JPH0941885A - セグメントの継手部構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 継ぎ手金具はセグメントの円周方向の端部と
幅方向の端部との双方に取り付ける必要があるので、継
ぎ手金具が大幅に増えてセグメントの製作が面倒なだけ
でなく、セグメントの製作コストが嵩むなどの課題があ
った。 【解決手段】 トンネルの軸方向に隣接するセグメント
１を前記トンネルの円周方向に互いにずらして設置し、
前記トンネルの円周方向に隣接するセグメント１の端部
に互いに係合する凹部３と凸部２とを設け、前記セグメ
ント１の中央部、前記凹部３の左右側壁部3bおよび凸部
２に前記トンネルの軸方向に貫通するボルト挿通孔５と
６とをそれぞれ設け、前記凹部３と凸部２とを互いに係
合し、かつ、前記凹部３の左右側壁部3bおよび凸部２の
前記ボルト挿通孔５と前記セグメント中央部の前記ボル
ト挿通孔６とに連結ボルト９を連続して挿通する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、トンネルの覆工
材として設置されるセグメントどうしを接合するセグメ
ントの継手部構造に関する。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】トンネ
ルの覆工材として使用されるセグメントの継ぎ手には、
これまで様々な方法が実施されているが、例えば、隣接
するセグメントの接合面部に継ぎ手金具をそれぞれ埋設
し、この継ぎ手金具どうしを継ぎ手ボルトによって接合
する方法などが一般に知られている。

【０００３】しかし、このようなセグメントの継手部構
造では、継ぎ手金具はセグメントの円周方向の端部と幅
方向の端部との双方に取り付ける必要があるので、継ぎ
手金具が大幅に増えてセグメントの製作が面倒なだけで
なく、セグメントの製作コストが嵩むなどの課題があっ
た。

【０００４】また、継ぎ手金具どうしを一つ一つ継ぎ手
ボルトで接合する必要があり、しかも、トンネルの円周
方向とトンネルの軸方向とにそれぞれ継ぎ手金具どうし
を接合する必要があるので、継ぎ手個所が多く継ぎ手作
業がきわめて面倒であるなどの課題があった。

【０００５】この発明は、以上の課題を解決するために
なされたもので、セグメントどうしを簡単にかつ確実に
接合できることを可能にしたセグメントの継手部構造を
提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この発明に係る請求項第
１項記載のセグメントの継手部構造は、トンネルの円周
方向に隣接するセグメントの端部に互いに係合する凹部
と凸部とを設け、この凹部の左右側壁部および前記凸部
に前記トンネルの軸方向に貫通するボルト挿通孔を設
け、かつ、前記凹部と前記凸部とを係合し、前記ボルト
挿通孔に連結ボルトを挿通することにより構成されてい
る。

【０００７】この発明に係る請求項第２項記載のセグメ
ントの継手部構造は、トンネルの軸方向に隣接するセグ
メントを前記トンネルの円周方向に互いにずらして設置
し、前記トンネルの円周方向に隣接するセグメントの端
部に互いに係合する凹部と凸部とを設け、前記セグメン
トの中央部、前記凹部の左右側壁部および凸部に前記ト
ンネルの軸方向に貫通するボルト挿通孔を設け、かつ、
前記凹部と前記凸部とを係合し、前記凹部の左右側壁部
および凸部の前記ボルト挿通孔と前記セグメント中央部
の前記ボルト挿通孔とに連結ボルトを連続して挿通する
ことにより構成されている。

【０００８】この発明に係る請求項第３項記載のセグメ
ントの継手部構造は、前２項において、凹部の左右側壁
部および凸部のコンクリート中に補強プレートをそれぞ
れ埋設し、この補強プレートに連結ボルトを挿通するこ
とにより構成されている。

【０００９】

【発明の実施の形態】

発明の実施の形態例１．図１〜図５は、この発明に係る
セグメントの継手部構造の一実施例を示し、図におい
て、符号１は鉄筋コンクリートによって成形され、か
つ、トンネルの円周方向およびトンネルの軸方向にそれ
ぞれ連結しながら設置され、トンネルの内周を覆工する
セグメント、２は各セグメント１のトンネルの円周方向
の一端に形成され、後述する凹部と互いに係合する凸
部、３は各セグメント１の他端に形成され、トンネルの
円周方向に隣接する他のセグメント１の凸部２と互いに
係合する凹部である。

【００１０】この凸部２および凹部３は、トンネルの規
模又は周辺の地盤の状況などに応じて充分な継ぎ手強度
を得るためにトンネルの軸方向に所定間隔おきにそれぞ
れ１個ないし複数形成されている（図４(a),(b) 参
照）。また、必要に応じて凸部２の側面部2aおよび凹部
３の側面部3aには、互いに係合し易いようにテーパが付
けられ（図５参照）、さらに、凸部２の底面部2bにもテ
ーパが付けられている（図６参照）。

【００１１】符号４は凸部２および凹部３の左右側壁部
3bのコンクリート中にそれぞれ埋設され、セグメント１
の端部を補強するなどの働きをする補強プレート、５と
６はセグメント１の凸部２とセグメント１の中央部とに
トンネルの軸方向に貫通してそれぞれ形成され、後述す
る連結ボルトが挿通されるボルト挿通孔である。

【００１２】なお、補強プレート４はセグメント１のコ
ンクリート中に配筋された補強鉄筋（図省略）に溶接す
るなどして固定され、また、ボルト挿通孔５は補強プレ
ート４にも形成されている。

【００１３】セグメント１は継手部の強度低下を防止す
るため、トンネルの円周方向の継手部がトンネルの軸方
向に連続しないようにトンネルの円周方向にずらして設
置されている。この場合、トンネルの軸方向に隣接する
セグメント１の凸部２に形成されたボルト挿通孔５と、
セグメント１の中央部に形成されたボルト挿通孔６と
は、トンネルの軸方向に連続している。

【００１４】また、セグメント１の円周方向の端部およ
びトンネルの軸方向の端部には、セグメント１どうしが
ずれることなく確実に接合されるように、かつ、セグメ
ント１の位置決めがし易いように互いに係合し合う凹条
部７と凸条部８とがセグメント１の周囲に連続して形成
されている。

【００１５】さらに、各セグメント１の周囲（凸部２お
よび凹部３も含む）には、セグメントの強度向上のため
に、補強プレート1aが連続して添え付けられている（図
7,8参照）。

【００１６】符号９はトンネルの軸方向に隣接するセグ
メント１のボルト挿通孔５と６とに連続して挿通され、
トンネルの円周方向とトンネルの軸方向とにそれぞれ隣
接するセグメント１どうしを同時に接合する連結ボルト
である。この連結ボルト９は互いに連結され、トンネル
の軸方向に通して挿通されている。

【００１７】なお、凹部３の左右側壁部3cおよび凸部２
のコンクリート中に、ボルト挿通孔５と連続するボルト
挿通孔５が形成された補強プレート４がそれぞれ埋設さ
れ、この補強プレート４のボルト挿通孔５にも連結ボル
ト９が挿通されているので、連結ボルト９をボルト挿通
孔５に挿通し易く、より正確に連結ボルト９の位置を決
定することができ、しかも、連結部を補強することがで
きる。

【００１８】図９(a),(b),(c),(d),(e),(f) は、セグメ
ント１の変形例を示し、図９(a),(b),(c) は、セグメン
ト１の両端部に凸部２を有するセグメントを示し、図９
(d),(e),(f) は、セグメント１の両端部に凹部３を有す
るセグメントを示したものである。

【００１９】符号10は各セグメントの中央部に形成さ
れ、セグメントの裏側に裏込め材を充填するための裏込
め材充填孔である。

【００２０】発明の実施の形態例２．図10(a),(b) は、
この発明に係るセグメントの継手構造の他の実施例を示
し、ともに、セグメントの形状およびこのセグメントに
よって構築されるトンネルの形状のみが異なり、セグメ
ント１どうしの継ぎ手部の構成は実施例１と全く同じで
ある。

【００２１】

【発明の効果】この発明に係るセグメントの継手部構造
は以上説明した構成からなり、トンネルの円周方向に隣
接するセグメントの端部に互いに係合する凹部と凸部と
を設け、この凹部の左右側壁部および凸部とに前記トン
ネルの軸方向に貫通するボルト挿通孔を設け、かつ、前
記凹部と前記凸部とを係合し、前記ボルト挿通孔に連結
ボルトを挿通することによりセグメントどうしが接合さ
れているので、トンネルの円周方向に隣接するセグメン
トどうしをきわめて簡単にかつ確実に接合できる効果が
ある。

【００２２】また、トンネルの軸方向に隣接するセグメ
ントを前記トンネルの円周方向に互いにずらして設置
し、前記トンネルの円周方向に隣接するセグメントの端
部に互いに係合する凹部と凸部とを設け、前記セグメン
トの中央部、前記凹部の左右側壁部および前記凸部に前
記トンネルの軸方向に貫通するボルト挿通孔を設け、前
記凹部と前記凸部とを係合し、前記凹部の左右側壁部お
よび前記凸部の前記ボルト挿通孔と前記セグメント中央
部の前記ボルト挿通孔とに連結ボルトを連続して挿通す
ることによりセグメントどうしが接合されているので、
トンネルの円周方向に隣接するセグメントとトンネルの
軸方向に隣接するセグメントとを同時に接合できる効果
がある。

【００２３】また、凹部の左右側壁部および凸部のコン
クリート中に補強プレートをそれぞれ埋設し、この補強
プレートに連結ボルトが挿通されているので、連結ボル
トをボルト挿通孔に挿通し易く、より正確に連結ボルト
の位置を決定することができ、しかも、連結部を補強で
きる効果がある。

【００２４】さらに、特別な継ぎ手金具を一切必要とし
ないので、セグメントを容易にかつ廉価に製作できる効
果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】(a) は、セグメントの組立状態を示す斜視図、
(b) は円周方向に隣接するセグメントどうしの継手部を
示す分解斜視図、(c) は連結ボルトおよび補強プレート
の斜視図である。

【図２】セグメントの組立状態を示す正面図である。

【図３】図２の側面図である。

【図４】(a),(b) はセグメントの端部を示す斜視図であ
る。

【図５】セグメントの端部を示す斜視図である。

【図６】セグメントの端部を示す斜視図である。

【図７】セグメントの端部を示す斜視図である。

【図８】セグメントの端部を示す斜視図である。

【図９】(a),(b),(c),(d),(e),(f) はセグメントの斜視
図である。

【図10】(a),(b) は矩形状に組立てられたセグメントの
斜視図である。

【符号の説明】

１…セグメント、２…凸部、３…凹部、４…補強プレー
ト、5,6 …ボルト挿通孔、７…凹条部、８…凸条部、９
…連結ボルト、10…裏込め材充填孔。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 トンネルの円周方向およびトンネルの軸
   方向に隣接して設置されるセグメントどうしを接合する
   セグメントの継手部構造において、前記トンネルの円周
   方向に隣接するセグメントの端部に互いに係合する凹部
   と凸部とを設け、この凹部の左右側壁部および凸部に前
   記トンネルの軸方向に貫通するボルト挿通孔を設け、前
   記凹部と凸部とを係合し、かつ、前記ボルト挿通孔に連
   結ボルトを挿通してなることを特徴とするセグメントの
   継手部構造。
2. 【請求項２】 トンネルの円周方向およびトンネルの軸
   方向に隣接して設置されるセグメントどうしを接合する
   セグメントの継手部構造において、前記トンネルの軸方
   向に隣接するセグメントを前記トンネルの円周方向に互
   いにずらして設置し、前記トンネルの円周方向に隣接す
   るセグメントの端部に互いに係合する凹部と凸部とを設
   け、前記セグメントの中央部、前記凹部の左右側壁部お
   よび前記凸部に前記トンネルの軸方向に貫通するボルト
   挿通孔を設け、前記凹部と前記凸部とを係合し、前記凹
   部の左右側壁部および前記凸部の前記ボルト挿通孔と前
   記セグメント中央部の前記ボルト挿通孔とに連結ボルト
   を連続して挿通してなることを特徴とするセグメントの
   継手部構造。
3. 【請求項３】 凹部の左右側壁部および凸部のコンクリ
   ート中に補強プレートをそれぞれ埋設し、この補強プレ
   ートに連結ボルトを挿通してなることを特徴とする請求
   項第１項又は第２項記載のセグメントの継手部構造。