機を用いて混練りする
方法、ホモジナイザー、ボールミルなどのディスパーサ
ーを用いて湿式混合分散する方法など、塗料やパテを製
造する際に用いられる公知の方法で好ましく混合され
る。
水性ポリマを混合する方法としては、3本ロールなどの
ロールミキサ、ニーダーなど混合機を用いて混練りする
方法、ホモジナイザー、ボールミルなどのディスパーサ
ーを用いて湿式混合分散する方法など、塗料やパテを製
造する際に用いられる公知の方法で好ましく混合され
る。
【0037】また本発明の親水性膨潤層を形成する方法
としては、疎水性ポリマとして水性のエマルジョンを好
ましく用いることから、水溶液系で各成分(親水性ポリ
マ、疎水性ポリマなど)を混合し、必要に応じて架橋剤
が添加される方法が、均質な相分離構造を実現しインキ
反撥性を向上させる点から好ましい。
としては、疎水性ポリマとして水性のエマルジョンを好
ましく用いることから、水溶液系で各成分(親水性ポリ
マ、疎水性ポリマなど)を混合し、必要に応じて架橋剤
が添加される方法が、均質な相分離構造を実現しインキ
反撥性を向上させる点から好ましい。
【0038】従って、用いられる架橋剤としては、水溶
性の多官能性化合物を用いることが特に好ましい。すな
わち、水溶性のポリエポキシ化合物、ポリアミン化合
物、メラミン化合物などを用いることが好ましい。
性の多官能性化合物を用いることが特に好ましい。すな
わち、水溶性のポリエポキシ化合物、ポリアミン化合
物、メラミン化合物などを用いることが好ましい。
【0039】次に本発明の親水性膨潤層における相分離
構造について説明する。
構造について説明する。
【0040】親水性ポリマを主成分とする相と疎水性ポ
リマを主成分とする相から構成された相分離構造とする
ことにより、インキ反発性と印刷耐久性の両者を広い組
成範囲において実現することが可能となる。
リマを主成分とする相から構成された相分離構造とする
ことにより、インキ反発性と印刷耐久性の両者を広い組
成範囲において実現することが可能となる。
【0041】該相分離構造を構成する親水性ポリマ相と
疎水性ポリマ相の組成比は自由であり、 (1)いずれか一方が連続相で、他方が分散相である形
態、 (2)親水性および疎水性ポリマ相がそれぞれ連続相お
よび分散相を有する形態 (3)親水性および疎水性ポリマ相がいずれも連続相と
なる形態 の中から自由に選択することができる。
疎水性ポリマ相の組成比は自由であり、 (1)いずれか一方が連続相で、他方が分散相である形
態、 (2)親水性および疎水性ポリマ相がそれぞれ連続相お
よび分散相を有する形態 (3)親水性および疎水性ポリマ相がいずれも連続相と
なる形態 の中から自由に選択することができる。
【0042】該親水性膨潤層はゴム弾性を有することが
好ましい。すなわち、以下の方法により測定した親水性
膨潤層の初期弾性率が特定の範囲内にあることが好まし
い。
好ましい。すなわち、以下の方法により測定した親水性
膨潤層の初期弾性率が特定の範囲内にあることが好まし
い。
【0043】[初期弾性率の測定方法]平版印刷版の非
画線部および画線部に対応した部分と同一組成の溶液を
テフロンシャーレ上に展開し、60℃×24時間乾燥硬
化させる。得られた乾燥硬化膜は、剃刀刃などを用い
て、長さ40mm、幅1,95mm、厚み約0.2mm
の短冊状のテストピースに裁断する。溶液塗布後、刷版
とするまでに画線部および/または非画線部に処理を施
す場合には、テストピースにも同様の処理を施す。例え
ば、後述の作成方法による場合には、画線部に対応した
部分は、刷版処理と同一条件で露光処理し、感光性化合
物を反応させる。
画線部および画線部に対応した部分と同一組成の溶液を
テフロンシャーレ上に展開し、60℃×24時間乾燥硬
化させる。得られた乾燥硬化膜は、剃刀刃などを用い
て、長さ40mm、幅1,95mm、厚み約0.2mm
の短冊状のテストピースに裁断する。溶液塗布後、刷版
とするまでに画線部および/または非画線部に処理を施
す場合には、テストピースにも同様の処理を施す。例え
ば、後述の作成方法による場合には、画線部に対応した
部分は、刷版処理と同一条件で露光処理し、感光性化合
物を反応させる。
【0044】このようにして得られたテストピースは、
25℃、50%RHの環境下にて24時間以上放置し調
湿した後、厚みをマイクロゲージにて測定し、下記の引
張り条件で初期弾性率を測定した。データ処理はJIS
K6301の準じて行った。
25℃、50%RHの環境下にて24時間以上放置し調
湿した後、厚みをマイクロゲージにて測定し、下記の引
張り条件で初期弾性率を測定した。データ処理はJIS
K6301の準じて行った。
【0045】引張り速度 200mm/分 チャック間距離 20mm 繰り返し回数 4回 測定機 「RTM−100」((株オリエンテック)
製) 親水性膨潤層の初期弾性率は、0.01〜」10kgf
/mm2 の範囲内にあることがインキ反発性および形態
保持性の観点から重要であり、0.01〜5kgf/m
m2 の範囲が好ましく、0.01から2kgf/mm2
の範囲がさらに好ましい。初期弾性率が、0.01kg
f/mm2 未満の場合は、親水性膨潤層の形態保持性が
極端に低下し、印刷時の耐久性に劣り、初期弾性率が1
0kgf/mm2 よりも大きくなるとインキ反発性が極
端に低下する。
製) 親水性膨潤層の初期弾性率は、0.01〜」10kgf
/mm2 の範囲内にあることがインキ反発性および形態
保持性の観点から重要であり、0.01〜5kgf/m
m2 の範囲が好ましく、0.01から2kgf/mm2
の範囲がさらに好ましい。初期弾性率が、0.01kg
f/mm2 未満の場合は、親水性膨潤層の形態保持性が
極端に低下し、印刷時の耐久性に劣り、初期弾性率が1
0kgf/mm2 よりも大きくなるとインキ反発性が極
端に低下する。
【0046】一方、画線部(インキ着肉部分)の初期弾
性率は非画線部の親水性膨潤層の初期弾性率よりも大き
いことが必要で、有利に画像形成を行うためには2倍以
上、好ましくは3倍以上である。
性率は非画線部の親水性膨潤層の初期弾性率よりも大き
いことが必要で、有利に画像形成を行うためには2倍以
上、好ましくは3倍以上である。
【0047】本発明に用いられる親水性膨潤層には上記
した親水性ポリマ、疎水性ポリマおよび必要に応じて加
えられる架橋剤の他にも、ゴム組成物において通常添加
される公知の老化防止剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止
剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、可塑剤などを添加する
ことが可能である。
した親水性ポリマ、疎水性ポリマおよび必要に応じて加
えられる架橋剤の他にも、ゴム組成物において通常添加
される公知の老化防止剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止
剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、可塑剤などを添加する
ことが可能である。
【0048】また下層との接着性向上などの目的から、
公知のシランカップリング剤やイソシアネート化合物、
触媒などを添加したり基板との間に中間層として設ける
ことも可能である。
公知のシランカップリング剤やイソシアネート化合物、
触媒などを添加したり基板との間に中間層として設ける
ことも可能である。
【0049】また本発明に用いられる親水性膨潤層に
は、染料や顔料、pH指示薬、ロイコ染料、界面活性
剤、有機酸などの各種添加剤を微量添加することも可能
である。本発明に用いられる平版印刷版の基板として
は、通常の平版印刷機に取り付けられるたわみ性と印刷
時に加わる荷重に耐えうるものである必要がある以外に
は一切制限を受けない。
は、染料や顔料、pH指示薬、ロイコ染料、界面活性
剤、有機酸などの各種添加剤を微量添加することも可能
である。本発明に用いられる平版印刷版の基板として
は、通常の平版印刷機に取り付けられるたわみ性と印刷
時に加わる荷重に耐えうるものである必要がある以外に
は一切制限を受けない。
【0050】代表的なものとしては、アルミ、銅、鉄、
などの金属板、ポリエステルフィルムやポリプロピレン
フィルムなどのプラスチックフィルムあるいはコート
紙、ゴムシートなどが挙げられる。また、該基板は上記
の素材が複合されたものであってもよい。
などの金属板、ポリエステルフィルムやポリプロピレン
フィルムなどのプラスチックフィルムあるいはコート
紙、ゴムシートなどが挙げられる。また、該基板は上記
の素材が複合されたものであってもよい。
【0051】また、該基板表面は検版性向上や接着性向
上の目的から、電気化学的処理や酸塩基処理、コロナ放
電処理など各種に表面処理を施すことも可能である。
上の目的から、電気化学的処理や酸塩基処理、コロナ放
電処理など各種に表面処理を施すことも可能である。
【0052】またこれらの基板上には接着性向上やハレ
ーション防止の目的からコーティングなどを施してプラ
イマー層を形成し、基板とすることも可能である。
ーション防止の目的からコーティングなどを施してプラ
イマー層を形成し、基板とすることも可能である。
【0053】次に本発明の平版印刷版を用いた印刷方法
について説明する。
について説明する。
【0054】本発明の、基板上に少なくとも親水性膨潤
層を備えた平版印刷版に画像形成を行った後、該印刷版
を所定の位置に固定し、版面に湿し水として精製水を供
給して版面上の親水性膨潤層を湿潤させた状態で該版面
に油性インキを着肉させ、版のインキ付着面を被印刷体
に圧着することによって、該油性インキを被印刷体に転
移させて印刷を行うことができる。
層を備えた平版印刷版に画像形成を行った後、該印刷版
を所定の位置に固定し、版面に湿し水として精製水を供
給して版面上の親水性膨潤層を湿潤させた状態で該版面
に油性インキを着肉させ、版のインキ付着面を被印刷体
に圧着することによって、該油性インキを被印刷体に転
移させて印刷を行うことができる。
【0055】版のインキ付着面を被印刷体に圧着する方
法としては、平圧式、円圧式、輪転式のいずれであって
もよい。
法としては、平圧式、円圧式、輪転式のいずれであって
もよい。
【0056】また、本発明の平版印刷には、公知の直刷
り方式の印刷機が用いることが好ましく、例えば、直刷
り方式の枚葉印刷機や輪転印刷機を挙げることができ
る。
り方式の印刷機が用いることが好ましく、例えば、直刷
り方式の枚葉印刷機や輪転印刷機を挙げることができ
る。
【0057】本発明の、基板上に少なくとも親水性膨潤
層を備えた平版印刷版に画線部および非画線部を画像形
成した後、平版印刷機の版胴に装着し、版面に湿し水と
して精製水を水棒などの湿し水供給装置から供給して版
面上の親水性膨潤層を湿潤させた状態で該版面にインキ
着けローラーからインキを供給して、油性インキを画線
部に着肉させた後、版のインキ付着面を被印刷体に圧着
することによって、該油性インキを被印刷体に転移させ
て印刷を行うことができる。
層を備えた平版印刷版に画線部および非画線部を画像形
成した後、平版印刷機の版胴に装着し、版面に湿し水と
して精製水を水棒などの湿し水供給装置から供給して版
面上の親水性膨潤層を湿潤させた状態で該版面にインキ
着けローラーからインキを供給して、油性インキを画線
部に着肉させた後、版のインキ付着面を被印刷体に圧着
することによって、該油性インキを被印刷体に転移させ
て印刷を行うことができる。
【0058】本発明の平版印刷版に直刷り印刷方法を適
用することにより、高い画質の印刷物が得られる理由
は、以下ように推察される。すなわち、本発明の親水性
膨潤層は湿し水として供給される精製水などを層内に包
含することによって、層が膨潤し、親水性膨潤層自体が
ゴム弾性体の性質を有している。したがって、親水性膨
潤層は、インキ反発層として機能するだけではなく、版
面上のインキを被印刷体に転移させるに当たっては、ク
ッションの役割を果たすため高い画質の印刷物を得るこ
とができると考えられる。加えて、親水性膨潤層のゴム
弾性は、親水性膨潤層の層内に包含している水の量によ
り変化する点も重要であると推察される。すなわち、版
面に湿し水として精製水を供給し親水性膨潤層を湿潤さ
せ該版面に油性インキを着肉させ、版のインキ付着面を
被印刷体に圧着し該油性インキを被印刷体に転移させる
というサイクルの中において、湿し水が供給され、親水
性膨潤層が最も膨潤した時ゴム弾性が大きく、版面が被
印刷体に圧着されて親水性膨潤層から水が押し出され時
には親水性膨潤層が包含する水の量は少なくなりゴム弾
性は低下する。被印刷体に圧着する初期においてはソフ
トに、圧着の後半においては比較的しっかりと版面が被
印刷体に接する点が画質に強く影響していると考えられ
る。
用することにより、高い画質の印刷物が得られる理由
は、以下ように推察される。すなわち、本発明の親水性
膨潤層は湿し水として供給される精製水などを層内に包
含することによって、層が膨潤し、親水性膨潤層自体が
ゴム弾性体の性質を有している。したがって、親水性膨
潤層は、インキ反発層として機能するだけではなく、版
面上のインキを被印刷体に転移させるに当たっては、ク
ッションの役割を果たすため高い画質の印刷物を得るこ
とができると考えられる。加えて、親水性膨潤層のゴム
弾性は、親水性膨潤層の層内に包含している水の量によ
り変化する点も重要であると推察される。すなわち、版
面に湿し水として精製水を供給し親水性膨潤層を湿潤さ
せ該版面に油性インキを着肉させ、版のインキ付着面を
被印刷体に圧着し該油性インキを被印刷体に転移させる
というサイクルの中において、湿し水が供給され、親水
性膨潤層が最も膨潤した時ゴム弾性が大きく、版面が被
印刷体に圧着されて親水性膨潤層から水が押し出され時
には親水性膨潤層が包含する水の量は少なくなりゴム弾
性は低下する。被印刷体に圧着する初期においてはソフ
トに、圧着の後半においては比較的しっかりと版面が被
印刷体に接する点が画質に強く影響していると考えられ
る。
【0059】本発明の、親水性膨潤層を備えた平版印刷
版を直刷り方式で印刷することによる画質への影響につ
いてさらに詳細に述べると、本発明においては、転写用
ブランケットを使用しない直刷りであるので、紙上の網
点の一つ一つがシャープであり、印刷物が深みがあって
力強いものになる。また、直刷りであることから、印刷
濃度を高くすることができる。したがって、従来のオフ
セット印刷法において2度の重ね刷りを必要とした場合
でも一度刷りで十分に高い濃度を得ることができる。ま
た、光沢の高い印刷物が得られるため、印刷濃度および
光沢の向上により、より表現能力の高い印刷物を得るこ
とができる。
版を直刷り方式で印刷することによる画質への影響につ
いてさらに詳細に述べると、本発明においては、転写用
ブランケットを使用しない直刷りであるので、紙上の網
点の一つ一つがシャープであり、印刷物が深みがあって
力強いものになる。また、直刷りであることから、印刷
濃度を高くすることができる。したがって、従来のオフ
セット印刷法において2度の重ね刷りを必要とした場合
でも一度刷りで十分に高い濃度を得ることができる。ま
た、光沢の高い印刷物が得られるため、印刷濃度および
光沢の向上により、より表現能力の高い印刷物を得るこ
とができる。
【0060】また、本発明の、親水性膨潤層を備えた平
版印刷版を印刷する際に使用される湿し水は、通常の平
版印刷において使用されるエッチ液を用いることも可能
であるが、添加物を一切添加しない精製水を使用するこ
とができる。
版印刷版を印刷する際に使用される湿し水は、通常の平
版印刷において使用されるエッチ液を用いることも可能
であるが、添加物を一切添加しない精製水を使用するこ
とができる。
【0061】
【実施例】以下に、実施例により本発明をさらに詳しく
説明する。
説明する。
【0062】[実施例1]厚さ0.2mmのアルミ板
(住友軽金属(株)製)に、親水性ポリマとしてアクリ
ル酸ナトリウム−n−ブチルメタクリレート共重合体
(組成比40/60モル%)を用い、以下のような組成
物を塗布した後、150℃×60分間熱処理して2g/
m2 の厚みを有する親水性膨潤層を塗設した。
(住友軽金属(株)製)に、親水性ポリマとしてアクリ
ル酸ナトリウム−n−ブチルメタクリレート共重合体
(組成比40/60モル%)を用い、以下のような組成
物を塗布した後、150℃×60分間熱処理して2g/
m2 の厚みを有する親水性膨潤層を塗設した。
【0063】 <親水性膨潤層組成(重量部)> (1)親水性ポリマ 28重量部 (2)テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル 5重量部 (3)水性ラテックス「JSR0596」 65重量部 [カルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合ラテックス:大日本インキ 化学工業(株)製] (4)2−アミノプロピルトリメトキシシラン 2重量部 (5)精製水 900重量部 上記のようにして塗設した親水性膨潤層上に、下記組成
の感光性組成物を塗布し、150℃×2分間熱処理して
感光性組成物0.5g/m2 を親水性膨潤層中に含浸さ
せた。
の感光性組成物を塗布し、150℃×2分間熱処理して
感光性組成物0.5g/m2 を親水性膨潤層中に含浸さ
せた。
【0064】さらに、厚さ12ミクロンの片面マット化
二軸延伸ポリプロピレンフィルムをマット化されていな
い面が該親水性膨潤層と接するようにしてカレンダロー
ラーを用いてラミネートし、ネガ版の平版印刷版原版を
得た。
二軸延伸ポリプロピレンフィルムをマット化されていな
い面が該親水性膨潤層と接するようにしてカレンダロー
ラーを用いてラミネートし、ネガ版の平版印刷版原版を
得た。
【0065】得られた平版印刷版は、高圧水銀灯「ジェ
ットライト330 3kW:オーク製作所(株)製」を
用い、PCW(PLATE CONTROL WEDGE :KALLE社
製)を貼り込んだネガフィルムを通して60秒間露光
(3.6mW/cm2 )した。次いで、版全面を水道水でリンス
し、未露光部の感光性組成物を洗浄して刷版とした。
ットライト330 3kW:オーク製作所(株)製」を
用い、PCW(PLATE CONTROL WEDGE :KALLE社
製)を貼り込んだネガフィルムを通して60秒間露光
(3.6mW/cm2 )した。次いで、版全面を水道水でリンス
し、未露光部の感光性組成物を洗浄して刷版とした。
【0066】得られた印刷版原版のインキ反発部分に対
応した親水性膨潤層を水膨潤させた後、OsO4染色
し、TEM(透過型電子顕微鏡)観察した。
応した親水性膨潤層を水膨潤させた後、OsO4染色
し、TEM(透過型電子顕微鏡)観察した。
【0067】観察の結果、親水性膨潤層が親水性ポリマ
を主成分とする相および疎水性ポリマを主成分とする相
から構成された相分離構造を有することが確認された。
を主成分とする相および疎水性ポリマを主成分とする相
から構成された相分離構造を有することが確認された。
【0068】 (1)キシリレンジアミン/グリシジルメタクリレート/メチルグリシジルエー テル(1/2/2mol 反応物) 10重量部 (2)CH2=CHCOO(C2H4O)14COCH=CH2 10重量部 (3)ミヒラー氏ケトン 2重量部 (4)2,4−ジエチルチオキサントン 2重量部 (5)ジグライム 76重量部 得られた刷版の親水性膨潤層の水に対する膨潤率は、既
述の方法にて測定すると440%であった。また、イン
キ反発層である非画線部の初期弾性率は、既述の方法に
て測定すると0.08kgf/mm2 、画線部の初期弾
性率は0.34kgf/mm2 であった。
述の方法にて測定すると440%であった。また、イン
キ反発層である非画線部の初期弾性率は、既述の方法に
て測定すると0.08kgf/mm2 、画線部の初期弾
性率は0.34kgf/mm2 であった。
【0069】得られた刷版と、通常のPS版(FPQ:
富士写真フィルム(株)製)を露光、現像処理して刷版
としたものを、直刷り方式枚葉印刷機「KSB印刷機:
ハイデルベルグ社製」の版胴に並べて装着し、標準の印
圧に設定して、湿し水として市販の精製水を供給しなが
ら上質紙(62.5kg/菊)を用いて印刷を行った。
富士写真フィルム(株)製)を露光、現像処理して刷版
としたものを、直刷り方式枚葉印刷機「KSB印刷機:
ハイデルベルグ社製」の版胴に並べて装着し、標準の印
圧に設定して、湿し水として市販の精製水を供給しなが
ら上質紙(62.5kg/菊)を用いて印刷を行った。
【0070】湿し水の供給量を標準条件から増量した場
合、PS版を用いた部分では、画線部のインキ濃度が極
端に低下し、いわゆる「水負け」によるインキの着肉不
良が発生した。一方、実施例1の刷版を用いた部分で
は、着肉不良の程度が軽微であった。
合、PS版を用いた部分では、画線部のインキ濃度が極
端に低下し、いわゆる「水負け」によるインキの着肉不
良が発生した。一方、実施例1の刷版を用いた部分で
は、着肉不良の程度が軽微であった。
【0071】また、湿し水の供給量を標準条件から減量
した場合、PS版を用いた部分では、全面にインキ汚れ
が発生した。一方、実施例1の刷版では、良好な印刷物
が得られた。
した場合、PS版を用いた部分では、全面にインキ汚れ
が発生した。一方、実施例1の刷版では、良好な印刷物
が得られた。
【0072】[実施例2]印圧を標準状態から20%下
げて設定したこと以外は、実施例1と同様にして印刷を
行った。
げて設定したこと以外は、実施例1と同様にして印刷を
行った。
【0073】湿し水の供給量が標準状態であっても、P
S版を用いた部分では、印刷物が不均質で、一部にカス
レが見られたのに対し、実施例1の刷版では良好な印刷
物が得られた。
S版を用いた部分では、印刷物が不均質で、一部にカス
レが見られたのに対し、実施例1の刷版では良好な印刷
物が得られた。
【0074】
【発明の効果】親水性膨潤層を備えた平版印刷版を直刷
り印刷することにより、高いインキ反発性を有し、湿し
水のコントロール幅が広く、湿し水として純水が使用で
き、かつ高画質の印刷物を得ることができる。
り印刷することにより、高いインキ反発性を有し、湿し
水のコントロール幅が広く、湿し水として純水が使用で
き、かつ高画質の印刷物を得ることができる。
Claims (5)
- 【請求項1】基板上に少なくとも親水性膨潤層を備えた
平版印刷版を用いた印刷において、該親水性膨潤層を湿
潤させた状態で版表面に油性インキを接触させ、画線部
に油性インキを着肉させた後、版のインキ付着面を被印
刷体に圧着することによってインキを転写することを特
徴とする平版印刷版の直刷り印刷方法 - 【請求項2】該親水性膨潤層の水に対する膨潤率が10
〜1000%であることを特徴とする請求項1に記載の
平版印刷版の直刷り印刷方法 - 【請求項3】該親水性膨潤層の非画線部の初期弾性率が
0.01〜10kgf/mm2 であり、画線部の初期弾
性率が非画線部の初期弾性率よりも大きいことを特徴と
する平版印刷版の直刷り印刷方法 - 【請求項4】該親水性膨潤層が親水性ポリマを主成分と
する相および疎水性ポリマを主成分とする相の少なくと
も2相から構成された相分離構造を有することを特徴と
する請求項1記載の平版印刷版の直刷り印刷方法 - 【請求項5】疎水性ポリマを主成分とする相が、共役ジ
エン系化合物を含有するラテックスから主として構成さ
れることを特徴とする請求項4に記載の平版印刷版の画
像形成方法
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22525595A JPH0966658A (ja) | 1995-09-01 | 1995-09-01 | 平版印刷版の印刷方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22525595A JPH0966658A (ja) | 1995-09-01 | 1995-09-01 | 平版印刷版の印刷方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0966658A true JPH0966658A (ja) | 1997-03-11 |
Family
ID=16826452
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP22525595A Pending JPH0966658A (ja) | 1995-09-01 | 1995-09-01 | 平版印刷版の印刷方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0966658A (ja) |
-
1995
- 1995-09-01 JP JP22525595A patent/JPH0966658A/ja active Pending
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