JPH10328785A - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

鋼の連続鋳造方法

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JPH10328785A
JPH10328785A JP29980597A JP29980597A JPH10328785A JP H10328785 A JPH10328785 A JP H10328785A JP 29980597 A JP29980597 A JP 29980597A JP 29980597 A JP29980597 A JP 29980597A JP H10328785 A JPH10328785 A JP H10328785A
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molten steel
steel
solidification control
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JP29980597A
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Inventor
Katsuhiko Murakami
勝彦 村上
Hiroshi Shimizu
宏 清水
Masayuki Nakada
正之 中田
Hiroaki Nishio
浩明 西尾
Fumihiro Washimi
郁宏 鷲見
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 タンディッシュ又は給湯ノズルと鋳型とが直
結した連続鋳造法において、三重点に起因する欠陥を防
止する。 【解決手段】 鋼の連続鋳造に際し、電気的に絶縁体
で、熱伝導率が所定値以上のセラミックスから成り、そ
の一端がタンディッシュ2又は給湯ノズル3と直結し、
他端が金属製水冷鋳型5と直結して、且つその内壁形状
が前記金属製水冷鋳型と実質的に同一である初期凝固制
御部材4と、この初期凝固制御部材を周回するコイル6
とを配置し、コイルに高周波電流を供給して溶鋼1に電
磁気力を作用させつつ、初期凝固制御部材内で溶鋼の凝
固を開始させ、生成した凝固シェル10を連続的に引き
抜く。その際、初期凝固制御部材をBN−AlN−Si
C系セラミックスとすると効率良く電磁気力が作用す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、タンディッシュ又
は給湯ノズルと鋳型とが直結された形式の鋼の連続鋳造
方法に関し、特に前記直結部に起因する表面欠陥を防止
する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に実施されている鋼の連続鋳造方法
は、浸漬ノズルを介してタンディッシュから鋳型内に溶
鋼を注入する方法が用いられている。しかしこの方法で
は、浸漬ノズルからの溶鋼吐出流速が速いことに起因す
る脱酸生成物の未凝固層奥深部への侵入やモールドパウ
ダーの巻き込みによる品質劣化と、浸漬ノズルの閉塞や
溶損による鋳造停止等の操業トラブルとの二つの問題点
がある。そこで、浸漬ノズルを用いずにタンディッシュ
又は給湯ノズルと鋳型とを直結した連続鋳造方法が幾つ
か提案されている。
【0003】特開平6−170494号公報(以下、
「先行技術1」と記す)には、タンディッシュと一体の
給湯ノズルに直結する金属製冷却鋳型に、鋳造方向と平
行な複数のスリットを設け、この鋳型を周回するコイル
に高周波電流を通電する方法が開示されている。そして
先行技術1では、鋳型にスリットを設けているので、高
周波電流による電磁的ピンチ力(以下、「電磁気力」と
記す)を、耐火物製ノズルと金属製鋳型と溶融金属とが
同時に接する所謂「三重点」に有効に作用させることが
でき、三重点から溶融金属を排除させるので、三重点に
起因する表面欠陥が防止されるとしている。しかし先行
技術1では、金属製鋳型を用いているので、鋳型内部に
有効に電磁気力を作用させるためには、数100Hz以
下の比較的低い周波数を使用せざるを得ず、従って、溶
鋼表面に熱供給は可能であるが、大きな電磁気力を効率
良く作用させることは不可能である。
【0004】特公平7−67599号公報(以下、「先
行技術2」と記す)には、鋳型と直結するタンディッシ
ュ又は給湯ノズルの直結部近傍にコイルを埋設し、コイ
ルに高周波電流を供給して電磁気力を発生させ、鋳型内
溶鋼の湯面を三重点と非接触に維持して鋳造することが
開示されている。そして先行技術2では、鋳型内溶鋼湯
面を三重点より鋳造方向下方に制御することができるの
で、バリ差し、コールドシャット等三重点に起因する表
面欠陥が防止されるとしている。しかし、先行技術2で
は三重点より離れた位置にコイルが設置されるため、三
重点に作用する電磁気力の効率が悪く、凝固開始点を効
率良く制御することが困難である。
【0005】又、特開平1−313160号公報(以
下、「先行技術3」と記す)には、タンディッシュに直
結する筒状の加熱帯と、この加熱帯につながる冷却帯と
を用い、加熱帯に埋設された高周波誘導加熱コイルにて
溶鋼を加熱し、更に冷却帯と加熱帯との境界に1〜5m
m幅の間隔を設け、この間隔内を不活性ガス又は潤滑剤
混合液体でシールして鋳造する方法が開示されている。
そして先行技術3では、冷却帯と加熱帯との境界に間隔
を設けたために三重点が無くなると共に、溶鋼は、加熱
帯内では常に溶融状態に保たれ、冷却帯内で凝固を開始
するので、品質の優れた鋳片を安定して製造することが
可能としている。しかし先行技術3では間隔を通過直後
から凝固が開始するものの、凝固開始点における冷却帯
と凝固シェルとの接触状況は、従来の浸漬ノズルを用い
た連続鋳造機と同様であり、冷却帯内の不均一冷却に起
因する表面割れの危険性が残存する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】タンディッシュ又は給
湯ノズルと鋳型とが直結した連続鋳造方法においては、
上記のように三重点に起因する欠陥を防止することが未
だ十分とは言えず、表面性状の優れた鋳片を安定して製
造するまでには至っていない。
【0007】本発明はこのような事情に鑑みなされたも
ので、その目的とするところは、タンディッシュ又は給
湯ノズルと鋳型とが直結された連続鋳造機を用いて鋼を
連続鋳造する際に、効率良く溶鋼表面に電磁気力を作用
させて凝固開始点を制御することにより、三重点に起因
する欠陥を完全に防止して内質及び表面共に極めて優れ
た高品質の鋳片を製造する方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】第1の発明による鋼の連
続鋳造方法は、鋼の連続鋳造に際し、電気的に絶縁体
で、熱伝導率が所定値以上のセラミックスから成り、そ
の一端がタンディッシュ又は給湯ノズルと直結し、他端
が金属製水冷鋳型と直結して、且つその内壁形状が前記
金属製水冷鋳型と実質的に同一である初期凝固制御部材
と、この初期凝固制御部材を周回するコイルとを配置
し、コイルに高周波電流を供給して溶鋼に電磁気力を作
用させつつ、初期凝固制御部材内で溶鋼の凝固を開始さ
せ、生成した凝固シェルを初期凝固制御部材から金属製
水冷鋳型への方向に連続的に引き抜くことを特徴とする
ものである。
【0009】本発明では、鋳造方向上流側をタンディッ
シュ又は給湯ノズルと直結し、又、鋳造方向下流側を金
属製水冷鋳型と直結するセラミック製の初期凝固制御部
材を配置し、この初期凝固制御部材内において溶鋼の凝
固を開始させて、生成した凝固シェルを鋳造方向下流側
の金属製水冷鋳型内に連続的に引き抜き、金属製水冷鋳
型内で更に凝固を進行させて鋳造を行なう。金属製水冷
鋳型と初期凝固制御部材との内壁形状が実質的に同一で
あるので初期凝固制御部材内で生成した凝固シェルは金
属製水冷鋳型内へと円滑に引き抜かれる。
【0010】そしてその際に、初期凝固制御部材の外周
に配置したコイルに高周波電流を供給して溶鋼に電磁気
力を作用させ、タンディッシュ又は給湯ノズルと初期凝
固制御部材との直結部を含む位置に、溶鋼が初期凝固制
御部材及びタンディッシュ又は給湯ノズルの内壁と接触
しない間隙を形成させる。この間隙により、初期凝固制
御部材による溶鋼の抜熱は抑制され、溶鋼の凝固開始点
は前記直結部より鋳造方向下流側の初期凝固制御部材内
になる。
【0011】この間隙の形成は電磁気力と溶鋼静圧とに
よって決定され、ちなみに2000ガウスの磁束密度で
電磁気力を作用させたときの間隙形成の限界の溶鋼静圧
を算出すると200mm程度となり、それ以上では溶鋼
静圧が電磁気力より大きく、間隙は形成されない。電磁
気力は磁束密度の二乗に比例し、そして、工業的には3
000ガウス程度の磁束密度まで用いることができるの
で、400〜500mmの溶鋼静圧までは間隙の形成は
可能となる。
【0012】しかし、これらを実現するためには、次の
条件が必要である。即ち、溶鋼に電磁気力を効率良く作
用させるためには、コイルの内側に配置される初期凝固
制御部材は電気的に絶縁体であることが必要であり、更
に、初期凝固制御部材において溶鋼の凝固を開始させる
ためには、初期凝固制御部材は熱伝導性が良いことが必
要となる。非絶縁体、即ち導電性物体を配置すると磁束
が導電性物体に吸収されて減衰し、溶鋼面における磁束
密度が低下して電磁気力が小さくなり間隙の形成が不可
能となる。又、熱伝導性が悪いと初期凝固制御部材内で
溶鋼の凝固が進行せず、初期凝固制御部材と金属製水冷
鋳型との直結部で三重点を形成するからである。
【0013】本発明者等は、鋼、ステンレス鋼、アンバ
ー材、黄銅、シャモット煉瓦、及びMgO煉瓦の6種の
熱伝導率の異なる材料を用い、これらの角状試片を溶鋼
に所定時間浸漬させて、角状試片周囲における溶鋼の凝
固層の生成状況から、鋳型の機能、即ち溶鋼を抜熱し凝
固を開始させるに必要な熱伝導率は、どの程度であるか
を実験的に求めた。その結果、シャモット煉瓦やMgO
煉瓦では鋳型として使用できないが、室温における熱伝
導率がアンバー材程度の0.025cal/cm・se
c・K以上を確保すれば、溶鋼に対して鋳型としての機
能を有することを見出した。表1にこれら材料の組成及
び室温における熱伝導率を示す。
【0014】
【表1】
【0015】金属材料は熱伝導率は高いが導電性物体で
あるため、初期凝固制御部材としては使用できない。そ
こで本発明では、一般的に電気的に絶縁体であるセラミ
ックスの中から熱伝導率が0.025cal/cm・s
ec・K以上の材料を選択して初期凝固制御部材として
用いる。
【0016】このように電磁気力を有効に作用させて初
期凝固制御部材とタンディッシュ又は給湯ノズルとの直
結部における溶鋼の凝固を防止できるので、三重点の無
い鋳造方法となり三重点による欠陥を完全に防止でき
る。
【0017】第2の発明による鋼の連続鋳造方法は、第
1の発明において、初期凝固制御部材を、BNが22〜
90wt%、AlNが4〜48wt%、SiCが6〜3
0wt%含まれ、残分がAl23であるセラミックスと
することを特徴とするものである。
【0018】上記組成範囲のBN−AlN−SiC系セ
ラミックスは、電気的に絶縁体であると同時に、ステン
レス鋼と略同等の熱伝導率を有しており、本発明の初期
凝固制御部材の材料に最適である。各成分が上記組成範
囲を外れると熱伝導率が低下して冷却能が低下するの
で、初期凝固制御部材として使用できない。
【0019】第3の発明による鋼の連続鋳造方法は、第
1又は第2の発明において、初期凝固制御部材の内壁
に、非揮発性の液体潤滑剤を供給することを特徴とする
ものである。
【0020】一般に鋼の連続鋳造方法においては、鋳型
と凝固シェルとの焼き付きを防止するため、鋳型と凝固
シェルとの間に溶融酸化物や非揮発性の植物油等の潤滑
材を用いている。本発明においても、凝固シェルの焼き
付き防止のために潤滑材を用いることが望ましく、その
ため、非揮発性の液体潤滑剤を初期凝固制御部材の内壁
に供給して潤滑を促進する。本発明では潤滑剤を添加す
る位置が狭く、温度も低いため、溶融する必要がなく且
つ細い管で供給可能な液体潤滑剤を使用する。
【0021】第4の発明による鋼の連続鋳造方法は、第
3の発明において、初期凝固制御部材の内壁を、外気と
通じさせることを特徴とするものである。
【0022】非揮発性の液体潤滑剤を添加すると潤滑材
の一部は燃焼してガスとなる。液体から気体に変化する
と体積は増大するので、溶鋼と初期凝固制御部材との間
に高い圧力が作用し凝固シェルの変形を引き起こす。本
発明では、初期凝固制御部材に微細孔を設け、初期凝固
制御部材の内壁と外気とを連結させているので、溶鋼と
初期凝固制御部材との間での圧力上昇を防止することが
でき、凝固シェルの変形に起因する表面割れを防止でき
る。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明を図面を用いて説明する。
図1は本発明の実施の形態を示す連続鋳造装置の側断面
図で、図2は図1のA部拡大図である。
【0024】連続鋳造装置は、内面が耐火物製で溶鋼1
を貯留するタンディッシュ2の底部に耐火物製の給湯ノ
ズル3がタンディッシュ2と一体的に設けられ、この給
湯ノズル3に初期凝固制御部材4が直結され、更に、初
期凝固制御部材4は鋳造方向下流側で金属製水冷鋳型5
と直結されており、そして、初期凝固制御部材4の外周
にコイル6が配置された構成となっている。ここで、初
期凝固制御部材4の内壁形状は金属製水冷鋳型5の内壁
形状と同一となっている。
【0025】タンディッシュ2及び給湯ノズル3を構成
する耐火物は、通常の連続鋳造方法で使用される耐火物
を用いればよく、又、金属製水冷鋳型5も通常の連続鋳
造方法で使用される銅製鋳型を用いればよい。
【0026】コイル6の巻数は図面では1回であるが複
数回としても本発明には何ら支障はないが、コイル6の
設置位置は給湯ノズル3と初期凝固制御部材4との直結
部に近い程好ましい。理由は、コイル6の設置位置がこ
の直結部に近い程、直結部における電磁気力が上昇し
て、直結部への溶鋼1の接触を容易に抑制できるためで
ある。
【0027】初期凝固制御部材4は、電気的に絶縁体で
且つ室温における熱伝導率が0.025cal/cm・
sec・K以上のセラミックスの中から適宜選択する。
この条件を満たすセラミックスとして、BNを22〜9
0wt%、AlNを4〜48wt%、SiCを6〜30
wt%含み、残分がAl23であるBN−AlN−Si
C系セラミックスを用いることが望ましい。
【0028】この構成の連続鋳造装置にて、取鍋12内
の溶鋼1をロングノズル13を介してタンディッシュ2
内に供給し、タンディッシュ2内の溶鋼1は給湯ノズル
3、及び初期凝固制御部材4を通り金属製水冷鋳型5内
へ導かれる。そしてその際に、図示せぬ交流電源からコ
イル6に高周波電源を供給して、給湯ノズル3と初期凝
固制御部材4との直結部を含む位置に電磁気力を作用さ
せる。この電磁気力により溶鋼1は内面側に押しやら
れ、溶鋼1と給湯ノズル3及び初期凝固制御部材4との
間に間隙11を形成する。その後、溶鋼1は熱伝導率の
高い初期凝固制御部材4内で冷却され、凝固開始点Pか
ら凝固が開始して凝固シェル10を生成する。凝固シェ
ル10は、電磁気力より溶鋼静圧の方が大きい位置まで
引き抜かれると溶鋼静圧により初期凝固制御部材4側に
緊密に押し付けられるので、冷却が均一となり、不均一
凝固に起因する表面割れを発生することがない。そし
て、凝固シェル10は金属製水冷鋳型5内で更に冷却さ
れて凝固シェル10を成長させながら鋳造方向下流側に
連続的に引き抜かれる。
【0029】尚、タンディッシュ2内の溶鋼湯面16に
は溶鋼1の酸化と温度低下とを防止するためにフラック
ス15を添加すると共に、ロングノズル13と給湯ノズ
ル3との間には溶鋼1の注入流によるフラックス15の
巻き込みを防止する堰14を設けることで、溶鋼1の非
金属介在物を減少させて品質の向上を図ることができ
る。
【0030】コイル6の設置位置とタンディッシュ2内
の溶鋼湯面16との距離は、間隙11を形成させる磁場
発生装置の現状での工業的規模の容量を配慮すれば、最
大500mm程度として連続鋳造装置の寸法を決めれば
よい。但し、巨大な磁場発生装置の設置が可能であれ
ば、当然この距離を大きくすることができる。又、表面
電磁気力は高周波電流の周波数が高い程有効に作用する
ので、供給する高周波電流は1、0kHz以上であるこ
とが望ましいが、コイル6の形状や金属製水冷鋳型5の
周辺構造及び配置を総合的に考慮すると、供給する周波
数として数100Hzでも使用可能である。
【0031】凝固開始点Pの位置は溶鋼1が間隙11を
狭小させる位置から初期凝固制御部材4に再接触する以
前までの範囲とすることが望ましい。一般に、固体物体
と接触して溶鋼1が凝固を開始する際は、凝固収縮に伴
い溶鋼1と固体物体とが非接触の場所が形成されて凝固
が鋳片周方向で不均一となり、凝固厚みの薄い箇所で割
れが発生して鋳片の品質を劣化させる。しかし、上記範
囲で凝固が開始すると固体物体である初期凝固制御部材
4と非接触の状態で凝固が開始されるので、鋳片周方向
で均一な凝固となり、割れの発生を防止できるからであ
る。凝固開始点Pの位置は供給する高周波電流の周波数
と供給電力、及び、溶鋼静圧とによって決定されるの
で、これらを調整して凝固開始点Pを常に上記範囲に制
御することが望ましい。
【0032】又、初期凝固制御部材4を貫通する複数の
潤滑剤供給管7を設け、菜種油等の非揮発性の液体潤滑
剤を、潤滑剤供給管7に設けた流量調節装置8にて供給
量を制御しつつ、初期凝固制御部材4の内壁に供給する
ことが望ましい。図1では潤滑剤供給管7が間隙11に
開口し、液体潤滑剤を間隙11の下部に供給している
が、間隙11に供給することで凝固シェル10の周囲に
均一に供給され、潤滑が均等になり好ましい。非揮発性
の液体潤滑剤は凝固シェル10と初期凝固制御部材4及
び金属製水冷鋳型5との間に流入して、凝固シェル10
と初期凝固制御部材4及び金属製水冷鋳型5との焼き付
きを防止する。
【0033】そして非揮発性の液体潤滑剤を供給する際
は、初期凝固制御部材4を貫通する複数の微細孔9を設
けて、初期凝固制御部材4の内壁と外気とを連結させる
ことが望ましい。潤滑材の一部が燃焼してガスとなり体
積を増大しても、ガスは外気に流れて、凝固シェル10
の変形を引き起こすことがない。尚、図1では、微細孔
9が間隙11に開口しているが、必ずしも間隙11に開
口する必要はない。更に、潤滑材供給管7及び微細孔9
は初期凝固制御部材4を貫通する必要はなく、給湯ノズ
ル3を貫通して設置しても本発明には全く支障とならな
い。
【0034】図3はコイル6の形状を楔型として初期凝
固制御部材4に埋設して配置した本発明の別の実施の形
態を示したものである。この場合も上記説明に従って鋳
造すれば表面欠陥のない鋳片を製造できる。
【0035】コイル6の形状及びコイル6と初期凝固制
御部材4との相対位置は、高周波電源を含めた連続鋳造
機の設備仕様に従い最適な形態を採用すればよい。
【0036】
【実施例】
〔実施例1〕図1及び図2に示す連続鋳造装置を用い本
発明を実施した。金属製水冷鋳型には、厚みが220m
mで幅が800mmの鋳片を鋳造可能な銅製の鋳型を用
い、初期凝固制御部材には28.4wt%のBN、3
9.9wt%のAlN、11.5wt%のSiC、及び
20.2wt%のAl23より成るBN−AlN−Si
C系セラミックスを用い、又、給湯ノズルには93wt
%のAl23を含有する高アルミナ質煉瓦を用い、初期
凝固制御部材及び給湯ノズル共に内壁形状を鋳型と実質
的に同一として凹凸のない直結部とした。
【0037】コイルは、断面が台形で内部に冷却水が流
れる構造で、コイルの上端が給湯ノズルと初期凝固制御
部材との直結部より20mm下方の位置、コイル内面が
初期凝固制御部材と20mm離れた位置に配置し、コイ
ルには周波数が25kHzで容量750kWの電源より
電力を供給した。
【0038】初期凝固制御部材の鋳造方向長さは180
mmで、上部側の120mmの範囲には初期凝固制御部
材を貫通する直径1mmの孔を1m2当たり1150個
の分布で3段に分けて設け、孔の最下段一列を潤滑剤供
給管として菜種油を潤滑剤として供給し、上側二段を外
気と連結する微細孔とした。
【0039】そして、炭素濃度が0.05wt%の低炭
素アルミキルド鋼を2.6m/minの引き抜き速度で
鋳造した。鋳造中のコイル電流は約17.5kA、鋳造
中のタンディッシュ内溶鋼湯面の位置は、コイルの中心
から250mmの一定位置となるように、引き抜き速
度、及び、タンディッシュへの給湯速度を調整した。
【0040】こうした鋳造された鋳片の表面及び内質を
調査した。その結果、三重点に起因する表面欠陥は全く
発生せず、又、フラックスの巻き込みもなく脱酸生成物
も少なく、表面性状及び内質共に極めて良好な鋳片を得
ることができた。
【0041】〔実施例2〕図3に示す連続鋳造装置を用
い本発明を実施した。本実施例で用いたコイルは、断面
が楔型で内部に冷却水が流れる構造で、コイルの上端が
給湯ノズルと初期凝固制御部材との直結部より20mm
下方の位置に初期凝固制御部材に埋設して配置した。コ
イル内面と初期凝固制御部材の内壁との距離は約25m
mであった。初期凝固制御部材の鋳造方向長さは180
mmで、初期凝固制御部材を貫通する直径1mmの孔を
1m2当たり750個の分布でコイル位置付近に2段に
分けて設け、下段を潤滑剤供給管として菜種油を潤滑剤
として供給し、上段を外気と連結する微細孔とした。そ
の他の条件は実施例1と同一である。
【0042】本実施例では実施例1に比較してコイルを
溶鋼に近接して設けたので、電磁気力が効率良く溶鋼に
作用するため、供給する電力を実施例1に比較して約1
3%低減した条件で、実施例1と同等の品質の鋳片を製
造することができた。
【0043】
【発明の効果】本発明により、タンディッシュ又は給湯
ノズルと鋳型とが直結した連続鋳造方法において三重点
の形成を防止することができるため、三重点に起因する
欠陥が皆無となり、内質及び表面共に極めて優れた高品
質の鋳片を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す連続鋳造装置の側断
面図である。
【図2】図1のA部拡大図である。
【図3】本発明の別の実施の形態を示す連続鋳造装置の
側断面図である。
【符号の説明】
1 溶鋼 2 タンディッシュ 3 給湯ノズル 4 初期凝固制御部材 5 金属製水冷鋳型 6 コイル 7 潤滑剤供給管 8 流量調節装置 9 微細孔 10 凝固シェル 11 間隙 12 取鍋 13 ロングノズル 14 堰 15 フラックス 16 溶鋼湯面
フロントページの続き (72)発明者 西尾 浩明 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 鷲見 郁宏 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼の連続鋳造に際し、電気的に絶縁体
    で、熱伝導率が所定値以上のセラミックスから成り、そ
    の一端がタンディッシュ又は給湯ノズルと直結し、他端
    が金属製水冷鋳型と直結して、且つその内壁形状が前記
    金属製水冷鋳型と実質的に同一である初期凝固制御部材
    と、この初期凝固制御部材を周回するコイルとを配置
    し、コイルに高周波電流を供給して溶鋼に電磁気力を作
    用させつつ、初期凝固制御部材内で溶鋼の凝固を開始さ
    せ、生成した凝固シェルを初期凝固制御部材から金属製
    水冷鋳型への方向に連続的に引き抜くことを特徴とする
    鋼の連続鋳造方法。
  2. 【請求項2】 前記初期凝固制御部材を、BNが22〜
    90wt%、AlNが4〜48wt%、SiCが6〜3
    0wt%含まれ、残分がAl23であるセラミックスと
    することを特徴とする請求項1に記載の鋼の連続鋳造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記初期凝固制御部材の内壁に、非揮発
    性の液体潤滑剤を供給することを特徴とする請求項1又
    は請求項2に記載の鋼の連続鋳造方法。
  4. 【請求項4】 前記初期凝固制御部材の内壁を、外気と
    通じさせることを特徴とする請求項3に記載の鋼の連続
    鋳造方法。
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