JPH0948871A - ポリカーボネート系樹脂押出発泡体の製造方法 - Google Patents

ポリカーボネート系樹脂押出発泡体の製造方法

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JPH0948871A
JPH0948871A JP7221071A JP22107195A JPH0948871A JP H0948871 A JPH0948871 A JP H0948871A JP 7221071 A JP7221071 A JP 7221071A JP 22107195 A JP22107195 A JP 22107195A JP H0948871 A JPH0948871 A JP H0948871A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 外観が優れ、セル形状の均一な発泡体が得ら
れる、押出発泡性が大幅に改善されたポリカーボネート
系樹脂押出発泡体の製造方法を提供する。 【解決手段】 ポリカーボネート樹脂100重量部に、
ポリオレフィン系樹脂(LDPE等)0.5重量部以
上、7重量部未満をブレンドした樹脂組成物を、発泡剤
と共に溶融、混練し、次いで押出発泡することを特徴と
するポリカーボネート系樹脂押出発泡体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリカーボネート
系樹脂押出発泡体の製造方法に関するものであり、更に
詳しくは、押出発泡性を改善することにより、外観及び
成形性に優れたポリカーボネート系樹脂押出発泡体の製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネート樹脂は、耐熱性、耐老
化性、耐水性等が高く、電気的及び機械的性質にも優れ
ているから、自動車や建造物の内装材、包装材、各種容
器等への用途展開が期待されている。また、耐熱性が要
求される電子レンジ用やレトルト食品用の容器材料とし
ては特に有望である。このように利点が多いが、発泡体
を得ようとした場合、ポリカーボネート樹脂の流動開始
温度がポリスチレン等のそれより大幅に高い上に、ポリ
カーボネート樹脂の発泡温度付近での溶融粘度は、発泡
体の汎用基材樹脂であるポリスチレン等に比べて非常に
高く、樹脂自体の特性として溶融張力が低く、押出発泡
性、シーティング加工性が悪いから、通常の押出発泡法
で所望の発泡体を得るのは困難である。そのため、溶解
度係数6.5以上の有機物を発泡剤とする方法(特開平
2−261836号公報)、沸点50〜150℃のイソ
パラフィンを発泡剤とする方法(特公昭47−4318
3号公報)等が提案されている。
【0003】また前記した押出発泡法の他、シート状の
ポリカーボネートに発泡剤を含浸させて加熱発泡させる
方法、低級アルキルベンゼンと低沸点溶剤でゲル化した
ポリカーボネートを加熱発泡させる方法(特公昭46−
31468号公報)等も提案されている。しかし、これ
らの方法で製造される発泡シートは、外観、成形性が不
十分であり、更に発泡倍率、厚み、幅、セル径の調整が
困難なため前記した用途への展開は難しい。そのため、
ポリカーボネート発泡シートにおいて、外観の改良、成
形性の改善や倍率、厚み、幅、セル径の調整が求められ
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来押出発
泡が難しいとされていたポリカーボネート樹脂を基材と
して前記特性を全て満足するポリカーボネート系樹脂押
出発泡体を得る製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、ポリカ
ーボネート樹脂100重量部に、ポリオレフィン系樹脂
0.5重量部以上、7重量部未満をブレンドした樹脂組
成物を、発泡剤と共に溶融、混練し、次いで押出発泡す
ることを特徴とするポリカーボネート系樹脂押出発泡体
の製造方法が提供され、特に、前記樹脂組成物が、25
0℃における溶融張力の値が3g以上のものであり、か
つ同温度における溶融粘度が4.3×104〜1.4×
105Poiseのものであることを特徴とする前記ポ
リカーボネート系樹脂押出発泡体の製造方法が提供さ
れ、更に、前記ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量
が20000以上であり、前記ポリオレフィン系樹脂が
低密度ポリエチレンであることを特徴とする前記ポリカ
ーボネート系樹脂押出発泡体の製造方法が提供される。
【0006】本発明者らは、ポリカーボネート樹脂につ
いて、次の性質に着目した。ポリカーボネート樹脂はポ
リスチレン等の樹脂に比べて、発泡温度付近の溶融粘度
が非常に高く、押出機の圧力が極端に上昇するため、押
出発泡が困難である。しかもそのときの溶融張力がポリ
スチレン等の樹脂に比べて非常に小さいため、一般に発
泡で使用される樹脂とは異なり発泡時ダイスリップ口か
らシートが吐出される時、発泡圧力に絶え切れず発泡セ
ルが破壊され、発泡倍率は不十分でセル径は不均一なも
のになる。またそのように樹脂の溶融張力が小さいた
め、ダイスリップ口から吐出された発泡シートを引取
り、シーティングするためにマンドレルに掛ける時に、
シートの裂け、ヒビ割れ等が起こるためシーティングが
困難で、このような原因で引取りスピードを自由に変え
られないため、表面状態が良好な様々な幅、厚みのシー
トを得ることが困難である。更にキメを細かくし外観美
麗なシートを得ようとすると、ダイスリップ口から吐出
されたシートはセル膜が薄くなるためにますます裂けや
すくなりシーティングが困難になる。
【0007】このようなポリカーボネート樹脂の特性を
改善するために多くの研究を重ねた結果、その過程で、
溶融粘度の比較的高い樹脂が、ダイス内部での保圧効果
が高く、また溶融張力が比較的高いため発泡時のセル破
壊が抑制されることが分かった。しかし一方で、溶融粘
度が高い為、押出機の圧力が非常に上昇し適正発泡温度
での押出が困難となり、対策として発泡温度を高く設定
すれば樹脂温度が高くなるために発生するセル破壊等に
より、得られる発泡体の物性に限界があることが明確に
なった。そこで高い溶融粘度の原料に他樹脂をブレンド
することによって溶融張力の値を低下させずに溶融粘度
を低下できないかを検討した。そして、ポリカーボネー
ト樹脂へのABS、PET、PS等、また各種汎用樹脂
のブレンドの研究を進めていったところ、驚くべきこと
にポリオレフィン系樹脂、なかでもポリエチレン系樹脂
をポリカーボネート樹脂100重量部に、0.5重量部
以上、7重量部未満ブレンドすることにより、ポリカー
ボネート樹脂の発泡温度付近での溶融粘度を低下させ、
かつその時の溶融張力が飛躍的に増大でき、その結果、
前記のようなポリカーボネート樹脂の欠点は大幅に改善
され、キメが均一で細かく、密度、セル径、厚み、シー
ト幅が所望のものであって、外観、成形性に優れたポリ
カーボネート系樹脂押出発泡体を得ることが可能となっ
た。
【0008】先ず、本発明によるポリカーボネート系樹
脂押出発泡体の製造方法の特徴を説明するために、押出
発泡による発泡シートの一般的製造方法を以下に記述す
る。 押出機内に樹脂と気泡調整剤等の添加剤とを仕込み、
該機内で加熱・溶融・混練する工程 混練物に所望量の発泡剤を圧入して混練物に発泡剤を
練り込む工程 発泡剤が練り込まれている混練物を、所定温度で押出
機先端のサーキュラーダイスから低圧部に押出し、これ
を円柱形状の樹脂冷却装置(マンドレル)の表面上に引
取って円筒状発泡体を形成させてから、押出方向に切り
開いてシート状発泡体とする工程 を経ることにより製造される。
【0009】ポリスチレン等の樹脂であれば、上記のよ
うなプロセスで問題無く押出発泡が可能である。一方、
ポリカーボネート樹脂の場合、所定温度(発泡温度)で
の溶融粘度が、ポリスチレン等の樹脂に比べて非常に高
くなるために、通常押出機では、圧力上昇により押出困
難である。また該温度での溶融張力が、ポリスチレン等
の樹脂に比べて非常に小さいため、先端のサーキュラー
ダイスから低圧部に押出され発泡するときに形成された
セルが発泡圧力に絶え切れず破壊してしまう。その結
果、所望の発泡倍率のシートが得られず、セル径も不均
一で表面状態の悪いシートしか得られない。また同様に
樹脂の溶融張力の関係で、サーキュラーダイスから低圧
部に押し出されたシートを、マンドレル表面上に引き取
る場合にもシートが引取り時の張力に耐えられず、シー
トの裂け、表面のヒビ割れが起こってしまい良好なシー
トは得られにくい。このとき通常、シートの厚みは、押
し出されたシートの引取りスピードで調整するため、薄
いシートを得るため引取りスピードを早くすると表面に
裂け、ヒビ割れが起こり、厚いシートを得るため引取り
スピードを遅くするとサーキュラーダイスとマンドレル
の間に形成されるバルーンが安定せず、発泡シートがマ
ンドレルに密着せず表面平滑なシートが得られない。従
って、種々の厚みをもつ外観良好なシートを得ることが
難しい。その上、外観美麗なシートを得ようとして発泡
核剤(タルク等の無機物粉体)を増量しセル径を小さく
しようとすると発泡セルの壁面が薄くなり、ダイスを出
たばかりの発泡直後のシートの伸びが悪くなり、ますま
すマンドレルにシートを掛けることが困難になってしま
う。そのため表面状態が悪く、シート幅、厚み、倍率に
おいても不十分な発泡シートしか得ることが出来ない。
従って、外観はデコボコしていて、セルも十分配向され
た良好なものではないため、加熱成形時に張り戻しがな
く垂れ下がり(ドローダウン)が発生してしまい成形性
に劣るシートしか得ることが出来ない。
【0010】本発明のポリカーボネート系樹脂押出発泡
体の製造方法においては、特定粘度のポリカーボネート
樹脂100重量部にポリオレフィン系樹脂を0.5重量
部以上、7重量部未満、好ましくは1重量部以上、5重
量部未満ブレンドすることにより、ポリカーボネート樹
脂の溶融粘度を低下させ、その結果、押出機の負荷を軽
減し、適正な発泡温度での押出発泡が可能となり、ま
た、ポリカーボネート樹脂の発泡温度付近での溶融張力
が大幅に増大するために、先端のサーキュラーダイスか
ら低圧部に押し出され発泡するときに形成されたセル
が、発泡圧力に絶えることが出来るため発泡セルは破壊
されずに形状を維持することが出来る。そのため、セル
形状が均一で所望の発泡倍率を持つシートを得ることが
できる。その上、サーキュラーダイスから押し出された
シートをマンドレル表面上に引き取るときも、このポリ
カーボネート樹脂の溶融張力が十分に高いため、シート
は引取り時の張力に耐えることができ、シート表面は裂
け、ヒビ割れのない表面平滑なものが得られる。その結
果、シートの厚みは引取りスピードにより自由に調節す
ることが出来、0.5〜10mmの表面状態良好なシー
トが得られる。さらに、外観美麗なシートを得ようとし
て、発泡核剤を増量してキメを細かくして、発泡セルの
壁面が薄くなっても発泡直後のシートは引取り時の張力
に耐えることが出来るので、外観美麗なキメの細かいシ
ートを得ることができる。その結果、得られる発泡シー
トは、キメが細かく、表面が滑らかで外観がよく、発泡
体としての緩衝性に優れ、発泡引取り時に十分な張力が
かけられるから、配向されたセルが形成され成形時ドロ
ーダウンの少ない成形しやすいシートを得ることができ
る。以上、押出発泡体が発泡シートの場合について説明
したが、本発明の発泡体は、シートの他、板状、ブロッ
ク状、柱状のものであってもよく、外観良好なものが得
られる。
【0011】本発明のポリカーボネート系樹脂押出発泡
体の製造方法においては、例えば、主原料のポリカーボ
ネート樹脂として、粘度平均分子量が20000以上、
好ましくは25000以上で、250℃における溶融張
力が2.0g以上、好ましくは2.3g以上のものを使
用する。このようなポリカーボネート樹脂としては、三
菱ガス化学社製ユーピロンS−1000〔粘度平均分子
量26000、溶融張力2.4g(250℃)〕、ユー
ピロンE−1000〔粘度平均分子量32000、溶融
張力6.4g(250℃)〕、ユーピロンE−2000
〔粘度平均分子量29000、溶融張力2.6g(25
0℃)〕等が例示される。ポリカーボネート樹脂の粘度
平均分子量が20000より低いものは、溶融張力が小
さすぎてポリオレフィン系樹脂をブレンドしても良好な
発泡体を得ることが困難となる恐れがある。
【0012】本発明の押出発泡体の主原料として使用さ
れる前記ポリカーボネート樹脂は、炭酸とグリコール又
はビスフェノールから形成されるポリカーボネートであ
る。そして、分子鎖にジフェニルアルカンを有する芳香
族ポリカーボネートは、結晶性が高く高融点の上に、耐
熱性、耐候性及び耐酸性に優れているから好適である。
このようなポリカーボネートとしては、2,2−ビス
(4−オキシフェニル)プロパン(別名ビスフェノール
A)、2,2−ビス(4−オキシフェニル)ブタン、
1,1−ビス(4−オキシフェニル)シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−オキシフェニル)イソブタン、1,
1−ビス(4−オキシフェニル)エタン等のビスフェノ
ールから誘導されるポリカーボネートが例示される。
【0013】本発明の製造方法において使用される副原
料であるポリオレフィン系樹脂としては、重量平均分子
量50000〜250000のもの、好ましくは重量平
均分子量100000〜250000のものを使用す
る。分子量が50000より低いとポリカーボネート樹
脂の粘性が著しく低下し好ましくなく、また25000
0より高いとポリカーボネートとの相溶性が悪くなり好
ましくない。このようなポリオレフィン系樹脂として
は、LDPE,LLDPE,HDPE,VLDPE,P
P,エチレン−プロピレン共重合体などが挙げられ、分
子構造中に長鎖分岐を有する点から特にLDPEが好ま
しい。また、押出発泡時のスクリューによる剪断等によ
るポリオレフィン系樹脂の低分子量化を考慮するとLD
PE、LLDPE、HDPE、VLDPE等のポリエチ
レン系樹脂が好ましい。また市販品としては、日本ユニ
チカ(株)社製NS−1等の比較的高分子量の低密度ポ
リエチレン等が挙げられる。
【0014】ポリカーボネート系樹脂の押出発泡におい
て、押出発泡温度を上まわる250℃での本発明におけ
る樹脂組成分の溶融張力は、3g以上のものが好まし
く、4g以上のものが特に好ましい。また、同温度にお
ける溶融粘度は4.3×104〜1.4×105Pois
eのものが好ましく、4.5×104〜7.4×104
oiseのものが特に好ましい。本発明においては、こ
のような優れた押出発泡性を付与するために、前記ポリ
カーボネート樹脂100重量部に、前記ポリオレフィン
系樹脂を0.5重量部以上、7重量部未満、好ましくは
1重量部以上、5重量部未満ブレンドする。0.5重量
部より少ないと、基材樹脂のポリカーボネート樹脂の粘
性に対して十分な改善効果が得られない。また7重量部
以上であると、溶融粘度が低下しすぎると共に、溶融張
力も低下し、その上材料強度の低下が顕著となる。
【0015】本発明で云うブレンドとは、広義のブレン
ドであり、ドライブレンド等の一般的ポリマーブレンド
をすべて含み、さらにブロック共重合、グラフト共重合
を伴うものも含んでいる。また溶融混練方法に関して
は、何等限定されず、各種の方法で行なうことができる
が、混練性、生産性などの点から、例えば二軸押出機に
よる一般的ポリマーブレンドが好ましい。
【0016】本発明の発泡体製造の際に使われる発泡剤
は、無機発泡剤、揮発性発泡剤、分解型発泡剤のいずれ
も使用可能であるが、押出発泡法の場合は分解型発泡剤
を使うと発泡倍率の高い発泡体が得られにくいから、無
機発泡剤や揮発性発泡剤を使用するのが好ましい。揮発
性発泡剤としては、プロパン、n−ブタン、i−ブタ
ン、n−ペンタン、i−ペンタン、ヘキサン等の低級脂
肪族炭化水素;シクロブタン、シクロペンタン等の低級
脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の低
級芳香族炭化水素;メタノール、エタノール等の脂肪族
低級一価アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等
の低級脂肪族ケトン;クロロメチル、クロロエチル、1
−クロロ−1,1−ジフルオロエタン、ペンタフルオロ
エタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,
1−ジフルオロエタン等の低沸点ハロゲン化炭化水素;
等が、また無機発泡剤としては、炭酸ガス、窒素ガス等
の無機ガス等が例示される。以上に詳記した発泡剤は、
単独又は2種以上混合して使用可能であり、例えば無機
発泡剤と揮発性発泡剤のように異なった型の発泡剤の併
用も可能である。
【0017】発泡剤使用量は発泡剤の種類や所望する発
泡倍率によっても異なり、発泡倍率によって該発泡体の
密度が定まるから、主に所望する発泡体の密度によって
発泡剤の使用量を決定する。本発明で得られた押出発泡
体は、密度0.04〜0.4g/cm3が好ましく、特
に好ましくは0.06〜0.24g/cm3である。な
お、本発明の発泡体密度が0.04g/cm3未満では
ポリカーボネート樹脂本来の特性である強度が低下し、
密度が0.4g/cm3を超えると発泡体特性が低下や
重量増加の上に製造原価も増加する。発泡体の密度は前
記したように0.06〜0.24g/cm3とするのが
好ましく、そのために必要な発泡剤量は樹脂100重量
部当り揮発性発泡剤では0.5〜10重量部、無機発泡
剤では0.2〜3.0重量部程度である。
【0018】また、本発明の製造方法で得られた発泡体
の平均セル径は0.07〜0.50mmであり、0.1
〜0.3mmのものが好ましい。このような平均セル径
を有する発泡体は、外観において極めて優れている。該
径が0.07mmより小さい場合、成形性が悪くなり好
ましくなく、また、0.5mmより大きい場合、表面平
滑性、外観が不良となって好ましくない。
【0019】本発明の発泡体では、ポリカーボネート樹
脂を円滑に発泡させるために、樹脂と発泡剤との溶融混
練物中に必要に応じて気泡調整剤を添加することができ
る。この場合の気泡調整剤としては、タルク、シリカ、
マイカ、雲母等の無機粉末、多価カルボン酸の酸性塩、
多価カルボン酸と炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウム
との混合物等が好ましい。これらの気泡調整剤は1種ま
たは2種以上併用して用いてもよい。その添加量は、樹
脂100重量部当り0.01〜1.0重量部、好ましく
は0.05〜0.5重量部とするのが良い。0.01重
量部より少ないと十分な気泡調整効果が得られず、一方
5重量部より多いとセル径が小さくなりすぎて得られる
発泡成形品の物性、成形性が低下するため好ましくな
い。
【0020】また本発明の発泡体には、難燃剤、熱安定
剤、耐候性向上剤、着色剤等のように、通常の発泡体に
添加される公知の添加剤を添加することができる。
【0021】本発明の製造方法で得られた押出発泡体の
厚みは、0.5〜10mm、好ましくは0.5〜7mm
である。0.5mmより薄いと、発泡体の強度の不足に
よりシーティングが困難となり、また10mmより厚い
と押出が困難であり、成形時の加熱の際に発泡体内部ま
で平均して加熱できず、熱成形が難しく用途が限定され
る。
【0022】以上のように本発明の製造方法で得られた
ポリカーボネート系樹脂押出発泡体は、成形性が良い上
に、ポリカーボネート樹脂本来の特性、即ち、耐熱性、
耐老化性、耐水性、耐衝撃性と、更に優れた柔軟性、外
観とを兼ね備えた押出発泡体である。
【0023】
【実施例】次に、本発明を実施例によって更に具体的に
説明するが、本発明はこの実施例によって限定されるも
のではない。
【0024】実施例1 ビスフェノールAから誘導されるポリカーボネート樹脂
(粘度平均分子量25000、密度1.2g/cm3
250℃での溶融張力2.2g)100重量部に、LD
PE(密度0.920g/cm3、融点111℃、MI
0.3g/10分[JIS K6760(条件4)])
1重量部を、φ47二軸押出機を用いて溶融・混練・ペ
レタイズした。これに気泡調整剤としてタルク0.02
重量部を加え、これを押出機内で加熱・溶融・混合して
から、n−ペンタンを混合樹脂に対し0.64モル/k
g(樹脂)となるように押出機内に圧入し、表−1
(1)に示す樹脂温度で押出機先端のサーキュラーダイ
スから溶融樹脂を押出、管状発泡体の内部、外部から常
温エアー吹くことによりバルーンを形成させ、これを直
径200mmのマンドレルで引取ってから、押出方向に
沿って切り開いてシート状発泡体を得た。なお、サーキ
ュラーダイス直径は65mm、ダイスクリアーは0.7
mmである。また、管状発泡体の吐出量は50kg/h
rとし、引取り速度は5.5m/minとした。得られ
た発泡シートの密度等の物性を表1−(1)に示す。
【0025】実施例2 ブレンドするLDPEの量を3重量部とした以外は実施
例1と同様にして発泡シートを作製した。得られた発泡
シートの密度等の物性を表1−(1)に示す。
【0026】実施例3 ブレンドするLDPEの量を4.5重量部とした以外は
実施例1と同様にして発泡シートを作製した。得られた
発泡シートの密度等の物性を表1−(1)に示す。
【0027】実施例4 ブレンドするポリエチレン系樹脂をLLDPE(分子量
89300、密度0.928g/cm3、融点122
℃、MI1.5g/10分〔JISK6760(条件
4)〕)、ブレンド量を3重量部とした以外は実施例1
と同様にして発泡シートを作製した。得られた発泡シー
トの密度等の物性を表1−(1)に示す。
【0028】実施例5 ビスフェノールAから誘導されるポリカーボネート樹脂
(粘度平均分子量32000、密度1.2g/cm3
250℃での溶融張力6.4g)100重量部に対し、
LDPEのブレンド量を4.5重量部とした以外は実施
例1と同様にして発泡シートを作製した。得られた発泡
シートの密度等の物性を表1−(1)に示す。
【0029】比較例1 ブレンドするLDPEの量を7重量部とした以外は実施
例1と同様にして発泡シートを作製した。その結果、ブ
レンドした原料樹脂組成物の粘性が低すぎ、ダイス部分
での保圧が困難で発泡、シーティングが困難であった。
得られた発泡シートの物性を表1−(2)に示す。
【0030】比較例2 ビスフェノールAから誘導されるポリカーボネート樹脂
(粘度平均分子量32000、密度1.2g/cm3
250℃での溶融張力6.4g)100重量部に対し、
LDPEのブレンド量を7重量部とした以外は実施例1
と同様にして発泡シートを作製した。得られた発泡シー
トの密度等の物性を表1−(2)に示す。
【0031】比較例3 押出原料を実施例1に示されるポリカーボネート樹脂単
体とした以外は実施例1と同様にして発泡シートを作製
した。その結果、樹脂温度207℃では樹脂の粘性が高
すぎ適性発泡温度での押出が困難であった。また樹脂温
度215℃でも溶融張力が十分でないため、得られた発
泡シートは、発泡倍率が低く、セル径が大きく、セル形
状は不均一であった。また、外観には凹凸があり、引取
り張力に発泡直後のシートが絶え切れずヒビ割れのある
ものであった。その他、このようにして得られたシート
は、十分な配向がかかっていないので、加熱成形時に垂
れ下がり(ドローダウン)が発生し成形困難だった。得
られた樹脂温度215℃で得られた発泡シートの物性を
表1−(2)に示す。
【0032】比較例4 押出原料として、ビスフェノールAから誘導されるポリ
カーボネート樹脂(粘度平均分子量32000、密度
1.2g/cm3、250℃での溶融張力6.4g)1
00重量部単体を用いた以外は実施例5と同様にして発
泡シートを作製した。得られた発泡シートは、比較例3
と同様良好なものではなかった。得られた発泡シートの
密度等の物性を表1−(2)に示す。
【0033】実施例及び比較例の各発泡シートの成形評
価及び物性評価は、以下の基準で行なった。 〔溶融粘度〕 測定機器:(株)島津製作所製フローテスターCFT500 測定条件:測定前試料乾燥 120℃×3hr 測定温度 250℃ ノズル 長さ/口径=10/1mm 荷重 40kgf ピストン断面積 1cm2 〔溶融張力〕 測定機器:(株)東洋精機製作所製メルトテンションテスターII型 測定条件:測定前試料乾燥 120℃×3hr 測定温度 250℃ ノズル 長さ/口径=8/2.095±0.005mm 押出速度 10mm/min 巻取スピード 10m/min シリンダー径 9.55mm シリンダー長さ 162mm ピストン径 9.474mm ピストン長さ 6.35mm 上記条件で図1に示される装置(L1=300mm、L2
=130mm、L3=450mm、θ=40°)でロー
ドセルに記録される荷重(g)を溶融張力とした。 〔押出機負荷〕発泡樹脂温度を205℃、ダイスクリア
ーを0.7mmの条件下における押出機ダイス圧力を測
定し以下の基準で評価した。 ○:150kg/cm2(G)未満 △:150〜200kg/cm2(G) ×:200kg/cm2(G)超 〔平均セル径及びセル形状〕顕微鏡(×20)により発
泡体厚み方向断面を得る。得られた拡大断面より図2に
示すようにセルの最大径を代表径として少なくとも10
0個以上のセルについて代表径の測定を行ないその平均
値を求め平均セル径とした。また、セル形状については
該拡大断面を観察し、平均セル径±20%の範囲内の代
表径を有するセル数が全体セル数の60%以上の場合は
○、60%未満の場合は×とした。 〔外観〕 得られた発泡体の表面を目視により観察し、以下の基準
で評価した。 ○:シートが平滑で、表面に艶がある △:シート表面に細かい凹凸がある ×:シート表面に凹凸があり、艶がない 〔成形性〕熱成形時のドローダウン、アバレについて以
下の基準で評価した。尚、成形温度は実施例、比較例で
得られた各発泡体に最適な105〜120℃の加熱温度
条件で行なった。 ○:ドローダウン、アバレが発生しない △:少々ドローダウン、アバレが発生するが成形可能 ×:ドローダウン、アバレにより成形が困難である 尚、本明細書中、PCはポリカーボネート樹脂、LDP
Eは低密度ポリエチレン、LLDPEは直鎖状低密度ポ
リエチレン、HDPEは高密度ポリエチレン、VLDP
Eは超低密度ポリエチレンを各々表わす。
【0034】
【表1−(1)】
【0035】
【表1−(2)】
【0036】
【発明の効果】本発明のポリカーボネート系樹脂押出発
泡体の製造方法によれば、ポリカーボネート樹脂100
重量部に、ポリオレフィン系樹脂0.5重量部以上、7
重量部未満をブレンドすることによって、ポリカーボネ
ート樹脂の耐熱性、機械的性質など優れた特性を失わ
ず、溶融粘度、溶融張力等の押出発泡性において、驚く
べき樹脂の改質が可能となり、押出機に高い圧力負荷を
与えることなくポリカーボネート系樹脂の押出発泡が可
能となる。その結果、押出発泡性が大幅に改善され、表
面状態が滑らかで外観極めて良好な発泡体を得ることが
可能である。また、このように樹脂の改質により、発泡
体に十分な配向をかけることができるため、加熱成形時
ドローダウンが少なく良好な成形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶融張力の測定を説明する図である。
【図2】セル径の代表径を説明する図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリカーボネート樹脂100重量部に、
    ポリオレフィン系樹脂0.5重量部以上、7重量部未満
    をブレンドした樹脂組成物を、発泡剤と共に溶融、混練
    し、次いで押出発泡することを特徴とするポリカーボネ
    ート系樹脂押出発泡体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記樹脂組成物が、250℃における溶
    融張力の値が3g以上のものであり、かつ同温度におけ
    る溶融粘度が4.3×104〜1.4×105Poise
    のものであることを特徴とする請求項1記載のポリカー
    ボネート系樹脂押出発泡体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記ポリカーボネート樹脂の粘度平均分
    子量が20000以上であり、前記ポリオレフィン系樹
    脂が低密度ポリエチレンであることを特徴とする請求項
    1又は2記載のポリカーボネート系樹脂押出発泡体の製
    造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012082331A (ja) * 2010-10-13 2012-04-26 Tosoh Corp 発泡用ポリカーボネート樹脂組成物および発泡成形体

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