JP5412872B2 - 連続鋳造におけるブレークアウト検出方法及び装置、該装置を用いた鋼の連続鋳造方法、ブレークアウト防止装置 - Google Patents

連続鋳造におけるブレークアウト検出方法及び装置、該装置を用いた鋼の連続鋳造方法、ブレークアウト防止装置 Download PDF

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Description

本発明は、溶鋼の連続鋳造において、鋳片に発生するブレークアウトを精度良く検出し、さらには防止する方法及び装置に関するものである。
連続鋳造においては、鋳型に注入された溶鋼は鋳型内で冷却されることにより凝固シェルを形成して鋳型から引き抜かれるが、なんらかの原因により凝固シェルの形成が不十分になり凝固シェル厚の薄い箇所が存在すると、この凝固シェル厚の薄い部位が鋳型出口(鋳型下端)に来たときに凝固シェルが破れて溶鋼が吹き出る、いわゆるブレークアウトが発生する危険がある。
ブレークアウトが発生すると操業停止とならざるを得ず、ブレークアウトが発生しないような操業条件を選択する必要があるが、ブレークアウトの発生を恐れて鋳造速度を必要以上に遅くすることは、操業効率の悪化となり好ましくない。
このような背景から、高速鋳造を行ないながらも、ブレークアウトの危険を的確に判断できる手法の開発が望まれ、様々な方法が提案されている。
例えば、特許文献1(特公昭63−53903号公報)においては、以下のような技術が開示されている。
鋳型の外表面に配置した薄板型の表面熱流束計により、鋳型の抜熱量に応じた熱流束を測定して、連続鋳造におけるブレークアウトを防止する方法において、
多数の熱流束計により、鋳型各部の局所的な熱流束を測定し、該熱流束の時間的変化を表した熱流束波形の波高が急激に所定値を上まわった時に鋳込み速度を低下させ、前記波高が元に戻るまで低速鋳込みを行うことにより、ブレークアウトの発生を防止することを特徴とする連続鋳造におけるブレークアウト防止方法。
特公昭63−53903号公報
特許文献1に開示された技術は熱流束計を用いて熱流束の変化を検出することによるブレークアウト防止方法である。
鋳型各部の局所的な熱流束は、鋳型からの抜熱量を意味しており、抜熱量が凝固シェルの形成に関連している。
したがって、熱流束の変化に異常があったときに凝固シェル厚の形成に異常が生じ、ブレークアウトの発生の危険があると予測することは一応合理的である。
しかしながら、ブレークアウトの発生は、鋳型出口において凝固シェル厚が所定の厚みに達していないことによって起こることを考えると、熱流束の変化のみによっては正確なブレークアウトの危険性を把握するには必ずしも十分とは言えない。
なぜなら、鋳型内での凝固シェル形成過程の初期の段階において熱流束の異常があったとしても、凝固シェル形成過程のその後の段階において凝固シェルが形成され、鋳型出口において所定の厚みの凝固シェルが形成されておれば、ブレークアウト発生の危険はないと判断できる場合もあるからである。
つまり、従来例に示された局所熱流束の変化のみによって、ブレークアウト発生の危険を予測することは十分正確な指標とは言いがたいものであった。
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、溶鋼の連続鋳造において、鋳片に発生するブレークアウトを精度良く検出し、さらにはこれを防止する方法及び装置を提供することを目的としている。
発明者は上記の課題を解決するために、鋳型出口において凝固シェル厚が所定の厚みに達していないことがブレークアウト発生の原因であるという基本的な事実に立ち返り、この事実に密接に関連する指標を見いだすべく研究を行った。
凝固シェル厚は鋳型と鋳片の間の抜熱状態に密接に関係している。すなわち、凝固シェル厚が薄いと、鋳片から鋳型への伝熱量が多くなり抜熱量が多くなるし、逆に凝固シェル厚が厚いと、鋳片から鋳型への伝熱量が少なくなり抜熱量が少なくなる。
発明者はこの事実を詳細に検討すべく実際の鋳型内における具体的な抜熱状態を調べることとした。
抜熱状態を検知するには、鋳型の各部位における熱流束を求める必要があるが、これは以下のように行なう。
図2は鋳型1の断面図であり、タンディッシュ40の底部に接続され、鋳型1内に設置した浸漬ノズル3から溶鋼5を吐出している(矢印)状態を示している。湯面にはモールドパウダー7(層として示す)が添加され、このモールドパウダー7が鋳型1と溶鋼5の隙間に流れ込み潤滑剤の役割をはたす。溶鋼5はこのモールドパウダー7を介して鋳型1に抜熱され凝固シェル9を形成しながら鋳型出口に向かって引き抜かれる。
図3は鋳型1を形成している鋳型銅板11の一部拡大して示す断面図である。熱流束を求めるためには鋳型銅板11における温度勾配を検出する必要があり、これを検出するために熱電対17が用いられるが、この熱電対17は、図3に示すように、鋳型銅板11の外側面に形成された冷却水通路13の底部に孔15をあけ、その中に深さ方向に一定の距離を離した2箇所に埋設されている。
この埋設した熱電対17の出力から温度勾配を検出し、この温度勾配に基づいて計算により熱流束を求めることができる。
局所熱流束q1(J/s・m2)の算出は、2本の熱電対17の検出温度をT1(℃)、T2(℃)、埋設間隔をd(m)、及び鋳型1の熱伝導率をλ(J/s・m・℃)として、次式を用いて行なう。
q1=λ(T1−T2)/d
鋳型厚み方向に設置した2本の熱電対17からなる一対の熱電対を、例えば鋳型短片の場合は図4の黒丸印によって示すように通常の湯面位置より下方位置に、高さ40〜200mmおきに合計で9箇所設置した。
発明者の調査では、鋳型厚み方向に設置した2本の熱電対17からなる一対の熱電対を、例えば鋳型短片(水平断面が直方体を成す鋳型において、短い方の辺)の場合は図4の黒丸印によって示すように通常の湯面位置より下方位置に、高さ40〜200mmおきに合計で9箇所設置した。これらの熱電対17からの出力信号に基づいて、上記の式により局所熱流束を求め、この局所熱流束と湯面からの位置との関係について調査を行なった。
図5はこの調査結果を示すグラフであり、縦軸が局所熱流束を示し、横軸が湯面からの距離を示している。
なお、本明細書においては、縦軸を局所熱流束、横軸を湯面からの距離として、局所熱流束と湯面からの距離との関係を示したグラフの形状を熱流束プロファイルという。
図5のグラフに示すように、局所熱流束は湯面から鋳型出口方向に向かって減少し、湯面からの距離が400mmの近傍で極小値をとり、その後、一旦増加傾向を示し、その増加傾向は湯面からの距離が約600mm近傍で極大値を示し、その後再び減少している。
発明者は、局所熱流束が鋳型出口方向に向かって減少傾向から一旦上昇傾向に転ずることに注目し、さらに検討を重ねた。
局所熱流束が極小値を示す位置は湯面からの距離が400mm近傍であり、この位置は、浸漬ノズル3の吐出口から吐出される溶鋼5の吐出流が鋳型短辺に衝突する位置と一致している(図2参照)。
このような局所熱流束の変化と溶鋼吐出流との関係は以下のことを物語っている。
図5に示すように、湯面から鋳型出口方向に行くにしたがって局所熱流束が減少しているのは、熱抵抗が増したこと、すなわち、図2に示すように凝固シェル厚が徐々に厚くなっていることを示している。
そして、浸漬ノズル3から吐出される溶鋼5の吐出流が凝固シェル9に衝突する位置においては、凝固シェル9の再溶解が起こり、凝固シェル厚みが減少し、この薄くなった凝固シェル9の凝固界面に溶鋼流動による熱が加わり局所熱流束が上昇したものと考えられる。
そしてさらに鋳造方向の下流に行くにしたがって、溶鋼流動の影響がなくなり、再び局所熱流束が減少していることから凝固シェル厚が厚くなっていると考えられる。
以上の検討から、ある瞬間における凝固シェル9の形状は、図2に示されるように、湯面から局所熱流束の極小値の位置までは凝固シェル9の厚みが増し、また局所熱流束の極小値から極大値までは凝固シェル9の厚みが減少し、さらに局所熱流束の極大値以降は再び凝固シェル9の厚みが増していると考えられる。
鋳型内ではこのように凝固シェル厚が厚くなったり薄くなったりする過程を経て鋳型出口での凝固シェル厚が決定されるのである。
鋳型内において凝固シェル厚が成長する程度と、凝固シェル9が再溶解することによって一旦形成された凝固シェル9が薄くなる程度との関係は、鋳型出口における凝固シェル厚に直接的に関係していると考えられ、一方ブレークアウトの発生が鋳型出口における凝固シェル厚に関係することを考えると、上記の2つの程度の関係がブレークアウトの発生の有無に深く関わると考えられる。
そこで、発明者は上記の2つの程度すなわち凝固シェル厚が成長する程度と一旦形成された凝固シェル9が薄くなる程度の関係とブレークアウト発生との関連を調べるべくさらに検討を重ねた。
仮に鋳型内で溶鋼流による凝固シェルの再溶解という現象が発生しないとした場合、例えば浸漬ノズルからの吐出がなく鋳型内の溶鋼が引き抜かれるだけの場合、凝固シェルは湯面から鋳型出口に向かって徐々にその厚みを増していくと考えられる。
このような溶鋼流による凝固シェルの再溶解という現象が発生しない状態を想定して、図5と同様に横軸を湯面からの距離、縦軸を局所熱流束としたグラフを想定すると、図5の場合に見られた途中の盛り上がりのないなだらかな減少曲線になると想定される。
そして、この場合には凝固シェルの鋳型出口での厚みは抜熱量を積算したものに比例すると考えられる。つまり、このような仮定の状況であるなら、上記グラフの熱流束プロファイルを、ブレークアウト発生の指標に容易にできると言える。
他方、現実の鋳型内においては浸漬ノズルからの吐出流による溶鋼流(以下、単に「溶鋼流」という)の影響で凝固シェルの再溶解が生じており、この再溶解によって凝固シェル9が薄くなると共に抜熱量が増大するという現象が生じている。
したがって、溶鋼流の影響のある状態においては、凝固シェル厚の成長する程度は、単に抜熱量に比例するのではなく、実測される抜熱量から溶鋼流の影響による抜熱量を差し引いたものに比例すると考えられる。この溶鋼流の影響による抜熱量は、溶鋼流による凝固界面への入熱(以下、単に「凝固界面入熱」という。)として評価できる。
このように考えると、浸漬ノズルから溶鋼を吐出している操業状態においては、凝固シェルが薄くなる程度は凝固界面入熱で評価でき、他方、凝固シェルが成長する程度は、熱電対によって測定できる局所熱流束から凝固界面入熱を差し引いたもので評価できる。
よって、これらの2つの評価量を比較検討することで、ブレークアウト発生の指標とできる。
ところで、凝固界面入熱をq2(J/s・m2)とすると、この凝固界面入熱q2は、溶鋼から凝固界面への熱伝達係数をh(J/s・m2・℃)、溶鋼の過熱度をΔθ(℃)とすると、次式で表すことができる。
q2=h・Δθ・・・・・・・・・・(1)
但し、h=1.22×105×V0.8
V:溶鋼流速(m/s)
Δθ=T0−TS(℃)
0:鋳型内溶鋼温度(℃)
S:溶鋼固相線温度(℃)
なお、鋳型内溶鋼温度T0(℃)は、鋳型内溶鋼温度を実測してもよいし、例えばタンディッシュ(TD)内溶鋼温度(実測値)に基づいて次の鋳型内溶鋼温度推定式によって算出してもよい。
0=705.156+0.544086・TTD−2.35053・VC−0.00303・W
+18.12663・(0.1018lnFC−0.3362)
但し、TTD:TD内溶鋼温度(℃)(実測値)
C:鋳造速度(m/min)
W:鋳造幅(m)(実測値)
FC:印加電流値(A)(実測値)
上記のように、凝固界面入熱q2は熱伝達係数hに関係し、熱伝達係数hは溶鋼流速Vに関係する量である。そのため、凝固界面入熱q2をオンラインで測定するには、鋳型内の溶鋼流速Vをオンラインで測定する必要がある。
しかしながら、溶鋼流速Vを操業状態においてオンラインで測定することは難しい。
そこで、発明者は、事前に種々の鋳造速度において鋳造された鋳片をサンプリングし、この鋳片におけるデンドライト傾角から各鋳造速度における溶鋼流速値を求めて、この溶鋼流速値に基づく凝固界面入熱q2を求めることを考えた。ここでデンドライト傾角とは、鋳片表面に対する法線方向に対して、表面から厚み方向に伸びているデンドライトの一次枝の傾角であり、溶鋼流速値と相関することが知られている。
この事前に求めた凝固界面入熱q2を「定常状態における凝固界面入熱q2」と称し、定常凝固界面入熱q2regと表記するものとする。なお、定常状態という文言を用いている趣旨は、浸漬ノズルに詰まりがあり溶鋼流速に偏流があるような異常状態を排除する趣旨である。
そして、発明者は、ブレークアウト発生の有無を評価したい操業状態において、熱電対によって測定した局所熱流束から定常凝固界面入熱q2regを差し引いた熱量について熱流束プロファイルを求め、この熱流束プロファイルに基づいてブレークアウトの発生の有無の評価をすることを考えた。このように実測された局所熱流束から定常凝固界面入熱q2regを差し引くことを考えた理由は以下の通りである。
操業状態における実測された局所熱流束から定常凝固界面入熱q2regを差し引いた熱量についての熱流束プロファイルがなだらかに減少する曲線となった場合には、この熱流束プロファイルが上述した浸漬ノズルからの吐出がなく鋳型内の溶鋼が引き抜かれるだけの場合の熱流速プロファイルと同じであることを意味し、このことは操業状態における凝固界面入熱q2が定常凝固界面入熱q2regと同じであることを意味している。つまり、この状態の場合には凝固シェルを薄くする程度は通常の浸漬ノズルからの溶鋼流によるもの、つまり定常状態と同じであり、このような状況であればあれば鋳型の冷却が通常通り行なわれており、凝固シェルが通常通り成長すればブレークアウトは発生しないと評価できる。
他方、熱電対によって測定した局所熱流束から定常凝固界面入熱q2regを差し引いた熱量に関する熱流束プロファイルが湯面からある距離の位置で盛り上がるような場合、すなわち熱流束プロファイルが極小値を有しコブができるような場合には、定常凝固界面入熱q2regよりも実際の凝固界面入熱q2が大きいことを意味し、この状態では定常状態よりも凝固シェルの再溶解の程度が高いと考えられる。例えば浸漬ノズルの片詰まりなどによって鋳型内において溶鋼流に偏流が生じ、測定対象としている鋳型界面の入熱が通常よりも増大したような場合である。この場合には、コブの大きさの程度が通常の凝固界面入熱q2よりも大きい入熱を表していると考えられ、このコブの大きさの程度が異常な溶鋼流による凝固シェルを再溶解させる程度であると評価でき、これが大きい場合には鋳型の冷却が通常通り行なわれていたとしても、ブレークアウト発生の危険性があると評価できる。
このように、実測された局所熱流束から定常凝固界面入熱q2regを差し引いた熱量についての熱流束プロファイルを求めることで、そのコブの有無やその大きさの程度によって凝固シェルの再溶解の程度が定常状態と比べてどの程度であるかを明確に把握でき、ブレークアウト発生の危険性の評価が可能なのである。
そこで、発明者は種々の鋳造速度の場合について、デンドライト傾角から溶鋼流速を求め、それぞれの場合について、定常凝固界面入熱q2regを求め、この定常凝固界面入熱q2regを操業状態において熱電対によって測定される抜熱量から差し引き、それについて熱流束プロファイルを求め、その熱流束プロファイルに基づいてブレークアウト発生の有無についてさらに検討した。
以下、この検討内容を具体的に説明する。
図6は、鋳造速度VC=2.54m/minで、鋳造幅W=1100mmの場合において、鋳片のデンドライト傾角に基づいて、溶鋼流速(m/s)と湯面からの距離(mm)の関係を求めたものを、溶鋼流速を縦軸とし、湯面からの距離を横軸としてグラフ化したものである。
このグラフから溶鋼流速V(m/s)を求め、上記(1)式に基づいて定常凝固界面入熱q2regを求める。
そして、操業状態における局所熱流束を熱電対で測定し、この測定した操業状態と同じ鋳造速度における定常凝固界面入熱q2regを測定値から差し引き、差し引いた熱量における熱流束プロファイルを求める。
図7は縦軸が局所熱流束を示し、横軸が湯面からの距離を示しており、またグラフにおける黒丸の値(D1)が熱電対による測定値を示し、白丸の値(D2)が熱電対による測定値から定常凝固界面入熱q2regを差し引いた値を示している。
図8は図7における白丸によって描かれたグラフを模式的に示した図であり、グラフによって囲まれた面積すなわち局所熱流束の積算値(総括熱流束)の求め方の一例を説明する説明図である。
以下、図8に基づいて総括熱流束の求め方を説明する。
まず、図8に示すようにグラフを複数の台形に分割することにより、各台形の面積(Q1−1〜Q1−7)を求め、それらを足し算することで全体の面積Qを求める。
そして、グラフにおける極小点をA、極大点をB、鋳型出口の点をCとし、三角形ABCをコブと捉え、このコブの面積すなわち三角形ABCの面積Q2を以下のようにして求める(図9参照)。
点Aに対応する横軸上の点をA´、点Cに対応する横軸上の点をC´とし、台形ACC´A´の面積Q1−8を求め、このQ1―8とQ1―1〜Q1−3を足し算した面積をQ1とすると、Q2=Q−Q1として求まる。
このようにして求めたQ1とQ2に基づいて、それぞれの鋳造条件におけるブレークアウト発生の有無との関係について検討した。その結果を表1に示す。ブレークアウトの有無については、シェル厚みが閾値6mm以下となった場合、ブレークアウト発生「有り」と判定した。
Figure 0005412872
表1の検討例1〜5のQ2/Q1の値は0.25未満となり、これら場合の鋳造条件ではブレークアウトが発生していない。
これに対して、検討例6〜10のQ2/Q1の値は0.25以上となり、これら場合の鋳造条件ではブレークアウトが発生している。
この結果、Q2/Q1の値が0.25未満の場合にはブレークアウトが発生せず、逆にQ2/Q1の値が0.25以上ではブレークアウトが発生することが分かった。
このように、Q2/Q1の値がブレークアウト発生に精度よく関連していることから、上記の推論が正しいことが裏付けられており、Q2/Q1の値をブレークアウト発生の有無の指標とすることで、精度よくブレークアウト発生を検出できることを見出した。
また、Q2が零となるような場合、つまり操業状態における実測された局所熱流束から定常凝固界面入熱q2regを差し引いた熱量についての熱流束プロファイルがなだらかに減少する曲線となった場合は、前述したように、操業状態における凝固界面入熱q2が定常凝固界面入熱q2regと同じであることを意味している。
本発明は以上の知見を基になされたものであり、具体的には以下の構成からなる。
(1)本発明に係る連続鋳造におけるブレークアウト検出方法は、連続鋳造における鋳型内の溶鋼が湯面から鋳型出口に至るまでの間に凝固界面へ入熱する熱流束q1を測定し、定常状態における鋳型内の溶鋼流動による定常凝固界面入熱q2regを下式(1)に基づいて求め、これら熱流束q1と定常凝固界面入熱q2regの差(q1−q2reg)について溶鋼が湯面から鋳型出口に至るまでの熱流束プロファイルを求め、この熱流束プロファイルに基づいてブレークアウト発生の危険の有無を判定するステップを有し、
このステップが、前記熱流束プロファイルに基づき総括熱流束Q1およびQ2を以下の方法により求めるステップ;すなわち、前記該熱流束プロファイルに極小値を示す極小点が存在する場合には、該極小点と鋳型出口での局所熱流束値とを直線で結んだときにこの直線よりも上の部分の面積に相当する総括熱流束をQ2とし、湯面位置から鋳型出口間の該熱流束プロファイルの曲線全体で囲まれる全面積に相当する総括熱流束からQ2を差し引いた面積に相当する総括熱流束をQ1とし、前記該熱流束プロファイルに極小値を示す極小点が存在しない場合には、湯面位置から鋳型出口間の該熱流束プロファイルの曲線全体で囲まれる全面積に相当する総括熱流束を総括熱流束Q1とし、Q2を零とするステップ;および、Q2が零の場合にはブレークアウト発生の危険無しと判定し、Q2が零でない場合にはQ2/Q1の値が予め定めた閾値以上のときにブレークアウト発生の危険有りと判定するステップを有することを特徴とするものである。
q2reg=h・Δθ ・・・・・・・・・・ (1)
但し、q2reg:定常凝固界面入熱(J/s・m2)
h:溶鋼と凝固シェルの間の熱伝達係数(J/s・m2・℃)
Δθ:溶鋼の過熱度(℃)
)また、上記(1)に記載のものにおいて、熱流束q1は、鋳型内に鋳型厚み方向で埋め込み深さの異なる2点間に埋め込んだ一対の熱電対を、鋳型鋳造方向に複数設置して、前記一対の熱電対の出力に基づいて下式によって求める局所熱流束であることを特徴とするものである。
q1=λ(T1−T2)/d
但し、q1:熱流束(J/s・m2)
λ:鋳型の熱伝導率(J/s・m・℃)
T1、T2:熱電対の検出温度(℃)
d:熱電対の埋設間隔(m)
)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、熱流束プロファイルにおいて極小値を示す極小点が存在する場合において、該極小点と鋳型出口での局所熱流束値とを直線で結んだときにこの直線よりも上の部分の面積をQ2とし、湯面位置から鋳型出口間の該熱流束プロファイルの曲線全体で囲まれる全面積からQ2を差し引いた面積をQ1とし、これらQ1とQ2との関係が、下式を満たすときにブレークアウトの危険があると判定することを特徴とするものである。
Q2≧αQ1
但し、α:溶鋼の種類によって決まる定数
)また、上記()に記載のものにおいて、溶鋼が極低炭素鋼であり、αが0.25であることを特徴とするものである。
)また、上記()又は()に記載のブレークアウト検出方法を用いた鋼の連続鋳造方法であって、
Q2<αQ1となるように操業条件を制御することを特徴とするものである。
)また、本発明に係る連続鋳造におけるブレークアウト検出装置は、鋳型厚み方向に異なる深さの2点に埋め込んだ一対の熱電対を、鋳型鋳造方向に複数設置してなる熱電対群と、該熱電対群からの温度情報を入力して各熱電対設置部位における局所熱流束q1を求める局所熱流束演算手段と、定常状態における鋳型内の溶鋼流動による定常凝固界面入熱q2regを下式(1)に基づいて求めたデータを記憶する定常凝固界面入熱記憶手段と、これら熱流束q1と定常凝固界面入熱q2regの差(q1−q2reg)について溶鋼が湯面から鋳型出口に至るまでの熱流束プロファイルを求めるプロファイル演算手段と、求められた熱流束プロファイルに基づいてブレークアウト発生の危険の有無を判定するブレークアウト判定手段とを備え、
該ブレークアウト判定手段が、前記熱流束プロファイルに基づき総括熱流束Q1およびQ2を以下の方法により求め;すなわち、前記熱流束プロファイルに極小値を示す極小点が存在する場合には、該極小点と鋳型出口での局所熱流束値とを直線で結んだときにこの直線よりも上の部分の面積に相当する総括熱流束をQ2とし、湯面位置から鋳型出口間の該熱流束プロファイルの曲線全体で囲まれる全面積に相当する総括熱流束からQ2を差し引いた面積に相当する総括熱流束をQ1とし、前記熱流束プロファイルに極小値を示す極小点が存在しない場合には、湯面位置から鋳型出口間の該熱流束プロファイルの曲線全体で囲まれる全面積に相当する総括熱流束を総括熱流束Q1とし、Q2を零とし;Q2が零の場合にはブレークアウト発生の危険無しと判定し、Q2が零でない場合にはQ2/Q1の値が予め定めた閾値以上のときにブレークアウト発生の危険有りと判定することを特徴とするものである。
q2reg=h・Δθ ・・・・・・・・・・ (1)
但し、q2reg:定常凝固界面入熱(J/s・m2)
h:溶鋼と凝固シェルの間の熱伝達係数(J/s・m2・℃)
Δθ:溶鋼の過熱度(℃)
)また、上記()に記載のものにおいて、ブレークアウト判定手段は、溶鋼が極低炭素鋼である場合で、熱流束プロファイルにおいて極小値を示す極小点が存在する場合において、該極小点と鋳型出口での局所熱流束値とを直線で結んだときにこの直線よりも上の部分の面積をQ2とし、湯面位置から鋳型出口間の該熱流束プロファイルの曲線全体で囲まれる全面積からQ2を差し引いた面積をQ1としたとき、Q2/Q1が0.25以上のときにブレークアウト発生の危険有りと判定することを特徴とするものである。
)また、本発明に係る連続鋳造におけるブレークアウト防止装置は、上記(又は(7)に記載のブレークアウト検出装置を用いたブレークアウト防止装置であって、ブレークアウト判定手段の信号を入力して、ブレークアウト判定手段がブレークアウトの危険有りと判定した場合において、鋳造速度を下げるように操業条件を制御し、または該制御に加えて鋳型内の溶鋼流速を低下させる制御を行う制御手段を備えたものである。
本発明においては、連続鋳造における鋳型内の溶鋼が湯面から鋳型出口に至るまでの間に凝固界面へ入熱する熱流束q1を測定し、熱流束q1と定常凝固界面入熱q2regの差(q1−q2reg)について溶鋼が湯面から鋳型出口に至るまでの熱流束プロファイルを求め、この熱流束プロファイルに基づいてブレークアウト発生の危険の有無を判定するようにしたので、種々の操業条件下で、ブレークアウトの発生を、感度良く、簡単かつ確実に予知して、ブレークアウトを確実に防止することができるという優れた効果を奏する。
本発明の一実施の形態に係るブレークアウト防止装置を設置した連続鋳造設備の説明図である。 課題を解決するための手段を説明する説明図であり、熱電対を埋め込んだ連続鋳造用鋳型の断面図である。 課題を解決するための手段を説明する説明図であり、熱電対の埋め込み方法の説明図である。 課題を解決するための手段を説明する説明図であり、熱電対の取り付け位置の説明図である。 課題を解決するための手段を説明する説明図であり、局所熱流束と湯面からの距離の関係を示すグラフである。 課題を解決するための手段を説明する説明図であり、溶鋼流速と湯面からの距離の関係を示すグラフである。 課題を解決するための手段を説明する説明図であり、局所熱流束と湯面からの距離の関係を示すグラフである。 課題を解決するための手段を説明する説明図であり、局所熱流束と湯面からの距離の関係を示すグラフによって示される熱流束プロファイルの面積の求め方の説明図である。 課題を解決するための手段を説明する説明図であり、局所熱流束と湯面からの距離の関係を示すグラフによって示される熱流束プロファイルの面積の求め方の説明図である。
図1は本発明の一実施の形態に係るブレークアウト防止装置を設置した連続鋳造設備の説明図であり、図2と同一部分には同一の符号を付してある。
連続鋳造設備は、鋳型1とタンディッシュ40の底部に接続され鋳型1内に設置されて、タンディッシュ40からの溶鋼5を吐出する浸漬ノズル3と、鋳型1から出た鋳片19をガイドするガイドローラ21と、鋳片19を引抜くためのピンチロール23と、ピンチロール23を回転駆動するためのモーター25と、モーター25を制御するためのピンチロール制御装置27とを備えている。
このような構成の連続鋳造設備には、以下の構成からなるブレークアウト防止装置が設けられている。
ブレークアウト防止装置は、鋳型1を形成している鋳型銅板11に異なる深さの2点に埋め込んだ一対の熱電対17を、鋳型幅方向および鋳造方向に複数設置してなる熱電対群と、鋳型厚み方向に該熱電対群17からの温度情報を入力して各熱電対設置部位における局所熱流束q1を演算する局所熱流束演算手段29と、定常状態における鋳型内の溶鋼流動による定常凝固界面入熱q2regを下式(1)に基づいて求めたデータを記憶する定常凝固界面入熱記憶手段31と、これら熱流束q1と定常凝固界面入熱q2regの差(q1−q2)について溶鋼が湯面から鋳型出口に至るまでの熱流束プロファイルを求める熱流束プロファイル演算手段32と、求められた熱流束プロファイルに基づいてブレークアウト発生の危険の有無を判定するブレークアウト判定手段33と、ブレークアウト判定手段33の信号を入力して、ブレークアウト判定手段33がブレークアウトの危険有りと判定したときに、鋳造速度を減速するように制御する制御手段35と、ブレークアウト判定手段33がブレークアウトの危険有りと判定したときに、警報を発する警報装置37とを備えている。
q2reg=h・Δθ ・・・・・・・・・・ (1)
但し、q2reg:定常凝固界面入熱(J/s・m2)
h:溶鋼と凝固シェルの間の熱伝達係数(J/s・m2・℃)
Δθ:溶鋼の過熱度(℃)
以下、各構成をさらに詳細に説明する。
<熱電対>
熱電対17は図3、図4で示したのと同様に鋳型銅板11に埋め込まれている。すなわち、鋳型銅板11の外側面に形成された冷却水通路の底部に孔をあけ、その中に、熱電対17を埋め込み、深さ方向に一定の距離を離した2箇所に埋没した一対の熱電対17を鋳型鋳造方向に9箇所計18本設置している。
なお、熱電対17は鋳型の短辺側及び長辺側に埋め込まれているが、本発明においては、鋳型の各辺ごとに計測して、各辺ごとの計測値に基づいてブレークアウト発生の有無を判定するものである。
<局所熱流束演算手段>
局所熱流束演算手段29は、熱電対17の信号を入力して局所熱流束q1を演算する。局所熱流束演算手段29はCPUが所定のプログラムを実行することにより実現されるものであり、このプログラムには、前述したように、2本の熱電対17の検出温度をT1、T2、埋設間隔をd、及び鋳型1の熱伝導率をλとして、局所熱流束を算出する次式が書き込まれている。
q=λ(T1−T2)/d
<定常凝固界面入熱記憶手段>
定常凝固界面入熱記憶手段31は、下式(1)に基づいて求めた定常状態における鋳型内の溶鋼流動による定常凝固界面入熱q2regのデータを記憶する。
q2reg=h・Δθ・・・・・・・・・・(1)
但し、h=1.22×105×V0.8
V:溶鋼流速(m/s)
Δθ=T0−TS(℃)
0:鋳型内溶鋼温度(℃)
S:溶鋼固相線温度(℃)
なお、定常凝固界面入熱q2regを求める手法は、所定の鋳造速度で操業したときに鋳造した鋳片のデンドライト傾角から溶鋼流速を求め、この溶鋼流速をもとにして上記(1)式に基づいて定常凝固界面入熱q2regを求める。
<熱流束プロファイル演算手段>
熱流束プロファイル演算手段32は、これら熱流束q1と定常凝固界面入熱q2regの差(q1−q2reg)について溶鋼が湯面から鋳型出口に至るまでの熱流束プロファイルを求める。
熱流束プロファイル演算手段32は、局所熱流束演算手段29と同様に、CPUが所定のプログラムを実行することにより実現されるものであり、このプログラムには、上述した熱流束プロファイルを演算するロジックが書き込まれている。
<ブレークアウト判定手段>
ブレークアウト判定手段33は、熱流束プロファイル演算手段32が演算した熱流束プロファイルに基づいて、例えば上述した図9に示すQ1とQ2の関係を求め、これらの関係と予め定めた閾値からレークアウト発生の危険の有無を判定する。
Q1とQ2の関係とは、例えばQ2とQ1の比の値であり、このQ2/Q1の値が予め定めた閾値以上のときにレークアウト発生の危険有りと判定する。
この閾値は溶鋼の種類によって決まるものであり、例えば溶鋼が極低炭素鋼の場合には0.25である。
ブレークアウト判定手段33についても、CPUが所定のプログラムを実行することにより実現されるものであり、このプログラムには上述した判定のロジックが書き込まれている。
なお、Q2が零となった場合は、操業状態における凝固界面入熱q2が定常凝固界面入熱q2regと同じであることを意味しており、また定常状態とは浸漬ノズルに詰まりがあり溶鋼流速に偏流があるような異常状態でない状態を意味しているのであるから、この場合、すなわちQ2が零となった場合には、ブレークアウト判定手段33はレークアウト発生の危険なしと判定する。
<制御手段>
制御手段35は、ブレークアウト判定手段33がブレークアウトの危険有りと判定したときに、鋳造速度を減速するように制御する。
具体的には、ブレークアウト判定手段33からのブレークアウトの危険有りとの信号を入力すると、ピンチロール制御装置27に対してモーター25の回転速度の減速を指令する信号を出力する。
また、制御手段35は、レークアウト判定手段からのブレークアウトの危険有りとの信号を入力すると、警報装置37に対して警報を発するように指令信号を出力する。
制御手段35についても、CPUが所定のプログラムを実行することにより実現されるものであり、このプログラムには上述した指令信号を出力するロジックが書き込まれている。
<警報装置>
警報装置37は、ブレークアウト判定手段33からの信号を入力して警報を発する。警報の種類は問わないが、例えば警報音、警報ランプの点灯、これらの組合せなどである。
以上のように構成された本実施の形態の動作を説明する。
浸漬ノズル3から溶鋼5を吐出して鋳型1によって冷却して鋳片19を連続鋳造する操業において、熱電対17からの信号を局所熱流束演算手段29に入力して局所熱流束を演算し、この演算結果をプ熱流束プロファイル演算手段32に入力する。熱流束プロファイル演算手段32は、局所熱流束演算手段29から入力された局所熱流束q1と、定常凝固界面入熱記憶手段31に記憶されている定常凝固界面入熱q2regに基づいて、q1−q2regを演算すると共にこの演算結果に基づいて熱流束プロファイルを演算する。
そして、演算された熱流束プロファイルについて、例えば図9に示したようなQ1、Q2を求め、これらの演算値Q1とQ2をブレークアウト判定手段33に入力し、Q1とQ2の比を求め、この比の値と予め定めた閾値との関係でブレークアウト発生の危険の有無を判定する。
判定の結果、ブレークアウト発生の危険がない場合には、そのまま操業を続行する。
一方、判定の結果、ブレークアウト発生の危険があると判定された場合には、ブレークアウト判定手段33が、制御手段35に対して鋳造速度の減速を指令する信号を出力すると共に警報装置37に対して警報を発する指令信号を出力する。
制御手段35はブレークアウト判定手段33からの指令信号を入力すると、ピンチロール制御装置27に対してモーター25の回転速度の減速を指令する信号を出力する。この信号を入力したピンチロール制御装置27はモーター25の回転数を下げるように制御する。
モーター25の回転数を下げることにより、鋳造速度が低下し、鋳型1内での凝固シェル厚が厚くなるので、ブレークアウト発生の危険を回避することができる。
また、警報装置37が警報を発することにより、操作員にブレークアウト発生の危険を知らせることができる。
なお、極低炭素鋼について、2.0m/分の鋳造速度で操業を行っていたところ、Q2/Q1の値が0.25を超えたため、鋳造速度を0.5m/分まで落としたところ、十分な凝固シェル厚さを得ることができ、ブレークアウトの発生を防止することができた。なお、凝固シェル厚を十分厚くした後は、再び鋳造速度を上げることによって、高速鋳造を行なうことができる。
本実施の形態によれば、鋳型出口における凝固シェル厚に直接的に関係する熱流束プロファイルに基づいてブレークアウト発生の危険の有無を判定するようにしたので、種々の操業条件下で、ブレークアウトの発生を、感度良く、簡単かつ確実に予知して、ブレークアウトを確実に防止することができる。
なお、上記の[課題を解決するための手段]の項や実施の形態においては、熱流束プロファイルから総括熱流束やコブの大きさに相当する熱流束の積算値を求める手法として幾何学的に行なう手法を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば総括熱流束についてはグラフを積分することで求めてもよい。
1 鋳型
3 浸漬ノズル
5 溶鋼
7 モールドパウダー
9 凝固シェル
11 鋳型銅板
17 熱電対
19 鋳片
21 ガイドローラ
23 ピンチロール
25 モーター
27 ピンチロール制御装置
29 局所熱流束演算手段
31 定常凝固界面入熱記憶手段
32 熱流束プロファイル演算手段
33 ブレークアウト判定手段
35 制御装置
37 警報装置

Claims (8)

  1. 連続鋳造における鋳型内の溶鋼が湯面から鋳型出口に至るまでの間に凝固界面へ入熱する熱流束q1を測定し、定常状態における鋳型内の溶鋼流動による定常凝固界面入熱q2regを下式(1)に基づいて求め、これら熱流束q1と定常凝固界面入熱q2regの差(q1−q2reg)について溶鋼が湯面から鋳型出口に至るまでの熱流束プロファイルを求め、この熱流束プロファイルに基づいてブレークアウト発生の危険の有無を判定するステップを有し、
    このステップが、前記熱流束プロファイルに基づき総括熱流束Q1およびQ2を以下の方法により求めるステップ;すなわち、前記該熱流束プロファイルに極小値を示す極小点が存在する場合には、該極小点と鋳型出口での局所熱流束値とを直線で結んだときにこの直線よりも上の部分の面積に相当する総括熱流束をQ2とし、湯面位置から鋳型出口間の該熱流束プロファイルの曲線全体で囲まれる全面積に相当する総括熱流束からQ2を差し引いた面積に相当する総括熱流束をQ1とし、前記該熱流束プロファイルに極小値を示す極小点が存在しない場合には、湯面位置から鋳型出口間の該熱流束プロファイルの曲線全体で囲まれる全面積に相当する総括熱流束を総括熱流束Q1とし、Q2を零とするステップ;および、Q2が零の場合にはブレークアウト発生の危険無しと判定し、Q2が零でない場合にはQ2/Q1の値が予め定めた閾値以上のときにブレークアウト発生の危険有りと判定するステップを有することを特徴とするブレークアウト検出方法。
    q2reg=h・Δθ ・・・・・・・・・・ (1)
    但し、q2reg:定常凝固界面入熱(J/s・m2)
    h:溶鋼と凝固シェルの間の熱伝達係数(J/s・m2・℃)
    Δθ:溶鋼の過熱度(℃)
  2. 熱流束q1は、鋳型内に鋳型厚み方向で埋め込み深さの異なる2点間に埋め込んだ一対の熱電対を、鋳型鋳造方向に複数設置して、前記一対の熱電対の出力に基づいて下式によって求める局所熱流束であることを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造におけるブレークアウト検出方法。
    q1=λ(T1−T2)/d
    但し、q1:熱流束(J/s・m2)
    λ:鋳型の熱伝導率(J/s・m・℃)
    T1、T2:熱電対の検出温度(℃)
    d:熱電対の埋設間隔(m)
  3. 熱流束プロファイルにおいて極小値を示す極小点が存在する場合において、該極小点と鋳型出口での局所熱流束値とを直線で結んだときにこの直線よりも上の部分の面積をQ2とし、湯面位置から鋳型出口間の該熱流束プロファイルの曲線全体で囲まれる全面積からQ2を差し引いた面積をQ1とし、これらQ1とQ2との関係が、下式を満たすときにブレークアウトの危険があると判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の連続鋳造におけるブレークアウト検出方法。
    Q2≧αQ1
    但し、α:溶鋼の種類によって決まる定数
  4. 溶鋼が極低炭素鋼であり、αが0.25であることを特徴とする請求項に記載の連続鋳造におけるブレークアウト検出方法。
  5. 請求項3又は4に記載のブレークアウト検出方法を用いた鋼の連続鋳造方法であって、
    Q2<αQ1となるように操業条件を制御することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
  6. 鋳型厚み方向に異なる深さの2点に埋め込んだ一対の熱電対を、鋳型鋳造方向に複数設置してなる熱電対群と、該熱電対群からの温度情報を入力して各熱電対設置部位における局所熱流束q1を求める局所熱流束演算手段と、定常状態における鋳型内の溶鋼流動による定常凝固界面入熱q2regを下式(1)に基づいて求めたデータを記憶する定常凝固界面入熱記憶手段と、これら熱流束q1と定常凝固界面入熱q2regの差(q1−q2reg)について溶鋼が湯面から鋳型出口に至るまでの熱流束プロファイルを求めるプロファイル演算手段と、求められた熱流束プロファイルに基づいてブレークアウト発生の危険の有無を判定するブレークアウト判定手段とを備え、
    該ブレークアウト判定手段が、前記熱流束プロファイルに基づき総括熱流束Q1およびQ2を以下の方法により求め;すなわち、前記熱流束プロファイルに極小値を示す極小点が存在する場合には、該極小点と鋳型出口での局所熱流束値とを直線で結んだときにこの直線よりも上の部分の面積に相当する総括熱流束をQ2とし、湯面位置から鋳型出口間の該熱流束プロファイルの曲線全体で囲まれる全面積に相当する総括熱流束からQ2を差し引いた面積に相当する総括熱流束をQ1とし、前記熱流束プロファイルに極小値を示す極小点が存在しない場合には、湯面位置から鋳型出口間の該熱流束プロファイルの曲線全体で囲まれる全面積に相当する総括熱流束を総括熱流束Q1とし、Q2を零とし;Q2が零の場合にはブレークアウト発生の危険無しと判定し、Q2が零でない場合にはQ2/Q1の値が予め定めた閾値以上のときにブレークアウト発生の危険有りと判定することを特徴とするブレークアウト検出装置。
    q2reg=h・Δθ ・・・・・・・・・・ (1)
    但し、q2reg:定常凝固界面入熱(J/s・m2)
    h:溶鋼と凝固シェルの間の熱伝達係数(J/s・m2・℃)
    Δθ:溶鋼の過熱度(℃)
  7. ブレークアウト判定手段は、溶鋼が極低炭素鋼である場合で、熱流束プロファイルにおいて極小値を示す極小点が存在する場合において、該極小点と鋳型出口での局所熱流束値とを直線で結んだときにこの直線よりも上の部分の面積をQ2とし、湯面位置から鋳型出口間の該熱流束プロファイルの曲線全体で囲まれる全面積からQ2を差し引いた面積をQ1としたとき、Q2/Q1が0.25以上のときにブレークアウト発生の危険有りと判定することを特徴とする請求項6に記載の連続鋳造におけるブレークアウト検出装置。
  8. 請求項6又は7に記載のブレークアウト検出装置を用いたブレークアウト防止装置であって、ブレークアウト判定手段の信号を入力して、ブレークアウト判定手段がブレークアウトの危険有りと判定した場合において、鋳造速度を下げるように操業条件を制御し、または該制御に加えて鋳型内の溶鋼流速を低下させる制御を行う制御手段を備えたことを特徴とする連続鋳造におけるブレークアウト防止装置。
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