JPH0940637A - S−フェニル−l−システイン塩酸塩の製造法 - Google Patents

S−フェニル−l−システイン塩酸塩の製造法

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JPH0940637A
JPH0940637A JP19834695A JP19834695A JPH0940637A JP H0940637 A JPH0940637 A JP H0940637A JP 19834695 A JP19834695 A JP 19834695A JP 19834695 A JP19834695 A JP 19834695A JP H0940637 A JPH0940637 A JP H0940637A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 着色のないS−フェニル−L−システイン塩
酸塩の製造が可能な方法を提供する。 【解決手段】 S−フェニル−L−システインの水溶液
あるいはスラリーに、最終塩酸濃度が10重量%〜36
重量%となるように塩酸を加えるS−フェニル−L−シ
ステイン塩酸塩の製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はS−フェニル−L−
システイン塩酸塩の製造法に関し、詳しくは、S−フェ
ニル−L−システインの水溶液あるいはスラリーに、最
終塩酸濃度が 10重量%以上となるように塩酸を加
え、着色のないS−フェニル−L−システイン塩酸塩の
製造法に関する。
【0002】S−置換システイン誘導体は、医薬、農薬
の中間体としての用途が期待され、その合成法も検討さ
れている。S−フェニル−L−システイン塩酸塩は、工
業化された例はなく、製造法は確立されていない。
【0003】
【従来の技術】S−フェニル−L−システインは、微生
物の生産するシステインデスルフヒドラーゼを用いてL
−セリン、L−システイン、β−クロロ−L−アラニン
などのβ−置換−L−アラニンとチオフェノールから合
成可能なことが知られている(特公昭58−13154
号公報、特公昭58−13155号公報、特公昭57−
21312号公報)。
【0004】また、S−フェニル−L−システインは、
微生物の生産するトリプトファンシンターゼによってL
−セリンとチオフェノールから合成可能なことが知られ
ている(特公平2−54077号公報)。
【0005】あるいは、β−クロロ−L−アラニンとチ
オフェノールをpH10〜13 の水溶液中で反応させ
ることによってS−フェニル−L−システインを化学的
に合成することもできる(特開昭60−258161号
公報)。
【0006】反応生成物であるS−フェニル−L−シス
テインの単離は、イオン交換樹脂処理、等電点における
晶析等によって行われる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来の製造法によって
得られるS−フェニル−L−システイン結晶は、黄色あ
るいは灰色の着色を帯びており、微量不純物を除去する
ことが困難である。本発明の目的は微量不純物を含まな
い高純度のS−フェニル−L−システインを得ることで
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らはS−フェニ
ル−L−システインの製造法について鋭意検討した結
果、S−フェニル−L−システインの水溶液あるいはス
ラリーに、最終塩酸濃度が10重量%以上となるように
塩酸を加えてS−フェニル−L−システイン塩酸塩を形
成させ、S−フェニル−L−システインを塩酸塩として
得ることによって着色のない高純度のS−フェニル−L
−システインが得られることを見出し、本発明を完成す
るに至った。
【0009】すなわち、本発明はS−フェニル−L−シ
ステインの水溶液あるいはスラリーに最終塩酸濃度が1
0重量%〜36重量%となるように塩酸を加えることを
特徴とするS−フェニル−L−システイン塩酸塩の製造
法である。
【0010】
【発明の実施の形態】S−フェニル−L−システインの
水溶液あるいはスラリーを調製するには各種の方法があ
るが、本発明を実施するにあたっては、特に制限はな
い。
【0011】例えば、S−フェニル−L−システイン
は、微生物の生産するシステインデスルフヒドラ−ゼを
用いてL−セリン、L−システイン、β−クロロ−L−
アラニンなどのβ−置換−L−アラニンとチオフェノー
ルから合成可能である。
【0012】また、S−フェニル−L−システインは、
微生物の生産するトリプトファンシンターゼによってL
−セリンとチオフェノールから合成してもよい。
【0013】あるいは、β−クロロ−L−アラニンとチ
オフェノールをpH10〜13の水溶液中で反応させる
ことによってS−フェニル−L−システインを化学的に
合成することもできる。
【0014】S−フェニル−L−システインの水溶液あ
るいはスラリーは、上記のような方法で合成した反応液
そのものでもよいし、反応液から単離した結晶を水に溶
解させた水溶液またはスラリーでもよい。
【0015】S−フェニル−L−システインの水溶液中
にS−フェニル−L−システイン塩酸塩を生成させるた
めには、水溶液に塩酸を過剰に加えればよい。
【0016】S−フェニル−L−システインの濃度は、
塩酸添加後の最終濃度で3重量%〜7重量%になるよう
に、あらかじめS−フェニル−L−システイン水溶液あ
るいはスラリーの濃度を調整しなければならない。S−
フェニル−L−システインの最終濃度が3重量%よりも
小さいとS−フェニル−L−システイン塩酸塩の収率は
極めて低くなるからである。
【0017】塩酸の添加量としては、水溶液の塩酸濃度
が10重量%〜36重量%となるように加えればよい。
好ましくは15重量%〜36重量%である。S−フェニ
ル−L−システインは水に対する溶解度が小さいため、
S−フェニル−L−システインの合成反応液は、通常は
S−フェニル−L−システインのスラリーとして得られ
る。このようなスラリーに塩酸を加えていき、水溶液を
酸性にするとS−フェニル−L−システインの溶解度が
増加し、S−フェニル−L−システインの結晶は溶解す
る。しかし、さらに塩酸を加えていき、塩酸濃度が10
重量%に達すると、S−フェニル−L−システインは塩
酸塩を形成し始める。特に、塩酸濃度が15重量%以上
の水溶液中では、S−フェニル−L−システイン塩酸塩
の溶解度が非常に小さく、S−フェニル−L−システイ
ン塩酸塩が多量に析出する。
【0018】また、溶液の温度を下げることによってS
−フェニル−L−システイン塩酸塩の溶解度はさらに減
少するので、溶液の冷却はS−フェニル−L−システイ
ン塩酸塩を収率よく得る上で好ましい方法である。
【0019】析出したS−フェニル−L−システイン塩
酸塩は、濾過等の操作で容易に単離することが可能であ
る。
【0020】このようにして得られるS−フェニル−L
−システイン塩酸塩は純白で、純度が極めて高い。換言
すれば、S−フェニル−L−システインを塩酸塩として
単離することで、高純度に精製できるのである。
【0021】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
する。 実施例1 トリプトファンシンターゼ生産菌であるエシェリヒア・
コリMT−10242(FERM BP−20)の培養
菌体をトリプトファンシンターゼ源として、L−セリン
15.0g、チオフェノ−ル15.7g、ピリドキサル
リン酸12.5mgを含むpH9.5の水溶液500g
に加え、35℃で15時間、窒素雰囲気下で酵素反応を
行い、S−フェニル−L−システインを合成した。この
反応液中にS−フェニル−L−システインは22.5g
生成した。反応終了後、反応液に36%塩酸80.6g
を加えて結晶を完全に溶解し、除菌のため活性炭(PM
−SX 三井製薬製)を10g加えて50℃にて1時間
加熱後、濾過を行った。濾液の温度を30℃に保ち、撹
拌しながら36%塩酸 276.5gをゆっくり加えた
ところ、結晶が析出した。次に液温を10℃まで冷却
し、10℃で1時間保った後、析出した結晶を濾過によ
って分離した。得られた結晶を乾燥後、純白のS−フェ
ニル−L−システイン塩酸塩21.9gを得た。得られ
た結晶1.0gを2N塩酸50mlに溶解し、波長43
0nm、層長10mmにおいて2N塩酸を対照として透
過率を測定したところ、99.2%であった。
【0022】比較例1 実施例1と同様に、トリプトファンシンターゼ生産菌で
あるエシェリヒア・コリMT−10242(FERM
BP−20)の培養菌体をトリプトファンシンターゼ源
として、L−セリン15.0g、チオフェノール15.
7g、ピリドキサルリン酸12.5mgを含むpH9.
5の水溶液500gに加え、35℃で15時間、窒素雰
囲気下で酵素反応を行い、S−フェニル−L−システイ
ンを合成した。この反応液中にS−フェニル−L−シス
テインは22.7g生成した。反応終了後、反応液のp
Hを塩酸で4に調整した後、純水を加えて 3750g
に希釈した。希釈液を80℃に加熱し、結晶を完全に溶
解させた後、除菌のため活性炭(PM−SX 三井製薬
製)を10g加えて80℃にて1時間加熱後、濾過を行
った。濾液を10℃まで冷却し、10℃で1時間保った
後、析出した結晶を濾過によって分離した。結晶を乾燥
後、18.7gのS−フェニル−L−システインを得
た。結晶は灰色を呈していた。得られた結晶1.0gに
ついて、実施例1と同様に透過率を測定したところ、9
5.3%であった。
【0023】比較例2 実施例1と同様に、トリプトファンシンターゼ生産菌で
あるエシェリヒア・コリMT−10242(FERM
BP−20)の培養菌体をトリプトファンシンターゼ源
として、L−セリン15.0g、チオフェノール15.
7g、ピリドキサルリン酸12.5mgを含むpH9.
5の水溶液500gに加え、35℃で15時間、窒素雰
囲気下で酵素反応を行い、S−フェニル−L−システイ
ンを合成した。この反応液中にS−フェニル−L−シス
テインは22.6g生成した。反応終了後、反応液に3
6%塩酸80.6gを加えて結晶を完全に溶解し、除菌
のため活性炭(PM−SX 三井製薬製)を10g加え
て50℃にて1時間加熱後、濾過を行った。濾液のpH
をNaOHで5.0に調整して結晶を析出させ、10℃
に冷却後、濾過を行って結晶を分離した。結晶を乾燥
後、20.7gのS−フェニル−L−システインを得
た。結晶は灰色を呈していた。得られた結晶1.0gに
ついて、実施例1と同様に透過率を測定したところ、9
5.5%であった。
【0024】実施例2 比較例1と同様にして得られたS−フェニル−L−シス
テインの粗結晶 22.5gに純水338.6gを加え
てスラリ−を調製し、液温を30℃に保ち、撹拌しなが
ら36%塩酸138.9gをゆっくり加え、液量合計を
500gとし、最終的に水溶液の塩酸濃度を10重量
%にした。塩酸を加えていく途中でS−フェニル−L−
システインの結晶は一旦完全に溶解したが、さらに加え
ていくと再び結晶が析出した。析出した結晶を濾過によ
って分離し、得られた結晶を乾燥後、9.0gのS−フ
ェニル−L−システイン塩酸塩を得た(収率33.8
%)。得られた結晶は純白で、実施例1と同様に透過率
を測定したところ、99.3%であった。
【0025】実施例3 比較例1と同様にして得られたS−フェニル−L−シス
テインの粗結晶 22.5gに純水327.5gを加え
てスラリーを調製し、液温を30℃に保ち、撹拌しなが
ら塩酸ガス150.0gをゆっくり加え、液量合計を5
00gとし、最終的に水溶液の塩酸濃度を30重量%に
した。塩酸を加えていく途中でS−フェニル−L−シス
テインの結晶は一旦完全に溶解したが、さらに加えてい
くと再び結晶が析出した。析出した結晶を濾過によって
分離し、得られた結晶を乾燥後、24.5gのS−フェ
ニル−L−システイン塩酸塩を得た(収率93.3
%)。得られた結晶は純白で、実施例1と同様に透過率
を測定したところ、99.1%であった。
【0026】実施例4 比較例1と同様にして得られたS−フェニル−L−シス
テインの粗結晶 22.5gに純水267.5gを加え
てスラリーを調製し、液温を30℃に保ち、撹拌しなが
ら36%塩酸208.5gをゆっくり加え、液量合計を
500gとし、最終的に水溶液の塩酸濃度を15重量
%にした。塩酸を加えていく途中でS−フェニル−L−
システインの結晶は一旦完全に溶解したが、さらに加え
ていくと再び結晶が析出した。次に液温を10℃まで冷
却し、10℃で1時間保った後、析出した結晶を濾過に
よって分離した。得られた結晶を乾燥後、23.9gの
S−フェニル−L−システイン塩酸塩を得た(収率8
9.8%)。得られた結晶は純白で、実施例1と同様に
透過率を測定したところ、99.2%であった。
【0027】
【発明の効果】本発明によってS−フェニル−L−シス
テインを、着色のない高純度のS−フェニル−L−シス
テイン塩酸塩として得ることができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】S−フェニル−L−システインの水溶液あ
    るいはスラリーに、最終塩酸濃度が10重量%〜36重
    量%となるように塩酸を加えることを特徴とするS−フ
    ェニル−L−システイン塩酸塩の製造法。
  2. 【請求項2】塩酸添加後の溶液中において、最終S−フ
    ェニル−L−システイン濃度が3重量%〜7重量%であ
    ることを特徴とする請求項1記載のS−フェニル−L−
    システイン塩酸塩の製造法。
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