JP3940045B2 - トンネル用セグメント - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トンネル用セグメントに係り、詳しくは、トンネル周方向及びトンネル軸方向に多数並べて互いに連結することでトンネル壁を形成するために、複数のセグメント本体をトンネル軸方向又はトンネル周方向に予め連ねて連結一体化して成るトンネル用セグメントに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来複数のセグメント本体をトンネル軸方向又はトンネル周方向に連ねて連結一体化して成るトンネル用セグメントとしては、特開2001−336396号公報に示されたもののように、トンネル軸方向に短くてトンネル周方向に長い縦横比を有した平面視で短冊状のセグメント本体の2個をトンネル軸方向にボルトナット連結して構成されたものが知られている。このように複数のセグメント本体を予備組付けすることで1個のセグメントを構成する理由は次のようである。
【0003】
側面視で略扇型形状を呈するトンネル用セグメントは、鋳鉄製やコンクリート製、或いはこれら双方による合成型等があるが、その一般的な大きさは、トンネル軸方向で1000〜2000mm、トンネル周方向で3000〜4000mmという大きなものであり、重量物でもある。鋳鉄やコンクリート製セグメントは、上下2つ割といった金型による型成型によって作成されることになるが、あまり大きな金型になると、金型の必要強度を出すための大型化、重量増加が著しくなってコスト的に割高になるとともに、所期通りの製品精度を出し難くもなるという不利がある。
【0004】
そこで、比較的小さいセグメント本体の複数個を連結一体化して単一のトンネル用セグメントを構成することにより、セグメント本体を作成するための金型を比較的寸法精度が出し易く、しかも型強度も確保し易い小型のもので済むので、複数のセグメント本体を予め工場等において組付ける工賃を見込んでも、トンネル用セグメントとしては割安に製作できる利点があり、これが前述の理由である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
セグメントをトンネル周方向及びトンネル軸方向に連結する際には、連結面の隙間からの漏水を防止するために、セグメントの周囲にシール材充填用の凹溝を周設してあり、凹溝にシール材を充填してからセグメントの連結操作を行うようになる。従って、複数のセグメント本体を予め連結する構造のセグメントでも、そのセグメント本体どうしの接合面における凹溝に、シール材を充填してから予備組付けするのであるが、その点について若干の問題があった。
【0006】
即ち、セグメント本体の一対の軸端壁及び一対の周端壁には一定深さ及び幅の凹溝が周設されており、予め接合される端壁の溝である突き合わせ溝の全長に亘ってシール材を充填した状態でセグメント本体どうしを組み付けるのであるが、接合面を確実にシールするためには、接合端壁の全長よりも少しだけ長い目にシール材を充填するようになるとともに、接合に伴って生じる余剰シールは横にはみ出るようになることから、予備組み付けされたセグメントにおけるセグメント本体どうしの接合部端は、図8に示すような状態になっている。
【0007】
つまり、シール材aは、接合壁である軸端壁2の凹溝(突合わせ溝部)11からその両隣の周端壁3の凹溝11の端部に若干廻り込んだように充填されるとともに、接合によって過剰なシール材は横側方にはみ出たようになるから、トンネルリングtrを形成すべく、現場にて1個のセグメントSとして組付ける際のシール材aの充填作業により、はみ出したシール材a上にも新たなシール材aが載せられることとなり、その部分のシール材a層が他の部分よりも明確に厚くなってしまうのである。
【0008】
このような状態でセグメントどうしを連結すると、本来のシール機能が発揮されない(漏水が生じ易くなる)とか、そのシール材が妨げとなってセグメントどうしの連結密着度が不利となり、やはりシール機能の低下を来すおそれがあるといった具合の不都合の生じることがあったのである。
【0009】
本発明の目的は、複数のセグメント本体による組立式構造のセグメントにおける上述した不都合を解消して、漏水の無い本来のシール機能が発揮されるセグメントを提供できるようにする点にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の構成は、図2、図3、図6に例示する如く、トンネル周方向及びトンネル軸方向に多数並べて互いに連結することでトンネル壁Wを形成するために、複数のセグメント本体shをトンネル軸方向又はトンネル周方向に予め連ねて連結一体化して成るトンネル用セグメントにおいて、
複数のセグメント本体sh夫々を、トンネル軸方向両端の一対の軸端壁1,2と、トンネル周方向両端の一対の周端壁3,4とを有した形状に設定するとともに、一対の軸端壁1,2及び一対の周端壁3,4の夫々に亘って、隣合うセグメント本体shとの隙間を埋める為のシール材充填用の凹溝11を周設し、
凹溝11のうち、予め隣接させて連結一体化するセグメント本体shどうしの突き合わせ溝部11A以外の部分で、突き合わせ溝部11Aに近接する溝端部11a,11aを、溝深さがその他の溝部よりも深くなる段差状に形成し、突き合わせ溝部11A及び溝端部11a,11aにシール材aを充填してあることを特徴とする。
【0011】
尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1、図2に、多数のトンネル用セグメントSをトンネル軸方向及びトンネル周方向に連結して構成されるトンネルTが示されている。本明細書では、トンネル軸方向でセグメント1個分のトンネル、即ち単位トンネルを、便宜上トンネルリングtrと呼ぶものとする。
【0013】
トンネルリングtrは、トンネル軸方向(矢印イ方向)の幅が、セグメント1個分であってトンネルTとしての一単位であるものとし、例えば10個のセグメントSをトンネル周方向(矢印ロ方向)に連結して、トンネル壁Wを形成するものである。そして、トンネルリングtrをトンネル軸方向に多数連結すればトンネルTとなる。
【0014】
この場合のトンネルリングtrは、7個の普通型セグメントSnと、トンネル周方向両端がテーパ面に形成されたキーセグメントSkと、キーセグメントのトンネル周方向の両隣に配置される計2個の片テーパ型の接合セグメントSa,Sbとの10個のセグメントSから構成されている。各セグメントSのトンネル軸方向の幅寸法は、比較的長い1500mmに設定されている。
【0015】
図3、図4に、トンネル軸方向長さの短いセグメント本体shの2個を、トンネル軸方向に重ねて予め連結一体化して成る普通型セグメントSn(トンネル用セグメントS)が示されている。セグメント本体shは、トンネル軸方向両端の一対の軸端壁1,2と、トンネル周方向両端の一対の周端壁3,4と、外周壁5と、一対の周端壁3,4を繋ぐ1個の縦リブ6と、一対の軸端壁1,2を繋ぐ複数(7個)の横リブ7とを有した鋳鉄製で主桁構造に構成されている。
【0016】
因みに、セグメント本体shは、トンネル周方向長さが3717.5mmでトンネル軸方向長さが750mm、トンネル径方向の厚みが400mmに設定されており、セグメントSとしてのトンネル軸方向長さは1500mmである。一方の第1軸端壁1には、均等間隔毎の計8箇所にボルト連結用の連結孔8が形成され、他方の第2軸端壁2には、トンネル周方向で両端側の左右6箇所の連結孔8と、トンネル周方向で中央2個の鋳物孔14、及びその周囲に配された4箇所の連結強度の補強用孔12が形成されている。又、各周端壁3,4には上下左右の計4箇所の連結孔13が形成されている。
【0017】
図5〜図7に示すように、一対の軸端壁1,2及び一対の周端壁3,4の夫々に亘って、隣合うセグメント本体shとの隙間を埋める為のシール材充填用の凹溝11を、外周壁5に近接した位置において周設してある。そして、凹溝11のうち、予め隣接させて連結一体化するセグメント本体shどうしの突き合わせ溝部11A(つまり、第2軸端壁2に形成された凹溝11)以外の部分で、突き合わせ溝部11Aに近接する溝端部11a,11aを、溝深さがその他の溝部よりも深くなる段差状に形成し、突き合わせ溝部11A及び溝端部11a,11aに帯状のゴム製のシール材aを充填するのである。
【0018】
凹溝11は、幅は50mmで深さ4mmが基本であるが、各溝端部11aは、セグメント本体shとしてのトンネル軸方向端(第2軸端壁2)から100mmの範囲では深さを8mmに設定してある。これにより、2個のセグメント本体sh、shを予め組付ける際には、突き合わせ溝部11Aとその両側の溝端部11a,11aにシール材aを充填した状態[図7(a) 参照]で、これら両者sh,shをボルト9とナット10を用いて連結操作する。このようにすれば、セグメントSとしての完成品では、隣合うセグメント本体sh,shどうしの予備組付け時に充填された既設シール材aのはみ出しを回避することができ、一様な深さの凹溝11が周設された状態を得ることができる。
【0019】
従って、トンネル建設現場におけるセグメントS,Sどうしを組付ける際には、凹溝11は一葉な深さ状態になっており、シール材aが各溝端部11a,11a部分において必要以上に盛り上がってしまうことがなく、良好に充填することができるのである[図7(b) 参照]。尚、セグメント本体Sh,Shどうしの予備組付け時におけるシール材aは、溝端部11aにまで及ぶように突き合わせ溝部11Aよりも長い目に充填すれば良く、図面理解上で判り易いように描かれた図7(a) に示すように、溝端部11aを完全に埋め尽くさねばならないというものではない。
【0020】
〔別実施形態〕
溝端部11aの深さや長さは、セグメント本体shの大きさ、種類、シール材aの種類、性状等によって適宜に設定することが自在である。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のトンネル用セグメントでは、隣合うセグメント本体との隙間を埋める為にセグメント本体に周設されるシール材充填用の凹溝を、予め隣接させて連結一体化するセグメント本体どうしの突き合わせ溝部以外の部分で、突き合わせ溝部に近接する溝端部を、溝深さがその他の溝部よりも深くなる段差状に形成し、突き合わせ溝部及び溝端部にシール材を充填したものであるから、セグメント本体どうしを組付ける際に用いるシール材は、突き合わせ溝部に続く深さの深い一対の溝端部に充填されるようになり、凹溝が部分的に埋まってしまうということが生じないようになる。
【0022】
従って、トンネルを形成すべく現場にてセグメントどうしを組付ける際のシール充填作業では、既にシール材が存在する溝端部の外側にも十分な凹溝が形成されている状態が齎されており、シール材を部分的に軸端壁や周端壁からはみ出ることなく均一な状態に充填することができる。その結果、従来のように、はみ出たシール材が邪魔になってセグメントどうしの密着性に悪影響を及ぼすということがなく、セグメントどうしを良好にシールでき、複数のセグメント本体を予め連結一体化して成るセグメントを、漏水の無い本来のシール機能が発揮される状態で提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】多数のセグメント連結による構造のトンネルを示す断面図
【図2】トンネルを示す図1の正面図
【図3】普通型セグメントを示し、(a) は底面図、(b) は側面図
【図4】普通型セグメントの正面図
【図5】横臥姿勢の普通型セグメント端部を示す斜視図
【図6】セグメント本体の周溝の形状を示す平面図
【図7】シール材の充填状態を示し、(a) は予備組付け時の作用図、(b) はセグメント連結時の作用図
【図8】従来のシール材の充填状態を示すセグメントの部分断面図
【符号の説明】
1,2 軸端壁
3,4 周端壁
11 凹溝
11A 突き合わせ溝部
11a 溝端部
sh セグメント本体
W トンネル壁

Claims (1)

  1. トンネル周方向及びトンネル軸方向に多数並べて互いに連結することでトンネル壁を形成するために、複数のセグメント本体をトンネル軸方向又はトンネル周方向に予め連ねて連結一体化して成るトンネル用セグメントであって、
    前記複数のセグメント本体夫々を、トンネル軸方向両端の一対の軸端壁と、トンネル周方向両端の一対の周端壁とを有した形状に設定するとともに、前記一対の軸端壁及び前記一対の周端壁の夫々に亘って、隣合うセグメント本体との隙間を埋める為のシール材充填用の凹溝を周設し、
    前記凹溝のうち、予め隣接させて連結一体化する前記セグメント本体どうしの突き合わせ溝部以外の部分で、前記突き合わせ溝部に近接する溝端部を、溝深さがその他の溝部よりも深くなる段差状に形成し、前記突き合わせ溝部及び前記溝端部にシール材を充填してあるトンネル用セグメント。
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