JPH0959449A - マイカ強化ポリプロピレン樹脂組成物 - Google Patents

マイカ強化ポリプロピレン樹脂組成物

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JPH0959449A
JPH0959449A JP24048295A JP24048295A JPH0959449A JP H0959449 A JPH0959449 A JP H0959449A JP 24048295 A JP24048295 A JP 24048295A JP 24048295 A JP24048295 A JP 24048295A JP H0959449 A JPH0959449 A JP H0959449A
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JP
Japan
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polypropylene
mica
weight
resin composition
parts
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JP24048295A
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English (en)
Inventor
Shintaro Kikuchi
慎太郎 菊池
Eiji Kuchiki
栄治 朽木
Tetsuya Kawamura
哲也 河村
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Tonen General Sekiyu KK
Original Assignee
Tonen Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 マイカとの接着性が良好で、特に高温におけ
る剛性および低温における耐衝撃性などの機械的物性に
優れ、さらに製造時の刺激臭の少ないマイカ強化ポリプ
ロピレン樹脂組成物を提供すること。 【解決手段】 (A)ポリプロピレン系樹脂100重量
部、および(B)マイカ5〜100重量部、を配合して
なり、該(A)ポリプロピレン系樹脂がさらに、(A
1)ポリプロピレン90〜99.95重量部、(A2)
1,2−ポリブタジエンおよび不飽和カルボン酸または
その誘導体を順次グラフト重合してメルトフローレート
が1〜200g/10分である変性ポリプロピレン0.
03〜7重量部、および(A3)1,2−ポリブタジエ
ンおよび不飽和カルボン酸またはその誘導体を順次グラ
フト重合してメルトフローレートが200〜1000g
/10分である変性ポリプロピレン0.02〜3重量部
を配合してなるマイカ強化ポリプロピレン樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マイカ強化ポリプ
ロピレン樹脂組成物に関する。さらに詳しくいえば、ポ
リプロピレンと、ポリプロピレンに1,2−ポリブタジ
エンと不飽和カルボン酸またはその誘導体をグラフト重
合した流動性の異なる2種類の変性ポリプロピレンの少
量を配合してなるポリプロピレン系樹脂に、マイカを配
合したマイカ強化ポリプロピレン樹脂組成物に関する。
このようなマイカ強化ポリプロピレン樹脂組成物は、引
張強度、剛性、耐衝撃性などの機械的物性および耐熱性
など、特に高温での剛性および低温での耐衝撃性が顕著
に優れ、さらに製造時に刺激臭が少ないという特徴があ
る。特に自動車の内外装品、電装部品、家電製品、スポ
ーツ用品、家具、事務用品などの材料として有用であ
る。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレンは低比重で、成形性に優
れ、機械的物性、電気絶縁性、耐薬品性にも優れている
ので自動車の内外装品、電装部品、家電製品、スポーツ
用品、家具、事務用品などの材料として広く利用されて
いる。近年、このような機械的物性および耐熱性をさら
に向上させる目的で、マイカや繊維材料(ガラス繊維な
ど)と複合化することが一般的に行なわれている。しか
しポリプロピレンは無極性であることからマイカや繊維
材料との親和性がよくなく、接着性が不充分である。し
たがって両者を単に配合混練したのみでは充分な性能の
向上が望めない。
【0003】ポリプロピレンとマイカや繊維材料との接
着性を向上するために、ポリプロピレンに各種の極性基
や二重結合を含む基などを導入してその反応性を高める
試みがなされている。
【0004】例えば特開昭56−149452号公報に
は、アクリル酸または無水マレイン酸をグラフト重合し
た変性ポリプロピレンを配合したマイカ充填ポリプロピ
レン組成物が、特公昭58−17544号公報には、ア
ミノアルキルシラン化合物を配合した雲母粉末含有ポリ
オレフイン樹脂組成物が、特公昭58−17545号公
報には、有機シラン化合物で変性した結晶性ポリプロピ
レンおよびアミノシラン化合物を配合したマイカ補強ポ
リプロピレン組成物が、特公昭58−18946号公報
には、イソシアナート化合物またはエポキシ化合物の存
在下に成形した雲母−熱可塑性樹脂複合体がそれぞれ記
載されている。
【0005】これらの技術はポリプロピレン樹脂組成物
の引張強度や剛性を改良するものの、衝撃強度は充分と
はいえない。衝撃強度を改良する方法として、特開昭5
4−162743号公報に、マイカのアスペクト比と配
合割合を特定範囲に限定すること、特開昭58−848
37号公報に、マイカの配合割合、アスペクト比、およ
び平均フレーク径を特定範囲に限定することがそれぞれ
記載されている。
【0006】ポリプロピレンは、マイカや繊維材料との
親和性がよくないと同様に、変性剤との反応性も乏し
い。したがって変性ポリプロピレンを製造するに際し
て、変性剤の充分な量をグラフト重合して導入すること
が困難である。そこで変性剤によるグラフト率を上げる
ために変性剤を多量に配合したり、ラジカル発生剤を多
量に使用することが行われている。しかし変性剤を多量
に配合すると、ポリプロピレン中に未反応の変性剤が多
量に残存し、マイカやガラス繊維を一括溶融混練してポ
リプロピレン樹脂組成物を製造する際に、未反応の変性
剤が、昇華して空気中に滞留し、刺激臭を発生して作業
環境を悪化させる。また得られたポリプロピレン樹脂組
成物が、黄褐色に着色して、商品価値を低下させる問題
がある。このためポリプロピレン樹脂組成物の製造工程
に、未反応の変性剤の除去工程が必要となる。これは製
造コストの上昇を招く原因となる。またラジカル発生剤
を多量に使用すると、溶融混練の過程でポリプロピレン
の分子量が低下およびメルトフロ-レ-トが上昇し、ポリ
プロピレン樹脂組成物の機械的物性が低下するという問
題がある。メルトフロ-レ-ト(以下、MFRと表す。)
は、分子量の程度を示す指標である。
【0007】かかる問題を解決するために我々は、ポリ
プロピレンに、予め1,2−ポリブタジエンをグラフト
重合し、さらに不飽和カルボン酸またはその誘導体を該
ポリプロピレンにグラフト重合した変性ポリプロピレン
を配合したマイカ強化ポリプロピレン樹脂組成物は、マ
イカとポリプロピレン系樹脂との接着性が良好となるた
め機械的物性、耐熱性などが向上し、さらに変性ポリプ
ロピレンを効率よく製造できる。その結果未反応の不飽
和カルボン酸またはその誘導体を除去する工程が不要と
なると共に、その空気中への昇華に起因する刺激臭の発
生が少なく、良好な環境の下で作業できることなどを見
い出し、既に提案している。
【0008】しかるに、かかる変性ポリプロピレンを配
合したマイカ強化ポリプロピレン樹脂組成物は、常温で
の機械的物性は良好であるものの、高温での剛性および
低温での耐衝撃性が不充分であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
技術を改善し、マイカとポリプロピレンとの接着性が良
好で、引張強度、剛性や衝撃強度などの機械的物性およ
び耐熱性など、特に高温での剛性および低温での耐衝撃
性が顕著に優れ、さらに製造時に刺激臭の発生を抑制し
た、マイカ強化ポリプロピレン樹脂組成物を提供するこ
とにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】我々は、マイカとポリプ
ロピレンとの接着性が良好で、引張強度、剛性や衝撃強
度などの機械的物性および耐熱性などに優れるととも
に、高温での剛性および低温での耐衝撃性について鋭意
検討を重ねた結果、ポリプロピレンに、予め1,2−ポ
リブタジエンをグラフト重合し、さらに不飽和カルボン
酸またはその誘導体を該ポリプロピレンにグラフト重合
した流動性の異なる2種類の変性ポリプロピレン、すな
わちMFRの低い変性ポリプロピレンとMFRの高い変
性ポリプロピレンの少量を配合したマイカ強化ポリプロ
ピレン樹脂組成物は、特に高温での剛性および低温での
耐衝撃性が著しく向上し、さらにその製造工程におい
て、不飽和カルボン酸またはその誘導体の従来より少な
い配合量で変性ポリプロピレンを効率よく製造でき、そ
の結果未反応の不飽和カルボン酸またはその誘導体を除
去する工程が不要となると共に、その空気中への昇華に
起因する刺激臭の発生が少なく、良好な環境の下で作業
できること、副生成物として1,2−ポリブタジエンと
不飽和カルボン酸またはその誘導体との反応物が少な
く、ポリプロピレンの主鎖に1,2−ポリブタジエンと
不飽和カルボン酸またはその誘導体が均一にグラフト重
合した変性ポリプロピレンが高収率で得られること、
1,2−ポリブタジエンによる変性時および不飽和カル
ボン酸またはその誘導体による変性時におけるラジカル
発生剤の使用量が少量でよいため、ポリプロピレンの分
子量の低下およびMFRの上昇がないこと、そのためマ
イカ強化ポリプロピレン樹脂組成物の機械的物性の低下
がないことを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0011】したがって本発明は、(A)ポリプロピレ
ン系樹脂100重量部、および(B)マイカ5〜100
重量部、を配合してなり、該(A)ポリプロピレン系樹
脂がさらに、(A1)ポリプロピレン90〜99.95
重量部、(A2)1,2−ポリブタジエンおよび不飽和
カルボン酸またはその誘導体を順次グラフト重合してM
FRが1〜200g/10分である変性ポリプロピレン
0.03〜7重量部、および(A3)1,2−ポリブタ
ジエンおよび不飽和カルボン酸またはその誘導体を順次
グラフト重合してMFRが200〜1000g/10分
である変性ポリプロピレン0.02〜3重量部を配合し
てなるマイカ強化ポリプロピレン樹脂組成物を提供す
る。
【0012】本発明は上記のようなマイカ強化ポリプロ
ピレン樹脂組成物であるが、その好ましい態様として、
次のものを包含する。 (1)成分(A1)の配合量が、92.5〜99.9重
量部である前記マイカ強化ポリプロピレン樹脂組成物。 (2)成分(A2)の配合量が、0.07〜5重量部で
ある前記マイカ強化ポリプロピレン樹脂組成物、または
上記(1)記載のマイカ強化ポリプロピレン樹脂組成
物。 (3)成分(A2)のMFRが、10〜180g/10
分である前記マイカ強化ポリプロピレン樹脂組成物、も
しくは上記(1)または上記(2)記載のいずれかのマ
イカ強化ポリプロピレン樹脂組成物。 (4)成分(A3)の配合量が、0.03〜2.5重量
部である前記マイカ強化ポリプロピレン樹脂組成物、も
しくは上記(1)、上記(2)または上記(3)記載の
マイカ強化ポリプロピレン樹脂組成物。 (5)成分(A3)のMFRが、250〜900g/1
0分である前記マイカ強化ポリプロピレン樹脂組成物、
もしくは上記(1)、上記(2)、上記(3)または上
記(4)記載のいずれかのマイカ強化ポリプロピレン樹
脂組成物。 (6)成分(A2)と成分(A3)の配合割合の比が、
重量比で成分(A2)/成分(A3)=20/80〜8
0/20である前記マイカ強化ポリプロピレン樹脂組成
物、もしくは上記(1)、上記(2)、上記(3)、上
記(4)または上記(5)記載のいずれかのマイカ強化
ポリプロピレン樹脂組成物。 (7)成分(B)の配合量が、10〜70重量部である
前記マイカ強化ポリプロピレピレン樹脂組成物、もしく
は上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、
上記(5)または上記(6)記載のいずれかのマイカ強
化ポリプロピレン樹脂組成物。 (8)成分(B)の平均粒径が、0.1〜500μmで
ある前記マイカ強化ポリプロピレン樹脂組成物、もしく
は上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、
上記(5)、上記(6)または上記(7)記載のいずれ
かのマイカ強化ポリプロピレン樹脂組成物。 (9)成分(B)の平均粒径が、1〜300μmである
前記マイカ強化ポリプロピレン樹脂組成物、もしくは上
記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記
(5)、上記(6)または上記(7)記載のいずれかの
マイカ強化ポリプロピレン樹脂組成物。 (10)成分(B)が、表面処理剤で表面処理をされて
いる前記マイカ強化ポリプロピレン樹脂組成物、もしく
は上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、
上記(5)、上記(6)、上記(7)、上記(8)また
は上記(9)記載のいずれかのマイカ強化ポリプロピレ
ン樹脂組成物。 (11)成分(B)が、シランカップリング剤で表面処
理をされている前記マイカ強化ポリプロピレン樹脂組成
物、もしくは上記(1)、上記(2)、上記(3)、上
記(4)、上記(5)、上記(6)、上記(7)、上記
(8)または上記(9)記載のいずれかのマイカ強化ポ
リプロピレン樹脂組成物。 (12)成分(A2)の反応性ポリプロピレンにグラフ
ト重合させる前記不飽和カルボン酸またはその誘導体
が、不飽和ジカルボン酸またはその無水物である前記マ
イカ強化ポリプロピレン樹脂組成物、もしくは上記
(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記
(5)、上記(6)、上記(7)、上記(8)、上記
(9)、上記(10)または上記(11)記載のいずれ
かのマイカ強化ポリプロピレン樹脂組成物。 (13)成分(A2)の反応性ポリプロピレンにグラフ
ト重合させる前記不飽和カルボン酸またはその誘導体
が、無水マレイン酸またはその誘導体である前記マイカ
強化ポリプロピレン樹脂組成物、もしくは上記(1)、
上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)、上
記(6)、上記(7)、上記(8)、上記(9)、上記
(10)または上記(11)記載のいずれかのマイカ強
化ポリプロピレン樹脂組成物。 (14)成分(A2)のポリプロピレンにグラフト重合
させる前記1,2−ポリブタジエンが、常温で固形ゴム
あり、かつ1,2−結合の割合を70モル%以上含んで
なる前記マイカ強化ポリプロピレン樹脂組成物、もしく
は上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、
上記(5)、上記(6)、上記(7)、上記(8)、上
記(9)、上記(10)、上記(11)、上記(12)
または上記(13)記載のいずれかのマイカ強化ポリプ
ロピレン樹脂組成物。 (15)ポリプロピレン90〜99.9重量%および
1,2−ポリブタジエン0.1〜10重量%を溶融混練
してグラフト重合してなる反応性ポリプロピレン100
重量部に、不飽和カルボン酸またはその誘導体0.1〜
20重量部およびラジカル発生剤0.01〜2重量部を
使用して製造した前記成分(A2)の変性ポリプロピレ
ンを溶融混練する、前記マイカ強化ポリプロピレン樹脂
組成物、もしくは上記(1)、上記(2)、上記
(3)、上記(4)、上記(5)、上記(6)、上記
(7)、上記(8)、上記(9)、上記(10)、上記
(11)、上記(12)、上記(13)または上記(1
4)記載のいずれかのマイカ強化ポリプロピレン樹脂組
成物。 (16)ポリプロピレン90〜99.9重量%、1,2
−ポリブタジエン0.1〜10重量%およびポリプロピ
レンと1,2−ポリブタジエンの混合組成物100重量
部に対して、ラジカル開始剤0.01〜1重量部を溶融
混練してグラフト重合してなる反応性ポリプロピレン1
00重量部に、不飽和カルボン酸またはその誘導体0.
1〜20重量部およびラジカル発生剤0.01〜2重量
部を使用して製造した前記成分(A2)の変性ポリプロ
ピレンを溶融混練する、前記マイカ強化ポリプロピレン
樹脂組成物、もしくは上記(1)、上記(2)、上記
(3)、上記(4)、上記(5)、上記(6)、上記
(7)、上記(8)、上記(9)、上記(10)、上記
(11)、上記(12)、上記(13)または上記(1
4)記載のいずれかのマイカ強化ポリプロピレン樹脂組
成物。 (17)前記成分(A)および前記成分(B)を170
〜300℃で溶融混練する前記マイカ強化ポリプロピレ
ン樹脂組成物の製造方法、もしくは上記(1)、上記
(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)、上記
(6)、上記(7)、上記(8)、上記(9)、上記
(10)、上記(11)、上記(12)、上記(1
3)、上記(14)、上記(15)または上記(16)
記載のいずれかのマイカ強化ポリプロピレン樹脂組成
物。
【0013】以下に、本発明を詳細に説明する。本発明
は、ポリプロピレン系樹脂およびマイカを配合してなる
マイカ強化ポリプロピレン樹脂組成物である。 (A)ポリプロピレン系樹脂 本発明で使用するポリプロピレン系樹脂は、ポリプロピ
レンと、ポリプロピレンに1,2−ポリブタジエンおよ
び不飽和カルボン酸またはその誘導体を順次グラフト重
合して得た流動性の異なる2種類の変性ポリプロピレ
ン、すなわちMFRの低い変性ポリプロピレンとMFR
の高い変性ポリプロピレンの変性ポリプロピレンを配合
してなる。ポリプロピレンの配合割合は90〜99.9
5重量部、好ましくは92.5〜99.99重量部であ
る。またMFRの低い変性ポリプロピレンの配合割合は
0.03〜7重量部、好ましくは0.07〜5重量部で
あり、MFRの高い変性ポリプロピレンの配合割合は
0.02〜3重量部、好ましくは0.03〜2.5重量
部である。
【0014】MFRの低い変性ポリプロピレンの配合割
合が、0.03〜7重量部でない場合、またMFRの高
い変性ポリプロピレンの配合割合が、0.02〜3重量
部でない場合は、マイカ強化ポリプロピレン樹脂組成物
の高温での剛性および低温での耐衝撃性の向上が見られ
ない。さらにMFRの低い変性ポリプロピレンとMFR
の高い変性ポリプロピレンの配合割合は、重量比で20
/80〜80/20である。
【0015】また変性ポリプロピレンの配合割合が、1
00重量部を超える場合には、引張強度が低下する傾向
にある。したがって所望の機械的物性が得られるよう、
上記の配合割合の範囲内で、変性ポリプロピレン配合量
を適宜選択することが好ましい。ここでポリプロピレ
ン、1,2−ポリブタジエンおよび不飽和カルボン酸ま
たはその誘導体は、特に限定されず、次のものを使用す
ることができる。
【0016】(A1)ポリプロピレン 本発明で使用するポリプロピレンは、プロピレンの単独
重合体のみでなく、プロピレンとエチレンやブテン−1
などの他のα−オレフィンとのブロック共重合体または
ランダム共重合体を含む。例えばプロピレン−エチレン
ブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重
合体、プロピレン−ブテン−1ブロック、プロピレン−
ブテン−1ランダム共重合体などを使用することができ
る。他のα−オレフィンの含有量は30重量%以下、特
に10重量%以下が好ましい。α−オレフィンの含有量
は30重量%を超える場合には、マイカ強化ポリプロピ
レン樹脂組成物の剛性が低下するので好ましくない。他
のα−オレフィンとしては特にエチレンが好ましく、そ
の含有量は10重量%以下のものが好ましい。重量平均
分子量は、70,000〜1,000,000である。
このようなポリプロピレンは、通常0.1〜200g/
10分、好ましくは0.5〜100g/10分のMFR
(JIS K7210により、荷重2.16kg、23
0℃の条件で測定)を有する。MFRが0.1未満の場
合には、成形性、外観などが不良で、200を超える場
合には、耐衝撃性が劣る。
【0017】(A2)MFRの低い変性ポリプロピレン 本発明で使用するMFRの低い変性ポリプロピレンは、
上記ポリプロピレンに、1,2−ポリブタジエンおよび
不飽和カルボン酸またはその誘導体を順次、溶媒中ある
いは溶融状態でグラフト重合して得た、MFRが1〜2
00g/10分、好ましくは10〜180g/分のもの
を使用することができる。ここで1,2−ポリブタジエ
ンによるグラフト重合は、所望によりラジカル発生剤を
使用することができ、また不飽和カルボン酸またはその
誘導体によるグラフト重合では、ラジカル発生剤を使用
する。
【0018】(A3)MFRの高い変性ポリプロピレン 本発明で使用するMFRの高い変性ポリプロピレンは、
上記のMFRの低い変性ポリプロピレンと同様にして得
た、MFRが2〜1000g/10分、好ましくは25
0〜900g/分のものを使用することができる。
【0019】(i)1,2−ポリブタジエン 上記1,2−ポリブタジエンは、1,2−結合の割合を
50モル%以上、好ましくは70モル%以上、さらに好
ましくは90モル%以上含有する。このような1,2−
ポリブタジエンは、市販の液状ゴムまたは固形ゴムのも
のから適宜選択して使用することができるが、溶融混練
時の作業性や、グラフト効率の観点から、1,2−結合
の割合が70モル%以上の常温で固形ゴムの1,2−ポ
リブタジエンが好ましい。
【0020】(ii)不飽和カルボン酸またはその誘導
体 本発明で使用する不飽和カルボン酸またはその誘導体
は、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フ
マル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコ
ン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、エンドービシクロ
[2,2,1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸
(エンディック酸)、シス−4−シクロヘキセン−1,
2−ジカルボン酸などの不飽和モノあるいはジカルボン
酸、またはこれらの誘導体を使用することができる。酸
無水物、ハライド、アミド、イミド、エステルなどの誘
導体として使用することができる。例えば無水マレイン
酸、無水イタコン酸、塩化マレニル、マレイミド、アク
リル酸メチル、メタクリル酸メチル、無水シトラコン
酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、エン
ドービシクロ[2,2,1]−5−ヘプテン−2,3−
無水ジカルボン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2
−無水ジカルボン酸などを使用することができる。好ま
しくは不飽和ジカルボン酸またはその無水物である。特
に好ましくはマレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸
または無水イタコン酸である。これらは通常単独で使用
することができるが、2種以上を併用することもでき
る。
【0021】(iii)ラジカル発生剤 本発明で使用するラジカル発生剤は、通常使用されてい
る公知のものを使用することができる。例えば過酸化ベ
ンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化ジ−t−ブチル、
過酸化アセチル、t−ブチルペルオキシ安息香酸、過酸
化ジクミル、ペルオキシ安息香酸、ペルオキシ酢酸、t
−ペルオキシピバレート、2,5−ジメチル−2,5−
ジ−t−ブチルペルオキシヘキシンなどの過酸化物類
や、アゾビスイソブチロニトリルなどのジアゾ化合物類
などを使用することができる。
【0022】(iv)MFRの異なる2種類の変性ポリ
プロピレンの製造方法 本発明で使用する変性ポリプロピレンは、ポリプロピレ
ンに1,2−ポリブタジエンをグラフト重合して反応性
ポリプロピレンを製造する第1のグラフト重合、および
反応性ポリプロピレンに不飽和カルボン酸またはその誘
導体をグラフト重合する第2のグラフト重合によって製
造することができる。
【0023】第1のグラフト重合は、ポリプロピレン、
1,2−ポリブタジエン、および所望によりラジカル発
生剤を溶融混練することにより行うことができる。ポリ
プロピレンと1,2−ポリブタジエンの配合割合は、ポ
リプロピレンが90〜99.9重量%、好ましくは93
〜99.5重量%、1,2−ポリブタジエンが0.1〜
10重量%であり、好ましくは0.5〜7重量%であ
る。1,2−ポリブタジエンが0.1重量%未満の場合
には、変性による改善効果が充分ではない。また1,2
−ポリブタジエンが10重量%を超えると、得られる変
性ポリプロピレンがゲル化するので好ましくない。第1
のグラフト重合は、ラジカル発生剤を配合しなくても進
行するが、ラジカル発生剤を配合する場合には、ポリプ
ロピレンと1,2−ポリブタジエンの混合組成物100
重量部に対して、ラジカル発生剤0.01〜1重量部を
溶融混練する。ラジカル発生剤が1重量部を超える場合
は、得られる変性ポリプロピレンの分子量を低下させる
ので好ましくない。
【0024】溶融混練は、従来公知の各種方法で行なう
ことができる。すなわちバンバリーミキサー、ブラベン
ダー、混練ロールなどのバッチ式混練機を用いて混練す
る方法、あるいは−軸押出機、二軸押出機などの連続混
練機を用いて混練する方法など例示することができる。
混練の温度は170〜300℃、好ましくは180〜2
60℃の範囲であり、混練時間は0.1〜20分程度で
ある。
【0025】第2のグラフト重合は、第1のグラフト重
合で製造された反応性ポリプロピレンに、不飽和カルボ
ン酸またはその誘導体およびラジカル発生剤を配合し、
溶融混練して製造することができる。反応性ポリプロピ
レン100重量部に対して、不飽和カルボン酸またはそ
の誘導体が0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜1
0重量部を使用することができる。不飽和カルボン酸ま
たはその誘導体が0.1重量部未満の場合は変性による
効果が不十分であり、反対に20重量部を超える場合
は、未反応の不飽和カルボン酸またはその誘導体が、ポ
リプロピレン系樹脂中に残るので好ましくない。またラ
ジカル発生剤は、反応性ポリプロピレン100重量部に
対して、0.01〜2重量部を使用することができる。
ラジカル発生剤が0.01重量部未満だとグラフト重合
による変性が進行しないし、2重量部を超えると主成分
であるポリプロピレンの分子量を低下させるので好まし
くない。この第2のグラフト重合は、第1のグラフト重
合に連続して同じ混練機中で、実施することができる。
溶融混練は、第1のグラフト重合と同様にして実施する
こともできる。上記のように製造した変性ポリプロピレ
ンの重量平均分子量は、通常20,000〜100,0
00である。
【0026】第2のグラフト重合で、変性すべきポリプ
ロピレンのMFR、ラジカル発生剤の種類、配合割合、
反応温度、反応時間などを適宜選択して、変性ポリプロ
ピレンのMFRを調整することができる。たとえば反応
性ポリプロピレン100重量部に対して、ラジカル発生
剤0.01〜0.5重量部を使用して、MFR1〜20
0g/10分の変性ポリプロピレンを、またラジカル発
生剤0.5〜2重量部を使用して、MFR200〜10
00g/10分の変性ポリプロピレンを製造することが
できる。
【0027】(B)マイカ 本発明で使用するマイカ(B)は、アルカリ金属を含有
するアルミノ珪酸塩であり、樹脂などの充填剤、強化剤
などとして一般に用いられてる公知のものを使用するこ
とができる。例えば、白マイカ(マスコバイト)、金マ
イカ(フロゴバイト)、黒マイカ(バイオタイト)など
でを使用することができる。具体的には、白マイカ、紅
マイカ、ソーダマイカ、絹マイカ、バナジンマイカ、金
マイカ、鉄マイカ、チンワルドマイカ、黒マイカなどが
例示される。
【0028】また本発明で使用するマイカの平均粒径は
0.1〜500μm、好ましくは、1〜300μmであ
る。平均粒径が0.1μm以下未満の場合は、本発明の
マイカ強化ポリプロピレン樹脂組成物の剛性が、低下す
る。また平均粒径が、500μmを超える場合には、表
面の平滑性が悪く、外観が不良である。アスペクト比は
10〜500程度が好ましい。アスペクト比が10未満
の場合は、機械的物性の向上が小さい。アスペクト比が
500を超える場合は、機械的物性は向上するものの、
溶融混練が困難である。さらにシランカップリング剤な
どにより表面処理を施したものが好ましい。アスペクト
比とは、マイカの縦または横の長さと厚みの比をいう。
一般的にアスペクト比は粒径が小さくなれば小さくなる
傾向がある。
【0029】マイカの配合割合は、ポリプロピレン系樹
脂(A)100重量部に対して、5〜100重量部、好
ましくは10〜70重量部である。マイカの配合量が5
重量部未満の場合には、マイカ強化ポリプロピレン樹脂
組成物の機械的物性および耐熱性の向上が充分でなく、
100重量部を超えると成形性が低下して製造が困難と
なる。
【0030】また本発明で使用するマイカは、その表面
を無処理のまま使用してもよいが、好ましくは表面処理
剤で表面処理して使用する。表面処理したマイカは、ポ
リプロピレン(A1)および変性ポリプロピレン(A
2)との接着性を向上し、分散性を向上する。表面処理
剤としては、公知のシランカップリング剤、チタンカッ
プリング剤および高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高
級脂肪酸アミド、高級脂肪酸塩類などの界面活性剤を使
用することができる。好ましくはシランカップリング剤
で、さらに好ましくはアミノシラン化合物である。例え
ばγー(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキ
シシラン、γー(2−アミノエチル)アミノプロピルメ
チルジメトキシシラン、γー(2−アミノエチル)アミ
ノプロピルトリエトキシシラン、γーウレイドプロピル
トリエトキシシランなどを使用することができる。アミ
ノシラン化合物の配合割合は、マイカ100重量部に対
して0.05〜5重量部である。
【0031】これらの表面処理剤は、マイカをあらかじ
め表面処理剤で表面処理した後、これを、ポリプロピレ
ンおよび変性ポリプロピレンに溶融混練して使用するこ
とができる。あるいはマイカ、ポリプロピレンおよび変
性ポリプロピレンを溶融混練する際に、直接表面処理剤
を添加して使用することができる。
【0032】(C)その他の配合剤 本発明のマイカ強化ポリプロピレン樹脂組成物は、その
性能を損なわない範囲内で、その他の配合剤を配合する
ことができる。その具体例として、その他の樹脂、マイ
カ以外の無機充填剤(例えば、炭酸カルシウム、タル
ク、クレー、シリカ、炭酸マグネシウム、硫酸バリウ
ム、酸化チタン、アルミナ、石膏、ガラス繊維、ケイ酸
カルシウム、ガラスビーズ、カーボンブラック、水酸化
アルミニウム、水酸化マグネシウム、ゼオライト、けい
藻土、炭素繊維、合成けい酸系ファイバー)、酸化防止
剤(フェノール系、イオウ系、りん系)、紫外線吸収
剤、滑剤、帯電防止剤、銅害防止剤、難燃剤、造核剤、
可塑剤、架橋剤、顔料、中和剤などを挙げることができ
る。これらの配合剤は1種または2種以上を適宜組み合
わせて使用することができる。
【0033】その他の樹脂として、ポリエチレン樹脂を
使用することができる。例えば、低密度ポリエチレン、
中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレンと
他のαーオレフィン(例えばブテン、ペンテン、ヘキセ
ンなど)との共重合体などを挙げることができる。特に
MFRが,0.05〜100g/10分で、密度が0.
93g/cm3以上のポリエチレンが好ましい。またポ
リエチレン樹脂の配合割合は、本発明でいうポリプロピ
レン系樹脂に対して20重量部以下である。ポリエチレ
ン樹脂のMFR、密度、配合割合が上記の範囲外の場合
は、いずれもマイカ強化ポリプロピレン樹脂の剛性が低
下する。
【0034】(D)マイカ強化ポリプロピレン樹脂組成
物の製造方法 マイカ強化ポリプロピレン樹脂組成物は、ポリプロピレ
ン(A1)に、1,2−ポリブタジエンおよび不飽和カ
ルボン酸またはその誘導体を順次グラフト重合して得
た、MFRの低い変性ポリプロピレン(A2)およびM
FRの高い変性ポリプロピレン(A3)を溶融混練して
後、さらにマイカ(B)を溶融混練して製造することが
できる。
【0035】溶融混練の方法としては、従来公知の各種
方法を採用することができる。すなわち成分(A1)、
成分(A2)および成分(A3)、または成分(A
1)、成分(A2)、成分(A3)および成分(B)、
または成分(A)および成分(B)は、例えばヘンシェ
ルミキサー、ドラムタンブラーなどの混合機を用いて予
備混合し、この混合物を一軸押出機、二軸押出機、バン
バリーミキサー、混練ロール、ブラベンダー、ニーダー
などの混練機を用いて、ポリプロピレンの融点以上、具
体的には170〜300℃、好ましくは180〜250
℃で溶融混練する方法を用いることができる。また成分
(B)は、予め成分(A1)などとドライブレンドして
おくことができる。また押出機などを使用する場合に
は、成分(A1)および成分(A2)をドライブレンド
した後、重量式フィーダーなどを用いて押出機の途中か
ら供給することもできる。
【0036】本発明のマイカ強化ポリプロピレン樹脂組
成物は、優れた引張強度、剛性、衝撃強度、衝撃強度な
どの機械的物性および耐熱性とともに、優れた高温での
剛性および優れた低温での耐衝撃性を有するため、広範
囲に用途を展開することができる。代表的な用途として
自動車の内外装品材料や電装部品材料(例えば、インス
トルメントパネル材、エアークリーナーケース材、ファ
ンシュラウド材、カーヒーターケース材、トリム材、バ
ンパー材など)、家電製品材料(例えば、洗濯槽材、テ
レビパネル材、アイロン把手材、ファン材、ビデオテー
プカセット材、ラジオカセットハウジング材など)、事
務用品材料(例えば、複写機ハウジング材、コンピュー
ターハウジング材など)、スポーツ用品材料、家具材料
などが挙げられる。さらに本発明のマイカ強化ポリプロ
ピレン樹脂組成物は、製造時に刺激臭が少ないという特
徴がある。
【0037】
【実施例】以下に、実施例および比較例を挙げて、本発
明をさらに詳細に説明する。なお本発明は、以下の実施
例によって何等限定されるものではない。また以下の実
施例および比較例では、原料成分として次の成分を使用
した。
【0038】(A)ポリプロピレン系樹脂:次の成分
(A1)、成分(A2)および成分(A3)を溶融混練
してポリプロピレン系樹脂を製造した。また成分(A
2)および成分(A3)として、次の3種類の変性ポリ
プロピレンを製造した。
【0039】(A1)ポリプロピレン(以下、PPとも
表す。):HJ220(東燃化学(株)製)、MFR2
0g/10分(230℃、2.16kg荷重)。 (A2)変性ポリプロピレン (1)CMP−1: ホモポリプロピレン(以下、HPPと表す。)97重
量部:J209(東燃化学(株)製)、重量平均分子量
30万、数平均分子量6万、MFR9g/10分(23
0℃、2.16kg荷重)、 1,2−ポリブタジエン、(以下、1,2−PBと表
す。)3重量部:RB−830(日本合成ゴム(株)
製)、1,2−結合93%、および ラジカル開始剤(以下、Poxと表す。)0.2重量
部:パーヘキシン25B(日本油脂(株)製)をラボプ
ラストミル(東洋精機(株)製)で200℃で、5分間
溶融混練して、反応性ポリプロピレンを製造した。得ら
れた反応性ポリプロピレン100重量部に対して、 無水マレイン酸(以下、MAHと表す。)2重量部:
和光純薬工業(株)製、および Pox0.2重量部をラボプラストミル(東洋精機
(株)製)で200℃、5分間溶融混練してCMP−1
を製造した。
【0040】(2)CMP−2:変性ポリプロピレンの
製造に際して、Pox1.0重量部を使用した以外は、
CMP−1の場合と同様にしてCMP−2を製造した。
【0041】(3)CMP−3:HPP100重量部、
MAH2重量部およびPox0.2重量部を前記ラボプ
ラストミルで200℃、5分間溶融混練してCMP−3
を製造した。
【0042】反応性ポリプロピレンおよび変性ポリプロ
ピレンの製造に使用した成分の配合割合をまとめて表1
に示す。
【表1】 グラフト重合の配合割合 (重量部) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 反応性ポリプロピレンの製造 変性ポリプロピレンの製造 変性PP (HPP) (1,2-PB) (Pox) (反応性PP) (MAH) (Pox) ━━━ ━━━━━━━━━━━━━ ━━━━━━━━━━━━━ CMP-1 97 3 0.2 100 2 0.2 CMP-2 98 2 0.2 100 2 1.0 CMP-3 - - - HPP=100 2 0.2 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0043】上記の変性ポリプロピレン(CMP−1、
CMP−2、CMP−3)について、重量平均分子量、
グラフト率およびMFRを表2に示す。
【0044】
【表2】 変性ポリプロピレンの物理性状 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ MAHグラフト率(重量部) MFR 変性PP 重量平均分子量 (処理前) (処理後) (g/10分) ━━━ ━━━━━━━━━ ━━━━━━━━━━━ ━━━━━ CMP-1 76,300 1.98 1.88 41 CMP-2 50,000 1.97 1.83 338 CMP-3 81,000 0.60 0.31 30 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ (注)(処理前)、(処理後)とは、未反応のMAHを除去す るクロロホルムによる処理前、処理後をいう。
【0045】重量平均分子量、グラフト率およびMFR
は次の方法により測定した。 (1)重量平均分子量の測定:上記変性ポリプロピレン
について、ウォ-タ-ズ社製150C型(ポリマ−ラボラ
トリ−社製Mixed−Bカラム30cm×3本、測定
温度140℃、測定溶媒オルトジクロロベンゼン)を用
いて分子量分布の測定を行った。標準ポリスチレンにつ
いて、同様にして測定を行い、Makromol.Ch
em.179,2117(1978)記載のユニバ−サ
ル・キャリブレ−ション・プリンシプルに基づき較正し
て求めたGPC曲線のピ−ク位置の分子量である。 (2)MAHグラフト率の測定:上記変性ポリプロピレ
ンから、ホットプレスにより作製した厚さ50〜80μ
mのフィルムについて、FT−IR型赤外線分光装置
(Perkin Elmer社製)により赤外線スペク
トルを測定した。得られた赤外線スペクトルについて、
MAHのカルボニル結合(C=O)の伸縮振動に帰属す
るピーク(1780cm-1)とアイソタクティックポリ
プロピレンに特有のCH−CH2伸縮振動のピーク(8
40cm-1)との吸光度の比を算出し、予め作成した検
量線を用いてグラフト率を算出した(処理前のグラフト
率)。一方上記変性ポリプロピレンをクロロホルム処理
して未反応のMAHを除去した変性ポリプロピレンを作
製した。これよりフイルムを作製し、上記と同様にして
グラフト率を算出した(処理後のグラフト率)。 (3)MFRの測定:JIS K7210により、19
0℃、1050g荷重にて測定した。
【0046】表1および表2から明らかなように、CM
P−1およびCMP−2は、処理前および処理後のグラ
フト率が高いことから、初めに配合したMAHの殆ど全
量が、ポリプロピレンにグラフト重合していることを示
している。これに対してCMP−3は、処理前のグラフ
ト率が著しく低い上に、、処理後のグラフト率もさらに
著しく低いことから、初めに配合したMAHの15.5
重量%が、ポリプロピレンにグラフト重合したに過ぎな
い。すなわちMAHの84.5重量%が、溶融混練時に
昇華して空気中に滞留したり、未反応MAHとして残存
して、グラフト重合に寄与していないことを示してい
る。したがって本発明のCMP−1およびCMP−2
は、その製造の作業環境は良好であった。
【0047】(B)マイカ:スゾライトマイカ200−
KI(クラレ(株)製)、平均粒径90μm。
【0048】[実施例1〜7及び比較例1〜7]表3〜
表5に示す配合割合で、ポリプロピレン(PP)と変性
ポリプロピレン(CMP−1、CMP−2、CMP−
3)は、ヘンシェルミキサーでドライブレンドした後、
直径30mmの二軸押出機のメインホッパーより投入し
た。またマイカは、二軸押出機の途中から重量式フィー
ダーを用いて投入し、バレル温度230℃で混練し、マ
イカ強化ポリプロピレン樹脂組成物を得た。得られたマ
イカ強化ポリプロピレン樹脂組成物について、MFR、
引張強度、曲げ弾性率およびアイゾット衝撃強度を測定
した。その結果を表3および表5に示す。
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】なお、表3、表4に示した各機械的物性の
測定方法は次の通りである。 (1)MFR:JIS K7210により、230℃、
2.16kg荷重で測定した。 (2)引張強度:ASTM D638により、23℃で
測定した。 (3)曲げ弾性率:ASTM D790により、23℃
で測定した。 (4)アイゾット衝撃強度:ASTM D256によ
り、23℃で測定した(Vノッチ付)。
【0052】また表3、表4から明らかなように、ポリ
プロピレンに、1,2−ポリブタジエンとMAHを順次
グラフト重合反応したCMP−1あるいはCMP−2を
配合した実施例1〜実施例7は、引張強度、曲げ弾性率
およびアイゾット衝撃強度がバランス良く高かった。こ
れに対して、変性ポリプロピレンとして、CMP−1、
CMP−2またはCMP−3のみを用いた比較例1〜比
較例7は、実施例に比べて、高温での曲げ弾性率および
低温でのアイゾット衝撃強度が低い値であった。
【0053】また表1および表2からも明らかなよう
に、CMP−1およびCMP−2は、CMP−3に比べ
て、初めに配合したMAHの殆どすべてがホモポリプロ
ピレン(HPP)にグラフト重合しており、さらに残存
する量も少ない。したがって実施例1〜実施例7は、比
較例1〜比較例7に比べて、変性ポリプロピレンおよび
マイカ強化樹脂組成物組成物を製造する溶融混練工程
で、昇華して空気中に滞留するMAHが極めて少なく、
作業環境は良好であることを示している。
【0054】
【発明の効果】以上詳細かつ具体的に説明したように、
本発明によれば、ポリプロピレンに、1,2−ポリブタ
ジエンと不飽和カルボン酸またはその誘導体を順次グラ
フト重合した流動性の異なる2種類の変性ポリプロピレ
ンの少量を配合したポリプロピレン系樹脂100重量部
に対し、マイカを5〜100重量部配合したことを特徴
とする新規かつ引張強度、剛性、耐衝撃性などの機械的
物性および耐熱性に優れるとともに、特に高温での剛性
および低温での耐衝撃性が顕著に優れたマイカ強化ポリ
プロピレン樹脂組成物が提供され、このマイカ強化ポリ
プロピレン樹脂組成物は、変性ポリプロピレンとして、
無極性で反応性の低いポリプロピレンに不飽和カルボン
酸またはその誘導体を効率よくグラフト重合した変性ポ
リプロピレンを用いているため、製造時に不飽和カルボ
ン酸またはその誘導体を除去する工程が不要、かつ刺激
臭を発生せず、さらにマイカがポリプロピレン樹脂中に
均一に分散して両者が堅固に接着するので、機械的物
性、耐熱性などが向上するなどの特徴を有し、自動車の
内外装品、電装部品、家電製品、スポーツ用品、家具、
事務用品などの材料として極めて有用である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ポリプロピレン系樹脂100重量
    部、および(B)マイカ5〜100重量部、を配合して
    なり、該(A)ポリプロピレン系樹脂がさらに、(A
    1)ポリプロピレン90〜99.95重量部、(A2)
    1,2−ポリブタジエンおよび不飽和カルボン酸または
    その誘導体を順次グラフト重合してメルトフローレート
    が1〜200g/10分である変性ポリプロピレン0.
    03〜7重量部、および(A3)1,2−ポリブタジエ
    ンおよび不飽和カルボン酸またはその誘導体を順次グラ
    フト重合してメルトフローレートが200〜1000g
    /10分である変性ポリプロピレン0.02〜3重量部
    を配合してなるマイカ強化ポリプロピレン樹脂組成物。
JP24048295A 1995-08-28 1995-08-28 マイカ強化ポリプロピレン樹脂組成物 Pending JPH0959449A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114466875A (zh) * 2019-09-27 2022-05-10 东洋纺株式会社 树脂组合物

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114466875A (zh) * 2019-09-27 2022-05-10 东洋纺株式会社 树脂组合物

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