JPH0947855A - 連続鋳造におけるブレークアウト予知方法 - Google Patents

連続鋳造におけるブレークアウト予知方法

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JPH0947855A
JPH0947855A JP7218076A JP21807695A JPH0947855A JP H0947855 A JPH0947855 A JP H0947855A JP 7218076 A JP7218076 A JP 7218076A JP 21807695 A JP21807695 A JP 21807695A JP H0947855 A JPH0947855 A JP H0947855A
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Takanori Yamamoto
孝則 山本
Noriyuki Suzuki
規之 鈴木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋳型内の凝固シェルの成長状態を極めて精度
よく把握することができ、この結果、鋳型内の温度異常
部を的確にとらえることができ、拘束性ブレークアウト
のみならずスラグベアやシール材巻き込み等による微小
ブレークアウト等、いかなるブレークアウトのパターン
をも予知することができる作業性や信頼性に優れた連続
鋳造におけるブレークアウト予知方法を提供する。 【解決手段】 連続鋳造用鋳型13の稼働面側に埋設又
は露出して取り付けられた光ファイバー22にパルス光
を入射し、光ファイバー22の所定位置で発生した後方
ラマン散乱光を検出し、そのストークス光と反ストーク
ス光の強度比及びその戻り時間に基づいて連続鋳造鋳型
13の所定位置の温度を検出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続鋳造における
ブレークアウト予知方法に係り、更に詳しくは、鋳型内
の凝固シェルの成長状態を確認することができ、これに
より、拘束性ブレークアウトのみならずスラグベアやシ
ール材巻き込み(又はかみこみという)、さらに縦割れ
等に起因する微小ブレークアウトの予知を行うことがで
きる連続鋳造におけるブレークアウト予知方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、連続鋳造では、鋳型内に注入さ
れた溶鋼を冷却して凝固シェルを形成し、この凝固シェ
ルが形成された鋳片を引き抜きながら鋳片芯部まで凝固
させている。この連続鋳造においては、鋳型内での正常
な凝固シェルの成長は品質上極めて重要であるが、近年
の高生産性を図る高速鋳造に伴って、凝固シェルを十分
に形成させないまま鋳片を引き抜くことで、凝固シェル
が破れ、未凝固の溶鋼が流出し、引いては連鋳鋳造操業
の中断や設備損傷といった重大な事故を引き起こす所謂
ブレークアウト(以下BOという)が重要課題となって
いる。
【0003】このBOの原因の一つとして、例えば、鋳
造開始期に鋳型と該鋳型内に装入されたダミーバーとの
間隙にシールされる珪砂等のシール材や、鋳造時に生成
したスラグ、さらに、溶鋼の酸化防止又は鋳型と鋳片の
潤滑効果のために投入されるパウダー等(以下これらを
異物という)が溶鋼中に巻き込まれることが挙げられ
る。すなわち、前記異物が溶鋼中に巻き込まれること
で、この巻き込まれた異物の熱伝導率が鋳片の熱伝導率
に比べて小さいことに起因して、前記異物周辺の溶鋼が
凝固し難くなり、この結果、異物周辺の凝固シェルの厚
みが薄くなって溶鋼の圧力で凝固シェルが破れたり、又
は鋳型から引き抜かれた際に溶鋼の圧力で異物が外方に
押し出されて、溶鋼が流出するものである。
【0004】また、前記BOの他の原因として、鋳型と
凝固シェルの間に溶融状態で介在された前記パウダーが
溶鋼中に巻き込まれたり、或いは凝固シェルが凝固収縮
したりすることによって(特に包晶反応系の鋼種は凝固
収縮率が大きい)凝固シェルと鋳型の間に空隙が生じる
ことが挙げられる。すなわち、空隙が生じることで、凝
固シェルの空隙に接した部位と接していない部位の凝固
速度に差が生じてしまい、この結果、凝固シェルが局部
的に不均一成長して所謂縦割れが生じ、該縦割れを通じ
て溶鋼が流出するものである。更に、前記BOの他の原
因として、前記パウダーが溶鋼中に巻き込まれ、溶鋼と
鋳型が直接接触することで溶鋼が鋳型の稼働面に固着
し、前記鋳片の引き抜きによって凝固シェルがひきちぎ
られる所謂拘束性BOが生じて、溶鋼が流出するものが
挙げられる。
【0005】そこで、この問題点を解決するべくBOを
予知する方法として、特開昭58−148064号公
報、特公平5−56222号公報、特公平5−5622
3号公報、特公平5−56224号公報、特公平5−7
5502号公報、特公平5−75503号公報等には、
鋳型壁面に複数の熱電対を埋設し、これら熱電対で検出
された温度を監視する方法、また、特開昭61−21
9456号公報には、鋳型のモールドプレートの外側面
に穿設された複数の測定孔に光ファイバーを挿入し、前
記測定孔の内奥面から放射される光エネルギーに基づい
て温度を検出する鋳造温度測定装置が提案されている。
さらに、特開平6−277814号公報には、鋳型の
モールドプレートの外周面に螺旋状に巻回された光ファ
イバーにパルス光を入射し、前記光ファイバー内部の反
射散乱光を取り出し、その強度を測定し、この強度から
得られた温度データを監視することによって、ブレーク
アウトの有無を判定する連続鋳造機におけるブレークア
ウト検出装置が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、、
の方法では、BO検知能を向上させるために、鋳型に多
数の熱電対等を埋設する必要があるため、多数の熱電対
等が必要であると共に、これら多数の熱電対等を埋設す
る作業やこれを保守点検する作業に多くの時間及び労力
が必要なため、コストが高騰化すると共に極めて作業性
に劣るという問題点を有していた。このため、前述した
ことを考慮し、鋳型に数箇所〜数十箇所程度しか熱電対
等を埋設することができないので、この結果、拘束性B
Oのように広範囲に渡って略V字状等に鋳片の異常温度
分布が現れる場合は、その異常温度分布が鋳片の引き抜
き方向に沿って移動することにも着目して検出すること
ができるが、微小なBOの発生要因となる異物巻き込み
や空隙を検出することができず、極めてBO検知能が低
く、信頼性に劣るという問題点を有していた。
【0007】そこで、前述した問題点を解決するため
に、のブレークアウト検出装置が提案されている。こ
の装置では、鋳型の外周面に光ファイバーを巻回してい
るため、前記熱電対等で鋳型の所定位置の温度をスポッ
ト的に検出する方法に比べ若干精度向上が望めるが、や
はり微小なBOの発生要因となる異物巻き込みや空隙を
検出することができないという問題点を有していた。す
なわち、鋳型のモールドプレートは、通常、溶鋼の冷却
速度を高めるために銅又は銅合金等の熱伝導率の高い材
料が用いられ、さらに溶鋼の静圧に耐えるために相当の
厚みを持って形成されているので、光ファイバーを鋳型
の外周面に巻回すると、凝固シェルの熱が鋳型のモール
ドプレートを介す間に広範囲に伝達されてしまい、この
結果、拘束性BO等の予知はできるが、前記異物巻き込
みや空隙に起因する凝固シェル表面の微小な温度差を検
出することができず、信頼性に劣るという問題点を有し
ていた。
【0008】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
もので、鋳型内の凝固シェルの成長状態を極めて精度よ
く把握することができ、この結果、鋳型内の温度異常部
を的確にとらえることができ、拘束性BOのみならずス
ラグベアやシール材巻き込み等による微小BO等、いか
なるBOのパターンをも予知することができる作業性や
信頼性に優れた連続鋳造におけるブレークアウト予知方
法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的に沿う請求項1
記載の連続鋳造におけるブレークアウト予知方法は、連
続鋳造用鋳型の稼働面側に埋設又は露出して取り付けら
れた光ファイバーにパルス光を入射し、該光ファイバー
の所定位置で発生した後方ラマン散乱光を検出し、その
ストークス光と反ストークス光の強度比及びその戻り時
間に基づいて前記連続鋳造用鋳型の所定位置の温度を検
出する。
【0010】また、請求項2記載の連続鋳造におけるブ
レークアウト予知方法は、請求項1記載の連続鋳造にお
けるブレークアウト予知方法において、前記光ファイバ
ーを前記連続鋳造用鋳型の稼働面から深さ20mmまで
の範囲に取り付け、更に、前記連続鋳造用鋳型の高さを
hとしたとき、前記光ファイバーを前記連続鋳造用鋳型
の下端から(3・h/4)までの範囲に取り付けてい
る。
【0011】また、請求項3記載の連続鋳造におけるブ
レークアウト予知方法は、請求項2記載の連続鋳造にお
けるブレークアウト予知方法において、前記連続鋳造用
鋳型の下端から(h/2)までの範囲に取り付けられた
前記光ファイバーを露出し、前記連続鋳造用鋳型の下端
の(h/2)から(3・h/4)の範囲に取り付けられ
た前記光ファイバーを埋設している。
【0012】また、請求項4記載の連続鋳造におけるブ
レークアウト予知方法は、請求項1〜3のいずれか1項
に記載の連続鋳造におけるブレークアウト予知方法にお
いて、前記光ファイバーをラップコイル状に取り付けて
いる。
【0013】なお、光ファイバーは、ガラスや合成樹脂
等の透明な誘電体材料で形成されて光(又はパルス光)
を伝搬するコアと、該コアの屈折率より通常0.1〜
1.0%程度小さい前記誘電体材料で前記コアの周囲に
略同心円状に覆設されたクラッドと、ステンレス鋼等の
金属製又は合成樹脂製等の耐熱性材料等で前記クラッド
の周囲に覆設された保護用被覆材とで構成されたもので
ある。この光ファイバーとしては、石英ガラスを主体と
する石英系光ファイバー、多種類のガラスからなる多成
分系光ファイバー、合成樹脂を主体とする合成樹脂系光
ファイバー等が挙げられる。また、光伝播方式で分類す
ると、階段状の屈折率分布を有し複数の伝搬モードを有
するステップインデックス型光ファイバー(SI型光フ
ァイバー)、緩やかな屈折率分布を有し複数の伝搬モー
ドを有するグレーデッドインデックス型光ファイバー
(GI型光ファイバー)、階段状の屈折率分布を有し、
コアとクラッドの屈折率差が非常に小さく1つの伝搬モ
ードを有するシングルモード型光ファイバー(SM型光
ファイバー)等が挙げられる。なお、光ファイバーは保
護用被覆材を含めてもせいぜい直径(φ)1mm程度の
線状物であるため、設置に際しても何ら鋳型構造物に悪
影響を与えることがない。
【0014】また、光ファイバーは、鋳型の稼働面側に
取り付けられるのが好ましい。光ファイバーが稼働面に
近づくに連れヒートスポット指数が小さくなり、鋳型内
の微小な温度変化を検出することができるからである。
なお、鋳型の稼働面とは、溶鋼又は鋳片と接触する接触
面(又は内周面)をいい、また、ヒートスポット指数と
は、光ファイバーの温度検出能をいい、この値が小さく
なるにつれ微小スポットの温度を検出できることを意味
するものである。具体的には、光ファイバーは、鋳型の
稼働面から深さ20mmまでの範囲、好適には鋳型の稼
働面から深さ15mmまでの範囲に取り付けられるのが
好ましい。光ファイバーの取り付け深さが鋳型の稼働面
から深さ15mmを越えるにつれヒートスポット指数が
大きくなり、微小BOを予知できなくなる傾向があり、
特に、鋳型の稼働面から深さ20mmを越えるとその傾
向が著しくなるので、好ましくない。
【0015】また、光ファイバーは鋳型の稼働面全面に
渡って取り付けられてもよいが、通常、鋳型の上部には
溶鋼やパウダーが接触しないので、鋳型において溶鋼や
パウダーと接触する部位(すなわち鋳型の下端からメニ
スカス直下までの範囲内のいずれか)に取り付けると、
光ファイバーの取付作業やコストを低減化することがで
きる。特に、鋳型のメニスカス近傍では、該鋳型への熱
負荷が大きく、更に熱変動も大きいことに加え、凝固シ
ェル形成初期の温度変動がBO或いはブリード(なお、
水平方向の拡がり長さが100mm以下のもをブリード
といい、100mmを越えるもの特に150mm以上の
ものをBOという)の発生との相関関係が小さいので、
この領域を除くのが好ましい。具体的には、鋳型の高さ
をhとしたとき、鋳型の下端から(3・h/4)までの
範囲、好適には鋳型の下端から(2・h/3)までの範
囲に取り付けられるのが好ましい。光ファイバーの取り
付け範囲が鋳型の下端から(2・h/3)の範囲を越え
るにつれ不要な光ファイバーの取付作業が増加すると共
にコストが高騰化する傾向があり、特に鋳型の下端から
(3・h/4)までの範囲を越えるとその傾向が著しく
なるので、好ましくない。更に具体的には、例えば鋳型
の下端からメニスカス直下50mm迄の範囲である。
【0016】また、鋳型の稼働面に取り付けた光ファイ
バーは溶鋼の熱で溶損しないように、全て埋設されても
よいが、鋼種によっては凝固収縮率が大きく、鋳型と凝
固シェルの間に空隙が生じるため、この空隙が形成され
て凝固シェルが鋳型と接触しない部位に取り付けられた
光ファイバーは埋設せずに、露出したままでもよい。光
ファイバーを埋設する作業を省略化することができるか
らである。具体的には、鋳型の下端から(h/2)まで
の範囲に取り付けられた光ファイバーは露出するのが好
ましい。光ファイバーの露出範囲が鋳型の下端から(h
/2)の範囲を越えるにつれ光ファイバーが溶鋼の熱で
溶損する傾向があるので、露出するのは好ましくない。
【0017】さらに、光ファイバーは、鋳型下端からの
距離をL、鋳造速度をV、鋳造の減速度をA、計測器の
計測時間をTとしたとき、L≧V・T−A・T2/2と
なる位置に取り付けられると、BOを予知したとき、B
O前兆部位が、鋳型下端に到達する以前に鋳造を停止可
能とすることができる。また、光ファイバーを鋳型の稼
働面に取り付ける場合、例えば、鋳型内の幅方向に複数
回往復させながら平行に埋設等してもよいが、この場
合、光ファイバーが折損等しなように折り返し時に若干
長めに折り返し代をとらねばならず、このため、作業性
に劣ると共にコストが増大する。このため、ラップコイ
ル状等に取り付けられるのが好ましい。折り返し代をと
る必要等がなく作業性等に優れるからである。
【0018】また、光ファイバーを鋳型の稼働面に取り
付ける場合は、該鋳型の稼働面に光ファイバー収納用溝
部を形成して取り付けるのが好ましい。鋳型の稼働面に
直接光ファイバーを取り付けるのに比べ極めて取付作業
性を向上させることができるからである。また、鋳型の
稼働面に光ファイバーを取り付ける際、その一端を計測
器に接続することで足りるが、万一断線等が発生した場
合を考慮して他端も鋳型外に出しておくと、断線後に他
端側からの計測も可能となる。
【0019】また、鋳型内の温度の測定方法としては、
光ファイバーにパルス光を入射し、該光ファイバーの所
定位置で発生した後方ラマン散乱光を検出し、散乱時に
おけるストークス光と反ストークス光との強度比及びそ
の戻り時間に基づいて鋳型の所定位置の温度を算出する
方法が挙げられる。
【0020】なお、物質に一定振動数ν0 の単色光を照
射し、散乱される光(以下散乱光という)を分光器を通
じてスペクトルを観測したとき、前記振動数ν0 の光の
他に振動数ν0 ±νi の光(又は散乱光という)が含ま
れる。ここで、照射した光と異なる振動数ν0 ±νi
光を放出する現象をラマン散乱という。また、ν0 −ν
i のラマン散乱光をストークス光といい、ν0 +νi
ラマン散乱光を反ストークス光という。また、後方ラマ
ン散乱光とは、照射側に戻ってきたラマン散乱光をい
う。
【0021】なお、パルス光の散乱位置は、下記(1)
式及び下記(2)式より求められる。すなわち、 L=C・t/2 ・・・・・・・・・・(1) C=C0 /n ・・・・・・・・・・(2) 但し、L:パルス光の入射位置から散乱位置までの距離
(m) C:光ファイバー中の光の速度(m/s) C0 :真空中の光の速度(m/s) t:光の往復時間(s) n:光ファイバーのコアの屈折率 なお、前記(1)式中(t/2)が後方ラマン散乱光の
戻り時間となる。
【0022】また、ストークス光の強度は温度に依存す
るのに対して、反ストークス光の強度は温度に依存しな
いので、両者に強度差が生じることから、パルス光の散
乱位置の温度は、下記(3)式より求められる。すなわ
ち、 Pa /Ps =(λs /λa 4exp(−(hCν)/kT) ・・(3) 但し、Pa :反ストークス光の強度 Ps :ストークス光の強度 λa :反ストークス光の波長 λs :ストークス光の波長 k:ボルツマン定数(J/K) h:プランク定数(J・s) ν:ラマンシフト量(cm-1) T:散乱位置の絶対温度(K)
【0023】従って、パルス光の往復時間から対象の散
乱位置を定めながら前記(3)式により、散乱位置の温
度を検出するものである。なお、光の速度は、光ファイ
バーの質量や密度によって変化し、また計測器内の、例
えば時間を計測するための基準信号を発するタイマーも
経時的に変化するのが普通であるため、長期的には誤差
を生じる。従って、誤差補正のために、定期的な補正が
必要となる。そこで、前記光ファイバーの他に長さの異
なる光ファイバーを、例えば実質的に一束として巻回し
測定したとき、長さが既知の一方の光ファイバーの所定
の遠方端位置での反射波が戻ってくるまでの時間を基準
として、他方の光ファイバーの距離の検出値を補正する
ことによって定期的な補正を不要とし測定位置の精度向
上を図ることもできる。
【0024】また、鋳型内の所定位置の温度を検出した
場合、ディスプレイ等に鋳型内の温度分布状態として表
示させるのが好ましい。一目で凝固シェルの成長状態の
正否を判断させることができるからである。また、鋳型
内の所定位置の温度を検出し、所定の設定温度範囲を越
えたとき、これを検知して、鋳片の引き抜き速度を変更
する鋳造速度制御器等を備えるのが好ましい。鋳型内の
温度異常に応じて鋳片の引き抜き速度に対する冷却速度
を変えることでBOの発生を防止することができるから
である。また、前記鋳造速度制御器としては、例えば、
鋳片の引き抜き速度を低減させるピンチロール駆動制御
部や溶鋼の湯面レベルを一定に保つためにスライディン
グノズルやストッパーの開度を小さくする開度調整制御
部等が挙げられる。
【0025】
【作用】本発明者等は鋭意研究を進めた結果、図10に
示すように、光ファイバーを稼働面に近づかせるに従っ
てヒートスポット指数を小さくすることができ、この結
果、鋳型内の微小な温度変化を検出できることを知見し
えた。なお、図10は鋳型の稼働面からの距離とヒート
スポット指数の関係を示すグラフであり、図中横軸は光
ファイバーの連続鋳造用鋳型の稼働面からの距離、図中
縦軸はヒートスポット指数を示している。
【0026】以上のことから、請求項1〜4記載の連続
鋳造におけるブレークアウト予知方法においては、一本
の光ファイバーで多数の所定位置(パルス光の散乱位
置)の温度を測定できるので、従来の熱電対等を鋳型に
埋設する方法に比べ、鋳型内の温度分布を高密度に計測
することができるのみならず、光ファイバーを鋳型の稼
働面側に埋設又は露出して取り付けることにより、ヒー
トスポット指数を小さくして鋳型内の微小な温度変化を
検出することができ、拘束性BOのみならずスラグベア
やシール材巻き込み等に起因する微小BOを予知するこ
とができる。勿論、鋳型の凝固特性を損なわずに鋳片を
冷却できることはいうまでもない。
【0027】特に、請求項2記載の連続鋳造におけるブ
レークアウト予知方法においては、光ファイバーを鋳型
の稼働面から深さ20mmの範囲に取り付けることによ
り、ヒートスポット指数を小さくして鋳型内の微小な温
度変化を検出することができる。また、光ファイバーを
鋳型の下端から(3・h/4)の範囲に取り付ける(換
言すると溶鋼やパウダーと接触しない部位を除いて光フ
ァイバーを取り付ける)ことにより、不要な部位の光フ
ァイバーの取付作業等を軽減して、溶鋼やパウダーと接
触する鋳型の稼働面側に取り付けることができるので、
鋳型内の温度検出範囲が大きく、BO検出能の信頼性を
高めることができる。
【0028】特に、請求項3記載の連続鋳造におけるブ
レークアウト予知方法においては、鋳型と凝固シェルが
接触する部位のみ光ファイバーを埋設し、凝固シェルが
凝固収縮して鋳型との間に空隙を生じた部位の光ファイ
バーは露出させることができるので、光ファイバーの埋
設作業の省力化を図ることができる。
【0029】特に、請求項4記載の連続鋳造におけるブ
レークアウト予知方法においては、光ファイバーをラッ
プコイル状に取り付けることにより、光ファイバーの取
付作業が簡単であると共に、鋳型の稼働面の広域面に渡
って温度変化の検出ができるため、光ファイバーのBO
検出能の精度を高めることができる。
【0030】
【発明の効果】請求項1〜4記載の連続鋳造におけるブ
レークアウト予知方法においては、光ファイバーを鋳型
の稼働面側に埋設又は露出して取り付けることで、ヒー
トスポット指数を小さくして鋳型内の微小な温度変化を
検出することができるので、拘束性BOのみならずスラ
グベアやシール材巻き込み等に起因する微小BOを予知
することができる。従って、従来に比べ、低コストかつ
高精度で鋳型内の凝固シェルの診断を行うことができる
ことは勿論、高密度の温度分布が可能で、稼働面の温度
分布状況を高精度に検出することができる。また、BO
の予知が速いので、これに対し素早いアクションをとる
ことができ、鋳造操業を安定化することができる。特
に、温度変化時間が短く、且つ変化量の極めて小さいブ
リードについての検出能が向上することから、引続き行
われる鋳型補修においてその補修部位を明確に把握する
ことができる。
【0031】特に、請求項2記載の連続鋳造におけるブ
レークアウト予知方法においては、光ファイバーを鋳型
の稼働面から深さ20mmの範囲に取り付けることで、
極めてヒートスポット指数を小さくすることができ、微
小BOの予知を確実に行うことができる。また、光ファ
イバーを鋳型の下端から(3・h/4)の範囲に取り付
けることで、測定不要部位の温度検出をする必要がな
く、BO検出能の信頼性を高めることができる。
【0032】特に、請求項3記載の連続鋳造におけるブ
レークアウト予知方法においては、鋳型の稼働面におい
て、該鋳型と凝固シェルが接触する部位のみ光ファイバ
ーを埋設し、凝固シェルが十分に形成された領域の光フ
ァイバーは露出するので、光ファイバーの埋設作業の省
力化を図ることができる。また、光ファイバーの非埋設
により、更に検出精度も向上させることができる。
【0033】特に、請求項4記載の連続鋳造におけるブ
レークアウト予知方法においては、光ファイバーをラッ
プコイル状に取り付けたことにより、該光ファイバーの
巻き数を多くとれるために温度検出域を拡大することが
でき、温度検出精度を高くすることができる。また、光
ファイバーの曲げ角度を大きくすることができるので、
過度に曲げたりする必要がなく、施工が簡単である。
【0034】
【発明の実施の形態】続いて、添付した図面を参照しつ
つ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発
明の理解に供する。ここに、図1は本発明の一実施の形
態に係る連続鋳造におけるブレークアウト予知方法を適
用した連続鋳造機の概略構成図、図2は同連続鋳造機の
連続鋳造用鋳型の概略構成図、図3は同連続鋳造機の連
続鋳造用鋳型の鋳型長辺の斜視図、図4は同連続鋳造機
の他の連続鋳造用鋳型の鋳型長辺の斜視図、図5は同連
続鋳造機の連続鋳造用鋳型の鋳型短辺の拡大斜視図、図
6は同連続鋳造機の他の連続鋳造用鋳型の鋳型短辺の拡
大斜視図、図7は同連続鋳造機の連続鋳造用鋳型の要部
拡大断面図、図8は同連続鋳造機の計測器のブロック回
路図、図9(a)、(b)及び(c)はそれぞれディス
プレイに表示された正常鋳造時、ブレークアウト発生
時、及びパウダー巻き込み時の鋳型内温度分布図であ
る。
【0035】図1〜図3に示すように、本発明の一実施
の形態に係る連続鋳造におけるブレークアウト予知方法
を適用した連続鋳造機10は、溶鋼を1次冷却する鋳型
13と、鋳型13のモールドプレート17の稼働面17
a側に取り付けられた光ファイバー22と、光ファイバ
ー22の一端に接続され鋳型13内の所定位置の温度を
検出する計測器27と、鋳型13内の温度分布状態を表
示するディスプレイ36と、計測器27で得られた鋳型
13内の温度分布状態によって鋳片の引き抜き速度を変
更するピンチロール駆動制御部からなる鋳造速度制御器
37とを備えている。以下、これらについて詳しく説明
する。
【0036】鋳型13は、図2に示すように、銅又は銅
合金等で略直方体状に形成された2つの鋳型短辺13
a、13b、及び前記鋳型短辺13a、13bより長尺
に形成された鋳型長辺13c、13dを、略角筒状に組
み合わせて構成されている。また、各鋳型短辺13a、
13b及び各鋳型長辺13c、13dは、図3に示すよ
うに、鋳片15に直接接触するモールドプレート17及
び該モールドプレート17の背面側に取り付けられたバ
ックプレート18とで構成されている。そして、モール
ドプレート17のバックプレート18との対向面には、
断面略矩形状又は略半楕円形状等の冷却水貯留部19が
形成されている。また、該冷却水貯留部19には、該冷
却水貯留部19に冷却水を供給するためにその下端部近
傍に連通して冷却水供給口20が形成され、また、該冷
却水貯留部19から冷却水を排出するためにその上端部
近傍に連通して冷却水排出口21が形成されている。な
お、図3中、hは鋳型13(又はモールドプレート1
7)の高さを示している。また、冷却水貯留部19、冷
却水供給口20及び冷却水排出口21の代わりに、図4
に示すように、モールドプレート17に上下又は左右に
折り返して冷却水を通すスリット溝17cを形成しても
よい。
【0037】また、モールドプレート17の稼働面17
aには、図3に示すように、左右に折り返して光ファイ
バー収納用溝部17bが形成され、該光ファイバー収納
用溝部17b内には1本の光ファイバー22が収納され
ている。なお、光ファイバー収納用溝部17bは、温度
測定効率を上げるために溶鋼やパウダーと接触しない部
位を除き、モールドプレート17の稼働面17aの下端
から(3・h/4)までの範囲に形成されている。ま
た、光ファイバー収納用溝部17bの深さは、光ファイ
バー22のヒートスポット指数を小さくするためにモー
ルドプレート17の稼働面17aから深さ20mmまで
の範囲に形成されている。なお、光ファイバー22は、
特に限定されるものではないが、コア径が50μm、ク
ラッド径が125μm、保護用被覆材を含めた全径とし
ても250μmと極めて細いものである。また、光ファ
イバー22は、図4に示すように、モールドプレート1
7の稼働面17aにオーバーラップ(稼働面17aで交
差させることをいう)させて該モールドプレート17の
下端(又は上端)と略平行に左右に折り返し状に布設し
てもよい。オーバーラップさせたことで、光ファイバー
22を折り返す際に大きな曲率Rをとることができ、該
光ファイバー22の折損等を防止することができる。ま
た、同様に、光ファイバー22は、図5に示すように、
鋳型短片13aのモールドプレート17の稼働面17a
にオーバーラップさせて該モールドプレート17の左端
(又は右端)と略平行に上下に折り返し状に布設しても
よい。更に、図6に示すように、鋳型短片13aの光フ
ァイバー22を上下に折り返してもよい。なお、図4及
び図5に示すようにオーバーラップさせた光ファイバー
の布設状態をラップコイル状という。
【0038】また、モールドプレート17の光ファイバ
ー収納用溝部17bの内、モールドプレート17の下端
から(h/2)までの範囲内のものは露出され、(h/
2)から(3・h/4)での範囲内のものは埋設されて
いる。この光ファイバー22の埋設方法としては、特に
限定されるものではないが、例えば従来鋳型13が減厚
した際に該鋳型13の厚みを付与するために行われる電
子ビーム溶接法或いは電鋳メッキ法等が挙げられる。具
体的には、図7に示すように、光ファイバー収納用溝部
17bと該光ファイバー収納用溝部17b内に収納され
た光ファイバー22の間隙に、例えばエポキシ樹脂等に
アルミナ粉を混入させた、高い熱伝導率を有する充填材
23を充填した後、これら光ファイバー22や充填材2
3を覆って、光ファイバー収納用溝部17b内に電鋳メ
ッキ法で、やはり高い熱伝導率を有する銅の保護層24
を積層し、さらにモールドプレート17の稼働面17a
の所定面に電鋳メッキ法でNiの保護層25を積層し、
さらにNiの保護層25の上面にやはり電鋳メッキ法で
Crの保護層26を積層するものである。なお、図3
中、tで示される光ファイバー収納用溝部17b間の間
隔は、略同じ間隔にするのが好ましい。これにより、光
ファイバー22に過大な負荷をかけて折損等させること
なく容易に取り付けることができる。
【0039】そして、光ファイバー22の一端部には、
計測器27が接続されている。この計測器27は、図8
に示すように、後述する半導体レーザ29及び平均化処
理装置34にパルス信号を出力するパルス発振装置28
と、パルス発振装置28から出力されたパルス信号によ
って駆動され後述する光分波器30にパルス光を出射す
る半導体レーザ29と、半導体レーザ29から出射され
たパルス光を透過させると共に、光ファイバー22の所
定位置からの後方ラマン散乱光を後述する波長分離装置
31に分波する光分波器30と、光分波器30で分波さ
れた光ファイバー22からの後方ラマン散乱光をストー
クス光及び反ストークス光に分離する波長分離装置31
と、波長分離装置31で波長分離されたストークス光を
光電変換する第1光検出器32と、波長分離装置31で
波長分離された反ストークス光を光電変換する第2光検
出器33と、パルス発振装置28からのパルス信号や、
第1及び第2光検出器32、33で光電変換されたスト
ークス光及び反ストークス光の強度に基づいて、各パル
ス光に対する各々の遅延時間に対応した光強度を加算平
均する平均化処理装置34と、平均化処理装置34から
の出力データを元に温度分布を算出するデータ処理装置
35とを有している。
【0040】さらに、計測器27にはディスプレイ(又
はCRTという)36が接続され、該計測器27のデー
タ処理装置35からの出力信号に応じて、鋳型内の温度
分布状態を表示するようになっている。一方、計測器2
7には鋳造速度制御器37が接続され(図1参照)、計
測器27のデータ処理装置35からの出力信号に基づ
き、鋳型13内の温度が予め任意に設定した設定温度範
囲を越えているか否かを判定し、例えば前記設定温度範
囲の上限値を越えた場合はピンチロール16a〜16
d、16a′〜16d′の速度を低減させるようになっ
ている。
【0041】続いて、この連続鋳造機10を用いた本発
明の一実施の形態に係る連続鋳造におけるブレークアウ
ト予知方法について説明する。まず、タンディッシュ1
1から浸漬ノズル12を介して鋳型13内に溶鋼14が
注入される。ここで、鋳型13内に注入された溶鋼14
は、鋳型13のモールドプレート17を介し冷却水貯留
部19内の冷却水で冷却される(以下鋳型13内で冷却
することを1次冷却という)。そして鋳型13内で1次
冷却されて凝固シェル15aが形成された鋳片15は、
鋳型13の下方に所定の曲率半径を持って二列並設さ
れ、図示しない駆動モータにより所定の回転駆動力を付
与されたピンチロール16a〜16d、16a′〜16
d′によって図1に矢視Aで示す引き抜き方向に引き抜
かれる。
【0042】そして、前述した連続鋳造機10における
連続鋳造操業の間、計測器27によって鋳型13内の凝
固シェル15aの成長状態が監視されている。以下に、
計測器27の動作について説明する。まず、パルス発振
装置28から所定パルス間隔を持って出力されたパルス
信号によって半導体レーザ29が駆動される。次に、半
導体レーザ29は、パルス発振装置28のパルス信号に
応じたパルス光を出射する。次に、半導体レーザ29か
ら出射されたパルス光は、光分波器30を介して光ファ
イバー22内に入射される。次に、光ファイバー22内
に入射されたパルス光は所定位置でラマン散乱を起こ
し、その内の後方ラマン散乱光が計測器27に戻ってく
る。次に、計測器27に戻ってきた後方ラマン散乱光は
光分波器30にて光の波長に応じて波長分離装置31の
方へ偏光される。次に、波長分離装置31は後方ラマン
散乱光をストークス光及び反ストークス光に分離する。
次に、波長分離装置31で分光されたストークス光及び
反ストークス光はそれぞれ第1及び第2光検出器32、
33で光電変換される。次に、平均化処理装置34は、
第1及び第2光検出器32、33でそれぞれ光電変換さ
れたストークス光及び反ストークス光の強度を加算平均
する。すなわち、平均化処理装置34は、光ファイバー
22に入射されたパルス光に応じてその戻り時間を検出
しており、その戻り時間に基づき、前記(1)式にてラ
マン散乱を起こした位置を算出している。そして、同じ
部位で生じたラマン散乱光のストークス光及び反ストー
クス光の強度を加算平均している。次に、データ処理装
置35は、平均化処理装置34からの出力データ及び前
記(1)〜(3)式に基づいて鋳型13内の温度分布状
態を算出する。次に、データ処理装置35からの出力信
号によってディスプレイ36に鋳型13内の温度分布状
態が表示される。一方、鋳造速度制御器37はデータ処
理装置35からの出力信号に基づき、鋳型13内の温度
が予め任意に設定した設定温度範囲を越えていないか判
定している。そして、図9(b)中B部又は図9(c)
中C部に示した温度異常部のように、鋳型13内の温度
が予め任意に設定した設定温度範囲を越えていたとき
は、ピンチロール16a〜16d、16a′〜16d′
の速度を低減させる。
【0043】ここで、本発明の一実施の形態に係る連続
鋳造におけるブレークアウト予知方法を適用して得られ
た連続鋳造操業時の鋳型内の温度分布状態を図9
(a)、(b)及び(c)に示した。ここで、連続鋳造
の条件としては、炭素含有率0.10wt%の包晶反応
域を有し溶鋼の凝固収縮率の大きな鋼を、厚み250m
m、幅1600mmの鋳造サイズで、鋳造速度1.4m
/分で連続鋳造した。なお、図中横軸は鋳型の稼働面
(又は鋳片)の幅方向を示し、図中縦軸は鋳型(又は鋳
片)の高さ方向及び温度を示している。
【0044】正常鋳造時には、図9(a)に示すよう
に、鋳型の下端から略上端に渡って、等高位置の光ファ
イバーで検出された鋳型内の温度が略同じとなってお
り、凝固シェル15aが略均一な凝固速度(冷却速度)
で冷却されていることが確認された。なお、図9(a)
中温度分布状態を示す各信号線において左右両側部の温
度が低下しているが、これは鋳片の角部は鋳型による熱
放射が盛んなことにより過冷却されていることを示して
いる。また、図9(a)中各信号線は光ファイバーの埋
設位置をも示している。
【0045】また、拘束性BOを生じるときには、凝固
シェル15aに、図9(b)中B部に示す高さ方向に広
範囲に渡った高温域の温度異常部が発生することが確認
された。すなわち、図9(b)中下段から3列目より上
段で温度が定常状態(170〜150℃)より上昇する
傾向となり、最高5℃の上昇が検出された。そこで、鋳
造速度を1.4m/分から1.12m/分まで20%減
速して連続鋳造を継続しながら温度の上昇傾向(V型拡
がりの有無)を観察した結果、鋳型内で温度異常分布の
終息傾向を確認できたので、この温度の上昇をブリード
と判定した。また、鋳片引き抜き後、このブリードの発
生位置に相当する鋳片の部位を切断したところ、ブリー
ドを確認することができた。
【0046】また、前述したブリードと同様な傾向の温
度の上昇傾向が発生したが、V型の拡がりが150mm
より大きいものが発生したために、鋳造速度を1.4m
/分から0.5m/分まで約64%減速し、鋳型内で保
持して凝固シェルの凝固を促進させると共に、引続き、
鋳型内の温度の上昇傾向及びV型拡がりを観察した結
果、BOと判定した。また、鋳片引き抜き後、このBO
の発生位置に相当する鋳片の部位を切断したところ、こ
の判別と同様にBOの発生する要因である鋳型に凝固シ
ェルが固着して引きちぎられた跡が確認された。この結
果、BOの確実な判別ができることが確認された。
【0047】さらに、パウダー等の異物を巻き込んでい
るときには、鋳片15(又は凝固シェル15a)に、図
9(c)中C部に示す小域でかつ低温域の温度異常部が
発生することが確認された。すなわち、図9(c)中下
段から3列目より上段で温度が定常状態(170〜15
0℃)より下降する傾向となり、最高7℃の温度低下が
検出された。そこで、鋳造速度を1.4m/分から1.
12m/分まで20%減速して連続鋳造を継続しながら
温度の低下傾向の解消を図ると共に、スラグベアのかみ
こみ、パウダー流れ込み不良による空隙(又はエアーギ
ャップという)の形成のいずれかの現象に起因した割れ
発生と判定した。また、鋳片引き抜き後、この前記スラ
グベアのかみこみやパウダー流れ込み等の発生位置に相
当する鋳片の部位を切断したところ、この判別と同様に
BOの発生する要因であるスラグベアのかみこみ又はパ
ウダー流れ込みが確認された。この結果、BOの確実な
判別ができることが確認された。
【0048】以上のように、光ファイバーを用いて鋳型
の稼働面側の温度測定を行えば、光ファイバーに沿って
連続的な温度計測を行うことができるため、鋳型の表面
温度を高密度で計測することができ、この高密度2次元
温度分布に基づいて、鋳型内の温度分布算出を行うこと
により、従来に比べ、より高精度の鋳型内の温度測定を
行うことができる。
【0049】以上、本発明の一実施の形態を説明した
が、本発明はこの実施の形態に限定されるものではな
く、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用
範囲である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る連続鋳造における
ブレークアウト予知方法を適用した連続鋳造機の概略構
成図である。
【図2】同連続鋳造機の連続鋳造用鋳型の概略構成図で
ある。
【図3】同連続鋳造機の連続鋳造用鋳型の鋳型長辺の斜
視図である。
【図4】同連続鋳造機の他の連続鋳造用鋳型の鋳型長辺
の斜視図である。
【図5】同連続鋳造機の連続鋳造用鋳型の鋳型短辺の拡
大斜視図である。
【図6】同連続鋳造機の他の連続鋳造用鋳型の鋳型短辺
の拡大斜視図である。
【図7】同連続鋳造機の連続鋳造用鋳型の要部拡大断面
図である。
【図8】同連続鋳造機の計測器のブロック回路図であ
る。
【図9】(a)ディスプレイに表示された正常鋳造時の
鋳型内温度分布図である。 (b)ディスプレイに表示されたブレークアウト発生時
の鋳型内温度分布図である。 (c)ディスプレイに表示されたパウダー巻き込み時の
鋳型内温度分布図である。
【図10】鋳型の稼働面からの距離とヒートスポット指
数の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10 連続鋳造機 11 タンディ
ッシュ 12 浸漬ノズル 13 鋳型 13a 鋳型短辺 13a′ 鋳型
短辺 13b 鋳型短辺 13c 鋳型長
辺 13c′ 鋳型長辺 13d 鋳型長
辺 14 溶鋼 15 鋳片 15a 凝固シェル 16a ピンチ
ロール 16b ピンチロール 16c ピンチ
ロール 16d ピンチロール 16a′ ピン
チロール 16b′ ピンチロール 16c′ ピン
チロール 16d′ ピンチロール 17 モールド
プレート 17a 稼働面 17b 光ファ
イバー収納用溝部 17c スリット溝 18 バックプ
レート 19 冷却水貯留部 20 冷却水供
給口 21 冷却水排出口 22 光ファイ
バー 23 充填材 24 保護層 25 保護層 26 保護層 27 計測器 28 パルス発
振装置 29 半導体レーザ 30 光分波器 31 波長分離装置 32 第1光検
出器 33 第2光検出器 34 平均化処
理装置 35 データ処理装置 36 ディスプ
レイ 37 鋳造速度制御器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 孝則 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新 日本製鐵株式会社八幡製鐵所内 (72)発明者 鈴木 規之 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 (72)発明者 山田 義博 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連続鋳造用鋳型の稼働面側に埋設又は露
    出して取り付けられた光ファイバーにパルス光を入射
    し、該光ファイバーの所定位置で発生した後方ラマン散
    乱光を検出し、そのストークス光と反ストークス光の強
    度比及びその戻り時間に基づいて前記連続鋳造用鋳型の
    所定位置の温度を検出することを特徴とする連続鋳造に
    おけるブレークアウト予知方法。
  2. 【請求項2】 前記光ファイバーを前記連続鋳造用鋳型
    の稼働面から深さ20mmまでの範囲に取り付け、更
    に、前記連続鋳造用鋳型の高さをhとしたとき、前記光
    ファイバーを前記連続鋳造用鋳型の下端から(3・h/
    4)までの範囲に取り付けている請求項1記載の連続鋳
    造におけるブレークアウト予知方法。
  3. 【請求項3】 前記連続鋳造用鋳型の下端から(h/
    2)までの範囲に取り付けられた前記光ファイバーを露
    出し、前記連続鋳造用鋳型の下端の(h/2)から(3
    ・h/4)の範囲に取り付けられた前記光ファイバーを
    埋設している請求項2記載の連続鋳造におけるブレーク
    アウト予知方法。
  4. 【請求項4】 前記光ファイバーをラップコイル状に取
    り付けている請求項1〜3のいずれか1項に記載の連続
    鋳造におけるブレークアウト予知方法。
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