JP3801415B2 - トンネルにおける連絡孔形成部の構造 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多数のセグメントを周方向および軸方向に並べて互いに連結することにより内壁を形成してあるトンネルに連絡孔分岐用の開口部を形成するべく配置される第1セグメントと、前記開口部を形成するべく開口部の坑口側と切羽側とに配置される一対の柱用セグメントと、その一対の柱用セグメントをトンネルの周方向から挟む状態で、前記第1セグメントの坑口側と切羽側とに配置される一対の第2セグメントとを備え、前記開口部に対するトンネルの周方向において前記開口部を挟む状態で、一対の凹入部が、前記第1と第2のセグメントの内周面にわたって設けられ、前記一対の凹入部のそれぞれに連結部材が嵌入されて、その一対の連結部材により前記第1と第2のセグメントが互いに連結されているトンネルにおける連絡孔形成部の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
このような連絡孔形成部の構造は、例えば、地下鉄のトンネル工事などで実施されるもので、連絡孔分岐用の開口部が形成される箇所では、当然、土圧などのような外からの荷重に対する強度が低下する。
そこで、その強度向上のため、上述したように、第1と第2のセグメントの内周面にわたって凹入部を設け、その凹入部に連結部材を嵌入して、開口部形成箇所での強度向上を図っていたのであり、その具体的な構造として、従来、図11に示すものが知られている。
【0003】
その公知の構造によれば、第1セグメントを構成する一対の開口用第1セグメント1A,2Aが、分岐用の開口部OをトンネルTの周方向から挟む状態で、トンネルTの軸方向に複数列配置され、かつ、その複数列配置された開口用第1セグメント1A,2Aの坑口側と切羽側とに、第2セグメントを構成する一対の開口用第2セグメント5A,6Aが配置されて、それら開口用第1セグメント1A,2Aと開口用第2セグメント5A,6Aの開口部O側の端縁には、開口部O側に開口する凹入部18Aが設けられている。
そして、坑口側と切羽側とに位置する一対の開口用第2セグメント5A,6Aの間には、それぞれ柱用セグメントSAが配設され、連結部材20Aが、開口用第1セグメント1A,2Aの凹入部18Aに嵌入されるとともに、その連結部材20Aの両端部が、開口用第2セグメント5A,6Aの凹入部18Aと柱用セグメントSA端面との間に嵌入されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この図11に示す従来構造によれば、開口用第1セグメント1A,2Aからの荷重を連結部材20Aが受止めて柱用セグメントSAへ伝えるため、連結部材20Aに大きな強度が要求され、そのため、連結部材20Aの断面形状が、かなり大きなものとなる。
その断面形状の大きな連結部材20Aを開口用の第1と第2セグメント1A,2A,5A,6Aの端縁に形成の凹入部18A内へ嵌入する必要があるため、開口用の第1と第2セグメント1A,2A,5A,6Aの径方向の厚み、つまり、肉厚T3が、図11の(ロ)において右半分に示す、連絡孔分岐用開口部が形成される箇所以外でのセグメントの肉厚T4よりも厚くなり、それに伴って、開口部Oの形成箇所におけるトンネルの内径が小さくなるという問題がある。
【0005】
本発明は、このような従来の問題点に着目したもので、その目的は、開口部形成箇所におけるトンネルの内部空間を小さくすることなく、従来のような連結部材を使用して、開口部形成箇所における強度の向上を図り得るトンネルにおける連絡孔形成部の構造を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
〔構成〕
請求項1の発明の特徴構成は、図1〜図6に例示するごとく、多数のセグメントSを周方向および軸方向に並べて互いに連結することにより内壁Wを形成してあるトンネルTに連絡孔H分岐用の開口部Oを形成するべく配置される第1セグメントS1と、前記開口部Oを形成するべく開口部Oの坑口側と切羽側とに配置される一対の柱用セグメントS3と、その一対の柱用セグメントS3をトンネルTの周方向から挟む状態で、前記第1セグメントS1の坑口側と切羽側とに配置される一対の第2セグメントS2とを備え、前記開口部Oに対するトンネルTの周方向において前記開口部Oを挟む状態で、一対の凹入部19が、前記第1と第2のセグメントS1,S2の内周面にわたって設けられ、前記一対の凹入部19のそれぞれに連結部材20が嵌入されて、その一対の連結部材20により前記第1と第2のセグメントS1,S2が互いに連結されているトンネルにおける連絡孔形成部の構造であって、前記第1セグメントS1が、トンネルTの周方向において前記開口部Oを挟む状態で、その開口部Oに隣接して配置される一対の開口用第1セグメント1,2と、その一対の開口用第1セグメント1,2の間に配置される中間用第1セグメント3,4とで構成され、前記第2セグメントS2が、前記柱用セグメントS3に隣接して配置される一対の開口用第2セグメント5,6と、その一対の開口用第2セグメント5,6の間に配置される中間用第2セグメント7,8とで構成され、前記開口用第1セグメント1,2が、前記開口部Oに隣接した状態で、前記中間用第1セグメント3,4の肉厚よりも厚い厚肉部18を備え、前記開口用第2セグメント5,6が、前記柱用セグメントS3に隣接した状態で、前記中間用第2セグメント7,8の肉厚よりも厚い厚肉部18を備えていて、前記開口用第1セグメント1,2の厚肉部18の中間と前記開口用第2セグメント5,6の厚肉部18の中間とにわたって、前記凹入部19が設けられているところにある。
【0007】
請求項2の発明の特徴構成は、図6に例示するごとく、前記一対の連結部材20が、型鋼により構成されているところにある。
【0008】
請求項3の発明の特徴構成は、図6に例示するごとく、前記型鋼20が、トンネルTの周方向において互いに対向する前記凹入部19の側壁19aに接当するフランジ部20aを備えているところにある。
【0009】
なお、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。
【0010】
〔作用及び効果〕
請求項1の発明の特徴構成によれば、連絡孔分岐用の開口部を形成するべく配置される第1セグメントが、開口部を挟む状態で、その開口部に隣接して配置される一対の開口用第1セグメントと、その一対の開口用第1セグメントの間に配置される中間用第1セグメントとで構成され、一対の柱用セグメントを挟む状態で、前記第1セグメントの坑口側と切羽側とに配置される一対の第2セグメントが、柱用セグメントに隣接して配置される一対の開口用第2セグメントと、その一対の開口用第2セグメントの間に配置される中間用第2セグメントとで構成され、前記開口用第1セグメントと開口用第2セグメントが、開口部や柱用セグメントに隣接した状態で、中間用第1セグメントや中間用第2セグメントの肉厚よりも厚い厚肉部を備え、その開口用第1セグメントの厚肉部の中間と開口用第2セグメントの厚肉部の中間とにわたって、連結部材が嵌入される凹入部が設けられているので、各厚肉部の中間に設けられた凹入部に比較的断面形状の大きな連結部材を嵌入し、その連結部材により開口用第1セグメントからの荷重を確実に受止めて柱用セグメントへ伝えることができる。
それでいて、各厚肉部は、一対の開口用第1セグメントと開口用第2セグメントにのみ設けるだけで済むため、開口部の形成箇所におけるトンネルの内径が極端に小さくなることを回避することができる。
【0011】
請求項2の発明の特徴構成によれば、凹入部に嵌入される一対の連結部材が、型鋼により構成されているので、例えば、連結部材を断面矩形の中実体で構成するのと比較して、連結部材の軽量化を図りながら、開口用第1セグメントからの荷重を効果的に受止めて柱用セグメントへ伝えることができる。
【0012】
請求項3の発明の特徴構成によれば、連結部材としての型鋼が、トンネルの周方向において互いに対向する凹入部の側壁に接当するフランジ部を備えているので、面積の大きなフランジ部を有効に利用して、開口用第1セグメントからの荷重をより一層効果的に柱用セグメントへと伝えることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明によるトンネルにおける連絡孔形成部の構造につき、その実施の形態を図面に基づいて説明する。
このトンネルは、例えば、地下鉄、上下水道、各種パイプライン用として使用されるもので、図1および図2に示すように、多数のセグメントS,S1,S2,S3が、トンネルTの周方向と軸方向に並べて配置され、互いに連結されることでトンネルTの内壁Wが形成されていて、トンネルTの横側壁には、トンネルTに連通する連絡孔Hを分岐させる開口部Oが設けられている。
前記セグメントS,S1,S2,S3は、坑口側から切羽側に向かって円筒状の内壁Wを形成するために使用される通常のセグメントSと、その内壁Wに前記開口部Oを形成するために使用される第1セグメントS1、第2セグメントS2、ならびに、柱用セグメントS3などで構成されている。
【0014】
第1セグメントS1は、図3の(イ)に示すように、トンネルTの周方向において開口部Oを挟む状態で、その開口部Oに隣接して配置される一対の開口用第1セグメント1,2と、その一対の開口用第1セグメント1,2の間に配置される複数の中間用第1セグメント3,4により構成されている。
一対の開口用第1セグメント1,2は、周方向での長さが短い開口用第1セグメント1と、周方向での長さが長い開口用第1セグメント2との2種類があり、その2種類の開口用第1セグメント1,2が、開口部Oを挟む状態に配置され、その一対の開口用第1セグメント1,2の間に中間用第1セグメント3と、中間用第1セグメントとして機能するキーセグメント4とが配置され、これらセグメント1,2,3,4が図外のボルト・ナットにより連結されて、開口部Oを除いて、全体が部分環状になるように構成されている。
【0015】
このような部分環状の第1セグメントS1が、トンネルTの軸方向に複数列、この実施形態では4列並置されて、隣接する第1セグメントS1どうしも、図外のボルト・ナットにより互いに連結されている。
ただし、隣接する第1セグメントS1間においては、長さの短い開口用第1セグメント1と長さの長い開口用第1セグメント2とが、互いに隣接して交互に位置するように配置され、それによって、各第1セグメントS1を構成するセグメント1,2,3,4が、千鳥状に配置されて互いに連結されて、開口部Oを形成するように構成され、その開口部Oの坑口側と切羽側には、一対の柱用セグメントS3が配置されている。
【0016】
第2セグメントS2は、図3の(ロ)に示すように、トンネルTの周方向において柱用セグメントS3を挟む状態で、第1セグメントS1の坑口側と切羽側とに一対配置され、各第2セグメントS2も、柱用セグメントS3に隣接して配置される一対の開口用第2セグメント5,6、つまり、周方向長さの短い開口用第2セグメント5と、周方向長さの長い開口用第2セグメント6とが、柱用セグメントS3を挟む状態に配置され、その一対の開口用第2セグメント5,6の間に複数の中間用第2セグメント7と、中間用第2セグメントとして機能するキーセグメント8とが配置され、これらセグメント5,6,7,8、ならびに、柱用セグメントS3とが図外のボルト・ナットにより連結されて、全体が環状になるように構成されている。
そして、この第2セグメントS2と第1セグメントS1の間においても、長さの短い開口用第1セグメント1に対して長さの長い開口用第2セグメント6が、長い開口用第1セグメント2に対して短い開口用第2セグメント5が、互いに隣接するように配置され、第1と第2のセグメントS1,S2も図外のボルト・ナットにより互いに連結されている。
【0017】
2種類の開口用第1セグメント1,2は、図3の(イ)に示すように、周方向での長さの違いはあるものの、構造的には殆ど同じであり、また、2種類の開口用第2セグメント5,6も同様で、更に、長さの短い開口用の第1と第2セグメント1,5はほぼ同一であり、また、長さの長い開口用の第1と第2セグメント2,6もほぼ同一であるため、これらセグメント1,2,5,6の詳細については、図4〜図6に基づいて一括して説明する。
なお、図4の(ロ)は、図4の(イ)におけるロ−ロ線断面図であり、図5の(ロ)は、図5の(イ)におけるロ−ロ線断面図である。
【0018】
これらセグメント1,2,5,6は、通常、コルゲート型と称される多数の凹凸形状を備えたダクタイル鋳鉄製のセグメントで、長手方向に沿う左右一対の板状の横側壁9,10と、その両横側壁9,10を連結する板状の前壁11と後壁12、ならびに、外周壁13などを備えて一体的に構成され、外周壁13には、適宜、凹入穴14が設けられてコンクリートCが埋入されている。
そして、両横側壁9,10や前後壁11,12、ならびに、外周壁13は、複数の補強用リブ15によって互いに一体的に連結されて補強され、その両横側壁9,10と前後壁11,12には、複数のボルト挿通孔16が穿設され、外周壁13には、適宜、グラウト注入孔17が設けられている。
【0019】
各セグメント1,2,5,6は、その前壁11側の肉厚T1の方が後壁12側の肉厚T2よりも厚く構成され、それによって、各セグメント1,2,5,6の前壁11側に厚肉部18が形成されるとともに、その厚肉部18の中間における内周面側には、両横側壁9,10を横切る状態で、換言すると、各セグメント1,2,5,6の長手方向に直交する状態で、凹入部19が形成されていて、その凹入部19内に、連結部材としてのH型鋼20が嵌入可能に構成されている。
そして、その凹入部19の側壁19a、つまり、各セグメント1,2,5,6の長手方向において互いに対向する一対の側壁19aに対し、H型鋼20のフランジ部20aが接当するように構成され、その側壁19aには、複数のボルト孔21が穿設されている。
【0020】
中間用の第1と第2セグメント3,7は、殆ど同じ構造で、両セグメント3,7共、図7に示すように、長手方向に位置する前後壁が互いに平行なものと、図8に示すように、一方の前後壁が傾斜して後述するキーセグメント4,8に隣接するものとの2種類があり、かつ、前後壁が傾斜しているものは、図8に示すものと、図8とは逆方向に傾斜しているものとがあるが、それ以外についてはほぼ同一であるため、図7と図8に基づいて一括して説明する。
なお、図7の(ロ)は、図7の(イ)におけるロ−ロ線断面図、図8の(ロ)は、図8の(イ)におけるロ−ロ線断面図である。
【0021】
これら中間用セグメント3,7も、通常、コルゲート型と称されるダクタイル鋳鉄製のセグメントで、長手方向に沿う左右一対の板状の横側壁22,23と、その両横側壁22,23を連結する板状の前後壁24,25、ならびに、外周壁26などにより一体的に構成され、図7に示す前後壁24,25が互いに平行なものと、図8に示す前後壁24,25の一方が傾斜したものとの2種類があり、前後壁24,25の一方が傾斜したものは、図8に示すものと、図8とは逆方向に傾斜したものとがある。
そして、いずれの種類においても、その外周壁26には、凹入穴27が設けられてコンクリートCが埋入され、補強用リブ28によって補強され、その両横側壁22,23と前後壁24,25には、複数のボルト挿通孔29が穿設され、外周壁26には、グラウト注入孔30が設けられていて、その肉厚が、開口用の第1と第2セグメント1,2,5,6における後壁12側の肉厚T2と同じ肉厚T2に構成されている。
【0022】
第1セグメントS1と第2セグメントS2におけるキーセグメント4,8は、殆ど同一の構造で、これらキーセグメント4,8も、通常、コルゲート型と称されるダクタイル鋳鉄製であって、図9に示すように、トンネルTの周方向に沿う左右一対の板状の横側壁31,32と、その両横側壁31,32を連結する傾斜した板状の前後壁33,34、ならびに、外周壁35などにより一体的に構成され、外周壁35には、凹入穴36が設けられてコンクリートCが埋入され、補強用リブ37によって補強されるとともに、両横側壁31,32と前後壁33,34には、複数のボルト挿通孔38が穿設され、その肉厚が、開口用の第1と第2セグメント1,2,5,6における後壁12側の肉厚T2と同じ肉厚T2に構成されている。
なお、この図9においても、図9の(ロ)は、図9の(イ)におけるロ−ロ線断面図である。
【0023】
一対の柱用セグメントS3も、通常、コルゲート型と称されるダクタイル鋳鉄製であって、図10に示すように、長手方向に沿う左右一対の板状の横側壁39,40と、その両横側壁39,40を連結する板状の前後壁41,42、ならびに、外周壁43などにより一体的に構成され、外周壁43には、凹入穴44が設けられてコンクリートCが埋入され、補強用リブ45によって補強され、その両横側壁39,40と前後壁41,42には、複数のボルト挿通孔46が穿設され、外周壁43には、グラウト注入孔47が設けられ、その肉厚が、開口用の第1と第2セグメント1,2,5,6における前壁11側の肉厚T1と同じ肉厚T1に構成されている。
なお、この図10においても、図10の(ロ)は、図10の(イ)におけるロ−ロ線断面図である。
【0024】
通常のセグメントSについては、本発明の要旨と直接関係がないため、詳細な説明は割愛するが、この通常のセグメントSも、通常、コルゲート型と称されるダクタイル鋳鉄製のセグメントやキーセグメントなどで構成され、かつ、その肉厚が、開口用の第1と第2セグメント1,2,5,6における後壁12側の肉厚T2と同じ肉厚T2に構成されていて、各セグメントがボルト・ナットにより互いに連結可能に構成されている。
【0025】
つぎに、上述した各種のセグメントを使用してトンネルTや連絡孔Hのための開口部Oを形成する施工手順について説明する。
従来と同様に、トンネルを掘削しながら、通常のセグメントSを使用して、つまり、多数のセグメントを周方向および軸方向に並べ、かつ、互いに連結しながら、坑口側から切羽側へとトンネルTの内壁Wを形成する。
開口部Oの形成箇所においては、柱用セグメントS3を開口部Oの坑口側に配置して、ボルト・ナットにより隣接するセグメントSに連結する。その柱用セグメントS3をトンネルTの周方向から挟む状態で、開口用第2セグメント5,6を配置し、ボルト・ナットを使用して、各開口用第2セグメント5,6を隣接するセグメントSに連結するとともに、柱用セグメントS3にも連結する。そして、その一対の開口用第2セグメント5,6の間に中間用第2セグメント7を配置し、最後に、キーセグメント8を配置して、ボルト・ナットによって、それらセグメント7,8を隣接するセグメントSに連結するとともに、各セグメント7,8どうしも互いに連結する。
【0026】
その後、開口用第2セグメント5,6に隣接させて開口用第1セグメント1,2を配置するのであるが、長さの短い開口用第2セグメント5に対しては長い開口用第1セグメント2を隣接させ、長い開口用第2セグメント6に対しては短い開口用第1セグメント1を隣接させて配置し、ボルト・ナットを使用して、各開口用第1セグメント1,2を開口用第2セグメント5,6に連結するとともに、その一対の開口用第1セグメント1,2の間に中間用第1セグメント3やキーセグメント4を配置し、ボルト・ナットによって、それらセグメント3,4を隣接する中間用第2セグメント7やキーセグメント8に連結し、かつ、各セグメント3,4どうしも連結する。
このような作業を繰り返して、第1セグメントS1を4列配設し、切羽側にも、柱用セグメントS3を配置し、かつ、開口用第2セグメント5,6や中間用第2セグメント7、ならびに、キーセグメント8を配置して連結するとともに、その第2セグメントS2に対して通常のセグメントSを連結する。
【0027】
その際、短い開口用第1セグメント1と長い開口用第1セグメント2とを交互に隣接させ、かつ、短い開口用第1セグメント1に対して長い開口用第2セグメント6を、長い開口用第1セグメント2に対して短い開口用第2セグメント5を隣接させることにより、各セグメントが千鳥状に連結されて開口部Oが形成される。
それによって、開口用第1セグメント1,2と開口用第2セグメント5,6とが、トンネルTの軸方向に並設されて、それら開口用セグメント1,2,5,6の内周面に設けられた凹入部19が、トンネルTの周方向において開口部Oを挟む状態で、上下に一対並ぶことになり、その一対の凹入部19間にわたってそれぞれH型鋼20を嵌入する。
【0028】
このH型鋼20の嵌入に際しては、図6に示すように、H型鋼20のフランジ部20aが凹入部19の側壁19aに接当するように嵌入し、側壁19aに設けたボルト孔21を利用して、そのH型鋼20に対してボルト・ナットにより各開口用セグメント1,2,5,6を連結する。
それによって、トンネルTの周方向において開口部Oを挟む状態で、その開口部Oに厚肉部18が隣接した状態で、開口用第1セグメント1,2が配設され、かつ、柱用セグメントS3に厚肉部18が隣接した状態で、開口用第2セグメント5,6が配設されることになり、その開口用第1セグメント1,2と開口用第2セグメント5,6の厚肉部18の中間にわたって凹入部19が設けられているので、その厚肉部18に設けられた凹入部19に比較的断面形状の大きな連結部材20を嵌入することができ、しかも、その厚肉部18は、開口用第1セグメント1,2と開口用第2セグメント5,6に設けるだけで済むため、開口部Oの形成箇所におけるトンネルTの内径が極端に小さくなることが回避される。
【0029】
〔別実施形態〕
(1)先の実施形態では、第1セグメントS1を構成する一対の開口用第1セグメント1,2を長さの異なる2種類のセグメントで構成した例を示したが、これら一対の開口用第1セグメント1,2を同一長さで同一構造のセグメントで構成することもでき、また、第2セグメントS2を構成する一対の開口用第2セグメント5,6においても同様であり、更に、一対の開口用第1セグメント1,2と一対の開口用第2セグメント5,6とを、全て同一長さで同一構造のセグメントで構成することもできる。
また、第1セグメントS1を4列並置して開口部Oを形成した例を示したが、第1セグメントS1の並置列数については任意であり、第1セグメントS1におけるトンネルTの軸方向幅を広くすることにより、1列の第1セグメントS1によって開口部Oを形成することもできる。
【0030】
(2)先の実施形態では、第1セグメントS1を構成する開口用と中間用の第1セグメント1,2,3,4、第2セグメントS2を構成する開口用と中間用の第2セグメント5,6,7,8、柱用セグメントS3、ならびに、通常のセグメントSの全てをコルゲート型と称されるダクタイル鋳鉄製のセグメントで構成した例を示したが、これらセグメントの一部または全部をコルゲート型以外のセグメント、例えば、外周壁と複数の補強用の主桁などを備えた鋼鉄製や鋳鉄製のセグメント、あるいは、コンクリート製のセグメントなどに置き換えて実施することもできる。
【0031】
(3)先の実施形態では、連結部材20としてH型鋼を使用した例を示したが、中実の棒状体や中空の筒状体を使用することもでき、また、型鋼を使用する場合、H型鋼以外にも、チャンネル状の型鋼やアングル状の型鋼など、各種形状の型鋼を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】トンネル内側からの連絡孔形成部の正面図
【図2】トンネルにおける連絡孔形成部の斜視図
【図3】第1セグメントと第2セグメントの端面図
【図4】開口用セグメントの平面図と断面図
【図5】開口用セグメントの平面図と断面図
【図6】開口用セグメントの要部の斜視図
【図7】中間用セグメントの平面図と断面図
【図8】中間用セグメントの平面図と断面図
【図9】キーセグメントの平面図と断面図
【図10】柱用セグメントの平面図と断面図
【図11】従来の連絡孔形成部を示す正面図と側面図
【符号の説明】
1,2 開口用第1セグメント
3,4 中間用第1セグメント
5,6 開口用第2セグメント
7,8 中間用第2セグメント
18 厚肉部
19 凹入部
19a 凹入部の側壁
20 連結部材としての型鋼
20a 型鋼のフランジ部
H 連絡孔
O 開口部
S セグメント
S1 第1セグメント
S2 第2セグメント
S3 柱用セグメント
T トンネル
W トンネルの内壁
【発明の属する技術分野】
本発明は、多数のセグメントを周方向および軸方向に並べて互いに連結することにより内壁を形成してあるトンネルに連絡孔分岐用の開口部を形成するべく配置される第1セグメントと、前記開口部を形成するべく開口部の坑口側と切羽側とに配置される一対の柱用セグメントと、その一対の柱用セグメントをトンネルの周方向から挟む状態で、前記第1セグメントの坑口側と切羽側とに配置される一対の第2セグメントとを備え、前記開口部に対するトンネルの周方向において前記開口部を挟む状態で、一対の凹入部が、前記第1と第2のセグメントの内周面にわたって設けられ、前記一対の凹入部のそれぞれに連結部材が嵌入されて、その一対の連結部材により前記第1と第2のセグメントが互いに連結されているトンネルにおける連絡孔形成部の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
このような連絡孔形成部の構造は、例えば、地下鉄のトンネル工事などで実施されるもので、連絡孔分岐用の開口部が形成される箇所では、当然、土圧などのような外からの荷重に対する強度が低下する。
そこで、その強度向上のため、上述したように、第1と第2のセグメントの内周面にわたって凹入部を設け、その凹入部に連結部材を嵌入して、開口部形成箇所での強度向上を図っていたのであり、その具体的な構造として、従来、図11に示すものが知られている。
【0003】
その公知の構造によれば、第1セグメントを構成する一対の開口用第1セグメント1A,2Aが、分岐用の開口部OをトンネルTの周方向から挟む状態で、トンネルTの軸方向に複数列配置され、かつ、その複数列配置された開口用第1セグメント1A,2Aの坑口側と切羽側とに、第2セグメントを構成する一対の開口用第2セグメント5A,6Aが配置されて、それら開口用第1セグメント1A,2Aと開口用第2セグメント5A,6Aの開口部O側の端縁には、開口部O側に開口する凹入部18Aが設けられている。
そして、坑口側と切羽側とに位置する一対の開口用第2セグメント5A,6Aの間には、それぞれ柱用セグメントSAが配設され、連結部材20Aが、開口用第1セグメント1A,2Aの凹入部18Aに嵌入されるとともに、その連結部材20Aの両端部が、開口用第2セグメント5A,6Aの凹入部18Aと柱用セグメントSA端面との間に嵌入されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この図11に示す従来構造によれば、開口用第1セグメント1A,2Aからの荷重を連結部材20Aが受止めて柱用セグメントSAへ伝えるため、連結部材20Aに大きな強度が要求され、そのため、連結部材20Aの断面形状が、かなり大きなものとなる。
その断面形状の大きな連結部材20Aを開口用の第1と第2セグメント1A,2A,5A,6Aの端縁に形成の凹入部18A内へ嵌入する必要があるため、開口用の第1と第2セグメント1A,2A,5A,6Aの径方向の厚み、つまり、肉厚T3が、図11の(ロ)において右半分に示す、連絡孔分岐用開口部が形成される箇所以外でのセグメントの肉厚T4よりも厚くなり、それに伴って、開口部Oの形成箇所におけるトンネルの内径が小さくなるという問題がある。
【0005】
本発明は、このような従来の問題点に着目したもので、その目的は、開口部形成箇所におけるトンネルの内部空間を小さくすることなく、従来のような連結部材を使用して、開口部形成箇所における強度の向上を図り得るトンネルにおける連絡孔形成部の構造を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
〔構成〕
請求項1の発明の特徴構成は、図1〜図6に例示するごとく、多数のセグメントSを周方向および軸方向に並べて互いに連結することにより内壁Wを形成してあるトンネルTに連絡孔H分岐用の開口部Oを形成するべく配置される第1セグメントS1と、前記開口部Oを形成するべく開口部Oの坑口側と切羽側とに配置される一対の柱用セグメントS3と、その一対の柱用セグメントS3をトンネルTの周方向から挟む状態で、前記第1セグメントS1の坑口側と切羽側とに配置される一対の第2セグメントS2とを備え、前記開口部Oに対するトンネルTの周方向において前記開口部Oを挟む状態で、一対の凹入部19が、前記第1と第2のセグメントS1,S2の内周面にわたって設けられ、前記一対の凹入部19のそれぞれに連結部材20が嵌入されて、その一対の連結部材20により前記第1と第2のセグメントS1,S2が互いに連結されているトンネルにおける連絡孔形成部の構造であって、前記第1セグメントS1が、トンネルTの周方向において前記開口部Oを挟む状態で、その開口部Oに隣接して配置される一対の開口用第1セグメント1,2と、その一対の開口用第1セグメント1,2の間に配置される中間用第1セグメント3,4とで構成され、前記第2セグメントS2が、前記柱用セグメントS3に隣接して配置される一対の開口用第2セグメント5,6と、その一対の開口用第2セグメント5,6の間に配置される中間用第2セグメント7,8とで構成され、前記開口用第1セグメント1,2が、前記開口部Oに隣接した状態で、前記中間用第1セグメント3,4の肉厚よりも厚い厚肉部18を備え、前記開口用第2セグメント5,6が、前記柱用セグメントS3に隣接した状態で、前記中間用第2セグメント7,8の肉厚よりも厚い厚肉部18を備えていて、前記開口用第1セグメント1,2の厚肉部18の中間と前記開口用第2セグメント5,6の厚肉部18の中間とにわたって、前記凹入部19が設けられているところにある。
【0007】
請求項2の発明の特徴構成は、図6に例示するごとく、前記一対の連結部材20が、型鋼により構成されているところにある。
【0008】
請求項3の発明の特徴構成は、図6に例示するごとく、前記型鋼20が、トンネルTの周方向において互いに対向する前記凹入部19の側壁19aに接当するフランジ部20aを備えているところにある。
【0009】
なお、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。
【0010】
〔作用及び効果〕
請求項1の発明の特徴構成によれば、連絡孔分岐用の開口部を形成するべく配置される第1セグメントが、開口部を挟む状態で、その開口部に隣接して配置される一対の開口用第1セグメントと、その一対の開口用第1セグメントの間に配置される中間用第1セグメントとで構成され、一対の柱用セグメントを挟む状態で、前記第1セグメントの坑口側と切羽側とに配置される一対の第2セグメントが、柱用セグメントに隣接して配置される一対の開口用第2セグメントと、その一対の開口用第2セグメントの間に配置される中間用第2セグメントとで構成され、前記開口用第1セグメントと開口用第2セグメントが、開口部や柱用セグメントに隣接した状態で、中間用第1セグメントや中間用第2セグメントの肉厚よりも厚い厚肉部を備え、その開口用第1セグメントの厚肉部の中間と開口用第2セグメントの厚肉部の中間とにわたって、連結部材が嵌入される凹入部が設けられているので、各厚肉部の中間に設けられた凹入部に比較的断面形状の大きな連結部材を嵌入し、その連結部材により開口用第1セグメントからの荷重を確実に受止めて柱用セグメントへ伝えることができる。
それでいて、各厚肉部は、一対の開口用第1セグメントと開口用第2セグメントにのみ設けるだけで済むため、開口部の形成箇所におけるトンネルの内径が極端に小さくなることを回避することができる。
【0011】
請求項2の発明の特徴構成によれば、凹入部に嵌入される一対の連結部材が、型鋼により構成されているので、例えば、連結部材を断面矩形の中実体で構成するのと比較して、連結部材の軽量化を図りながら、開口用第1セグメントからの荷重を効果的に受止めて柱用セグメントへ伝えることができる。
【0012】
請求項3の発明の特徴構成によれば、連結部材としての型鋼が、トンネルの周方向において互いに対向する凹入部の側壁に接当するフランジ部を備えているので、面積の大きなフランジ部を有効に利用して、開口用第1セグメントからの荷重をより一層効果的に柱用セグメントへと伝えることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明によるトンネルにおける連絡孔形成部の構造につき、その実施の形態を図面に基づいて説明する。
このトンネルは、例えば、地下鉄、上下水道、各種パイプライン用として使用されるもので、図1および図2に示すように、多数のセグメントS,S1,S2,S3が、トンネルTの周方向と軸方向に並べて配置され、互いに連結されることでトンネルTの内壁Wが形成されていて、トンネルTの横側壁には、トンネルTに連通する連絡孔Hを分岐させる開口部Oが設けられている。
前記セグメントS,S1,S2,S3は、坑口側から切羽側に向かって円筒状の内壁Wを形成するために使用される通常のセグメントSと、その内壁Wに前記開口部Oを形成するために使用される第1セグメントS1、第2セグメントS2、ならびに、柱用セグメントS3などで構成されている。
【0014】
第1セグメントS1は、図3の(イ)に示すように、トンネルTの周方向において開口部Oを挟む状態で、その開口部Oに隣接して配置される一対の開口用第1セグメント1,2と、その一対の開口用第1セグメント1,2の間に配置される複数の中間用第1セグメント3,4により構成されている。
一対の開口用第1セグメント1,2は、周方向での長さが短い開口用第1セグメント1と、周方向での長さが長い開口用第1セグメント2との2種類があり、その2種類の開口用第1セグメント1,2が、開口部Oを挟む状態に配置され、その一対の開口用第1セグメント1,2の間に中間用第1セグメント3と、中間用第1セグメントとして機能するキーセグメント4とが配置され、これらセグメント1,2,3,4が図外のボルト・ナットにより連結されて、開口部Oを除いて、全体が部分環状になるように構成されている。
【0015】
このような部分環状の第1セグメントS1が、トンネルTの軸方向に複数列、この実施形態では4列並置されて、隣接する第1セグメントS1どうしも、図外のボルト・ナットにより互いに連結されている。
ただし、隣接する第1セグメントS1間においては、長さの短い開口用第1セグメント1と長さの長い開口用第1セグメント2とが、互いに隣接して交互に位置するように配置され、それによって、各第1セグメントS1を構成するセグメント1,2,3,4が、千鳥状に配置されて互いに連結されて、開口部Oを形成するように構成され、その開口部Oの坑口側と切羽側には、一対の柱用セグメントS3が配置されている。
【0016】
第2セグメントS2は、図3の(ロ)に示すように、トンネルTの周方向において柱用セグメントS3を挟む状態で、第1セグメントS1の坑口側と切羽側とに一対配置され、各第2セグメントS2も、柱用セグメントS3に隣接して配置される一対の開口用第2セグメント5,6、つまり、周方向長さの短い開口用第2セグメント5と、周方向長さの長い開口用第2セグメント6とが、柱用セグメントS3を挟む状態に配置され、その一対の開口用第2セグメント5,6の間に複数の中間用第2セグメント7と、中間用第2セグメントとして機能するキーセグメント8とが配置され、これらセグメント5,6,7,8、ならびに、柱用セグメントS3とが図外のボルト・ナットにより連結されて、全体が環状になるように構成されている。
そして、この第2セグメントS2と第1セグメントS1の間においても、長さの短い開口用第1セグメント1に対して長さの長い開口用第2セグメント6が、長い開口用第1セグメント2に対して短い開口用第2セグメント5が、互いに隣接するように配置され、第1と第2のセグメントS1,S2も図外のボルト・ナットにより互いに連結されている。
【0017】
2種類の開口用第1セグメント1,2は、図3の(イ)に示すように、周方向での長さの違いはあるものの、構造的には殆ど同じであり、また、2種類の開口用第2セグメント5,6も同様で、更に、長さの短い開口用の第1と第2セグメント1,5はほぼ同一であり、また、長さの長い開口用の第1と第2セグメント2,6もほぼ同一であるため、これらセグメント1,2,5,6の詳細については、図4〜図6に基づいて一括して説明する。
なお、図4の(ロ)は、図4の(イ)におけるロ−ロ線断面図であり、図5の(ロ)は、図5の(イ)におけるロ−ロ線断面図である。
【0018】
これらセグメント1,2,5,6は、通常、コルゲート型と称される多数の凹凸形状を備えたダクタイル鋳鉄製のセグメントで、長手方向に沿う左右一対の板状の横側壁9,10と、その両横側壁9,10を連結する板状の前壁11と後壁12、ならびに、外周壁13などを備えて一体的に構成され、外周壁13には、適宜、凹入穴14が設けられてコンクリートCが埋入されている。
そして、両横側壁9,10や前後壁11,12、ならびに、外周壁13は、複数の補強用リブ15によって互いに一体的に連結されて補強され、その両横側壁9,10と前後壁11,12には、複数のボルト挿通孔16が穿設され、外周壁13には、適宜、グラウト注入孔17が設けられている。
【0019】
各セグメント1,2,5,6は、その前壁11側の肉厚T1の方が後壁12側の肉厚T2よりも厚く構成され、それによって、各セグメント1,2,5,6の前壁11側に厚肉部18が形成されるとともに、その厚肉部18の中間における内周面側には、両横側壁9,10を横切る状態で、換言すると、各セグメント1,2,5,6の長手方向に直交する状態で、凹入部19が形成されていて、その凹入部19内に、連結部材としてのH型鋼20が嵌入可能に構成されている。
そして、その凹入部19の側壁19a、つまり、各セグメント1,2,5,6の長手方向において互いに対向する一対の側壁19aに対し、H型鋼20のフランジ部20aが接当するように構成され、その側壁19aには、複数のボルト孔21が穿設されている。
【0020】
中間用の第1と第2セグメント3,7は、殆ど同じ構造で、両セグメント3,7共、図7に示すように、長手方向に位置する前後壁が互いに平行なものと、図8に示すように、一方の前後壁が傾斜して後述するキーセグメント4,8に隣接するものとの2種類があり、かつ、前後壁が傾斜しているものは、図8に示すものと、図8とは逆方向に傾斜しているものとがあるが、それ以外についてはほぼ同一であるため、図7と図8に基づいて一括して説明する。
なお、図7の(ロ)は、図7の(イ)におけるロ−ロ線断面図、図8の(ロ)は、図8の(イ)におけるロ−ロ線断面図である。
【0021】
これら中間用セグメント3,7も、通常、コルゲート型と称されるダクタイル鋳鉄製のセグメントで、長手方向に沿う左右一対の板状の横側壁22,23と、その両横側壁22,23を連結する板状の前後壁24,25、ならびに、外周壁26などにより一体的に構成され、図7に示す前後壁24,25が互いに平行なものと、図8に示す前後壁24,25の一方が傾斜したものとの2種類があり、前後壁24,25の一方が傾斜したものは、図8に示すものと、図8とは逆方向に傾斜したものとがある。
そして、いずれの種類においても、その外周壁26には、凹入穴27が設けられてコンクリートCが埋入され、補強用リブ28によって補強され、その両横側壁22,23と前後壁24,25には、複数のボルト挿通孔29が穿設され、外周壁26には、グラウト注入孔30が設けられていて、その肉厚が、開口用の第1と第2セグメント1,2,5,6における後壁12側の肉厚T2と同じ肉厚T2に構成されている。
【0022】
第1セグメントS1と第2セグメントS2におけるキーセグメント4,8は、殆ど同一の構造で、これらキーセグメント4,8も、通常、コルゲート型と称されるダクタイル鋳鉄製であって、図9に示すように、トンネルTの周方向に沿う左右一対の板状の横側壁31,32と、その両横側壁31,32を連結する傾斜した板状の前後壁33,34、ならびに、外周壁35などにより一体的に構成され、外周壁35には、凹入穴36が設けられてコンクリートCが埋入され、補強用リブ37によって補強されるとともに、両横側壁31,32と前後壁33,34には、複数のボルト挿通孔38が穿設され、その肉厚が、開口用の第1と第2セグメント1,2,5,6における後壁12側の肉厚T2と同じ肉厚T2に構成されている。
なお、この図9においても、図9の(ロ)は、図9の(イ)におけるロ−ロ線断面図である。
【0023】
一対の柱用セグメントS3も、通常、コルゲート型と称されるダクタイル鋳鉄製であって、図10に示すように、長手方向に沿う左右一対の板状の横側壁39,40と、その両横側壁39,40を連結する板状の前後壁41,42、ならびに、外周壁43などにより一体的に構成され、外周壁43には、凹入穴44が設けられてコンクリートCが埋入され、補強用リブ45によって補強され、その両横側壁39,40と前後壁41,42には、複数のボルト挿通孔46が穿設され、外周壁43には、グラウト注入孔47が設けられ、その肉厚が、開口用の第1と第2セグメント1,2,5,6における前壁11側の肉厚T1と同じ肉厚T1に構成されている。
なお、この図10においても、図10の(ロ)は、図10の(イ)におけるロ−ロ線断面図である。
【0024】
通常のセグメントSについては、本発明の要旨と直接関係がないため、詳細な説明は割愛するが、この通常のセグメントSも、通常、コルゲート型と称されるダクタイル鋳鉄製のセグメントやキーセグメントなどで構成され、かつ、その肉厚が、開口用の第1と第2セグメント1,2,5,6における後壁12側の肉厚T2と同じ肉厚T2に構成されていて、各セグメントがボルト・ナットにより互いに連結可能に構成されている。
【0025】
つぎに、上述した各種のセグメントを使用してトンネルTや連絡孔Hのための開口部Oを形成する施工手順について説明する。
従来と同様に、トンネルを掘削しながら、通常のセグメントSを使用して、つまり、多数のセグメントを周方向および軸方向に並べ、かつ、互いに連結しながら、坑口側から切羽側へとトンネルTの内壁Wを形成する。
開口部Oの形成箇所においては、柱用セグメントS3を開口部Oの坑口側に配置して、ボルト・ナットにより隣接するセグメントSに連結する。その柱用セグメントS3をトンネルTの周方向から挟む状態で、開口用第2セグメント5,6を配置し、ボルト・ナットを使用して、各開口用第2セグメント5,6を隣接するセグメントSに連結するとともに、柱用セグメントS3にも連結する。そして、その一対の開口用第2セグメント5,6の間に中間用第2セグメント7を配置し、最後に、キーセグメント8を配置して、ボルト・ナットによって、それらセグメント7,8を隣接するセグメントSに連結するとともに、各セグメント7,8どうしも互いに連結する。
【0026】
その後、開口用第2セグメント5,6に隣接させて開口用第1セグメント1,2を配置するのであるが、長さの短い開口用第2セグメント5に対しては長い開口用第1セグメント2を隣接させ、長い開口用第2セグメント6に対しては短い開口用第1セグメント1を隣接させて配置し、ボルト・ナットを使用して、各開口用第1セグメント1,2を開口用第2セグメント5,6に連結するとともに、その一対の開口用第1セグメント1,2の間に中間用第1セグメント3やキーセグメント4を配置し、ボルト・ナットによって、それらセグメント3,4を隣接する中間用第2セグメント7やキーセグメント8に連結し、かつ、各セグメント3,4どうしも連結する。
このような作業を繰り返して、第1セグメントS1を4列配設し、切羽側にも、柱用セグメントS3を配置し、かつ、開口用第2セグメント5,6や中間用第2セグメント7、ならびに、キーセグメント8を配置して連結するとともに、その第2セグメントS2に対して通常のセグメントSを連結する。
【0027】
その際、短い開口用第1セグメント1と長い開口用第1セグメント2とを交互に隣接させ、かつ、短い開口用第1セグメント1に対して長い開口用第2セグメント6を、長い開口用第1セグメント2に対して短い開口用第2セグメント5を隣接させることにより、各セグメントが千鳥状に連結されて開口部Oが形成される。
それによって、開口用第1セグメント1,2と開口用第2セグメント5,6とが、トンネルTの軸方向に並設されて、それら開口用セグメント1,2,5,6の内周面に設けられた凹入部19が、トンネルTの周方向において開口部Oを挟む状態で、上下に一対並ぶことになり、その一対の凹入部19間にわたってそれぞれH型鋼20を嵌入する。
【0028】
このH型鋼20の嵌入に際しては、図6に示すように、H型鋼20のフランジ部20aが凹入部19の側壁19aに接当するように嵌入し、側壁19aに設けたボルト孔21を利用して、そのH型鋼20に対してボルト・ナットにより各開口用セグメント1,2,5,6を連結する。
それによって、トンネルTの周方向において開口部Oを挟む状態で、その開口部Oに厚肉部18が隣接した状態で、開口用第1セグメント1,2が配設され、かつ、柱用セグメントS3に厚肉部18が隣接した状態で、開口用第2セグメント5,6が配設されることになり、その開口用第1セグメント1,2と開口用第2セグメント5,6の厚肉部18の中間にわたって凹入部19が設けられているので、その厚肉部18に設けられた凹入部19に比較的断面形状の大きな連結部材20を嵌入することができ、しかも、その厚肉部18は、開口用第1セグメント1,2と開口用第2セグメント5,6に設けるだけで済むため、開口部Oの形成箇所におけるトンネルTの内径が極端に小さくなることが回避される。
【0029】
〔別実施形態〕
(1)先の実施形態では、第1セグメントS1を構成する一対の開口用第1セグメント1,2を長さの異なる2種類のセグメントで構成した例を示したが、これら一対の開口用第1セグメント1,2を同一長さで同一構造のセグメントで構成することもでき、また、第2セグメントS2を構成する一対の開口用第2セグメント5,6においても同様であり、更に、一対の開口用第1セグメント1,2と一対の開口用第2セグメント5,6とを、全て同一長さで同一構造のセグメントで構成することもできる。
また、第1セグメントS1を4列並置して開口部Oを形成した例を示したが、第1セグメントS1の並置列数については任意であり、第1セグメントS1におけるトンネルTの軸方向幅を広くすることにより、1列の第1セグメントS1によって開口部Oを形成することもできる。
【0030】
(2)先の実施形態では、第1セグメントS1を構成する開口用と中間用の第1セグメント1,2,3,4、第2セグメントS2を構成する開口用と中間用の第2セグメント5,6,7,8、柱用セグメントS3、ならびに、通常のセグメントSの全てをコルゲート型と称されるダクタイル鋳鉄製のセグメントで構成した例を示したが、これらセグメントの一部または全部をコルゲート型以外のセグメント、例えば、外周壁と複数の補強用の主桁などを備えた鋼鉄製や鋳鉄製のセグメント、あるいは、コンクリート製のセグメントなどに置き換えて実施することもできる。
【0031】
(3)先の実施形態では、連結部材20としてH型鋼を使用した例を示したが、中実の棒状体や中空の筒状体を使用することもでき、また、型鋼を使用する場合、H型鋼以外にも、チャンネル状の型鋼やアングル状の型鋼など、各種形状の型鋼を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】トンネル内側からの連絡孔形成部の正面図
【図2】トンネルにおける連絡孔形成部の斜視図
【図3】第1セグメントと第2セグメントの端面図
【図4】開口用セグメントの平面図と断面図
【図5】開口用セグメントの平面図と断面図
【図6】開口用セグメントの要部の斜視図
【図7】中間用セグメントの平面図と断面図
【図8】中間用セグメントの平面図と断面図
【図9】キーセグメントの平面図と断面図
【図10】柱用セグメントの平面図と断面図
【図11】従来の連絡孔形成部を示す正面図と側面図
【符号の説明】
1,2 開口用第1セグメント
3,4 中間用第1セグメント
5,6 開口用第2セグメント
7,8 中間用第2セグメント
18 厚肉部
19 凹入部
19a 凹入部の側壁
20 連結部材としての型鋼
20a 型鋼のフランジ部
H 連絡孔
O 開口部
S セグメント
S1 第1セグメント
S2 第2セグメント
S3 柱用セグメント
T トンネル
W トンネルの内壁
Claims (3)
- 多数のセグメントを周方向および軸方向に並べて互いに連結することにより内壁を形成してあるトンネルに連絡孔分岐用の開口部を形成するべく配置される第1セグメントと、
前記開口部を形成するべく開口部の坑口側と切羽側とに配置される一対の柱用セグメントと、
その一対の柱用セグメントをトンネルの周方向から挟む状態で、前記第1セグメントの坑口側と切羽側とに配置される一対の第2セグメントとを備え、
前記開口部に対するトンネルの周方向において前記開口部を挟む状態で、一対の凹入部が、前記第1と第2のセグメントの内周面にわたって設けられ、
前記一対の凹入部のそれぞれに連結部材が嵌入されて、その一対の連結部材により前記第1と第2のセグメントが互いに連結されているトンネルにおける連絡孔形成部の構造であって、
前記第1セグメントが、トンネルの周方向において前記開口部を挟む状態で、その開口部に隣接して配置される一対の開口用第1セグメントと、その一対の開口用第1セグメントの間に配置される中間用第1セグメントとで構成され、
前記第2セグメントが、前記柱用セグメントに隣接して配置される一対の開口用第2セグメントと、その一対の開口用第2セグメントの間に配置される中間用第2セグメントとで構成され、
前記開口用第1セグメントが、前記開口部に隣接した状態で、前記中間用第1セグメントの肉厚よりも厚い厚肉部を備え、
前記開口用第2セグメントが、前記柱用セグメントに隣接した状態で、前記中間用第2セグメントの肉厚よりも厚い厚肉部を備えていて、
前記開口用第1セグメントの厚肉部の中間と前記開口用第2セグメントの厚肉部の中間とにわたって、前記凹入部が設けられているトンネルにおける連絡孔形成部の構造。 - 前記一対の連結部材が、型鋼により構成されている請求項1に記載のトンネルにおける連絡孔形成部の構造。
- 前記型鋼が、トンネルの周方向において互いに対向する前記凹入部の側壁に接当するフランジ部を備えている請求項2に記載のトンネルにおける連絡孔形成部の構造。
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