JP2003276118A - 多層フィルム - Google Patents

多層フィルム

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JP2003276118A
JP2003276118A JP2002081260A JP2002081260A JP2003276118A JP 2003276118 A JP2003276118 A JP 2003276118A JP 2002081260 A JP2002081260 A JP 2002081260A JP 2002081260 A JP2002081260 A JP 2002081260A JP 2003276118 A JP2003276118 A JP 2003276118A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低温衝撃性,ブロッキング性に優れる腰の強
い多層フィルムを提供すること。 【解決手段】 (A)水添重合体100重量部と(B)
プロピレン系重合体85〜0重量部からなる第1層及び
(C)オレフィン系重合体からなる第2層を含み,水添
重合体が,平均ビニル結合含量が20重量%以上40重
量%未満の共役ジエン重合体の共役ジエン部分の二重結
合残基の85%以上が水添された水添物であって,重量
平均分子量が6万〜60万,分子量分布が1.55〜
5.0であることを特徴とする多層フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フィルム特性に優れた
多層フィルムに関する。具体的には,低温衝撃性,ブロ
ッキング性に優れる腰の強い多層フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】現在,フィルムの素材としては,ポリ塩
化ビニル,ポリプロピレン等が知られているが,それぞ
れ長所,短所を有しており,全ての面で満足すべきもの
は得られていない。ポリ塩化ビニルは,透明性が優れる
が,低温特性が悪く,またシ−ル時における腐蝕性ガス
の発生等の問題がある。
【0003】ポリプロピレンは,低温衝撃性やヒ−トシ
−ル性に劣る。また,これらの特性を改良するために,
少量のエチレンを共重合したプロピレン−エチレンラン
ダム共重合体や,ブテン−1を共重合したエチレン−ブ
テン共重合体,プロピレン−ブテン共重合体をブレンド
したプロピレン系樹脂組成物を使用する場合がある。し
かし,それでも耐ブロッキング性が悪く,目標の性能の
フィルムは得られていないのが現状である。
【0004】また,以上のような単層フィルムの他に多
層フィルムが検討されている。例えば,特開昭62−1
44947号公報には,ポリプロピレンとエラストマ−
からなる第1層とポリエチレンとエラストマ−からなる
第2層からなる多層フィルムが開示されている。さらに
特開平9−327893号公報には,ポリオレフィン系
樹脂からなる基層とそれにビニル結合を有するブタジエ
ン含有量が25%以下である重合体が水素添加されたブ
ロックを少なくとも末端に有する水添系共重合体をブレ
ンドした組成物からなる表層からなる多層フィルムが,
特開平11−320765号公報には,プロピレン系重
合体とビニル結合含量が50〜90%であるジエン系重
合体の水添物との組成物を中間層とエチレン系重合体と
同水添物からなる表面層を具備した多層フィルムが開示
されている。これらの多層フィルムは,柔軟性に優れる
ものの,低温衝撃性やフィルムブロッキング性等は不十
分であり,まだ満足できるレベルにはない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は,上記
の諸問題を解決するためになされたものであり,低温衝
撃性,ブロッキング性に優れる腰の強い多層フィルムを
提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
鋭意検討を重ねた結果、本発明者らは(A)特定の水添
重合体100重量部と(B)プロピレン系重合体0〜8
5重量部からなる第1層及び(C)オレフィン系重合体
からなる第2層を含む多層フィルムが,上記課題を効果
的に解決することを見いだし本発明を完成するに至っ
た。即ち本発明は、(A)水添重合体100重量部と
(B)プロピレン系重合体0〜85重量部からなる第1
層及び(C)オレフィン系重合体からなる第2層を含
み,水添重合体が,平均ビニル結合含量が20重量%以
上40重量%未満の共役ジエン重合体の共役ジエン部分
の二重結合残基の85%以上が水添された水添物であっ
て,重量平均分子量が6万〜60万,分子量分布が1.
55〜5.0であることを特徴とする多層フィルムを提
供するものである。
【0007】以下本発明を詳細に説明する。まず第1層
について述べる。本発明の第1層に(A)成分として使
用される水添重合体は、水添前における重合体分子中の
ビニル結合含量が20重量%以上40重量%未満、好ま
しくは21〜38重量%、更に好ましくは22〜36重
量%である。ここに,ビニル結合含量とは,重合体中に
1,2−結合,3,4−結合及び1,4−結合の結合様
式で組み込まれている共役ジエン化合物のうち,1,2
−結合及び3,4−結合で組み込まれているものの割合
である。平均ビニル結合含量が20重量%未満の場合、
水添重合体の製造時に炭化水素溶媒に溶解しにくく生産
適性に劣るばかりでなく、フィルムとして使用する場合
に低温衝撃性改良効果が劣るため好ましくない。一方、
平均ビニル結合含量が40重量%を超える場合、フィル
ムの腰が低下する。また,表層に使用した場合,ブロッ
キング性の激しい多層フィルムとなる。
【0008】本発明のフィルムに使用される水添重合体
は、上記の共役ジエン重合体中の共役ジエン部分の二重
結合残基の85%以上、好ましくは90%以上、更に好
ましくは92%以上、特に好ましくは95%以上が水添
されたものである。水添率が85%未満の場合は、熱安
定性がが劣り,フィルム中のフィッシュ・アイの原因と
なる。また,表層に使用した場合,ブロッキング性の激
しい多層フィルムとなる。
【0009】本発明のフィルムに使用される水添重合体
は、分子量が6万〜60万、好ましくは7万〜50万、
更に好ましくは8〜40万であり、分子量分布が1.5
5〜5.0、好ましくは1.6〜4.5、更に好ましく
は1.85〜4である。分子量が6万未満の場合は、フ
ィルムの腰が劣り,表層に使用した場合には,ブロッキ
ング性の激しい多層フィルムとなる。また,分子量が6
0万を超えるとフィルムの加工性が劣る。また、分子量
分布が1.55未満の場合は、フィルムの加工性が劣る
ため好ましくない。分子量分布が5を超えると、フィル
ムの腰が劣る。また,分子量のピ−クは,一山であって
も,二山以上であってもかまわないが,バランスの良い
フィルム特性のフィルムを得るには,一山の方が好まし
い。
【0010】本発明のフィルムに使用される水添重合体
は、水添前の該重合体鎖中におけるビニル結合含量の最
大値と最小値との差が10重量%未満である共役ジエン
重合体であることが好ましい。重合体鎖中のビニル結合
は、ビニル結合含量の最大値と最小値との差が10重量
未満%の範囲において、テーパー状に分布していても良
い。ここで,ビニル結合含量の最大値と最小値との差と
は,重合条件,すなわちビニル量調整剤の種類,量及び
重合温度で決定されるビニル量の最大値と最小値との差
である。
【0011】共役ジエン重合体鎖中のビニル結合含量の
最大値と最小値との差は、例えば共役ジエン重合体の製
造時の重合温度によって制御することができる。第3級
アミン化合物またはエーテル化合物のようなビニル量調
整剤の種類と量が一定の場合,重合中のポリマ−鎖に組
み込まれるビニル結合含量は,重合温度によって決ま
る。従って,等温で重合した重合体はビニル結合が均一
に分布した重合体となる。これに対し,昇温で重合した
重合体は,初期(低温で重合)が高ビニル結合含量,後
半(高温で重合)が低ビニル結合含量といった具合にビ
ニル結合含量に差のある重合体となる。ビニル結合含量
の最大値と最小値との差が10重量%を越えると,腰の
低いフィルムとなり好ましくない。
【0012】本発明において、水素添加前の共役ジエン
重合体中の共役ジエン化合物に基づくビニル結合含量
は、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて知ることができ
る。水添重合体の水添率は、核磁気共鳴装置(NMR)
等を用いて知ることができる。また、本発明において、
水添重合体の分子量は、ゲルパーミュエーションクロマ
トグラフィー(GPC)による測定を行い、クロマトグ
ラムのピークの分子量を、市販の標準ポリスチレンの測
定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量
を使用して作成)を使用して求めた重量平均分子量であ
る。尚、クロマトグラム中にピークが複数有る場合の分
子量は、各ピークの分子量と各ピークの組成比(クロマ
トグラムのそれぞれのピークの面積比より求める)から
求めた平均分子量をいう。水添重合体の分子量分布は、
同様にGPCによる測定から求めることができる。
【0013】本発明において、共役ジエン重合体を構成
する共役ジエン化合物は1対の共役二重結合を有するジ
オレフィンであり、例えば1,3ーブタジエン、2ーメチル
ー1,3ーブタジエン(イソプレン)、2,3ージメチルー1,
3ーブタジエン、1,3ーペンタジエン、2-メチル-1,3ーペ
ンタジエン、1,3ーヘキサジエンなどであるが、特に一
般的なものとしては1,3ーブタジエン、イソプレンが挙
げられる。これらは一種のみならず二種以上を使用して
もよい。本発明の水添重合体は、実質的に共役ジエン化
合物からなるが、必要によりビニル芳香族化合物が共重
合されていても良い。
【0014】ビニル芳香族化合物としては、例えばスチ
レン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビ
ニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−
ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチ
ル−p−アミノエチルスチレン等があげられる。これら
の含有量は、5重量%未満、好ましくは4重量%以下、
更に好ましくは3重量%以下であることが推奨される。
本発明において、水素添加前の共役ジエン重合体は、例
えば炭化水素溶媒中で有機アルカリ金属化合物等の開始
剤を用いてアニオンリビング重合により得られる。炭化
水素溶媒としては、例えばn−ブタン、イソブタン、n
−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタ
ンの如き脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、シクロヘ
プタン、メチルシクロヘプタンの如き脂環式炭化水素
類、また、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベン
ゼンの如き芳香族炭化水素である。
【0015】また、開始剤としては、一般的に共役ジエ
ン化合物に対しアニオン重合活性があることが知られて
いる脂肪族炭化水素アルカリ金属化合物、芳香族炭化水
素アルカリ金属化合物、有機アミノアルカリ金属化合物
等が含まれ、アルカリ金属としてはリチウム、ナトリウ
ム、カリウム等である。好適な有機アルカリ金属化合物
としては、炭素数1から20の脂肪族および芳香族炭化
水素リチウム化合物であり、1分子中に1個のリチウム
を含む化合物、1分子中に複数のリチウムを含むジリチ
ウム化合物、トリリチウム化合物、テトラリチウム化合
物が含まれる。具体的にはn−プロピルリチウム、n−
ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−
ブチルリチウム等を使用することができる。
【0016】本発明において有機アルカリ金属化合物を
重合開始剤として共役ジエン化合物を重合する際に、重
合体に組み込まれる共役ジエン化合物に起因するビニル
結合(1,2または3,4結合)の含量を増やすため
に、ビニル量調整剤として第3級アミン化合物またはエ
ーテル化合物を添加することができる。第3級アミン化
合物としては一般式R123N(ただしR1、R2、R3
は炭素数1から20の炭化水素基または第3級アミノ基
を有する炭化水素基である)の化合物である。
【0017】たとえば、トリメチルアミン、トリエチル
アミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリ
ン、N−エチルピペリジン、N−メチルピロリジン、
N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、
N,N,N’,N’−テトラエチルエチレンジアミン、
1,2−ジピペリジノエタン、トリメチルアミノエチル
ピペラジン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチル
エチレントリアミン、N,N’−ジオクチル−p−フェ
ニレンジアミン等である。
【0018】またエーテル化合物としては、直鎖状エー
テル化合物および環状エーテル化合物から選ばれ、直鎖
状エーテル化合物としてはジメチルエーテル、ジエチル
エーテル、ジフェニルエーテル、エチレングリコールジ
メチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテ
ル、エチレングリコールジブチルエーテル等のエチレン
グリコールのジアルキルエーテル化合物類、ジエチレン
グリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジ
エチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテ
ル等のジエチレングリコールのジアルキルエーテル化合
物類が挙げられる。
【0019】また、環状エーテル化合物としてはテトラ
ヒドロフラン、ジオキサン、2,5−ジメチルオキソラ
ン、2,2,5,5−テトラメチルオキソラン、2,2
−ビス(2−オキソラニル)プロパン、フルフリルアル
コールのアルキルエーテル等が挙げられる。本発明にお
いて有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として共役ジ
エン化合物を重合する方法は、バッチ重合であっても連
続重合であっても、或いはそれらの組み合わせであって
もよい。但し,重合体の分子量分布を本発明の範囲に調
整する点では,連続重合が好ましい。重合温度は、一般
に0℃乃至180℃、好ましくは30℃乃至150℃で
ある。但し,重合体のビニル結合含量の最大値と最小値
との差を小さくする点では,等温重合が好ましい。
【0020】重合に要する時間は条件によって異なる
が、通常は48時間以内であり、特に好適には0.1乃
至10時間である。又、重合系の雰囲気は窒素ガスなど
の不活性ガス雰囲気にすることが好ましい。重合圧力
は、上記重合温度範囲でモノマー及び溶媒を液相に維持
するに充分な圧力の範囲で行えばよく、特に限定される
ものではない。更に、重合系内は触媒及びリビングポリ
マーを不活性化させるような不純物、例えば水、酸素、
炭酸ガスなどが混入しないように留意する必要がある。
【0021】本発明において、分子量分布を本発明の範
囲に調整するため、前記重合終了時に2官能以上のカッ
プリング剤を必要量添加してカップリング反応を行うこ
とができる。2官能カップリング剤としては公知のもの
いずれでも良く、特に限定されない。例えば、ジメチル
ジクロロシラン、ジメチルジブロモシラン等のジハロゲ
ン化合物、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸
フェニル、フタル酸エステル類等の酸エステル類等が挙
げられる。また、3官能以上の多官能カップリング剤と
しては公知のものいずれでも良く、特に限定されない。
【0022】例えば、3価以上のポリアルコール類、エ
ポキシ化大豆油、ジグリシジルビスフェノールA、1,
3−ビス(N,N’−ジグリシジルアミノメチル)シク
ロヘキサン等の多価エポキシ化合物、一般式R4-nSi
n(ただし、Rは炭素数1から20の炭化水素基、X
はハロゲン、nは3から4の整数を示す)で示されるハ
ロゲン化珪素化合物、例えばメチルシリルトリクロリ
ド、tーブチルシリルトリクロリド、四塩化珪素および
これらの臭素化物等、一般式R4-nSnXn(ただし、R
は炭素数1から20の炭化水素基、Xはハロゲン、nは
3から4の整数を示す)で示されるハロゲン化錫化合
物、例えばメチル錫トリクロリド、tーブチル錫トリク
ロリド、四塩化錫等の多価ハロゲン化合物が挙げられ
る。炭酸ジメチルや炭酸ジエチル等も使用できる。
【0023】本発明において、共役ジエン重合体として
重合体の少なくとも1つの重合体鎖末端に極性基含有原
子団が結合した末端変性共役ジエン重合体を使用するこ
とができる。極性基含有原子団としては、例えば水酸
基、カルボキシル基、カルボニル基、チオカルボニル
基、酸ハロゲン化物基、酸無水物基、カルボン酸基、チ
オカルボン酸基、アルデヒド基、チオアルデヒド基、カ
ルボン酸エステル基、アミド基等を含有する原子団が挙
げられる。末端変性共役ジエン重合体は、共役ジエン重
合体の重合終了時にこれらの極性基含有原子団を有する
化合物を反応させることにより得られる。極性基含有原
子団を有する化合物としては、具体的には、特公平4-39
495号公報に記載された末端変性処理剤を使用できる。
【0024】上記で得られた共役ジエン重合体を水素添
加することにより、本発明で使用する水添重合体が得ら
れる。水添触媒としては、特に制限されず、従来から公
知である水添触媒が用いられる。具体的な水添触媒とし
ては、特公昭42-8704号公報、特公昭43-6636号公報、特
公昭63-4841号公報、特公平1-37970号公報、特公平1-53
851号公報、特公平2-9041 号公報に記載された水添触媒
を使用することができる。好ましい水添触媒としてはチ
タノセン化合物および/または還元性有機金属化合物と
の混合物が挙げられる。
【0025】チタノセン化合物としては、特開平8−1
09219号公報に記載された化合物が使用できるが、
具体例としては、ビスシクロペンタジエニルチタンジク
ロライド、モノペンタメチルシクロペンタジエニルチタ
ントリクロライド等の(置換)シクロペンタジエニル骨
格、インデニル骨格あるいはフルオレニル骨格を有する
配位子を少なくとも1つ以上もつ化合物があげられる。
また、還元性有機金属化合物としては、有機リチウム等
の有機アルカリ金属化合物、有機マグネシウム化合物、
有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物あるいは有
機亜鉛化合物等があげられる。
【0026】本発明で使用する水添重合体の水素添加に
おいて、水添反応は一般的に0〜200℃、より好まし
くは30〜150℃の温度範囲で実施される。水添反応
に使用される水素の圧力は0.1から15MPa、好ま
しくは0.2から10MPa、更に好ましくは0.3か
ら5MPaが推奨される。また、水添反応時間は通常3
分〜10時間、好ましくは10分〜5時間である。水添
反応は、バッチプロセス、連続プロセス、或いはそれら
の組み合わせのいずれでも用いることができる。
【0027】上記のようにして得られた水添重合体の溶
液は、必要に応じて触媒残査を除去し、水添重合体を溶
液から分離することができる。溶媒の分離の方法として
は、例えば水添後の反応液にアセトンまたはアルコール
等の水添重合体に対する貧溶媒となる極性溶媒を加えて
重合体を沈澱させて回収する方法、反応液を撹拌下熱湯
中に投入し、スチームストリッピングにより溶媒を除去
して回収する方法、または直接重合体溶液を加熱して溶
媒を留去する方法等を挙げることができる。尚、本発明
の水添重合体には、各種フェノール系安定剤、リン系安
定剤、イオウ系安定剤、アミン系安定剤等の安定剤を添
加することができる。
【0028】本発明の水添重合体は、α、β−不飽和カ
ルボン酸又はその誘導体、例えばその無水物、エステル
化物、アミド化物、イミド化物で変性することができ
る。α、β−不飽和カルボン酸又はその誘導体の具体例
としては、無水マレイン酸、無水マレイン酸イミド、ア
クリル酸又はそのエステル、メタアクリル酸又はそのエ
ステル、エンド−シス−ビシクロ〔2,2,1〕−5−ヘプテ
ン−2,3−ジカルボン酸又はその無水物などが挙げられ
る。α、β−不飽和カルボン酸又はその誘導体の付加量
は、水添重合体100重量部当たり、一般に0.01〜
20重量部、好ましくは0.1〜10重量部である。
【0029】本発明で使用する水添重合体において、加
工性の点で特に好ましい水添重合体は、メルトフロー比
が4〜30,好ましくは5〜25,更に好ましくは6〜
20である。ここでメルトフロー比とは、190℃、荷
重10Kgで測定したメルトフローレ−トと190℃、
荷重2.16Kgで測定したメルトフローレ−トとの比
である。本発明の第1層に(B)成分として使用される
プロピレン系重合体は、プロピレンを主体とする重合体
であり,他の共重合可能なオレフィンや極性モノマ−が
共重合されていてもよい。共重合成分としては,例えば
エチレン,ブテン−1,ペンテン−1,ヘキセン−1,
ヘプテン−1,オクテン−1等の直鎖状α−オレフィ
ン,4−メチルペンテン−1,2−メチルプロペン−
1,3−メチルペンテン−1,5−メチルヘキセン−
1,4−メチルヘキセン−1,4,4−ジメチルペンテ
ン−1,等の分岐状のα−オレフィン等が挙げられる。
【0030】より好ましくは,エチレン,ブテン−1,
ペンテン−1,ヘキセン−1,ヘプテン−1,オクテン
−1等の直鎖状α−オレフィンであり,特に好ましく
は,エチレン,ブテン−1である。これらの他のモノマ
−は,単独でまたは2種以上を混合して使用することが
できる。これら共重合成分の量としては,好ましくは3
0重量%以下,より好ましくは20重量%以下である。
また,コモノマ−を共重合した場合の共重合体の結合様
式に特に制限はなく,ランダム型,ブロック型,グラフ
ト型等いずれであってもよいが,好ましくはランダム型
である。プロピレン系重合体のメルトフロ−レ−ト(2
30℃,2.16kg荷重)は,フィルムとして成形可
能であるかぎり特に制限はないが,好ましくは0.1〜
20g/10分,より好ましくは0.5〜15g/10
分とすることにより,成形性に優れた多層フィルムが得
られる。
【0031】また,本発明において,プロピレン系重合
体は,単独でまたは2種以上を混合して使用することが
できる。また,第1層中の(B)プロピレン系重合体の
配合量は,0〜85重量%,好ましくは10〜75重量
%,より好ましくは20〜65重量%である。(A)水
添重合体の配合量が15重量%未満では,フィルムの低
温衝撃性が低いものになってしまう。
【0032】次に第2層について述べる。本発明の第2
層に使用される(C)オレフィン系重合体は,エチレ
ン,炭素数3〜12のα−オレフィン,例えばプロピレ
ン,1−ブテン,イソブチレン,4−メチル−1−ペン
テン,1−オクテンから選ばれる1種もしくは2種以上
のモノマ−を重合して得られる重合体であれば特に限定
されるものではない。例えば,ポリエチレン,ポリプロ
ピレン,エチレン−プロピレン重合体,ポリブテン,エ
チレン−ブテン共重合体、エチレン−オクテン共重合体
などがあげられる。共重合体は,ランダム共重合体,ブ
ロック共重合体のいずれでもよく,これらの混合物でも
よい。また、α−オレフィンの2種又は3種以上の共重
合体ゴム,又はα−オレフィンと他のモノマ−との共重
合体等のオレフィン系熱可塑性エラストマ−を含有して
いてもよい。これら共重合体ゴムとしては,エチレン−
プロピレン共重合体ゴム(EPR),エチレン−ブテン
共重合体ゴム(EBR),エチレン−オクテン共重合体
ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(E
PDM)等が挙げられる。
【0033】また、本発明に使用するオレフィン系重合
体のメルトフロ−レ−ト(230℃,2.16kg荷
重)は,フィルムとして成形可能であるかぎり特に制限
はないが,好ましくは0.1〜20g/10分,より好
ましくは0.5〜15g/10分とすることにより,成
形性に優れた多層フィルムが得られる。本発明において
は,必要に応じて任意の添加剤を配合することができ
る。添加剤の種類は,熱可塑性樹脂やゴム状重合体の配
合に一般的に用いられるものであれば特に制限はない。
例えば,シリカ,炭酸カルシウム,炭酸マグネシウム,
水酸化マグネシウム、硫酸カルシウム,硫酸バリウム、
タルク、マイカ等の無機充填剤,ステアリン酸,ベヘニ
ン酸,ステアリン酸亜鉛,ステアリン酸カルシウム,ス
テアリン酸マグネシウム,エチレンビスステアロアミド
等の滑剤,ヒンダードフェノール系酸化防止剤、りん系
熱安定剤等の酸化防止剤,ヒンダードアミン系光安定
剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤,帯電防止剤,
その他添加剤或いはこれらの混合物等が挙げられる。
【0034】本発明の多層フィルムの製造方法は,特に
制限されるものではなく,公知の方法が利用できる。例
えば,第1層における(A)成分と(B)成分との混合
は,例えばバンバリ−ミキサ−,単軸スクリュ−押出
機,2軸スクリュ−押出機,コニ−ダ,多軸スクリュ−
押出機等の一般的な混和機を用いた溶融混練方法,各成
分を溶解又は分散混合後,溶剤を加熱除去する方法等が
用いられる。本発明においては押出機による溶融混合法
が生産性、良混練性の点から好ましい。
【0035】多層フィルムは,例えば(1)第1層と第
2層とをインフレ−ション法,Tダイ法等の方法でフィ
ルムにした後,熱貼合する方法,(2)共押出しタイプ
のインフレ−ション成形機やTダイ成形機により直接積
層成形する方法,(3)予め成形した第1層または第2
層の少なくとも一方の面に他方の層を押出しラミネ−ト
する方法等の公知の方法で積層して製造することができ
る。本発明の多層フィルムは,第1層及び第2層からな
る基本的なニ層構造を含んでいる。また,第2の基本的
な構造は,三層構造である。その好ましい形態は,第1
層を基層とし,その両表層が第2層である多層フィルム
である。この場合,低温衝撃性が高いだけでなく,ブロ
ッキング性にも優れた腰の強いフィルムが得られる。も
うひとつの形態は,第2層を基層とし,その両表面層が
第1層である多層フィルムである。この場合において
も,低温衝撃性に優れた腰の強いフィルムが得られる。
【0036】さらには,三層より多くの層を含む多層フ
ィルムを提供することも本発明の範囲内であり,そのよ
うなフィルムにおいては,上記の基本的な三層構造の第
1層あるいは第2層の外面のいずれかまたは両方に,追
加の層は接着される。本発明の多層フィルムの厚さは,
フィルムの所望の特性や用途に応じて適宜選択される
が,強度の点から,10μm以上が好ましく,より好ま
しくは20μm以上である。また,本発明の多層フィル
ムにおける第1層と第2層との厚さの比率は,フィルム
の所望の特性や用途に応じて適宜選択されるが,第1層
/第2層=8/1〜1/8の範囲にあるのが好ましく,
より好ましくは第1層/第2層=6/1〜1/6の範囲
である。
【0037】本発明の多層フィルムは、冷凍食品等の各
種食品の包装,日用雑貨包装,シャツなどの衣料包装用
のフィルム,医療包装用のフィルム,プロテクトフィル
ム等の幅広い用途に好適に用いることができる。
【0038】
【発明の実施の形態】以下実施例により本発明を具体的
に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定さ
れるものではない。尚、以下の実施例において、重合体
の構造や特性,フィルムの物性の測定は、次のようにし
て行った。 水添重合体の構造と特性 1)ビニル結合量及び水添率 核磁気共鳴装置〔BRUKER社製、DPX−400〕
を用いて測定した。 2)分子量及び分子量分布 水素添加前の重合体を用い,GPC〔装置は、ウォータ
ーズ社製〕で測定した。溶媒にはテトラヒドロフランを
用い、測定条件は、温度35℃で行った。分子量は、ク
ロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリスチ
レンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピー
ク分子量を使用して作成)を使用して求めた重量平均分
子量である。尚、クロマトグラム中にピークが複数有る
場合の分子量は、各ピークの分子量と各ピークの組成比
(クロマトグラムのそれぞれのピークの面積比より求め
る)から求めた平均分子量をいう。また,分子量分布
は,得られた重量平均分子量と数平均分子量の比であ
る。 3)メルトフロー比 JIS K6758に準拠して測定した190℃、荷重
10kgのメルトフロ−レ−トと190℃、荷重2.1
6kgのメルトフロ−レ−トの比である。
【0039】
【0040】多層フィルムの物性 まず,水添重合体とプロピレン系重合体,を二軸押出機
(PCM30)で混練し、ペレット化した<第1層組成
物>。得られた各組成物とオレフィン系重合体<第2層
>をTダイを備えた三層フィルムが成形可能な押出成形
機(GT−40−32−A:プラスチック工学研究所社
製,基層用:40mmΦ,表層用:32mmΦ)に供給
し,三層共押出しを行い,三層フィルムを作成し,各種
評価を行った。
【0041】4)低温衝撃性 フィルムインパクトテスタ−(東洋精機製)を使用し,
棒径1/2インチで行った。尚,測定温度は,0℃とし
た。 5)腰の強さ JIS K7127に準拠し,TD方向に打ち抜いたサ
ンプルを使用して引張り試験を行った。引張弾性率が大
きいフィルム程,腰が強いと判断した。 6)ブロッキング性 フィルムを促進条件下で二枚重ねし,その後フィルムを
剥がし,剥がれ方からブロッキング性の良否を判断し
た。 ○:剥がれる ×:剥がれない (促進条件:50℃×荷重100g/cm2×48時間) 使用した各成分を下記に示す。
【0042】(A)成分:水添重合体 以下の方法により各水添重合体を作成した。尚,水添反
応に用いた水添触媒は、下記の方法で調製した。 I)水添触媒I 窒素置換した反応容器に乾燥、精製したシクロヘキサン
1リットルを仕込み、ビス(η5−シクロペンタジエニ
ル)チタニウムジクロリド100ミリモルを添加し、十
分に攪拌しながらトリメチルアルミニウム200ミリモ
ルを含むn−ヘキサン溶液を添加して、室温にて約3日
間反応させた。 II)水添触媒II 窒素置換した反応容器に乾燥、精製したシクロヘキサン
2リットルを仕込み、ビス(η5−シクロペンタジエニ
ル)チタニウムジ−(p−トリル)40ミリモルと分子
量が約1000の1,2−ポリブタジエン(1,2−ビ
ニル結合量約85%)150グラムを溶解した後、n−
ブチルリチウム60ミリモルを含むシクロヘキサン溶液
を添加して室温で5分反応させ、直ちにn−ブタノール
40ミリモルを添加攪拌して室温で保存した。
【0043】ポリマ−1 内容積が10L、L/D4の攪拌装置及びジャケット付
き槽型反応器に、ブタジエン濃度が20重量%のシクロ
ヘキサン溶液を6.19L/hrの供給速度で、n−ブ
チルリチウムをブタジエン100gに対して0.10g
になるような濃度に調整したシクロヘキサン溶液を2L
/hrの供給速度で、更にN,N,N’,N’−テトラ
メチルエチレンジアミンのシクロヘキサン溶液をn−ブ
チルリチウム1モルに対して0.35モルになるような
供給速度でそれぞれ供給し、90℃で連続重合した。反
応温度はジャケット温度で調整し、反応器の底部付近の
温度は約88℃、反応器の中部付近の温度は約90℃,
反応器の上部付近の温度は約90℃であった。重合反応
器における平均滞留時間は、約45分であり、ブタジエ
ンの転化率はほぼ100%であった。
【0044】連続重合で得られたポリマーの平均ビニル
結合含量は、30重量%であった。また、連続重合反応
時、反応器の底部付近からサンプリンしたポリマーのビ
ニル結合含量は、31重量%であった。連続重合で得ら
れたポリマ−のビニル結合含量の最大値と最小値との差
は2重量%以下と思われる。また,GPCによる平均分
子量は,23.3万,ピ−クは一山で,分布は1.9で
あった。次に、連続重合で得られたポリマーに、水添触
媒IIをポリマー100重量部当たりTiとして100
ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反
応を行った。得られた水添重合体(ポリマー1)の構造
を表1に示した。また,このポリマ−のメルトフロ−比
は,8.2であった。
【0045】ポリマ−2 n−ブチルリチウムとN,N,N’,N’−テトラメチ
ルエチレンジアミンの供給量を変える以外は、と同様
の方法で連続重合を行い、その後水添触媒IIを用いるこ
と以外はと同様に水添反応を行った。得られた水添重
合体(ポリマー2)の構造を表1に示した。
【0046】ポリマ−3 内容積が5L、L/D4の攪拌装置及びジャケット付き
槽型反応器を2基使用して連続重合を行った。1基目の
底部から,ブタジエン濃度が20重量%のシクロヘキサ
ン溶液を3.1L/hrの供給速度で、n−ブチルリチ
ウムをブタジエン100gに対して0.145gになる
ような濃度に調整したシクロヘキサン溶液を2L/hr
の供給速度で、更にN,N,N’,N’−テトラメチル
エチレンジアミンのシクロヘキサン溶液をn−ブチルリ
チウム1モルに対して0.25モルになるような供給速
度でそれぞれ供給し、90℃で連続重合した。反応温度
はジャケット温度で調整し、反応器の底部付近の温度は
約88℃、反応器の上部付近の温度は約90℃であっ
た。
【0047】1基目出口でのブタジエンの転化率はほぼ
100%であり、反応器の出口からサンプリングしたポ
リマーのビニル結合含量は、25重量%であった。1基
目から出たポリマ−溶液を2基目の底部から供給,また
同時に,ブタジエン濃度が20重量%のシクロヘキサン
溶液を3.1L/hrの供給速度で2基目の底部に供給
し,90℃で連続重合した。2基目の反応器の底部付近
の温度は約89℃、反応器の上部付近の温度は約90℃
であった。2基目出口でのブタジエンの転化率はほぼ1
00%であった。得られたポリマーのビニル結合含量
は、24重量%であり、2基目で形成されたポリマーの
ビニル結合含量は、23重量%であった。従って,ビニ
ル結合含量の最大値と最小値との差は2重量%である。
その後と同様に水添反応を行った。得られた水添重合
体(ポリマー3)の構造を表−1に示した。また,この
ポリマ−のメルトフロ−比は,7.5であった。
【0048】ポリマ−4 内容積が10L、L/D4の攪拌装置及びジャケット付
き槽型反応器に、シクロヘキサン3.3L、n−ブチル
リチウム濃度が15重量%のシクロヘキサン溶液を4.
1ml、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジ
アミンをn−ブチルリチウム1モルに対して0.22モ
ルの比率になるように添加した。その後、反応器の内部
温度を40℃に設定し、ブタジエン濃度が30重量%の
シクロヘキサン溶液を反応器に供給してバッチ重合し
た。供給開始1分後にポリマ−溶液の一部をサンプリン
グし,得られたポリマ−のビニル結合含量を測定した。
その時点でのビニル結合含量は44重量%,重合温度は
50℃であった。反応器へのブタジエンの供給量が79
0gになった時点でブタジエンのシクロヘキサン溶液の
供給を中止したが,供給時間は,約5分間,重合時の最
高温度は,90℃に達した。約15分後のブタジエンの
転化率はほぼ100%であった。得られたポリマーの平
均ビニル結合含量は、29重量%であった。従って,ポ
リマ−のビニル結合含量の最大値と最小値との差は15
重量%以上である。その後,と同様に水添反応を行っ
た。得られた水添重合体(ポリマ−4)の構造を表1に
示した。
【0049】ポリマ−5 まず、第一番目の反応として、内容積が10L、L/D
4の攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器に、シクロ
ヘキサン3.7L、n−ブチルリチウム濃度が15重量
%のシクロヘキサン溶液を13.4ml、N,N,
N’,N’−テトラエチレンジアミンをn−ブチルリチ
ウム1モルに対して0.02モルの比率になるように添
加した。その後、反応器の内部温度を90℃に設定し、
ブタジエン濃度が30重量%のシクロヘキサン溶液を1
20ml/分の速度で反応器に供給して重合した。反応
器の内部温度はジャケット温度で調整し、内部温度が9
0±3℃になるようにした。反応器へのブタジエンの供
給量が395gになった時点でブタジエンのシクロヘキ
サン溶液の供給を中止した。約15分後のブタジエンの
転化率はほぼ100%であった。得られたポリマーのビ
ニル結合含量は、15重量%であった。
【0050】次に、第二段目の反応として、上記のポリ
マー溶液にN,N,N’,N’−テトラエチレンジアミ
ンをn−ブチルリチウム1モルに対して0.5モルの比
率になるように添加した後、反応器の内部温度を90±
3℃に保ちながら、ブタジエン濃度が30重量%のシク
ロヘキサン溶液を120ml/分の速度で反応器に供給
して重合した。反応器へ追添したブタジエンの供給量が
395gになった時点でブタジエンのシクロヘキサン溶
液の供給を中止した。約15分後のブタジエンの転化率
はほぼ100%であった。重合反応終了後、反応器に四
塩化ケイ素をn−ブチルリチウム1モルに対して1/4
モルの比率になるような量で添加してカップリング反応
させた。
【0051】得られたポリマーの平均ビニル結合含量
は、29重量%であり、第二段目で形成されたブタジエ
ン部分のビニル含量は43重量%であった。従って,ポ
リマ−のビニル結合含量の最大値と最小値との差は28
重量%である。その後、と同様の方法で水添反応を行
い、水添重合体(ポリマー5)を得た。その水添重合体
の構造を表1に示した。
【0052】ポリマ−6 まず、第一番目の反応として、内容積が10L、L/D
4の攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器に、シクロ
ヘキサン3.7L、n−ブチルリチウム濃度が15重量
%のシクロヘキサン溶液を6.2ml、N,N,N’,
N’−テトラエチレンジアミンをn−ブチルリチウム1
モルに対して0.02モルの比率になるように添加し
た。その後、反応器の内部温度を90℃に設定し、ブタ
ジエン濃度が30重量%のシクロヘキサン溶液を120
ml/分の速度で反応器に供給して重合した。反応器の
内部温度はジャケット温度で調整し、内部温度が90±
3℃になるようにした。反応器へのブタジエンの供給量
が237gになった時点でブタジエンのシクロヘキサン
溶液の供給を中止した。約15分後のブタジエンの転化
率はほぼ100%であった。得られたポリマーのビニル
結合含量は、15重量%であった。
【0053】次に、第二段目の反応として、上記のポリ
マー溶液にN,N,N’,N’−テトラエチレンジアミ
ンをn−ブチルリチウム1モルに対して1.1モルの比
率になるように添加した後、反応器の内部温度を60±
3℃に保ちながら、ブタジエン濃度が30重量%のシク
ロヘキサン溶液を120ml/分の速度で反応器に供給
して重合した。反応器へ追添したブタジエンの供給量が
553gになった時点でブタジエンのシクロヘキサン溶
液の供給を中止した。約15分後のブタジエンの転化率
はほぼ100%であった。重合反応終了後、反応器にジ
メチルジクロロシランをn−ブチルリチウム1モルに対
して1/2モルの比率になるような量で添加してカップ
リング反応させた。
【0054】得られたポリマーの平均ビニル結合含量
は、56重量%であり、第二段目で形成されたブタジエ
ン部分のビニル含量は73重量%であった。従って,ポ
リマ−のビニル結合含量の最大値と最小値との差は58
重量%である。その後、と同様の方法で水添反応を行
い、水添重合体(ポリマー6)を得た。その水添重合体
の構造を表1に示した。
【0055】ポリマ−7 内容積が10L、L/D4の攪拌装置及びジャケット付
き槽型反応器に、シクロヘキサン3.3L、n−ブチル
リチウム濃度が15重量%のシクロヘキサン溶液を4.
0ml、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジ
アミンをn−ブチルリチウム1モルに対して1.1モル
の比率になるように添加した。その後、反応器の内部温
度を40℃に設定し、スチレン濃度が30重量%のシク
ロヘキサン溶液をスチレン量として63gになるまで反
応器に供給してバッチ重合した。約15分後のスチレン
の転化率はほぼ100%であった。
【0056】次に、第二段目の反応として、上記のポリ
マー溶液に、ブタジエン濃度が28.7重量%,スチレ
ン濃度が1.3重量%のシクロヘキサン混合溶液を反応
器に供給して重合した。反応器へ追添した混合モノマ−
の供給量が727gになった時点で溶液の供給を中止し
た。重合時の最高温度は,90℃に達した。約15分後
のブタジエンとスチレンの転化率はほぼ100%であっ
た。得られたポリマーは,スチレン含量が12重量%
(内ブロックとして8重量%),共役ジエン部分のビニ
ル結合含量が74重量%であった。
【0057】その後,と同様に水添反応を行った。得
られた水添重合体(ポリマ−7)の構造を表1に示し
た。 (B)成分:プロピレン系重合体 ・ランダムPP;FW3E(日本ポリケム社製) (C)成分:オレフィン系重合体 ・ランダムPP;PC630S(サンアロマ−社製)
【0058】
【実施例1】基層として用いる組成物を得るために,ま
ず,水添重合体(ポリマ−1)30重量%とr−PP7
0重量%を二軸押出機で混練し、ペレット化した<第1
層組成物>。押出し条件は,210℃で200rpmで
行った。得られたペレットとr−PP<第2層>をTダ
イを備えた三層フィルム押出成形機に供給し,押出温度
0℃,冷却ロ−ル温度 0℃として三層共押出しを
行い,厚さ50μm,各層の厚み比率が1/2/1の三
層フィルムを作成し,各種評価を行った。その結果を表
2に示した。
【0059】
【実施例2】水添重合体をポリマ−3に変更する以外
は,実施例1と同様に三層フィルムを作成し,各種評価
を行った。その結果を表2に示した。
【0060】
【実施例3】ポリマ−3とr−PPの量を50重量%毎
に変更する以外は,実施例2と同様に三層フィルムを作
成し,各種評価を行った。その結果を表2に示した。
【0061】
【実施例4】三層フィルムの各層の厚み比率を1/3/
1に変更する以外は,実施例2と同様に三層フィルムを
作成し,各種評価を行った。その結果を表2に示した。
【0062】
【比較例1】水添重合体を使用しないで,三層フィルム
を作成し,各種評価を行った。その結果を表2に示し
た。
【0063】
【比較例2〜6】水添重合体の種類を表2に記載のポリ
マ−に変更する以外は,実施例2と同様に三層フィルム
を作成し,各種評価を行った。その結果を表2に示し
た。
【0064】
【実施例5】第1層の水添重合体組成物を表層に,第2
層のオレフィン系重合体を基層に用いて,実施例2と同
様に三層フィルムを作成し,各種評価を行った。その結
果を表3に示した。
【0065】
【比較例7】水添重合体の種類をポリマ−2に変更する
以外は,実施例5と同様に三層フィルムを作成し,各種
評価を行った。その結果を表3に示した。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】
【0069】
【発明の効果】本発明の多層フィルムは、低温衝撃性、
フィルムブロッキング性に優れ,且つ腰の強いフィルム
である。これらの特徴を生かして、冷凍食品等の各種食
品の包装,日用雑貨包装,シャツなどの衣料包装用のフ
ィルム,医療包装用のフイルム,プロテクトフィルム等
の幅広い用途に用いることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AK03B AK03C AK07A AK07D AK28A AK28D AK29 AL05A AL05D AL06A AL06D BA02 BA03 BA10A BA10B BA10C BA10D BA23 GB66 JA07A JA07D JJ04 JK10 JL00 YY00A YY00D 4J002 AC111 BB112

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)水添重合体100重量部と(B)
    プロピレン系重合体85〜0重量部からなる第1層及び
    (C)オレフィン系重合体からなる第2層を含み,水添
    重合体が,平均ビニル結合含量が20重量%以上40重
    量%未満の共役ジエン重合体の共役ジエン部分の二重結
    合残基の85%以上が水添された水添物であって,重量
    平均分子量が6万〜60万,分子量分布が1.55〜
    5.0であることを特徴とする多層フィルム。
  2. 【請求項2】 水添重合体が,平均ビニル結合含量が2
    0重量%以上40重量%未満の共役ジエン重合体であ
    り,該重合体鎖中におけるビニル結合含量の最大値と最
    小値との差が10重量%未満である共役ジエン重合体の
    水添物であることを特徴とする請求項1項に記載の多層
    フィルム。
  3. 【請求項3】 基層の両面に表層が設けられた多層フィ
    ルムにおいて,該基層が(A)水添重合体100重量部
    と(B)プロピレン系重合体0〜85重量部からなり,
    表層が(C)オレフィン系重合体からなる請求項1また
    は2に記載の多層フィルム。
  4. 【請求項4】 基層の両面に表層が設けられた多層フィ
    ルムにおいて,該表層が(A)水添重合体100重量部
    と(B)プロピレン系重合体0〜85重量部からなり,
    基層が(C)オレフィン系重合体からなる請求項1また
    は2に記載の多層フィルム。
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