【発明の詳細な説明】
弾性があって実質的に線状であるオレフィンポリマー類から作られるガスケ
ット
本発明は、弾性があって実質的に線状である新規なオレフィンポリマー類から
作られるガスケットに関する。このガスケットは内容物を汚染することなく多様
な容器を圧縮密封する能力を有する。本明細書に開示する新規なガスケット材料
の使用で特に液体用容器が利益を受ける。
ガスケットは多様な構造材料から作られてきており、この材料にはエチレン/
酢酸ビニル(EVA)およびポリ塩化ビニル(PVC)などの如きポリマー類が
含まれる。例えば、米国特許第4,984,703号(Burzynski)に
は、エチレン/酢酸ビニルと熱可塑性エラストマー組成物のブレンド物から成る
シーリングライナー(sealing liner)が備わっているプラスチッ
ク製の密封容器が開示されている。
使用環境に応じてガスケットにいろいろな度合で特性を持たせることができる
。例えば、腐食性のある使用条件においてガスケットは当該材料に浸透性を示し
てはならないが、それでも、シールを生じるに充分なほどの弾力性を有する必要
がある。食物および飲物の分野で用いられるガスケットも同様な必要条件を有す
るが、この場合、その食品を汚染してはならない。更に、食物および/または液
状内容物の種類に応じて、その充填温度は室温より低いか或は高い可能性があり
、従ってガスケットへの要求が更に大きくなる。
このようなチャレンジを解決しようとする種々の試みはオイル添加剤
またはエラストマー添加剤の使用を通常伴う。
例えば米国特許第5,137,164号(Bayer)には、プラスチック製
の密封容器を熱可塑材で内張りする方法が開示されている。その熱可塑材は、エ
ポキシ化油で可塑化されていて有機ジグリシジルエーテルとこのエーテル用の硬
化剤が入っている未架橋の硬化性塩化ビニルコポリマー組成物である。
米国特許第4,807,772号(Schloss)および米国特許第4,8
46,362号(Schloss)には、それぞれポリエチレンと熱可塑性エラ
ストマー状コポリマー(例えばスチレンとブタジエンのブロックコポリマーなど
)のブレンド物から作られた剥離性ライナーが各々に備わっているポリプロピレ
ン製およびポリエチレン製の密封容器が開示されている。そのブレンド物にオイ
ルを一般に20−50重量パーセント含有させると述べられている。
ガスケットの成形でポリエチレンもまた有用であるとして開示されているが、
このポリマーはあまりにも「堅く」、オイルを添加してその堅さを低くすると抽
出物の量が増え、従って食品接触に関する規則上の要求にとってマイナスである
ことから、今までのところ商業的に成功しなかった。加うるに、線状の低密度ポ
リエチレンはポリプロピレン(米国特許第4,807,772号に記述されてい
るようにしばしば密封容器の材料として用いられる)に対して充分な粘着性を示
さず、その結果として、ポリエチレン製ガスケットのゆるみが生じていた。
ガスケット材料の問題に対していろいろな解決法が数多く存在しているが、こ
の解決法の大部分は添加剤の組み込みを伴っていた。我々は、添加剤なしにそし
て食品の場合この製品の味および/または臭気に悪影
響を与えないでガスケット材料を製造するに有用な実質的に線状であるエチレン
ポリマー類をここに見い出した。
実質的に線状であるオレフィンポリマーを少なくとも1種含有するガスケット
がそのようなしばしば相反する属性を持つことをここに見い出した。この実質的
に線状であるオレフィンポリマー類は通常でない特性組み合わせを有し、このこ
とから、このポリマー類はガスケット材料で用いるに特に有用である。この実質
的に線状であるオレフィンポリマーは好適にはエチレンポリマーである。
この実質的に線状であるエチレンポリマー類は高分枝の低密度ポリエチレン(
LDPE)と同様な加工性を示すが、線状の低密度ポリエチレン(LLDPE)
と同様な強度とじん性を示す。しかしながら、この新規な実質的に線状であるオ
レフィンポリマー類は、伝統的なチーグラー重合の不均一ポリマー類(例えばL
LDPEなど)とは顕著に異なっており、そしてまた、伝統的なフリーラジカル
/高圧重合の高分枝LDPEとも異なる。驚くべきことに、この新規な実質的に
線状であるオレフィンポリマー類はまた、均一な分枝分布を示す線状の均一オレ
フィンポリマー類とも異なる。
この実質的に線状であるエチレンポリマー類は種々の特性を有する、即ち
a)メルトフロー比I10/I2が≧5.63であり、
b)方程式:Mw/Mn≦(I10/I2)−4.63で定義される分子量分布
Mw/Mnを有し、
c)グロスメルトフラクチャーが起こり始める時の臨界せん断応力が4x1
06ダイン/cm2以上であり、
d)表面メルトフラクチャーが起こり始める時の臨界せん断速度が、ほぼ同
じI2とMw/Mnを有する線状オレフィンポリマーの表面メルトフラクチャーが
起こり始める時の臨界せん断速度より、少なくとも50%大きく、および/また
は
e)プロセシングインデックス(PI)が、ほぼ同じI2とMw/Mnにおい
て、比較線状オレフィンポリマーが示すPIの約70パーセントに等しいか或は
それ以下である、
として特徴づけられる。
弾性があって実質的に線状であるエチレンポリマー類を含有するガスケットが
特に好適である。また、完全なオレフィン系(例えばこの実質的に線状であるエ
チレンポリマーを含有するガスケットとポリエチレンまたはポリプロピレンポリ
マーを含有するキャップ)は一緒に再利用可能である。この再利用ポリマー類の
可能な使用には、米国特許第5,133,917号(Jezic他)に記述され
ている如き溶融紡糸2成分系繊維が含まれる。
本明細書で用いる言葉「線状オレフィンポリマー類」はこのオレフィンポリマ
ーが長鎖分枝を含まないことを意味する。即ち、この線状オレフィンポリマーに
は、例えばチーグラー重合方法[例えば米国特許第4,076,698号(An
derson他)]を用いて製造された、時には不均一ポリマーと呼ばれる伝統
的な線状の低密度ポリエチレンポリマー類または線状の高密度ポリエチレンポリ
マー類などのように長鎖分枝が存在していない。この言葉「線状オレフィンポリ
マー類」は、長鎖分枝を多数有することが本分野の技術者に知られている高圧分
枝ポリエチレン、エチレン/酢酸ビニルコポリマー類またはエチレン/ビニルア
ル
コールコポリマー類を指さない。この言葉「線状オレフィンポリマー類」はまた
時には均一ポリマー類と呼ばれる均一分枝分布重合方法で製造されるポリマー類
も指す。このような均一に分枝しているポリマー類、即ち均一ポリマー類には、
米国特許第3,645,992号(Elston)に記述されているようにして
製造されたポリマー類、並びにオレフィン濃度が比較的高いバッチ反応槽の中で
いわゆるシングルサイト触媒を用いて製造されたポリマー類[米国特許第5,0
26,798号(Canich)または米国特許第5,055,438号(Ca
nich)に記述されている如き]、或はまたオレフィン濃度が比較的高いバッ
チ反応槽の中で拘束幾何触媒(constrained geometry c
atalysts)を用いて製造されたポリマー類[米国特許第5,064,8
02号(Stevens他)またはヨーロッパ特許出願公開第0 416 81
5 A2(Stevens他)に記述されている如き]が含まれる。この均一に
分枝している/均一ポリマー類は、一定のインターポリマー分子内にそのコモノ
マーがランダムに分布しておりそしてこのインターポリマー分子の実質的に全部
がそのインターポリマー内で同じエチレン/コモノマー比を有するポリマー類で
あるが、例えばExxon ChemicalがFebruary 1992 T
appi Journal論文の中で教示した如きポリマー類にもまた長鎖分枝
が存在していない。
言葉「実質的に線状である」ポリマー類は、このポリマーのバックボーンが炭
素1000個当たり0.01個の長鎖分枝から炭素1000個当たり3個の長鎖
分枝、より好適には炭素1000個当たり0.01個の長鎖分枝から炭素100
0個当たり1個の長鎖分枝、特に炭素100
0個当たり0.05個の長鎖分枝から炭素1000個当たり1個の長鎖分枝で置
換されていることを意味する。伝統的な均一ポリマー類と同様に、本発明の実質
的に線状であるエチレン/α−オレフィンコポリマー類も、融点を2つ以上示す
[示差走査熱量測定(DSC)で測定して]伝統的なチーグラー重合の不均一線
状エチレン/α−オレフィンコポリマー類とは対照的に、融点を1つのみ示す。
本明細書では、炭素数が少なくとも約6の鎖長であるとして長鎖分枝を定義し
、その長さ以上の鎖長は13C核磁気共鳴分光法を用いたのでは区別不可能である
。この長鎖分枝の長さはポリマーバックボーンの長さとほぼ同じである可能性が
ある。
13C核磁気共鳴(NMR)分光法を用いて長鎖分枝を測定し、そしてRand
allの方法(Rev.Macromol.Chem.Phys.、C29(2
&3)、285−297頁)を用いてそれの定量を行う。
特別に設計したプーリートランスデューサー(pully transduc
er)をメルトインデクサー(melt indexer)と協力させて用いて
「メルトテンション(melt tension)」を測定する。メルトテンシ
ョンは、押出し物またはフィラメントを30rpmの標準速度でプーリーの上を
通す時にそれらが及ぼす負荷である。このメルトテンションの測定は東洋精機(
Toyoseiki)製の「メルトテンションテスター」と類似しており、Va
n Nostrand Reinhold Co.が出版している「Rheom
eters for Molten Plastics」、(1982)の中の
250−251頁にJohn Dealyが記述している。この新規なポリ
マー類が示すメルトテンションもまた驚くべきほど良好であり、例えば特に非常
に狭い分子量分布(即ち1.5から2.5のMw/Mn)を有する実質的に線状で
あるオレフィンポリマー類の場合のメルトテンションは約2グラムまたはそれ以
上の如く高い。
短鎖分枝分布指数(SCBDI)(Short Chain Branch
Distribution Index)または組成分布分枝指数(CDBI)
(Composition Distribution Branch Ind
ex)を、全コモノマーモル含有量中央値の50%以内に入るコモノマー含有量
を有するポリマー分子の重量%として定義する。ポリマーのCDBIは、本技術
分野で知られている技術で得られるデータ、例えばWild他著「Journa
l of Polymer Science,Poly.Phys.Ed」、2
0巻、441頁(1982)に記述されているか或は米国特許第4,798,0
81号の中に記述されている如き、例えば昇温溶出分離法(temperatu
re rising elution fractionation)(本明細
書では「TREF」と省略する)などから容易に計算される。本発明の実質的に
線状であるオレフィンポリマー類の場合のSCBDIまたはCDBIは、好適に
は約30パーセント以上、特に約50パーセント以上である。
ここで請求するポリマー類のユニークな特徴は、I10/I2値が多分散指数(
即ちMw/Mn)から本質的に独立していると言った非常に予想外な流れ特性であ
る。これは、多分散指数を高くして行くにつれてI10/I2値もまた高くなるよ
うな流動学的特性を有する通常のチーグラー重合不均一ポリエチレン樹脂および
通常のシングルサイト触媒重合均一
ポリエチレン樹脂とは対照的である。
本発明の実質的に線状であるエチレンまたはエチレン/α−オレフィンポリマ
ー類の密度をASTM D−792に従って測定し、この密度は一般に0.85
グラム/立方センチメートル(g/cm3)から0.93g/cm3、好適には0
.9g/cm3から0.92g/cm3、特に0.9g/cm3から0.915g
/cm3である。
この実質的に線状であるエチレンポリマー類には高密度(即ち線状)画分が含
まれていないことから、この実質的に線状であるエチレンポリマー類の融点(お
よびビーカー軟化点)は主にこのポリマーの密度に相関関係を示し、若干の影響
はこのポリマーの分子量(示したメルトインデックス)に起因し得る。この実質
的に線状であるエチレンポリマー類の融点変化は、融点を2つ以上有する(これ
は分枝分布が広いことが原因であり、これの1つは約126℃で、これは高密度
の線状ポリエチレン画分に起因し得る)不均一エチレンポリマー類とは対照的で
ある。この実質的に線状であるエチレンポリマーでは密度が低くなればなるほど
融点が低くなる。例として、表1に、種々の実質的に線状であるエチレン/1−
オクテンコポリマー類の場合の密度に対するビーカー軟化点(ASTM D−1
525を用いて測定した時の)を挙げる。
ある種のガスケットは、特にこの用途が「ホットフィル(hot fill)」
用途である場合、短時間であるが室温(約25℃)より高い温度に耐える必要が
ある。例えば、殺菌を受けさせる必要がある製品の場合、100℃以上の融点を
有するガスケットを取り付ける必要がある。従って、当該用途に適した実質的に
線状であるエチレンポリマーを、そのガスケットの環境で用いるに適切な密度を
選択することを通して具体的に選択することができる。
便利には、ASTM D−1238、条件190℃/2.16kg(以前は「
条件(E)」としてそしてまたI2として知られていた)に従うメルトインデッ
クス測定値を用いて、本発明で用いる実質的に線状であるエチレンまたはエチレ
ン/α−オレフィンポリマー類の分子量を示す。メルトインデックスはポリマー
の分子量に反比例する。従って、分子量が高くなればなるほどメルトインデック
スが低くなるが、この関係は直
線的でない。本明細書で用いるエチレンまたはエチレン/α−オレフィンの実質
的に線状であるオレフィンポリマー類の場合のメルトインデックスは、一般に0
.01グラム/10分(g/10分)から1000g/10分、好適には1g/
10分から100g/10分、特に10g/10分から50g/10分である。
メルトインデックスで示す如き分子量は、このポリマーを加工してガスケットに
するに必要とされるせん断速度に依存することになる。
便利には、ASTM D−1238、条件190℃/10kg(以前は「条件
(N)」としてそしてまたI10として知られていた)に従うメルトインデックス
測定値を用いて、この実質的に線状であるオレフィンポリマー類の分子量を特徴
づけるに有効な別の測定値を示す。上記2つのメルトインデックス項の比率がメ
ルトフロー比であり、これをI10/I2として表示する。本発明の実質的に線状
であるエチレン/α−オレフィンポリマー類の場合のI10/I2比は長鎖分枝の
度合を表す、即ちこのI10/I2比が高ければ高いほど、そのポリマー内の長鎖
分枝が多くなる。この実質的に線状であるエチレン/α−オレフィンポリマー類
が示すI10/I2比は、一般に少なくとも約5.63、好適には少なくとも約7
、特に少なくとも約8またはそれ以上である。このI10/I2比の上限は約50
、好適には約20、特に約15であってもよい。この新規な実質的に線状である
エチレンポリマー類の場合、これのメルトフロー比(I10/I2)を高くするこ
とで、より高い分子量を有するポリマー類(即ちより低いメルトインデックスを
示すポリマー類)の使用を補うことができる。従って、約10グラム/10分の
メルトインデックス、約0.92g/cm3の密度、約2のMw/Mnおよび約1
0のI10/I2
を有する弾性があって実質的に線状であるエチレンポリマーは、ほぼ同じせん断
速度で用いた時、約30グラム/10分のメルトインデックス、約0.92g/
cm3の密度、約2のMw/Mnおよび約7.5のI10/I2を有する実質的に線状
であるエチレンポリマーと同様な粘度を示す。
また、必要とされる最終使用特性に応じて、他のポリマー類を有効量の実質的
に線状であるエチレンポリマー類と組み合わせることでも同様にガスケットを製
造することができる。このような他のポリマー類は熱可塑性ポリマー類(即ち溶
融加工可能)であり、これらには高分枝の低密度ポリエチレン、不均一に分枝し
ていて線状の低密度ポリエチレン、エチレン/酢酸ビニルコポリマー類およびエ
チレン/アクリル酸コポリマー類などの如きポリマー類[例えばザ・ダウケミカ
ルカンパニー(The Dow Chemical Company)が製造し
ているPrimacor(商標)接着用ポリマー類など]が含まれる。
この新規な実質的に線状であるエチレンポリマー類から製造するガスケットに
、圧縮に耐えるに充分な堅さを持たせるべきであるが、それでも、適当なシール
を形成するに充分な柔らかさを持たせるべきである。従って、使用に応じた堅さ
をこのポリマーに持たせることにより、いろいろなガスケットを製造することが
できる。本明細書では「ショアA硬度」または「ショアD硬度」として硬度を測
定する(ASTM D−2240を用いて測定)。ガスケットを構成する実質的
に線状であるエチレンポリマー類の場合のショアA硬度の範囲は、ポリマーおよ
び得られるガスケットの硬度を低くする目的で通常添加されている石油系オイル
を用いていない時でも、70から100の範囲である。表2に、ガスケットの製
造で用いる実質的に線状であるエチレンポリマー類の場合のポリ
マー密度に対するショアAデータを要約する。
また、この実質的に線状であるポリエチレン組成物に、本出願者らが見い出し
た向上した特性を妨害しない度合で、添加剤、例えば抗酸化剤[例えばヒンダー
ドフェノール系、例えばChiba Geigy Corp.が製造しているI
rganox(商標)1010など]、ホスファイト類[例えばChiba G
eigy Corp.が製造しているIrgafos(商標)168など]、粘
着(cling)添加剤(例えばPIBなど)、スリップ添加剤(例えばエルカ
ミドなど)、抗ブロック(antiblock)添加剤および顔料などを含有さ
せることも可能である。
140℃のシステム温度で運転する混合多孔度カラム(Polyme
r Laboratories 103、104、105および106)が3本備わ
っているWaters 150℃高温クロマトグラフィー装置を用いたゲル浸透
クロマトグラフィー(GPC)により、全部のインターポリマー生成物サンプル
および個々のインターポリマーサンプルを分析する。溶媒は1,2,4−トリク
ロロベンゼンであり、これを用い、サンプルが0.3重量%入っている溶液を注
入用として調製する。流量は1.0ミリリットル/分であり、注入量は200ミ
クロリットルである。
溶離体積と協力させて、狭い分子量分布のポリスチレン標準(Polymer
Laboratories製)を用いることで、分子量測定値を引き出す。下
記の方程式:
Mポリエチレン=a*(Mポリスチレン)b
を引き出すに適切な、ポリエチレンとポリスチレンに関するMark−Houw
ink係数[WilliamsおよびWordが「Journal of Po
lymer Science」、Polymer Letters、6巻(62
1)1968の中で記述している如き]を用いて、相当するポリエチレンの分子
量を測定する。上記方程式においてa=0.4316およびb=1.0である。
下記の式:Mw=Σwi*Mi[式中、wiおよびMiは、GPCカラムから溶
離して来るi番目の画分が示す、それぞれの重量および分子量である]に従う通
常様式で、重量平均分子量Mwを計算する。
本発明の実質的に線状であるオレフィンポリマー類の場合の分子量分布(Mw
/Mn)は、一般に約5以下、好適には1.5から2.5、特に1.7から2.
3である。
気体押し出しレオメーター(gas extrusion rheomete
r)(GER)を用いて流動学的プロセシング・インデックス(PI)の測定を
行う。このGERは、「Polym.Eng.Sci.」、17巻、No.11
、770頁(1977)の中でM.Shida、R.N.ShroffおよびL
.V.Cancioが記述していると共に、Van Nostrand Rei
nhold Co.が出版しているJohn Dealy著「Rheomete
rs for Molten Plastics」、(1982)の97−99
頁に記述されている。入り口角度が180°で直径が0.0296インチ(75
2ミクロメートル)の20:1 L/Dダイスを用い、2500psig(17
.24MPa)の窒素圧力下、190℃の温度で、このプロセシング・インデッ
クスの測定を行う。下記の方程式:
PI=2.15X106ダイン/cm2(1000Xせん断速度)
からGERプロセシング・インデックスをミリポイズ単位で計算するが、ここで
、2.15X106ダイン/cm2は2500psi(17.24MPa)におけ
るせん断応力であり、そしてこのせん断速度は、下記の式:
32Q’/(60秒/分)(0.745)(直径X2.54cm/インチ)3
[式中、
Q’は押し出し速度(g/分)であり、
0.745は、ポリエチレンの溶融密度(g/cm3)であり、そして直径は、
キャピラリーのオリフィス直径(インチ)である]
で表される、壁の所のせん断速度である。このPIは、2.15x106
ダイン/cm2の見掛けせん断応力で測定した材料の見掛け粘度である。
本明細書で開示する実質的に線状であるオレフィンポリマー類のPIは、ほぼ
同じI2とMw/Mnにおいて、比較線状オレフィンポリマーが示すPIの70%
に等しいか或はそれ以下である。
メルトフラクチャー(melt fracture)現象を識別する目的で、
見掛けせん断速度に対する見掛けせん断応力のプロットを用いる。Ramamu
rthy「Journal of Rheology」、30(2)、337−
357、1986に従い、特定の臨界流量以上で観察される押し出し物の不規則
さは、幅広い意味で2つの主要な型に分類分け可能である、即ち表面メルトフラ
クチャーとグロスメルトフラクチャーとに分類分け可能である。
表面メルトフラクチャーは、明らかに安定した流れ条件下で起こり、そしてそ
の詳細な範囲は、鏡面光沢の損失から、よりひどい「鮫肌」形態に至る。本開示
では、押し出し物の表面粗さが40x倍率でのみ検出可能になる、押し出し物の
光沢が失われ始める時であるとして、表面メルトフラクチャーが起こり始める時
を特徴づける。この実質的に線状であるオレフィンポリマー類の表面メルトフラ
クチャーが起こり始める時の臨界せん断速度は、ほぼ同じI2とMw/Mnを有す
る線状オレフィンポリマーの表面メルトフラクチャーが起こり始める時の臨界せ
ん断速度より、少なくとも50%大きい。本発明の実質的に線状であるオレフィ
ンポリマー類の場合の表面メルトフラクチャーが起こり始める時の臨界せん断応
力は、好適には2.8x106ダイン/cm2以上である。
グロスメルトフラクチャーは不安定な流れ条件下で起こり、そしてその詳細な
範囲は、規則正しい歪み(粗い部分と滑らかな部分が交互に現
れる、螺旋状など)から不規則な歪みに至る。商業的受け入れに関して(例えば
ブローンフィルム製品などで)、表面の欠陥は、存在していたとしても最小限で
なければならない。本明細書では、GERで押し出した押し出し物が示す表面粗
さおよび構造の変化を基準にして、表面メルトフラクチャーが起こり始める時(
OSMF)の臨界せん断速度およびグロスメルトフラクチャーが起こり始める時
(OGMF)の臨界せん断応力を用いることにする。本発明の実質的に線状であ
るオレフィンポリマー類の場合のグロスメルトフラクチャーが起こり始める時の
臨界せん断応力は、好適には4x106ダイン/cm2以上である。
本明細書で用いるに適切な拘束幾何触媒(constrained geom
etry catalysts)には、好適には、1990年7月3日付けで提
出した米国出願連続番号545,403、1991年9月12日付けで提出した
758,654、1991年9月12日付けで提出した758,660、および
1991年6月24日付けで提出した720,041の中に開示されている如き
拘束幾何触媒が含まれる。米国特許第5,026,798号の中に教示されてい
るモノシクロペンタジエニル遷移金属オレフィン重合触媒もまた本発明のポリマ
ー類の製造で用いるに適切であると考えるが、但しその重合条件がそれに実質的
に合致することを条件とする。
更に、上記触媒は、拘束を誘起する原子団で置換されている非局在化したπ結
合を有する原子団と元素周期律表の3−10族またはランタニド系列の金属を含
む金属配位錯体で構成されているとして説明可能であり、ここで、上記錯体は、
その置換されている非局在化したπ結合を有する原子団の重心とその残りの少な
くとも1個の置換基の中心との間で
該金属の所に生じる角度が上記拘束を誘起する置換基を有していない同様なπ結
合を有する原子団を含む同様な錯体内のそのような角度よりも小さくなるように
、該金属原子の回りに拘束された幾何形状を有するが、但し上記錯体がその置換
されている非局在化したπ結合を有する原子団を2個以上含む場合、この錯体が
有する各金属原子当たりそれらの1個のみが、置換されている非局在化したπ結
合を有する環状の原子団であることをさらなる条件とする。この触媒に活性化用
の共触媒を更に含める。
好適な触媒錯体は、式:
[式中、
Mは、元素周期律表の3−10族またはランタニド系列の金属であり、
Cp*は、Mにη5結合様式で結合しているシクロペンタジエニルまたは置換シ
クロペンタジエニル基であり、
Zは、ホウ素または元素周期律表14族の一員と任意に硫黄または酸素を含む原
子団であり、ここで、上記原子団は20個以下の非水素原子を有しており、そし
て任意に、Cp*とZは一緒になって縮合環系を形成していてもよく、
Xは、各場合とも独立して、30個以下の非水素原子を有するアニオン性配位基
または中性のルイス塩基配位基であり、
nは、0、1、2、3または4であってMの原子価より2小さく、そし
て
Yは、ZとMに結合しているアニオン性もしくは非アニオン性配位基であり、こ
れは窒素、燐、酸素または硫黄を含んでいて20個以下の非水素原子を有してお
り、そして任意に、YとZは一緒になって縮合環系を形成していてもよい]
に相当する。
更により好適には、上記錯体は、式:
[式中、
R’は、各場合ともに独立して、水素、20個以下の非水素原子を有するアルキ
ル、アリール、シリル、ゲルミル、シアノ、ハロおよびそれらの組み合わせから
成る群から選択され、
Xは、各場合とも独立して、ハイドライド、ハロ、20個以下の非水素原子を有
するアルキル、アリール、シリル、ゲルミル、アリールオキシ、アルコキシ、ア
ミド、シロキシ、中性ルイス塩基配位子およびそれらの組み合わせから成る群か
ら選択され、
Yは、−O−、−S−、−NR*−または−PR*−であるか、或はOR*、S
R*、NR*2またはPR*2から成る群から選択される中性の
2電子供与配位子であり、
Mは、上で定義した通りであり、そして
Zは、SiR*2、CR*2、SiR*2SiR*2、CR*2CR*2、CR*=C
R*、CR*2SiR*2、GeR*2、BR*、BR*2であり、ここで、
R*は、各場合とも独立して、水素、20個以下の非水素原子を有するアルキル
、アリール、シリル、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリール基およびそれら
の混合物から成る群から選択されるか、或はYまたはZ由来か或はYとZ両方由
来の2個以上のR*基が縮合環系を形成しており、そして
nは、1または2である]
に相当する。
式Iおよび下記の式は、この触媒が環状構造物であることを示しているが、Y
が中性の2電子供与配位子である場合、Mと5Yの間の結合をより正確には配位
−共有結合と呼ぶことを注目すべきである。また、この錯体は二量体または高級
オリゴマーとして存在し得ることも注目すべきである。
更に好適には、R’、ZまたはR*の少なくとも1つは電子を供与する原子団
である。従って、非常に好ましいYは、式−N(R”)−または−P(R”)−
[式中、R”はC1-10アルキルまたはアリールである]に相当する窒素もしくは
燐含有基、即ちアミドもしくはホスフィド基である。
最も高度に好適な錯体化合物は、式:
[式中、
Mは、η5結合様式でシクロペンタジエニル基に結合しているチタン、ジルコニ
ウムまたはハフニウムであり、
R’は、各場合ともに独立して、水素、10個以下の炭素原子またはケイ素原子
を有するシリル、アルキル、アリールおよびそれらの組み合わせから成る群から
選択され、
Eは、ケイ素または炭素であり、
Xは、各場合とも独立して、ハイドライド、ハロ、炭素数が10以下のアルキル
、アリール、アリールオキシまたはアルコキシであり、
mは、1または2であり、そして
nは、1または2である]
に相当するアミドシランもしくはアミドアルカンジイル化合物である。
上に記述した最も高度に好適な金属配位化合物の例には、アミド基上のR’が
メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル(異性体を含む)、ノ
ルボルニル、ベンジル、フェニルなどであり、該シクロペンタジエニル基がシク
ロペンタジエニル、インデニル、テトラヒドロインデニル、フルオレニル、オク
タヒドロフルオレニルなどであり、
上記シクロペンタジエニル基上のR’が各場合とも水素、メチル、エチル、プロ
ピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル(異性体を含む)、ノルボルニル、ベンジル
、フェニルなどであり、そしてXがクロロ、ブロモ、ヨード、メチル、エチル、
プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル(異性体を含む)、ノルボルニル、ベン
ジル、フェニルなどである化合物が含まれる。
具体的な化合物には、(t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペ
ンタジエニル)−1,2−エタンジイルジルコニウムジクロライド、(t−ブチ
ルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジ
イルチタンジクロライド、(メチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペン
タジエニル)−1,2−エタンジイルジルコニウムジクロライド、(メチルアミ
ド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルチ
タンジクロライド、(エチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエ
ニル)メチレンチタンジクロライド、(t−ブチルアミド)ジベンジル(テトラ
メチル−η5−シクロペンタジエニル)シランジルコニウムジベンジル、(ベン
ジルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランチ
タンジクロライド、(フェニルホスフィド)ジメチル(テトラメチル−η5−シ
クロペンタジエニル)シランジルコニウムジベンジル、(t−ブチルアミド)ジ
メチル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランチタンジメチルな
どが含まれる。
この錯体は、金属Mの誘導体をシクロペンタジエニル化合物のI族金属誘導体
またはグリニヤール誘導体に溶媒中で接触させそして塩副生成物を分離すること
で製造可能である。この金属錯体の製造で用いるに適
切な溶媒は脂肪族もしくは芳香族液体、例えばシクロヘキサン、メチルシクロヘ
キサン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテ
ル、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどまたはこれらの混合物
である。
好適な態様における金属化合物はMXn+1である、即ちMは相当する化合物M
Xn+2における酸化状態より低い酸化状態にありそして所望の最終錯体における
Mの酸化状態より低い酸化状態にある。その後、非干渉(noninterfe
ring)酸化剤を用いて上記金属の酸化状態を高くしてもよい。この錯体自身
の製造で用いる溶媒および反応条件を利用して上記反応体を単に接触させること
で、この酸化を達成する。言葉「非干渉酸化剤」は、望ましい錯体生成または次
の重合過程を妨害することなく金属の酸化状態を高めるに充分な酸化電位を有す
る化合物を意味する。特に適切な非干渉酸化剤はAgClまたは有機ハロゲン化
物、例えば塩化メチレンなどである。上記技術は1990年7月3日付けで提出
した米国連続番号545,403および1991年5月20日付けで提出した7
02,475の中に開示されており、これら両方の教示は引用することによって
本明細書に組み入れられる。
更に、Peter NickiasおよびDavid Wilsonの名前で
1991年10月15日付けで提出した表題が「Preparation of
Metal Coordination Complex(I)」である同時
系属中の米国出願連続番号778,433およびPeter Nickiasお
よびDavid Devoreの名前で1991年10月15日付けで提出した
表題が「Preparation of Metal Coordinatio
n Comple
x(II)」である同時系属中の米国出願連続番号778,432およびそれら
から発行される特許の教示に従って、この錯体の製造を行うことができる。
本明細書で用いるに適切な共触媒には、ポリマー状もしくはオリゴマー状のア
ルミノキサン類、特にメチルアルミノキサンなどに加えて、不活性で適合性を示
す非配位性のイオン形成化合物が含まれる。いわゆる修飾メチルアルミノキサン
(MMAO)もまた共触媒として用いるに適切である。このような修飾アルミノ
キサンを製造する1つの技術が米国特許第5,041,584号に開示されてい
る。アルミノキサン類はまた米国特許第5,542,199号、4,544,7
62号、5,015,749号および5,041,585号の開示と同様に製造
可能である。好適な共触媒は不活性な非配位ホウ素化合物である。
本明細書に記述するポリマー類の重合で使用可能な活性を示すイオン性触媒種
は、式:
[式中、
Mは、元素周期律表の3−10族またはランタニド系列の金属であり、
Cp*は、Mにη5結合様式で結合しているシクロペンタジエニルまたは置換シ
クロペンタジエニル基であり、
Zは、ホウ素または元素周期律表14族の一員と任意に硫黄または酸素
を含む原子団であり、ここで、上記原子団は20個以下の非水素原子を有してお
り、そして任意に、Cp*とZは一緒になって縮合環系を形成していてもよく、
Xは、各場合とも独立して、30個以下の非水素原子を有するアニオン性配位基
または中性ルイス塩基配位基であり、
nは、0、1、2、3または4であってMの原子価より2小さく、そして
A-は、適合性を示す非配位アニオンである]
に相当する。
本発明のポリマー類の製造で利用できるイオン性触媒種製造方法の1つは、
a)第二成分(本明細書の以下に記述する)のカチオンと化合する置換基を少な
くとも1個有する、元素周期律表の3−10族またはランタニド系列金属のモノ
(シクロペンタジエニル)誘導体である、少なくとも1種の第一成分(この第一
成分は、これの原子価より1小さい配位数を形式的に有するカチオンを生じる能
力を有する)を、
b)ブレンステッド酸と適合性非配位アニオンの塩である、少なくとも1種の第
二成分と、
化合させることを伴う。
より詳細には、上記ブレンステッド酸塩の適合性非配位アニオンは、電荷を持
っている金属または半金属コアを有する単一配位錯体を構成し得るが、このアニ
オンはかさ高いと共に非求核性のアニオンである。本明細書で記述「半金属」を
用いる場合、これには非金属、例えばホウ素および燐などが含まれ、これは半金
属の特徴を示す。
このカチオン錯体の製造で用いることができるモノシクロペンタジエニル金属
化合物(第一成分)の説明的非制限例は、チタン、ジルコニウム、バナジウム、
ハフニウム、クロム、ランタンなどの誘導体である。好適な成分はチタンまたは
ジルコニウム化合物である。適切なモノシクロペンタジエニル金属化合物の例は
、ヒドロカルビル置換モノシクロペンタジエニル金属化合物、例えば(t−ブチ
ルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジ
イルジルコニウムジメチル、(t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シク
ロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルチタンジメチル、(メチルアミド)
(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルジルコ
ニウムジベンジル、(メチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエ
ニル)−1,2−エタンジイルチタンジメチル、(エチルアミド)(テトラメチ
ル−η5−シクロペンタジエニル)メチレンチタンジメチル、(t−ブチルアミ
ド)ジベンジル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランジルコニ
ウムジベンジル、(ベンジルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5−シクロペ
ンタジエニル)シランチタンジフェニル、(フェニルホスフィド)ジメチル(テ
トラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランジルコニウムジベンジルなど
である。
上記成分の製造は、相当する金属塩化物を置換シクロペンタジエニル基、例え
ばシクロペンタジエニル−アルカンジイル、シクロペンタジエニル−シランアミ
ドまたはシクロペンタジエニル−ホスフィド化合物などのジリチウム塩と化合さ
せることで容易に行われる。この反応を、通常の合成手順を用いて不活性液体、
例えばテトラヒドロフラン、C5-10アルカン類、トルエンなどの中で実施する。
更に、この第一成分は、シ
クロペンタジエニル化合物のII族誘導体を溶媒中で反応させそして塩副生成物
を分離することでも製造可能である。シクロペンタジエニル化合物のマグネシウ
ム誘導体が好適である。この反応は不活性溶媒、例えばシクロヘキサン、ペンタ
ン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ベンゼン、トルエンまたはそのよ
うな溶媒の混合物中で実施可能である。その結果として生じる金属ハロゲン化物
のシクロペンタジエニル錯体は多様な技術でアルキル化可能である。金属アルキ
ルまたはアリールのシクロペンタジエニル錯体は、一般に、上記金属ハロゲン化
物のシクロペンタジエニル錯体をI族もしくはII族金属のアルキルまたはアリ
ール誘導体でアルキル化することで製造可能である。好適なアルキル化剤は、通
常の合成技術を用いたアルキルリチウムおよびグリニヤール誘導体である。この
反応は不活性溶媒、例えばシクロヘキサン、ペンタン、テトラヒドロフラン、ジ
エチルエーテル、ベンゼン、トルエンまたはそのような溶媒の混合物中で実施可
能である。好適な溶媒はトルエンとテトラヒドロフランの混合物である。
本発明で有用であるイオン性触媒を製造する時の第二成分として用いるに有効
な化合物は、プロトンを供与する能力を有するブレンステッド酸であるカチオン
と、適合性を示す非配位アニオンを含むであろう。好適なアニオン類は、電荷を
持っている金属または半金属コアを有する単一配位錯体を含むアニオン類あり、
このアニオンは比較的大きく(かさ高く)、そしてこのアニオンは、これら2つ
の成分を化合させたとき生じる活性触媒種(3−10族またはランタニド系列の
カチオン)を安定にする能力を有しているが、このアニオンは、オレフィン系、
ジオレフィン系およびアセチレン系不飽和物質か或は他の中性ルイス塩基、例
えばエーテル類、ニトリル類などで置換され得るに充分なほど不安定である。こ
の場合に適切な金属には、これらに限定するものでないが、アルミニウム、金、
白金などが含まれる。適切な半金属には、これらに限定するものでないが、ホウ
素、燐、ケイ素などが含まれる。金属または半金属原子を1個有する配位錯体を
構成するアニオン含有化合物は勿論よく知られており、それらの多く、特に、ア
ニオン部分中にホウ素原子を1個有する上記化合物は商業的に入手可能である。
このことを鑑み、ホウ素原子を1個有する配位錯体を構成するアニオン含有塩類
が好適である。
本発明の触媒調製で用いる有効な第二成分は、非常に好適には、下記の一般式
:
(L−H)+[A]-
[式中、
Lは、中性のルイス塩基であり、
(L−H)+は、ブレンステッド酸であり、そして
[A]-は、適合性を示す非配位アニオンである]
で表され得る。
より好適な[A]-は、式:
[M’Qq]-
[式中、
M’は、元素周期律表の5−15族から選択される金属または半金属であり、そ
して
Qは、各場合とも独立して、ハイドライド、ジアルキルアミド、ハロゲン化物、
アルコキサイド、アリールオキサイド、ヒドロカルビルおよび
置換ヒドロカルビル基から成る群から選択され、これらは20個以下の炭素を有
しているが、但しQがハロゲン化物であるのは多くて1回であることを条件とし
、そして
qは、M’の原子価より1大きい]
に相当する。
本発明の触媒調製で用いるに特に有用なホウ素含有第二成分は、下記の一般式
:
[L−H]+[BQ4]-
[式中、
Lは、中性のルイス塩基であり、
[L−H]+は、ブレンステッド酸であり、
Bは、原子価状態が3のホウ素であり、そして
Qは、上で定義した通りである]
で表され得る。
本発明の改良された触媒を製造する時の第二成分として使用可能なホウ素化合
物の説明的例は、これらに限定するものでないが、トリアルキル置換アンモニウ
ム塩、例えばテトラフェニルホウ酸トリエチルアンモニウム、テトラフェニルホ
ウ酸トリプロピルアンモニウム、テトラフェニルホウ酸トリス(n−ブチル)ア
ンモニウム、テトラキス(p−トリル)ホウ酸トリメチルアンモニウム、テトラ
キス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸トリブチルアンモニウム、テトラキス(
2,4−ジメチルフェニル)ホウ酸トリプロピルアンモニウム、テトラキス(3
,5−ジメチルフェニル)ホウ酸トリブチルアンモニウム、テトラキス(3,5
−ジ−トリフルオロメチルフェニル)ホウ酸トリエチルアンモニウムな
どである。また、適切なものはN,N−ジアルキルアニリニウム塩類、例えばテ
トラフェニルホウ酸N,N−ジメチルアニリニウム、テトラフェニルホウ酸N,
N−ジエチルアニリニウム、テトラフェニルホウ酸N,N−2,4,6−ペンタ
メチルアニリニウムなど;ジアルキルアンモニウム塩、例えばテトラキス(ペン
タフルオロフェニル)ホウ酸ジ−(i−プロピル)アンモニウム、テトラフェニ
ルホウ酸ジシクロヘキシルアンモニウムなど;並びにトリアリールホスホニウム
塩、例えばテトラフェニルホウ酸トリフェニルホスホニウム、テトラキス−ペン
タフルオロフェニルホウ酸トリ(メチルフェニル)ホスホニウム、テトラフェニ
ルホウ酸トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムなどである。
好適なイオン性触媒は、式:
[式中、
Mは、元素周期律表の3−10族またはランタニド系列の金属であり、
Cp*は、Mにη5結合様式で結合しているシクロペンタジエニルまたは置換シ
クロペンタジエニル基であり、
Zは、ホウ素または元素周期律表14族の一員と任意に硫黄または酸素を含む原
子団であり、ここで、上記原子団は20個以下の非水素原子を有しており、そし
て任意に、Cp*とZは一緒になって縮合環系を形成していてもよく、
Xは、各場合とも独立して、30個以下の非水素原子を有するアニオン性配位基
または中性ルイス塩基配位基であり、
nは、0、1、2、3または4であってMの原子価より2小さく、そして
XA*-は、-XB(C6F5)3である]
に相当する限定電荷分離構造(limiting charge separa
ted sturucture)を有するイオン触媒である。
この種類のカチオン性錯体は、便利に、式:
[式中、
Cp*、Mおよびnは上で定義した通りである]
に相当する金属化合物とトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン共触媒を、X
を引き抜いてアニオンである-XB(C6F5)3の生成をもたらす条件下で接触さ
せる、ことによって製造可能である。
上記イオン性触媒におけるXは、好適にはC1−C10ヒドロカルビル、最も好
適にはメチルである。
上記式を限定電荷分離構造と呼ぶ。しかしながら、この触媒は、特に固体形態
の場合、完全には電荷分離していない可能性があると理解されるべきである。即
ち、このX基は部分的に金属原子Mに対して共有結合を保持している可能性があ
る。従って、これらの触媒は、また、式:
で表されるとして描写可能である。
これらの触媒の製造を、好適には、不活性希釈剤、例えば有機液体など中で4
族またはランタニド金属の誘導体とトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを
接触させることで行う。トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランは商業的に入
手可能なルイス酸であり、これは公知技術に従って容易に製造可能である。この
化合物は、Mark他、J.Am.Chem.Soc.1991、113、36
23−3625の中に、ジルコノセン類のアルキルを引き抜く時の使用で開示さ
れている。
本明細書における元素の周期律表に対する全ての言及は、1989年にCRC
Press,Inc.が出版し著作権を有する元素の周期律表を指す。また、
族または族類に対する如何なる言及も、族の番号付けでIUPACシステムが用
いられている上記元素の周期律表の中に反映されている如き族もしくは族類に対
する言及であるとする。
本明細書で用いる「拘束された幾何形状を有する触媒」では、その金属原子が
押されることでその活性金属部位がより大きく露出していると考えられる、と言
うのは、この単一のシクロペンタジエニルまたは置換シクロペンタジエニル基上
に存在している1個以上の置換基はその金属原子を含む環構造の一部を形成して
いてこの金属が近隣の共有原子団と
結合していると共にη5または他のπ結合相互作用を通してシクロペンタジエニ
ル基との会合状態を保持しているからである。この金属原子とそのシクロペンタ
ジエニルもしくは置換シクロペンタジエニル基の構成原子との間の個々の結合各
々は等価である必要はないと理解する。即ち、この金属は、そのシクロペンタジ
エニルまたは置換シクロペンタジエニル基に対称的もしくは非対称的にπ結合し
ていてもよい。
この活性金属部位の幾何形状を更に下記の如く定義する。このシクロペンタジ
エニルもしくは置換シクロペンタジエニル基の重心は、このシクロペンタジエニ
ルもしくは置換シクロペンタジエニル基を形成している原子中心に関する個々の
X、YおよびZ座標の平均として定義可能である。このシクロペンタジエニルも
しくは置換シクロペンタジエニル基の重心とこの金属錯体が有する他の各配位子
との間で金属中心の所に生じる角度θは、標準的単結晶X線回折技術で容易に計
算可能である。これらの角度の各々は、この拘束された幾何形状を有する金属錯
体の分子構造に応じて大きくなるか或は小さくなり得る。これらの角度θの1個
以上が、その拘束を誘起する置換基が水素で置換されている点でのみ異なってい
る同様な比較錯体内の角度よりも小さい錯体は、本発明の目的に適した拘束され
た幾何形状を有する。好適には、上記角度θの1個以上を比較錯体に比較して少
なくとも5%、より好適には7.5%小さくする。非常に好適には、全結合角θ
の平均値もまた比較錯体におけるそれよりも小さい。
好適には、本発明に従う4族またはランタナイド金属のモノシクロペンタジエ
ニル金属配位錯体は、このCp*基の重心とY置換基との間の最小角度θが11
5°未満、より好適には110°未満、最も好適には
105°未満、特に100°未満になるような、拘束された幾何形状を有する。
本発明の触媒組成物で有用な他の化合物、特に他の4族もしくはランタナイド
金属を有する化合物も勿論本分野の技術者に明らかになるであろう。
本発明に従う実質的に線状であるポリマー類の改良された溶融弾性および加工
性は、これの製造方法の結果であると考えている。このポリマー類は、反応槽を
少なくとも1基用いた連続(バッチ式とは対照的に)調節重合方法で製造可能で
あるが、これはまた、反応槽を複数用いて、所望の特性を示すインターポリマー
類が生じるに充分な重合温度と圧力で製造することも可能である(例えば米国特
許第3,914,342号の中に記述されている如き複数反応槽配置を用いるこ
となどで)。
エチレンおよびエチレン/α−オレフィンコポリマー類を重合させる時のバッ
チ反応槽方法では、エチレンの溶解度に応じて典型的にエチレンの濃度が反応槽
内容物の6.7から12.5重量パーセントになるようにしそしてポリマーの濃
度が一般に反応槽内容物の約5重量パーセント以下になるようにして行うが、こ
れは反応槽の温度と圧力の関数である。
本方法の1つの態様に従い、このポリマー類の製造をバッチ方法とは対照的に
連続方法で行う。拘束幾何触媒技術を用いた連続方法の重合温度は好適には20
℃から250℃である。高いI10/I2比(例えば7またはそれ以上、好適には
少なくとも8、特に少なくとも9のI10/I2)を示す狭い分子量分布(1.5
から2.5のMw/Mn)のポリマーが望まれている場合、上記反応槽内のエチレ
ン濃度を好適には反応槽
内容物の約8重量%以下、特に反応槽内容物の約6重量%以下、最も特別には反
応槽内容物の約4重量%以下にする。好適には、この重合を溶液重合方法で実施
する。本明細書に記述する新規なポリマー類の製造でMw/Mnを比較的低く保持
しながらI10/I2を操作するのは、一般に、反応槽の温度および/またはエチ
レン濃度の関数である。エチレン濃度を低くしそして温度を高くすると一般にI10
/I2が高くなる。一般に、この反応槽のエチレン濃度を低くするにつれてポ
リマー濃度が高くなる。本明細書で請求する新規な実質的に線状であるエチレン
/α−オレフィンコポリマー類および実質的に線状であるエチレンホモポリマー
類の場合の連続溶液重合方法に適したポリマー濃度は、好適には反応槽内容物の
約5重量%以上、特に反応槽内容物の約6重量%以上である。
主要モノマーとしてエチレン以外のオレフィン類を用いる場合、その重合もし
くは共重合させるべきオレフィンに応じて、重合温度、圧力およびオレフィン濃
度に関して適切な調節を行うことができるが、一般に、このオレフィンの濃度を
バッチ反応槽で通常有効な濃度より低くしそしてポリマー濃度をバッチ反応槽で
通常有効な濃度より高くする。
本発明の実質的に線状であるポリマー類は、C2−C20α−オレフィン類、例
えばエチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテンなどのホモポリマー類で
あるか或はこれらはエチレンと少なくとも1種のC3−C20α−オレフィンおよ
び/またはC2−C20アセチレン系不飽和モノマーおよび/またはC4−C18ジオ
レフィン類とのインターポリマー類であってもよい。本発明の実質的に線状であ
るポリマー類はまた、他の不飽和モノマー類と組み合わせたエチレンと1種以上
の上記C3−C20α−オレフィン、ジオレフィン類および/またはアセチレン系
不飽和モノマ
ー類とのインターポリマー類であってもよい。
本発明に従って有効な重合を生じるモノマー類には、例えばエチレン系不飽和
モノマー類、アセチレン系化合物、共役もしくは非共役ジエン類、ポリエン類、
一酸化炭素などが含まれる。好適なモノマー類には、C2−C10α−オレフィン
類、特にエチレン、1−プロペン、イソブチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、
4−メチル−1−ペンテンおよび1−オクテンが含まれる。他の好適なモノマー
類には、スチレン、ハロ置換もしくはアルキル置換されているスチレン類、テト
ラフルオロエチレン、ビニルベンゾシクロブタン、1,4−ヘキサジエンおよび
ナフテン系(例えばシクロペンテン、シクロヘキセンおよびシクロオクテンなど
)が含まれる。
本発明に従って有効な重合を生じる他の不飽和モノマー類には、例えばエチレ
ン系不飽和モノマー類、共役もしくは非共役ジエン類、ポリエン類などが含まれ
る。好適なモノマー類には、C2−C10α−オレフィン類、特にエチレン、プロ
ペン、イソブチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンお
よび1−オクテンが含まれる。他の好適なモノマー類には、スチレン、ハロ置換
もしくはアルキル置換されているスチレン類、テトラフルオロエチレン、ビニル
ベンゾシクロブタン、1,4−ヘキサジエンおよびナフテン系(例えばシクロペ
ンテン、シクロヘキセンおよびシクロオクテンなど)が含まれる。
本発明のポリマー類を製造するに適した重合条件は一般に溶液重合方法で有効
な条件であるが、本発明の出願をそれに限定するものでない。スラリーおよび気
相重合方法もまた有効であると考えるが、但し適切な触媒および重合条件を用い
ることを条件とする。
複数の反応槽を用いた重合方法、例えば米国特許第3,914,342号に開
示されている如き方法もまた本発明で有効である。この複数の反応槽は直列もし
くは並列運転可能であり、この反応槽の少なくとも1つで少なくとも1種の拘束
幾何触媒を用いる。
本発明に従う連続重合は、一般に、チーグラー・ナタ(Ziegler−Na
tta)またはカミンスキー・シン(Kaminsky−Sinn)型重合反応
に関する従来技術でよく知られている条件下、即ち大気圧から1000気圧(1
00MPa)の圧力下0から250℃の温度で達成可能である。望まれるならば
懸濁、溶液、スラリー、気相または他の工程条件も利用可能である。支持体を用
いることも可能であるが、好適には均一(即ち可溶)様式でこの触媒を用いる。
もしこの触媒およびそれの共触媒成分をこの重合過程に直接添加すると、活性の
ある触媒系、特にノニオン触媒がインサイチューで生じそして上記重合過程で適
切な溶媒または希釈剤(凝縮させたモノマーを含む)を用いることは勿論理解さ
れるであろう。しかしながら、この触媒を重合混合物に添加する前の個別段階で
活性のある触媒を適切な溶媒の中で生じさせるのが好適である。
本発明のポリマー類を製造するに適した重合条件は一般に溶液重合方法で有効
な条件であるが、本発明の出願をそれに限定するものでない。気相重合方法もま
た有効であると考えるが、但し適切な触媒および重合条件を用いることを条件と
する。
ガスケットは「o−リング」およびフラットシール(例えば意図した使用に相
応した厚さを有する「フィルム様」ガスケットなど)を含む数多くのいろいろな
形態を取り得る。
適切な最終使用には、飲物用キャップライナー、ホットフィルジュース用キャ
ップライナー、ポリプロピレン製キャップライナー、金属製キャップライナー、
高密度ポリエチレン製キャップライナー、窓ガラス用ガスケット、密封容器、密
封用キャップ、医学デバイス用ガスケット、フィルター要素、圧力排気用ガスケ
ット、ホットメルトガスケット、イージーツイストオフ(easy twist
off)キャップ、電気化学電池用ガスケット、冷蔵庫用ガスケット、ガルバ
ーニ電池用ガスケット、リークプルーフセル(leak proof cell
)用ガスケット、防水シート、再使用可能ガスケット、合成コルク様材料、薄セ
ル電子膜分離装置、磁気ゴム材料、アルコール飲料ボトルキャップ用ディスクガ
スケット、耐凍結シールリング、プラスチック鋳込み用ガスケット、伸縮継ぎ手
およびウオーターストップ、耐食導管継ぎ手、軟質磁気プラスチック、パイプジ
ョイントシール、一体式耐候プラスチック蓋および電気出力用ヒンジ、磁気面発
泡品(magnetic faced foamed articles)、ジ
ャーリング、軟質ガスケット、ガラスシール、いたずら証拠用シーリングライナ
ー、圧力アプリケーター、ボトルキャップとストローが一緒になった構造物、大
型調味料ボトルライナー、アップルソースまたはサルサ(salsa)ジャー用
金属キャップ、家庭缶詰用ジャー、「王冠」などが含まれる。
この実質的に線状であるエチレンポリマー類から作られるガスケットは、特に
これを食品用途で用いる時、数多くの利点を有する。この利点には、現在用いら
れているポリマーガスケット、例えばエチレン/酢酸ビニルなどに比べて味およ
び臭気が改良されていること、極性基質(例えばポリエチレンテレフタレート、
ガラスなど)への粘着性が低いこと
(これは、密封容器/キャップを外す時のトルクを低くするに有効である)、抽
出物量が低いこと(これはまた特に規則順守に関して食品で有効である)、非極
性基質[例えばポリプロピレンおよび高密度ポリエチレ(線状ホモポリマーであ
るポリエチレンまたは線状の不均一高密度ポリエチレン)など]への粘着力が良
好なこと、酸素、二酸化炭素および水に対するバリヤー性が充分であること、現
在用いられているポリマー類(例えばエチレン/酢酸ビニルなど)に比較して融
点が高いこと、応力亀裂抵抗力が良好なこと、耐化学品性が良好なこと、硬度を
変えることができること(特定の包装では、容器を密封するに必要なトルクの度
合およびこの容器の内部圧力に応じて、ガスケットの堅さを高くするか或は低く
する必要があり得るが、これに有効である)、そして最も重要には、ユニークに
分子量分布(Mw/Mn)から独立させてメルトフロー比(I10/I2)を調節し
て優れた加工性を達成することができることが含まれる。このガスケット用途で
は1.5から2.5のMw/Mnおよび7から20の如き高いI10/I2比を示す
実質的に線状であるエチレンポリマー類が特に有用である。
種々のガスケット製造技術には、
米国特許第5,215,587(McConnellogue他);米国特許第4,085,1
86(Rainer);米国特許第4,619,848(Kinght他);米国特許第5,
104,710(Kinght);米国特許第4,981,231(Kinght);米国特
許第4,717,034(Mumford);米国特許第3,786,954(Shull)
;米国特許第3,779,965(Lefforge他);米国特許第3,493,453
(Ceresa他):米国特許第3,183,144(Caviglia);米国特許第3,3
00,072(Cavigli
a);米国特許第4,984,703(Burzynski);米国特許第3,414,93
8(Caviglia);米国特許第4,939,859(Bayer);米国特許第5,13
7,164(Bayer);および米国特許第5,000,992(Kelch).
に開示されている技術が含まれる。
本明細書で請求するガスケットはまた、通常技術を用いて、押出し加工シート
またはフィルム、例えばブローンフィルム、キャストフィルムまたは押出し被覆
フィルムなどを用いそして次にこのシートまたはフィルムからガスケットを打ち
抜くか或は切り取ることでも製造可能である。本明細書に開示するガスケットの
製造で使用するに多層フィルム構造物もまた適切であるが、但し少なくとも1つ
の層(好適には製品に隣接して位置する内側層)にこの実質的に線状であるエチ
レンポリマーを含める。この実質的に線状であるエチレンポリマー類が入ってい
るフォーム多層ガスケットもまた本発明で有用である。実施例1および2と比較実施例3−5
実施例1−3および比較実施例4−9を酸素および水透過性に関して試験した
。実施例1−3は、米国出願連続番号07/776,130に記述されている如
き拘束幾何触媒技術を用いて製造したエチレン/1−オクテンの実質的に線状で
あるポリエチレンであった。実施例1および2は各々約1g/10分のメルトイ
ンデックスおよび約0.902g/cm3の密度を示した。実施例3は約1g/
10分のメルトインデックスおよび約0.91g/cm3の密度を示した。
比較実施例4はザ・ダウケミカルカンパニー(The Dow Chemic
al Company)が製造している商標がPrimaco
rTM 1410のエチレン/アクリル酸コポリマーであり、これは約1.5g/
10分のメルトインデックスを示し、アクリル酸含有量は約9.7パーセント(
重量)であった。比較実施例5は、ザ・ダウケミカルカンパニーが製造している
商標がAttaneTM 4201の、通常の不均一チーグラー重合ポリマーであ
り、これは約1g/10分のメルトインデックスおよび約0.912g/cm3
の密度を示した。比較実施例6は約1g/10分のメルトインデックスおよび約
0.9g/cm3の密度を示すエチレン/1−オクテンポリマーであった。
比較実施例7および8はDuPontが製造しているエチレン/メタアクリル
酸アイオノマーであった。比較実施例7は、Surlyn(商標)1601、即
ち約1.3g/10分のメルトインデックスを示すナトリウムアイオノマーであ
った。比較実施例8は、Surlyn(商標)1652、即ち約5.5g/10
分のメルトインデックスを示す亜鉛アイオノマーであった。
比較実施例9は、DuPontが製造している商標がElvaxTM 3128
のエチレン/酢酸ビニルコポリマーであり、これは約2g/10分のメルトイン
デックスを示し、酢酸ビニル含有量は約8.9パーセントであった。
各ポリマーを厚さが約1ミルの試験フィルムに成形し、酸素透過率に関して2
回試験を行って、その結果の平均を取った。気体透過測定装置(Mocon,I
nc.、ミネソタ州が製造しているモデル1050A)を用いて酸素透過率の測
定を行った。試験を行うに先立って試験フィルムを窒素雰囲気下で24時間貯蔵
した。次に、このフィルムを標準様式で気体透過用セル上に置いた。酸素透過率
の測定では、酸素が3重量パ
ーセントで窒素が97重量パーセントの標準ガス混合物を70パーセントの相対
湿度下24℃で用いた。
実施例1−3および比較実施例4−9に関する酸素透過率および水透過率を表
3に要約する。
この実質的に線状であるエチレンポリマー類から作成したフィルム(および結
果として得られるガスケット)はエチレン/アクリル酸コポリマー類のそれに匹
敵する水透過率を有することを、上記データは示している。実施例10−16
一連の基質にプラーク(厚さ約75ミル)を圧縮シーリングすることで、この
実質的に線状であるエチレン/1−オクテンコポリマー類が示す粘着性を試験し
た。この粘着データを以下の表4に要約する。
実施例17と比較実施例18および19
この実質的に線状であるエチレンポリマー類が同じメルトインデックスおよび
密度であっても匹敵する不均一ポリマー類よりいかに低い粘度を有するかを示す
目的で、せん断速度および粘度の比較を行った。L/Dが79.7649のダイ
スが備わっているInstron Capillary Rheometerを
用い、入り口角度を90°にして、せん断速度および粘度を90℃の温度で測定
した。実施例17は、約30g/10分のメルトインデックス、約0.913g
/cm3の密度、約2のMw/Mnおよび約7.5のI10/I2を示す実質的に線状
であるエチレン/1−オクテンコポリマーであった。比較実施例18は、約3
0g/10分のメルトインデックス、約0.917g/cm3の密度、約3.5
のMw/Mnおよび約6のI10/I2を示す不均一エチレン/1−オクテンコポリ
マーであった。比較実施例19は、約9g/10分のメルトインデックスを示す
酢酸ビニル含有量(コポリマーの重量で)が約9パーセントのエチレン/酢酸ビ
ニルコポリマーであった。これら3種ポリマー類に関するせん断速度に対する粘
度のデータを表5に要約する。
このデータが示すように、実質的に線状であるエチレンポリマー類は線状の不均
一エチレンポリマー類およびエチレン/酢酸ビニルコポリマー類より低い粘度を
有し、このことは、この実質的に線状であるエチレン
ポリマー類の方が比較線状不均一エチレンコポリマー類よりも狭い分子量分布を
有しているにも拘らず改良された加工性を有することを示している。
また、以下に示す試験方法に従って種々の物性を試験した:エルメンドルフ引
裂き:ASTM D−1922、ダート衝撃:ASTM D−4272、引張り
降伏、極限引張り、パーセント伸び:ASTM D−638、穴開き:直径が1
2.5mmのアルミニウム製半球プローブが備わっているInstronテンシ
オメーターを250mm/分の変形速度で運転することで得る。
快楽目盛り(hedonic scale)は、個々のポリマー材料が示す味
および/または臭気性能に関する人の好みの平均を表す。この快楽試験目盛りは
1から9であり、ここで1は「非常に嫌い」を表し、そして9は「非常に好き」
な好みを表し、そして1と9の間の他の値は、上記2つの範囲間のいろいろな度
合の好みを表す。快楽目盛り等級が5であることは、評価する人が「好き]でも
「嫌い」でもない等級を示すポリマーを表す。実施例17および比較実施例19
に関する物性データを表6に要約する。
表5に示す粘度比較には、メルトインデックスが約30g/10分の実質的に線
状であるエチレン/1−オクテンコポリマーの方がメルトインデックスが約9g
/10分のエチレン/酢酸ビニルコポリマーよりも優れた加工性を有することが
示されている。表6には、上記実質的に線状であるエチレン/1−オクテンコポ
リマーの方が上記エチレン/酢酸ビニルコポリマーよりも驚くべきほど優れた引
裂き強度、引張り降伏、極限引張り、穴開き抵抗力およびダート衝撃強度を有す
ることが示されている(このような特性はガスケットの保全および性能にとって
重要である)。ヘキサンによる抽出パーセント
食品に接触させて用いられるガスケット(例えば飲物用容器におけるボトルキ
ャップライナーなど)はシーリングで有効でなければならないばかりでなく、こ
れが食品の味または臭気の一因になるとしてもほとんどあってはならない。ガス
ケットに入っている成分が移行し得る量を測る1つの技術は、ヘキサン抽出パー
セントを測定することによる技術である。例えば、米国のFDA(Food a
nd Drug Administration)は、食品接触用途で用いられ
るオレプィンポリマー類に関するヘキサン抽出パーセントを最大量で5.5パー
セントに制限している。
ヘキサン抽出パーセントを21 CFR 177.1520(d)(3)(i
i)に従って測定した。この手順は、ポリマーサンプルを厚さが約4ミルのフィ
ルムに圧縮成形することを伴う。この圧縮成形したフィルムから1インチ(2.
54cm)平方のサンプルを切り取り、そして容器の中にその正方形サンプルを
2.5グラム入れた。この容器の中にヘキサンを入れた後、温度を室温から上昇
させて50℃にした。この容器の中でヘキサンを2時間還流させ、この時点でポ
リマーサンプルを取り出した。次に、このヘキサンを蒸発させてその残渣の重量
測定を行った。次に、この残渣の重量を該ポリマーに含まれる抽出物のパーセン
トとして報告した。
表7において、実施例20、22、23、25、27、29、32および34
は全部、実質的に線状であるエチレン/1−オクテンコポリマー類である一方、
比較実施例は全部、線状の不均一に分枝しているエチレン/1−オクテンコポリ
マー類である。このポリマー類に関するI2、
密度、I10/I2およびヘキサン抽出パーセントを表7に要約する。
表7のデータが示すように、本発明のガスケットを製造するに有用な
実質的に線状であるエチレン/1−オクテンポリマー類は1−オクテンのレベル
が同様であるにも拘らず線状の不均一に分枝しているエチレン/1−オクテンポ
リマー類に比較して非常に低い抽出物レベルを示す。例えば、実施例25と比較
実施例24*は両方ともほぼ同じI2、密度、I10/I2および1−オクテン含有
量を有しているが、実施例25が示すヘキサン抽出レベルは、比較実施例24*
に比べて1桁低いレベルである(比較実施例24*の場合の6.55パーセント
に対して実施例25では0.62パーセント)。本明細書に開示するガスケット
が示すヘキサン抽出パーセントは、好適には5パーセント未満、特に2.5パー
セント未満、最も特別には1パーセント未満から0.1パーセントの如き低いレ
ベルである。