JPH0952334A - 抗菌性ポリエステル樹脂化粧板 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 抗菌性の優れたポリエステル化粧板を容易に
製造すること。 【解決手段】 水酸化カルシウム、酸化マグネシウム、
水酸化マグネシウム又は水酸化アルミニウムの結晶中
に、銅又は亜鉛を原子状に均一に分散させた複合金属塩
からなる抗菌性組成物をポリエステル樹脂層に含有して
なる抗菌性ポリエステル樹脂化粧板。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、特定の抗菌性組成物を
含有するポリエステル樹脂化粧板に関するもので、均質
で良好な外観を有する抗菌性ポリエステル樹脂化粧板を
提供するものである。

【０００２】ポリエステル樹脂化粧板は、外観が美麗で
あり、かつ安価なことから、病院、学校等の公共施設、
各種事務所などの内層材として主に使用されている。

【０００３】従来のポリエステル樹脂化粧板は、所定の
厚みの合板に化粧紙を接着剤で貼り合わせた後、ポリエ
ステル樹脂に硬化剤を配合した樹脂液を化粧紙上に均一
に塗布し、樹脂を硬化させることにより得られている
が、この従来の化粧板では雑菌や黴に対して、抗菌性や
防黴性を全く有しない。

【０００４】ポリエステル樹脂化粧板の製造方法の具体
的な一例としては、合板に酢酸ビニル系接着剤で化粧紙
を貼布し、ポリエステル樹脂、硬化剤、及び必要に応
じ、顔料を混合した樹脂液をポッティングし、ミラー調
又はサテン調の表面状態を持つポリエステルフィルムで
押さえゴムロールで均一に伸ばし、赤外線又はヒーター
によって加熱し前記ポリエステル樹脂を硬化させること
によって得る。

【０００５】近年、病院の内装には院内感染の問題、あ
るいは公共施設や各種事務所の壁面や間仕切り等には清
潔感の点から化粧板に抗菌性、防黴性を要求されること
が多くなってきており、このような用途には従来のポリ
エステル樹脂化粧板では対応できていない。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】一方抗菌剤として銀イ
オンをシリカゲルやゼオライトに担持したもの、リン酸
ジルコニウム銀塩などが提案されているが、ポリエステ
ル樹脂が極性の小さい樹脂であるのに対し、これらの化
合物は極性分子であるので混合しにくく、ポリエステル
樹脂の硬化後抗菌剤が分離し粒状となる。又、これらの
抗菌剤の表面をシランカップリング剤等で表面処理しポ
リエステル樹脂との親和性を良好としたり、ポリエステ
ル樹脂の中にシランカップリング剤を混合し、これらの
抗菌剤を混合しポリエステル樹脂化粧板を得るが、銀系
の抗菌剤はポリエステル樹脂液に用いる顔料中の不純物
などのため、加熱又は紫外線照射によって黄変するとい
う難点があった。また、抗菌剤として銀を使用している
ことから、高価であり、ポリエステル樹脂化粧板の価格
が上昇するという不具合もあった。

【０００７】このように、本発明の目的はポリエステル
樹脂化粧板本来の美麗さを維持しつつ、優れた抗菌性を
有し、その性能の持続性があり、価格も従来の物と同等
であるポリエステル樹脂化粧板を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、抗菌性ポリエ
ステル樹脂化粧板において、水酸化カルシウム、酸化マ
グネシウム、水酸化マグネシウム又は水酸化アルミニウ
ムの結晶中に、銅又は亜鉛を原子状に均一に分散させた
複合金属塩からなる抗菌性組成物をポリエステル樹脂に
含有することを特徴とする抗菌性ポリエステル樹脂化粧
板である。

【０００９】以下、本発明の抗菌性ポリエステル樹脂化
粧板について説明する。主成分がポリエステル樹脂と硬
化剤であるポリエステル樹脂液に前記抗菌性組成物を添
加する。添加する抗菌剤は、優れた抗菌性、防黴性を持
ち、白色であるが、非極性のポリエステル樹脂に均一に
分散するタイプのものが好ましい。

【００１０】抗菌性金属としては銅、カドミウム、クロ
ム、ニッケル、鉛、コバルト、亜鉛、鉄、カルシウム、
マグネシウムなどが知られているが、これらの活性金属
のなかで、本発明においては、抗菌性が優れ、人体に対
して安全性が高いことから銅及び亜鉛が使用される。こ
の金属を、複合金属塩の形に固溶化し、抗菌活性を上げ
るために、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム等の結
晶中に原子状に均一に分散させる方法が工業的に好まし
く採用される。

【００１１】本発明に用いられる抗菌剤である複合金属
塩は一般式［（Ｍ1²⁺）_1-X（Ｍ2²⁺）_X（０Ｈ）₂］、又
は［（Ｍ1²⁺）_1-X（Ｍ2²⁺）_XＯ］で表され、極性の強い
分子であり、極性の小さいポリエステル樹脂との親和性
を良くするために、前記複合金属塩の表面を、シランカ
ップリング剤、チタンカップリング剤等のカップリング
剤で処理することが好ましい。複合金属塩の添加量はポ
リエステル樹脂液に対して０．１〜３．０重量％が好ま
しい。０．１％未満ではその抗菌効果が小さく、３重量
％を越えても、その効果の向上が見られないばかりか、
意匠性が損なわれ、コスト高にもなる。

【００１２】なお、この複合金属塩からなる抗菌性組成
物はシランカップリング剤、チタンカップリング剤等の
カップリング剤の選択により、メラミン樹脂化粧板にも
適用でき、銀系抗菌剤を使用している抗菌性メラミン樹
脂化粧板の低コスト化に寄与することもできる。

【００１３】

【実施例】 《実施例１》厚さ１．６ｍｍ合板にエスダイン５４０１
Ｗで抽象柄の化粧紙を貼り、次に、ポリエステル樹脂
（大日本インキ化学製、ＫＣ−７２Ｋ）を尺角当たり２
０重量部に抗菌性組成物（海水化学研究所製、ＳＥＡＢ
ＩＯ ＺＯ−１００Ｓ：分子式Ｍｇ_0.95Ｚｎ_0.05Ｏ）を
尺角当たり１重量部添加した後、硬化剤（ネポックス）
を尺角当たり０．２重量部添加し均一な溶液となるよう
に撹拌し、ポリエステル樹脂液を得た。これを前記化粧
紙を貼り合わせた合板に滴下し、ポリエステルフィルム
で覆い、ゴムローラーでポリエステル樹脂液を化粧合板
上に均一に伸ばし、赤外線ランプを５分間照射しポリエ
ステル樹脂を硬化させ、更に、２４時間放置しポリエス
テル樹脂化粧板を得た。

【００１４】《比較例１》抗菌剤として、銀イオンをリ
ン系有機物に保持したタイプの抗菌剤を１重量部添加す
る以外は実施例と全く同様の手法にてポリエステル樹脂
化粧板を得た。

【００１５】《比較例２》実施例において、抗菌剤を添
加せずに、実施例と全く同様の手法にてポリエステル樹
脂化粧板を得た。

【００１６】得られたポリエステル樹脂化粧板につい
て、化粧板の外観、耐光性、抗菌性、防黴性及び抗菌保
持性について評価し、その結果を表１に示す。

【００１７】

【表１】

【００１８】（測定方法） １．耐光性：カーボンアークの光源を用い、ウェザーメ
ーターにて４８時間照射前後の色差計にて評価した。 ２．抗菌性：化粧板を５０ｍｍ角に切り出し、化粧層の
上に菌（ＭＲＳＡ）を含んだ菌液を滴下し、滴下した直
後の生菌数と一定時間（２４時間）経過後の生菌数をカ
ウントし、死滅しているかどうかを確認した。 ３．防黴性：化粧板を５０ｍｍ角に切り出し、化粧層の
上に黴を移植し、１ケ月後に黴が増殖しているかどうか
を確認した。 ４．抗菌持続性：化粧面にウェザーメーターにて紫外線
を２４０時間照射、高湿（４０℃、湿度９０％、１カ月
間）及び加熱（７０℃、１カ月間）にて実施し、その後
前記抗菌性のテストを実施し、抗菌性が維持されている
かどうかを確認した。

【００１９】

【発明の効果】本発明のポリエステル樹脂化粧板は、外
観を損なうことなく、耐光性も通常の化粧板より低下す
るせず、かつ、大腸菌、メシチリン性黄色ブドウ球菌、
クロコウジカビなどに対し、優れた抗菌性及び防黴性を
有するので、病院、公共施設、各種事務所の壁面や備品
などの内層材として好適に使用されるものである。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 抗菌性ポリエステル樹脂化粧板において
   水酸化カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシ
   ウム又は水酸化アルミニウムの結晶中に、銅又は亜鉛を
   原子状に均一に分散させた複合金属塩からなる抗菌性組
   成物をポリエステル樹脂層に含有してなることを特徴と
   する抗菌性ポリエステル樹脂化粧板。
2. 【請求項２】 前記結晶中に銅又は亜鉛を原子状に均一
   に分散させた複合金属塩がその表面をカップリング剤で
   処理したものである請求項１記載の抗菌性ポリエステル
   樹脂化粧板。