JPH0964414A - 発光ダイオード素子 - Google Patents
発光ダイオード素子Info
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Abstract
1層と第2層からなるp−n接合を構成し、この上に第
2層よりもAl混晶比の高いP型GaAlAs層を第3
層として載置し、第2層の厚さとAl濃度勾配を特定す
ると共に第1層を光取り出し面とする。
Description
コン等の高出力赤外光を必要とする光源に使われる発光
ダイオード素子に関する。
たとえばJournal Of Applied Physics, Vol. 48, No.
6, June 1977 P2485〜2492に記載されて
いるような図1に示すSiドープのGaAlAsタイプ
が知られている。これを製造するには、GaAs単結晶
基板をSiドープしたGaAlAs溶液に接触させて冷
却し、GaAlAs層を基板上にエピタキシャル成長さ
せる方法がある。この時成長温度域を適切に選べば、N
型Ga1-xAlxAs層とP型Ga1-yAlyAs層を一種
類の溶液から連続して積層することができる。この理由
は、GaAlAs結晶中にIV族であるSiの入る位置
が、高温ではIII族のGa(Al)サイト、低温ではV族
のAsサイトとなるからである。徐冷法を用いれば、溶
液の数を減らすことができ経済的である。さらにこの方
法は、PN接合面を炉内雰囲気にさらさずに作れるため
結晶欠陥も少ない。このエピタキシャル・ウェハーから
GaAs基板を適当なエッチング液で除去して素子へと
加工する。
対し一定ではなく、成長開始部から終了部に向かって減
少している。これは、Alの偏析係数が1よりも大きい
ため、成長中に溶液のAl濃度が減少するからである。
また、Ga1-wAlwAs混晶のバンドギャップはAl濃
度Wが高いほど大きい。従って、図1(a)の発光ダイ
オード素子のAl濃度とバンドギャップは、図1(b)
に示すように第1層成長開始部から第2層成長終了部に
向かって単調に減少している。Al濃度は第1層内では
表面が最も高く(X1)、第1層と第2層界面が最も低
く(X2)となる。第2層内では第1層と第2層界面が
最も高く(Y1)、表面が最も低く(Y2)となる。第
1層と第2層は一種類の溶液中で連続して成長するため
第1層と第2層との界面では、両層のAl濃度は等しい
(X2=Y1)。
PN接合からP型の第2層に注入された電子が正孔と再
結合することで起こる。そのエネルギーは再結合が起こ
る位置の結晶のバンドギャップにほぼ等しい。一般に光
はそのエネルギーより小さいバンドギャップの結晶中で
吸収される性質を持つ。従って図1の素子はその発光に
対し第1層は透明である。第2層は再結合が起こった位
置7より第2層表面側の9及び10は吸収部、第1層と
第2層との界面側8は透明となる。
光ダイオード素子は、発光した位置7と第2層表面との
間の9,10が吸収部となる。吸収部の中でも第2層表
面に近い10の部分ほどAl濃度は低く、光の吸収確率
は高い。光の吸収を抑制し、外部発光効率を高める方法
として、GaAlAsのp−n接合部の上に発光層とな
るP型GaAlAsよりもバンドギャップエネルギーの
大きなP型GaAlAs層を、いわゆる窓層として設け
ることが提案されている(特開昭60−206184
号、特開平6−21507号参照)。これらはいずれも
Siの自然反転を利用してPN接合を形成し、その上に
P型GaAlAs発光層よりもバンドギャップの大きな
P型GaAlAsの窓層を設けたものであり、各層のA
l濃度を特定範囲に限定することによって発光効率を高
めるようにしたものである。また、これらはいずれもP
型GaAlAs窓層を通して発光した光を取り出すよう
にしたものである。しかしこれら従来の発光ダイオード
素子はリモコンの発光部等に用いられるが、市場からは
より出力の高い製品の要求がある。従って本発明の目的
は、エピタキシャル成長層での発光の吸収を抑制し、発
光ダイオード素子の発光出力を上げることにある。
するためになされたものであって、特に発光層となるP
型GaAlAs層のAl濃度と厚さを制限し、光の取り
出し方向を特定することにより、外部発光効率を向上さ
せる手段を採用した。すなわち、本発明の発光ダイオー
ド素子は、第1層としてSiドープN型Ga1-xAlxA
s層、第2層としてSiドープP型Ga1-yAlyAs
層、第3層としてP型Ga1-zAlzAs層をこの順に積
み、第1層と第3層のAl濃度を第2層のAl濃度より
高くし、第2層のAl濃度を第1層側から第3層側へ単
調に減少させ、しかも第3層と接する部分の第2層のA
l濃度を第1層と接する部分の第2層のAl濃度から
0.06を引いた値より大きくし、より好ましくは2層
の厚さを8〜50μmとした上で、0.03を引いた値
より大きくし、第1層を光取り出し面とするものであ
る。
明する。基板としては最も入手し易いN型GaAs基板
を使用する。成長面方位は特に制限はないが(100)
面で良い。まずGaAs基板上にSiの自然反転を利用
してPN接合を形成する第1層となるN型Ga1-xAlx
As層と第2層となるP型Ga1-yAlyAs層をエピタ
キシャル成長させる。この時Alの偏析係数が1より大
きいため、成長層中のAl濃度は成長と共に小さくなっ
てくる。GaAlAsによる発光波長は発光層となるP
型Ga1-yAlyAs層のAl濃度によって決まるので、
まず第2層のP型Ga1-yAlyAs層のAl濃度を決定
し、しかる後Alの偏析係数を考慮して第1層のN型G
a1-xAlxAs層を成長開始する時点のAl濃度を決定
する。リモートコントロール用には通常860〜950
nmが要求されることから、第2層のP型Ga1-yAlyA
s層のAl混晶比yが0〜0.1となるように設定す
る。この時、第1層となるN型Ga1-xAlxAs層の成
長開始から第2層となるP型Ga1-yAlyAs層の成長
終了までの間の成長層中のAl濃度は、初期の成長溶液
のAl濃度、成長開始温度、冷却速度等によって決ま
る。従って初期の成長溶液のAl濃度はあらかじめ測定
したAl濃度プロファイルを参考にして決めれば良い
が、通常は成長開始時のAl濃度は0.2〜0.8とす
るのが良い。
2層であるP型Ga1-yAlyAs層のAl混晶比が一定
の範囲に納まっていれば良いだけでなく、第2層内での
Al濃度の変化が重要である。第2層内での内部吸収を
より減らすには、発光部近傍である第1層に接する部分
の第2層のAl濃度と、吸収部近傍である第3層に接す
る部分の第2層のAl濃度との差を縮めると良い。すな
わち、第1層のN型Ga1-xAlxAs層の基板との界面
におけるAl混晶比xをX1、第2層(P型Ga1-yA
lyAs層)との界面におけるAl混晶比xをX2(=
Y1)、第2層であるP型Ga1-yAlyAs層の表面に
おけるAl混晶比yをY2とする。この時の第2層中で
のAl混晶比の差、すなわち(Y2−Y1)が発光出力
に大きく影響していることを見出した。第2層中でのA
l混晶比の差はあまり大きくない方が好ましい。すなわ
ち、第2層成長終了部のAl濃度Y2を坩堝Aからウェ
ハーを引き上げる温度により変え、溶液の量の調整で第
2層の厚さはほぼ一定に保って発光ダイオード素子を8
種類製造した。これらの素子の第2層のAl濃度差(Y
2−Y1)と発光出力との関係を図3に示す。図3より
第2層のAl濃度差(Y2−Y1)が0.06より小さ
いと、発光出力が高い。より好ましくは0.03より小
さいと一層発光出力が高いことがわかる。これ以上差を
縮めても発光出力は向上しなかった。この理由は、発光
と吸収を起こす過程の種類とその割合によると考えられ
るが、詳細は不明である。
合の注入キャリアの拡散長だけあれば良く、8μmより
薄いと第2層内に閉じ込め得る電子の数が減り、発光に
寄与しない電子が増える。第2層の厚さが50μmより
厚いと、第2層内で吸収される光の割合が増える。第2
層の厚さと発光出力の関係を調べた試験の結果を図4に
示す。図4は第1層に接する部分の第2層のAl濃度Y
1と第3層に接する部分の第2層のAl濃度Y2をそれ
ぞれ一定に保ち、溶液の量により第2層厚を変えて発光
ダイオード素子を8種類製造した。図より第2層厚が8
μm以上50μm以下で発光出力が高くなることがわか
る。第2層の厚さはほぼキャリアの拡散長程度あれば良
く、液相成長で作り易い範囲は20〜40μm程度であ
る。
より第1層の厚さを変えて発光ダイオード素子を8種類
製造した。第1層厚と発光出力及びVFの関係を図5及
び図6に示す。第1層厚が200μmより厚いとVFが
高く、30μmより薄いと発光出力が低い。従って第1
層厚は30μm以上200μm以下であることが望まし
い。第1層の厚さが30μmより薄いと、第1層表面電
極から流れ込む電流がPN接合に達する間に素子周辺ま
で広がらず中央に集中し、発光出力が低く通電劣化の大
きい素子となる。第1層の厚さが200μmより厚い
と、第1層上下両端でのAl濃度の差が大きくなるが、
第1層と第2層との界面のAl濃度は発光波長から決め
るため、第1層表面のAl濃度が高くなり、第1層表面
電極と第1層の間の電気抵抗が大きくなるからである。
N接合を形成する第1層と第2層を連続して形成した
後、最後に第3層となるP型Ga1-zAlzAs層をエピ
タキシャル成長させる。この第3層となるP型Ga1-z
AlzAs層は注入された電子を発光層である第2層に
閉じ込める機能を果たすと共に、発光した光を表面で全
反射させて光取り出し側へ戻す働きをさせるものであっ
て、発光した光に対して透明なものでなければならな
い。このため第3層であるP型Ga1-zAlzAs層のA
l混晶比zはyよりも充分大きくする必要がある。一
方、第3層のAl混晶比があまり高くなると良好なオー
ミック電極が形成しにくくなる。従ってAl混晶比zは
yよりも大きく、上限は0.7程度とするのが適当であ
る。
の閉じ込め効果を発揮し、薄い方が光の吸収も少ないの
で好ましい。しかし、第3層の厚さが60μmより薄い
と、Nサイドアップの素子をランプに組む時第2層と第
3層との界面がショートしてしまう。説明を加えれば、
素子とステムの接着には導電性ペーストを用いるが、こ
れは一般に表面張力で素子側面に広がる性質を持ち、第
2層と第3層との界面まで至った場合は電子閉じ込め効
果が働かなくなってしまう。これを防ぐには第3層の厚
さを60μm以上とする必要がある。
が、P型ドーパントとしては特に制限はなく、Si,Z
n,Mg,Cd等が利用できる。
ダイオード素子より発光出力の高い理由には、第2層内
での光の内部吸収が減る以外の作用もある。それは、バ
ンドギャップは第3層の方が第2層より大きいため、第
1層から第2層へ注入された電子は第3層へ拡散せず第
2層内に閉じ込められ、そこで発光再結合する確率が増
すというものである。さらに、本発明では光取り出し面
を第1層のN型Ga1-xAlxAs層とするNサイドアッ
プ型とした点にある。
Nサイドアップの方が第3層を光取り出し面(上面)と
するPサイドアップより発光出力が高い。この理由を次
に説明する。Nサイドアップの場合(図2(a)で下部方
向を光取り出し方向とした場合)、第2層中の7の位置
で生成した光のうち下に向かう成分は、第2層の透明部
8と第1層(透明)を通り素子表面に達する。一方、上
に向かう成分は第2層の光吸収部9で一部が吸収され、
第3層(透明)を通り素子表面に達する。ここで光は反
射して下へ向かい、第3層を通り第2層の吸収部9で再
び一部が吸収され第1層を通って素子表面から放出され
る。一方、Pサイドアップの場合は(図2(a)で上部
方向を光取り出し面とした場合)、上に向かう成分は第
2層の吸収部9で一部が吸収され第3層を通り素子表面
に達する。下に向かう成分は第2層の透明部と第1層
(透明)を通り素子下面で反射し、第1層を通り再び第
2層の光吸収部9で一部が吸収され第3層を通って素子
表面から放出される。
基づいて比較すると以下の通りとなる。第2層で生成す
る光のうち積層面に垂直で光取り出し面に向かう成分の
強度をLとすると、光取り出し面と逆方向に向かう成分
の強度もLとなる。第2層の光の透過率をσ、素子下面
での光の反射率をν、Nサイドアップの光の上面取り出
し強度をL1、Pサイドアップの光の上面取り出し強度
をL3とすると、両者の素子の光の上面取り出し強度の
差は、 L1−L3=(L+σνσL)−(σL+σνL) =L(1−σ)(1−σν)>0 ………(1) (∴ 0<σ<1,0<ν<1) ………(2) となる。光の発生部7と光の取り出し面の間に光の吸収
部を入れないNサイドアップの方がPサイドアップより
取り出し効率が高い。ここでは、積層面に平行な光の成
分や素子上面での光の反射を無視したが、これらを考慮
しても結果は同じである。
前記のように作製したエピタキシャルウェハーからGa
As基板を除去する。GaAs基板の除去は通常使用さ
れるアンモニア系エッチャント等を使用してエッチング
により加工するのが良い。エピタキシャル成長層3層の
厚さは合計で100μm以上あるのでGaAs基板を除
去しても後の素子加工に支障はない。次に、基板を除去
したウェハーの第3層表面にオーミック接合となる金属
を蒸着し、導電性ステムの表面に第3層を下にして導電
性ペーストで接着する。また第1層表面にはオーミック
電極用の金属を蒸着し、金ワイヤーを接続して発光ダイ
オード素子とする。
lAs各層のAl混晶比を限定することにより、発光し
た光の内部吸収を極力抑制することとした。特に発光部
であるP型GaAlAs層の層厚とAl濃度を規定し、
光取り出し方向をN型GaAlAs層としたNサイドア
ップとすることにより、内部発光効率及び外部発光効率
を一段と高めることに成功した。
式の液相エピタキシャルの徐冷法で製造した例を説明す
る。基板にはN型GaAsの(100)面を用いた。A
坩堝にはGa,GaAs,Al,Siを、B坩堝にはG
a,GaAs,Al,Znをそれぞれ適量入れた。ま
ず、坩堝Aの原料を完全に溶解させ、880℃で基板を
浸漬させ840℃まで降温し、第1層(N)と第2層
(P)をSiの自然反転を利用して成長させた。第3層
は、840℃からの成長では結晶の析出量が少なく厚さ
を60μm以上とすることが難しいため、炉を再昇温
し、900℃でウェハーを坩堝Bに浸漬させ780℃ま
で降温して成長させた。
μm、第2層が30μm、第3層が150μmであっ
た。Al濃度は、X1=0.315、X2=Y1=0.
078、Y2=0.051、Z1=0.434、Z2=
0.147であった。その後ウェハーを素子へ加工する
ため、アンモニア系エッチャントに浸し、基板を除去し
た。電極は、第1層表面には130μmφの丸型を、第
3層表面には100μmφのドット型を150μmピッ
チでそれぞれ形成した。素子の大きさは325μm角と
した。導電性ステムの上に第3層を下にした素子を導電
性ペーストで接着し、第1層の電極に金ワイヤーでつな
いだ。発光ダイオード素子に20mAの電流を流し発光出
力を測定した。発光のピーク波長は883nmであった。
素子を製造した例を説明する。上記実施例の坩堝Aに8
80℃で基板を浸漬させ、780℃まで降温して第1層
と第2層とを連続して成長させ分離した。そのウェハー
から基板を除去し、第1層を上面として実施例と同様な
加工を施こして発光ダイオード素子を製造した。実施例
の素子の発光出力を1とした場合のこの素子の発光出力
は0.41であった。本比較例の発光ダイオード素子の
発光出力は実施例の発光ダイオード素子の発光出力より
低い。
子の極性をNサイドアップとして第1層側から光を取り
出したが、ウェハーの表裏を逆にして加工して第3層か
ら光を取り出すPサイドアップ素子を製造した。実施例
の素子の発光出力を1とした場合のこのPサイドアップ
素子の発光出力は0.67であった。本比較例のPサイ
ドアップ素子の発光出力は実施例のNサイドアップ素子
の発光出力より低い。
用するので経済的に有効であり、しかも内部吸収が少な
いので高出力の赤外発光ダイオードが得られる。
断面構造を示す図、(b)はAl濃度プロファイルを示
す図。
は断面構造を示す図、(b)はAl濃度プロファイルを
示す図。
図。
Claims (4)
- 【請求項1】 第1層としてSiドープN型Ga1-xA
lxAs層、第2層としてSiドープP型Ga1-yAly
As層、第3層としてP型Ga1-zAlzAs層がこの順
に積まれており、第1層と第3層のAl濃度が第2層の
Al濃度より高く、第2層のAl濃度が第1層側から第
3層側へ単調に減少しており、かつ第3層と接する部分
の第2層のAl濃度が第1層と接する部分の第2層のA
l濃度から0.06を引いた値より大きく、第2層の厚
さが8μm以上50μm以下で、第1層が光取り出し面
であることを特徴とする発光ダイオード素子。 - 【請求項2】 第1層の厚さが30μm以上200μm
以下であることを特徴とする請求項1に記載の発光ダイ
オード素子。 - 【請求項3】 第3層の厚さが60μm以上であること
を特徴とする請求項1及び2記載の発光ダイオード素
子。 - 【請求項4】 第3層と接する部分の第2層のAl濃度
が第1層と接する部分の第2層のAl濃度から0.03
を引いた値より大きいことを特徴とする請求項1ないし
3に記載の発光ダイオード素子。
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JP (1) | JP3959434B2 (ja) |
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