JPH0965827A - 乾燥チーズの製造法 - Google Patents
乾燥チーズの製造法Info
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Abstract
であり、品質の良好な乾燥チーズを、簡易に、安価に製
造する方法を提供する。 【解決手段】 チーズを溶融し、HLB 4以下の乳化
剤を添加し、25℃乃至45℃の温度で36時間乃至6
0時間保持し、冷却し、−15℃以下の温度で凍結し、
粉砕し、のち流動乾燥することを特徴とする遊離脂肪が
少なく、褐変が少なく、かつ風味良好な乾燥チーズの製
造法。
Description
風味が良好な乾燥チーズの製造法に関する。更に詳しく
は、本発明は、チーズを溶融し、HLB4以下の乳化剤
を添加し、25℃乃至45℃の温度で36時間乃至60
時間保持し、冷却し、−15℃以下の温度で凍結し、粉
砕し、のち流動乾燥することを特徴とする遊離脂肪が少
なく、褐変が少なく、かつ風味良好な乾燥チーズの製造
法に関する。
断りのない限り、重量による値である。
ティーに振り掛ける粉チーズとして硬質チーズであるパ
ルメザンチーズを粉砕したものが広く知られている。一
般的な粉末チーズの製造法としては、有脂チーズ及び脱
脂チーズを適宜混合し、第二リン酸ナトリウム及びクエ
ン酸ナトリウムを添加し、85℃以下に加熱して溶融
し、噴霧乾燥する方法、並びにプロセスチーズ及びナチ
ュラルチーズを粉砕して混合し、脱脂チーズフレーク、
食塩、調味料を添加し、流動乾燥する方法が、乳業技術
の分野で周知である(祐川金次郎著、「乳業技術便
覧」、下巻、第160ページ、酪農技術普及学会、19
76年)。
を減圧し、一定の減圧下でチーズを高周波誘電加熱し、
風味がよく、変動の少ない乾燥チーズを製造する方法
(特開昭58−146236号公報)、粉砕したナチュ
ラルチーズに加水し、0〜40℃で均一に混合し、凍結
乾燥する方法(特公昭62−27778号公報)、粒状
又は細片状チーズにドライアイスを混合し、チーズ表面
のみを凍結させ、粉砕し、吸湿によるブロッキング及び
付着を生じないチーズを原料とした微粉末製品の製造法
(特公昭63−5043号公報)、粉砕したナチュラル
チーズに水を添加し、超微粒重圧摩砕機で乳化処理し、
カッターで顆粒状に粉砕し、のち流動層乾燥する方法
(特開昭61−158747号公報)、チーズにアンモ
ニア水を添加して溶解し、乾燥する方法(特公平1−3
1863号公報)、加熱溶融した乳化チーズ類を溶融温
度より低温で攪拌し、賦形状態で乾燥する方法(特開昭
63−160548号公報)、原料チーズに水を添加
し、熱凝固性物質を添加して均一に混合し、得られた混
合物を乾燥する方法(特開昭63−294742号公
報)、原料チーズ類、水及びバインダーを均一に混合
し、押出成形し、乾燥する方法(特開平2−10715
5号公報)、原料チーズを粉砕し、混合し、加熱して融
化し、冷却し、真空チャンバー内に噴射し、固化させ、
荒挽き整粒し、粒径1.0mm以上の粒子を75%以上
含有する粉チーズの製造法(特開平3−232456号
公報)、耐熱保型性を付与したプロセスチーズ又はチー
ズスプレッドを成型し、常圧下でマイクロ波加熱し、乾
燥する方法(特開平4−320644号公報)、新鮮チ
ーズを切断し、0〜−50℃に冷却し、澱粉の存在下で
粉砕する方法(特開昭63−24849号公報)、粉状
チーズにバインダーを配合し、顆粒状とする方法(特開
昭59−2653号公報)等が開示されている。
「従来技術」の欄にも記載されているとおり、液体窒素
を利用したチーズの凍結粉砕法も知られており、常温で
は不可能な微粉砕が可能であり、粉砕時に発生する破砕
熱が吸収され、製品の酸化を防止し得ることが公知であ
る(食品と科学、第21巻、第6号、第98〜101ペ
ージ、1979年;太陽化学株式会社編、「食品加工技
術 凍結粉砕」、第110〜113ページ、太陽化学株
式会社、昭和59年;新しい加工技術と装置編集委員会
編、「新しい加工技術と装置」、第226〜229ペー
ジ、産業調査会事典出版センター、1991年及び露木
英男・難波靖尚編、「新食品加工技術」、第45〜47
ページ、サイエンスフォーラム、昭和60年)。
し、流動床乾燥する方法も公知である(露木英男・難波
靖尚編、「新食品加工技術」、第45ページ、サイエン
スフォーラム社、昭和60年;太陽化学株式会社編、
「食品加工技術 凍結粉砕」、太陽化学株式会社、昭和
59年及び米国特許第3,694,231号)。
工程の繁雑化、特殊な装置の採用等種々の問題があり、
簡易に、安価に、品質の良好な乾燥チーズを製造する方
法が待望されていた。
来技術に鑑みて、鋭意研究を行った結果、チーズ塊を粉
砕する前に簡便な前処理を行うことにより、簡易に、安
価に、品質の良好な乾燥チーズを製造し得ることを見い
出し、本発明を完成した。
少なく、風味が良好な乾燥チーズを製造する方法を提供
することにある。
明は、チーズを溶融し、HLB4以下の乳化剤を添加
し、25℃乃至45℃の温度で36時間乃至60時間保
持し、冷却し、−15℃以下の温度で凍結し、粉砕し、
のち流動乾燥することを特徴とする遊離脂肪が少なく、
褐変が少なく、かつ風味良好な乾燥チーズの製造法であ
り、乳化剤が、HLB4以下のグリセリン脂肪酸エステ
ル系の乳化剤であること及び凍結が、−25℃乃至−8
0℃の温度で実施されることを望ましい態様としてもい
る。
ラル・チーズ又はプロセス・チーズ(以下これらをまと
めて「チーズ」と記載することがある)であり、前者に
あっては、如何なる種類及び熟成期間のチーズであって
もよい。
プロセス・チーズの公知の製造方法により溶融するが、
この場合、ナチュラル・チーズにあっては、公知の溶融
塩を添加して溶融する。プロセス・チーズにあっては、
既に溶融塩が添加されているので、原則として溶融塩の
添加は必要としないが、溶融塩を再度添加してもよい。
溶融は、公知のプロセス・チーズの製造法と同様80℃
以下の温度で実施する。
チーズに乳化剤を添加する。乳化剤は、市販のHLB4
以下の乳化剤であり、特にグリセリン脂肪酸エステル系
の乳化剤が望ましい。乳化剤の添加量は、チーズ重量に
対して0.5〜1.5%である。乳化剤を添加した溶融
チーズを、適宜の大きさの容器に注入して、25〜45
℃の温度で36〜60時間保持する。この乳化剤の添加
及び保持により、乾燥後のチーズからの遊離脂肪の生成
を防止することが可能となる。
たチーズを凍結する工程である。保持工程を終了したチ
ーズを冷却し、冷凍容易な適宜の大きさのブロック状の
塊にカットし、−15℃以下、望ましくは−25〜−8
0℃、の凍結温度で12〜72時間凍結し、ブロック状
の塊の中心部までほぼ完全に凍結させる。凍結は特殊な
設備を必要とせず、アイスクリーム用冷凍庫等で簡単に
実施することができる。
状の塊を粉砕する工程である。粉砕は、市販の粉砕機
[例えば、フードカッター(愛工舎製作所製。K3
5)、フローズンカッター(SNS社製。MZ320
型)、コミトロール(アーシェル社製。1700型)
等]を用いて常法により実施され、凍結したブロック状
の塊を、通常0.5〜5mmの粒径の顆粒状に粉砕す
る。
乾燥する工程である。乾燥は、市販の乾燥機[例えば、
流動層乾燥機(大川原製作所製。WSG5/1)等]を
用いて常法により実施され、通常、水分含量10〜15
%に乾燥される。
た顆粒状チーズは、遊離脂肪量が少なく、風味が良好で
あり、そのまま振掛けて使用することも、他の食品の原
料として使用することも可能である。
E、A−173E、A−186E。阪本薬品工業社製:
MS500、PS500。及び第一工業製薬社製:H5
111。)を、チーズ重量に対して0.5%濃度で使用
したことを除き、実施例1と同一の方法により6種の顆
粒状乾燥チーズ試料(試料1〜試料6)を調製した。更
に、対照試料として、乳化剤無添加の試料(試料7)
を、実施例1と同一の方法により調製した。
ーブ(栄研器材社製。滅菌丸底スピッツ)に詰め、45
℃の温度で10日間保存した後、3mlの水を加え、遠
心器(國産遠心器社製。H−103N)を用いて、30
00rpmで10分間遠心した。次に、上部に遊離する
脂肪を高速液体クロマトグラフィー用のシリンジ(ハミ
ルトン社製。750SNR)を用いて回収し、簡易水分
測定装置(CEM社製。AVC80)を用いて遊離脂肪
量[mg/g:試料1g当たりの遊離脂肪量(mg)]
を計量した。
明らかなとおり、乳化剤無添加の試料に比較して、遊離
脂肪量が少ない顆粒状乾燥チーズを製造するたに、好適
な乳化剤は、HLB4以下の乳化剤であることが判明し
た。
試験したが、ほぼ同様な結果が得られた。
するために行った。
ない乳化剤[グリセリン脂肪酸エステル系乳化剤PS5
00(阪本薬品工業社製)]を用い、表2に示す添加量
で該乳化剤を使用したことを除き、実施例1と同一の方
法により4種の顆粒状乾燥チーズ試料(試料8〜試料1
1)を調製した。
明らかなとおり、前記試験例1の乳化剤無添加の対照試
料の遊離脂肪量に比較して、遊離脂肪量が少ない顆粒状
乾燥チーズを製造するために、好適な乳化剤の添加量
は、チーズ重量に対して0.5〜1.5%であることが
判明した。
条件を変更して試験したが、ほぼ同様な結果が得られ
た。
するために行った。
除き、実施例1と同一の方法により25種の顆粒状乾燥
チーズ試料を調製した。更に、対照試料として、保持工
程を省略した試料を、実施例1と同一の方法により調製
した。
SZ−Σ80 COLOR MESURING SYS
TEM)を用いて明度を測定した。
り、この明度の試験の結果は、表4に示すとおりであ
る。表3から明らかなとおり、保持工程を省略した対照
試料の遊離脂肪量(71mg/g)に比較して、遊離脂
肪量が少ない顆粒状乾燥チーズを製造するために、好適
な保持条件(温度及び時間)は、25〜45℃の温度で
36〜60時間保持することであることが判明した。
尚、表3の遊離脂肪量(mg/g)から、55℃の温度
で48〜60時間の保持条件によっても、遊離脂肪量が
少ない顆粒状乾燥チーズが製造できることが判明した。
しかしながら、表4から明らかなように、55℃の温度
で48〜60時間の保持条件によって得られる顆粒状乾
燥チーズは、遊離脂肪量が少ないが、明度が75.00
未満であって、褐変が著しく好ましくない。従って、表
3及び表4の結果から、顆粒状乾燥チーズを製造するた
めに、好適な保持条件(温度及び時間)は、25〜45
℃の温度で36〜60時間であることが判明した。
条件を変更して試験したが、ほぼ同様な結果が得られ
た。
するために行った。
施例1と同一の方法により18種の顆粒状乾燥チーズ試
料を調製した。
バー(ギルソニック社製。model GA−1)の専
用フルイL3−S50(目びらき300μm)、L3−
S35(目びらき500μm)、L3−S18(目びら
き1.00mm)、L3−S10(目びらき2.00m
m)、L3−S6(目びらき3.85mm)、及びL3
−S3.5(目びらき5.6mm)を目の細かい篩から
目の粗い篩へと、順次下から重ねた、多段篩最上部の最
も目の粗い篩(L3−S3.5)の上にのせ、篩振盪機
(ATM社製。SONIC SIFTER MODEL
L3P)を用いて5分間振盪し、各篩上に残留する試
料の量を測定して、各篩の目びらきに対応する重量分布
を求め、これより平均粒径(mm)を算出した。
5mmの粒径の顆粒状乾燥チーズを自由に調製するため
には、1.5mm未満の平均粒径の顆粒状乾燥チーズを
得る必要がある。従って、表5から明らかなとおり、
1.5mm未満の平均粒径の顆粒状乾燥チーズを得るた
めに、好適な凍結条件(温度及び時間)は、−15℃以
下、望ましくは−25〜−80℃、の凍結温度で12〜
72時間凍結することであることが判明した。
条件を変更して試験したが、ほぼ同様な結果が得られ
た。
が、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
尚、以下の実施例において、水分含量の測定は、公定法
[昭和26年12月27日厚生省令第52号「乳及び乳
製品の成分規格に関する省令」、別表二の(七)乳等の
成分規格の試験法]に準拠して実施した。
製)1.2kg及びゴーダチーズ(バリオ社製)0.6
kgに水0.2kg、溶融塩(BK Ladenburg社製。JO
HA S9)40g及び乳化剤(阪本薬品工業社製。P
S500)10gを添加し、80℃に加温して攪拌しな
がら溶融し、直方体容器(7×22×7cm)2個に分
注し、45℃で48時間保持した。次いで、これを5℃
で24時間冷却し、10×10×1mmの大きさのブロ
ック状の塊に切断し、−25℃のアイスクリーム用冷凍
庫内に24時間保管して凍結した。その後、凍結したブ
ロック状のチーズをフードカッター(愛工舎製作所製。
K35)を用いて直径約1〜2mmの顆粒状に粉砕し、
流動層乾燥機(大川原製作所製。WSG 5/1)を用
いて流動層乾燥し、水分含量約11%の顆粒状乾燥チー
ズ約1.2kgを得た。
1及び試験例3と同一の方法により試験した結果、遊離
脂肪量は44mg/g及び明度は79.02であって、
遊離脂肪が少なく、色調、品質及び風味が優れていた。
製)10kgに水1kg及び溶融塩(BK Ladenburg社
製。JOHA S9 special)500gを添加し、80
℃に加温して攪拌しながら溶融し、乳化剤(阪本薬品工
業社製。PS500)100gを添加し、攪拌して均一
に混合し、一辺10cmの立方体容器9個に分注した
後、25℃で48時間保持した。次いで、これを5℃で
24時間冷却し、10×10×1mmの大きさのブロッ
ク状の塊に切断し、−25℃のアイスクリーム用冷凍庫
内に72時間保管して凍結した。その後、凍結したブロ
ック状のチーズをフローズンカッター(SNS社製。M
Z320型)を用いて直径約1〜3mmの顆粒状に粉砕
し、流動層乾燥機(大川原製作所製。WSG 5/1)
を用いて流動層乾燥し、水分含量約11%の顆粒状乾燥
チーズ約7.5kgを得た。
1及び試験例3と同一の方法により試験した結果、遊離
脂肪量は40mg/g及び明度は80.01であり、遊
離脂肪が少なく、色調、品質及び風味が優れていた。
を溶融し、HLB4以下の乳化剤を添加し、25℃乃至
45℃の温度で36時間乃至60時間保持して冷却し、
−15℃以下の温度で凍結し、粉砕し、のち流動乾燥す
ることを特徴とする遊離脂肪が少なく、褐変が少なく、
かつ風味良好な乾燥チーズの製造法であるが、本発明に
より奏せられる効果は次のとおりである。 1)遊離脂肪が少なく、風味良好な顆粒状乾燥チーズが
得られる。 2)褐変が少なく、品質良好な顆粒状乾燥チーズが得ら
れる。 3)0.5〜5mmの粒径の顆粒状乾燥チーズが得られ
る。 4)特殊な設備を必要とせず、製造費用が安価である。
Claims (3)
- 【請求項1】 チーズを溶融し、HLB4以下の乳化剤
を添加し、25℃乃至45℃の温度で36時間乃至60
時間保持してチーズを冷却し、−15℃以下の温度で凍
結し、粉砕し、のち流動乾燥することを特徴とする遊離
脂肪が少なく、褐変が少なく、かつ風味良好な乾燥チー
ズの製造法。 - 【請求項2】 HLB4以下の乳化剤が、グリセリン脂
肪酸エステル系の乳化剤である請求項1に記載の乾燥チ
ーズの製造法。 - 【請求項3】 凍結が、−25℃乃至−80℃の温度で
12〜72時間実施される請求項1又は請求項2に記載
の乾燥チーズの製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24680595A JP3220363B2 (ja) | 1995-08-31 | 1995-08-31 | 乾燥チーズの製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP24680595A JP3220363B2 (ja) | 1995-08-31 | 1995-08-31 | 乾燥チーズの製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH0965827A true JPH0965827A (ja) | 1997-03-11 |
JP3220363B2 JP3220363B2 (ja) | 2001-10-22 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010259433A (ja) * | 2009-04-07 | 2010-11-18 | Dainippon Sumitomo Pharma Co Ltd | ネオテームを含有する組成物 |
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---|---|---|---|---|
JP7458091B2 (ja) | 2021-12-20 | 2024-03-29 | 株式会社イレブンインターナショナル | 移送装置 |
-
1995
- 1995-08-31 JP JP24680595A patent/JP3220363B2/ja not_active Expired - Fee Related
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