JPH0957418A

JPH0957418A - ダイカスト用スリーブ

Info

Publication number: JPH0957418A
Application number: JP7218803A
Authority: JP
Inventors: Hirohisa Suwabe; 博久諏訪部; Masahisa Sofue; 昌久祖父江; Kazuji Furusho; 一二古荘; Tsutomu Takasugi; 努高杉; Toshio Okitsu; 俊夫沖津; Ryoichi Shibata; 良一柴田
Original assignee: Hitachi Metals Ltd
Current assignee: Proterial Ltd
Priority date: 1995-08-28
Filing date: 1995-08-28
Publication date: 1997-03-04

Abstract

(57)【要約】【課題】溶融金属の温度低下が少なく、スリーブ温度
を低く保つことによりスリーブの機械的精度を保つこと
ができるダイカスト用スリーブを提供する。【解決手段】本発明のダイカスト用スリーブを採用し
たダイカストマシンでは外部のコイルから内部の溶融金
属へ誘導電流を生じせしめ、溶融金属を加熱する。これ
により溶融金属への不純物の混入や、溶融金属の酸化を
低減でき、製品品質の安定化を図ることができる。また
本発明のダイカスト用スリーブは少なくとも一部に複数
のスリットを有する外筒部若しくは少なくとも一部に複
数個の導電体を有する外筒部を有するので電磁誘導によ
る外筒部内の磁界の強さを低減することで、外筒部の温
度上昇を低減できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えばアルミニウ
ム合金等の非鉄金属用の横型若しくは縦型ダイカストマ
シンにおける溶融金属射出装置を構成するダイカストス
リーブに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】加圧成形技術に一般に使用されている横
型ダイカストマシンの要部断面を図３，４に示す。この
場合、溶融金属である金属溶湯３１はスリーブ３０の内
部に注湯口より給湯される。一般的には、ラドル３７か
らスリーブ３０内に注湯された金属溶湯３１は、プラン
ジャチップ３３により初期の段階では低速射出され、後
半における高速射出を経て金型３４と金型３５の型締め
により形成されるキャビティ３６内に向け注入される。
また、図４に示す縦型ダイカストマシンにおいては、金
属溶湯３１をカップ３８に注湯したあと、型締めを行な
い射出を行うが、射出のやり方は前述の横型ダイカスト
マシンの場合と同様に行われる。なお図４において、図
３に示した構成要素と同一のものには図３で付した符号
を付し、その説明は省略する。給湯はラドルと呼ばれる
保持容器に保持炉の溶湯をくみ取り、注湯口よりスリー
ブに移されるが、この際にスリーブは機械精度を保つた
めおよび酸化防止のため通常低い温度に保たれるため溶
湯の一部が凝固する。この凝固片が金属溶湯と共にキャ
ビティ内に供給されると鋳造欠陥を生じ機械的性質が低
下することがある。

【０００３】以上の問題を解決するために、特公平６−
８３８８８号には、電磁誘導の法則を利用して射出スリ
ーブ内における溶湯の断熱を図ることにより、ガス欠陥
や組成の成分比率の変化等を生じさせることなくスリー
ブ内における湯温の低下による初期凝固層の発生や湯回
りの不良等を防止することを目的として、電磁誘導によ
り射出スリーブ壁面及びプランジャチップ端面に対して
溶湯を非接触状態で保持させる高周波電流を印加する電
源手段が結続されたダイカストマシンが開示されてい
る。このダイカストマシンは、図５に示すようにプラン
ジャチップ５０を射出スリーブ５１内の下方に位置させ
た状態で、湯通路５２内に溶湯を注入すると共に、スリ
ーブ５１の壁面部５３及びプランジャチップ５０内にそ
れぞれ設けられた発振コイル５４・・・５４、５５・・
・５５に電源装置から例えば１０００Hzの高周波電流を
供給すると、スリーブ５１内に保持された溶湯が導電性
であるため電磁誘導作用によって溶湯とスリーブ５１の
壁面部５３との間に反発力が生じ、かかる反発力により
スリーブ５１内にて溶湯を浮遊状態に保持するとするも
のである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特公平
６−８３８８８号に開示されたダイカストマシンでは、
単に電磁誘導により溶湯を非接触状態で保持させる高周
波電流を印加する電源手段が結続され、かかる電源手段
により供給される交流電流の作用により溶湯をスリーブ
５１に対して非接触状態で保持しようとするものであ
り、かかるダイカストマシンについては次のような問題
がある。先ず、特公平６−８３８８８号に開示されたダ
イカストマシンは、ただ単に電源手段により供給される
交流電流の作用により溶湯ａをスリーブ５１に対して非
接触状態で保持しようとするものであり、その場合溶湯
ａをスリーブ５１に対して確実に非接触状態で保持する
ことは困難である。しかも、特公平６−８３８８８号に
開示されたダイカストマシンでは交流電流により溶湯ａ
を誘導加熱する過程でスリーブ５１も加熱され、その結
果スリーブ５１は変形し易くなりプランジャチップ５０
のスリーブ５１に対する適切な嵌合状態が得られなくな
る。本発明は以上の従来技術における問題に鑑みてなさ
れたものであって、溶融金属の温度低下が少なく、スリ
ーブ温度を低く保つことによりスリーブの機械的精度を
保つことができるダイカストマシンを構成するためのダ
イカスト用スリーブを提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明のダイカスト用ス
リーブは電磁誘導コイルの内側に配置され、少なくとも
一部に複数のスリットを有する外筒部と、その外筒部の
内側に配置される内筒部とよりなることを特徴とする。
また本発明のダイカスト用スリーブは電磁誘導コイルの
内側に配置され、少なくとも一部に複数個の導電体を有
する外筒部と、その外筒部の内側に配置される内筒部と
よりなることを特徴とする。前記内筒部と外筒部とを焼
嵌めて一体化し、電磁誘導コイルの内側に配置すること
ができる。以上の内筒部の少なくとも一部を低熱伝導材
にすることにより、溶融金属が熱を奪われることが少な
く、溶融金属表面への凝固片の発生を少なくすることが
できる。特に内筒部にサイアロン、窒化珪素等の窒化珪
素質セラミックス焼結体を用いると、溶融金属が濡れ難
い作用を併せ持つ。以上の本発明のダイカスト用スリー
ブにおいては外筒部の少なくとも一部に冷却用媒体通路
を設けることができる。その様に外筒部に冷却用媒体通
路を設けて冷却すると、内筒部の溶融金属および電磁誘
導による外筒部の昇温を抑えると共に、内筒部と外筒部
の適性な嵌合効果を持続する。また以上の本発明のダイ
カスト用スリーブでは導電体はＳＵＳ等の非磁性材とす
るのが良い。それにより後述する電磁体積力によるスリ
ーブ内面に対する溶融金属の非接触状態の保持をより強
力かつ効率的にすることができる。また以上の本発明の
ダイカスト用スリーブでは導電体を冷却手段により冷却
することができる。また以上の本発明のダイカスト用ス
リーブでは導電体間に非導電性の物質を充填するのがよ
い。

【０００６】

【作用】本発明のダイカスト用スリーブを採用したダイ
カストマシンでは外部のコイルから内部の溶融金属へ誘
導電流を生じせしめ、溶融金属を加熱する。これにより
溶融金属への不純物の混入や、溶融金属の酸化を低減で
き、製品品質の安定化を図ることができる。また本発明
のダイカスト用スリーブは少なくとも一部に複数のスリ
ットを有する外筒部若しくは少なくとも一部に複数個の
導電体を有する外筒部を有するので電磁誘導による外筒
部内の磁界の強さを低減することで、外筒部の温度上昇
を低減できる。以上の点を図６、図７を参照して説明す
る。図６に示されるように溶融金属１を連続する導電性
の外筒部２の内側の内筒部３内に収納し、誘導コイル４
に電流を流した場合には、外筒部２内には図示する磁力
線Ａが発生し、その磁界により外筒部２は加熱される。
これに対し図７に示されるように溶融金属１をスリット
５を有する外筒部２の内側の内筒部３内に収納し、誘導
コイル４に電流を流した場合には、外筒部２内には図示
する磁力線が発生し、その磁界の発生程度は図６に示さ
れる場合よりも低減され、それにより外筒部２の温度上
昇は低減される。さらに本発明のダイカスト用スリーブ
を採用したダイカストマシンでは溶融金属および外筒部
には電磁誘導による電流が発生し、それらの誘導電流と
磁場の相互作用による電磁体積力が溶融金属をスリーブ
表面から遠ざける方向に作用して溶融金属とスリーブの
接触を防止する方向に働く。このため接触による温度低
下も少ない。

【０００７】以上の溶融金属をスリーブ表面から遠ざけ
て溶融金属とスリーブの接触を防止する電磁体積力によ
る作用につき図８、図９を参照して説明する。図８に示
すように、溶融金属１をスリットを有しない外筒部２内
側の内筒部３内に収納し、誘導コイル４に電流を流した
場合には、外筒部２内を流れる誘導電流と、溶融金属１
を流れる誘導電流の回転方向が同じとなり、外筒部２お
よび溶融金属１に発生する磁界も同一となり、お互いの
反発力は発生しない。しかし図９に示すように、相互間
にスリット５を形成した外筒部２の内側に絶縁性の内筒
部３を配置し、その内部に溶融金属１を収納し、誘導コ
イル４に交流電流を流した場合には、高周波交番磁界中
の電磁誘導原理に従い、外筒部２の表面電流と、溶融金
属１の表面電流は位相が１８０゜異なって、相互反発力
（ローレンツ斥力）を発生させ、溶融金属１は内筒部３
内面部表面に非接触で保持される。しかも以上のように
相互間にスリット５を形成した外筒部２の内側に絶縁性
の内筒部３を配置し、その内部に溶融金属１を収納し、
誘導コイル４に交流電流を流した場合にはスリット５か
らの漏れ磁場が直接溶融金属１に作用するために外筒部
２が冷却されて剛性が保たれた状態でも溶融金属１に対
する加熱保温が容易に行える。

【０００８】

【発明の実施の形態】図１は、本発明のダイカスト用ス
リーブを適用するダイカストマシンの断面図を示し、図
２は図１のＡ方向の断面図である。このダイカストマシ
ンは、スリーブ内を摺動するプランジャー６の押圧力に
よりアルミニウム合金鋳物をキャビティ７中で成形する
ものである。スリーブは、その内筒部３を低熱伝導材と
し、外筒部２は高強度非磁性材とし、外筒部２にはスリ
ット５を形成している。また、外筒部２の外周には誘導
コイル４を巻回し、この誘導コイル４に誘導加熱装置
（図示せず）を接続している。更に、外筒部２には冷却
水を循環する通路８を設けている。なお図において９は
固定型であり、１０は可動型、１１はラドルである。

【０００９】（実施例）本発明のダイカスト用スリーブ
を以下の条件で製造し、図１に示すダイカストマシンに
適用して加圧成形を行った。（１）外筒部２化学成分Ｃ：０．０８％以下、Ｓｉ：１．５０％以下、Ｍｎ：
２．００％以下、Ｐ：０．０４５％以下、Ｓ：０．０３
０％以下、Ｎｉ：１９．００〜２２．００wt%以下、Ｃ
ｒ：２４．００〜２６．００wt%以下、残部Ｆｅ及び不
可避的不純物。引張強さ５３kgf/mm²以上外筒部２形状外径１７０ｍｍ、内径１２０ｍｍ、長さ３１０mm スリット５形状スリット幅０．３〜０．４mm、スリット長さ１６５mm、
スリット数１２ヶ冷却媒体用通路８形状外径８ｍｍ、長さ３１０mm、通路数１２ヶ冷却媒体水を使用（２）内筒部３化学成分Ｓｉ₃Ｎ₄：８７wt%、Ｙ₂Ｏ₃：６wt%、Ａｌ₂Ｏ₃：４wt
%、ＡｌＮ固溶体：３wt%からなるサイアロン内筒部３形状外径１２０ｍｍ、内径９５ｍｍ、長さ３１０mm （３）外筒部２と内筒部３との焼嵌め条件焼嵌めは焼嵌め温度を５５０℃とし、スリーブ外筒を約
１時間焼嵌め温度でキープした後行った。また焼嵌め率
は２．５／１０００とした。

【００１０】上記の構成によるダイカストマシン用スリ
ーブを図１に示される型締力３５０ｔｏｎの横型ダイカ
ストマシンに装着してアルミニウム合金のダイカストに
使用した結果、１００，０００ショット以上の安定した
射出を行うことができ、外内筒間の焼嵌め効果の低減は
全く認められなかった。また製品の不良率を１０％（従
来）から１％に低減することができた。

【００１１】

【発明の効果】本発明のダイカスト用スリーブは、電磁
誘導コイルの内側に配置される外筒部が少なくとも一部
に複数のスリットを有し、若しくは少なくとも一部に複
数個の導電体を有することにより、ダイカストマシンに
適用して加圧成形するに当たって電磁誘導加熱により溶
融金属の温度低下を少なくすることができ、溶融金属へ
の不純物の混入や、溶融金属の酸化を低減でき、製品品
質の安定化が達成でき、また不回りや湯境の問題を軽減
できる。しかもスリーブ温度を低く保つことによりスリ
ーブの機械的精度を保つことができる。特に電磁誘導加
熱の過程における外筒部内の磁界の強さを低減すること
により外筒部の温度上昇を低減でき、内筒部と外筒部と
の充分な焼嵌め効果を確保することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のダイカストマシン用スリーブが適用さ
れるダイカストマシンの要部断面図である。

【図２】図１の矢印Ａ方向の断面図である。

【図３】従来のダイカストマシンの要部断面図である。

【図４】従来の縦型ダイカストマシンの要部断面図であ
る。

【図５】従来の電磁誘導の法則を利用して射出スリーブ
内における溶湯の断熱を図る様にしたダイカストマシ
ン。

【図６】本発明のダイカスト用スリーブによれば電磁
誘導による外筒部内の磁界の強さを低減することで、外
筒部の温度上昇を低減できる機構を説明するための図。

【図７】同じく本発明のダイカスト用スリーブによれ
ば電磁誘導による外筒部内の磁界の強さを低減すること
で、外筒部の温度上昇を低減できる機構を説明するため
の図。

【図８】本発明のダイカストマシン用スリーブを用い
た場合に溶融金属をスリーブ表面から遠ざけて溶融金属
とスリーブの接触を防止する電磁体積力による作用につ
いての説明図であり、連続する導電性のスリーブを用い
た場合を示す図。

【図９】同じく相互間にスリットを形成した導電体を
用いた場合を示す図。

【符号の説明】

１溶融金属６・・・プランジャ、７・・・キャビ
ティ、３・・・内筒部、２・・・外筒部、５・・・スリ
ット、４・・・誘導コイル、８・・・冷却水循環通路

フロントページの続き (72)発明者高杉努北九州市若松区北浜一丁目９番１号日立金属株式会社若松工場内 (72)発明者沖津俊夫北九州市若松区北浜一丁目９番１号日立金属株式会社若松工場内 (72)発明者柴田良一栃木県真岡市鬼怒ケ丘11番地日立金属株式会社素材研究所内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】電磁誘導コイルの内側に配置され、少な
くとも一部に複数のスリットを有する外筒部と、その外
筒部の内側に配置される内筒部とよりなることを特徴と
するダイカスト用スリーブ。
【請求項２】電磁誘導コイルの内側に配置され、少な
くとも一部に複数個の導電体を有する外筒部と、その外
筒部の内側に配置される内筒部とよりなることを特徴と
するダイカスト用スリーブ。
【請求項３】内筒部と外筒部とが焼嵌められる請求項
１又は２記載のダイカスト用スリーブ。。
【請求項４】内筒部の少なくとも一部が低熱伝導材と
される請求項１〜請求項５の何れか一に記載のダイカス
ト用スリーブ。
【請求項５】前記低熱伝導材が窒化珪素質セラミック
ス焼結体からなる請求項４記載のダイカスト用スリー
ブ。
【請求項６】外筒部の少なくとも一部に冷却用媒体通
路を設ける請求項１〜請求項５の何れか一に記載のダイ
カスト用スリーブ。
【請求項７】導電体が冷却手段により冷却される請求
項１〜請求項６の何れか一に記載のダイカスト用スリー
ブ。
【請求項８】導電体間に非導電性の物質が充填される
請求項１〜請求項７の何れか一に記載のダイカスト用ス
リーブ。
【請求項９】前記導電体が非磁性材である請求項１〜
請求項８の何れか一に記載のダイカスト用スリーブ。