JPH09504248A - 車両用シート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 自動車シートの背部（１）は、ヘッドレスト（８）と周縁フレーム（２）を備えるメインの背部とを有している。ネット（４）形態の背部支持要素が該フレーム（２）内に配置されている。ネット（４）の実質的な後退運動は、当初から拘束されているが、後部衝撃のときに生ずる状況に応じて、ネット（４）は、後方へ移動することが許容される。かくして、後部衝撃のとき、該シートに着座している人の胴部は、該シートに対して後方へ動き、その人の頭部がヘッドレスト（８）に当たり、これによって、鞭打ち頸部損傷の危険度を最小限にする。該ネットのイニシャルの後退移動は、後部衝撃の際に経験するような、所定限界を越えた力を受けたとき、非弾性状態で変位するストラップ（３）によって制限されている。また別に、該ストラップは、所定の限界を越える減速が感知されると、これに応答して該ストラップ（３）を釈放するコネクタ（９）により、該フレームに連結されるようになっていてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】 名称 車両用シート 本発明は、車両用シート、そして、特に、モーターカーのような自動 車に使用される車両用シートに関するものである。 自動車が事故に巻き込まれたとき、特に、自動車の後部から衝撃を受 ける事故に遭遇したとき、当該自動車に乗っている人は、頸部を傷めたり、ある いは、所謂“むちうち”症になる危険がある。 頸部損傷を受ける人の数は、近年では、ヘッドレストの設置によるものと 思われるが、減少している。統計によれば、ヘッドレストの設置により、頸部損 傷の危険度が平均約２０％減少している。 しかしながら、このようなタイプの損傷は、依然として高水準を保ち、こ れらの損傷が不治の疾患になる場合が多い。 本発明は、頸部損傷の危険度を低くする改良された車両用シートの提供を 求めるものである。 この発明によれば、車両に使用されるシートが提供されるもので、該シー トは、ヘッドレスト付きの背部を有し、該背部は、該シートに着座する人の胴部 の背を支えるように配置されている支持要素を有しており、そして、該車両に受 ける後部衝撃を感知し、そして、前記支持要素の少なくとも上位部分を前記シー トの後部方向へ、該ヘッドレストに対し変位させ、そして、実質的に非弾性の状 態で動くようにする手段が設けられている。 一つの実施例においては、該支持要素は、シートの背部にピボット連結さ れていて、該支持要素の上位部分が後方へピボット回動できるようになっている 。 一つの実施例においては、事故を感知する手段は、５００から２０００ニ ュートンの力がシートの背部に作用したとき、前記支持要素が動くようになる位 置に支持要素を装着する手段を含む。 前記所定の力は、７００から１５００ニュートンの間であることが好都合 である。 前記所定の力は、実質的に１０００ニュートンの単位であることが有利で ある。 発明の他の実施例においては、後部衝撃を感知する手段は、所定の限界を 越える加速度を検知するセンサーを備え、該センサーは、前記支持要素を所定位 置に保持しておく釈放手段に適合している。 該シートは、該シートの背部の両側にそって伸びているリジッドなフレー ム部材を有する支持フレームを備え、該支持要素は、該フレーム部材の間に装着 されていて、該支持要素は、パッドとファブリックその他のカバーを支持するこ とが好ましい。 支持要素は、所定の力以下の力が作用したときには、それに応じて弾性的 に動くものであることが好ましい。 支持要素は、金属ネットの形態のものであることが好ましい。 該支持要素は、該支持要素と該フレームとの間に張られている複数のスプ リングの手段により支持されていることが好ましい。 一つの実施例においては、該スプリングは、該シートの背部に所定の力を 越えた力が作用したとき、弾性限界を越えるようになっている。 他の実施例においては、該スプリングは、シートの背部が所定の力を越え た力を受けたときに負けてしまう、打ち負かされるコネクタによって該フレーム および／または該ネットに連結されている。 さらにモディファイされた実施例においては、該スプリングは、所定の限 界を越える加速力を感知するセンサーに応答して負けてしまう、打ち負かされる コネクタによって該フレームおよび／または該ネットに連結されている。 一つ、または、それ以上の保持要素が該支持要素の背後位置に該フレーム を横断するように配置され、該保持要素は、後部衝撃が感知されたとき、前記支 持要素を釈放するようになっていることが好都合である。 一つの実施例においては、該または各保持要素は、所定の力を越える力が シートの背部に作用したとき、曲がるようになっているストラップである。 また別に、各ストラップは、所定の力を越える力がシートの背部に作用し たとき、スナップするような力をもつようにセレクトされている。 他の実施例においては、該または各保持要素は、所定の力を越える力がシ ートの背部に作用したとき、破壊するようになっているカップリング手段によっ て該フレームに連結されている。 別の実施例においては、各ストラップには、ステッチされたタックが設け られていて、該ステッチは、所定の力を越える力がシートの背部に作用したとき 、破断するようになっている。 また別の実施例においては、該または各保持要素は、所定の限界を越えた 加速力を感知するセンサーに応答して、それに負けてしまうコネクタによって該 フレームに連結されている。 発明による一つのシートにおいては、支持要素は、複数のオーバーデッド センター・リンケージの手段によって該フレームに連結されている。 少なくとも該支持要素の上位部分は、後部衝撃に応答して、約５０ｍｍ程 度動くことができるようになっていることが好都合である。 発明のモディファイされた実施例においては、該支持要素は、保持手段で 原位置に保持され、後退手段が設けられていて、感知した後部衝撃に応答して該 保持手段を後退させ、支持要素をヘッドレストに対し動かす。 発明の一つの特定の実施例においては、該保持手段は、一つ、又は、それ 以上のボルトを備え、該または各ボルトを後退位置に付勢するスプリング手段が 設けられ、少なくとも一つの慣性マスと関連したオーバーデッドセンター・リン ク装置が設けられていて、このリンク装置がボルトまたは複数のボルトを、該慣 性マスが感知された後部衝撃に応答してオーバーデッドセンター・リンケージが オーバーデッドセンター・を通過するまで、非後退位置に保持しておくようにな っている。 発明の別の実施例においては、該または各保持要素は、シリンダー内のピ ストンと関連していて、後部衝撃が感知されたとき、該シリンダー内へガスを供 給して該ピストンを動かし、これで該保持手段を後退させる手段が設けられてい る。 ガスを供給する手段は、後部衝撃センサーと関連のパイロテクニック・チ ャージを備え、該構成は、感知された後部衝撃に応答してパイロテクニック・チ ャージを点火するようになっている。 他の実施例においては、該支持要素は、その上に装着されたヘッドレスト を有し、該支持要素が後方へ動くにつれて、該支持要素に対し前方へ該ヘッドレ ストを動かす手段が設けられている。 発明がさらに容易に理解され、その結果、その特徴が了解されるために、 添付図面を参照しながら実施例によって発明を記載するもので、該図面において ： 図１は、発明による車両用シートの斜視図であって、該シートの構造を図 解するためにパーツ部分が切除されていおり； 図２は、発明の他の実施例を構成するシートの部品の拡大斜視図であり； 図３は、一つの位置における図２に示したシートの部品の平面図であり； 図４は、別の位置における該シートの部品の平面図であり； 図５は、発明による車両用シートの他の実施例の主要な動作部品を示す説 明図であり； 図６は、使用時における図５のシートの概略側面図であり； 図７は、後部衝撃の間のシートを示す図６に相当する図であり： 図８は、図５に示されたタイプのシートを示す、特に、保持手段の釈放機 構を示す拡大水平方向断面図であり； 図９は、発明のさらにモディファイした相当する断面図であり； 図１０は、一つの状態における発明の他の実施例の一部切断側面図であり ；そして 図１１は、他の状態における図１０の実施例を示す相当する図である。 発明の基礎のコンセプトは、シートに着座する人の胴部を支持する背部支 持要素がシートの背部に設けられていて、それは、所定の力を永久的に、または 、非弾性的に曲がるようになっているか、または、感知した後部衝撃に呼応して 非弾性的状態で曲がるように釈放されるようになっている。このようなシートを 自動車に設置すれば、自動車が後部から衝撃を受けたとき、該シートに着座して いる慣性力またはモーメントが該シートの背部へ力を有効に与え、その力が所定 の閾値を越えたとき、該シートの背部が非弾性的または永久的に曲がるか、また は、さもなければ、センサーが後部衝撃を感知し、該背部支持要素を釈放し、そ の結果、該支持要素が非弾性的に変位するようになっている。これによって、該 シートに着座している人の胴部は、後方へ動き、その人の頭部が該シートに設け てあるヘッドレストに当接するようになって、頸部損傷を最大限に防ぐ。 通常のシートのバックレストの硬さ特性と弾性特性とが、後部衝撃を受け たとき、シートに着座している人の胴部の動きに影響を与えることが分かってい る。シート背部の弾性特性または弾性力が人の胴部を前方へ押す傾向にある（胴 部が後方へ動いて、弾性力を与えるシート背部の部分を圧縮した後に）。しかし ながら、乗員の頭部は、車に対し後ろへ動く状態になっているもので、それは、 頭部が当初からヘッドレストの手前で、ある程度離れていることが多いからであ る。したがって、胴部が前方へ動くのに、頭部が依然として後方へ動くこととな り、頭部と胴部との間は極めて高速の相対速度になり、さらにまた、頭部と胴部 との間に高いエクステンションアングルを与える。このような状況にあっては、 胴部上位部分に対する頭部の相対的直線角速度は大きくなり、これが痛手の大き な頸部損傷につながる。 図１を参照すると、自動車のようなモータービークルに使用するシートの 背部１の部分が示されている。 該シートの背部には、筒状の鋼材又は他の頑丈な素材から作られた頑丈な 周縁フレーム２が設けられている。該フレームの上部は、該フレームの側部より 後方に位置している。フレームの背面を横切るようにして、複数の帯ベルト３が 間隔をおいて張り渡してある。帯ベルト３の手前には、スチールワイヤネット４ の形態の支持要素が装着されていて、これは、周縁フレーム２へ該ネット４のエ ッジからかけわたしてある複数のヘリカルスプリング５によって吊られている。 該ネットで構成された支持要素の前方には、ファブリックまたは疑似レザ ー７または類似物でカバーされたパッド６が配置されている。 ヘッドレスト８は、該フレームの頂部に装着されている。 該シートは、該シートの背部に所定の限界を越えた力が作用したとき、該 シートの背部の一部を形成する支持要素が非弾性的または変わらない状態で変位 するように構成されている。このように、変位するように構成されているシート の一部は、事故を感知し、そして、事故発生に呼応して変位するように有効に設 けられている。該シートの背部に変位を生じさせるに必要な力は、５００から２ ０００ニュートンの力、好ましくは、７００から１５００ニュートンの力、最も 好ましくは、１０００ニュートンの領域にある力である。 該シートの背部は、ノーマルな使用の場合、シートの背部にみられる普通 の弾性特性を示す。パッド６は、ある程度の弾性を有し、ネット４は、スプリン グ５で浮いた状態で吊られているから、弾性状態で後退できるようになっている 。該ネットは、該ネットがストラップ３に当たる位置まで後方へ動くことができ るようになっている。該ストラップ３は、ある程度の弾性特性を有しているが、 ネット４のさらに後方への動きを停止させるようになっている。 所定の値を越えた力がシートの背部に作用すると、シートの背部にあるコ ンポーネンツは、非弾性状態で変位する。例えば、ストラップ３は、破断し、そ の結果、ネット４は、さらに後方へ動き続ける。スプリング５がこのような後退 運動を阻止しようとするが、該スプリングによる力では、この後退運動を停止さ せるには力足らずであって、ネット４は、屈服した動き、又は、非弾性の動きで 後方へ移動する。 また別に、シートの背部が所定の力を受けたとき、弾性限界または降伏ポ イントに達するように、スプリング５を構成するようにしてもよい。また別に、 シートの背部が所定の力を受けたとき、スプリングおよび／またはストラップを フレームに連結する連結手段が負けてしまうように構成してもよい。 図１の仮想線で示すように、所定の減速に応答してストラップを釈放する ようになっている衝突センサーを組み込んだコネクタ９によって、各ストラップ をフレーム２に連結してもよい。また別に、この種のコネクタでスプリング５を フレームに連結してもよいものである。所定のリミットを越えた減速が感知され ると、ストラップ３またはスプリング５は、釈放され、フレーム４は後方へ移動 する。 該シートの一つの実施例に示された上記の構造特徴のいくつかを組み合わ せてもよい。例えば、普通の人が自動車のシートに着座しているとき、その自動 車が頸部損傷を受ける危険があるようなマグニチュウドの後部衝撃を受ければ、 まず最初、該シートは、前方へ動こうとし、該シートに着座している人の胴部は 、慣性により留まろうとする。かくして、胴部により該シートの背部に有効に作 用する力は、所定の限界を越える。ついで、ネット４が打ち負けた状態で後方へ 動くことになり、該シートに着座している人の胴部も該シートに対して後方へ動 き続ける。かくして、該乗員の頭部がヘッドレストに当接するまで、該胴部は、 本質的に妨げられずに後退する。フレームの両側の後部にあるフレームの頂部は 、この動きを妨げない。 このようにすれば、該シートの固有の弾性による該シートに着座している 人の胴部が前方へ動く危険は、まず無くなり、その人の頭部は、依然として後方 へ動く。 発明のモディファイされた実施例においては、該ネットの後方移動のノー マルな限界位置よりも後方に離れて位置する所定の位置まで、ネット４が打ち負 かされた状態で後方へ動けるようにすることが望ましいようになっている。これ は、種々の手段で達成できるもので、例えば、ストラップ３と均等のものである が、その長さよりも長くなっている別のストラップをフレームの背部に張りわた し、該ネットが第２の所定の位置に達すると、これらのストラップが緊張し、該 ネットがさらに後方へ下がることを阻止することによって行える。 また別に、ストラップ３にタックを縫い付け、該シートの背部が所定の力 を受けたとき、縫い付け部分が破断して、タックをフリーにし、ストラップの長 さを長くするようにしてもよい。さらにまた、事故が発生したときに釈放する、 せん断ボルトなどの釈放可能の固定手段によって（または、感知された減速に応 答して、該ストラップを釈放するようになっているコネクタ９と均等なコネクタ によって）、該ストラップのストラップ中間部分を固定してもよい。このように して、通常の状況下にあっては、シートの快適な使用に合致するように、ストラ ップはネット４の所定の第１の位置までの後退を許容するが、事故状況下にあっ ては、ネット４の第２の所定の位置までの後退を許容する。 図１の実施例は、複数のスプリング５によって浮遊状態で吊られているネ ット４を示す一方、図２から図４は、オーバーデッドセンター・リンク装置１０ の手段によってフレーム２にネット４が装着されている発明のモディファイされ た実施例を示している。リンク装置１０は、ネットに設けられたラグ１１を備え 、これは、ピボット接続部１３を介して中間リンク１２に連結され、リンク１２ は、ピボット接続部１４を介してフレーム２に設けられた別のラグ１５に連結さ れている。 ネット４とフレーム２との間には、スプリング１６が張られている。 オーバーデッドセンター・リンク装置１０が図２と図３に示す状態にある ときは、ネット４は、フォワード位置にあり、該ネットを後方へ動かす力が作用 すると、そのような後退運動は、スプリング１６の付勢力に抗して行われる。し かしながら、記載した機構が“死点”位置を越えると、スプリング１６は、該ネ ットを図４に示す位置へと後退させるようになる。 このように、この実施例においては、該ネットは、該スプリングの弾性作 用に抗して第１の所定位置へ動くが、該ネットが第１の所定位置を越えて動くよ うにする十分な力が該ネットに作用すると、オーバーデッドセンター・リンク装 置が死点を越え、該リンク装置により、該ネットは、第１の所定位置よりも後方 に位置する第２の所定位置へ動かされる。該ネットが後方位置へ動くに連れ、該 シートに着座している人は、後方へ動き、その人の頭部がヘッドレストに当たる ようになる。 しかしながら、オーバーデッドセンター・リンク装置が第２の所定位置へ 移動しても、スプリング１６の付勢力に勝つ適当なツールを使用して該リンク装 置を第１の位置へ戻すことが簡単にできるものであり、オーバーデッドセンター ・リンク装置が動作する事故発生の後に、該シートを再使用状態へ戻すことが簡 単にできるようになっている。 図５から図１０を参照すると、発明の他の実施例において、シート２０は 、実質的に垂直方向へ伸びている側部部材２２，２３が設けてある背部２１を有 しており、これら側部部材は、該側部部材２２，２３の背面側に位置する貫部材 ２４によって連結されている。該貫部材２４は、ヘッドレスト２５を支持してい る。 二つの側部部材２７、該側部部材２７の上端を連結する貫部材２８および 該側部部材２７と貫部材２８とにより支持されたネット２９を備えた支持要素２ ６が設けられている。側部部材２７は、側部部材２２，２３にピボット３０を介 してピボット連結されている。図５から分かるように、支持要素２６は、ピボッ ト要素３０により構成される下位の水平ピボット軸まわりをピボット回動するよ うになっていて、かくて、該支持要素の頂部部分は、ピボット運動するものであ る。 側部部材２２，２３の頂部に設けられた保持手段３１，３２が該支持要素 の頂部の後方への動きを当初から阻止するように設けられている。しかしながら 、該保持手段は、後部衝撃が感知されたとき、適当なセンサーからの信号に応答 して、打ち負けるか、または、後退するようになっていて、これにより、支持要 素２６の頂部が後方へ移動するのを許容する。 図５は、単に該シートの主要な作動部分を図解しているだけであることを 理解されたい。適当なパッドとシート張り部材が設けられる。 図６と図７とを参照すると、図５のシートが使用時ならびに後部衝撃を受 けたときの状態で略図的に示されている。図６を参照すれば分かるように、図５ のシートに人３３が着座しているとき、その人の頭部３４は、距離ｄ₁をおいて ヘッドレスト２５から離れている。この距離は、３０ｍｍが通常である。 図６から観察できるように、支持要素の貫部材２８は、支持要素がその前 方位置にあるとき、距離ｄ₂をおいてシートのフレームの貫部材２４から離れて おり、この距離 ｄ₂は、少なくとも３０ｍｍ、好ましくは、約５０ｍｍである。 後部衝撃が感知されたとき、そして、該支持要素が後方へ動くと、該シー トに着座している人３３の頭部３４は、ヘッドレスト２５にぴったり当接するよ うになることを、かくして理解されたい。 図６に図解した当初の位置における人３３の頭部３４とその人の胴部との 間の角度は、α１である一方、図７における、これに相当する角度は、α２にな ることに注目されたい。α２は、α１に等しいか、または、それ以下であるべき であることが好ましい。かくして、後部衝撃が発生したとき、その人の頭部は、 その人の胴部よりも後ろへ動かず、該胴部よりも前方へ動くことになる。添付図 面の図８を参照すると、図５の保持手段３１，３２の一つの例が詳細に示してあ る。図８から分かるように、保持手段３１，３２は、それぞれ、貫部材２８に関 連している側部部材２７とシートの背部２１を形成する垂直方向へ伸びている側 部部材２２，２３とに設けられた正合する孔に通される長いボルトを備えている 。 該ボルト３１には、放射状に伸びたフランジ３４が設けてあり、ヘリカル 圧縮スプリング３５が、該フランジと、該ボルト３１が通される側部部材２７と の間に介在している。コンプレッションスプリング３５は、圧縮された状態にあ る。 同様に、ボルト３２には、同様のスプリング３５と関連する同様のフラン ジ３４が設けられている。 ボルト３１，３２の内側端部の間に、ツーピースのオーバーデッドセンタ ー・リンク装置３６が介在していて、この装置は、慣性マス３８と一体に形成さ れた第１の要素３７と慣性マス４０と一体に形成された第２の要素３９とを備え ている。 図８に示されたオーバーデッドセンター・リンク装置は、スプリング３５ の付勢力で慣性マス３８，４０を貫部材２８に当接するよう弾性押圧している状 態で該リンク装置の二つの要素３７，３８が位置している当初の位置にある。し たがって、全体の構成は、安定状態にある。 しかしながら、該シートを設けた自動車が後部衝撃を受けるや、該慣性マ ス３８，４０は、矢印４１，４２で示す方向へ動こうとする。該慣性マスがこの ように動くと、該リンク装置は、死点を越え、まず最初にボルト３１，３２を軸 方向外方へ動かす。しかしながら、その後、該要素が死点状態を通過すると、ス プリング３５により二つのリンク要素３７，３９に作用する力が慣性作用と組み 合わされて、二つの要素を外し、かくして、スプリング３５による該ボルトへの 付勢力の作用を受けて、ボルト３１，３２が後退位置へと動かされる。ボルト３ １，３２の自由端が部材２２，２３に形成された孔から外れると、支持要素２６ は、図８と図７とに関連して上記した態様で、下位の水平ピボット軸を回動中心 としてピボット回動する。 図面の図９を参照すると、１本のボルト３２のみが示されているが、他方 のボルト３１も同じものであることを理解されたい。該ボルト３２は、部材２３ に形成された孔と、側部部材２７に形成された正合する孔とに通されている。該 ボルト３２には、ピストンヘッド４３が一体に形成されていて、このピストンヘ ッドは、シリンダー４４内に納められている。該シリンダー４４は、アルミニウ ムのような可鍛マテリアルで作られていて、ピストン４３と、該シリンダーから ボルト３２が抜け出す端部である該シリンダーの実質的な閉止端部との間には、 内方へテーパー状になっている自由端部４５を有していて、該シリンダーには、 パイロテクニック・チャージ４７の形態であるガス源に接続しているインレット ポート４６が設けてある。パイロテクニック・チャージは、登録商標ＮＯＮＥＬ として市販されているチューブ４８のようなショックチューブの手段によって電 気的にトリガーされるパイロテクニック・チャージ４９に接続されている。該チ ャージは、第２のショックチューブ５０とも関連していて、このチューブは、ボ ルト３１に関して上記したものと実質的に同一の構成に接続している。 パイロテクニック・チャージ４９には、適当なケーブル５２を介して後部 衝撃センサー５３に接続している電気イグナイター５１が設けてあることが分か る。 シリンダー４４がテーパー状になっていることから、ピストン４３は、当 初、図示の位置に保持され、ボルトは、正合している孔にはまっていて、支持要 素２６を当初位置に保持している。センサー５３が後部衝撃を感知するや、パイ ロテクニック・チャージ４９が点火され、適切なショックがショックチューブ４ ８を走り、パイロテクニック・チャージ４７を点火する。かくして、ガスがイン レットポート４６からシリンダー４４内へ入り、図９に示す右方へ、ピストン４ ３を動かす。このピストンは、新しい位置へ動き、シリンダー４４のテーパー部 分を破壊し、ボルト３２を部材２３の孔から引き抜き、かくして、支持要素２６ は、図６と図７とに関連して上記した態様でピボット回動するようになる。 図１０は、発明の他の実施例を示すものである。シート６０は、柔らかい 厚いクッション部６１を有する。背部６２がクッション部にピボット連結されて いる。背部６２は、該シートに座る人の胴部を支える支持要素を形成する。ヘッ ドレスト６３が背部６２に連結されている。 背部６２は、ピボット軸６４を中心としてピボット回動するように、該シ ートにピボット連結されている。歯付きホイール６５が大径の歯付きホイール６ ７と一緒に回転する軸に取り付けられた別の小さな歯付きホイールと噛み合うよ うになっている。大径の歯付きホイール６７が四分円体６９に連結の別の比較的 小径の歯付きホイール６８を動かし、これによって、ホイール６８が回転すると 、四分円体６９がその頂点を中心として回転するようになっている。四分円体６ ９の外側縁に駆動ケーブル７０が接続しており、このケーブルは、シートのクッ ション部６１の後部に近接した案内プーリー７１を通り、ついで、シートの頂部 へ向け、実質的に垂直に延びて他の案内プーリー７２を通り、レバー７４の下端 ７３に接続するものであり、このレバーは、ピボット軸７５を中心としてピボッ ト回動するように装着されていて、その上端は、ヘッドレスト６３にピボット連 結している。別のレバー７７が第１のレバー７４の上半部と平行に設けられてい て、ヘッドレストにピボット７８を介してピボット連結され、さらに、シートの 背部に対しては、ピボット７９を介してピボット連結されている。 該シートの背部６２は、上記した形式の適切な保持手段で当初位置に維持 されている。かくして、例えば、保持手段は、後退位置に付勢されている１本ま たは数本のボルトを備え、慣性マスが死点を越すようにオーバーデッドセンター ・リンク装置を動かすまで、該ボルトを後退しない位置に保持する少なくとも一 つの慣性マスと関連するオーバーデッドセンター・リンク装置があるものでよい 。また別に、該保持手段は、シリンダー内のピストン、後部衝撃センサーと関連 のパイロテクニックチャージのような手段と関連し、後部衝撃が感知されたとき 、該シリンダーへガスを供給し、保持手段を後退させるような構成でもよ位。 いずれにしても、図１０と図１１に示したシートが設けられたビークルが 後部衝撃を受けたとき、該シートの背部６２は、図１１に点線で示した位置から 図１１に実線で示した位置へ後退するものである。該シートの背部６２が後退す ると、歯付きホイール６５が時計方向へ回転し、ついで、歯付きホイール６７が 反時計方向へ回転し、ついで、歯付きホイール６８が時計方向へ回転し、その結 果、四分円体６９がその頂点を中心として時計方向へ回転する。かくしてケーブ ル７０にテンションが作用し、レバー７３の下位端部がシートの背部に対して後 方へ動く。この結果、ヘッドレスト６３は、シートの背部に対し前方へ動き、そ の結果、シートの背部が後方へ動いても、ヘッドレスト６３は、不動の状態でそ のまま留まることになる。

【手続補正書】特許法第１８４条の８ 【提出日】１９９５年１２月２７日 【補正内容】 請求の範囲 １． 車両に使用されるシートであって、該シートは、ヘッドレスト付きの背部 を有し、該背部は、該シートに着座する人の胴部の背を支えるように配置されて いる支持要素を有しており、そして、後部衝撃センサーが設けられていて、これ により、該車両に受ける後部衝撃を感知し、当初は、前記支持要素を所定の位置 に保持している保持手段を釈放して、前記支持要素の少なくとも上位部分を該ヘ ッドレストに対して変位し、実質的に非弾性態様で、該シートの後方へ動けるよ うにするもの。 ２． 該後部衝撃センサーは、所定の限界を越えた加速力を感知する請求の範囲 第１項によるシート。 ３． 該支持要素は、シートの背部にピボット連結されていて、該支持要素の上 位部分が後方へピボット回動できるようになっている請求の範囲第１項又は第２ 項によるシート。 ４． 該シートは、該シートの背部の両側にそって伸びているリジッドなフレー ム部材を有する支持フレームを備え、該支持要素は、該フレーム部材の間に装着 されていて、該支持要素は、パッドとファブリックその他のカバーを支持する請 求の範囲の前記項のいずれかによるシート。 ５． 支持要素は、金属ネットの形態のものである請求の範囲第４項によるシー ト。 ８． 該支持要素は、該支持要素と該フレームとの間に張られている複数のスプ リングの手段により支持されている請求の範囲第４項または第５項によるシート 。 ７． 該スプリングは、シートの背部が所定の力を越えた力を受けたときに負け てしまう、打ち負かされるコネクタによって該フレームおよび／または該ネット に連結されている請求の範囲第６項によるシート。 ８． 一つ、または、それ以上の保持要素が該支持要素の背後位置に該フレーム を横断するように配置され、該保持要素は、後部衝撃が感知されたとき、前記支 持要素を釈放するようになっている請求の範囲の前記項のいずれか一つによるシ ート。 ９． 少なくとも該支持要素の上位部分は、後部衝撃に応答して、少なくとも３ ０ｍｍ動くことができるようになっている請求の範囲の前記項のいずれか一つに よるシート。 １０．少なくとも該支持要素の上位部分は、後部衝撃に応答して、約５０ｍｍ動 くことができるようになっている請求の範囲第９項によるシート。 １１．該支持要素は、保持手段で原位置に保持され、後退手段が設けられていて 、感知した後部衝撃に応答して該保持手段を後退させ、支持要素をヘッドレスト に対し動かすようにする請求の範囲第１項から第４項によるシート。 １２． 該保持手段は、一つ、又は、それ以上のボルトを備え、該または各ボル トを後退位置に付勢するスプリング手段が設けられ、少なくとも一つの慣性マス と関連したオーバーデッドセンター・リンク装置が設けられていて、このリンク 装置がボルトまたは複数のボルトを、該慣性マスが感知された後部衝撃に応答し てオーバーデッドセンター・リンケージがオーバーデッドセンターを通過するま で、非後退位置に保持しておくようになっている請求の範囲第１１項によるシー ト。 １３． 該または各保持要素は、シリンダー内のピストンと関連していて、後部 衝撃が感知されたとき、該シリンダー内へガスを供給して該ピストンを動かし、 これで該保持手段を後退させる手段が設けられている請求の範囲第１１項による シート。 １４． ガスを供給する手段は、後部衝撃センサーと関連のパイロテクニック・ チャージを備え、該構成は、感知された後部衝撃に応答してパイロテクニック・ チャージを点火するようになっている請求の範囲第１３項によるシート。 １５． 該支持要素は、その上に装着されたヘッドレストを有し、該支持要素が 後方へ動くにつれて、該支持要素に対し前方へ該ヘッドレストを動かす手段が設 けられている請求の範囲第１項から第３項または第１１項から第１４項のいずれ か一つによるシート。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １． 車両に使用されるシートであって、該シートは、ヘッドレスト付きの背部 を有し、該背部は、該シートに着座する人の胴部の背を支えるように配置されて いる支持要素を有しており、そして、該車両に受ける後部衝撃を感知し、そして 、前記支持要素の少なくとも上位部分を前記シートの後部方向へ、該ヘッドレス トに対し変位させ、そして、実質的に非弾性の状態で動くようにする手段が設け られているもの。 ２． 該支持要素は、シートの背部にピボット連結されていて、該支持要素の上 位部分が後方へピボット回動できるようになっている請求の範囲第１項によるシ ート。 ３． 事故を感知する手段は、５００から２０００ニュートンの力がシートの背 部に作用したとき、前記支持要素が動くようになる位置に支持要素を装着する手 段を含む請求の範囲第１項または第２項によるシート。 ４． 前記所定の力は、７００から１５００ニュートンの間である請求の範囲第 ３項によるシート。 ５． 前記所定の力は、実質的に１０００ニュートンの単位である請求の範囲第 ３項または第４項によるシート。 ６． 後部衝撃を感知する手段は、所定の限界を越える加速度を検知するセンサ ーを備え、該センサーは、前記支持要素を所定位置に保持しておく釈放手段に適 合している請求の範囲第１項または第２項によるシート。 ７． 該シートは、該シートの背部の両側にそって伸びているリジッドなフレー ム部材を有する支持フレームを備え、該支持要素は、該フレーム部材の間に装着 されていて、該支持要素は、パッドとファブリックその他のカバーを支持する請 求の範囲の前記項のいずれかによるシート。 ８． 支持要素は、所定の力以下の力が作用したときには、それに応じて弾性的 に動くものである請求の範囲第７項によるシート。 ９． 支持要素は、金属ネットの形態のものである請求の範囲第７項または第８ 項によるシート。 １０． 該支持要素は、該支持要素と該フレームとの間に張られている多数のス プリングの手段により支持されている請求の範囲第７項、第８項または第９項に よるシート。 １１． 該スプリングは、該シートの背部に所定の力を越えた力が作用したとき 、その弾性限界を越えるようになっている請求の範囲第１０項によるシート。 １２． 該スプリングは、シートの背部が所定の力を越えた力を受けたときに負 けてしまう、打ち負かされるコネクタによって該フレームおよび／または該ネッ トに連結されている請求の範囲第１０項によるシート。 １３． 該スプリングは、所定の限界を越える加速力を感知するセンサーに応答 して負けてしまう、打ち負かされるコネクタによって該フレームおよび／または 該ネットに連結されている請求の範囲第１０項によるシート。 １４． 一つ、または、それ以上の保持要素が該支持要素の背後位置に該フレー ムを横断するように配置され、該保持要素は、後部衝撃が感知されたとき、前記 支持要素を釈放するようになっている請求の範囲第７項から第１２項のいずれか 一つによるシート。 １５． 該または各保持要素は、所定の力を越える力がシートの背部に作用した とき、負けるようになっているストラップである請求の範囲１４によるシート。 １６． 該または各保持要素は、所定の力を越える力がシートの背部に作用した とき、破壊するようになっているカップリング手段によって該フレームに連結さ れている請求の範囲第１４項によるシート。 １７． 各ストラップには、ステッチされたタックが設けられていて、該ステッ チは、所定の力を越える力がシートの背部に作用したとき、破断するようになっ ている請求の範囲１５によるシート。 １８． 該または各保持要素は、所定の限界を越えた加速力を感知するセンサー に応答して、それに負けてしまうコネクタによって該フレームに連結されている 請求の範囲１４によるシート。 １９． 支持要素は、複数のオーバーデッドセンター・リンク装置の手段によっ て該フレームに連結されている請求の範囲第７項から第１０項のいずれか一つに よるシート。 ２０． 少なくとも該支持要素の上位部分は、後部衝撃に応答して、少なくとも ３０ｍｍ動くことができるようになっている請求の範囲の前記項のいずれか一つ によるシート。 ２１． 少なくとも該支持要素の上位部分は、後部衝撃に応答して、約５０ｍｍ 動くことができるようになっている請求の範囲第２０項によるシート。 ２２． 該支持要素は、保持手段で原位置に保持され、後退手段が設けられてい て、感知した後部衝撃に応答して該保持手段を後退させ、支持要素をヘッドレス トに対し動かすようにする請求の範囲第１，２，６または７項によるシート。 ２３． 該保持手段は、一つ、又は、それ以上のボルトを備え、該または各ボル トを後退位置に付勢するスプリング手段が設けられ、少なくとも一つの慣性マス と関連したオーバーデッドセンター・リンク装置が設けられていて、このリンク 装置がボルトまたは複数のボルトを、該慣性マスが感知された後部衝撃に応答し てオーバーデッドセンター・リンケージがオーバーデッドセンターを通過するま で、非後退位置に保持しておくようになっている請求の範囲第２２項によるシー ト。 ２４． 該または各保持要素は、シリンダー内のピストンと関連していて、後部 衝撃が感知されたとき、該シリンダー内へガスを供給して該ピストンを動かし、 これで該保持手段を後退させる手段が設けられている請求の範囲第２２項による シート。 ２５． ガスを供給する手段は、後部衝撃センサーと関連のパイロテクニック・ チャージを備え、該構成は、感知された後部衝撃に応答してパイロテクニック・ チャージを点火するようになっている請求の範囲第２４項によるシート。 ２６． 該支持要素は、その上に装着されたヘッドレストを有し、該支持要素が 後方へ動くにつれて、該支持要素に対し前方へ該ヘッドレストを動かす手段が設 けられている請求の範囲第１項から第６項または第２２項から第２５項のいずれ か一つによるシート。